2018年01月26日 11:12 公開

昨年の米アカデミー賞で主演男優賞を獲得した米俳優ケイシー・アフレック氏が、今年3月の授賞式を欠席することが明らかになった。広報担当が25日、確認した。近年のアカデミー賞では前年の主演男優賞受賞者が、主演女優賞のプレゼンターを務めるのが慣例となっているだけに、アフレック氏の欠席は異例。2010年に女性同僚から性的嫌がらせで告訴されたアフレック氏の受賞は、昨年の時点でも物議をかもした。女性への性的暴力が当時に増して世界的に注目されている中での今年の授賞式だけに、アフレック氏の動向が注目されていた。

米映画芸術科学アカデミーの広報担当は、アフレック氏の欠席を確認し、「今年の式典と素晴らしい作品の数々を話題の中心にするため、この判断をありがたく思う」とコメントした。

アフレック氏は昨年、マサチューセッツ州の静かな海辺の町で起きる家族の悲劇を描いた映画「マンチェスター・バイ・ザ・シー」で、主演男優賞を獲得した。俳優のベン・アフレック氏は兄にあたる。

2010年の事件では、アフレック氏が監督した映画「I'm Still Here」のプロデューサーと撮影監督が、性的嫌がらせを訴えて告訴。アフレック氏は訴えを否定し、訴訟は和解で決着した。

映画プロデューサーのアマンダ・ホワイト氏は、アフレック氏とホテルで夜を一緒に過ごさなかったために給与が支払われず、アフレック氏が同席する場で同氏にそそのかされたスタッフから「毎日のように性的にからかわれ、嫌がらせを言われ、求めてもいないのに口説かれたり誘われたりした」と訴えていた。

撮影監督のマグダレナ・ゴーカ氏は、当時結婚していたアフレック氏が、自分が寝ているベッドにもぐりこんできたと訴えていた。

アフレック氏の弁護団は、原告たちの狙いはアフレック氏を脅して金銭を引き出すことだと主張していた。

アフレック氏に対するこの事件は、昨年の授賞式の時点ですでに話題となっていた。受賞したアフレック氏にオスカー像を渡した、前年の主演女優賞受賞者、ブリー・ラーソン氏が、アフレック氏に拍手しなかったことも注目されていた。

昨年秋に、ハリウッドの大物プロデューサーでアカデミー賞常連だったハービー・ワインスティーン氏による性的加害行動の疑惑が発覚したのを機に、映画界における常習的な性的暴力や女性の賃金の不平等などの問題が浮き彫りになっている。

今月はじめには、女優や脚本家、監督など米映画界の関係者300人以上が1日、セクハラの被害者を支援する運動を開始したと発表。「Time's Up(もう時間切れ)」と名付けられた運動は、1日付の米紙ニューヨーク・タイムズ紙に全面広告を出し、「すべての女性のための変革を求めて団結するエンターテインメント業界の女性たちの呼びかけ」だと説明した。

今月7日のゴールデングローブ賞授賞式では、多くの有力女優が華やかな色のなドレスの代わりに黒を着て性暴力の被害者に連帯を示したほか、受賞者の多くが、様々な業界に蔓延(まんえん)する性暴力の問題をスピーチで取り上げた。

しかし、それから2週間しない内に、ゴールデングローブ賞の受賞者2人について、性的な問題行動があったと公的に非難されている。

テレビのコメディ部門で主演男優賞を得た米コメディアンで俳優のアジズ・アンサリ氏については、デート相手の女性が性的暴行があったと主張。アンサリ氏は、完全に同意の上でのことだと思っていたと反応した。

映画のコメディ部門で主演男優賞を得た米俳優ジェイムズ・フランコ氏は、昨年秋まで経営していた俳優学校の生徒を含めた女性5人から、性的な問題行動を非難された。

フランコ氏は米テレビ番組に、「自分なりの言い分はあるけれども、これまで発言の機会がほとんどなかった人たちがこうして主張できるのは本当に大事だと信じているので、自分の言い分は控える。(女性たちが)発言するのは大事だと、それくらい強く信じているというわけだ」と話している。

フランコ氏は、自分の行動が話題の渦中にあった今月11日に開かれた米放送映画批評家協会賞の授賞式は欠席した。

今年の米アカデミー賞授賞式は3月4日、ロサンゼルスで行われる。

(英語記事 Casey Affleck pulls out of presenting Best Actress Oscar