2018年02月02日 11:43 公開

米司法省と連邦捜査局(FBI)がドナルド・トランプ米大統領に反して偏っている証拠だとして共和党幹部がまとめた資料について、ホワイトハウスは2日にも公表する見通しとなった。ホワイトハウス幹部の話として、複数の米メディアが伝えた。

トランプ氏は機密扱いの資料の公表を認め、議会に送付する見通し。FBIはメモの正確性が疑わしいため、公表について「深刻な懸念を抱いている」と、ホワイトハウスの方針に反対する異例の声明を出している。

問題の資料は、米下院情報委員会のデビン・ヌネズ委員長(共和党)のスタッフがまとめた長さ4ページのメモで、司法省が外国諜報活動偵察法(FISA)にもとづく偵察活動権限を乱用し、大統領選のトランプ陣営関係者を不当に監視対象にしようとしたと書かれているという。ヌネズ議員はトランプ氏の当選後、政権移行チームに参加していた。

公表に前向きなホワイトハウスに対してFBIは31日、メモの正確性が疑わしいため、公表について「深刻な懸念を抱いている」と、ホワイトハウスの方針に反対する異例の声明を出した。

民主党は、ヌネズ資料はFBIによるロシア疑惑捜査の正当性を否定するのが狙いだと批判している。

ヌネズ資料を点検した複数の議員によると、大統領選のロシア疑惑に関するいわゆる「スティール文書」を根拠に、FBIがトランプ陣営関係者の盗聴監視許可を延長しようとしたと指摘する内容になっている。FBIが昨年3月にFISA裁判所から盗聴令状の延長を得ようとする際に、内容が立証されていない「スティール文書」がその根拠だと裁判所に伝えていなかったと、ヌネズ委員長は問題視しているという。

資料によると、監視盗聴の対象はトランプ陣営の外交顧問だったカーター・ペイジ氏。同氏は昨年11月、下院情報委員会に対し、2016年7月にモスクワを訪れた際にロシア政府関係者と面会したと証言している。

スティール文書は、ワシントンの調査会社「フュージョンGPS」が元英国情報部員のクリストファー・スティール氏に作成を依頼したもの。費用の一部は、ヒラリー・クリントン氏の陣営と民主党が出資した。

ロイター通信は匿名消息筋の話として、FBIが盗聴令状申請に使ったスティール文書の内容はいずれも、米情報機関が独自に確認しているので、ヌネズ資料は誤解を招くものだと伝えている。

「資料は書き換えられた」=民主党

民主党幹部は1日、ヌネズ議員をただちに下院情報委員会の委員長の座から解任する必要があると主張した。

民主党は、トランプ政権移行チームに参加していたヌネズ氏が、2016年大統領選のロシア疑惑について捜査を妨げようとしていると批判。ヌネズ資料が公表されればホワイトハウスはそれを根拠に、ロシア疑惑を捜査しているロバート・ムラー特別検察官や、ムラー氏を任命したロッド・J・ローゼンスタイン司法副長官を更迭するだろうと、民主党は懸念している。

下院情報委員会のアダム・シフ筆頭委員(民主党)はさらに、ヌネズ委員長が資料を書き換えたと非難している。シフ議員によると、共和党多数の下院情報委員会が1月29日に資料公表を可決した後になって、委員長が内容を一部書き換えてホワイトハウスに送付し、機密指定解除を要請したという。

これについて、加えられた変更は文法的なものと、FBIや民主党が要請した細かい修正に過ぎないと、匿名の共和党関係者は話しているという。

上院情報委員会のダイアン・ファインスタイン議員(民主党)は、共和党が「特別検察官の捜査を損なおうとしている」のは明らかだと述べ、「極秘機密を政争の具にしていいはずがない」と非難した。

なぜ司法省がホワイトハウスに反対を

FBIを所管する司法省は、ヌネズ資料の公表は、そのもととなったFBI資料作成に使われた機密情報や情報活動を危険に陥れる恐れがあると懸念している。

情報機関が連邦議会の議員に機密情報を報告するのは、それが公表されないという前提にもとづいているため、もしヌネズ資料が公表されれば、議会への機密情報共有手続きが今後は阻害される可能性もある。

トランプ大統領が前任者のジェイムズ・コーミー氏を解任後、昨年夏に指名したFBIのクリストファー・レイ長官は1日、もしヌネズ資料が公表されれば、反論を公表するつもりだと述べた。

(英語記事 White House 'to release' secret memo on FBI