もちろん、それでも働き方改革が進むなら良いのではないかという声もある。しかし、これは改革の目的化だ。働き方改革は、仕事の絶対量や任せ方、クオリティーを見直さずやりくりしているという普遍的・根本的矛盾を孕(はら)んでいる。かえってこの取り組みが、「働き方改革疲れ」を起こさないか、サービス残業を誘発しないかという視点を持っておくべきである。

 働き方改革を進める上で、うまく進むパターンについて考えた1年だった。身も蓋もない例の一つが「困っていること」である。売り手市場である上、若者が減っていくという「採用氷河期」である。さらに企業によっては「ブラック企業」イメージがついており、求職者が応募してこないというケースもある。業界、地域、企業規模、職種などの条件によっても、採用は困難となる。地方の中堅・中小企業は常に採用に困っている。IT企業においては、エンジニアの獲得は困難であり続けている。

 このように、決定的に困っている場合に人材マネジメントは変化する。なんとしても、人材を獲得し定着させるための試行錯誤が促されるのである。年末年始営業に関連して、今考えるべきことは、サービス業全般で人手不足をどう解決していくかということだろう。困っているがゆえの改革案を期待したい。

 話を百貨店の年末年始営業に戻そう。そういえば、筆者は先日、「ユーキャン新語・流行語大賞」の授賞式とパーティーに出席した。『現代用語の基礎知識』の執筆者として招待された。私が担当したページから「プレミアムフライデー」がベストテン入りした。もっとも、好意的な文脈ではなく、バブル期の「ハナモク」のように定着するのかというような、ネガティブな文脈だった。

 受賞者は経団連副会長の三越伊勢丹HD特別顧問の石塚邦雄氏だった。いわば、ほめ殺し的、つるし上げ的な受賞にもかかわらず、授賞式にやってきた点はあっぱれである。そう、流行語大賞は否定的なトーンで取り上げる言葉もあり、必ずしも受賞者が会場に現れないのだ。
2017年12月、「ユーキャン新語・流行語大賞」表彰式の記念撮影におさまる受賞者ら。前列右端は「プレミアムフライデー」で受賞した三越伊勢丹HDの石塚邦雄特別顧問(松本健吾撮影)
2017年12月、「ユーキャン新語・流行語大賞」表彰式の記念撮影におさまる受賞者ら。前列右端は「プレミアムフライデー」で受賞した三越伊勢丹HDの石塚邦雄特別顧問(松本健吾撮影)
 もっとも、その場でもプレミアムフライデーについて今後、盛り上げていくというコメントをしていたものの、具体策は乏しかった。いまだに三越伊勢丹HDの特別顧問をしているのなら、自社の宣伝をかねてどさくさに紛れて、こんなことをやっているとアピールすればよかったのではないか。やや論理の飛躍のようだが、ここでも百貨店の存在意義を考えてしまった。手詰まり感があるのだ。インバウンド観光客による需要などもあるものの、逆にこれがなかったらと思うとゾッとする。

 年末年始営業の件を「働き方改革万歳」的なトーンで総括してはならない。これは消費喚起策と、人手不足の解決がうまく進んでいないことの証拠なのではないか。