また、雇用の改善は企業マインドが前向きになっていることの反映でもある。それは日銀短観からもうかがえる。昨年12月の製造業・大企業の業況判断指数(「良い」と答えた企業の割合-「悪い」と答えた企業の割合)はプラス25で、2006年12月調査以来、11年ぶりの高水準となった。

 さらに中小企業・製造業ではプラス15で、1991年9月の調査以来、約26年ぶりの高水準だった。有効求人倍率の地方の改善と合わせて考えると、景気回復のすそ野は着実に広がりを見せている。

 実際、企業業績は2017年3月期に過去最高益を更新したのに続き、今年3月期も増益の見通しだ。これは企業が構造改革を進め収益力を取り戻してきたことを表している。

 このほかのさまざまな経済指標でも「○年ぶり」「リーマン・ショック以後で最高」などのデータが相次いでおり、中には有効求人倍率や日銀短観の中小企業のように「バブル期並み」「バブル期超え」などの数字も出始めている。よく「景気回復の実感がない」と言われるが、それでも着実に景気は回復しているのである。
合同企業説明会で、採用担当者(壁側の3人)の説明を受ける学生。新卒採用で人手確保に苦慮する中小企業が多い=2017年10月、東京都新宿区
合同企業説明会で、採用担当者(壁側の3人)の説明を受ける学生。新卒採用で人手確保に苦慮する中小企業が多い=2017年10月、東京都新宿区
 こうした変化は米国経済好調の恩恵もあるが、基本的にはアベノミクスがもたらしたものであり、日本経済の復活につながり始めているとみることができる。したがって株価も一時的な上昇ではなく、長期的な上昇トレンドに入っていると見ている。

 しかし、一方で、ここまで株価が上昇してくると「バブルではないか」と懸念する声も聞こえてくる。確かに短期的には上昇スピードがやや速すぎる感はある。だが、現在の株価水準は、別に高すぎるわけではない。

 一つの尺度としてPER(株価収益率)を見よう。PERは、1株当たり利益に対して株価が何倍あるかを示す指標(株価÷1株当たり利益)で、その倍率が大きいほど株価は割高、小さいほど割安と判断できる。別の表現をするなら、PERが大きくなりすぎると「バブルの恐れがある」とも言える。通常は14、15倍~17、18倍程度が適正水準と言われているが、直近では東証1部全銘柄のPER(連結・予想ベース)は17・52倍(1月17日現在)。妥当な水準でありバブルとは程遠い。