では、かつてのバブル期のPERはどうだったのだろうか。日経平均が史上最高値(3万8915円)となった1989年12月は70・6倍だった。確かにバブルだったことを物語る数字である。

 現在の株価が1991年11月以来ということを考えれば、その当時の東証1部のPERも38・6倍と高い。この頃はすでにバブル崩壊が始まって2万4000円前後まで下落していたが、PERは現在の約2倍の水準である。株価が同水準なのにPERが2倍ということは、それだけ当時の利益が低かったことを意味しており、株価水準は高すぎだったといえる。しかも、当時の企業業績は悪化するばかりであったのに対し、現在は上向きに推移しており、これもバブル期とは正反対である(ただし、当時の企業決算は連結ではなく単体が主流だったためPERの計算式の分母となる1株当たり利益が単体ベースの数字で計算されており、現在と同じ基準ではない。ただPERの分子となる株価も、当時は単体決算が判断材料となっていたことを考慮すれば、大筋で現在と比較できる)。

 また、「ITバブル」と言われた1999~2000年には、PERが算出不能の時期もあった。これは上場企業がトータルで赤字で、PERの計算式の分母がマイナスになったからだ。その前後の時期をみてもPERは100倍以上もあり、まさにバブル全盛だったということになる。

 もちろん、PERだけで「バブルか否か」を論ずることはできないが、前述のように日本経済は着実に回復しており、現在の株価はそうした経済の実態を反映したものである。もっと言えば、まだまだ上昇余地があるとも判断できる。私見だが、日経平均株価は今年中に2万7000円程度まで上昇する可能性は十分にある。順調にいけば、年末から来年にかけて3万円台も視野に入ってくるかもしれない。
東京証券取引所の大納会で手締めをする関係者ら=2017年12月29日、東京・日本橋兜町
東京証券取引所の大納会で手締めをする関係者ら=2017年12月29日、東京・日本橋兜町
 もちろん一本調子で上昇するわけはなく、この間の上昇スピードの速さを考えれば短期的には調整も有り得るだろう。海外に目を向ければ、北朝鮮情勢や世界に拡散するテロの脅威、不安定なトランプ政権など、懸念材料はいくらでもある。場合によっては株式相場に波乱が起きてもおかしくない。

 それでも日本経済そのものはかなり「粘り腰」になっており、中長期的には回復基調は持続できるとみている。これまで企業経営者も消費者も、長年の経済低迷の故か、日本人の元来の控え目な性格からか、過度な悲観論が強かったように思う。

 そのことが経済活動や消費行動をより慎重にさせ、結果として景気や株価の頭を押さえる一因になっていたというのは言い過ぎだろうか。むろん、根拠なき楽観論は戒めなければならないが、これまでのような「過度な悲観論」はそろそろ修正してもよいのではないだろうか。