森 清勇(軍事ジャーナリスト、作家)
 (JBpressより転載)

 韓国で朴槿恵(パク・クネ)大統領の支持率が30%まで低下した。年頭記者会見では、日本側に姿勢の変化を求めながら、自からは変わろうとしない態度に終始した。

 また、大統領批判を封じるかのように名誉棄損の告発などを連発し、他方で経済の低迷化も危惧され始めた。国民の期待に添えない結果の支持率低下であろう。

 言論の自由が制約され、嘘と偽りが横行し、贈収賄が日常的と言われる韓国では、国民の40%以上が海外移住希望という、自由主義国家では稀有で異常な社会である。

 しかし、日本は韓国と断絶するわけにはいかない。そのために、韓国社会の現実を知り、かの国との付き合い方を考えることが不可欠である。

権力に蝟集する縁故社会


 韓国では権力に群がる横暴が目に余る。歴代大統領もその悪弊から逃れ得ず、ある者は亡命し、ある者は刑務所に入り、ある者は自殺するなど惨めな余生を送っている。

 また女性蔑視の社会で、朴氏は権力の最高位に就いた。高支持率を千載一遇のチャンスとみて、李朝時代の残滓を排除する社会改革の着手を提言した(「日本の安全と北東アジアの平和のための論考 朴大統領は、社会改革で韓国の救世主となれ」)。

 セウォル号事故が発生した直後には、事故の誘因に共通点が見られるとして、再度社会改革の必要性を喚起した(「セウォル号事件を引き起こした韓国社会の病巣 反日で日本を拒絶するより、社会改革に生かすことが先決」)。

 韓国は儒教社会で、孝の意識が強い。

 その中では「(儒教の)孝がもたらす一族至上の勢道政治」や「諸々の自由の制限」についても触れた。勢道政治とは権力を私し、自身や一族の蓄財、身内の優遇、さらには出身地域を繁栄させることに注力するなどである。

 韓国人の大統領批判などに対しても大統領府は頻繁に告訴している。主要国の首脳や国際機関、ならびに世界のメディアから「言論の自由封殺」として非難されているが馬耳東風である。期待する特異性の発揮どころか、同じ穴のムジナになりつつある。

 自由民主主義の国でありながら、李氏朝鮮時代の伝統なのか、社会因習に阻害されて権力の正当な行使さえできそうにない。国民は敏感に察知し、就任3年を残して支持率は30%台に急落してしまった。

財界も驕りと犯罪・汚辱まみれ


 JBpress「SKオーナー30億円、サムスンCEOは7億円 韓国で初めての経営者報酬公開で分かったことは?」によると、現代自動車会長約14億円、韓火会長約13億円、CJ会長約5億円、ロッテ会長約4.5億円などとなっている。

 韓国経済界を牽引していると言われるサムスン・グループでは非公開の会長や長男のサムスン電子副会長を除いても、4億円以上の役員が何人も列挙されている。

 日産自動車のゴーン社長の平成25年度報酬が9億9500万円で多すぎるのではないかと話題になったが、海外メーカーの役員報酬と比べると適正な水準ということに落ち着いた。

 ちなみに、トヨタ自動車社長は2億3000万円、ホンダ社長は1億5000万円であった。また日産社長以外の役員7人の報酬は合計6億5900万円である(「産経新聞」平成26.6.25付)。

 韓国では財閥上位10社がGDP(国内総生産)の70%を生むといわれる。韓国財閥の飛び抜けた報酬が、かつての両班同様に国民を虫けら同然に思わせるのではなかろうか。

 大韓航空の副社長がナッツの出し方が悪いと客室乗務員を叱責し、滑走路に向かっている機を引き返させて客室責任者を降ろす暴挙に出たうえに、嘘の証言まで強要した事件が「ナッツ・リターン」として裁判になっているが、珍しい事案ではなさそうだ。


 「週刊新潮」(2014.12.25号)には財閥企業創業者の2世、3世が起こしたスキャンダルが数多く列記されている。

 大韓航空に関しても、件の副社長の弟(現在は副社長)は2005年、自身が高級車で割り込みトラブルを起こす。

 その行為を叱責するため被害車の後部座席から孫を抱いて出てきた老女の胸を掴んで車道に押し倒し、後頭部打撲で入院させる乱暴を引き起こしている。

 その5年前には、車線規制違反で警察官の取り締まりを受けそうになり、警察官をひき逃げし公務執行妨害で立件収監されるが、間もなくして解放されている。

 会長夫人も、今回の娘同様に立場を濫用して空港で会社の職員を面罵し、周囲の顰蹙を買ったとされる。

真実が喋れない国


 以上は倫理観や躾の問題でもあり、家庭、学校、社会という各段階での教育に大いに関係している。

 呉善花(オソンファ)は、韓国は「世界有数の嘘つき大国」(『虚言と虚飾の国・韓国』)という。同書中のある知識人は「ウソの上手な国民を作るのが、国家の競争力を高める道だと勘違いしているようだ」と皮肉り、次の話を続けている。

 小学校3年生が先生にチェックを受ける「よくできた」日記帳と、「真実」の自分用日記帳の2つを持っており、嘘でもいいから表はきれいに飾りなさいという「外貌重視」の社会教育をしていると述べる。

 嘘を教え込まれた韓国の大衆(実は官憲?)は、正確なデータに基づく(韓国)知識人の言動も信じないで、逆に排斥しようとする。呉氏はその最たる者が「反日韓国に未来はない」など、歯に衣着せぬ発言をし、また書き続けて入国拒否されてきた自分だと語る。

 2004年に「慰安婦強制連行」を否定した李栄薫(イヨンフン)ソウル大教授は、罵声を浴びせる慰安婦の前で土下座して謝っている。

 同じく安秉直(アンビョンジク)ソウル大名誉教授は大高未貴氏のインタビューで「慰安婦の証言は全然ダメ」と語りながら、後日、そんなことは言っていないと前言を翻している。

 最新では、慰安婦問題で「偏った両極端の対立はもうやめるべきだ」という考えから、『帝国の慰安婦』を上梓した世宗大教授朴裕河(パクユハ)がいる。

 教授は慰安婦を帝国時代の(日本だけでなく世界中の)問題として、もっと広く考える必要があると提言するが、「日本」から目をそらすことになるとして、慰安婦たちから名誉棄損の批判を受け、損害賠償を求められている。

 「いまの韓国はおかしい」という声を上げてきた著名な韓国人19人にSAPIO誌が取材を申し込んだところ、作家の柳舜夏(ユスンハ)および金完燮(キムワンソプ)、元大佐池萬元(チマンウォン)、大学教授の崔吉城(チェキルソン)および呉善花、そしてブロガーのシンシアリー6人だけが応じている。

 残りの13人は、「喋ったら生きていけない」と断ったそうである。安秉直教授の翻意も「生きてはいけない」恐怖からであろう。

平然と成りすます


 お菓子や清涼飲料水などの嗜好品、自動車や玩具などのデザイン、ドラマやポップミュージックなどの娯楽、キャラクターの意匠登録、漫画やゲームソフトのコンテンツなどが剽窃され、もともと日本生まれが「韓国生まれ」として満ち満ちていると呉氏はいう。

 モノだけでなく、日本の領土である竹島も勝手に韓国領と言い張り、出店希望の家具販売店イケアには日本海を「東海」にしないと許可しないと脅迫する。

 グアム島にJTBなどの日本企業が支援して、1991年、防犯と地域交流を目的に「交番」が建設され、「POLICE」という文字が正面左側に掲示され、右側は空白であった。その空白部にハングル文字で「トウモン警察署」と掲示したのが近年見つかった。

 在留邦人らが副知事に撤去を求めると、韓国系米国人秘書が「日本企業が寄付すれば、もっと大きな文字を表示できる」との返事が来たという。
 「交番3か所と数台のパトカーは日本企業が寄贈したものだ」と訴えて撤去されることになったそうであるが、韓国人や韓国系米国人の動きは面妖で油断ならない。

 類似の悪質事案がフィリッピンでも起きていた。

 1997年、フィリッピン・レイテ島のパロ市に日本政府の支援で小学校が建設された。「日比協力」の印として校舎の側面に両国旗を挟んで、比国旗「比国-(協力)-日本」日章旗のように日比協力の文字があった。

 ところが、2014年6月下旬、台風の復旧支援を行った韓国軍が学校の屋根や窓を修理した後で、「日本」と「日章旗」を消去して比国旗「比国-(協力)-韓国」太極旗のように比韓協力に書き換えたのである。

 別の箇所に遠慮気味に書くならばともかく、日本と日章旗を消して上書きするところに韓国(人)の悪意が伺われる。開いた口が塞がらないとはこのことだろう。

言いがかりで聞く耳を持たない


 ジョージ・アキタは『「日本の朝鮮統治」を検証する』で、韓国人あるいは韓国系米国人研究者や歴史家などの成果も引用しながら、国際社会的に見て日本ほどいい政治をやった国はない。諸外国がやった植民地経営とは全く異なり、国内と同様に差別なく行っていたと評価している。

 しかし、先述のように、学校では日本がいいことをやるはずがないと教え込まれ、正しい歴史観の披瀝は言論弾圧や物理的暴力などで押さえつけ、聞く耳を持たない。

 従って、日本(人)がやったいいことは、ほとんど韓国(人)がやったように書き換えている。要するに日本は悪いことばかりやってきたと烙印を押そうという悪意ばかりが目立つ。

 台湾統治も参考にしながら、実際は韓国の文化や国民性などに寄り添った統治を行っている。ただ、それ以上に華夷秩序にどっぷり浸かった李朝が残した国民性の影響が大きく、成りすましなどが平気で行われるのであろう。

国交正常化時の請求権について、法律論的には朝鮮は大日本帝国の一員であったので請求権の権利は発生しないという見解や、双方に請求権があるとする見解などがあった。

 双方に請求権があるとみた場合、日本からの援助が差引プラスになるとみられた。それ以上に、李朝の残滓を改革した功績は金子で計量できないほど大きかったともみられるが、相手は改悪としか見ないので交渉のテーブルにさえ上げえなかった。

 李承晩初代大統領は4億ドルで決着すれば大成功とみていたとされ、当時の野党は27億ドルを主張し、朴正煕大統領時代に8億ドル(韓国GDPの2割相当)を日本が供与することで決着した。これが「漢江の奇跡」をもたらしたが、もちろん相手は認めようとしない。

おわりに


 韓国は国家ぐるみで、日本痕跡の排除と日本騙しを続けていると言える。総督府の建物は併合時代の残滓として破壊した。ならば形而上でさらに大きな影響を与えたであろう京城帝国大学(現ソウル大学)の破壊こそが韓国人がやるべき第一ではなかったのか。

 平昌冬季五輪の日韓共催論が一時出てきた。会場整備の遅れや大会組織委員会が財政難で苦慮していることなどを危惧した国際オリンピック委員会が、複数国での「共催」を容認した結果である。

 善意が悪意に変換される韓国であり、河野談話の二の舞を演じてはならない。支援の手を差し伸べるのにやぶさかであってはならないが、大統領の言行さえ平気で反故にする韓国である。

 日韓は地勢学的位置関係から、お互いを必要とする関係にある。善意などという情緒ではなく、韓国の政治・社会の現実に立脚した対処こそが前進のカギである。