2018年01月29日 15:35 公開

日本の仮想通貨取引所大手のコインチェックが28日、外部からの不正アクセスで流出した顧客の仮想通貨約580億円について、大半を返金すると発表した。

東京を拠点とするコインチェックは26日、流出した仮想通貨「NEM(ネム)」の保有者約26万人に対し、流出総額約580億円の約9割にあたる460億円超を、自己資金で返金すると約束した。

26日に不正流出が判明した後で同社は、NEMの損失額を評価するため、ビットコイン以外の全ての仮想通貨の売買や入出金を停止した。

流出したNEMは、ネットワークから切り離してオフラインで管理する「コールドウォレット」ではなく、常時ネットワークにつながっている「ホットウォレット」で管理されていたという。

同社は、NEMが送金されたデジタルアドレスを把握していると説明している。

日本では、仮想通貨での支払いを受け入れる店舗は1万店以上とされる。

2014年には同じく東京を拠点とする取引所「マウント・ゴックス」で、465億円分がネットワークから盗まれたことが判明し、マウント・ゴックスは経営破綻(はたん)した。

ういうハッキングだったのか

同社は発表文で、26日午前2時57分にハッカーの攻撃を受けたが、8時間半後の同日午前11時25分まで不正アクセスに気づかなかったと明らかにした。

同社の大塚雄介取締役によると、この間、コインチェックのNEMアドレスから5億2300万NEMが流出した。

大塚氏は東京証券取引所で記者団に対し、「検知した時点でのレートに換算すると、日本円で約580億円相当になる」と話した。

流出に気づいたコインチェックは次に、被害を受けた顧客数を確認し、ハッキングの出発点がが国内か国外かを調べたという。

大塚氏は、「(NEMが)送られた先というのは分かっています。そこを追跡し、そこからどこかに移っていきますので、そこでそれを把握さえできれば戻ってくるかもしれません」とも話した。

コインチェックは被害について、警視庁と日本の金融庁に報告している。

被害の影響は

NEMは時価総額で10番目の仮想通貨だが、米ブルームバーグ通信によると、NEMの時価は24時間で11%下落し、87セントになった。

ブルームバーグによると、ほかの仮想通貨では26日、ビットコインが3.4%、リップルが9.9%それぞれ下落した。

今回の被害額は、2014年にマウントゴックスが85万ビットコインを消失したとされた時よりも大きい。マウントゴックスはその後、古いデジタルウォレットに20万ビットコインが残っているのを発見していた。

マウントゴックスの破綻はデジタル通過の世界を揺るがした。日本ではその後、コインチェックのような仮想通貨交換業者の規制強化のため、金融庁の登録制度が導入された。

英ロンドンのADMインベスター・サービシズ・インターナショナルのストラテジスト、マーク・オストワルド氏はブルームバーグに対し、「どういう影響が長続きするのか? それは分かりにくい」と指摘する。

「日本は20カ国・地域(G20)の中でも、最も仮想通貨の取引に肯定的な国の一つだ。徹底的な取り締まりはしたくないはずだ。なので、日本の規制当局がそもそも反応するのか、反応するとしたらどう反応するのか、興味深い」

コインチェックとは

コインチェックは2012年、東京で設立された。昨年8月時点の従業員数は71人だった。

本社は、スタートアップ企業に人気の渋谷区にある。マウントゴックスも渋谷が拠点だった。

コインチェックは昨年12月、人気芸人の出川哲朗氏を起用したテレビコマーシャルところだった。

東京在住の佐藤邦彦さん(30)は共同通信に対し、この取引所に約50万円を預けていたと話した。

「日本では法整備が進んでおり、こんなことになるとは思っていなかった」と佐藤さんは話したという。

仮想通貨仕組み

法定通貨は国や中央銀行が発行するものだが、仮想通貨は「マイニング(採掘)」と呼ばれる複雑な手順で生まれる。「ブロックチェーン」と呼ばれる技術を使って、世界中のコンピューター・ネットワークから取引が監視される。

普通の法定通貨と異なり、大量の種類の仮想通貨が、主にオンライン上に存在している。

仮想通貨の価値は、どれぐらいの人が売買を希望するかによって決められる。

デジタル通貨というより、資産として考えた方が分かりやすいかもしれない。例えば仮想通貨ビットコインの保有者の大半は、投資家のようだ。しかし仮想通貨の匿名性は、犯罪者にとっても魅力的なものだ。

(英語記事 Coincheck promises 46bn yen refund after cryptocurrency theft