高橋学(立命館大環太平洋文明研究センター教授)

 1月23日午前、草津白根山が突然噴火し複数の死傷者が出た。たしかにこの噴火、直前まで噴火するような前兆はみられなかった。防災科学研究所のHi-net地震観測システムでは、むしろ日光白根山付近で微細な地震が集中していた。

 ただ、筆者は、草津白根山の噴火を2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)と関連すると考えており、地震後に噴火する火山として、草津白根山の名前を常に挙げてきた。なぜなら、世界で発生したプレート型の巨大地震の後には、必ずと言っていいほど火山の巨大噴火が起きているからだ。

 たとえば、2010年2月27日にチリ中部で起きたマウレ地震(M8・8)の場合、およそ半年後にプジェウエ・コルドン・カウジェ山が、2014年3月にはビジャリカ山、4月にはカルブコ山が巨大噴火した。2004年12月26日にインド洋大津波を引き起こしたスマトラ・アンダマン地震(M9・3)の3カ月後には、タラン山などが噴火している。

噴煙を上げる草津白根山=2018年1月23日(被災者撮影)
噴煙を上げる草津白根山=2018年1月23日(被災者撮影)
 また、2011年東北地方太平洋沖地震と似ている貞観地震(869年7月9日)では地震津波と判断される堆積物の上に、「十和田火山灰」(915年)、さらには中朝国境の白頭山で噴火した白頭山苫小牧テフラ(946年)が堆積しており、地震と火山噴火との間に関係があると推測できるのである。そのため、筆者は東北地方太平洋沖地震後に火山噴火の注意喚起を機会あるごとに行ってきた。しかし、日本列島では火山噴火があまりみられなかった。

 ところが、視野を広げカムチャッカ半島までみるならば、3年ほど前から、シベルチ山、クリュチュシュコア山、ベズイミアニ山、カンバルニー山、エベコ山など5つの火山が爆発的噴火を起こしている。2017年12月20日には、ベズイミアニ山が巨大噴火し噴煙の高さは上空1万5000メートルの成層圏まで達したのである。

 東北地方太平洋沖地震は、北米プレートの下に太平洋プレートがもぐり込んでおり、その圧力に抗して北米プレートが跳ねあがり発生したものである。地震前には北米プレートの摩擦で、太平洋プレートの移動速度は年間約10センチであった。これに対して、地震後には北米プレートの摩擦が減少し年間30~40センチへと速度を増した。しかも太平洋プレートは地下深くにおいて溶けマグマが大量に生産されている。