山本一郎です。暑がりの私ですが、家内がユニクロで新しいヒートテックを子供たちに買ってあげているのを見ているだけで汗疹が出てきそうな勢いです。

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長
 ところで、以前ユニクロが労働争議その他で揉めた件を記事にした媒体を名誉毀損で訴える話があり、最高裁までいったのに勝てずに「ブラック企業・ユニクロ」としてお墨付きがついてしまう、という事件がありました。

 その後、ユニクロも企業姿勢を転換し、さすがの柳井正社長も外向けの物言いがかなりマイルドになったように感じます。企業の社会的責任、というと堅苦しいですが、ビジネスで利益を上げることが企業の使命とはいえ、そこで働いているのは国民であり、国民の働き方を規定する法律を遵守する姿勢がなければフェアな競争とは言えず、結局は風評を落としてビジネスに悪影響が出るしっぺ返しを喰らう、というシステムができているわけであります。

ユニクロ・柳井正会長はモノの言い方を考えないのか
ユニクロ敗訴で裁判所公認のブラック企業に

 日本ではユニクロもいろいろ考えて軌道修正を図っているのだなあと感心していたら、最近になって、弁護士で人権問題に極めて造詣の深い伊藤和子女史が率いるヒューマンライツナウという団体が潜入調査でユニクロの中国での下請工場の凄まじい実態を暴露。もちろん、これはユニクロを運営するファーストリテイリングの下請けでの話であり、そのまま直接ファーストリテイリングの蟹工船ぶりが問題だというわけではありませんが、伊藤女史の記事では真正面から「海外下請け工場はブラックボックスでよいのか」を問うておられます。

ユニクロ: 潜入調査で明らかになった中国・下請け工場の過酷な労働環境

 慎みのある消費者であれば、いかに「良いものを安く」が理想であるとしても、それがどうして実現できるのかに思いを致せば何らかのカラクリがあることは想像に難くありません。テクノロジーの進歩が激しくなり、IoTだ、ビッグデータだと言っている割に、足元の生産においてはいまなおこのような問題が見えないところで放置されているという現実をどう考えるのかは、読者それぞれに委ねられているのでありましょう。

 また、ユニクロを率いるファーストリテイリングだけを悪者にしても始まらないことであって、何かうまく落としどころを考えられるような方法はないのだろうかと思案してしまいます。その抑圧が国境を越え、下請け構造の中に埋もれているとき、どのようにして私たちは問題を見つけ出し改善することができるのでしょうか。