慰安婦問題で急速に冷え込む日韓関係にあって、平昌五輪が政治的な「駆け引き」に使われている。スポーツは、政治と無関係ではない。政治の舞台そのものだ。まず、11月15日の中央日報は次のように伝えている。

 李洙勲(イ・スフン)駐日韓国大使が日本の河野太郎外相と会い、両国首脳間のシャトル外交復活に向けて努力することを確認した。
 李大使は14日、外務省で就任の挨拶のため河野外相と会談を行い、韓日関係の未来志向的発展に向けた方案について意見を交換した。
 この中で河野外相は「大統領の信任が厚い方が大使として日本に来られ、未来志向的な韓日関係につながっていくものと期待する」と話した。これに対し、李大使は河野外相に「先月の総選挙で、最多得票によって当選したことに対し、お祝いを述べたい」と答えた。李大使は会談後、記者団と会い、「来月あるいは来年1月に韓日中首脳会議が開催され、文在寅(ムンジェイン)大統領が日本に訪問した後、来年2月の平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック(五輪)の時に安倍晋三首相が訪韓すればシャトル外交が復活する」としながら「このために共に努力していくことを確認した」と述べた。


 だが、12月19日に韓国外相との会談で日本の河野外相は否定的な見解を伝えたという。以下は朝日新聞の報道である。

 19日にあった河野太郎外相と韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相との会談で、来年2月の韓国・平昌冬季五輪への安倍晋三首相の出席をめぐって日本側が韓国側を牽制(けんせい)する一幕があった。日本政府は慰安婦問題で韓国政府の対応に不信感を募らせており、外交的な「駆け引き」を仕掛けた格好だ。
 複数の日韓関係筋が明らかにした。康氏が会談で「首相を平昌で歓迎したい」との文在寅(ムン・ジェイン)大統領のメッセージを伝えると、河野氏は文政権が2015年末の日韓合意に反する動きを見せていることに触れ、「このままでは(参加は)難しい」と伝えた。

2017年12月、会談に臨む河野外相(左)と韓国の康京和外相=東京都港区の飯倉公館(代表撮影)
2017年12月、会談に臨む河野外相(左)と韓国の康京和外相=東京都港区の飯倉公館(代表撮影)
 言うまでもなく、朝鮮半島は緊迫の度合いを増している。北朝鮮の動き次第で、世界的に戦闘的行動へ移行する一触即発の危機をはらんでいる。地理的にも、その影響を最も受ける国のひとつが日本でありながら、五輪を語り出すと日本人はそうした世界情勢の緊張感を忘れる。「平和ボケ」と呼ばれる兆候を示す端的な傾向だろう。