ただ、不正アクセスで資産被害を受けるリスクは、仮想通貨のみでなくインターネットバンキングでも存在するという視点を忘れてはいけない。例えば、警察庁の被害集計によると、利用者のPCやスマホなどの端末をウイルス感染させることで、2016年は約17億円、1291件の不正送金があった。
記者会見を終え、退席するコインチェックの和田晃一良社長=2018年1月、東京都中央区(佐藤徳昭撮影)
記者会見を終え、退席するコインチェックの和田晃一良社長=2018年1月、東京都中央区(佐藤徳昭撮影)
 その前の2015年は約30億円(1495件)、2014年は29億円(1876件)の不正送金の被害が発生している。金額の規模は異なるが、今回の事件が特殊なわけでない。銀行などの預金残高の総額は約1000兆円であり、約17億円や約30億円の不正送金は預金総額の0・00017%~0・0003%にすぎない。だが、インターネットに接続する経路があれば、何らかの方法で、被害に遭遇するリスクが存在するのである。

 では、インターネットバンキングで不正送金の被害が発生したら、どう対応しているのか。全体の枠組みは、預金者保護法(偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律)と、法制定時の附帯決議に基づき、全国銀行協会が公表する申し合わせなどで実務が動いている。

 預金者保護法は、民法478条の適用除外として、金融機関に対し、預金者が不正送金などで受けた被害の補塡(ほてん)を義務付ける法律である。そこで、インターネットバンキングによる不正送金については、全国銀行協会の申し合わせで対応している。

 その結果、インターネットバンキングによる預金の不正送金に関する補償については、銀行無過失の場合でも預金者個人に過失がないときは原則補償することとしている。この財源の一部については、金融機関は損害保険会社が開発した保険(一定のセキュリティー対策を行うと保険料の割引がある)に加入することや共済制度の構築で対応し、残りの財源については金融機関自らの収益で賄っていると考えられる。