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    石原慎太郎はなぜ追い詰められたのか

    東京・築地市場の豊洲移転をめぐる小池百合子都知事と石原慎太郎元知事の因縁バトルがヤマ場を迎えた。きょう都議会百条委員会に喚問される石原氏の発言にも注目が集まる。今や向かうところ敵なしの「小池劇場」。とはいえ「モノ言う知事」として存在感をみせた石原氏は、なぜここまで追い詰められたのか。

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    石原慎太郎の「失敗」を小池百合子が裁く権利はあるのか

    体)のうちのひとつに、東光電気工事が参加している。これは落札業者の役員と議員を兼業することを禁止する地方自治法第92条の2項に抵触する。 ただ、これは要件が厳しく、判例では受注額がその法人の売り上げの主要部分を占める場合となっているので、その点については難しいかもしれない。とはいっても、それは議会で議論すべきだし、百条委員会でその問題を追及するべきですね。とにかく議題に乗せないことはおかしい。内田氏こそ百条委員会に呼ぶべきですよ。 思い返せば2007年5月、都知事だった石原慎太郎さんから副知事になってくれと頭を下げられ、作家の大先輩の頼みであり、引き受けた。そのときの私はまだ都庁が「伏魔殿」と呼ばれる理由を知る由もなかった。 副知事は事務方のトップで役人の最終ポストだったため、民間出身の私を受け入れることに都議会自民党は猛反発していた。内政に関わる権限を外すことで都議会の承認が得られた。私ができることは政府との折衝と「その他知事の特命事項に関すること」に限定され、手かせ足かせをはめられた状態でのスタートでしたね。内田茂と朝日新聞の関係 私と内田氏の因縁の始まりは、副知事就任直後の夏に断行した参議院の議員宿舎建設の中止です。紀尾井町の森をつぶして豪華な宿舎を新たに建築する必要性を感じなかったのです。でも、そこは内田氏の本拠地の千代田区。この一件で内田氏の怒りを買うことになってしまった。  東京都選出の自民党の国会議員や都議会議員、区議会議員の公認権は都連幹事長だった内田氏が握っており、さらに都政において問題なのは、内田氏と役人が知事に話をする前に実体として物事を決めてしまっているというブラックボックスが日常化していた。  それから石原さんは右、朝日は左という単純な図式で、朝日新聞はイデオロギー的に石原さんが嫌いで、批判を頻繁にやっていた。批判記事を書くため朝日新聞はどこに取材に行くかというと内田氏のところであったりする。内田氏はいい情報をくれる取材ソースだったのです。 私の徳洲会問題は朝日が火をつけた。お金を借りて返しただけなのに、贈収賄だとやられた。あとでそうじゃないとわかるんですけど、炎上した。背後にどういう勢力がいたのかわかるでしょう。「内田茂氏が生き延びていく可能性はある」(瀧誠四郎撮影) そんな内田氏を白日にさらすきっかけとなったのが、昨年7月に行われた都知事選の告示前日に「NewsPicks」(ニュース共有サービス)で掲載された私のインタビューだった。その中で私は2011年7月1日に自殺した自民党都議の樺山卓司氏の遺書を明らかにしたんです。その遺書を見れば、内田氏からいじめを受けていたことがわかります。 選挙中ということもあり、中立公平の立場から新聞と地上派テレビは取り上げなかった。ただ、いわゆる「後追い」だけど、日刊ゲンダイと夕刊フジがこの問題を取り上げ、さらに投票日の3日前に週刊文春が「都議会のドン 内田茂『黒歴史』」とスクープを出して、ぎりぎり間に合った。 こういった報道の後押しもあって知事選は小池百合子氏の圧勝に終わり、今年2月に千代田区長選で大敗した内田氏は自ら次の都議選に出ないことを表明した。これで内田氏は終わりだと思った人も多いと思うけど、実は政界引退はきっぱり否定しているんですよ。 今回、都議選に負けそうだから出ないと言っているが、今年7月の選挙で「都民ファーストの会」が勝ったとしても、自民党はなくなるわけじゃない。4年後の2021年の都議選で再び自民党が盛り返し、生き延びていく可能性だってあるわけです。2009年の選挙で内田氏は落選したのですが、都議会に個室までもって都連幹事長を続けていたのですから。政治のアイロニーをわかっていない 私は常に「闇に棲むものは光を照射すると力を失う」と言ってきましたけど、まさに内田氏は「都議会のドン」として白日にさらされ、確かに力を失ってきている。ただ、本当の意味で光が当たっているとはまだ言えないんです。 こういった内田氏のことを問題にせず、築地市場の豊洲移転を決めた当時の知事として、石原さんが百条委員会の証人喚問に出頭することになった。土壌汚染や東京ガスの瑕疵担保責任の問題がピンポイントで話題になっているけど、そもそも築地は耐震設計もできていない。また、老朽化やアスベストの問題もあり、施設として限界があったから豊洲移転が模索されたわけです。「石原さんのように大胆なことを言ってしまうのが政治家として一つの面白さ」(瀧誠四郎撮影) 百条委員会に石原さんが呼ばれています。多少の問題はあっても、新しい事実は出てこないでしょう。 確かに石原さんは変わったリーダーシップを発揮する人です。東京オリンピックを取ってくると無謀なことを言ったのはあの人でしょ。石原さんのように大胆なことを言ってしまうのが政治家として一つの面白さじゃないかな。 当時、石原さんは1回目で五輪をとれると信じていたようだけど、私は招致活動をやってわかったが、1回目じゃ絶対取れない。でも、石原さんが1回目に札を出していたから2回目に勝負ができた。誰かがリスクをとってやっていないと2回目のチャレンジで勝てなかったんですよ。 それは非常にアイロニーなんだけど、政治家というのは、やったことが正しかったか、正しくなかったって言う評価は、ずっと後にならないと分からないことが多い。 たとえば、三重県の北川正恭元知事。シャープの亀山工場を誘致したのは北川さんなんだよ。あのときみんな喝采して、私もすごいと思ったけど、結果的にシャープはダメになった。だからといって北川さんを批判してもしょうがないし、あのときは正しかったわけでしょう。 石原さんの新銀行東京も失敗は失敗なんだけど、チャレンジした。銀行が貸し渋りで公的なものをつくらなきゃというのは間違いではなかった。当時のメディアの論調も好意的でした。議会も承認しています。失敗は失敗だけどチャレンジはチャレンジ。政治というのは過去をさかのぼってあれやこれや批判すると、チャレンジする政治家なんていなくなってしまうし、それはマイナスでしかない。 司馬遼太郎が、その時の状態のさまざまな因子を除外して未来から見下ろすことで「歴史を粘土細工にするな」と述べているように。(聞き手 iRONNA編集部、川畑希望/津田大資)いのせ・なおき 1946年長野県生まれ。89年『ミカドの肖像』で第18回大宅壮一ノンフィクション賞。2002年6月末、小泉純一郎首相より道路公団民営化委員に任命される。東京大学客員教授、東京工業大学特任教授などを歴任。2007年6月、東京都副知事に任命される。2012年に東京都知事に就任、2013年12月、辞任。主著に、『ぺルソナ 三島由紀夫伝』『ピカレスク 太宰治伝』『道路の権力』『道路の決着』(文春文庫)、『昭和16年夏の敗戦』『天皇の影法師』(中公文庫)、『猪瀬直樹著作集 日本の近代』(全12巻、小学館)。最新刊は『東京の敵』 (角川新書)

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    小池劇場の「真犯人役」が石原慎太郎でなければ絶対にダメな理由

    推移しているが、対象にする大都市東京、都民の内部構造には大きな変化が起き始めている。都政はあくまでも地方自治体として「都民の生活を守り、現在抱える不満や将来への不安を解消する」のが仕事だ。そこをはき違え、国政の先行指標だといって浮足立ち、目立つことばかりに目が行くような都政運営は間違っている。そうした都政は長続きしない。70年の都政の歴史がそれを証明している。石原都政が残したもの 今の状況で切り取って石原都政の豊洲問題の扱いにレッテルを貼れば、無責任都政だといった評価が受けるかもしれない。しかし、それは石原都政への正当な評価とは言えまい。筆者は何も石原都政を持ち上げる積りはないが、戦後都政の中で筆者の知る限り美濃部、鈴木、石原の3知事は歴史の中で大きな仕事をした都政だと見る。長々と書く積りもないが、例えば石原都政の1、2期目は非常にインパクトのある、国政も揺るがす仕事をした。石原慎太郎元東京都知事(中央)=2017年3月、東京・内幸町の日本記者クラブ 1999年発足の石原都政最大の課題は、財政をどう立て直すかだ。自らの知事給与1割、ボーナス5割カットを打ち出し、「聖域なき見直し」による事務事業の大幅整理、区市町村への事務移管、貸借対照表の作成、都有財産の売却など財政再建のための改革を徹底、職員給与4%カットや公共料金の値上げも断行した。ミスター行革の異名を持つ鈴木俊一氏の「減量型の量的改革」とも違い、石原行革は「事業仕分け、質的改革」と言えるもの。 それでも1年目は881億円の赤字が残る。さらなる内部努力、施策の見直し、歳入の確保、銀行税の創設などの改革を進め、1期目の終わる2003年4月に財政再建目標の8割を達成し再選に臨んでいる。石原改革で財政再建団体への転落を免れたことが一番大きく、強いリーダーシップによる改革への期待が石原再選へつながっていく。その後も行革の手を緩めず、職員2万人の削減が福祉有料化など大胆な福祉改革に取り組み、財政再建を成功させている。 石原氏の売りは①銀行に対するNO、②ディーゼル車に対するNO、③横田基地にNO、④首都機能移転にNOという「4つのNO」だった。これは銀行税(銀行に対する法人事業税の外形標準課税)の創設、千葉、埼玉、神奈川を巻き込んでのディーゼル車排ガス規制、首都機能移転は「歴史への冒涜」と国会へ乗り込み、都営地下鉄などあらゆる都の施設へ反対キャンペーンのビラを張り巡らし、遷都を阻止した。この中に、豊洲移転の公約は入っていない。石原氏が「豊洲移転は以前から都政の既定路線だった」、その継続のなかで「用地買収の時期に当たった」という氏の説明は正しい。   石原氏は政治的に解決すべきテーマを都知事の役割とし、継続的で行政的なテーマは副知事以下官僚組織に委ねるという、知事が果たすべき役割を自分なりに分けている。政治的イッシューの解決が都知事の仕事という考え方で、これはこれで正しい考え方である。行政の個別具体の事務事業に微に入り細に入り関わり、下に任せず、逐一報告を受け指示をしないと気が済まないタイプの社長だと大会社の社長は務まらない、組織の総力を引き出せないとの考え方だ。この点は何でも関わらないと済まないタイプの小池氏とは違う。 もう1つ、石原都政が積極的に取り組んだのは小泉政権と2人3脚で進めた都市再生だ。不良債権処理が国政のテーマでもあった当時、大幅な規制緩和と金融緩和で都心集中政策を展開、土地の値段を上げることで銀行の不良債権処理を支援した。東京の再生が日本の再生につながると、00年12月に「東京構想2000―先客万来の世界都市をめざして」を発表。その構想は、従来の都内のみを対象とせず、東京圏全体を視野に入れた環状メガロポリス構想。東京圏を7つのゾーンにわけ、それぞれの役割を明示している。石原の都市再生は、小泉内閣のいう都市再生と不即不離の関係にあった。 3期目の公約は2016五輪の招致。これは準備に相当のエネルギーを注いだが、リオに敗れた。「帰りの飛行機で泣きました」のセリフを吐いた石原氏だったが、五輪招致のたいまつは消さず、2020五輪招致へと導いている。その中でいまの都政が動いている。「あおぞら都政」を作り出した小池氏 これと較べ、小池都政は発足から1年足らずなので評価はむずかしいが、期間限定でいうなら、この間の活躍ぶりは大変なものだった。昨年6月までの舛添都政とは全く違う、透明度の高い“あおぞら都政”をつくり出した。豊洲市場の移転中止、五輪施設の経費見直し、都議会の政党復活予算廃止など、様々な問題を提起しオープンな議論を進めた。 この7月に行われる都議会選挙も早々から話題にし、現在都議会で多数を占める自民党を大きく切り崩そうとの動きを強める。これまでの自民党都連をブラックボックスと呼ぶなど、既存の体制を批判し、その改革に挑む小池氏の姿に多くは拍手を送ってきた。 これまでの取り組みで一番評価できるのは、政策の決定過程を公開するなど「都政の見える化」を図ってきたことだろう。負の遺産とも思える都政の「閉じた体質」、例えば豊洲市場の盛り土問題について、事実と違う説明をし続けてきた。こうした隠ぺい体質を無責任体制と呼び、幹部職員を処分し、丁寧に事実を説明するなど、「問題提起型」の都政として成功してきたと言えよう。定例会見で説明する小池百合子都知事(菊本和人撮影) 17年度に向け待機児童の解消へ手を打ち、国際金融都市をめざす有識者会議も立ち上げ、無電柱化に向けた条例化。予算編成でも既存の事業にメスを入れる一方、私立高校無償化など新たな施策にも手厚くカネを配分している。東京都に必要なのは、「既得権益や慣習に囚われることなく、まさに都民ファーストの考え方で都政運営を行うことだ」と第1定例会で政治信条を披歴するなど、絶好調の様相で小池都政は動いている。  しかし、問題はこれからだ。都民ファーストと言いながら〝メディアファースト〟ではないか。都政の「見える化」というが、知事の活動を“見せる化”しているだけではないか。いろいろ批判もある。基本的に言うなら、これまでの問題提起型の都政から問題解決型の都政にいつ切り替えることができるかだ。もし本格的に「東京大改革」を旗印に一定期間小池都政時代をつくろうとするなら、問題とすべき領域は大きく3つある。 第1は、「都政の体質改善」を進めること。これはすでに小池知事が先頭に立って都政改革本部を立ち上げ、改革の1丁目1番地として取り組んでいる領域だ。情報公開ひとつ見ても「のり弁」(黒塗り)と称される秘密体質が蔓延し、役人の・役人による・役人のための行政運営がはびこっている。この実態は都民ファーストから程遠いものだ。小池氏は真の「東京大改革」に挑めるか 五輪施設の計画も含め、各事業に高コスト体質が見られ税金の使い方に対する「甘さ」「たるみ」がみられる。肥満体質とまでは言わないが、少なくも最小の費用で最大の効果を上げる改革努力が各分野で欠落している。この15年間、都政に行革のメスは入っていない。ここを問題視し、小池都政が都民ファーストの視点から都政改革に取り組むなら、ひとつの歴史的な役割として大いに期待される。 第2は、「都政本来の政策推進」を加速すること。金融都市など経済都市づくりも重要だが、同時にこれまで例のない「老いる東京問題」の解決に立ち向かうことだ。生活都市づくりの視点から格差、貧困、医療、福祉、介護、子育て支援を強化する、古くなった道路、橋、上下水、公共施設など都市インフラをどんどん更新するなど、生活者の不満、不安を解消する手立てを積極的に講じていくことだ。「真の東京大改革」はこうした政策の大転換を図ること、これが改革の本丸ではないか。各界を代表する有識者も交え「都政政策改革戦略本部」を創設し、都庁官僚とタイアップしながら強力な政策推進体制をつくる、これを都民が一番期待しているところだ。 第3は、「東京の都市内分権」を進めること。とくに1300万都民の3分の2が暮らす23特別区を基礎自治体として強化する観点から都の権限を区に移す都区制度改革を進めることだ。児童相談所を特別区に設置すべきとの政府方針が既に出ているが、都は児童相談所ひとつ移管に応じようとしない。これは一例だが、基礎自治体としての地盤強化を求める分権化の領域は広範囲に及ぶ。この改革は小池氏の政治的リーダーシップが不可欠だ。 現段階でいうと、上述の3つの「東京大改革」のうち、小池氏が熱心なのは第1の都政大改革だ。猪瀬、舛添都政と「政治とカネ」で失敗した都政が生んだ「閉じた体質」。これを大転換しようというのはひとつの見識だが、現実の大都市はどんどん変化している。いつ襲われるかも知れない首都直下地震への防災対策を含め、広範な都市問題解決に切り込んでいく姿が欲しい。小池氏は第2、第3の領域にもっと力を注ぐべきではないか。舛添要一元都知事(山崎冬紘撮影) さらに東京は単独で成り立ってはいない。東京圏はひとつだ。この先もっと広域の観点から埼玉、千葉、神奈川とスクラムを組み、環境、防災、交通などの広域政策を展開したらどうか。東京大改革が「東京圏大改革」に進化していくなら、歴代都知事とは違う都政になるのではないか。当面、2020五輪に向けた準備を加速する必要はあるが、石原都政に対抗する意欲を持って小池都政を本格軌道に乗せて行こうとするなら、犯人探し都政を続けるとか、負の遺産処理に汲々とするだけでなく、いま述べた「真の東京大改革」を強力な体制を組んで進めることである。 大組織の社長は大組織にふさわしい振舞い方がある。東京の大問題には「大都知事」として取り組んで欲しい。わが国初の女性都知事の誕生である。そのよさと都民の期待を最大限生かした大都政がこの先、実現していくことを期待したい。

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    小池百合子はつくづく運の良い政治家だと思う

    川上和久(国際医療福祉大学教授) 「小池百合子都知事は運がいい政治家だ」などと言ったらご本人は怒るに違いない。 「政治家は、運を引き寄せるような迫力と実力、胆力の三拍子がそろってないとダメなのよ」 今、小池知事の迫力と実力、胆力を周囲は驚嘆のまなざしで見ている。 思えば、小沢一郎氏は、1993年、宮沢内閣の不信任決議案可決の立役者となり、羽田孜氏らと自民党を飛び出して「新生党」を結成、7月18日に投開票された第40回総選挙で、55議席を獲得し、衆議院第3党に躍り出た。 このとき、小池氏は、「改革派」のもう一方の雄である日本新党で参議院から衆議院に鞍替え出馬、当選を果たしている。自民党は223議席と、過半数割れの屈辱を味わった。小池氏の目に、このときの小沢一郎氏は「運を引き寄せた迫力と実力・胆力の持ち主」と映ったのではないか。 時は巡り、小池氏自身はいくつかの政党を経て自民党に移籍し、小泉純一郎首相の「郵政民営化選挙」を自民党の議員として経験する。2005年8月20日、郵政解散で小池百合子環境相(右)とともに遊説する小泉純一郎首相=兵庫県伊丹市 郵政民営化は、当時はまだ全国特定郵便局長会が大きな力を持っており、自民党の集票マシンを破壊する行為でもあり、リスクだらけの政策だったが、小泉首相は前々からの持論を実現しようと、2005年に郵政民営化法を衆議院での可決にまでこぎつけるも、参議院で否決。すると小泉首相は、「郵政民営化の是非を問う国民投票」の位置づけで衆議院を解散、自民党は郵政民営化に反対した候補を公認せず、「刺客」を送り込むなどして「劇場型選挙」を展開し、296議席を得る大勝利を手にした。 このとき、もともと兵庫6区が地盤だった小池氏は、郵政民営化に反対する小林興起候補の「刺客」として東京10区に鞍替え出馬し、小林氏を破って小選挙区で当選する殊勲をあげる。ここでは、「運を引き寄せた実力の持ち主」、小泉首相のケンカ戦法の迫力・胆力が乗り移ったかのような一番槍の働きぶりだった。 小泉内閣で環境大臣、第1次安倍内閣で防衛大臣を歴任し、2008年には女性として初めて自民党総裁選に候補として名乗りを上げ、2010年には谷垣総裁のもとで女性初の総務会長を務めるなど、スポットライトを浴びたものの、安倍政権の下では、石破茂氏との近さが疎んじられたともいわれているが、ポストに恵まれない状態が続いていた。 そんな小池氏にとって、舛添要一前知事の辞任は、可能性を開く千載一遇のチャンスだったろう。小池氏が利用した都議会自民党を叩けるふたつの手段 1993年に小沢氏らが作り出した「守旧派vs改革派」の対立図式、2005年の郵政民営化選挙で小泉首相が作り出した「郵政民営化反対派vs賛成派」の対立図式そのままに、「都議会はブラックボックス」と「都議会自民党vs小池」の対立図式を見事に作り出し、内田茂都議を「都議会のドン」とレッテル貼りして悪の権化にしてしまった。 その都議会自民党を象徴的にたたける手段として小池氏が目を付けたのが東京五輪の経費問題、そして築地市場の移転問題だ。豊洲市場(手前)=東京都江東区 築地市場の豊洲への移転は、いったん立ち止まって考え直す。水質モニタリングの最終結果を待つ。この選挙公約は、大きなハレーションを巻き起こした。豊洲市場への移転期日まで決まっていたのに、移転を準備していた市場関係者の怒るまいことか。 しかし、築地市場の移転を延期すると表明した小池氏が、290万票以上の得票で圧勝し、都知事の座に就くと、8月31日には、11月7日に予定されていた築地市場の豊洲新市場への移転延期を決めた。その理由について、(1)豊洲新市場の安全性への懸念、(2)新市場移転にかかる巨額かつ不透明な費用の増加、(3)情報公開の不足をあげた。 小池知事は延期決定の記者会見の場で「来年1月に発表される地下水モニタリングの結果を確認し、豊洲新市場の施設や事業の継続性などを検討する、市場問題プロジェクトチームの結果が出た後に決める」と発言したが、もし、このまま豊洲新市場に何の問題も起きなければ、「補償だってバカにならない、税金を無駄に使った」と集中砲火を浴びたろう。 しかし、豊洲新市場に本来されていなければならなかった盛り土がされていなかったことで、小池知事は運を引き寄せる。豊洲新市場の安全性への懸念は増し、加えて地下水のモニタリング調査で、第1回から第8回の調査では問題がなかったのに、第9回の調査では基準値の79倍ものベンゼンが検出されるなど、「小池知事でなければ、そのままになっていたけど、やっぱり小池知事の判断は正しかった」と圧倒的な支持を得続け、「都議会のドン」内田氏の地元、千代田区長選が折よく2月5日に行われ、小池知事が支援する現職の石川雅己区長が、内田氏ら都議会自民党が担いだ与謝野信候補をトリプルスコア以上の差で一蹴した。「vs都議会のドン」から「vs石原」への入れ替えに成功 内田都議は、都庁に人脈を張り巡らし、良く言えば都政の継続性に腐心し、悪く言えば、たとえどんな都知事が誕生しても、そのパワーで都知事を蹴散らしてきた。その「ドン」も、2月25日、ついに都議選への不出馬を表明。都議会自民党を「仮想敵」にしてきた小池知事にとって、内田都議の不出馬、都議会自民党との政策的な面での協調、ということになっては、都議選に向けて敵がいなくなってしまう。「向かうところ敵なし」は、裏を返せば劇場政治の終焉を意味する。 そこで目を付けたのが石原慎太郎元知事だ。2012年5月に築地市場の業者らが都を相手取り東京地裁に提訴した住民訴訟。土壌汚染が確認されたのに、その汚染対策費用を適正に見込まない価格で、石原氏が東京ガスと豊洲市場用地の売買契約を結び都に損害を与えたとして、石原氏に土地取得額約578億円を請求するよう都に求めている。自宅前で記者団の取材に応じた石原慎太郎元都知事=2月20日、東京都内 これまでは石原氏に賠償責任は存在しないとの立場を取ってきたが、1月20日、小池知事はこの対応方針を見直し、事実関係や責任の明確化は適正な都政運営に不可欠だと説明し、都の弁護人も入れ替えた。 ここに至ると、過去の経緯をつまびらかにする必要性を感じないではないものの、都議選に向けて腰が引けた都議会の各会派が百条委員会設置に雪崩を打ち、「石原vs小池」の対立図式が、「都議会のドンvs小池」から見事に入れ替わって喧伝される構図を狙ったのではないかという見立てが自然だろう。 この対立図式、どうなるのか? 石原氏は「週刊新潮」のインタビューに応じるなどして、石原氏が知事に就任した時に、既に豊洲移転が既定路線になっており、築地の現状を鑑みると、豊洲への移転が唯一の選択肢だったと主張している。 その主張は、3月3日の会見でも繰り返された。自らの責任について、認め方が中途半端だったとの批判も多いが、練りこまれた想定問答で、「記憶違い」と言いながらも、小池知事と蜜月関係の前川練馬区長にメディアの焦点を当てさせたり、築地市場の汚染の問題にメディアの焦点が当たるなど、今度は議論をリードしていこうとする構えだ。 売られたケンカを買った石原氏。3月20日に予定されている百条委員会でもこの主張は繰り返されるだろうし、行政の責任者としての政策判断に、損害賠償責任まで負わせようというのは、前例がないわけではないが、強引に過ぎないか、と眉をひそめる向きもある。「進むも退くも地獄」の豊洲問題をどうする 「豊洲移転をするかしないか、業者への補償をどうするかが本筋なのに、過去の経緯に拘泥して石原氏まで百条委員会に引っ張り出すのは都議選目当てのパフォーマンスではないか」という批判もメディアで目にする。 もし、3月に行われる地下水モニタリング調査で引き続き地下水の基準値以上の汚染が確認された場合、豊洲移転が本筋と主張する石原氏との違いはより鮮明になる。都議会の予算特別委員会に臨む小池百合子都知事=3月15日、都庁(酒巻俊介撮影) 焦点は、「進むも地獄、退くも地獄」の豊洲移転問題に、政治リーダーとして小池知事がどのような判断を下すかだ。第9回の地下水モニタリング調査の結果を待って豊洲移転の時期を決めていく方向を示唆した小池知事だが、基準値以上の汚染を知り、石原氏らの追及に舵を切った。 築地市場の移転問題を都知事選の争点にし、盛り土問題、地下水の汚染問題で強運を引き寄せた小池知事。だが、石原氏の主張通りに豊洲新市場への移転を決めれば、「やはり豊洲しかなかった」と移転派が凱歌をあげることになり、豊洲新市場移転を取りやめれば、代替案をまとめ、コストも含めて都民の納得いくように示していかなければならない。築地市場の汚染問題もクローズアップされている。 石原氏の記者会見、百条委員会の経緯を見ながら、小池知事はどのような決断を下すのか。「安全と安心をごちゃまぜにしている」「決められない政治家」という石原氏の挑発にどうこたえるのか。 3月に入り、メディアの報道は金正男氏暗殺、そして森友学園問題にシフトしてきている。自民党にとっては、都議選に悪影響を及ぼすとはいえ、国政レベルで森友問題が過熱するよりも、「小池vs石原」の対立図式で少しでも森友学園問題から目をそらしたい思惑も垣間見える。となれば、小池知事はここでも運を引き寄せた、といえよう。都民ファーストの会と公明党の都議選での選挙協力も、森友学園問題の前でかすみがちだ。 ここまで、迫力と実力・胆力で運を引き寄せてきた小池知事は、どこへ行こうとしているのか。東京五輪の経費問題はひとまず休戦の気配だが、豊洲新市場への移転問題に関しては、都議選に向け、小池印を求めて小池知事の決断に都議会自民党以外の各会派が抗う可能性が低い中、「都民ファースト」の真価が問われることになる。

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    小池さん、あまりやり過ぎると昭恵夫人の二の舞になりますよ

    八幡和郎(評論家、徳島文理大教授) 東京都知事選挙の戦い方を見て、「小池百合子は女義経だ」と私は評した。あの見事な戦い方は相手にとって手も足も出ないものだった。 小池氏に勝てる候補がいるとすれば、「桜井パパ」こと桜井俊前総務省事務次官だけだっただろう。石原伸晃・自民党東京都連会長が桜井氏に要請し、桜井パパは固持しつつ断定的には拒否せず様子見をする。そして、安倍首相か菅官房長官から要請されて、しぶしぶといった風情で受けるのだろうと私はみていた。 ところが、その会談の直前に小池さんは記者会見を行い立候補を宣言した。そうなれば激しい選挙戦になるので、息子への影響を考えた官僚の桜井氏は、断定的に要請をシャットアウトしたのである。 そうなれば、増田寛也氏や鳥越俊太郎氏がどんなに足掻こうが「勝負あり」だった。鳥越氏のスキャンダルは、次点が鳥越氏から増田氏に代わっただけでしかなかった。もし、当初の予想通り、鳥越氏が対抗馬という情勢だったら、それを回避するために保守票が小池氏に集中して増田氏が泡沫候補化しただけのことだろう。都知事選の立候補予定者共同記者会見に出席した(左から)小池百合子氏、鳥越俊太郎氏、増田寛也氏=2016年7月13日、東京都千代田区(三尾郁恵撮影) なぜ小池氏を「源義経」と評したかといえば、一ノ谷の戦いで義経は、福原に陣を敷く平家を大軍が通れるとは想定のなかった背後から攻めた。そうなると、平家は手も足も出せずに完敗を喫した。その後、平家は屋島でも壇ノ浦でも、どうやったら活路を見いだせたか見当もつかなくなってしまったのである。 小池氏もまた、練りに練った作戦を考え、一の矢が失敗しても二の矢も三の矢もあるという状況をつくりだし、これまで想像もできなかった高度なメディア戦略を編みだし、勝利を収めた。もう本当にほれぼれとするようなハンサムな戦いぶりとしか言いようがない。 ただ、源義経は戦いには勝ったが、後白河法皇というワルにおだてられて墓穴を掘ってしまう。戦いに勝ったあと何をするかよく考えていなかったのだろう。そして、そのことで兄の頼朝に警戒されて、身を滅ぼしてしまうのである。石原氏を知事にした都民が愚かである理由 小池氏についても、最初に「都議会のドン」内田茂氏に代表される東京都政の癌ともいえる勢力を駆逐するという、本当に正しい戦い方をしていたわけである。また、石原慎太郎という甘ったれた仕事ぶりで東京をダメにした大馬鹿者の負の遺産を精算することも結構なことだといえる。 もともと石原氏のような、実務能力もなく前提状況を創作して、小説家のようにフィクションの世界で勝手な理屈を正当化することしか知らず、週にわずかしか登庁すらしない人物を知事にして満足していた都民が愚かなだけだけなのだが、その負の遺産を早く精算することはいいことだ。 ただ、小池氏がそれを精算した後に東京をどうするのかは、いまひとつよく見えない。個別にみれば面白い提案はあるし、従来型とは違う「新しいバラマキ」があるのかもしれない。本来、東京都という存在は、日本全体のことを考えながら自分のあり方を考えてもらわねばならないのだが、小池氏のビジョンはまさに「東京都民ファースト」でしかない気もしなくもない。 私がまどろっこしい言い方をするのは、もしかすると、小池氏には腹案はあるけれども隠しているだけなのかもしれないからだ。もし、しっかりしたものがあるのなら、小池氏はやや博打的だがまことに賢く動いていると評価できる。 小池氏にとっての正念場は今夏の都議会議員選挙である。都議選に勝って過半数を確保できなければ、知事はまったく面白くない仕事になってしまう。副知事などの人事権も握れないし、議会が反対しそうな予算も出せなくなるからだ。もちろん、議会も知事を変えない限り都政を動かせないから、結局、知事も議会もたいしたことはできない「穀潰しの都政」が続くだけだ。都議会公明党の議員(右)と選挙協力について面会し、手を合わせる東京都の小池百合子知事=3月13日、東京都新宿区 しかし、小池氏は公明党と同盟を結び、擦り寄る民進党には擦り寄られても価値がないとみて、かわりに、民進党の議員を一本釣りしてしまうという大胆さをみせている。このまま進めば、候補者の質が担保できなくても、小池さんは都議会選挙で圧勝して好きな都政運営ができるだろう。私が最後に小池氏に申し上げたいこと 安倍首相や自民党にとって面白くない流れといえばそうなのだが、首相が目指す憲法改正を考えると、東京の民進党を壊滅に追い込んでしまえば損ではない。小池氏も安倍首相と組むにせよ、都議選で勝ってからでよいことだと考えていれば見事な判断だ。橋下徹氏など日本維新の会や首相官邸サイドと良好な関係を作っていれば、嫌がらせはそんなに受けないはずだろう。都議選が終われば総選挙へ向けて小池氏を敵に回したくないと、自民党の代議士たちは思うことになるからだ。 ただ、小池氏の政策はずいぶん荒っぽい。豊洲新市場と築地市場との比較で、よほど危険な築地を使い続けるといい、その理由を豊洲が土壌汚染対策法を満たしていると示したうえで、「法令を上回る措置を講じるというのが、都や議会で決めたこと。それを徹底して信頼を得るというのが私の決意」と答えている。 豊洲は法的にクリアしているとか、築地より安全だとしても都民が安心だと言わない限りは移転しない、それでコストが何百億円かかっても都民はそれを支持しているからそれでいいのだとぬけぬけと言われてしまっては手も足もでない。 ところが、大手メディアは「コンクリートで土壌が覆われて地下水を利用しないのは豊洲も同じ。築地がその理由で安全だということは豊洲も安全なんですよね?」という質問すらはっきり聞かない。「合理的に考えれば、豊洲のほうが安心です。いろいろ不祥事はありましたが、それでも現在の状況より安全になり、数百億円も損をしてまで豊洲をやめると考えるのはおかしい。いまのままでは、都民が損を承知で決めるなとあとでいわれるだけですよ」と言えばいいのに、なぜか言わない。これでは、小池氏が「甘い判断をしても選挙に勝てるならいい」と思っても仕方ないようにみえるのだ。 それから最後に、小池氏に申し上げたいのは、左派マスコミの支持をあてにしてると必ずしっぺ返しを受けると言うことだ。安倍昭恵夫人をかつて彼らはさんざん持ち上げた。しかし、逆さまに落として小突き回しているではないか。セミナーに出席した安倍昭恵首相夫人(左)と東京都の小池百合子知事=2016年10月11日、東京都内のホテル 左派マスコミはタカ派的な小池氏を決して許すはずがない。安倍首相の敵は利用したいと思っているだけで、いつか昭恵夫人と同じ目にあうと覚悟しておくべきである。

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    石原慎太郎にマスコミが求めた「腹切り」

    三浦瑠麗(国際政治学者)何が「問題」なのか? 石原元都知事の豊洲に関する会見を見ました。中身に入る前の印象としては、石原氏が大組織のトップとしてまっとうなことを言っているのに対し、記者達の「世間の空気」をカサにきた質問が、いかにも失礼で、勉強不足であるというものでした。マスコミの通り一遍の論調と、ツイッターの中の論調の多様性とのズレが目立ってきたという印象も持ちました。そもそも、本件は何が「問題」なのか整理が必要でしょう。記者会見に臨む石原慎太郎元都知事=3月3日、日本記者クラブ(松本健吾撮影) 石原氏と記者達のすれ違いの最大の要因であり、本件の核心は、そもそも豊洲への市場移転に問題があるのかという点でしょう。石原氏は、豊洲を市場として使う上での安全性の問題は、科学によって決着がついている。その判断は、今もって権威ある専門家によって是認されている。したがって、今すぐ豊洲に移転してもなんら問題ない、というものです。豊洲移転が完璧ではないかもしれないが、耐震基準を満たさず吹きッ晒しの前近代的な施設である築地に残ることによるリスクや不衛生より「まし」であろうと。 対して、石原氏をバッシングしたがっている「世間の空気」は、豊洲への移転は危険であると思っています。仮に専門家が「安全」と言っても、「安心」はできないと。安全と安心は違うというのは、政治的な現実として真実です。本来は、安全で十分なはずなものについて、安心までを求めるのは民主主義のコストであり、文脈によっては払わざるをえないコストです。 しかし、安心をゼロリスクと定義するならば、それは追い求めてもしょうがない「青い鳥」であり、実際には存在しません。リーダーとは、どこかで一線を引いて、世間を安心に導かないといけないものです。あくまでも安心を求める安心至上主義者は残るだろうけれど、安全について疑義を生じさせる客観的な事実が出てくるまでは、それらは極論として捨て置くしかないのです。 このあたりに「問題」をめぐるすれ違いがあるのだろうけれど、もう一つ感じたのは、日本社会に時として流れるなんとも言いようのない陰湿な雰囲気です。石原氏に押し付けられようとしていた責任は、「世間を騒がせた」責任なのでしょう。何が本当の「問題」であるかを整理できずに、とにかく「責任」を認めろと。昨日の会見を見る限り、マスコミの関心は真実の追求にではなく、石原氏の「腹切り」にしかなかったように思います。美学の問題美学の問題 会場の雰囲気、記者達の質問、そしてスタジオに戻った後のコメンテーター達の発言が一様に求めていたのは、「責任」の二文字を石原氏と結びつけること。それは、報道ではなくて、魔女狩りです。瑕疵担保責任というマジックワードに焦点を当てて、それを知っていたか否かの一点に論点を絞り込む。科学的な知見を要する大組織の決断がいかに行われるかという石原氏の発言については、聞いていないのか理解できないのか。 会見で争われたのが、美学の問題であったということはあります。石原氏は、スター作家の出身で、国民的な英雄のお兄さん。無頼派のデカダンな態度に、世間の政治家とは異なる美学が感じられて支持されてきた人です。石原氏の外国人差別的で、女性蔑視の言動について「あの世代の保守的な男性だから」と言って免責する気にはさらさらなれないけれど、氏のビジョンと魅力を多くの人が支持してきたということでしょう。 美学の石原さんであるからこそ、日本的な模範回答は、「最終的な裁可は私が行った。当然全責任は私にある」と言って頭を下げること。マスコミの目的は、その絵姿をカメラに納めることであり、英雄が頭を下げたと囃したかったのでしょう。繰り返しますが、それは真相解明とは何の関係もない腹切りの美学でしかありません。 石原氏の弁明で感じたのは「世間の空気」が作り出した、安っぽい善悪二元論の茶番に乗っかる気はないよということです。むしろ、最後まで反抗してやるぞと。人生を通じて反抗期であった元作家としての、それはそれとして、別の矜持であり、美学を感じた方も多かったろうと思います。手続きの問題手続きの問題 美学の問題は、それこそ「感性」の問題でしょうからこれ以上深入りはしません。現状での豊洲移転に問題がないとすれば、「問題」は手続きに帰着せざるを得ません。昨日までに提示された事実に基づけば、石原氏が知事に就任した時点での前提条件は下記になります。・築地の防災リスクと不衛生に基づく近代化は長年の懸案であったこと・現地での建て替え案が検討されたものの現実的でないと判断されたこと・豊洲などの海岸近くの移転案以外は現実的に検討された形跡がないこと・豊洲の地権者であった東京ガスは汚染の問題があることから売却に消極的だったこと その上で、知事に就任した石原氏の判断は、市場関係者や議会の議論は堂々巡りになってしまっており、自らが方向性を示さない限り問題が解決しないということ。その上で、最終判断に至る経緯として、下記の手順を踏んでいます。それは、豊洲案は、完璧ではないかもしれないが、現状の築地での現状維持よりはましであるという、現状でも成立する問題意識に根差しています。・土壌汚染の問題について専門家の意見とともに、都の関係機関に検討させて「解決可能」という結論を得ていること・土地購入の手続き及び価格が適正であるかについて都の関係機関に検討させて「妥当」との結論を得ていること 以上の条件が満たされたことで、裁可したというわけです。焦点となっている瑕疵担保責任の免除について「知らなかった」、「報告を受けていない」ということについて、石原氏を責めることはありだと思います。これほど政治問題化していた案件について、知らなかったでは確かに恰好は悪い。しかし、恰好が悪いということと、なんらかの「不正」があったと前提することは違います。ましてや、そこで生じた「コスト」について、現在出揃っている証拠でもって石原氏個人に請求するというのは、暴論でしかないでしょう。自らが主宰する政経塾「希望の塾」で講義、豊洲新市場の土壌汚染問題について聴講生らに語った東京都の小池百合子知事=1月14日、東京都豊島区(春名中撮影) 兆円単位の予算を預かる知事です。部下には、明確な目的(豊洲の土地購入)を与え、そのための手段(瑕疵担保責任の免除)について細かく介入しないというスタイルはあり得ます。大組織で仕事をしたことがあれば、想像がつくのではないでしょうか。 仮に、瑕疵担保責任の免除について石原氏が知事として知っていたとしても結論は同じだったと思います。民間企業である東京ガスの立場からすれば、法令上の安全対策をする義務はわかるが、「世間の空気」であるところの安心対策までを、青天井で引き受ける契約を結べるわけがないからです。豊洲以外に現実的な移転先の選択肢がなかったならば、その土地を確保する以外にはないわけだから、土地を入手して物事を前に進める上での必要な妥協だったということです。政治の問題政治の問題 本件も、最後は当然に政治の問題となります。今もって、豊洲問題が「におう」というのはわからないでもないからです。石原氏自身も、自分が話すと「困る人がいる」という趣旨の発言をしています。 豊洲の土壌汚染対策が高騰した経緯は理解したいところです。安全が達成された後に「安心」の旗を振って不安を煽ったのは誰か。豊洲の建物の工事が高騰した経緯は何か。築地の跡地利用がどのようになされようとしているのか、等々。そのあたりにこそ、都政を浄化する論点があるように思います。2016年7月26日、都知事選候補の増田寛也氏(右)の応援に駆けつけた石原慎太郎氏=東京・永田町の自民党本部(斎藤良雄撮影) マスコミは、小池知事と石原家の因縁の対決構図を作ろうとしています。週刊誌的な関心としてそこに面白さがあるのはそうでしょう。都知事選中の慎太郎氏の女性蔑視の発言は醜かったし、都連会長の伸晃氏が桜井パパから増田氏まで官僚上がりの実務家っぽい人を次から次へと担ごうとした経緯は滑稽でした。政治には復讐という人間的な要素があるのは否定できませんから、それはそれでやればいい。 御年84歳、足腰は衰えていても頭脳はしっかりしていた。かつてほどの攻撃力は発揮されなかったけれど、腹切りを求める「世間の空気」を十分に理解した上で、会見に臨んだ石原氏は、私にはまっとうに見えました。 その、石原氏がもっとも強調したのは、小池知事の不作為の責任です。使う見込みのない地下水の汚染レベルについて喧伝するのは的外れではないかと。現代の政治が迫られる科学的な決断について、どこまで「安心」の論理を引っ張るのか。日々、積み上がっていく判断延期のコストにどのように落とし前をつけるのか。 築地に関する客観的な事実がきちんと出てくれば、世論における豊洲移転派と築地残留派は拮抗するでしょう。都議選までは、自陣営が割れるような論点を作り出したくないということかもしれないけれど、リーダーの資質というのは困難な局面においてこそ発揮されます。晴れた日の友も、晴れた日のリーダーも役に立たないものです。 政治的嗅覚に優れた小池知事のこと、「世間の空気」の潮目の変化を嗅ぎ取っているのではないでしょうか。(ブログ「山猫日記」より2017年3月4日分を転載)

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    石原慎太郎氏のあいまい記者会見、精神科医はどう見る?

     竹を割ったような物言いが売りの作家、元都知事である。「どうして豊洲だったの?」「地下空間はなんでできちゃったの?」「なぜ莫大な税金がかかったの?」という都民の疑問にズバリ答えてくれると思ったら、なにかおかしい。「果たし合いに出かける侍の気持ちだ!」とハイテンションで登場すると、「アイツが悪い、コイツが悪い」と現都知事や部下のせいにして、ふんぞり返った。侍は侍でも、これじゃあまるで「バカ殿さま」――。記者会見に臨む石原慎太郎元都知事=3月3日、日本記者クラブ(納冨康撮影) 石原慎太郎元都知事(84才)の3月3日の会見はそもそも目的からしてあいまいだった。小池百合子東京都知事(64才)が昨年10月、石原氏にあてた築地市場の豊洲移転に関する質問書に対し、石原氏は「記憶にない」などと事実上のゼロ回答。今月20日の都議会「百条委員会」に参考人招致される予定だ。ジャーナリストの大谷昭宏さんが言う。「本来は百条委員会の場で豊洲移転の真相究明をすればよかったことです。それなのにわざわざ石原さんは事前に会見を開きました。1つは、情報を隠したり嘘をつけば処罰される可能性がある百条委員会にいきなり出て行くことが怖かったこと。小心者の“肝試し”的な会見でした。もう1つは、子供じみた理由ですが、どうしても小池都知事への怒りが我慢できなかったからでしょう」 たしかに、会見で誰に聞かれるともなく出てくるのは小池氏の悪口ばかり。「(市場移転を巡る)こうした混迷、迷走に対する責任は今の都知事、小池さんにあると思いますね」 どうやら石原氏が「果たし合い」をした相手は小池氏だったようだが、そんな私怨は都民にしてみればどうでもいい話だ。本丸の豊洲移転について質問が斬り込むと、“逃げるは恥だが役に立つ”と言わんばかりに逃げ回った。「私は専門家ではありませんから部下に任せていた」 都が800億円超もの負担をすることになった東京ガスとの疑惑の契約について聞かれても、決めぜりふは「私は商売をやったことがありませんから」。 しびれを切らした記者が「部下に話を聞いてから今日の会見に臨むべきでは」と問うと、石原氏は「いや、聞く時間がなかったでしょ、私は」と開き直った。小池氏から質問書が届いてから、実に5か月も経っている。 ビートたけしは4日、テレビ番組で「困ったときのボケたふり」とズバリ。次男の石原良純さえも「準備不足」と苦笑せざるを得なかった。老兵の決闘の相手に指名された小池知事のコメントは余裕綽々だった。「あの世代のかたたちは『武士(もののふ)』とか『侍』とかおっしゃるが、違和感を持ちます」「新事実がいろいろと出るかと思いましたが、よくわかりませんでした。せっかくの会見だったのに残念です」 精神科医の片田珠美氏は石原氏の精神状態を、こう分析する。「自分の言いたいことだけを言いたい。都合の悪いことには答えたくない。批判は受けたくない。特権意識が強く、自分勝手です。石原さんは、イギリスの政治家で神経科医のデービッド・オーエン氏が『傲慢症候群』と名づけた典型のように見えます。権力の座に長くいるとなる人格障害の一種です」 来たる百条委員会には「“病欠”するのでは」という噂も流れ始めた。関連記事■ 新党結成の石原慎太郎氏 知事辞任は側近にも伏せられていた■ 小池百合子知事、五輪成功に導き自民党総裁選目指す青写真■ 石原元知事、小池都知事に「法的手続きを検討」■ 豊洲移転「既定路線」だった…会見で石原氏■ 小池都知事「まとまった睡眠はリオの行き帰りの飛行機だけ」

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    小池百合子氏と浜渦武生氏&鴻池祥肇氏の長い因縁

     豊洲市場移転の土地取得交渉にあたった浜渦武生・元東京都副知事。国有地払い下げ問題に絡む「森友学園」問題で、理事長夫妻の陳情を受けていた鴻池祥肇・元防災相。そして7月の都知事選で日本の政治の常識を一変させるかもしれない小池百合子・都知事。この3人を結びつけている人物こそ小池氏の亡父・勇二郎氏だ。2005年6月、東京都議会が始まる前に談笑する(左から)東京都の石原慎太郎知事、福永正通副知事、浜渦武生副知事 大正11年生まれの勇二郎氏は政治好きで、青年作家の石原慎太郎氏が1968年の参院選全国区に出馬すると、石原氏の政治団体「日本の新しい世代の会」の関西地区の選挙責任者となり、過去最高の301万票で当選させた。 そして翌1969年の総選挙に勇二郎氏は自ら旧兵庫2区から出馬する。だが、自民党の公認は得られず、「新しい世代の会」を看板に無所属での立候補だった。この勇二郎氏の「最初で最後の選挙」を手伝ったのが、鴻池氏と浜渦氏だった。 勇二郎氏が応援した石原氏と書生の浜渦氏、鴻池氏の3人と娘・百合子氏との因縁はここから始まる。 アラビア語の通訳からテレビキャスターとなっていた百合子氏は、1992年の参院選に細川護煕氏の日本新党から出馬して政界デビューすると、翌1993年の総選挙で衆院選に鞍替えする。このとき、百合子氏が選んだ選挙区は父が敗れた旧兵庫2区だった。しかし、この選挙区にはすでに自民党の鴻池氏が議席を持っていた。 旧兵庫2区は定数5の中選挙区。勇二郎氏から見れば“骨肉の争い”の選挙戦は明暗を分けた。日本新党ブームに乗った百合子氏が土井たか子・社会党党首に次ぐ2位で当選したのに対し、逆風の自民党候補の鴻池氏は次点に泣いた。百合子氏は「父の雪辱」を果たしたが、鴻池氏にすれば議席を奪われたのである。運命の悪戯という他はない。 豊洲問題をめぐる「百合子vs慎太郎」バトルにも、勇二郎氏の存在が関わっている。「あなたのお父さんにはいろいろ世話になったから、恩返しをしたい。選挙の面倒は見るから、東京都知事選に出ないか」 百合子氏側近によると、石原氏が勇二郎氏の恩をあげて知事選出馬を打診してきたのは、猪瀬直樹・元都知事の辞任で出直し選挙となった2014年都知事選の時だったという。この時は断わったが、昨年7月の都知事選に「東京都連はブラックボックス」と批判して出馬し、選挙戦で石原氏からの出馬打診があったエピソードを明かした。 ところが石原氏から飛び出したのは、「あの人は嘘つき」「厚化粧の大年増」発言であり、皮肉なことにこの発言が都知事選圧勝を決定づけた。 そこから、百合子氏は豊洲市場問題で石原氏の責任追及に動き、百条委員会での証人喚問が決まった石原氏も「知事に法的手続きを取る」と泥仕合に発展している。 果たして出馬打診の真相はどうだったのか。2人を最も知る浜渦氏が決定的証言をしている。「実を言うと、舛添(要一)さんが都知事になる前、石原さんは小池さんに『やる気ないか』と尋ねたというようなことも言っていたね」(週刊朝日2016年10月28日号) 出馬打診はあったというのである。だとすれば、石原氏の勇二郎氏への「恩返し」のはずが逆に仇となってしまった。 その浜渦氏も百合子氏の豊洲問題追及の流れでキーマンとして都議会の百条委員会で“被告席”に立たされ、個人的にも、2人は都知事選の応援を“頼まれた”“頼んでいない”の論争を展開している。関連記事■ 石原慎太郎もタジタジ 50年にわたる小池百合子との因縁■ マック赤坂氏 都知事選で明菜や聖子の曲を流した真意■ 都知事選脱原発争点化を批判の読売 東京都の尖閣購入は高評価■ 浜渦氏・鴻池氏も仕えた 小池百合子氏の父・勇二郎氏の人物像■ 新党結成の石原慎太郎氏 知事辞任は側近にも伏せられていた

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    小池都知事 五輪会場見直しの切り札は森喜朗氏への辞任勧告

     進撃を続ける小池百合子・東京都知事。一方で小池新党の影に怯える自民党は小池氏最大のブレーンで「都政改革本部」特別顧問の上山信一・慶応大学教授を追及の標的に定めつつある。東京都特別顧問の上山信一慶応大教授 都政記者は「上山顧問には2つの大きな失策がある。五輪調査チームのリーダーである上山氏は村井嘉浩・宮城県知事と同郷で、ボート競技会場を宮城に持っていこうと小池・村井会談を根回しした。自民党も共産党もそのやり方を“まさにブラックボックス”と批判している」と、語る。小池氏が都知事選の際に東京都議会自民党のあり様を「ブラックボックス」と批判したが、それがブーメランのように戻ってきている。 もちろん、小池氏も手をこまねいているわけではない。自民党とは逆に、「小池劇場」を盛り上げることで来年7月の都議選本番までに4000人を超える希望者を集めた小池政治塾の第2次、第3次応募者を5000人、1万人と増やしていけるかが勝負になる。 形勢が不利になれば新たな“悪役”をクローズアップさせることで国民の支持を保つのが小池氏が小泉純一郎・元首相から学んだ「劇場型政治」の手法だ。 ターゲットにしたのは石原慎太郎・元知事。石原氏は豊洲の盛り土問題で公開ヒアリングを求められていたが、それを固辞して都の質問に文書で「細かいことは覚えていない」などと回答していた。 小池氏はその石原氏に改めて経緯の聞き取り調査に応じるように要請し、豊洲の盛り土疑惑の“犯人捜し”に焦点をあてる方針だ。 都議会にもカウンターパンチを用意している。「都議の報酬半減」条例である。9月からの都議会では小池氏の選挙公約だった「知事給与半減」条例が全会一致で成立し、都知事の年収を2896万円から約1448万円に引き下げた。その結果、東京では都議の報酬(約1708万円)の方が知事より高いという逆転現象が生まれている。 小池氏は先に自分の給料を引き下げたうえで、都議選を前に4000人の塾生が「都議も半額に下げるべき」と主張して有権者に都議の報酬がいかに高過ぎるかを訴える作戦だ。自民党都議に対する“兵糧攻め”になる。政治塾を運営する政治団体「都民ファーストの会」会計責任者の音喜多駿・都議がこういう。「都議の報酬半減は都議選に向けた争点になっていくでしょう。自民党はなんとしても半減を阻止したいでしょうが、知事給料の半減条例には賛成しながら、自分たちの報酬引き下げは嫌だと抵抗すれば都民の批判を浴びるはずです」 知事給料半減を認めた段階で、自民党都議たちは小池氏の“仕掛け”に嵌っていたのだ。そして五輪の会場見直し問題での小池氏の“切り札”が、見直しに強硬に反対する“五輪のドン”森喜朗・元首相(五輪組織委員会会長)への辞任勧告だろう。 すでに布石は打たれている。森氏は都政改革本部が五輪の会場整備計画の見直しを求めたことに「極めて難しい」と反対した(9月29日)。それが報じられると上山氏がツイッターでこうつぶやいて“会長交代”を求めたのだ。〈おっしゃるとおりだが、無理ならほかの人に頼んだらいかが?〉 五輪見直し問題がいよいよ膠着状態に陥り、事態打開のために小池知事が自ら森氏の組織委員会会長の退任を迫れば、小池VS森の頂上作戦で小池劇場が盛り上がり、求心力を盛り返すことは間違いない。だが、それは官邸の思う壺でもある。自民党大臣経験者が語る。「安倍総理や麻生副総理、菅官房長官にとっても森さんは目の上のたんこぶ。小池氏がクビ取りに動いてくれるなら好都合と考えている。しかも森さんのことだから激しく抵抗して都知事側も返り血を浴びるはずだ。 小池氏は第1次安倍内閣の防衛大臣時代に“防衛省の天皇”と呼ばれた守谷武昌・次官を更迭し、総理に相談もないまま大臣留任はしないことを表明した。安倍総理はあのときの小池氏のやり方を“任命権者のオレの面子を潰した”といまも許していない。森さんと相討ちになれば、あのときの借りも返すことができる」「小池劇場」の演目は熱しやすく冷めやすい「4000人のなかまたち」の動向によってエピローグが大きく変わる。関連記事■ 森喜朗氏 4年後の都知事選で「小池vs丸川」狙いか■ 都議会のドンのパーティで都庁幹部が迫られた「踏み絵」■ 東京都知事選 自民党候補者選びを迷走させる「2人のドン」■ 都議会のドン・内田氏 石原都知事に泣いて馬謖を切らせた■ 新都知事候補 最有力・小池百合子氏を直撃

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    小池百合子はハシズムを超える独裁者なのか

    「ハシズム」。元大阪市長、橋下徹氏の独善的な政治理念と手腕を揶揄した造語が生まれたのは、彼が政治家として絶頂期を迎えたころだった。先の都知事選では、有権者の熱狂が小池都政の誕生を後押しした。小池氏の視界の先には、ハシズムを超える東京の未来が待ち受けているのか。

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    「日本人は愚民だ!」死してゾンビ化したサヨクの虚しすぎる遠吠え

    中宮崇(サヨクウォッチャー) いやほんと、今回の都知事選は、戦後長らくはびこりのさばってきたサヨクの死が誰にでも明らかになった恐るべきイベントだったわけですよ。あ、「誰にでも」というのはもちろん、頭のおかしい邪悪なサヨクどもを除外したまともな日本人のことですが。東京都知事選に出馬表明した鳥越俊太郎氏=7月12日、東京都千代田区 サヨクどもは直近の参院選挙でも今回の都知事選でも、自分たちの気に入らぬ結果が出るたびに「民主主義は死んだ!」「オレ様の推す候補に投票しない日本人は愚民だ!」とそれこそ年がら年中何十回も喚き立ててきましたが、今回こそ「サヨクは死んだ」んですよ。 だってねぇ、得票数だけ比べてみたって、もうお話にならないじゃないですか。自民党は事実上小池、増田の二候補の分裂選挙、一方のサヨクどもは宇都宮健二弁護士に嫌がらせ電話までして引きずり下ろして鳥越俊太郎一本の野盗連合(あ、誤字じゃないです)のなりふり構わぬ大同団結までしておいて、小池候補に二倍以上の差をつけられるどころか次点の増田候補にさえ及ばないという体たらく。【都知事選】宇都宮氏、立候補中止の影に圧力 「これでは独裁だ」(BuzzFeed) 舛添さんが都知事をお辞めになって都知事選が告示された時、こんな結果を一体誰が予想したでしょうか。みんな「無意味な選挙」とか言っていましたよね。あ、私もそう思っていました。でも間違っていた。 鳥越俊太郎本人のクズさかげんについては既にいくらでも明らかになっているんで、ここでは敗戦後のインタビューについて扱ったこの記事一つだけ見ておきましょう。鳥越氏インタビューが波紋「ネットは裏社会」「ペンの力なんか信用してない」(夕刊フジ) もう国民や都民どころか、支持者支援者まで馬鹿にしたこのあきれた態度は、多くの都民にとっては「今更」感しかないんでしょうね。だって真夏の炎天下の下、支援者のご老人たちをさんざん待たせた挙句、ろくに選挙演説もせず退散、なんてことが行われていたことはすでに皆さんご存知の通り。女性暴行疑惑についてもだんまりを決め込んだ挙句、選挙討論会までドタキャンする始末。そりゃ良識ある都民から総スカンされ大差つけられて負けるのも当たり前ですわ。 問題は、鳥越俊太郎を担いだ連中。【悲報】鳥越俊太郎氏の支持者による宇都宮けんじ氏への非難の声【東京都知事選挙】【女性の人権】 (Togetterまとめ) このように、お仲間であるはずの宇都宮候補にさえ悪逆非道な嫌がらせをするような連中なのだから、「敵」に対しては手段を選ばないのも当然ですよね。何しろ、国会前で敵を「人間じゃねえ!たたっ斬る!」と、差別やヘイトどころか殺害宣告まで行ったSEALDs界隈や、リンチ事件を起こし係争中のしばき隊といったサヨクテロ組織までが鳥越の応援団なんですから。そんなポル・ポトや金日成顔負けの連中がいくら「小池百合子はヒトラーニダ!」と喚いたところで、そんなたわごとに引っかかるお馬鹿さんはそれほど多くはありませんわな。「アベ」を支持する有権者を「B級国民」と差別 仮想的有能感という言葉があります。「他人を見下す若者」の増加と、家庭教育でできること-子どもの自尊感情を高める働きかけが求められている-(速水敏彦 名古屋大学大学院教育学研究科教授) 「些細なことでキレたり、自分が間違っているのに非を認められない若者が増えているように思われる。彼らは自己中心的で、他人を見下した言動をするのが特徴」なのだそうです。それ、サヨク連中そのものじゃないですか。それが身も蓋もなく誰の目にも明らかになっちゃったのが今回の都知事選です。街頭演説する鳥越俊太郎氏=7月24日、東京都新宿区 ほんと、鳥越もその支援者も、都民を、国民を馬鹿にしすぎなわけですよ。「オレサマは正義の権化!日本を、いや世界を意のままに支配する資格と能力のある神!」と思い上がっているとしか思えません。実際、ツイッター上は、名の知れたサヨクの皆さんたちが「鳥越俊太郎を当選させなかった日本国民は愚民!」と見下す自己中心的な発言のオンパレードです。 「アベ」を支持する有権者を「B級国民」と差別し物議を醸したことでも有名な金子勝慶應義塾大学教授は、都知事選後も「ひどく下劣な選挙だった」と、B級国民に対してお怒りです。そればかりか、相模原障害者施設殺傷事件の際には「障害者事件、本当にヘイトな世の中になってきた。小池になったら言論が一気に極右に流れる」と、小池氏に投票したB級国民があの凶悪事件を招いたとオカンムリのご様子。 大人のサヨクさんたちがそんな有様ですから、SEALDsメンバーの自称「若者代表」の牛田悦正氏も、「アベ」や小池百合子氏、その支持者を「悪」と決めつけた挙句「民主主義?そんなもの手続きにすぎない」と、都知事選挙どころか民主主義まで否定する始末。 芥川賞選考委員にして小説家の島田雅彦氏は「これ以上、極右をのさばらせると、ヘイトクライムが増える恐れがあります」とツイートするだけでは飽き足らず、よほど自民党支持者の「B級国民」がお気に召さないらしく、先日の芥川賞受賞作村田沙耶香「コンビニ人間」にまで選評においてこう八つ当たりするトチクルイ具合です。「セックス忌避、婚姻拒否というこの作者にはおなじみのテーマを『コンビニ人間』というコンセプトに落とし込み、奇天烈な男女のキャラを交差させれば、緩い文章もご都合主義的展開も大目に見てもらえる。巷には思考停止状態のマニュアル人間が自民党の支持者ぐらいたくさんいるので、風俗小説としてのリアリティはあるが、主人公はいずれサイコパスになり、まともな人間を洗脳してゆくだろう。そんな能天気なディストピアから逃れる方法を早く模索してくれ、と同業者に呼びかけたい」 「B級国民」嫌いの島田先生にとっては、「アベ」支持者は「まともな人間」ではないのだそうです。「サイコパス」なのだそうです。あ、「コンビニ人間」は大傑作ですよ。島田先生のオツムでは理解できなかったようですが。「小池ゆり子に投票した人と友達でいるのは無理」と発言した女優 サヨクのお偉い首領様たちだけでもこんな有様なので、その下のショッカー下級戦闘員達の「B級国民」差別は目を覆わんばかり「【選挙恒例?】「都民は愚民」よばわり」(Togetterまとめ) もう良いです。サヨクは完全に死んだんです。「まともな」日本国民みんなにそのことがバレちゃったのが今回の都知事選だったんです。そしてサヨクどもはそのことについて反省し次の選挙に備えるどころか、「ぼくちゃんたちは正義だったのに、それに賛成してくれないB級国民どもは愚民だ!」と喚くばかり。意見の違う「B級国民」を説得するどころか、「小池ゆり子に投票した人と友達でいるのは無理」と、自分の主張に従わぬ「B級国民」との交際を絶つととの宣言する方々までおられるご様子。都知事選最終日に有権者に向け支持を訴える小池百合子氏=7月30日女優の木内みどり、ツイッターで「小池ゆり子に投票した人と友達でいるのは無理」 (アルファルファモザイク)  こういうサヨク連中が権力を握ってしまえばそれこそヒトラー顔負けの粛清や虐殺をしまくるに違いないということを敏感に感じたからこそ、都民は鳥越なんぞを当選させなかったわけです。 反省無きままお亡くなりになり、未だにゾンビのごとく徘徊しまくるサヨク連中。そんなバイオハザードの最中の日本について今確実に言えることは二つあると思います。一つは、鳥越を担いだサヨクどもこそがヒトラーも裸足で逃げ出す差別主義者、ファシストであるということ。実際北朝鮮の将軍様による拉致の事実まで否定してきた御仁まで入り込んでいるのが、鳥越「野盗連合」です。 二つ目は、今回の都知事選はサヨクにとってどん底の敗北ではないということです。反省どころか「B級国民」を見下して憚らぬこの連中は、「次の選挙」では今回以上に負けるでしょう。 これは実に困ったことです。何しろサヨクどもから「ネトウヨ」とレッテルを貼られて様々な嫌がらせを受けてきた私は、今の安倍自民党政権には批判的な立場です。前回の参院選以外は、46年間ずーっと共産党に投票してきたような人間です。「安倍はヒトラーだ!」と叫び宇都宮健児氏のようなお仲間でさえも平気で嫌がらせしまくるような現在のサヨク連中は、「まともな」反安倍の受け皿にならないことが今回「まともな人間」の誰の目にとっても明らかになったのです。 そしてそんなゾンビサヨクどものB級頭脳では考えつきもしないことなのでしょうが、反安倍自民の受け皿として最も可能性が高いのは小池百合子都知事でしょう。サヨクどもが「小池はヒトラーだ!」とのたわごとが事実かどうかは不明確です。しかし、そんなサヨクどもがヒトラー以上に邪悪であることと、そんな邪悪なサヨクどもこそが小池都知事を生み出したことは間違いのない事実でしょう。

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    「小池新党」ができれば日本の政局を大きく変える可能性がある

    高橋亮平(中央大学特任准教授、NPO法人Rights代表理事) 7月31日投開票の東京都知事選挙は、予想通り小池百合子氏の圧勝で終わり新知事の誕生となった。マスコミ各社ではこの話題でもちっきりであり、小池支持の理由について有権者の声などを伝えているのだが、最も多かったのが「政策を支持」との声との報道。 本当にそうなのだろうか? 7月31日投開票の東京都知事選挙は、予想通り小池百合子氏の圧勝で終わり新知事の誕生となった。マスコミ各社ではこの話題でもちっきりであり、小池支持の理由について有権者の声などを伝えているのだが、最も多かったのが「政策を支持」との声との報道。 どうも日本人の中には「選挙は政策を比較して選ぶべき」といった規範的な思い込みが強く、インタビューなどを受けると、つい「政策を支持」と言いたくなっていないだろうか?今回の都知事選、政策面から見れば、好き嫌いや政治的ポジションに関係なく、「一流 対 二流 対 三流」の構図になっていたように思う。 この事については、またあらためて書く事にしたいが、おそらく多くの方々が小池氏に投票した理由は、政策ではなく「イメージ」である。国政における「小泉劇場」、「民主党政権交代」から続く「橋下大阪都構想」、「アベノミクス」への流れと同じである。その意味では、「政策で支持」などと言っていると、民主党政権への「こんなハズではなかった」と同じことが起こる。会談を前に握手を交わす小池東京都知事(左)と安倍首相=8月4日午前、首相官邸 これまでの都知事選でも同様であり、青島都知事から、石原都知事、猪瀬都知事、舛添都知事と当選してきた流れはほぼ変わらない構造だろう。その意味では、都民は都知事をどういう基準で選んだのかを明確にした上で、「ちゃんとやっているか」を監視していかなければならない。その意味で、小池新知事に期待したであろう、また小池氏を知事にした価値2点について確認しておきたい。 投開票日直前に『政治と金で知事2連続辞職、知事選3回150億円使っても東京都は「利権構造」を解決できないのか』( http://blog.livedoor.jp/ryohey7654/archives/52063832.html )にも書いたが、1つ目は、都民にとっても最も重要なテーマである「政治と金」についてである。特に、内田茂都議(千代田区)を中心とした都議会自民党のまわりで聞こえてくる「利権構造」の実態究明とその情報の公開、さらにその改善については、新知事には早急に対応してもらいたい。 もう一つが、「小池新党」の可能性である。今回の選挙であらためて明らかになったのは、各地方首長選挙等ではこれまでもその傾向があったが、国政において圧倒的多数を占める自民党ではあるが、国民からすれば、それは選択肢のなさからくる消極的投票の結果であり、第3の受け皿さえあれば、有権者の支持は別のところにあるという事だ。 その意味では、この有権者の想いは、「知事に当選して良かった」という事で終わることなく実現してもらいたいものだと思う。選挙直後こそ下村博文総裁特別補佐官が「除名か除籍か離党」と発言するなどいい感じだったが、その後に入ってくる報道は、菅氏が「政府が関わることではない。都連の問題だと思う」と官邸は触れない規定路線に。来年6月の都議会議員選挙、さらに今年の年末にも解散総選挙などと言われる中で、自民党内でもこの延長戦をやりたくないという思いは広がりつつあり、処分見送り論が強まりそうな気配がある。先日のコラムで書いたいわゆる「手打ちシナリオ」である。 「官邸との手打ち」自体はそれほど大きな影響はないが、「都連と手打ち」となると新党の可能性は極めて低くなり、さらに「都議会自民党と手打ち」とまでなれば、「利権構造解明」すら怪しくなってくる。都民の皆さんには、この辺りをしっかり監視し見極めて欲しい。「小池新党」ができれば雪崩を打つ可能性がある「小池新党」ができれば雪崩を打つ可能性がある 「小池新党」について、当選後もおおさか維新の会幹部が「自民党離党か除名がスタートだ。崖から飛び降りたら協力する」と発言していると報じられている。おおさか維新の会は、選挙前から小池氏が自民党を離党しないで選挙に挑むことから「自民党に戻る」という「元サヤ」シナリオを危惧して支持や支援を見送った背景もある。「小池新党」ということにでもなれば、当然維新は連携する可能性がある。 官邸の動きも怪しい。先日のコラムでも触れたが、都知事選の真っ只中の7月17日、安倍晋三首相は山梨県の別荘で夏季休暇に入った。結局自民党候補である増田寛也氏の応援に入ることはなかった。とくに気になるのが、幹事長の人選だ。築地市場を視察する小池百合子都知事 =8月16日、東京都中央区築地 小池氏の当選するのを見届けて、安倍総理は翌8月1日に二階俊博自民党総務会長に幹事長就任の連絡をしていると報じられた。二階氏といえば今や「自民党中の自民党のような議員」のイメージの方もいるかもしれないが、振り返れば、小沢一郎氏(生活)、羽田孜氏らと共に自民党を離党し、新生党を立ち上げたメンバーでもあり、その後の新進党から自由党、保守党までは今回知事に当選した小池百合子氏と同じ党で活動を共にしている政治家でもある。 小池氏といえば、細川政権誕生の元となった日本新党を当時熊本県知事であった細川護煕氏と共に立ち上げた功労者であるが、「第1次新党ブーム」とも言える1990年代の新党のメンバーを見ていると面白いことが見えてくる。日本新党が設立したのは1992年、一人も国会議員がいない中から結党し、「日本新党ブーム」を起こすと共に第40回衆議院総選挙で35名が当選、その中には小池氏のほか、今回自民党政調会長に内定した茂木敏充氏、小池氏の都知事選応援にも入った河村たかし(名古屋市長)をはじめ、中村時広(愛媛県知事)、中田宏(元横浜市長)、山田宏(元杉並区長)といった首長や首長経験者、さらには、枝野幸男民進党幹事長、野田佳彦(元首相)、海江田万里(元民主党代表)、江田五月(元参議院議長)と民進党の重鎮も並ぶ。 さらに5党による合併で新進党になると、新生党から小沢氏、二階氏に加え、石破茂氏(一億総活躍担当大臣)、岡田克也氏(民進党代表)、原口一博(元総務大臣)。松沢成文(元神奈川県知事)、上田清司(埼玉県知事)などが加わっているのだ。 都知事選投票日前日の7月30日、安倍晋三首相は菅義偉官房長官と共に、おおさか維新の会の橋下徹前代表、松井一郎代表(大阪府知事)、馬場伸幸幹事長と憲法改正のプロセスなどで会談したとされている。 現段階では空想上の極論ではあるが、安倍首相が「憲法改正」を第一義に考えた場合、反対勢力を少しでも弱体化させた上で、野党勢力の同意も広げて行きたいはずだ。7月の参院選の際に「衆参同日選挙」が検討されたが、2/3が確保されている衆議院の議席が逆に減る可能性があるとして見送られた。 アベノミクスをはじめとした経済政策、金融政策も既に行き詰まっており、「解散をしたいがジリ貧」という状況に追いやられていく可能性は高い。そんな中、二階氏による「総裁任期延長容認」はまさに渡りに船だったのだろうが、「選択肢があるなら勝負に出たい」が本音ではないかと思う。そこで考えられるのが、「維新」と「小池新党」との「大連立構想」ではないかと思うのだ。 もう一つの火種が9月に行われる民進党代表選である。岡田克也代表による野党4党共闘は、参院選こそ1人区で11勝と一定の成果を出したものの党内保守派を中心に不満は蓄積されており、今回の都知事選候補者選定においても、都連の選定をないがしろにした上で惨敗、さらに投票日前日に岡田克也代表が時期代表選不出馬表明と、松原仁都連会長を筆頭に内心穏やかでない議員がそれなりの数に膨れ上がってきている。 筆者の見立てでは、蓮舫代表代行が実質上の岡田氏の後継となってその人気による時期衆院選への期待を受けて支持を広げていくのだろうが、この構造だと長妻昭代表代行、枝野幸男幹事長はじめこれまでの顔ぶれという枠組みの中での新執行部となる可能性が高く、顔が変わって表面的な支持は上がるとは思うが、本質的な課題解決には繋がらないように思う。 こうした想いを感じている議員は、民進党内にも一定数いるはずだ。その一つが、既に手を挙げている長島昭久東京都連幹事長をはじめ、前原誠司元外務大臣、細野豪志元民主党幹事長、先述の松原都連会長といった保守派と言われる層だ。もう一つは、江田憲司氏、柿沢未途氏はじめとした元維新の党の議員だ。 これに加え、今回の代表選において玉木雄一郎議員などを立てて世代交代を図ろうという議員たちもいる。現段階では、まずは代表選ということになるとは思うが、代表選の結果いかんによっては、一気に離党、新党への流れに雪崩を打つ可能性もあるのではないだろうか。 仮にこのメンバーが「小池新党」と連動して総選挙となった場合、自民党の議席は間違いなく減るだろうが、それ以上に残った民進党が大幅に議席を減らす可能性が高い。選挙後に、自民、新党、維新での連立を考えれば、このままの状況で挑むよりも憲法改正への大連立ができる可能性が大きく出てくる。筆者が安倍首相であるなら、こうしたことも考えるのではないかと思うのだ。過去の新党ブームから学べ過去の新党ブームから学べ これまであった新党ブームを大きく2つ紹介しておきたい。一つは、先述の「日本新党ブーム」から民主党誕生、政権交代までの流れである。 1992年、細川護煕氏を党首に小池氏などが日本新党を立ち上げ、国会議員ゼロから次の総選挙で35名を当選させる。翌1993年に自民党を割って羽田孜氏を党首に小沢一朗氏、岡田克也氏、藤井裕久氏、二階俊博氏、船田元氏ら衆議院36名・参議院8名の44名で新生党を結党、総選挙を経て上田清司氏、松沢成文氏、石破茂氏らが加わる。同年、自民党を離党した武村正義氏、鳩山由紀夫氏、園田博之氏ら衆議院10名が新党さきがけを結党、総選挙を経て菅直人氏、枝野幸男氏、前原誠司氏、玄葉光一郎氏、堂本暁子氏などが加わった。 この3党が礎となって、1994年に新生党・日本新党・新党みらい・新党「自由党」・公明新党・民社党が合併、海部俊樹元首相を党首に新進党が結党。結成時にはこれまでの新党最大の衆議院176名、参議院38名の計214名という規模になる。同時にこの新党の離合集散の流れの中で1996年、新党さきがけ・社民党・市民リーグ・新進党の一部で結党されたのが民主党(旧)だった。図表: 衆議院における政党割合の推移 設立当初は鳩山由紀夫氏と菅直人氏が共同代表となり、鳩山邦夫氏、枝野幸男氏、前原誠司氏、海江田万里氏ら衆議院50名、参議院5名の計55名からスタートした。 1998年には、この民主党(旧)に民政党、新党友愛、民主改革連合などが合流し、岡田克也氏などが合流、衆議院93名、参議院38名の計131名で民主党(新)が結党することとなる。この民主党(新)はその後、第42回総選挙で127議席確保して以降、第43回総選挙で177議席、第44回総選挙で113議席と減らすものの、敵失もあり2009年の第45回総選挙で308議席確保しての政権交代へとつなげることになる。新党結成から11年目のことだった。 2つ目の新党ブームは、みんなの党と維新の会の流れだ。みんなの党は、2009年に渡辺喜美元行政改革担当大臣を党首に、江田憲司氏、浅尾慶一郎氏ら自民党、民主党から離党した衆議院4名、参議院1名の計5名で結党された。しかし、2013年に実質分裂、江田憲司氏を党首に柿沢未途氏ら衆議院9名、参議院6名の計15名は新に結いの党を結成した。 その前年の2012年、当時の橋下徹大阪府知事を中心とする大阪維新の会を母体に、石原慎太郎都知事、平沼赳夫元経産大臣、松野頼久元官房副長官、片山虎之助元総務大臣ら自民党、民主党、みんなの党離党者、衆議院3名、参議院4名の計7名の国会議員の所属で国政政党である日本維新の会を結党、党首には橋下徹大阪市長が着いた。 2014年、石原氏や平沼氏とは袂を分かつが、橋下徹氏と江田憲司氏を共同代表にして、この日本維新の会、結いの党に、みんなの党からの離党者を加え、柿沢未途氏、松野頼久氏、松井一郎(大阪府知事)、片山虎之助氏、馬場伸幸氏ら所属国会議員、衆議院41名・参議院11名・の計52名の維新の党の結党となる。結局これも分裂し、一方は民主党などと合併し、2016年に民進党を衆議院96名、参議院60名の計156名で結党。一方は新におおさか維新の会を衆議院13名、参議院6名の計19名で結党することになって現在に至る。 ポイントはいくつかあるが、一つはそのほぼ全てが自民党離党者が鍵になっているということだ。 小沢一郎氏、海部俊樹氏、羽田孜氏、武村正義氏らの離党がキッカケになった新生党(1993)、さきがけ(1993)、新進党(1994)、自由党(1998)、保守党(1998)…。日本新党(1992)の細川護熙氏だって元はと言えば自民党。旧民主党(1996)、新民主党(1998)ですらその中心となった鳩山由紀夫氏、鳩山邦夫氏、岡田克也氏、羽田孜氏らは自民党離党者だ。政権を取った際を見れば、さらにこれに小沢一郎氏、藤井裕久氏などが加わっている。 みんなの党(2009)も渡辺喜美氏、江田憲司氏らほとんどが自民党離党者だ。みんなの党結党の前段ではこの構想に渡辺氏はおらず、そこには河野太郎氏がいたとも言われる。 日本維新の会(2012)も石原慎太郎氏、平沼赳夫氏、片山虎之助氏は自民党離党組。橋下徹氏ですら大阪府知事選の際には自民党の候補者であり、大阪維新の会は自民党府議団から生まれた。 政界再編は野党議員の結集ではなく、自民党を割っての新党結成にあるのではないかと思う。いみじくも都知事選翌日の8月1日、参議院議員となった渡辺喜美氏の初登庁となった。今月には維新の会の副代表になるという。政界再編が再び動き出しそうな空気を感じる。(世の中を変えるブログ! 2016年8月3日掲載分を転載)

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    敵の「自滅」で勝利した小池百合子はカリスマ都知事になれるか

     三浦博史(選挙プランナー) 東京都知事選で小池百合子氏が3000人の大観衆を前に実施した街頭演説や、その模様を撮影した写真や動画の公式サイトへのアップの仕方等について、一部で「カリスマ的」とか「ヒトラー的」などと揶揄する向きもあるようだが、果たして「小池百合子氏はカリスマなのか」について検証してみたい。 そもそも、『カリスマ』とは、ウィキペディアによると、「超自然的、または常人を超える資質」とされており、キリスト教用語としては、『新約聖書』において、神からの天与の賜物の意味で用いられた言葉とされている。また、ドイツの社会学者であるマックス・ヴェーバーの『カリスマ的支配者』といえば、多少神がかった能力を有する政治家や英雄、独裁者のことを指していると思われる。 同時に、ヒトラーといえばゲッペルス、ゲッペルスといえば『プロパガンダ』が想起されるように、『カリスマ』と『プロパガンダ』は不可分の関係にある。そもそも『プロパガンダ』とは1629年、ローマ教皇ウルバヌス8世が聖公省内に伝道師養成のためのプロパガンダ大学を設立したのが起源といわれる。 確かに、今回の都知事選における小池氏は、マスコミ誘導が非常に上手かった。参院選真っ最中の6月29日、小池氏はいち早く、都知事選へ出馬する意向を表明。参院選には大きな話題もなかったことから、即座にマスコミの脚光を浴びることとなった。与党の自民党・公明党は参院選の最中ということもあり、“自民(与党)分裂”のマイナス宣伝を恐れ、身動きがとれないといわれた中、小池氏は自民党東京都連を悪者に仕立て上げ、自らを正義の使者=ジャンヌ・ダルクと称し、「小池劇場」をスタートさせた。それ以降、小池氏の行く先々には多くのマスコミ、テレビカメラが待ち構えることとなった。 参院選が終わり、増田寬也氏、鳥越俊太郎氏等、候補者が出揃った後も、自公推薦の増田氏や、野党統一候補となった鳥越氏を凌ぐマスコミ人気は変わらず、同行するマスコミやカメラの数は、告示日から増田・鳥越両氏の倍以上といわれていた。 連日、小池陣営は主にバラエティ番組やスポーツ紙が話題として取り上げやすい素材を提供するなど、派手なパフォーマンス、マスコミ戦術を展開していたのは事実だ。但し、そうした見事な演出ぶりの一方で、聴く人々の心を強烈に揺さぶるような演説だったという声は聞こえない。 また、マスコミ対策として目立っていたのは、都庁担当記者を含む全国紙より、テレビやスポーツ紙を徹底して取り込む手法だ。これはまさに小泉純一郎元首相や橋下徹元大阪市長が得意とした、仮想敵を作ってケンカを売る“劇場型選挙”の模倣だったといえる。しかし、小池氏が小泉氏や橋下氏以上といわれたのは「アナウンス効果」だ。 「アナウンス効果」には2つの効果がある。いわゆる“判官びいき”といわれる同情票を集める「アンダードッグ効果(負け犬効果)」と、勝ち馬に乗ろうとする「バンドワゴン効果」だ。小泉氏や橋下氏は、「バンドワゴン効果」は十分取り込んだものの、「アンダードッグ効果(=同情票)」を取り込んだとは思えない。つまり聴衆から大きな共感は得るものの、同情を得るタイプではなかった。敵の「オウンゴール」で勝利した小池氏 しかし、小池氏は違った。大きな組織選挙(自公の推す増田氏と全野党が推す鳥越氏)に対し、女性一人で孤高に立ち向かう姿を演出することで、「アンダードッグ効果」と、鳥越氏とのバトルを制してからは「バンドワゴン効果」その双方を得た点が、わが国の選挙戦ではレアなケースとなった。 ただ、小池氏のこうしたキャンペーン手法にカリスマ性やヒトラー的要素を見出すことは難しい。今回の都知事選での小池氏の主な勝因は、初めのテレビ討論での鳥越氏VS小池氏のバトルで、増田氏がやや埋もれてしまったことと、鳥越氏の週刊誌報道を契機とした“オウンゴール”によって、鳥越氏の支持層が急速に離れ、その離れた層をそっくりそのまま小池氏が吸収したことにより、その勢いが止まらなくなったことといえるだろう。知事就任後、初の定例記者会見に臨む小池百合子=8月5日、東京都新宿区の都庁(納冨康撮影) 小池氏はテレビ討論で、鳥越氏に対し、「病み上がり」と言ったことで一時ピンチになりかけたが、どうにか上手く逃げ切った。さらにその後は鳥越氏が公開討論会やテレビ討論の場を避けたことで、マスコミ露出の機会を失った増田氏を抑え、小池氏の独壇場となった。その結果、小池氏は投票箱の蓋が閉まるまで「小池劇場」の主役を演じ切ることができた。 因みに、小泉氏の「自民党をぶっ壊す」、橋下氏の「大阪市役所をぶっ壊す」といった言葉は、桃太郎の鬼退治にも似ているが、小池氏の“自民党東京都連をぶっ壊す”は、そのレッテル貼り自体に問題があったと私は思う。大体、都連に大ボスがいると批判していたが、全国どの自治体の議会(政党・会派)でも、政党・会派を取り仕切る人物がいなければ、為政者(=知事・市長等)は議員一人ひとりと議論し、根回ししなければ議会運営が難しくなる。こんな非効率なことはありえない。 つまり、ボスという言葉は聞こえが悪いが、強力な取りまとめ役がいることは必要なことと私は思う。米国でもたとえばマジョリティ・リーダーといわれる政党の“まとめ役”がいる。こうした一方的かつ勝手なレッテル貼りは、敵でもない人も敵に回してしまった感が否めない。投票日がもう少し先だったら、結果はどうなっていたかわからない。 小池陣営の、大観衆を前にした演説風景の出し方は、ヒトラーというより、アメリカ大統領選でよく使われるパターンでもある。どんな劇にもスタートがあれば、必ず終わりもある。都知事選での「小池旋風」が今後どのような風に変化するのか、今後の小池知事の動きに注目したい。

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    ヒトラー論議笑止 「出過ぎた杭」小池百合子の行く末は?

    安倍宏行(Japan In-depth 編集長、ジャーナリスト) 小池氏をヒトラーに例える批判があるらしい。なんでも都知事選で小池氏が支持者にグリーンのものを持って応援に駆け付けるよう呼びかけたことで、街頭演説会が緑一色に染まったことなどから、大衆扇動だ、などと決めつけているご仁がいるようだ。ばかげた話だ。選挙なぞ、多かれ少なかれ動員がかかっているものだ。多くの政治家も自分のイメージカラーを持っている。その色で印刷されたパンフレットを増田寛也候補、鳥越俊太郎候補、どちらの支援者も振りかざしていましたが? ちなみに増田寛也候補もイメージカラーも「グリーン」だった。未だに増田選対は何故小池氏と同じ色にしたのか理解に苦しむ。それはさておき、「グリーン」はかつて小池氏がいた日本新党のイメージカラーでもあった。 日本新党から正式出馬会見の海江田万里、左は小池百合子氏=1993年6月24日、東京都港区高輪の日本新党本部 私が初めて小池百合子氏を見たのは、1993年、衆議院議員選挙の時だ。日本新党が躍進した年である。しかし、どのマスコミもこの新党の力を侮っていた。その証拠に、東京・高輪の日本新党本部に張り付いていた自分は経済部だったし、新聞記者ですら家庭部やら科学部やら、政治部の記者は一人としていなかった。「フジさん、今入っていった政治家、誰?」とよその記者に聞かれても「さあ?」と答えるしかなかった。笑い話だ。何故そんなことになっていたのか?答えは簡単。マスコミが55年体制から抜け出せていなかったのだ。日本新党の力をあまりに見くびっていた。細川護熙氏がその後総理の座につくなど誰が予想しただろうか。今でも瞼に焼き付いて離れないのは、記者の問いかけに応えず、細川氏に寄り添う小池氏の後ろ姿だ。 その後氏はその時その時政治家として所属政党を変えていったことから、「政界渡り鳥」という有難くないニックネームまで頂戴した。しかし、党を飛び出して他の党に入ったり、新党を作ったりする政治家など枚挙に暇がない。何も小池氏にかぎったことではない。ではなぜ彼女はそうした批判を受けるのか? 女性だから? それともその“転身”が成功しているから? おそらくはどちらもだろうが、私はその日本人離れした思考パターン、行動パターンも大きな要因ではないかと思っている。特に中年以上の男性には受けが悪いように見える。クールビズにウーマノミクス 小池氏はアイデアウーマンである。彼女を一躍有名にしたのはやはり“クール・ビズ”だろう。小泉政権で環境大臣だった小池氏の提唱で始まったこの運動、今ではすっかり定着した。似合うかに合わないかは別にして環境省の役人がアロハを着てテレビニュースに取り上げられたり、小泉首相以下閣僚が“かりゆし”を着たり、ブームを引き起こしたのは記憶に新しい。開襟でも見栄えがいい高めの襟の半そでシャツも開発されたし、何よりビル内のエアコン設定温度28度も当たり前になり、大いに省エネに貢献した。日本橋高島屋のクールビズ特設コーナーに足を運んだ小池百合子環境大臣=2005年7月19日(肩書当時) しばらく直接取材する機会がないまま時が過ぎたが、次に小池氏に会ったのは2012年8月、自民党の党本部で開かれていた政務調査会だった。その場で、「女性が暮らしやすい国はみんなにとっていい国だ特命委員会(1192特命委員会)」委員長だった小池氏は中間報告Part1を取りまとめた。これは後に安倍首相が推進する「ウーマノミクス」の原型である。女性の就業環境の改善により、我が国のGDPは15%拡大し、820万人の雇用を創出する、との外資系金融機関の予測を基に、7つの提案を打ち出した。その中には、・ “2020年30%”(にぃまる・さんまる)の目標達成社会のあらゆる分野で2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%以上とする目標・「ダイバーシティ促進購入法」の制定女性を活用する企業からの物品調達に関する法律(ダイバーシティ促進購入法)案の議員提案・女性候補者・女性議員増加促進のための法律改正政党が、女性の候補者・議員比率を高めることを促すため、女性候補比率(または議員比)に応じ、政党交付金を傾斜配分する仕組み等を盛り込んだ「政党助成法改正案」の議員提案などが盛り込まれた。出る杭は打たれる 当時フジテレビ解説委員だった私は、さっそくBSフジのプライムニュースで『高齢化社会の特効薬? ウーマノミクスと日本 女性参画で成長戦略を』と題してこの問題を取り上げた。当時永田町もマスコミもほとんど関心がなかった中、いち早くこの問題に取り組んだ小池氏の先見性が見て取れる。 そして小池氏は国際派である。日本において、英語、アラビア語が堪能である、稀有な政治家であろう。2007年、第一次安倍内閣で防衛大臣だった小池氏が、米国訪問中、国務交換コンドリーザ・ライス国務長官と会談、「私は日本のライスと呼ばれている。ライスは日本では米(こめ)、マダム・スシと呼んで」とジョークを飛ばしたが、英語でこれが出来るのは強みだろう。エネルギー安全保障上重要な中東諸国とリーダーとアラビア語で意思疎通が出来るのも大きい。リオデジャネイロ五輪閉会式出席のため、ブラジルに出発する小池百合子・東京都知事=8月18日、羽田空港 そして小池氏は強気と思い切りのよさが身上だ。2007年防衛相に就任した直後、「防衛省の天皇」と呼ばれていた守屋武昌事務次官(後、収賄容疑で逮捕、起訴され実刑判決)を更迭し直後に辞任したと思ったら、2008年の自民党総裁選に女性として初めて立候補するなど、絶えず大衆の耳目を引く存在だったことは間違いない。 そしてしばらく鳴りを潜めていたと思ったら、今回の東京都知事選への立候補だ。座して死を待つような政治家でないことはわかっていたが、党の推薦なしに2位増田候補に110万票の大差をつけての圧勝、予想を裏切らない“強気勝負“に驚いた人も多かったろう。そして「都議会のドン」なる内田茂都議会議員を仮想敵に仕立て上げる”戦略家“としての顔を改めて国民に焼き付けた。「出る杭は打たれる」 この国において、突出した政治家であることに異論あるまい。小池氏がヒトラーなのか、どうか、などという議論は意味がない。我々有権者が知りたいのは、この「杭」が今後どう都政の闇にくさびを打ち込むのか、という一点だ。「出過ぎた杭は引っこ抜かれる」 そうならないことを祈る。

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    小池百合子にまんまと利用されたメディア

    両角敏明(テレビディレクター/プロデューサー)メディアゴンより転載 都知事選は小池百合子さんの圧勝でした。この結果にメディア関係者の中には、「どうにもすっきりしない何か」を感じている人もいるような気がします。ひとことで表現することは難しいのですが、小池百合子さんにあまりにうまく利用されてしまったという気分、と言えばご理解いただけるかもしれません。 もちろん、どの選挙でも候補者にとってマスコミ対策は今や最重要事項です。とりわけ都知事選ではマスコミが関心を持つ有力な候補者は数名ですから露出度は高く、国政選挙などとは比較にならないほどマスコミ対策が重要になります。福祉施設をたずねたりするパフォーマンスを取材させ好感度アップを狙うレベルならどの候補も同じです。小池さんはそんなレベルでは差がつかないことを充分ご承知ですから、マスコミが取り上げざるを得ないことを大胆に仕掛けます。【参考】<代案よりも容赦ない批判を>日本の野党による与党の批判は生ぬるい まずは都議会自民党をブラックボックスなど刺激的な言葉で決めつけて悪役に仕立て、正義のローンウルフが崖から飛び降りて正義の戦いに挑むかのような図式を見せつけます。ご自分が自民党都連の一員であることはお構いなしです。 テレビ討論では『冒頭解散』などという威勢の良いキャッチフレーズをかまします。不信任案が可決されないかぎり知事に解散権がなく、冒頭解散など非現実的であることは無視です。 こうした小池さんのやり方に対して自民党が推す増田さんが、「小池さんは劇場型に過ぎる」という趣旨の発言をしましたが、マスコミも冒頭解散をぶち上げる小池さんの魂胆は十二分に分かっていても、キャッチーなニュースを取り上げないわけにもいきません。 「都知事選挙における党紀の保持について」という小池さんへの応援を封じようとする自民党都連の文書はあまりに非常識で、小池さんにとってはごくおいしいエサでした。小池さんはこうした非道に対し、たった一人で組織と闘う女性というイメージをマスコミに乗せます。 安倍首相との会談を終え、記者の質問に答える東京都の小池百合子知事=8月4日午前、首相官邸.jpg さらに、石原慎太郎さんの「大年増・厚化粧発言」には、この暴言に切り返す形の発言をマスコミに乗せることで、おそらく10万票単位で増田氏に行くはずの女性票を小池票に変えたのではないでしょうか。 以降も小池さんは次から次へと度胸よくマスコミが食いつくような言葉やネタを提供し、これを取り上げることでマスコミは心ならずも小池さんのもっとも有能な運動員のごとき役割を果たすという構図が続きます。 そのうちになぜか好都合な週刊誌報道が世間を賑わします。鳥越さんのセクハラ疑惑や自民党都連のドン内田幹事長などが週刊文春や週刊新潮で取り上げられました。偶然なのでしょうが、いずれも小池さんへの強力な援護射撃のような形になりました。 「メディアは私の最大の味方ですから」とは小池百合子さんの言葉です。しかし今回の選挙報道においてメディアが小池さんの味方であろうとしたはずはありません。【参考】<三宅洋平氏落選>実態なき支持層が産み出した「選挙フェス」という都市伝説 ところがメディアは結果として小池さんに乗せられ、小池さんの言うとおりの「最大の味方」になってしまった感が拭いきれません。このことに忸怩たる思いを抱くメディア関係者もいるのではないでしょうか。 今回の小池劇場の大成功から、これからますます選挙ばかりでなく、政治をはじめとするあらゆる方向で、「メディアにうまく乗ろう」を越えて、「メディアをうまく乗せてしまおう」という動きが激しくなるに違いありません。その力はますます巧妙に、厚顔に、そして時として強権的にメディアに迫ってきます。 今日もテレビは小池さんや丸川オリンピック担当大臣の「お召し物の色の話」で盛り上がっています。相変わらずおふたりの魂胆にまんまと乗せられているようですが、メディアはいつも乗せられているだけの存在ではありますまい。そのうちきっと見せてくれるはずの、メディアの意地と知恵に期待します。関連記事<コレジャナイ>東京五輪公式アニメグッズの絶望的なダサさ<三宅洋平氏落選>実態なき支持層が産み出した「選挙フェス」という都市伝説<代案よりも容赦ない批判を>日本の野党による与党の批判は生ぬるい<選挙時だけの街宣に疑問>いまこそ政治家は「大右翼・赤尾敏」に学べ高学歴芸能人クイズ番組よりも、国会議員を集めた「政治資金がテーマのクイズ番組」を制作すべき

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    小池百合子の「新党構想」は外野の勝手な妄想

    室伏謙一(政策コンサルタント) 東京都知事選挙は、無所属で元環境大臣の小池百合子氏が291万2628票、得票率にして44.5%で圧勝した。 小池氏の選挙戦、特に後半において顕著だったが、政策を訴え、それに賛同して支持者が集まるというよりも、「百合子グリーン」と称して緑色のものを身につけたり手に持ったりして、一体感が醸成され、それに加わりたい人、人が大勢集まり熱気に包まれているのでそれに引き寄せられてきた人、そうした人達の集合体が小池氏の街宣車を取り巻いているといったもの。緑色のポロシャツを着たスタッフと小池百合子氏=7月14日、東京・池袋駅前 選挙というより人気芸能人のイヴェントにファンから野次馬までが集まっているといった方がいいような状態であった。(熱が冷めて、落ち着いた心境に戻った時、「ファン」達は何を思うのだろうか?) 何はともあれそうした「ファン」に支えられて小池氏は当選し、都知事に就任したわけであるが、選挙戦で声高らかに主張していた都議会との対決は鳴りを潜め、協調路線に変わっている。首長と地方議会は二元代表制とは言っても、是々非々で、時には協調することがあってしかるべしであり、程よい緊張感の下であれば協調路線自体は悪いことではない。 しかし、この豹変ぶりというか路線変更、最初からそのつもりだったのか、それだけ状況に流されやすいということなのか。小池氏の選挙戦を見ている限り後者のようにも見えるが、筆者は別の見方をする。すなわち、最初から都議会と対決するつもりなどなく、自民党と対決するつもりもなかったのではないかということ。 まず、自民党東京都連幹事長の内田茂都議、「都議会のドン」とも呼ばれ、選挙期間中に週刊誌で内田氏を巡るスキャンダルが報じれらたことも受けてか、小池氏の都議会批判における格好の標的になっていたようで、小池氏が各会派への挨拶回りをした際にも対応しなかったと報じられている。そもそも都議会自民党自体が小池氏を敬遠しているようであり、小池氏側から融和を求めても都議会自民党がそれに応じない、したがって結果的に対立することになるのではないか?というのが大方の見方だろう。 しかし、都議会自民党からすれば公認しなかった候補に大差をつけられて敗北したところ、そう簡単にヘコヘコ「よろしくお願いします」とも言えまい。しかも都議会自民党が一枚岩とは限らないし、党本部と同じ認識とも限らない。むしろ時限的、局地的話なのではないかと思う。喉元過ぎれば熱さ忘れる、ではないが、気がつけば仲良く協調体制ということになっているのではないか。 さて、次の点、その小池氏、就任早々、公約に掲げていた「都政大改革」のうち、情報公開の徹底と東京オリンピック関連予算等の検証のため、「都政改革本部」なるものを設置する方針を示した。この組織、小池知事を本部長として有識者や都議等で構成される本部の下に、情報公開と東京オリンピックの調査のためのチームを設けて調査等を進めるというもので、必要に応じて他の事項についてのチームも設けることとされている。大阪維新の会と似ている既存政党との対立 この話を聞いて、パッと頭に思い浮かんだのは、大阪府市統合本部(大阪都構想の否決を受けて一旦廃止され、現在は副首都推進本部と名称を変えて新たに設置されている。)。無論大阪は府市統合や二重行政の排除が目的で、東京は都政が抱える課題の解決のための調査が目的であり、両者では異なるが、首長を本部長とする組織を新たに設けて物事を進めるというやり方という点では類似している。(◯◯本部というものはあるが、公約に掲げたことを実施するために任期当初からというのはあまり見られないように思う。) 加えて、選挙中においては敵を「既得権」とし、それと闘うことを主張、既存政党とは一線を画した戦いを展開した。こうした点も大阪維新の会と似ている。そうしたことから、小池知事は小池新党を旗揚げして、大阪維新の会等と連携していくのではないかという、憶測というより期待が高まっているようである。「既得権を打破して、新しい都政を築いてくれる!」といったように。(もっとも、「既得権」とか「新しい都政」といった言葉はフワっとしていて曖昧であり、勝手に期待している人の中で、具体的かつ明確に説明できる人はほとんどいないのではないかと思うが。) しかし、本当に新党を作るまでして本気で自民党と対決するつもりなのだろうか?対決するとなると都議会自民党全てを敵に回すことになるが、その覚悟があるのだろうか?大阪維新の会の場合、母体は府議会や市議会の自民党であり、自民党を飛び出して新党を結成している。小池知事は自民党であり、処分はいまだ行われていない。つまりまだ自民党員である。東京都議会の本会議場 そもそも出しているのは離党届ではなく進退伺。「崖から飛び降りるつもり」と啖呵をきっていたが、議員辞職を願い出たわけではなく、公職選挙法に基づく自動失職。小池知事の支援に回った都議や区議はいるが、自民党もいれば自民党以外もいる。そしてその数は多くはなく、新党を旗揚げしても少数勢力に止まる。(多数を敵に回して味方が少数では「大改革」のための施策は何も決められない。)その上に、都議会との協調発言である。 こうした事実のどこに小池新党旗揚げにつながる鍵や糸口があるというのだろうか?つまり、小池知事は都議会と対立するつもりも対決するつもりもはなからなく、新党など考えていないのではないかということである。もっと言えば、小池新党は、外野の勝手な期待というか妄想なのではないか。 さらに、穿った見方をすれば、立候補にせよ小池知事の主張する「大改革」にせよ、都議会自民党や自民党東京都連の新陳代謝を図ることが目的で、実態は自民党別動隊なのではないかと思われてならない。代謝が上がって「血行」がよく、「健康体」になった都議会自民党や都連とは、「両輪」の関係で都政を進めていく、そんな姿が遠くはない将来見られることになるのではないだろうか。(公式ブログ2016年8月3日分を転載)

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    「東京アニメランド構想」 小池百合子は有言実行の都知事か

    おときた駿(東京都議会議員) お盆といえば帰省に祭りに夏休みといったところかもしれませんが、一部のクラスタ(階層)にとっては重大なイベントが開催される時期であります。そう、コミックマーケット(コミケ)だっ!年に2回、東京ビッグサイトで行われる創作活動の祭典。全国津々浦々からヲタク…いや、創作活動を愛するすべての人々が結集し、その来場者数は一度のイベントで鳥取県の人口を上回ると言われています。鳥取県…。 ここ数年は、表現の自由を守るために積極的に活動している前参議院議員の山田太郎さんとともに、この会場付近での街頭演説会に参加させていただいております。今回はおぎの稔・大田区議会議員(お維新)、森たかゆき・中野区議会議員(民進)なども参加し、さながら表現規制に反対する超党派議員の集いのような形にもなりました。同人誌即売会「コミックマーケット」(コミケ)に並ぶ人々 さて、私が今回中心的にお話させていただいたのは、やはり皆さまも関心が高い小池新都政について。小池百合子知事といえば、選挙中にSNS上で堂々と「コミケ応援宣言」をぶちあげ、また秋葉原の街頭演説においては「東京をアニメランドにする」という公約を掲げたことも話題になりました。「小池百合子氏 秋葉原でアニメ公約『東京全体をアニメランドに』(デイリースポーツhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160717-00000079-dal-ent) とはいえ現時点では、どのようにコミケを応援するのか・東京をアニメランドにしていくのか、具体的な政策が示されたわけではありません。ゆえに今後の方向性については、様々な憶測や不安の声が飛び交っているわけですね。参考:「小池百合子候補の『コミケ応援宣言』、その真意は?表現の自由について直接聞いてきた」(http://otokitashun.com/blog/senkyo/12048/) 私は知事が「コミケ応援宣言」を出したことはプラスに働くと思いますし、「アニメランドを目指す」ことも良いのではないかと思います。ただ、そうであれば、取るべき政策指針はたった一つです。「ハコの用意だけ支援して、あとは放っておく」。これこそが最強の文化・産業振興に他なりません。とりわけ、創作活動の分野においてはなおさらです。 古今東西、政府や行政がお金を出してコンテンツ産業を支援しようとして、ロクな結果になった試しはありません(例:クールジャパンなど)。官僚や役人に「目利き」ができるはずがなく、良いコンテンツは放っておいても市場に評価されることは、様々な事例が証明しています。それこそまさに、「コミケ」がほぼ自力でここまでの一大産業にのし上がったことが、その最大の証左ではないでしょうか。 ここで東京都や行政が余計な首を突っ込んで、「良い作品」に奨励金を出したり、イベントに補助金を出そうものなら、確実に歪みが生まれます。作品の善し悪しを権力者が評価することはいずれ表現規制につながる恐れがありますし、補助金は依存体質を生みだして、産業や関係者たちそのものをスポイルしかねません。アニメやゲームを始めとする日本や東京のコンテンツ力は、誰もが認めるところだからこそ、いまできる最大の支援は「放っておくこと」に他ならないのです。 この点については私も、議会質問などを通じて知事や都政にしっかりと提言していきたいと考えています。一方で、影響力のある知事が自ら「応援宣言」をすることは、認知を広げることにもなりますから引き続きどんどんやっていただきたいと思いますし、いずれコミケの現場にもぜひ足を運んでいただきたいなと期待しています。 また、2020年東京五輪の際には、コミケ会場となる大きさのハコが利用できないのではないかという懸念も存在します。これだけの規模になると、どうしても公共スペースを使わざる得ませんから、そうした場所の確保という点については引き続き対応を求めていく所存です。 山田太郎さんは残念ながら民間人に戻られましたが、前回よりも確実に聴衆の数が増えています。彼が参院選で獲得した29万票という数字は、確実に政治の世界にインパクトを与えているはずです。権力者によって表現の自由が侵されることのないよう、引き続き皆さまの厳しいチェックを注ぎ続けていただければ幸いです。(おときた駿公式ブログ 2016年8月13日分を転載)

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    老人党3氏 小池百合子都知事、森喜朗氏について激論交わす

     故きを温ねて新しきを知る。内閣改造や新都知事、そして天皇の生前退位といった最新ニュースの深層は、戦後政治史の経験と蓄積がなければ読み解けない。そこで、本誌恒例の老人党座談会を緊急招集した。村上正邦氏(84)、平野貞夫氏(80)、筆坂秀世氏(68)の3氏が存分に語り合った。村上:安倍総理はいつまで天下を謳歌できるかねぇ。都知事選では小池百合子が勝った。筆坂:だいたい覚悟が違うよ、小池百合子は。もしあれで負けてごらん。自民党から除名され、年齢的にも政界復帰なんて不可能ですよ。本当に退路を断って都知事選に挑んだわけで。会談前に握手する、東京五輪・パラリンピック組織委の森喜朗会長(右)と東京都の小池百合子知事=8月9日午後、東京都港区(代表撮影)村上:あの状況で小池が勝つという見通しができないんだから、与党首脳たちの政治センスを疑うよ。世界では今は女の時代だ。アメリカの大統領選でもヒラリーが勝ちますよ。イギリスもドイツも女性首相でしょう。小池はちゃんと流れを見ている。筆坂:あんな選挙、私は初めて見たよ。最終日の池袋の駅前、5000人を超していたけど、一人も組織票がいないんだよ。そんな選挙なんて、今まで例がないですよ。平野:これは、既成政党に対するあきらめと、怒りですよ、都民の。村上:ま、私は大嫌いだけどね、小池百合子(笑い)。筆坂:へぇ、私は大好きですよ(笑い)。平野:中国後漢時代の政治家、傅幹の言葉に、「徳に順じる者は盛え、徳に逆らう者は滅ぶ」ってのがあってね……。──どういう意味ですか?平野:人徳がない人は……というね。要するに、彼女はみんなを裏切ってきたってこと(笑い)。村上:小池は本気で都政改革をやるとか、東京都連にメスを入れるとか叫んでるけど、できやしませんよ。平野:森(喜朗)さんともあっさり仲直りした。村上:そうそう。結局、自民党の方針に従ってる。もっとも、わが老人党の山口敏夫(元労働相)さんを含め、他の候補者も物足りなかったけどね。新宿まで山口さんの演説を見に行きましたよ。山口さんから電話がかかってきて、「村上さんを選挙責任者にしましたから」って言うから、「そうか、そうか」って(笑い)。筆坂:私にも「一つ、演説をお願いします」って電話があった。勘弁してよ、なんで私が(笑い)。村上:私が筆坂先生を応援弁士に推薦したんだけどね。山口さんが「俺の応援でなくてもいいから、好きにしゃべってくれ」って言うんだもん。最後は山口さんも小池の応援してたよ(笑い)。だけど、森をやめさせろという一点突破で、結局、内輪の話なんだよな。平野:それが都知事選のテーマかどうかという議論はあったけど、アピールの仕方としてはよかったんじゃないですか。村上:うん。五輪にしても、豆腐じゃないけど、何兆(丁)もかかって、そういう話を持ち出すのはいつも森なんだから。スポーツに政治が絡むと汚くなるから、人を慎重に選ぶべきなのに、もっともふさわしくない人間を組織委員会の会長にしてしまっている。筆坂:私も山口さんに基本的に賛成だね。なんで、すでに成熟しきった東京で五輪をやる必要があるんだと。五輪って一大利権なんですよね。村上:全部金なんだよ、五輪にまつわる金。なんで森を辞めさせられないのかというと、安倍政権だからだよ。筆坂:それはそうだね。安倍政権でなければ、とっくにクビになっているはず。本来なら彼自身が身を引くべきなのに、辞めない。平野:森政権をつくったところから自民党はおかしくなって、日本の議会制民主主義が揺らぎ始めた。この話をすると、ちょっと耳が痛い人がいるかもわからんけど(と言って村上氏に視線を向ける)。村上:う~ん(苦笑)。あのときは、キャリアからいって森が一番と、誰しも思ったわけですよ(※注)。私はそれを代弁しただけで。ところが、その後の森の身の処し方が下世話なんだよ。【※注/2000年に小渕恵三・首相が倒れた際、森喜朗氏、青木幹雄氏、野中広務氏、亀井静香氏、村上氏の「五人組」による密室会談で森氏を後継首相に決めた経緯のこと】●村上正邦/1932年生まれ。自民党。参議院4期。労働大臣、参議院自民党幹事長、自民党参議院議員会長などを歴任。●筆坂秀世/1948年生まれ。日本共産党。参議院2期。政策委員長、書記局長代行、中央委員会常任幹部会委員を歴任。●平野貞夫/1935年生まれ。参議院2期。自民党、新生党、新進党、自由党、民主党などに所属。元自由党副幹事長。※週刊ポスト2016年9月2日号関連記事■ 爆笑問題・田中裕二 交際に至ることなく山口もえにフラれた■ 森喜朗氏 4年後の都知事選で「小池vs丸川」狙いか■ 小池里奈 初挑戦のヒモ水着ほか盛りだくさんのビキニ姿披露■ 小池里奈 体操着でプールに飛び込んだら下が透けてしまった■ 故山口洋子さん スターになり散財する五木ひろしを叱った夜

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    小池都知事が提案の「2階建て車両で満員電車ゼロ」は望み薄

     交通渋滞は世界中で解決が望まれる問題だ。先日、中国では、他の乗用車が下をくぐれる立体構造の巨大バス試験運用が始まった。東京では、通勤時の満員電車が何十年も解決が待たれている問題だ。小池百合子新都知事は選挙で「満員電車ゼロ」を公約に掲げ、解決策のひとつとして2階建て車両の導入を提案している。フリーランスライターの小川裕夫氏が、2階建て車両は満員電車解決に結びつくのかについて検証する。 *   * *  7月31日に投開票された東京都知事選挙は、小池百合子さんの圧勝で幕を閉じた。小池新都知事は選挙戦から目玉政策として「満員電車の解消」を訴えてきた。確かに、通勤・通学時で満員電車に乗ることはそれだけでストレス指数が一気に跳ね上がる。学校や会社に到着する前に、すでに疲労困憊なんて人も多いだろう。かつて通勤電車だった2階建て車両は現在湘南ライナーなどに 満員電車がなくなる――そんな小池新都知事のアイデアに賛意を示した人も少なくない。これまでにも、鉄道会社は混雑緩和策を講じてきた。それでも、満員電車はなくなっていない。小池新都知事の誕生で、本当に満員電車はなくなるのだろうか?  現在、東京のラッシュ時間帯は各路線とも混雑率100パーセントを超えている。もはや、満員電車は東京名物。満員電車がなくなれば、通勤地獄からも解放される。誰しもが満員電車に乗りたいと思っているわけではないから、「満員電車をなくす!」と宣言されれば、反対はしないだろう。しかし、そんな魔法使いのようなことが、都知事にできるのか?  小池新都知事は満員電車をなくす方法として、2階建て電車の導入を訴えていた。絶大な権力を持つ東京都知事だとはいえ、さすがに民間企業に指示は出せない。小池新都知事が2階建て電車の導入を指示できるとしたら、それは東京都交通局になる。 早速、東京都交通局に問い合わせてみると「2階建て電車を導入する予定はありませんし、検討もしていません」(東京都交通局総務部お客様サービス課)とキッパリ。 東京都交通局は地下鉄4路線を運行している。2015(平成27)年の統計で、もっとも混雑しているのは大江戸線7時50分~8時50分までの中井駅→東中野駅間(矢印は行先)で153パーセント。この混雑率は東京圏のほかの鉄道会社と比べて、むしろ低い部類に属する。 東京メトロは、もっとも混雑率が低い日比谷線でさえ三ノ輪駅→入谷駅間(7時50分~8時50分)が153パーセント、混雑がもっとも激しい東西線にいたっては木場駅→門前仲町駅(7時50分~8時50分)で199パーセントとなっている。 JRは、どの路線も平均して混雑率は高く、もっとも混雑が激しい総武線(緩行)の錦糸町駅→両国駅間(7時34分~8時43分)が199パーセント。私鉄でもっとも混雑している小田急線は、世田谷代田駅→下北沢駅(7時46分~8時48分)が191パーセントとなっている。本当に2階建て電車を走らせることは可能か もちろん、さらに混雑率を下げて快適に通勤できるような環境づくりを進めることはいいことだろう。しかし、本当に2階建て電車を走らせることは可能なのだろうか? 実は小池新都知事が提唱する以前から、JR東日本は2階建て電車を運行している。それが、1992(平成4)年に登場した215系だ。 それまでにも、二階建て電車がなかったわけではない。215系が注目された理由は、それまでの2階建て電車が主に観光目的としていたのに対して、通勤用の電車だったからにほかならない。215系は、一人でも多くの人が座って通勤できることをコンセプトにしていただけあって、10両編成で総座席数は1010もある。 これだけの座席があれば、満員電車はなくなる。当初はそう考えられていた。ところが、事態はそう簡単に進まなかった。215系はオール二階建て車両のため、1両にドアが2つしか設置できない。そうなると、乗り降りに時間がかかってしまい、遅延が続発。215系の導入によって、かえって混雑は激化した。 現在、鉄道会社は混雑対策としてスムーズに乗降ができるように1両あたりのドアの数を増やしたり、ワイドドア車を導入するなどして対応している。 JR東日本は東海道線や横須賀線、宇都宮線、高崎線などでグリーン車のみで2階建て車両を導入しているが、これらはあくまでも乗車時間が長い利用客をターゲットにしている。山手線のように乗車時間が5~10分の路線に2階建て車両は不向きなのだ。 実際に東京都交通局が取っている混雑対策は「新宿線の一部電車を8両編成から10両編成に切り替えて輸送力を強化しています」(同)ぐらいしか手がない。 8月6日に配信された東洋経済オンラインのインタビューで、小池新都知事のブレーンの一人とされる交通コンサルティング会社・ライトレール社長の阿部等さんが二階建て電車について語っている。同記事によると、阿部さんが考える二階建て車両は215系など従来のような内部を2層構造にした2階建て車両ではなく、ホームを2階建てにし、車両も総2階建てのものだという。 しかし、そんな車両を走らせても、電車がトンネルや跨線橋を通過できない。駅や架線などの電気設備も改造しなければならない。莫大なコストがかかる上に、長期の工事が必要になる。その間、山手線は全線運休を余儀なくされるだろう。 選挙期間中、ネットでは魔法使いサリーに扮した小池候補の写真が拡散されて話題を呼んだ。小池都知事が本物の魔法使いではない限り、2階建て電車の導入で満員電車をなくすことは非現実的だ。 東京都が取り組める現実的な満員電車緩和対策は、鉄道車両や駅の改良といったハード面ではなく、フレックスタイム制の導入、自宅勤務の奨励といった働き方改革、つまりソフト面にあるといえるのかもしれない。関連記事■ 森喜朗氏 4年後の都知事選で「小池vs丸川」狙いか■ 都知事は戦後わずか6人 都知事の権力や仕事を分析した本■ 猪瀬知事 壇蜜に一緒に飲みたい願望告げるも軽くかわされる■ 新都知事候補 最有力・小池百合子氏を直撃■ マック赤坂氏 都知事選で明菜や聖子の曲を流した真意

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    小池知事の改革は「都議会のドン」の首を取って終わりではない

    三浦瑠麗(国際政治学者)日本政界を代表する主要3陣営 都知事選の総括は、各方面で行われています。小池氏の圧勝という結果を解釈すること自体はそれほど難しいことではないでしょう。今般の都知事選の主要三候補は、過去20年ほどの日本政治の典型的な3つの陣営を代表していたように思います。 鳥越氏は、退潮傾向の左翼陣営を代表していました。分配重視の経済政策と、改憲、原発などの政治性を帯びる論点では一様に政権の反対を唱える政策スタンスです。それでも、参議院選挙の野党4党の得票数を見れば、左翼陣営にも200万票を超える「基礎票」があったはずなのだけれど、候補者本人の資質の部分があまりにお粗末でした。女性の人権をめぐる点について、事実はともかく、説明責任を果たさなかったことでリベラルな価値観を持つ有権者は離れてしまいました。左側を代表する識者の多くが、この点をあいまいにして、政権と対峙することを優先したことも、日本のリベラリズムに禍根を残すのではないでしょうか。 増田氏は、官僚と与党のボス達が差配する旧来の統治階級を代表していました。政策スタンスは、現状の政治経済システムに満足しているという大前提から導かれています。下から上がってきた新しいアイデアを採用することはあるし、制度の破たんを回避するような弥縫策は打ち出せても、局面を打開するようなリーダーシップはありません。村社会の掟に対して忠実ですから、そもそも、リーダーシップを貴ぶという文化そのものと相容れないわけです。もちろん、村社会のボスには物事を動かす力が備わっていることもあるけれど、増田氏は、都議会やオリンピック組織委員会のボス達に「使われる」立場であることが、あまりにも明らかでした。私自身は増田氏本人の岩手県知事時代の実績や、氏の代表作でありベストセラーとなった『地方消滅』に透けて見える世界観に大いに疑問を持っていますが、今回は、それ以前の問題であったということでしょう。東京都知事選で落選が決まり、自民党都連の石原伸晃会長(左端)や内田茂幹事長(左から3人目)らの前を通り、あいさつに向かう増田寛也氏(右端)=7月31日 小池氏は、過去20年間の「改革」の気運をもたらした勢力を代表していました。日本新党から政界に進出し、小沢氏、小泉氏、安倍氏と、その時代時代で改革の気運を代表するリーダーに重用されてきました。「気運」という言葉を繰り返すのは、これらのリーダーが本当に改革を志向していたのか、はっきりしない面があるからです。ただ、気運として改革志向であったことは間違いないでしょう。今では90年代的な香りがする言葉ではあるけれど、その内実は、外交安保でいけば「普通の国」という方向であり、経済でいけば「フリー・フェア・グローバル」という方向に向けた改革です。もちろん、小池氏本人には、初の女性都知事という錦の御旗もありました。 鳥越氏に女性スキャンダルが持ち上がったこと、増田氏立候補の過程で東京都連の旧弊で陰湿な雰囲気が明らかとなったことで、女性候補である価値は格段に高まったことでしょう。自民党支持者はともかく、公明党支持者からも、共産党支持者からも小池氏支持が一定の割合を占めたのは、この辺りによるのではないでしょうか。都知事に求められる「実務能力」都知事に求められる「実務能力」 今回の都知事選をめぐっては、2代続けて都知事が政治とカネをめぐる問題で辞任したことで、「実務能力」という言葉が盛んに語られました。今から振り返ってみれば、官僚出身者を候補者として擁立したい勢力が仕掛けたキャンペーンだったように感じますが、その過程で前提とされた「実務能力」の内実には強い違和感を覚えました。知事に求められる実務能力は、役所の中で稟議書を効率よく回す能力ではないし、ボス達の言うことを聞き、地方政界にはびこる利権構造と「うまくやる」ことでは断じてありません。まあ、さすがにそれは論外であるというのは多くの国民が同意することでしょう。 リーダーに求められる実務能力ということには、いくつかの段階があります。一つは、組織の規律や効率的な運営にかかわる点です。現在の東京都で行けば、情報公開がひどく遅れていることや、公共事業に関してやたらと随意契約が多く、ボス達の周りに多くのクローニー(=既得権を持つ業者など)の存在を感じることです。これらの現象に対しては、情報を徹底して公開し、競争入札を強制し、他の都市や民間企業と徹底して比較することで風通しは良くなります。言ってみれば基層としての実務能力です。 同時に、しかし、リーダーには政治の大きな方向性を語るビジョンが必要です。それは、東京という都市がグローバルな競争でどうやって生き残っていくかであり、喫緊の課題である待機児童や待機高齢者をどのように乗り越えるかであり、防災や物流のインフラをどのように更新していくかということです。東京という都市が日本に占める地位がとても高いことから、このビジョンは、同時に日本のビジョンでもなければいけません。それは、都市と地方の格差の問題であり、人口動態の問題であり、道州制などの統治機構をめぐる問題です。 しかし、都知事ともなると基層としての実務能力とビジョンだけではダメなのです。両者をつなぐ「高度な実務能力」というか、ビジョンを実現するための実務能力であり政治力が必要なのです。これは、ビジョンを示すこととは異質のものです。極端な話、発想力や洞察力があればビジョンは示すことができるし、書店に行けば、いくらでもビジョン本が並んでいます。 ビジョンとは、その政策をめぐる論点と利害関係者を幅広く理解し、関係する法令や規則を把握し、世論と多数派を味方につけ、ときに妥協もしながらでないと、絶対に実現することはありません。それは、「現状維持の暴力」と戦うことであり、途方もないような忍耐力を要することです。当然、改革を支えるチームの求心力を維持するだけの人間的魅力も必要になるでしょう。 都知事に求められるのは、そこまで含めての「実務能力」であって、お役人の「実務」の能力とはまったく異なるものです。小池氏にそのような実務能力が備わっているかどうかは、未知数です。そもそも、日本の政治家にせよ、官僚にせよ、作家にせよ、経済人にせよ、そのレベルで実務能力を試されてきた方はほとんどいらっしゃらない。好き嫌いはあるにせよ、石原都知事や橋下大阪市長が発揮してきた実務能力が最も近い例でしょう。有権者は、小池氏にセンスを感じたのだと思います。小池氏には、それらの例にも学びながら、結果から逆算して戦略を立ててもらいたいと思います。内田氏の首をとって終わりではない内田氏の首をとって終わりではない 開票直後、小池氏の圧勝と、自民党支持者の過半数が小池氏に票を投じたという現実を前にして、さすがに自民党の東京都連は意気消沈していました。それでも、石原伸晃会長は、「いまでも増田氏が都知事にふさわしいと思っている」という趣旨の発言を行い、「捲土重来」という言葉を使いました。その意味するところははっきりしませんが、都議会自民党と、小池氏との対立が激化し、両側からスキャンダルが噴出するような政局含みの展開は、まあ、いかにもありそうです。初登庁し、川井重勇都議会議長(右)へあいさつを行った小池百合子都知事=8月2日(春名中撮影) そんな中、元都知事の猪瀬氏の記事や発言から、都議会のドンとして内田茂氏への注目が高まっています。小池氏がブラックボックスと批判するボス政治の象徴として、今後、内田氏の首を取りに行くような権力闘争が行われることでしょう。それはそれで政治の必然的な作用でもありますから、良いと思いますが、政治の浄化作用をそれだけで終わらせてはいけないと思います。日本の政治の利権の問題、東京の政治の不透明さは、構造の問題であって、一人のボス政治家のキャラの問題ではないからです。取り除くべきは、構造であって特定の人物ではありません。 オリンピックの準備をめぐって噂される利権の問題は、もう少しスケールの大きな課題です。資材費や建設関連の人件費が上昇しているからと言って、当初の計画からオリンピック関連予算が2倍にも3倍にもなって、兆円単位の誤差が生じているのは異常です。不透明なカネの流れが国際的にも指摘されていますから、日本という国の信用の問題として、この国には自浄作用があることを示していただきたいと思います。 そこでは、成熟国のオリンピックとして、コンパクトに設計するという原点に立ち返る必要があるでしょう。北京五輪や、ソチ冬季五輪のような国威発揚型ではない、スポーツを通じた個人やコミュニティーの可能性を引き出すというコンセプトを打ち出してほしいと思います。小池氏は、オリンピックの組織委員会に集う政財界のボス達と協力して実務を進めていく必要があるわけですが、民意のバックアップがあるのは自分であると自信をもって接してほしいと思います。オリンピックという国を挙げての事業でありながら、組織委員会にはなんの民主的基盤もないわけですから。日本政治の構造を決める二つの問日本政治の構造を決める二つの問 小池氏は、日本政治の構造を変える触媒となるかもしれません。期待も込めて、そのような見方をする識者が出てきています。確かに、都知事には、直接的にコントロールできる領域を超えて、メディアの注目度も高く、大きな政治運動の中心となる可能性があります。衆議院でいけば、東京には小選挙区で25の議席があり、比例代表でも17の議席があります。東京での動きが、周辺の県にも広がるとすればより大きな勢力となり得ます。小池氏にそのようなビジョンがあるか、そのような力量があるかは、見極める必要がありますが。 今後の日本政治をめぐる構造は、大きく三つの勢力へ収れんしていくのではないかと思っています。その構造を分けるのは、極めて単純な二つの問です。言われるまでもなく、激しく乱暴な単純化です。 一つ目の質問は、「輝け憲法!と思っている」か否か。つまり、憲法9条をまるごと守ることを自らの政治的アイデンティティーの根幹に置いているかという点です。この問に、Yesと答える方は戦後日本的な護憲派「リベラル」です。今日の世界におけるリベラルとは似て非なるガラパゴス的な存在ですが、引き続き、人口の2-3割が当てはまるでしょう。 二つ目の質問は、「自分は利権につながっている」と思っているか否かです。この問にYesと答える方は、自分の生活の基盤が、公的な支出や、特定の制度や、許認可によって支えられていると感じている。特定団体への帰属を自らのアイデンティティーの根幹に置き、○○先生にはお世話になったから、あるいは、○○先生のお父様にはお世話になったからという理由で投票先を決める方も、広くはこの区分に入るでしょう。伝統的な村社会を肯定し、そこから利益も享受する層であり、こちらも人口の2-3割が当てはまるでしょう。 双方の問にNoと答えた方は、言ってみれば、「その他」の方々です。その中には、環境問題が大事であるとする方もあれば、子育ての環境が大事な方もあれば、年金が保護される方が大事な方もあるでしょう。最重要の論点が何であるかは異なりますが、多くは、その時々の政治情勢に応じて投票先に柔軟性を持っています。投票先を決める以前に、価値観の根本に、現実主義的で、個人主義的な発想を持つ層です。人口の半分はこの区分に入るのではないでしょうか。 戦後日本的護憲派リベラルは、野党4党の中の左派に対応し、伝統的村社会的保守主義は自民党の主流派に対応します。安倍政権は、当初は現実主義と個人主義を基盤とする都市型保守の感覚を前面に出していましたが、新たな党三役の布陣を見れば先祖返りしていることは明らかです。今もって高い内閣支持率を集めているのは、その信頼が、一定の層の間では、崩れていないからであり、より直接的には日本政治に都市型の保守主義を代表する勢力がほぼ存在しないからです。 小池氏は、ひょっとすると都市型の保守主義を代表する勢力の結集を進める触媒となるかもしれない。今般の選挙の結果は、すくなくとも、淡い期待があることを示したのではないでしょうか。(ブログ「山猫日記」より2016年8月3日分を転載)

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    オタクを敵視するなかれ、小池氏よ「コスプレ都政」を目指せ!

    田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授) 激戦が予想された東京都知事選だったが、蓋を開けてみると、小池百合子氏の圧勝だった。特に序盤では(国政レベルでの)野党統一候補として話題になった鳥越俊太郎氏とはダブルスコア、「保守分裂」となった増田寛也氏にも大差をつけるものだった。小池氏は都内全域でほぼ首位を占め、特に女性層と無党派層の両方からは圧倒的支持をうけた。 筆者は小池氏の街頭演説を二回直接見に行った。彼女の地元といえる豊島区と練馬区の両方、それぞれ選挙の序盤戦と終盤である。また多摩地区や島しょ部での演説も動画でチェックしてきた。まずそこでも年齢を問わずに女性の支持が厚かったのが目立った。これは今回の選挙の最大論点として、女性の生活のあり方(子育て、雇用、介護など)に注目が特に集まったことも反映しているだろう。この問題点について、小池氏の演説は論点を明確にし、なによりもその言葉は滑舌のいい説得力をもったものだった。東京・秋葉原駅前で有権者らに手を振る小池百合子氏=7月17日 またここが肝心なのだが、他陣営は「極右」的なイメージや、また「新自由主義的」なイメージを、小池氏に重ねて批判していた。だが彼女の公約も、また彼女自身が演説や討論会で述べた言葉も、むしろ欧米リベラル的な社会的弱者(女性、こども、介護の必要な老人たち)への目配りを全開にした政策観を内容としていた。 この欧米リベラル的な態度は、現在の安倍政権が採用するものであり、小池氏はそれを都政の水準で選挙戦略として採用していた。筆者からみると、安倍政権の底堅い支持は、この欧米的なリベラリズム(福祉国家志向)にあり、また同時に対抗勢力の無策に助けられている成果だと思っている。小池氏はその「安倍的なるもの」をそのまま都政のレベルで実現すると訴え、さらに「草の根」的な支持を集めたのだろう。実際に、二回行った街頭演説では何十分も前から女性たちが集まっていて、耳をすましていると「誰にいれるか決めてないが、小池さんの話す内容をまずきいてみたい」という声も聞こえた。小池氏の従来の支持層とは明らかに異なる人たちが集まっていたわけである。これは驚きであった。波紋を呼んだ「コスプレツイート」 このような都民の人気を背景にして、彼女は選挙中から公言していた都政・都議会のあり方の改革をしていくわけだが、その中心になるのは情報公開だという。筆者はこの姿勢に賛成である。また情報公開をすすめることが、彼女がとりあえずの「敵」として想定している自民都連の「伏魔殿」的イメージに抗するうえで有効な手段といえる。 情報公開を利用して「抵抗勢力」と闘うというイメージ作りは、今回、小池氏を場外から事実上アシストしていた猪瀬直樹元都知事が、小泉政権のときの道路公団改革で頻繁に活用していた手法でもある。ただ注目すべきは、小池氏が「抵抗勢力」のイメージをある程度までは利用するが、柔軟に交渉型の姿勢に転じる可能性があることが、昔の小泉純一郎氏や猪瀬直樹氏らとの違いだ。実際に当選をうけた後の記者会見では、都議会との連携を強く示唆していた。魔法使いサリーちゃんのコスプレをした小池百合子氏(中央)の7月17日のツイート さて、筆者が選挙中に注目していたひとつに、小池氏の7月17日のツイートがある。ツイートには「私は東京を文化の発信地にしていきます。コミケ開催地も出版社もその多くが東京にあるのです。東京都が総力を挙げて、コミケを応援します!」とある。この発言と、魔法使いサリーちゃんのコスプレをした小池氏の姿が、選挙中にネットでかなりの話題になった。 なぜなら小池氏は2010年のいわゆる「非実在青少年」規制論争では、「規制」側の人物と考えられていて、マンガやアニメを愛好する人たちとは対立したイメージがあったからだ。しかしJ-CASTニュースの記事で紹介された、彼女の選対幹部の話では、そのイメージは間違いで、むしろ彼女は国のクールジャパン政策と同様に、マンガやアニメを都の文化政策として重視しているらしい。その意味で表現の自由に重きを置いている態度だという。これは実際に彼女の、規制緩和や民間の意志決定を重視する市場重視型の姿勢と親和的なものではあるだろう。 だが他方で、なぜ石原慎太郎知事時代にマンガやアニメなどの規制が話題になったのかを考える必要がある。それは当時の東京オリンピックの誘致活動と切り離せないもので、海外での日本のマンガやアニメの一部における性的な表現への批判を気にしてのものだといわれているからだ。4年後にオリンピックを控え、これからもこの表現規制をさらにすすめる声がおきても不思議ではない。「見たこともない都政」が実現できるかもしれない ではそのとき、どのように議論されるべきだろうか。いまの都議会は基本的に個々の議員の政策能力不足、また政策研究費に該当する「お金」の不足などが顕著である。また特に問題なのが、2010年の非実在青少年の規制問題のときも露呈した、条例案の内容を事実上決めていたのが「青少年問題協議会」であったことだ。これは都議会議員ももちろんメンバーだが、都の職員や利害関係者も多数加わる形で事実上条例案が決定されていた。だから、都議会ではほとんど議論することなく、短時間で議決がはかられる。2010年のときは当時の民主党などの異論を受けたが、結局修正付きで条例案は可決されている。つまりこの協議会や審議会などの「委員会」が事実上の勝負の場となるわけだ。 確かに現在はマンガやアニメなどの表現規制が喫緊の政策課題としてはあがってはいない。しかしこの種の動きは常に胎動している。もし小池氏が本当に日本のマンガやアニメを大切にするならば、このような協議会や審議会などの場に、より広範囲な「利害関係者」、前回は排除されていたマンガ家やアニメの制作者たち、そして消費者代表として発言したい「オタク」や、市民も積極的に参加させるべきだろう。そして審議内容はリアルタイムに動画などで公開し、議事録も遅滞なく公開していく。ニコニコ動画で流すのもありだろう。このような情報公開の工夫に加えて、都議会議員たちがより勉強できるようなインセンティブづくりも必要だ。具体的にはやる気のある議員にはどんどん政策研究費を割り当てるなどの仕組みが考えられる。 このような情報公開と個々のやる気のある議員へのアシストを、小池新知事が精力的に行えば、いままで見たこともない都政がひょっとしたら実現できるかもしれない。

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    「喜劇の主役」鳥越俊太郎の大敗に見たドリーマーの終焉

    門田隆将(ノンフィクション作家) 小池百合子氏の圧勝で、ほっと胸を撫で下ろした人が、私のまわりには沢山いる。なにより恐れたのは、「鳥越氏が都知事になることだった」という人がいたのでその理由を聞いたら、「都政が“プロ市民”たちに牛耳られるのは、どうしても嫌だった」という。 たしかに都民とは関係のない「憲法改悪阻止」「ストップ・ザ・安倍」「非核都市宣言」……等々と、昨年の国会周辺を取り巻いた人たちが主張することをそのまま述べておられた鳥越氏とその支援者たちに、ある種の“恐怖”を感じた向きは少なくなかったようだ。都庁で“プロ市民”が跋扈(ばっこ)し、13兆円もの予算に大きな影響を与えるような事態が避けられたことは、たしかによかったと思う。 前回のブログでも書いたように、日本の人口の10分の1が集中する大都市東京では、人生の終末を迎えた老人たちが悲惨な環境にいる。「待機児童問題」より遥かに深刻な問題がそこにはある。NHKは、「漂流老人」という言葉を用いて、劣悪な環境の中で人生の終末を過ごす人々の姿を捉えていたが、「待機児童」問題も含めて、つくづく東京に住む人は、幸せをつかめていないように感じる。そこへ1970年代の思想そのままの“老ジャーナリスト”が出て来ても、支持を得られなかったのは、当然だったように思う。東京都知事選で鳥越俊太郎氏(左)への支持を訴える 民進党の岡田克也代表=7月30日、東京都新宿区  統一候補として鳥越氏を担いだ野党四党は、直前の参院選で計「240万票」を獲得している。知名度のある鳥越氏を統一候補にできた段階で、野党には「勝てる」という目算があっただろう。しかし、鳥越氏が獲得した票数は、わずか「134万票」。目論見より100万票以上、少なかったのである。そのことをどう見るか。私は、この選挙が「新時代の到来」を意味するものであったということを感じる。ほかの言葉で言い換えるなら、“ドリーマー時代の終焉”ということだ。 今の世の中が、昔のような「左」と「右」との対立の時代でないことは、当欄でも繰り返し論評してきた通りだ。現実には決して目を向けない“ドリーマー(夢見る人)”と、現実を直視する“リアリスト(現実主義者)”の戦いという「DR戦争」がつづいている今、その「決着」を示す選挙結果だったように思う。 今回の選挙がおもしろかったのは、「DR戦争」を明確に示すキャラクターが揃ったことだった。まさに鳥越氏は、“ドリーマー”を代表する人物だったし、“リアリスト”である増田氏と小池氏の二人は、「組織をバックにする人」と「そうでない人」に分かれて、有権者の審判を仰いだ形になった。 選挙戦の過程で、氏は、過去に尖閣問題に関して、「一体どこの国が日本に攻めてくるって言うんですか」「(中国が攻めてくるというのは)妄想です。そんなことはあり得ない」「万一、ないとは思うが中国が攻めてくる可能性はあるかもしれない。その場合は、自衛隊が戦うべきです。アメリカなんか要らないです」と、支離滅裂な発言をしていたことが明らかになった。 それは、70年代から時間が止まっているのではないのか、と思わせるレベルの低さであり、実際に選挙演説でも、「ガン検診受診率を100パーセントにする」「島嶼部では、消費税を5パーセントにする」という現実離れしたことを語り、口を開けば開くほど票を減らしていった。鳥越氏の「史上最大のブーメラン」という笑い話 自らの女性スキャンダルが報じられた際の対応も最悪だった。「事実無根」として週刊誌を検察へ刑事告訴したが、出演したテレビ番組では、当該の女性とその旦那との「三者会談」をおこなったことを認めてしまった。その上で、最後まで記者会見も開かず、「一体、どの部分が事実無根なのか」という有権者の根本的な疑問には、ついに答えることがなかった。 その人物が、慰安婦の一方的な証言には、「立派な証拠になる」と発言していたことや、また、自らサンデー毎日編集長時代に宇野宗佑首相の女性スキャンダルを女性証言だけで報じたことを「上に相談せず、自分のクビをかけて世に出した」と答えていたことがわかり、まさに“史上最大のブーメラン”という笑い話にもなってしまった。 出馬表明の時が「支持がMAX」であり、あとは本人の実像が露わになるにつれて、票が減り続けるという、‟喜劇の主役”ともなった鳥越氏を見て、私は、この鳥越氏の「票の減り方」こそ、新時代の到来を意味するものだと思った。 もし、インターネット時代以前の「新聞」と「テレビ」だけが大衆の情報源だった時代なら、鳥越氏の「虚像」は、維持されたに違いないと思うからだ。マスコミの「主役」である“ドリーマー”のジャーナリストや評論家によって、露骨な鳥越氏支持の番組が目についたが、もはや、それが「通用しなくなった」ことを、今回の選挙は明確に示したのである。選挙事務所で敗戦の弁を述べる鳥越俊太郎氏 =7月31日、東京都港区南青山 私が注目したのは、投票日の出口調査で、20代の若者の中に、鳥越氏を支持する人が、「10パーセント」に満たなかったという事実である。各メディアの出口調査で、そのことが明らかになったことで、私は、「うーん」と唸ってしまった。鳥越氏を支持している層とは、「高齢者」であり、若者は、いくら既存のマスコミが鳥越氏を推しても、もはや反応しない。笛吹けど「踊らない」のである。なぜだろうか。 それは、若い人こそ「現実」を見ているからだ。あの民主党政権時代の「3年3か月」で、就職の“超氷河期”を過ごし、いわば地獄ともいうべき「現実」を徹底的に見せつけられた。彼ら若者は、口では、耳ざわりのいいことばかりを唱えるドリーマー政治家たちの「本質」をとっくに見てとっていたのである。それを思うと、2位増田寛也氏に100万票以上、また、3位鳥越俊太郎氏にはダブルスコア以上の大差をつけた「291万票」という小池百合子氏の大勝には、さまざまな意味が含まれていたことがわかる。 日本の選挙の中で、唯一、コントロールが利かない選挙――それが東京都知事選である。1100万人(正確には、1127万4000人)の有権者を持つ東京都知事選の結果は、言うまでもなく日本の「今後」を指し示すものである。悔しくてたまらない既存メディアは、これを「若者の右傾化」と呼ぶ。あるいは、「ネトウヨ」などというレッテルを貼って、その真実を見ようとしない。だが、今回の選挙で明らかになったのは、「若者こそリアリスト」であり、彼らが「DR戦争の主役である」ということだ。 60年安保を経験した高齢者、70年安保を戦った団塊の世代。先にイデオロギーありきの「55年体制」にどっぷり浸かった、言わば“55年症候群”の人たちの時代は「終焉を迎えた」のである。世代間戦争は明らかに若者、つまり、リアリストの勝利となった。その意味で、小池氏大勝は、高らかに“新時代の到来”を宣言するものだったと思う。(門田隆将オフィシャルサイト 2016年8月2日分を転載)

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    小池百合子が目論む「東京大改革」の盲点

    都政の透明化を柱とした「東京大改革」を掲げ、圧勝した小池百合子氏が都知事に就任した。ただ、改革の具体的中身を個別にみると、満員電車ゼロや残業ゼロなど突拍子もない政策も目立つ。都民の期待を一身に集める小池氏の改革は本当に実現できるのか。

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    桜井誠の「嫌韓」11万票は想定内? 縮みゆく東京の極右地図

    古谷経衡(著述家)桜井誠氏の得票数に注目 7月31日、東京都知事選挙が投開票され小池百合子候補が圧勝した。小池氏の勝利は予想通りだったが、筆者が今次都知事選候補で最も注目していたのは、在特会(在日特権を許さない市民の会)元会長の桜井誠氏の得票動向である。 桜井氏は2007年ごろから設立された同会の代表として、「行動する保守」と目されるネット保守(ネット右翼とも)の中でも最も過激な一群の中心的存在として主に街頭での排外的デモやスピーチの、その先頭に常に立ち続けてきた活動家である。今回、桜井氏が初めて都知事選挙に立ったことで、ネット保守の中でも最も強硬とされる「行動する保守」とその支持者らの量的輪郭が浮かび上がってきた。在特会デモに抗議する人々(今次都知事選挙の写真ではありません)(提供:Duits/アフロ)桜井氏、「想定内」の健闘 筆者は、桜井氏の基礎票を5万~8万票と事前予想した。この範囲内であれば「順当」、5万未満であれば「惨敗」、10万前後~10万前半であれば「想定内の健闘」、15万ないし20万票以上で「想定外の健闘」とした。結果、今次都知事選挙で桜井氏の得票数は約114,000票。「想定内の健闘」のラインに入ってくると思う。 桜井氏の約11万票の得票に驚く人が多いが、筆者に言わせれば、この数字は特段驚くにはあたらない票数であり、むしろ高い投票率(前回都知事選挙よりも13%近く高い)のわりに、伸び悩んだとも言える。 桜井氏の基礎票の算定にあたり、参考とした候補は、桜井氏と政治的主張が極めて似通っている右派系市民団体「維新政党・新風」の鈴木信行氏の得票数である。鈴木氏は2007年参院選東京選挙区に立候補し約2万1000票、続く2013年参院選同選挙区から立候補した際には約77,000票を集め、先月の参院選同選挙区でも約43,000票を獲得している。このことから、桜井氏の基礎票もおおむね上限は8万程度で、今回の11万という得票数は、鈴木氏と同水準の基礎票にいくらか加味し、やや健闘したとはいえるが、それはあくまで想定の範囲内であり、特段驚くべき数字ではない(以下図参照)。ネット保守層からの支持も2割弱にとどまるネット保守層からの支持も2割弱にとどまる しかしさらに注目すべきなのは、2014年の都知事選(前回)における、事実上の非自民ネット保守による史上初めての統一候補である田母神俊雄候補との比較である。この選挙で、田母神氏は約61万票を獲得したのは周知のとおりである。今次都知事選挙は、前回よりもはるかに高い投票率だったのに対して、櫻井氏は田母神氏の6分の1程度(約18.7%)しか得票できず、2割に満たない。潜在的に桜井氏と親和性に高いネット保守からの支持の、その大部分を取り逃がした計算になる。 その理由などこにあるのだろうか。まず第一に、ネット保守層からの根強い「行動する保守」に対する嫌悪感が存在する。ネット保守の多くは、在特会や桜井氏の主張に一定程度共感はするものの、その手法において強い嫌悪感を示してきた。在特会やその周辺が、「朝鮮人を海に叩き出せ」「不逞朝鮮人云々」と街頭に出て叫ぶスタイルには眉を顰める、という具合である。 その点を考慮してか、今回、桜井氏の街宣スタイルからは、「朝鮮人を〇〇~」などという過激な物言いは鳴りを潜めた。しかし、前述したようにゼロ年代後半から桜井氏の主導によって開始された街頭での排外的なデモや、ヘイトスピーチが、結句のところ2016年5月のいわゆる「ヘイト解消法」立法につながったことを有権者は鮮明に記憶しているのであり、この点において桜井氏を支持する人々はネット保守層の中でも非主流に追いやられたのである。 今回、前回都知事選挙で田母神氏を支持したネット保守層の多くは、都有地韓国有償貸与問題(新宿区)を白紙にすると明言する小池百合子氏に投票した。増田氏は、筋論でいえば自民党主流候補でありながらも、過去の言動から「融韓的」と見られ忌避される格好になった。 また、増田氏と同じくネット保守層から「融韓的」とみなされている石原伸晃氏から小池氏が徹底攻撃されたのも、逆に小池支持の起爆剤になった。ネット保守層の支持・不支持の基軸は、党や政策ではなく、韓国に対する態度、その一点というのだからある意味興味深い。 つまり、今回桜井氏に一票を入れたのは、前回都知事選で田母神氏に票を投じたネット保守層の中でも、さらに強烈な「行動する保守」を補足したものにすぎず、嫌韓的姿勢は堅持するがそこまで過激な行動までは首肯しない大多数のネット保守層からの支持を得ることはできなかったのである(下図)。苦境に立たされる排外主義~自民党への回帰苦境に立たされる排外主義~自民党への回帰 今次都知事選挙の結果は、筆者が再三指摘してきたいわゆる「ネット保守層」の中でも、さらに最右翼の「行動する保守」の量的輪郭が明瞭に浮かび上がったものとして興味深い。筆者は、2014年冬の衆院選の結果、特に「自民党より右」を標榜した次世代の党の得票から、全国における「ネット保守層」の人口をおおむね200万人と推定した(過去の筆者記事参照)。 この「ネット保守層」の全国的な量的趨勢は、先月行われた参院選でも余すところなく立証されており、旧次世代の党の支持者が同党を引き継ぐ「日本のこころを大切にする党」から半分近く離反し、綺麗に自民党候補への支持に回帰しているのである。この傾向は、当然、すでに述べた通り、今次都知事選挙でもネット保守主流派の多くが小池氏に投票したことからも明瞭である。 これは、安倍長期政権が盤石なものとなり、「自民党より右」をかかげてネット保守層からの耳目を集めた旧次世代の党が惨敗、壊滅したこと。さらに2016年4月に、同党から出馬した田母神俊雄が、公職選挙法違反の容疑で逮捕されたことによる「ネット保守界のスター喪失」を原因とする。「ネット保守層」に田母神氏を超える超新星が存在しない以上、彼らは次世代の党誕生以前の状況、つまり自民党支持に回帰せざるを得ないのである。 嫌韓、排外の主張には潜在的に共感を示すネット保守層の中でも、それでもなお頑強に「行動する保守」の旗手である桜井氏を支持する最右翼の層は、おおむね2割程度であり、非主流派であることが、今次都知事選挙の結果、決定的となった。全国のネット保守層のおおまかな量的輪郭を200万人とすると、この非主流派、つまり「ネット保守層の中でもさらに過激」な層は、おおむね30~40万人という程度になる。衰微する排外主義衰微する排外主義 欧州やアメリカ、特に欧州では排外主義を掲げる極右政党が国政政党の段階で力をつけている。ところがわが日本では、今次都知事選の桜井氏の得票を観ても鮮明なように、まったくそのような段階には到達していない。潜在的に桜井氏に親和性の高いネット保守主流派からの支持すら固められていない現状からすれば、良い意味で日本の排外主義は欧州レベルにまで伸長するのはほど遠いであろう。 しかし、今回の桜井氏の得票分布を観ると、例えば世田谷区で7,000票あまりを獲得している。都議は無理だが、3,000票強が当落線上の区議であれば、桜井氏の当選は十分にありうる。今後、「行動する保守」勢力が、持てる少ない戦力を特定の区議会や、市議会レベルに集中して投下すれば、地方議会に数議席を獲得するのは夢物語ではない。 今次都知事選挙での結果を受けて、桜井氏は「都民11万からの支持を受けた」とするであろうし、すでに産経新聞の取材に対し「(主要)3強に一矢報いることができたのではないか」(2016年7月31日)とコメントしている。 今後、今次の「想定内の健闘」を梃子にして、そういった趣旨の出版も行うことが予想されるが、この結果はむしろ、本論考で再三指摘した通り、東京、ひいては日本における極右地図の縮小を意味するものである。(Yahoo!ニュース個人より2016年8月1日を転載)

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    「都議会のドン」に宣戦布告! 小池氏の利権追及は成功するか

    安倍宏行(Japan In-depth 編集長、ジャーナリスト)「編集長の眼」 東京都知事選投開票日から一夜明け、豊島区池袋の小池百合子事務所では、朝8時前から各テレビ局のニュースや情報番組のリレー中継が行われたのち、8時45分から記者会見が行われた。 今回の選挙戦において、小池候補が終始訴えてきたのが、“都政の透明化”である。“都議会の一部の勢力”とか、“都議会のドン”などの言葉を使い、都政のブラックボックス化、意思決定システムの不透明さの解消を訴えてきた。都政の中に何らかの利権構造があるのなら、それは正さねばならない。除名覚悟で小池候補支持を打ち出した若狭勝衆議院議員もその可能性について指摘している。 記者会見でJapan In-depthの安倍編集長が、小池氏が今後若狭氏と進めていくとしている、“利権追及チーム”について聞いた。 「(利権追及は)大改革の中の大きな部分になってまいります。東京都の事業というのは多岐に亘っているわけです。その中でまず情報が必要になってくると思っています。様々な方々から、いわゆるWhistle-blowing(ウィッスル・ブローイング)、内部告発も含めてですね、情報を届けていただく、そのような受け皿作りを進めていきたいと思います。」(小池氏) 目安箱のようなものを作るのかどうかは別にして、不適切なカネの流れなどあったら、そうした情報を都知事に集中させる仕組みを作る、との意思を明確にしたということだ。就任記者会見に臨む小池百合子都知事=2日、都庁 その上で、小池氏は、「(内部告発などの)分析については、若狭さんもまさしくプロ中のプロですので、又、いろんな方のご協力を得て、税金が正しく使われているかどうか、そのチェック、それに収まらず、オリンピック・パラリンピックも多額の税金がつぎ込まれている中、公私混同、または利益誘導などについてもやはり明確にしていくべきだと思います」と述べ、元東京地検特捜部副部長の経歴を持つ若狭勝議員とタッグを組んで利権追及を進めていく決意を新たにした。議会がストップする恐れも 一方で、具体的な追及の為の組織や進め方について聞かれると、「どのような形か、どのような方法が効果的なのか、そして陣容がどうなのかは、これから詰めてまいりたい。」と述べるにとどまった。 このように都議会の一部勢力との対決姿勢を鮮明にしている小池氏だが、今後の議会運営を不安視する声もある。これについて質問が出ると小池氏は、「二元代表制ということで、知事も議員もそれぞれ都民が選んだ代表ということです。都民の民意、利益、そこには接点があると思っています。その意味で議会の皆様方には協力をお願いすることになろうと思います。さもなければ都政が停滞することで都民に不利な状況になってしまいます。」と述べ、当面、議会各会派と話し合い路線で臨み、都政を停滞させないようにする、との考えを明らかにした。 しかし、都議会は増田候補、鳥越候補を推薦した与野党会派が多数を占めており、小池氏の思惑通りことが進むかどうかはわからない。新知事と都議会の対立が先鋭化し、議会がストップするような事態も十分考えられる。 都民は小池氏を都知事に選んだ。しかし、新都知事を選んでそれで終わりではない。これから小池都政が正常に行われているか、氏が掲げた政策が実現に向けて正常に動いているか、厳しくチェックすることが求められる。

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    小池百合子に完敗したリベラル勢力の体たらく

    やまもといちろう(ブロガー、投資家) buzzfeedの石戸諭さんが興味深い論考を挙げていたんですが、ここでいう「平和と脱原発」は確かに今回の都知事選の政治的イシューからは遠いというのも大きいんですよね。「『平和と脱原発』ではダメ 惨敗の鳥越さん、そしてリベラルは負け続ける」(https://www.buzzfeed.com/satoruishido/tochijisen-torigoe-haiboku) で、リベラル全体が駄目になったのか? と言われると、これがまた一定の票は取れたりする。おそらく、今回は野党統一候補として鳥越俊太郎さんだったから、担いだ神輿が悪かったという側面もあるかもしれません。民進党の松原仁衆議院議員と握手する鳥越俊太郎氏=7月31日、東京都港区 JX通信社の米重克洋さんの記事でもありますが、各社告示時点での調査では鳥越さんが人気を集めていたわけで、ここが例えば別の人物だったら、宇都宮健児さんが野党統一候補だったら、となると、違った意味合いになってくるわけです。「『終盤情勢』小池氏やや先行、増田氏・鳥越氏追う=JX通信社 東京都知事選独自調査」(http://bylines.news.yahoo.co.jp/yoneshigekatsuhiro/20160724-00060314/) その際たるものが、一部コメントにもあった官邸と小池陣営の「手打ち」の面談の流れで、まあ、これは仕方が無いでしょう。一方で、小池派の面々は、すでに補欠選挙となる東京10区に向けて腹心を立てたり、地域政党「小池新党」を構想するため走り回り始めていたりするので、振り上げた拳の降ろしどころを誰がどう捌くのかといったところに注目が集まっています。 そこで、元に戻ってリベラルの体たらくの問題ですけど、これはもう内向き批判に加えて求心力と方法論の問題が問われていると思うのです。簡単な話が、脱原発を主張するのは構わないけど、それをどう、誰が実現させるんですかということはあまり問われず、安倍政治にNOといった「後」のことは構想として出てこないので対案のパッケージにはなかなかならないのです。リベラルがしっかりしなければならない 理想としてのリベラルが掲げるのが「平和」「脱原発」という理念だったとして、それが日本のあるべき未来だと考える有権者が少ないというのは、結局は魅力的な理想じゃないってことです。それでもそれを旗頭にしなければならないのは、いまのリベラルの考え方の根幹が「政権担当能力のある野党を目指す」よりは「現状批判勢力、権力批判の象徴としての野党を狙う」ことだからじゃないかと思います。 それは、以前連合の神津会長との対談でも私は思ったんですが、昔はひとつの理想でみんながある程度まとまれる時代だったんですよ。ところが、いまは一口に「労働者」といっても、工場で働く人がいる、居酒屋やコンビニで頑張る人がいる、プログラマーが下請けで働いている、そいう人たちも全部労働者であったとき、果たして理想として同じものを掲げて糾合できるのか、あるいは、異なる利害を乗り越えて統一的な政党支持までもっていけるのかといったところに課題があるのではないか? と思うわけです。 「選挙で今、向き合うべき争点は『社会保障』 ?次世代にツケを回さないため、何をすべきか?」(http://www.jtuc-rengo.or.jp/digestnews/monthly/2931)  私のような保守主義者としては、以前BLOGOSで宇野重規先生と対談したように、次の世代にどのような社会を引き継ぐのかを考えるとき、どうしてもリベラルがしっかりしていてもらわないとならないと思うわけですよ。いわば、社会が発展し、進歩していくための推進力が弱い状態がいまの日本であると言えると考えるからです。 政策議論をしたり、理想を固めて政策に落とし込んだりするのは、別に内向きでも構わないのですが、それが世に問われるときにもっと開かれた内容であることを期待してやみません。(やまもといちろう オフィシャルブログ 2016年8月1日分を転載)

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    小池氏を知事にまで押し上げたポピュリズムの爆発

    岡本裕明(Blue Tree Management 株式会社 代表取締役) 世界で民衆の声が既存の壁を打ち破る事態が次々と生じていますが日本でも都知事選を通じて予想以上の都民の声が孤独な一女性候補を知事にまで押し上げました。ポピュリズムという言葉以上に何か、民が既存の政治システムに不満を持っている表れなのでしょうか? 小池百合子。カイロ大学からニュースキャスターという経歴からプレゼンテーション能力に長け、ディベートができる逸材であります。その彼女が政治家に転身した際、政治の社会の裏側を否が応でも見せつけられたはずです。安倍首相はアベノミクスの構造改革で苦戦していますが、小池氏も当然その特殊な世界は見てきています。小池氏は首相がなぜ構造改革で苦しんでいるかも十分理解されていることでしょう。 党派の中には派閥、さらに実務に落とすにあたり官僚との関係などしがらみだらけのその世界は体育会系の上下関係以上の当選回数序列があり、儒教的家父長制度をそのまま残したアンタッチャブルな世界でもあります。同様の儒教的上下関係は自民党都連の中にもあり、内田ドンを中心とする保守的前例主義が鎮座しています。候補者の演説に耳を傾ける有権者ら=2016年7月30日、東京都豊島区 (古厩正樹撮影) 今回、組織という応援が全くない中で戦い抜いた小池百合子氏を全面的に支援したのは都民そのものでした。結果は氏の290万票余りの獲得に対して2位の増田氏、3位の鳥越氏にそれぞれ110万票、150万票以上もの差をつけたその数字は吟味する必要があるでしょう。増田氏、鳥越氏には組織票が入っています。これはやる前からある程度の票が確実に加わることを意味していますから組織票を持たない今回の小池氏の勝利具合はとんでもない圧勝であるのです。 では世界で起きているポピュリズム、ナショナリズムとどう結びつくのか、です。個人的にフランスのマリーヌ ル ペン、英国のボリス ジョンソン、アメリカのドナルド トランプないしバーニー サンダース氏は国民や市民の不満をボイスアウトしたものであります。グローバリズムに対して自分たちの権益や既得権が脅かされることに対して声を上げたものが国民の期待を引き受ける形でポピュリズムが生まれています。  ノーベル賞を受賞しているスティグリッツ博士が7月に政府の在り方についてこのように批判しています。「過去40年にわたる新自由主義的な政策は上位1%の富裕層には恩恵をもたらしたが、ほかの人には望ましいものはではなかった。近年の経済的停滞は政治的に重大な結果をもたらすと警告してきたが今、まさにその懸念が現実になったということだ」(日経ビジネス)と。 東京都には何が足りなかったのか、それは民間主導の経済と経営に対してその枠に入らないリタイア層や非正規、寂れ行く自営業者や個人経営者の声を受け止める仕組みだった気がします。東京都がバイタリティ溢れ、さらに強化されていく成長過程になく、溢れんばかりの高齢者に待機児童、十分な賃金が貰えず、生活に苦しんでいる人々の声がオリンピックばかり優遇されるその実態に対する潜在的不満が爆発したものでしょう。 既得権者を守る政党政治は世の中がうまく廻っているうちは問題がないのですが、日本が曇天の景気をもうすでに20年以上も続けている中で我慢の限界が来たとも言えます。 さて、政権はこの新たに生まれた新風をどう受け止めるのでしょうか?安倍政権得意の周りを囲い込み、ボコボコにする力づくの政治力を見せつけるとは思えません。それは安倍政権もいつまでも安泰ではないという危惧が小池新都知事の声に耳を傾けざるを得ない関係とも言えるからでしょう。安倍政権はただでさえ沖縄と厳しい関係を続けています。あるいは原発では各地で反政府的ボイスが上がっています。福島や熊本の復興もあります。その中、おひざ元東京で袂を分かつわけにはいかないことは安倍首相ならわかっているはずです。 もう一つ、増田、鳥越両氏が善戦したとも言えないような惨敗だったことは自民をはじめとする全政党が都民の声を読み違えたといえます。今回の選挙の結果は真摯に受け止め、変わりつつある日本が誰が主導していくのか、大きなヒントを与えてくれたような気がします。 小池氏については多くの公約がありますが、どれも難関であります。その中でまずは都議会を解散し、どう勢力地図を作り替えていくのか、この辺りがまずは手腕の見せ所ということでしょうか?(2016年8月1日 ブログ「外から見る日本、見られる日本人」より転載)

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    都議会のドン内田氏 落選しても自民党都連幹事長に居座った

    で業績を伸ばし、今年1月には東京都発注の2つの競技施設建設を大手ゼネコンと共同で受注した。 しかし、地方自治法92条の2では、地方議員がその自治体の事業を請け負っている企業の役員を兼ねることを禁じており、違反すれば「その職を失う」(147条)と定めているのだ。「兼職」にあたるかどうかは議会が判断するが、果たしてここでもアンタッチャブルさを発揮するのか。新都知事とドンの戦いのゴングは、不穏な音色で鳴り響いた。関連記事■ 都議会のドン・内田茂氏 「神田大明神」と呼ばれる■ 東京都知事選 自民党候補者選びを迷走させる「2人のドン」■ 自民党 徳洲会マネー疑惑より“猪瀬おろし”が目的だったか■ 自民党に混乱 小池百合子クーデターと神奈川の内ゲバ■ 五輪村から都知事候補 小谷実可子や有森裕子、谷亮子ら

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    カギは来年の都議選 小池氏と都議会のパワーバランスを読み解く

    おときた駿(東京都議会議員) こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。一夜明けて、新聞でもテレビでも見ないことはないほどの「小池旋風」が吹き荒れています。 マスコミや有識者の論調を見ると、 「都議会を自公が大半を占めているから、協調・妥協をせざる得ない」 「除名も離党もされなければ、結局勝ったのは自民党だ」 「自民党と早々に手をうち、協調路線に収束するだろう」 という意見が多いようです。これは自民党筋が意図的にマスコミに対して自分たちの希望的観測を流している節があり、どうも正確に都知事と都議会のパワーバランスを表してないので、解説しておきたいと思います。都庁へ初登庁した小池百合子都知事は執務室の机に着席、記者の問いかけに応じる =8月2日、東京都庁 本当に議会多数派は、小池知事の提案に否決を連発できるのでしょうか? 彼らの意向を汲み取らなければ、物事は何も進められないのでしょうか? 結論から言えば、今回の場合に限っては答えはNoです。 革新系の首長が当選後に与党に翻る、またはオール与党の構造の上に乗っていくケースは決して稀ではない。こうした状況は筆者自身も経験しており、ブレーンとして政策形成から選挙戦略まで一手に引き受けた松戸市長選挙では、市民運動と当時の民主党の上に乗った選挙構造を作って当選、その後ブレーンとして部長職で市役所に入ったが、結局は自民公明両党に迫られブレーンの首を切り、その構造の中で選挙で掲げた公約も大きく転換させた。 こうしたことは、自分が直接間接的に関わった首長の中にもそれなりの数でいる。選挙で勝ったとしても、その後の行政運営の中では、議会との対立構造の中では動かなくなるものが多いからだ。【政治と金で知事2連続辞職、知事選3回150億円使っても東京都は「利権構造」を解決できないのか】より こちらの記事で高橋亮平さんが指摘するように、議会の力に負けて自らの対決姿勢・公約を下げてしまう首長が存在することは確かです。 ですがこうしたケースの多くは、統一地方選挙のように首長選と議員選が同時に行われた場合です。(松戸市長選挙は少しだけズレているけど) その場合、まさに首長と議会は「等しく民意で」「同時に」選ばれたことになります。これでは確かに、首長が単独でゴリゴリと物事を進めていくことはできず、議会多数派との折衝・妥協をどうしても迫られることになります。 そう、決定的に違うのは「タイミング」と「都議会の任期」です。都議選までの動きが最初のターニング・ポイント 今回の小池都知事は、まず「直近の時期に」「単独で」300万票に迫る民意を受けています。都民の期待は何かが明らかであり、相対的に知事の力は非常に強くなります。 そして何より、都議会議員選挙はなんと10ヶ月後と直近に迫っています。大きな民意を受けて誕生した知事の提案を議会が否決し続ければ、 「議会が新知事に対して嫌がらせをしている」 「あいつらは一体なんなんだ!抵抗勢力だ!」 という空気が情勢され、あっという間に次期都議会議員選挙に暗雲が漂います。これを考えると、選挙を前にしてイメージダウンを避けたい都議会側は、どうしても知事に対して歩み寄りをせざる得ないというわけです。彼女自身が一番このことをわかっているはずですから、安易な妥協は行わずに、「東京大改革」に向けて必要な闘いはしっかりと進めていくのではないでしょうか。東京都議会本会議=3月27日、都議会議事堂 逆にすぐさま自民党と手を握るような姿勢を見せてしまえば、最大のパワーの源である「改革を求める民意」はあっという間に離れてしまいます。 一方で、「小池新党誕生か?!」「都議会自民党とは、徹底的交戦をするんですか?」というのも、それはそれで極端すぎると思います。あくまで目的は「東京大改革」を進め、都政・都議会のブラックボックスを開けていくこと。そのために協調すべきところは協調し、改革派議員たちとともに歩みをすすめていくこともあるでしょう。 我々としても、いたずらに対立を煽り都政を混乱させることは本意ではありません。新知事が都民にお約束した改革が行われるかどうかをしっかりとチェックしつつ、選挙で唯一支援を行なった都議会会派として、改革に向けた揺るぎない支援を行うつもりです。 新知事が提案する=都民が望む「改革案」に対して、都議会がどう応えるのか。都民にとって目が離せない、ダイナミックな議会運営が行われるかもしれません。 10ヶ月後の都議選までの動きが、最初のターニング・ポイントです。ぜひ皆さま引き続き、東京都政にご注目いただきたいと思います。 もちろん私はその都政・都議会の最前線から、しっかりと皆さまに最新情報をお届けしてまいります。(「おときた駿公式ブログ」 2016年8月1日分を転載)

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    改革姿勢を示す「利権追及チーム」で問われる小池都政の真価

    米重克洋(JX通信社 代表取締役) 首都東京の新しいトップを決める今回の東京都知事選は「先出しジャンケン」で動いた小池百合子氏が「保守分裂」の末に「初の女性知事」の座を射止めるという異例ずくめの結果となった。まもなく始まる「小池都政」は2代連続で蹴躓いた都知事の後で、4年後に迫った東京オリンピック・パラリンピックやその後の東京のあり方を作っていく重要な役回りを担うことになる。  築地市場の豊洲への移転や待機児童問題への対応、そして4年後のオリンピック・パラリンピックの準備…都政は今後数年に渡り課題山積といった状況だが、今後の「小池都政」はどのように進んでいくのだろうか。本稿では、カギとなる来年夏の東京都議会議員選挙までの政治スケジュールからその流れをシミュレーションしてみたい。 11月の築地市場豊洲移転は「立ち止ま」れるか?あと1年を切った都議選本選までの主な政治スケジュール 上図は、来年6月に予定される都議選本選までのスケジュールと関連する主な政治的トピックを示したものだ。  まず小池新知事が最初にぶつかる課題は、この秋に迫る築地市場移転の延期判断だ。小池氏は今回の選挙戦のなかで、主要3候補では初めて築地を訪問し「豊洲への移転は『一旦立ち止まる』ことも必要ではないか」と述べて、移転延期もあり得るとの見解を示した。  築地市場の機能が移る豊洲新市場は、現時点では11月7日を開業日として予定している。これが実際に延期されるとすれば、その判断は就任後なるべく早くに行われる必要があり、実際に延期があるのか否か、また、延期される場合にどの程度の期間を要するのかが注目点だ。 築地移転問題は新たな火種に もし実際に延期となった場合、その影響は市場としての機能のみには留まらない。空いた築地市場の広大な跡地の一部は、都心部と晴海の選手村、そして豊洲の新市場を結ぶ環状2号線の未通区間の整備に使われる。残った広大な土地も、東京五輪に向けた仮設のバスターミナルとして利用される計画が明らかになっている。更には「五輪後」を見据えてサッカースタジアムなど大規模施設の整備案を温める民間事業者もあると報道されているが、こうした跡地に関する整備計画の検討・進行スケジュールに相当程度影響することは避けられないだろう。 環状2号線の未通区間は築地市場跡地(中央左上)を通る(出典:都第一建設事務所) この築地市場移転問題の行く末は、都政運営そのものにも影響を与え得る。  元々、築地市場の移転は石原都政下の2011年度予算に整備費が盛り込まれたことで正式に決まった。この時は、都議会で与野党の議席数が拮抗するなか、自民党東京都連の内田茂幹事長のもとで都議が死去するなどの顛末から議会運営に混乱をきたし、最終的には翌年(2011年)3月に民主党都議1人が自民党側に「一本釣り」される形で、薄氷を踏むように決まった経緯がある。  ※なお、この都議は翌月、世田谷区長選に民主党ではなく自民党東京都連の推薦で出馬した。自民党世田谷区支部との「保守分裂」選挙となった結果、保坂区長に敗北した経緯は今回の都知事選を彷彿とさせるものがある。  小池新知事は「利権追及チーム」の設置や、ホイッスルブロワー(内部告発者)からの情報提供を募る「目安箱」を通じた情報収集・公開などを掲げている(後述)が、築地市場の移転問題は上記のように過去政局となった案件でもあり、小池氏の動き次第では火種になる可能性もある。 小池氏後継 衆院東京10区補選は「都議選」前哨戦に? 国政選挙だが、小池都政のモメンタムを占ううえで注目されそうなのが、10月23日に投開票が見込まれる衆議院東京10区(豊島区と練馬区の一部)の補欠選挙だ。 この東京10区は、言わずと知れた小池氏の衆議院議員時代の選出選挙区であり、今回小池氏が都知事に転出したことで補選が行われる。民進党はこの選挙区で元NHK記者の鈴木庸介氏の公認を内定しているが、自民党からはまだ具体的な候補者名が出てきていない。  そこに、小池氏は今回同氏を最初から最後まで応援した若狭勝衆議院議員を擁立するとの見方がある。若狭氏は自民党都連所属の現職衆議院議員ながら比例単独の選出であり、地元の選挙区を持たない。自民党都連に所属する「政府高官」こと萩生田官房副長官が若狭氏の離党か除名の可能性を指摘した発言も報道されており、若狭氏が自民党を離れる事態になった場合、保守分裂選挙が再現する可能性もある。  この補選は、来年6月の都議選を睨んだ政治スケジュールのうえでも重要な選挙だ。現状、小池新知事にとっては、事実上、旧みんなの党系の会派「かがやけTokyo」だけが与党会派となる。つまり「オール野党」に近い都議会と対峙する環境で、厳しい都政運営を強いられる可能性が高い。都政運営を円滑にするためには、自民・公明両党と「手打ち」をするか、来年の都議選本選までかけて身内の都議を増やす必要がある。 秋以降の補正予算で待機児童対策 先の記事後段にて指摘した通り、大阪では2010年春の大阪市会福島区補選で地域政党・大阪維新の会が勝利したことで、翌年(2011年)の市会選挙本選を前に自民党などから現職議員が大量に移籍した。この雪崩のような再編現象が、結果として本選で府・市ともに維新が最大会派になるという選挙結果につながり、現在まで5年以上続く大阪での「維新一強」の政治構造を形作っている。  東京でも大阪のように首長発の新党の動きがあるのか。衆院東京10区補選は、自民党都連と小池氏のそれぞれの対応が変数となって、来年の都議選の帰趨を占う注目の選挙になる可能性を秘めている。 秋から年末にかけて「補正予算」で待機児童対策? 待機児童問題への対応も注目されるポイントだ。小池新知事は、待機児童問題への対策として、遊休都有地や「空き家」の保育園などへの転用や広さ規制の緩和などを掲げている。これらに加えて、来年入所の待機児童についての対策も緊急性を要する。これらは政治的にも注目されるトピックであり、都が何らかの予算措置で対処できるものについては、補正予算で対応を図る可能性がある。その場合、12月頃に行われる第4回定例会ないしは9月の都議会第3回定例会に補正予算案を提出することとなる。  なお、市ヶ谷の都立高校跡地を韓国人学校の用地として貸与するという舛添前知事の方針は「白紙撤回」するというのが小池氏の方針だ。都有地の貸与は、知事の決定のみで議会の承認を要さない。このため、そこに仮に保育園を設置するとすれば、用地が所在し且つ保育園の設置主体になり得る新宿区との調整が付けば可能である。 解散、予算…都議会との対立はどうなる? 小池氏は「先出しジャンケン」で立候補を正式表明した際、「都議会の冒頭解散」「利権追及チームの設置」「舛添問題を調査する第三者委員会の設置」の3点を掲げた。このうち、1点目の「議会の冒頭解散」については、先般の記事で詳述したとおり実際に9月定例会の冒頭から都議会による不信任案の可決ないしはリコールの成立無くして出来ず、現時点では実現可能性は相当低い。 小池氏自身も、この「冒頭解散」実施には当初から「不信任が出されること」を条件につけており、実際に冒頭解散に至ることは無さそうだ。 最大の障壁は来年度予算 一方「利権追及チーム」と「舛添問題の第三者委員会設置」については、条例設置の部局や会議でなく「専門委員」や「参与」など知事の裁量で登用できる方法であれば議会同意は不要だ。改革姿勢を示すには格好のツールであり、都議選までの環境整備も兼ねて、早期に設置・活用される可能性がある。  また、知事の都政運営を支える「副知事」の人事も注目されるが、こちらも議会との対立ですぐに躓くことは考えにくい。副知事にはそれぞれ業務に管掌があり、オリンピック・パラリンピック開催に伴って1人増やされた経緯もあることから、副知事が不足すると知事の都政運営に支障をきたす可能性がある。ただ、現在の4人の副知事はいずれも、今年6月の第2回定例会で、舛添前知事の辞職表明と同時に選任同意されている。任期は4年であり、すぐに後任を任命しなければならない状況ではない。 選挙事務所の外で支援者と喜び合う小池百合子氏=7月31日、東京都豊島区 都政運営においても、小池氏は出馬を正式表明した会見の場で、舛添前知事時代に策定した「東京都長期ビジョン」を基本的に継承するとしている。その通りであれば、現在都が進めている様々な政策の大枠を変更するものではない。  小池氏にとって今後最大の障壁になりそうなのは、来年度の本予算だ。小池新知事が手掛ける初めての本格予算となるが、この予算案が通らなければ都の行政機能がストップしかねないだけに、議会との対立が先鋭化する可能性もある。  持ち前の「発信力」で風を起こし、都知事の座を射止めた小池氏。今後、あと1年を切った都議選に向けて様々な「絵作り」をしてくる可能性が高い。都議会の勢力図や国政のテーマも絡みあい、当面目が離せなくなりそうだ。((Yahoo!ニュース個人 2016年7月31日の記事を転載)

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    都議会のドンだけじゃない! 地方議員は利権を貪る「自治の癌」だった

    すでによく報道されているところだし、この特集のほかの記事でも扱われているだろうから、ここで私は日本の地方自治の病巣としての議会の問題を取り上げ、その中で東京の特殊性も論じたい。 日本の地方自治は、首長の独裁と、議員のドブ板的案件や利権への関心特化が著しいため、機能不全に陥っている。これは、日本国憲法でアメリカの制度を中途半端に取り入れたがゆえである。 同じ地方自治でも、欧州の地方自治は議院内閣制的な仕組みになっている。各政党が首長(議長)候補を明示して選挙戦を戦う。そして、数人の議員が副議長(副知事・副市長)という肩書きで、いわば大臣となる。 事務方のトップは官僚が事務局長という形で補佐し、実務的な問題には行政の中立性確保の観点から、首長や副議長は介入を禁じられている。 一方、アメリカでは地方自治体でも三権分立が徹底されているし、二大政党の予備選挙もあるので、タレント候補的な人は出にくい。また、そもそも州などの幹部は政治任用だから議員との垣根は低い。首長と議会のいびつな関係 それでは、日本ではどうかといえば、首長は直接選挙で選ばれるが予備選挙がないので、選挙直前の後出しジャンケン的な立候補も可能だし、政策論争もほとんどない。また選出後でも、政治と行政の線引きははっきりしないし、首長への不信任は滅多に成立せず、首長選挙の次点落選者は議会に議席を持てないから、いわば野党党首不在の状態に陥る。 そのため首長選挙では圧倒的に現職有利となり、知事選挙では現職候補者の当選率が90パーセントを超えている。都議会で答弁する舛添要一東京都知事=6月8日、東京都新宿区 一方、議会は政策形成にはほとんど関われず、議員もいくら当選回数を重ねても国における閣僚になることはできない。強いていえば、県会議員や市会議員がまれに副知事や副市長(助役)になることがあるだけだ。 有名なケースとしては、自民党の京都府会議員だった野中広務元官房長官が、革新系の蜷川虎三知事勇退後の選挙で当選した林田悠紀夫氏のもとで、蜷川府政で総務部長を務めた自治官僚の荒巻禎一氏とともに副知事に就任し、二人で大掃除と継続性の維持を分担したことがあったことだ。その後、野中氏が知事になるかと思われたが、たまたま、前尾繁三郎元衆院議長の死で地盤が空いたので、野中氏は代議士となって中央政界に転じた。 しかし、これは全くの例外であって、たいがいの議員は政策形成ではなく、ドブ板的な案件や公共工事のような利権追求に走る傾向があるし、派閥を形成して、庁内の人事に口出すことも多くなる。 また、議会は首長を辞めさせることも、再選を阻むこともできない代わりに、予算の承認を拒否したり、副知事・副市長をはじめとする人事承認権を行使できるので、最悪の場合、首長がナンバー2空席のまま任期を過ごさなければならなくなったり、予算も定型的なものしかできないことも多い。 私は憲法を改正するなら、地方自治体においても議院内閣制をとるべきだと思うし、一方、個別の行政案件への議員の関与は厳しく禁止するべきだ。改憲なくとも地方自治の改革は可能だ 舛添要一前都知事が「政治とカネ」の問題で激しい批判を浴びたことで、東京都議会における内田茂という人物がクローズアップされ、あたかも全国的にみても特異な現象のように言われているが、この種の人物は茨城県の山口武平氏や広島県の檜山敏宏氏などいろいろいるのである。画像はイメージです その意味で本当に必要なのは、多選で権力が集中しやすい首長と、ドブ板や利権ばかりに関心が集中する議会と両方に根本的なメスを入れる必要があるのだ。 内田氏にいじめられて自殺したと言われる樺山元都議の未亡人まで涙の応援演説をした末の小池知事の誕生で、いよいよ、内田都連と正面対決かもしれない。といっても、折り合いをつけてうまくやることもありえるし、内田氏の引責辞任によって軟着陸するのかもしれない。いずれにせよ、都政が停滞してしまっても困るが、かといって、小池知事に過度に妥協的になってもらっても都民の願いに背く。  できることなら、安倍首相はじめ政府与党の幹部が、少し古すぎる自民党の体質や、地方制度の改革に取り組んでくれても良いと思う。たとえば、憲法改正をしなくてもかなりの改革は可能なのである。現在の憲法にはこう書いてある。第92条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。第93条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。2 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。 つまり、これに反しない限りは法改正の問題なのである。たとえば、知事や副知事や教育委員と、県議を兼ねることが可能だし、県議を大臣のように担当の決まった副知事にしても良い。副知事を10人に増やすことだってできる。知事選の次点者を県議会議員にしたり、県議と国会議員の兼職や、知事辞任時の代理をあらかじめ決めることも可能になるのである。

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    小池氏を阻む「都議会のドン」の壁

    国政の与野党対決の構図が持ち込まれた東京都知事選は、政党の支援を受けない小池百合子氏の圧勝で終わった。女性初の都知事となる小池氏が公約に掲げた「東京大改革」。その前に立ちはだかる「都議会のドン」との全面戦争も、もはや待ったなし。小池氏は選挙の勢いそのままに都政改革の旗手となれるか。

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    小池氏は公約通り「都議会のドン」を都政から排除できるか

    児玉克哉(社会貢献推進機構理事長) 小池百合子氏が東京都知事選で圧勝した。自民党、公明党の支援を受けた増田寛也氏は終盤追い上げながらも、及ばなかった。民進党、共産党、生活の党、社民党など野党の支援を受けた鳥越俊太郎氏は女性スキャンダルもあり、票が伸びなかった。鳥越氏は無党派層の支持を最も受けるのではないかと期待されたが、やはり女性スキャンダル問題が報じられると一気に勢いを落とした。小池氏の政党に頼らない姿勢は無党派層だけでなく、政党支持者にも評価された。閉塞感のある社会を変えて欲しいという期待感があるのだろう。選挙事務所で万歳をする小池百合子氏 =7月31日、東京都豊島区 また、都知事選に対する関心が高かったことと、投開票日の天気が「曇り時々小雨」で投票率が最も伸びるとされる状況だったことから、投票率が高かったことも小池氏には有利に働いた。ちなみに、大雨の時は明らかに投票率は落ちる。しかし、晴天の時は、レジャーなどに繰り出す人が多く、投票率は下がる傾向にある。投票所に行くには支障はないが、レジャーに繰り出すには微妙な天気が最も投票率が上がるとされる。本日の東京の曇り時々小雨は投票率には最高の天気であった。 さて、これからの状況を展望してみよう。都議会、自民党との対立  小池氏は自民党東京都連会長代理でもあったので、本来ならばまさに身内的な関係のはずだが、自民党東京都連からは推薦をもらえず、都議会と自民党東京都連のやり方に反旗を翻す形となった。公約の一つも「『都議会のドン』やひと握りの幹部による都政運営を改め、都民のための『東京大改革』を進めます」というものだ。舛添前知事の時には議会は舛添知事の提案をほぼ完全にスルーさせ、異議を唱えることなく決定されるというスタイルであった。 しかし、小池氏が知事に就任した場合、かなりの提案は否決されることが想定される。ただ、対立が顕著になると、世論は小池知事につくとみられ、議会も無茶なことはできないだろう。それとともに重要なのは、都議会選挙が来年予定されていることだ。都議は選挙対策を考えざるを得ず、やみくもに反対すると改革への「抵抗勢力」というレッテルを貼られる可能性がある。そして都議選以降、新生都議会ということで雰囲気は大きく変わるだろう。小池氏の都政運営に大きな支障になることはないと思われる。 小池氏の任期は東京オリンピック直前までとなる。小池氏は東京オリンピックの半年前に辞めて、選挙とオリンピックが重ならないように工夫すればいいとか言っていたが、実際には法律を変えないと不可能なシナリオだ。知事が辞任して選挙となり、再選出されても、その人の任期は選挙をしなかった時と同じことになる。つまり、小池氏がオリンピック半年前に辞任して選挙で再選されても、また東京オリンピック直前に選挙をしなければならないのだ。ぎりぎり有り得るとすれば、東京オリンピックの半年前に都議会に対し知事の不信任決議を可決してもらい、選挙を行うというものだ。一種の「やらせ不信任決議」をしてもらわなければならない。これは極めて変な話だ。つまり1期目は東京オリンピックの直前までで、おそらく2期目の選挙があり、また小池氏が当選する確率が極めて高いということだ。余程のことがない限り、小池知事は2期8年の任期を全うすることになるだろう。民進党の責任の取り方 自民党も長期都政になりそうな小池氏との関係を殺伐としたものにはしたくないはずだ。関係が悪ければ、東京オリンピックの準備にも影響する。東京都知事選の敗北の結果は自民党都連の問題として、矮小化して対応せざるを得ない。そもそも小池氏は自民党の重鎮的存在だった人で、現在も自民党員。自民党都連の問題として矮小化すれば、小池氏の知事当選は自民党の勝利とさえ言えるのである。それでも誰かが責任を取らざるを得ない。経済再生担当大臣であり、かつ自民党東京都連会長である石原伸晃氏が責任を取らされる可能性が高いだろう。東京都議会のドンといわれる内田茂氏もなんらかの形で責任をとることを求められるかもしれない。とはいえ、内田氏はかなりの高齢。来年の都議会選挙に不出馬ということでも、実質的な支障はあまりなさそうだ。有権者に支持を訴える鳥越俊太郎候補。右は岡田克也民進党代表 =7月30日、東京都新宿区 一方、民進党の岡田克也代表は都知事選の直前に代表選に出馬しないことを公表してしまった。そうなると、都知事選の結果を受けての責任を取ったことにはならない。民進党と共産党などの野党協力路線の敗北という形にしたくなかったのかもしれない。 しかし、これでは誰も責任を取らないことになり、党内の不満は残るだろう。参議院選挙でも民進党と共産党を中心とした野党連合が成功したのか失敗したのか微妙なところとなっている。議席を大きく減らしたのだから失敗といえば失敗だ。東京都知事選が保守分裂した中、統一候補が「3位」に甘んじたことはやはり責任問題になりそうだ。 おそらく9月の民進党代表選が荒れる選挙になるのではないか。民進党にとって、共産党などの野党との選挙協力を続けるのか、独自路線を取るのかは重要な岐路だ。これは共産党や社民党等とも政策合意ができるくらいの左がかった政策路線をとるのか、リベラル保守的な路線をとるのかということにもつながる大きな問題だ。東京都知事選では鳥越氏の主張は、原発反対、平和主義、軍事反対というものであったし、形式も共産党や社民党と一緒に戦うものであった。それで完全敗北したのであるから、簡単に岡田路線を引き継ぐということにはならないのかもしれない。都知事選が最初から「負け戦」的な位置づけならダメージも少なかったが、鳥越氏が序盤では勝ちそうであっただけにダメージは残る。もちろん、実際には野党連合が否定されたというよりも、女性スキャンダルのイメージダウンが大きな敗因なのだが…。東京五輪への影響 小池氏の都政運営にとって目下、最大の重要政策となる東京五輪はどうなるだろか。小池氏はオリンピック反対論者でもなく、世界に東京の情報を発信する場にしたいという公約もあるのだから、時間を経る中で大きな問題はなくなるのではないかと予想される。 これからを考える上で、存在するリスクとしては、猪瀬氏と舛添氏が2代続けてスキャンダルで知事を失脚したケースがあることだ。オリンピックの開催もあり、東京都知事には特別な関心が向けられる。都政とあまり関係のないところでも、スキャンダル報道のリスクは誰がやってもあることになる。ある意味、大臣よりも厳しいチェックがあると考えられる。小池氏が最低でも1期4年を無事に終え、東京オリンピックが成功裏に終わることを祈りたい。(Yahoo!個人 2016年7月31日分を転載)

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    推薦外の候補支援を禁じた自民党都連の「脅迫状」

    安倍宏行(Japan In-depth 編集長、ジャーナリスト)「編集長の眼」 火ぶたを切って落とされた東京都知事選。三つ巴の戦いが始まった。自民・公明の推薦を受けた元岩手県知事・元総務相増田寛也氏、自民党で元防衛相小池百合子氏。そして野党統一候補、ジャーナリスト鳥越俊太郎氏だ。 小池氏は現職衆議院議員だったが、自民党の推薦は得られなかった。その小池氏に対し、自民党東京都連は7月11日、「都知事選挙における党紀の保持について」と題する文書を党員に配布。党として増田寛也氏を推薦するとした上で、他候補を応援することを禁じた。あて先は、「地域総支部長・選挙区支部長殿、各級議員殿」で、文書の発行者は「自由民主党東京都支部連合会会長 石原伸晃氏、幹事長内田茂氏、党紀委員長野沢太三氏」だ。都知事選候補の増田寛也氏(右)を応援する内田茂氏=東京・永田町 その中身は以下の通り。1.党員は、党の決定した公認・推薦候補者を応援し、党公認・推薦候補者以外の者を応援してはならないこと。2.党員は、反対党の候補者を応援し、または党公認・推薦候補者を不利に陥れる行為をしてはならない。3.各級議員(親族等含む)が、非推薦の候補を応援した場合は、党則並びに都連規約、賞罰規定に基づき、除名等の処分の対象となります。 あからさまに党が推薦する候補以外を応援したら、“一族郎党”処分する、との脅しに驚いたのは筆者だけではあるまい。そこまで党内を引き締めないと危ない、との危機感の現れなのか?この締め付けにすぐさま反旗を翻した自民党の衆議院議員が元東京地検特捜部副部長の経歴を持つ若狭勝氏だ。 その若狭氏は、7月11日のBSフジプライムニュースで下村博文衆議院議員が「本日の自民党東京都連の会議で、増田さんを推薦することで、参加者全員が挙手した」と発言したことに対し、Facebookや自身のブログで、「少なくとも私は手を挙げていませんでした。」と敢然と反論したのだ。選挙戦では小池候補の応援演説を精力的にこなしている。党除名も覚悟の上、だ。その若狭氏に16日、単独インタビューを行った。安倍:今回の都連の党議拘束、無理筋じゃないかといわれています。これについてどう思われますか?若挟:おそらく、焦りがあるのは間違いないと思いますね。都連側に。そして、すごい心理的な作戦であることも確かです。かなり厳しい選挙だなと思うと、ああいう文書出すこと自体、組織の心理としてまあ理解できなくはないと思いますね。それによる心理的な拘束、影響力って言うのは相当なものだと私自身非常に今感じています。私はそういう文書が出たとしても、自分の信念を曲げたくないという思いでやっているわけですが、ほとんどの人はああいう文書が出た段階で、いや難しい、という話になってきてます。安倍:一定の効果はあるだろうと。でも親族、一族郎党まで縛り、効かせられないですよね、現実問題。若挟:そうですね、括弧書きで「親族等を含む」、と書いてありましたから。親族って言うのは民法でいうとすごいものなんですよね。単に兄弟とか親子とかそういうものではないので。一定の法律的な用語が当然大事な話になっていくわけですから、法律用語を知らなかったといったら笑い話だし、法律用語を知っているんだったら、じゃあ親族って言うのはどこまでなんですか、と言ったら、たぶんほとんど口を閉ざすしかなくなっちゃうんじゃないかなと思いますね。ブラックボックスの中で物事が決まる安倍:もし利権追及チームができるのでれば、自分も積極的に参加するとおっしゃってますけど、実際に都の中に利権構造があるとお思いですか?若挟:利権構造はあると思います、私は東京地検特捜部の副部長も含め、検事としてやってきて、そういう意味では毎日利権構造の追及や既得権益の問題点を追及するという仕事を主にやってきたわけですから、その目から見たら、利権構造って言うのは東京だけなくどこにでもあるものだと思うんですよ。決してそれはいいことではないのですが、実際問題そういうものがないところはないんじゃないかと思うんですよね。だいぶ減ってはいると思うんですけど。東京都の場合は大きいですから、動くお金も大きいと。私のところには結構情報入ってくるんですよね。最近でもかなり具体的に情報が入ってきてまして、ですから利権構造があるかないかっていったら、あるというのは間違いないと思います。安倍:都民の目から見てもオリンピックではさまざまな施設を作ったりするわけで、どんどん費用が膨らんでいくじゃないですか。ああいうのは納税者からすれば納得いかないし、何がどうなっているのか曖昧だし、そこに国も絡んでくるし非常に不透明だなという感じがします。やっぱり特定の人に金が流れているとか、ブラックボックスの中で物事が決まっているとか、そういうものは現実としてあると認識されていますか?若挟:そうですね、まあ少なくとも大きなお金が動いて、何らかの利益を得る人がいるという風に、私は検事的な感覚ですけど、すごい分かります。で、ブラックボックスで人事だけでなくいろんな問題がどのように決められているかについて言うと、私自身は現時点ではっきり分かっているわけではないです。ただ、いろんな人から話を聞くと、少なくても都連の中で、ある一部の人が色んなことを決めているという話はそんじょそこらで聞かれますね。安倍:小池さんも都議の中からそういう声をよく聞くと会見で言ってました。東京都議会の自民党が舛添要一知事への不信任決議案を提出した議会運営委員会=6月15日若挟:少なくても私は、弁護士やったりコメンテーターやったり、あるいは議員になってからも、今の社会は4つの価値観を大きな支えにしていく必要があると思っています。それは、公正、透明性、説明責任、情報公開の4つです。利権構造は公正ではない。しかもそれが分からない形で、いろいろとお金とか、利益が動いていて、隠れてやっているというと透明性が失われる。説明責任も当然果たせない。内密にやってるから情報公開もあったもんじゃないと。要するに4つの価値観のいずれにも反する、あるいはそのうちのいくつかに反するっていうのは、今の日本は過渡期だと思うんですよ。今後日本社会をどういう風に変えていくか、クリーンで公正な社会に変えていくということには非常に大事な価値観です。それに反するものにはきちんと追求して、打破していかなければいけない、そういう思いがすごく強いんです。安倍:今回の都知事選がその試金石になりうると?若挟:そうですね。少なくとも都民、都民って言ってもある意味、東京都ですから国民と同じようなレベルだと思います。分かりづらいでしょうが、東京が変われば日本が変わるということです。安倍:マスコミも、争点がよくわかんないとか何とか言いますが、実は結構ここが争点じゃないかなって思うんですけど。若挟:そうですね。やはり今後の日本社会をどうして行くか。特に、オリンピック・パラリンピックまでにできることを、全部しておく。ハード面もそうですけど、ソフト面も含めて、税金の使い道とか、いろいろなものを含め、透明化したシステムをなるべくオリンピックまでに築き上げていく(ことが大切)。オリンピック後がまた新たな、違うステージになると思うんです。次のステージにはそうしたややこしい話とか、目に見えない話とかわけの分からないようなことをなるべくとっぱらって、時代がそこから変わったと(言えるようにしたい)。50年経って振り返った時に、日本って言うのはオリンピックを境に、違うシステム、要するにどんどん新たな枠組み、新たな仕組みが始まったんだ、と言えるようなことを、僕は描いています。今まで通りならリーダシップは取りづらい安倍:それは大事なことですよね。特に2020年から後、ものすごい勢いで高齢化が進む。いわゆる社会保障費がものすごい勢いで膨らんでいく。いまのままでは立ち行かないってみんな分かってる。中長期のビジョンが見えてこないというのがあるんですよね。若挟:つい最近副知事をやっていた人にお話をお聞きしたんですけど、大きなビジョンを描くって言うのは都知事としてそんなに簡単なことではないと。やっぱり都連とか都議会があるので、そこのやはり調整とかがあるので、かなり大変な話だと。大きなビジョンで動かしていくには、大きなリーダーシップを取らなきゃならない。やはりいままでと同じ様な枠組みだと大きなリーダーシップがとりにくいと思うんですね。少なくても舛添さんの時はそんなような、猪瀬さんが傀儡だといってますけど。そういうような形で来ていた感はあると思いますよね。安倍:それはでも、なかなか変えられないんじゃないか、という人もいますよね?若狭:変えられるか変えられないか。僕は今後の東京あるいは日本の試金石だと思いますけど。そんなに簡単でないことは確かですよね。やはり難しいんで、そういう意味ではおそらく増田さんが知事になるとそのまま旧態依然の形で進んでいくと思うんですよね。で小池さんがなったとして、それを変えられるかどうかっていったら、そんなに簡単にいまの立場で、変えますとか、任せてくださいとか言えるだけのものは持ち合わせてないが、少なくともチャレンジできてそれに期待をこめられるのは小池さんだとは思います。安倍:例えば、こうしたら変わっていくというようなものはあるのですか?若挟:2つの方法があると思うんですよね。一つは、対症法的な方法。要するにいまの問題点が何か1つ1つ検証し、問題点があれば、1つ1つ変えていく。もうひとつは要するに病理学的にもっと大きなところで変えていく。そういう2つの方法が必要だと思うんです。事象毎に1つ1つ見ていくだけで、「はい、事足れり。やり遂げた。」というのは全然半分だと思うんですよね。そこから分析して、何をビジョンとして工夫できるか、ということに繋げないと意味ない。で、大きなビジョンでやっていくんですけれど、これはある意味国との関係とか税金の問題とか絡んでくるし、東京都だけでは絶対できない話もいっぱいあると。特区にして進めればだいぶ違っては来ると思いますけど。そうはいってもそんな簡単ではない。いずれにしても2つの目を持って、進めないことにはなかなかうまくいかない。安倍:特に後者ですよね。意思決定のシステムも少しずつ変えていかなければならないし、首長と相対峙する議会勢力に、同じ道を歩ませるための仕掛けみたいなものが必要でしょうね。そっちに行かざるを得なくするというか。行くと自分達にとってもメリットがある、行くと自分たちの議席を守れる、というような流れを作るとか。若狭:そうですね。都政を透明化するのが最重要課題(インタビューを終えて) 若狭氏が党を除名されるかどうかは現時点では不明だが、選挙後党紀委員会が開かれるかもしれない。しかし、今回の都連の文書を厳密に遵守するとなると、仮に小泉純一郎元首相が小池百合子氏の応援に来たら、小泉進次郎氏が処分の対象になってしまう。また、2011年の愛知県知事選では自民党を除名処分となった大村秀章氏を菅義偉議員(現官房長官)が応援に入ったこともあり、ことはそう単純ではなさそうだ。 それはともかく、今回の都知事選、争点をアベノミクスの否定や原発、憲法問題など国政レベルの課題に求めることには違和感がある。小池候補と若狭議員が指摘するまでもなく、オリンピックに関する一連のドタバタ劇を見ていると、都政に非効率や不透明さがあることは明白だ。育児や介護の問題、首都直下地震対策、渋滞緩和、財政問題にテロ対策・・・都民の暮らしをよくするために取り組まねばならない課題は山積だ。 よくよく考えてみれば、最大の争点は、「メガロポリス東京の意思決定システムをどう公正、透明にしていくのか」ということに尽きるのではないか。そこにイデオロギーは必要ない。その為なら、都議会の中にある抵抗勢力と相対峙し、改革を断行する胆力が次の知事に求められるのではないか。もし、それを邪魔する勢力が都議会にあるのであれば、来年の都議会選挙でそんな勢力は落とせばいいだけの話だ。都民の為の政治を取り戻すことを私たちは第一義に考えるべきだろう。決して、人気投票に走ったり、国政政党の論理に振り回されたりしてはならない。 各政党もそこを取り違えているように見える。公党として、オリンピック後の政治の在り方を真剣に考え、意思決定を透明にしていく努力を怠れば、有権者の政治離れは東京から日本全体に広がり、欧米で進行しているポピュリズムが日本でも加速するであろう。それが有権者にとって好ましいことかどうかは、明白だ。

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    私は「都議会のドン」内田茂の裏の顔をここまで知っている!

    野田数(教育評論家、元東京都議会議員) 2009年の東京都議選で初当選し、2012年5月に会派から離脱するまで、私は都議会自民党の所属議員だった。その間から今に至るまで、都連幹事長として君臨しているのが内田茂氏である。私が見た内田氏は決して弁が立つほうではなく、自らはめったに発言しない。自分は黙ってじっと座っていて、腹心から意向を伝えたり、内田氏の歓心を買うために回りの議員が進んで発言する状態を作っていく。それが内田氏の手法なのである。 私が初当選する前には、都議会自民党にも派閥があり、議論も活発に行われていたという。しかし2009年の都議選で自民党候補が大量に落選したことで大きく変わってしまった。この都議選は民主党への政権交代が実現した総選挙の1カ月前に行われたため、都議選でも自民党に対して逆風が吹き荒れ、気骨ある議員の多くが落選してしまった。増田寛也氏の選挙事務所を出る自民党都連幹事長の内田茂氏(中央)=7月31日、東京都千代田区(古厩正樹撮影) しかしその間も現主流派の議員たちは当選し、現首脳部とされる議員たちも、落選したにもかかわらず自民党都連や都議会自民党の役員にとどまったのである。実はこの役員留任が自民党都連の中で大きく問題視され、当時の国会議員たちが排除しようと試みた。だが、彼らもまた政権交代選挙で大半が落選したため、都連所属の国会議員の数も少なくなっていた。 当時の石原慎太郎知事も加わり、石原伸晃都連会長以下、都連の国会議員は落選した内田氏を都連幹事長から外そうとしていた。しかし、都議会議員の数が圧倒的に多く、多勢に無勢であった国会議員と石原知事は都議会議員の抵抗になすすべがなかった。加えて東京都連の幹事長職は、東京都内の各級選挙の公認権を持ち、業界団体に対しての影響力も強いため、小選挙区選出の国会議員は最後まで抵抗しきれなかったのである。そのときの抵抗も内田氏本人が前面に出るのではなく、側近で現議長の川井しげお氏が数少ない国会議員の前で机をバンバン叩いて威嚇していたという。私も会派の控え室で「内田先生じゃないとカネ作れないじゃないか!」と凄んでいるのを聞いたことがある。 その結果、当時内田氏を下ろそうとしていた石原都連会長と平沢勝栄都連総務会長は、もはや逆らえないとあきらめて、今や内田氏のいいなりになってしまった。今回の都知事選でも、一度内田氏に弓を引いた人間が内田氏の歓心を買うために、小池百合子元防衛相を必要以上に攻撃したことも容易に想像がつく。「ポイント稼ぎ」のような異常ないじめ方 また、2011年7月1日に自民党所属都議会議員の樺山卓司氏が自殺した後、都議会上層部のご機嫌取りかウケを狙ったのかわからないが、若手の議員たちがこぞって樺山氏の自殺を揶揄するような発言をしていた。さらにベテラン議員たちもまた酒の肴のように冒瀆を通り越した言葉を発していたのである。若手からベテランまで、まるで「ポイント稼ぎ」としか思えないような異常ないじめ方だった。 樺山氏が自殺した時も多くの国会議員に相談したが、誰一人として声を上げてくれる人はいなかった。みんな厄介ごとのように、樺山氏の問題を封印したのである。この自浄能力のない自民党都連が現状のままなら、都民にとっては不利益しか与えないだろう。 東京都議会は首都東京を牽引する議会だから、開かれた議論闊達な場だとお思いの有権者も多くいただろうが、実態はそのようになっていない。都議会を一言で言えば、ムラ社会であり、ムラ議会なのである。議論など一切行われず、とりわけ都議会自民党の所属議員は上層部の決定に追随するだけである。たとえ賛否が分かれる案件も一糸乱れることなく賛成するのは、このような体質によるものだ。本来であれば、政策も自民党内で様々な議論があり、意見集約を経た結果、賛成か反対か判断するはずだが、そのようなプロセスもない。このものを言わせない体質が大きな問題であり、都民からの不信感を呼んでいる。東京都議会総務委員会集中審議で追求される舛添要一東京都知事=2016年6月13日、東京都庁(撮影・春名中) その一端が現れたのが、舛添要一前知事の公私混同問題に対する対応だ。世論やメディアが早期の辞職を求めていたにもかかわらず、都議会自民党だけが舛添氏をかばおうとしていたのである。特に顕著だったのが、都議会総務委員会の一問一答形式の集中審議で、自民党議員はあらかじめ用意された原稿を読み上げるだけで、厳しい追及を行わなかった。その後の審議でも他の会派が辞職を迫ったのに対し、手心を加えた質問に終始した。この対応が世論の反発を受けて、参院選に影響があってはならないと自民党本部の意向により、舛添氏は辞職を選ぶに至った。自民党都議団の意向は自民党本部や首相官邸が持つ危機感を共有できていなかったのである。それは極端なムラ議会のために、世論に対して無神経であり、都議団内で批判も許されず、自由な議論ができてないことに起因するものだ。小池新知事による「東京大改革」が進められる 今、都政の様々な面に対して、都民や国民が不信の目を向けている。都の職員も、東京都政推進のため生活向上のために日夜全力で働いている。にもかかわらず、都議会自民党がこのようなレベルだから彼らの足を引っ張っている。だから「東京大改革」を進めなければならないのである。 また都議会議員たちが都民、国民にとって何をしているのか、おそらく見えづらいだろうからこの点を明らかにしていく必要がある。本来、地方議員の仕事は条例を制定することである。しかし、条例を作ることのできる議員はほぼいない。ほとんどが役所側から出てきた条例案を追認するだけの存在でしかないのだ。また議会の質問も、自民党に関して言えば役所の職員が作っているのだ。だから原稿を棒読みするのもそのせいである。もっと言えば、漢字を読み間違える議員もいるから、職員がルビをつけるぐらいなのだ。では、都議会自民党の議員は何をしているのかというと、地域の冠婚葬祭を回り、業界団体の予算要項を聞く。これがメインの仕事になっているのである。本来ならば、地域をくまなく回り、様々な諸課題を条例化するのが仕事のはずなのに、選挙対策ばかりしているのが現状だ。これも改めなければならない。 この数代の知事は議会のコントロール下にあったと言えよう。まずはこれを改革する必要がある。そのためには情報公開を徹底しなければならない。情報公開を徹底し、政策決定のプロセスを透明化し、都民、国民の目にさらさなければならない。今まで東京都議会および東京都政が都民、国民の注目を浴びてこなかったのはマスコミの関心が低かったためでもある。したがって、新知事はマスコミに対して積極的に発信している必要があるだろう。政策決定のプロセスを透明化し、疑惑を持たれる案件を積極的にメディアに発信していくことによって、都民に対しての情報公開が進展するのだ。むろん東京都の情報公開制度の仕組みを変えていく必要もあるだろう。これにより都民、国民にとって都政が身近なものになるはずである。身近なものになれば、都民、国民の間で都政に対する様々な議論が沸き起こり、関心も深まる。そこで都政に対しての新たな意見や要望が増えてくるのではないだろうか。また、不透明な案件に対しての情報提供も増えてくるだろう。これから小池百合子新知事による「東京大改革」が進められることになるのである。(聞き手 iRONNA編集部・松田穣)のだ・かずさ 教育評論家。昭和48年生まれ、東京都出身。早稲田大学教育学部卒業後、会社員、国会議員秘書を経て、東京都東村山市議、都議会議員などを歴任した。

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    都議会のドンたちの「ブラックボックス」の中身が見えてきた

    おときた駿(東京都議会議員)こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。今日の小池百合子候補の街頭演説会では、「皆さん、今日発売の週刊文春は見ましたかー??」とおっしゃるので、密かにドキドキしていた私です。 綾瀬駅、亀有駅、金町駅で演説。今日も多くの皆様が集まって下さっています!感謝です!#CreateNewTokyo_Yuri #都民が決める #小池百合子 #綾瀬 #亀有 #金町 pic.twitter.com/I0KkzZ5Ahw— 小池百合子 (@ecoyuri) 2016年7月28日  もちろん小池百合子氏が言いたいのは私のことではなくて、こちらの記事。“都議会のドン”が役員の会社 五輪施設を逆転受注 | スクープ速報 – 週刊文春WEB 玉石混交な週刊文春の記事ですけど、残念ながら(?)こちらは相当気合が入っているようで、良く書けています。「都議会のドン」こと内田茂氏が監査役を務める会社が、都の公共事業で次々と大型案件を落札し、競争入札の透明性に疑問がもたれるとの内容です。こうした入札において「談合」や「根回し」を証明するのは至難の業ですが、東京都政においてはこの入札過程とやり方そのものに多くの疑義が示されており、私自身も当選直後から改善提言を繰り返してきました。本来、公共事業の発注や指定管理者の指定などは、オープンな「競争入札」によって公平な市場原理を働かせるべきものです。ところが東京都では、「特命随意契約」の多さが各所から指摘されています。「特命随意契約」とは文字通り「特別な事情」があって、競争入札に相応しくないものに対して、予め特定の事業者を指定して発注を行うものです。参考:指定管理者制度と「特命指定」 ですがこの「特別な事情」というのが極めて曖昧・恣意的で、分野によってはほとんどが特命随意契約になっていたりするわけです。「福祉分野の事業なので、民間事業者に競争させることにはなじまない」「ITの基幹システムに関わる部分なので、事業者を変えると余計なコストやリスクが発生する」など、都官僚は「できない言い訳」を考える天才ですから、もっともらしい理由はついているものの、果たしてこれが健全と言えるのでしょうか。一見公平な「競争入札」ですら、文春記事のような事態が発生しているのですから、この「特命随意契約」の実態にもかなりの利権構造が存在している可能性が高いと言えます。この実態を洗い出し、発注先の外郭団体ともども抜本的な見直しを行い、透明化していくことが必要なのではないでしょうか。このあたりの情報公開・外郭団体の見直しについては、上山信一教授の指摘が秀逸ですので、ぜひこちらもご一読ください。橋下・大阪改革のブレーンが語る「東京改革プラン」都議会のブラックボックスにメスを都政の、そして都議会のブラックボックスにメスを入れて欲しい、闇に光を当てて欲しいという声は日増しに高まっています。 自殺した樺山卓司さんの妻、小池百合子氏の応援で内田茂氏を批判 https://t.co/yLs8Fq3f5u— Josephs Alexander k. (@reemunbai) 2016年7月28日  私も以前に現職都議が自殺した事件について取り上げましたが、なんと今日はその当事者の奥さまが応援演説に駆けつけ、都議会の壮絶な実態を明らかにしました。そして先日の自民党都連の集会では、増田寛也候補を応援する石原慎太郎元知事が「厚化粧の大年増」と女性蔑視の発言を平然と言い放ち、自民党都議や候補者本人もそれを笑ってみているなど、あのセクハラやじ問題から何一つ学ぶことのない、旧態依然とした状態が続いています。いい加減にこんな東京都政には、終止符を打ちましょう。我々はいま、その変化を起こす最大のチャンスを目の前にしています。(2016年7月28日 「おときた駿公式ブログ」より転載)

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    東京都議たちがいかに利権にまみれているかを大前研一氏指摘

    ろ暗いだろう、と経営コンサルタントの大前研一氏は指摘している。舛添問題と、これから始まる都知事選が、地方自治体と議会の実態を根本から作り直す契機になるか。 * * * (舛添氏よりも)むしろ“脛に傷を持つ”のは都道府県議会や市区町村議会の議員たちだろう。 実際、私が1995年に東京都知事選挙に出馬した際は、都議たちがいかに利権にまみれているかという情報が、都庁職員からファクスで続々と届いた。 たとえば、東京都の施設に設置されている自動販売機は1台1台すべて、都議ごとに利権が決まっていて、そのリストを送ってきた。あるいは、都立現代美術館が新設された時は、そこに展示する絵画や彫刻などの作品ごとに、それを納入する画商と口利きする都議のリストが送られてきた。業者への“口利き利権”を、与野党を問わず都議たちがあらゆる分野で分け合っている実態がそこにはあった。 また、野党議員の中には、住民反対運動を利権にしている者もいる。つまり、自分の選挙区でビルやマンションなどの建築計画が立ち上がると周辺住民の反対運動を組織し、住民の“代弁者”となって施主や建設会社と交渉する。そして騒音対策費などの名目で補償金のようなものを獲得したら、それを住民と折半するという仕組みである。 これらを全部ひっくるめると、地方議員がいかに利権まみれかがよくわかる。多くの議員は、叩けば山ほど埃が出てくるはずだ。この話は20年以上前のことだが、もし都議たちが今は違うと言うならば、都議全員の“総当たり制バトルロイヤル”で、お互いの利権の有無を追及し合えばよい。 産経新聞(5月18日付)によると、都議の年収は1700万円超で、議会に出席すれば1日1万~1万2000円の“日当”も支給される。この報酬と月60万円の政務活動費などを合わせた127人の都議の“人件費”に、それを支える議会局職員約150人分の給与などを加えると、都議会維持費用の総額は56億円に上るという。 なのに、今年3月の都議会では舛添都知事が提出した全議案を原案通り可決した。原案可決率100%という異常事態が、少なくとも3年以上続いている。要するに、都議たちは全く仕事をしていないのである。舛添氏の絵画や中国服の購買を追及する立場にないことは明らかだ。都議会の「原案可決率100%」でわかるように、そもそも地方自治体は事実上、首長と役人が運営している。海外では、地方議員は無給のボランティアで、夕方、仕事が終わってから集まって議会を開いているところも多い。 一方、高給をもらいながら、それに見合うような仕事をしていない日本の地方議会は文字通り“無用の長物”であり、税金の無駄以外の何物でもない。では、優秀な都の職員たちは、なぜ都議たちの横暴や利権漁りを知りながら容認しているのか? これが地方議会の本質ではないかと思われるが、都の職員は自分たちの仕事や提案する予算、議案にいちゃもんをつけさせない抑止力を維持したいからである。「原案可決率100%」で、その見返りが十二分にあったことが示されている。 しかし、彼ら公僕は決してそれでよいとは思っていない。だからこそ私が都知事選に出馬すると一斉に「この議員たちの悪行を一掃してくれ!」と、驚くほど細かな「利権一覧」を送ってきたのである。 舛添問題は聞き飽きたと言う人は多いと思うが、その背景にあるおぞましいまでの地方自治体と議会の実態を根本から作り直す契機にしてもらいたい。うんざりして「次の知事」を知名度だけで選んでいる場合ではないのだ。関連記事東京都議 議員報酬以外に議会出席で日当1or1.2万円支給次期都知事候補 舛添氏、東国原氏、小池氏らの名が取り沙汰舛添氏 都知事は総理へのステップと安倍氏をライバル視民主党議員 「青少年都条例」めぐる下劣なヤジにかなり動揺都議 政務活動費で54000円スマホや1万円分のキャンディ購入

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    知事選3回150億円使っても東京都は「利権構造」を解決できないのか

    事の発端 江戸府から東京府、東京市を経て東京都になり、初めて東京都知事が公選となったのは1947年の地方自治法施行後からだが、つい先日のことと思い出す石原慎太郎都知事まで東京都知事はたった6人しか務めていない貴重な役職だった。図表: 歴代都知事の任期 その間の平均任期は11年という長期政権だ。 短命知事の発端は、石原慎太郎知事の4期目からである。4選から1年後の2012年、衆院選に出馬するため知事を辞職。 その際に後継指名されたのが、当時副知事だった猪瀬直樹都知事だった。 最近はこのことを忘れ暴言を吐かれているようだが、元はと言えば、石原知事が任期途中で投げ出して後継指名した猪瀬知事の辞任が元凶だ。 猪瀬知事は僅か1年で辞任、その後任の舛添要一知事も2年で辞任と、都知事は一気に短命となった。 このことにより、2011年から東京都では、5年で4回と、ほぼ毎年、都知事選挙をやっていることになる。 1度の都知事選に約50億円かかると言われており、5年で200億、1年でならしても40億にも昇る。 200億もあれば、それこそ待機児童問題なんてどれだけ解消されるんだという額である。 この短命政権に終止符を打つということを考えても、都民には200億円の価値を出す選挙にしてもらいたいと思う。 各調査から現状を見ると、調査によっても分かれるが、概ね「22:20:16」といった感じだ。 まだ投票先を決めていない無党派が多く、増田陣営、鳥越陣営は組織の引き締めを図るとともに、小池陣営も含めて三つ巴で無党派に働きかけていくことになるだろう。 この点から考えると、詳しくは別の機会に書くが、今回の都知事選挙の結果を18歳も含めた若者の票が左右しかねない状況になってくる可能性すらある。 無責任に有権者を煽れば、その意味でも「面白い選挙」になりつつあるのは間違いない。 今回の選挙において重要なのは「投票する候補者の選択」だけではない。 今回取り上げた「利権構造」で言えば、当選後どうやって知事を逃げずにやらせられるかという構造を作ることもこの選挙で問われているのではないかと思う。 いずれの候補を選ぶにしても、その主役は、候補者ではなく、都民である。(2016年7月29日「世の中を変えるブログ!」を転載))

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    「自民都連のドン」に批判ツイート連発 猪瀬元知事の意趣返しか

                                                                                        (THE PAGEより転載) 「自民党都連はブラックボックス」「都連・都議会の『ドン』が都政を不透明なものにしている」――。31日投開票の東京都知事選に立候補した自民党の小池百合子元防衛相が先月末の出馬表明時から、こうした抽象的な言い回しで“標的”としてきた都連・都議会の問題について、作家の猪瀬直樹元都知事がツイッターなどで発言を続けている。時計の針を小池氏の出馬表明の時点に巻き戻し、猪瀬氏のツイッターやネット上での発言内容を順を追って紹介しつつ、両氏が主張する都政と五輪利権の「闇」の一端を探った。猪瀬直樹元東京都知事  「崖から飛び降りるつもりで」と小池氏が知事選出馬の意向を明らかにした6月29日、猪瀬氏はそれを受けて次のようなツイートを発した。「小池衆議院議員が都知事選に立候補?! 僕を目の敵にした自民党都連幹事長、都議会のドン・内田茂の一挙手一投足に注目ですね」 猪瀬氏を目の敵にしたとされ、今ではメディアの注目の的ともいえる内田茂氏(77)とは、議長経験も有する都議会自民党の最大実力者。自民党都連幹事長の座に2005年以来、10年以上にわたって居続ける。その内田氏をターゲットに猪瀬氏は7月5日、小泉元首相が小池氏の出馬を「最近は女も度胸がある」と評価した際には3回に分けてこうツイートした。 「報道ステーションとニュース23に重大な誤りがある。僕は知事選の際、自民の推薦をもらっていない。都連(内田幹事長)は選挙ポスターを突き返してきた。 舛添氏は内田氏の傀儡政権だったが、僕は副知事時代に既得権益に踏み込んだので敵扱いされた」とし、「都政で何が問題だったのか。都政の最大のガンは既得権益を仕切るボス政治なのにメディアは表層的でことの本質に迫っていない」と指摘した。そして「小泉元首相の発言の真意が伝えられていないようなので解説しておきたい。小泉氏は既得権益への斬り込みを小池氏に期待しているのだ。絶大な権力と東京五輪の利権問題 内田茂・自民党都連幹事長は既得権益の権化」と強調した。「『都議会のドン』やひと握りの幹部による都政運営を改め、都民のための『東京大改革』を進めます」。正式出馬を表明した小池氏は参院選当日の10日、都連への推薦申請を取り下げた際、吹っ切れた表情で報道陣にこう語った。同氏による「都連、都議会の『ドン』」という発言はこの日以降、日を追って回数を増す。猪瀬氏のツイッターでの発言にも拍車がかかる。同じ日のツイートは「都知事選は自民の分裂選挙になるが、実態は都連の内田幹事長にとって無難な人物か、その既得権にメスを入れようとする人物か」。 翌11日、自民党都連が石原伸晃会長、内田茂幹事長らの名で出した「都知事選における党紀の保持について」という文書に「各級議員(親族を含む)が非推薦の候補を応援した場合は(中略)除名等の処分対象となります」との条項を盛り込んだ際には、ツイッターで「親族を含むに苦笑。北朝鮮じゃないんだから」と揶揄した。  さらに13日に公開されたニュースサイト「NewsPics」のインタビューで、都連幹事長の内田氏を「東京のガン」と名指し、都連幹事長が知事選の実際の公認権に加え、都選出の国会議員の公認権も握っていると指摘した。「国会議員は都議の足で選挙してもらうのだから都議が動かないと当選できない。だからこそ、幹事長の内田氏に絶大な権力が集まり、そのポストに10年以上も居座り続けることで勢力を広げています」。その強大な力の前には石原元知事でさえ気をつけて接していたという。 インタビューの中では内田氏のいじめ、嫌がらせにあって同じ自民党の都議が11年7月に自殺したという事実も明かし、都政の正常化には「来年の都議選で内田支配をストップさせる議員を多数当選させることが大事。都議会の既得権益のボス支配をやめさせること」と訴えた。2020年の東京五輪問題にも言及し、関連予算が膨れ上がったり運営の不透明さが問題視されたりする背景には、組織委員会委員長の森喜朗元首相の存在があると明言する。インタビュー記事のネット掲載に合わせるかのように、同じ日には自らのツイッターを通して自殺した自民党都議の遺書も写真公開した。「元知事がなぜあんなことを書くのか、事実無根」と反論 一方、都議の音喜多駿氏(かがやけ)はその前日の12日、「都議会のドンの先にある森喜朗氏とその利権構造とは」と題するブログを公表し、猪瀬氏の知事辞任劇と森氏の五輪組織委員長就任との関連について論考している。 東京五輪の予算規模は2013年の招致段階では「コンパクト五輪」を売り物に3000億円程度だったのが、組織委内部の密室の話し合いの中で今や少なくとも6倍の1兆8000億円に。このうち仮設会場の整備費や既存施設の改修費に限っても、招致時点の723億円が現在約3000億円に増大しているという。都議会総務委員会集中審議で追及される舛添要一氏=2016年6月、都庁 こうした問題について、告示後の第一声で小池氏は「いつ誰が、どこで何を決めているのか分からないうちに五輪予算は2兆、3兆と言われるようになった。もっと明確にし納得のゆくものにしなければ」と語った。 増田氏は「五輪の準備が大変遅れている。都民の負担を最小限にして素晴らしい夢のある大会実現に努めたい」と訴えた。鳥越氏は第一声では五輪関連予算には触れなかったものの、15日には公約がホームページに掲載され、「五輪経費の徹底したコスト削減を行います」としている。 当の猪瀬氏は15日深夜、こんな内容のツイートを発している。「しかし、必ず流れが変わります。(ネットや夕刊紙の)次に週刊誌が登場してワイドショーが内田氏の姿を追い始めるかもしれません。闇に棲むものは光を照射すると力を失います」 なお、猪瀬氏のツイッター上などでの発言に対して内田氏の事務所は「元知事がなぜあんなことを書くのか、事実無根です」と反論している。(フリー記者・本間誠也)

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    1965年「都議会伏魔殿」と戦った公明党

     東京都議会は国会と比べてメディア注目度も低いため、都議会の腐敗は放置されやすい環境があるようです。地方自治の領域を超えた巨大な予算と機構を持つ東京都を一つの地方自治体として扱うことはそもそも無理があるのかもしれません。 また、東京都政に関する一般的な都民の関心の低さは都議会議員選挙の投票率の低さにも表れています。このまま何回選挙を行ったとしても、政治的な構造上の問題から抜け出すことは難しいと思います。東京都の伏魔殿化に対する処方箋とは何か東京都の伏魔殿化に対する処方箋とは何か 東京都の伏魔殿化に対する処方箋は「都区制度を終わらせること」です。東京23区は東京都庁の事実上下部組織として位置づけられており、本来の基礎自治体が持つ権限、特に都市開発に関する権限が著しく制約された状況に置かれています。 そもそも「東京都」という仕組みは戦時体制に移行する過程で、東京都民から自治権を中央集権化する 東京都庁・都議会が持つ巨大な利権は特別区から取り上げられている都市開発に伴う権限集約にあります。これらを基礎自治体に返還していくことによって、東京都民の自治が機能しやすい住民に近い環境に戻していくことが重要です。 その際に、特別区を複数の指定都市などに分割するか、その手法は様々なあるところですが、東京都の都区制度の解体こそが今回の東京都知事選挙の本当のテーマであるといっても過言ではありません。 政治浄化は意思決定が有権者と近いところで行われることによって果たすことができます。東京都民による自浄作用のみが正しい政治を行うことを担保してくれる唯一の仕組みです。 今年か来年に予定されている東京都議会議員選挙において、公明党に限らず都議会各会派・無所属の候補者の皆さまが新しい東京の姿を示すことに期待しています。(2016年07月24日 ブログ「切捨御免!ワタセユウヤの一刀両断!」より転載))

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    都知事選びに失敗しないたったひとつの方法はこれだ!

    山田順(ジャーナリスト)「駆け込み」出馬だらけの候補者たち 舛添要一“公私混同”知事の「ボーナス、退職金を懐にした逃げ切り」を許してしまった都民としては、今度こそまともな信頼出来る知事を選びたい。もう2度と税金の無駄遣いをするような人間は選びたくない、というのが本音だろう。それで、「せこくないこと」「クリーンなこと」「実務経験があること」などが、評価基準として俄かにクローズアップされることになった。 しかし、この世の中にすべてを満たすような人間がいるわけがない。だから、与野党の候補者選びも迷走し、今回は、主要候補者のすべてが「駆け込み」出馬となった。 迷走ぶりが際立っていたのが自民党で、小池百合子“先行逃げ切り狙い”元防衛相の出馬に対して「わがままだ」「公党への侮辱ではないか」などの発言が飛び出し、結局、増田寛也“実務ならお任せ”元総務相を出すことになった。保守分裂である。 一方の野党も、古賀茂明“アイアムアベ”元経産省官僚が登場したりした後、最終的には鳥越俊太郎“ガン克服ジャーナリスト”で1本化するまで迷走した。 こうして14日の告示日を迎えたわけだが、では、誰に“清き1票”を入れるかとなると、組織の“ロボット有権者”(組織票)は別として、まだまだ決めかねている人(無党派層)は多いと思う。そこで本稿では、極めて個人的な、しかし、“一理ぐらいはあるかもしれない選び方”を提示してみたい。「無責任」な1票でも有権者が負うべき責任 民主主義の選挙においては、時代の状況によって、政治家の評価基準はくるくる変わる。経済や社会が安定しているときと不安定なときでは、有権者が求めるリーダー像は違う。そこに、利害、支持政党、政策の実現性、政治家としての実績、メディアの情報、候補者の人柄や印象などが加わると、もうどうしていいかわからなくなる。都知事選候補者の演説を聞く人々=7月14日午前、東京都新宿区 しかし、ただ一つ言えることは、有権者はどのような評価基準で選んでもかまわないということだ。「いい人そうだから」という印象だけで選んでもかまわない。「無責任」と言われようと、「愚民政治」だと有識者からバカにされようと、1票は1票である。  ただし、よく「政治家が悪い」と言う方がいるが、どう選んでもかまわない以上、こういう批判は許されない。批判する権利があるにしても、結果的に悪い政治家を選んだ場合、その責任は私たち有権者が負わなければならない。 それでもなお、有権者は自由だ。誰にも投票行動を規制されることはない。「バカなやり方」を続けてきた理由「バカなやり方」を続けてきた理由 そこで今回の選び方だが、私はここ十数年、どんな選挙でも、たった一つのやり方(評価基準)でしか、投票してこなかった。まずはこの際、政党、政策、公約、実績、人柄などどうでもいいと思い切る。そうしてすべてのファクターを捨ててみる。そうすると、残るのは年齢だけになる。 つまり、もっとも若い候補者に1票を入れるのだ。 なぜ、こんなことをしてきたのかというと、日本は若返らなければ絶対に変わらないと思ってきたからだ。このまま、私のような世代が、自分と同世代の候補者や年上世代の候補者に投票していたらどうなるだろうか? すでに日本は超高齢社会である。富も地位も政治権力もみな高齢者に集中している。これがもっと進んでいくだけだ。 「そんなバカなやり方があるか」と、私の周囲の人間たちは怒る。「自分の職業をバカにしているだろう」と言われたこともある。しかし、私の周囲にはこう本音をもらす人間が多い。「日本がどうなろうが、年金をもらって悠々自適。逃げ切れるだろう」  多くの高齢者は年金をもらって生きているので、生きている世界が変化するのを嫌う。現状維持が最善の選択だ。日本が変化してはいけない。まして、劇的に変化したら、自分たちの居場所がなくなり、生存も脅かされる。だから、自分が生きている間は、すべてに対して現状維持で、世の中が大きく変わるのは困る。そうして、日本は素晴らしい国だという“ファンタジー”のなかで死んでいきたいと願っている。政府債務が1000兆円を超えているこの国で、こんな考え方でいいのだろうか?「シルバーシティ・トーキョー」という現実 それでは、今回の候補者を年齢順に並べてみよう。鳥越俊太郎(76)ジャーナリスト今尾貞夫(75)医師山口敏夫(75)元労相マック赤坂(67)セラピスト増田寛也(64)元総務相関口安弘(64)政治団体代表小池百合子(63)元防衛相岸本雅吉(63)歯科医師宮崎正弘(61)日本大学教授中川暢三(60)元兵庫県加西市市長内藤久遠(59)元陸上自衛官山中雅明(52)政治団体代表望月義彦(51)ソフトウエア開発会社社長武井直子(51)元学習塾講師立花孝志(48)元船橋市議会議員上杉隆(48)ジャーナリスト桜井誠(44)元在特会会長谷山雄二朗(43)国際映像配信会社社長後藤輝樹(33)自営業高橋尚吾(32)元派遣社員七海ひろこ(31)幸福実現党広報本部長 主要候補者のなかで最長年齢は鳥越俊太郎氏の76歳。増田寛也氏、小池百合子氏にしても60歳をとうに超えている。この方たちは、4年後の東京五輪のときは、それぞれみな4歳年をとり、誰が都知事になろうと、いわゆる「高齢者」として開会式に出席することになる。メディアも本当は都民のことを考えていない 私の知人のアメリカ人が、こんなことを言ったことがあった。「たしかに東京は素晴らしい都市だ。しかし、一つだけ残念なことがある。街を歩いていると、圧倒的にお年寄りが多いことだ。とくにタクシードライバーはみな老人なので、不安になる。 みな親切でチップもないから、その点はいい。しかし、あまりに高齢なドライバーだと、事故が起こったらどうしようと思うことがある。世界の大都市で、高齢ドライバーがこんなに多い都市はないと思う」 現在、都内の65歳以上の高齢者は約300万人。高齢化率は22.9%で、都民のおよそ4.4人に1人が高齢者である。この高齢化のスピードは今後ますます加速し、2020年には25%に近づく。少子化も加速している。東京の出生率は1.17(平成27年)と日本の都道府県のなかでも最低である。 東京五輪は、世界中からいろんな人々がやってくる。そうした人々が目にするのは、街を歩いているのが高齢者ばかりという「シルバーシティ・トーキョー」の現実だ。 さらに、競技会場に行けば、観客席を埋めているのはほとんどが高齢者。五輪のチケット代は高いから、結局、余裕のある高齢者ばかりが手に入れることになるだろう。そうすると、競技をしているのは世界中のヤングアスリートたちで、それを見ているのは高齢者ばかりという“異様”な光景が全世界に発信される。メディアも本当は都民のことを考えていない 「誠心誠意で尽くす」「身を切る覚悟」とみなさん言っているが、政策的にはあまり変わらない。なぜなら、東京が直面している問題は同じだからだ。(一部画像を処理しています) これは、東京ばかりではなく日本全体の問題だが、「少子高齢化」という社会になった以上、これに適応し、さらに次世代が希望を持てるように社会構造を変革しなければならない。 五輪を成功させることも重要な課題だが、「待機児童」「介護難民」などという問題は待ったなしだろう。 このような観点に立てば、保守分裂、野党統一候補などいう「政争」から、選挙戦を占う(=票読み)報道ばかりしているメディアは、じつは本当は都民のことを考えていないのではないかと思う。 これから高齢化がもっとも進むのは地方より大都市圏である。首都圏では2035年までに65歳以上の人口は75%も増え、人口の32%を占めるようになるという。そうなると、現役世代の負担はさらに増す。 現在の20代の一人あたりの税・社会保障の負担は65歳以上より1億円近く多いが、この差はさらに広がるだろう。そして、いまは財政的に安定していても、東京ですら財政危機に直面することになる。 もう、老人は静かに去っていく。これ以上、社会に負担をかけてはいけない。それが最善の選択だと、現在63歳になった私ですら思うが、どうだろうか。

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    失敗しない都知事の選び方

    政治資金の公私混同を批判され、辞任した舛添要一氏の後任を決める東京都知事選が告示された。「政治とカネ」をめぐり2代続けて知事が任期途中で辞職し、都政の信頼回復が大きな焦点となる。4年後の五輪ホスト都市の顔にふさわしい人物をどう選べばいいのか。失敗しない都知事の選び方を考える。

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    もう「消去法」しかないのか? 都知事選の顔触れにがっかり

    山本一郎(ブロガ―・投資家) 東京都知事選挙が告示され、21人もの立候補者がたった一つの椅子を争う戦いが始まりました。東京都知事は日本でも最大の選挙であり、一人を選ぶのに有権者1,120万人あまりが審判を下すという大変な規模で行われるものですから、政治家として相応に優れた人物が立候補しなければならない「はず」です。都庁(新宿区) 実際には元岩手県知事、元総務大臣や日本創成会議、東京電力社外取締役などを歴任された増田寛也さん、東京10区の衆議院議員の小池百合子女史、著名ジャーナリストの鳥越俊太郎さんを軸に争うという点で、経歴だけ見るならば山口敏夫さんを含め閣僚経験者3名、有名なジャーナリストに元日弁連会長という、日本を代表する人物が立候補してきた「はず」です。過去二回、東京都知事選に出馬した元日弁連会長の宇都宮健児さんは最後の最後に降りてしまいました。いろいろ苦渋の決断もあったのではないかと思案するところではありますが…。 しかしながら、官房長官の菅さんがこの選挙戦に関して興味深い注釈をつけています。菅義偉官房長官「スローガンではなく具体的な政策を」http://www.sankei.com/politics/news/160714/plt1607140023-n1.html また、行政学者の新潟大学の田村秀教授も、大都市東京の未来を考えるのに「軽い」論考や政策を打ち上げ花火のようにやるだけでは良くない、というお話もかなりされています。「都政はワイドショーではない」 新潟大の田村秀教授http://www.sankei.com/politics/news/160713/plt1607130080-n1.html 経歴や肩書きは立派なはずなのに、出馬した候補者の顔ぶれを並べてみるだけでがっかりする感じが否めないのは、東京都をこちらの方向に向かわせる政治をするという主義主張の部分と、現実の政策としてどこに着眼し何を実現していくのかという青写真が見えないところはあるでしょう。 政策通で実務家として担がれた増田寛也さんも、東京一極集中を強く批判してきたわけで、過去の主張や政策についての一貫性を求められるでしょうし、小池百合子女史も都知事には解散権がないのに不信任案が可決される前提で都議会解散を公約に掲げて不興を買っており、鳥越俊太郎さんにいたっては具体的な公約を問われても「無い」という状態です。これでは、東京都の都民としての利益を考えて有力候補の誰かに投票しようと思っても選択肢が無い、ということになりかねません。結局、いままでさんざん増田寛也さんを批判してきた私でさえ、いざ投票するとなると消去法で増田さんぐらいしか見当たらないのではないか、と思ってしまうぐらいの状態です。増田寛也「ほとばしる無能」を都知事候補に担ぐ石原伸晃&自民都連(訂正とお詫びあり)http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20160704-00059615/ 突き詰めれば、政治家としての主義主張を考えたとき、その政治家が有権者に対して何をもって信を問おうとしているのかという哲学や政治思想の問題が横たわっているように感じます。つまり、この人は何を実現しようと思っていて、何を価値に考えていて、そこから導き出される政策は何か、ということが分からなければ、有権者個人個人の政治信条やこの社会をどういう方向に持っていけばより良くなるのかというコンパスと六分儀がうまく働かないのではないか、と思うわけです。国政での政党間対立を、そのまま都知事選に持ち込むのは問題 例えば「新宿区に韓国学校を建てる」ことの是非において、有権者目線でいうならば、待機児童が多く保育園の建設が求められているので、韓国との関係や経緯を考えても韓国学校よりも保育園を先に建設するべきと考える人もあるでしょう。しかし、その有権者目線と同じところから「日本人のために韓国学校を白紙にして保育園を建てます」というだけでは、単に目先の有権者やメディアでの議論に引っ張られるだけの都知事候補に見えてしまいます。公開討論会に臨む増田寛也氏。後ろは小池百合子氏 =7月12日、東京都港区・赤坂区民ホール そこで、東京の未来像を考えたときに、東京には韓国の方だけでなく多くの外国人も暮らすダイバーシティを許容していく社会作りをしていくつもりなので、都市計画として韓国学校やマイノリティの人たちが安心して学べる場所もまた日本人向けの保育園と同様に重要だ、と付け加えられるならば、東京の未来について考えた上で、韓国学校をどう扱おうとしているのかなということが理解できるようになります。 また、一口に少子高齢化と戦うといっても、どこに着眼点を持つのかは非常に重要な観点です。財布はひとつであり、黒字である都政といっても今後は猛烈な高齢化が進む状況ですので、これを都市計画や都市経営のうえで予算配分をどうするのかの優先順位を見せてもらえなければ、本来の意味で少子高齢化対策にはなり得ません。 言い換えるならば、少子化対策と高齢化対策はセットで語られがちですけど、ここにだって少子化対策を進めたければ高齢化対策予算を削らなければならないというジレンマは必ずあります。さらには、高齢化している地域と保育園が不足している地域では東京都が行うべき政策のスタンスが大きく異なります。東京の23ある特別区の中でも細分化されていますし、特別区と市町村部でも利害は異なることになります。それに対して、候補者がどのような「目配せ」をするのかは、やはり短い選挙戦の中で理解できるようなヒントが出てきてくれないと困る、ということです。 公明党の山口那津男代表が、非常に興味深いことを発言していました。国政での政党間対立を、そのまま都知事選に持ち込むのは問題なんじゃないのということで、野党統一候補として野合の結果出馬に至った鳥越俊太郎さんに対して熱い「DIS」をお話されています。もちろん、そのとおりだと思います。公明・山口那津男代表「参院選の対決構図、望ましくない」 統一候補擁立の野党側を批判http://www.sankei.com/politics/news/160714/plt1607140028-n1.html そのうえで、増田寛也さんも結局は国政の与党として協力関係の深い自民党と公明党が支援しているように見えるのもポイントです。どうしても、国家レベルでの政党間の党利党略が前面に立って、本来であれば都民のための暮らしをどう都知事が良くしようとしているのかを把握するはずの選挙戦が見えづらくなってしまうわけであります。 やはり、問題山積であり今後は五輪だ高齢化だ老朽化したインフラ対策だとやるべきことが多発している東京の中で、都民の未来にとって意味のある議論を各候補者にして欲しいと強く願います。有り体にいえば、東京を「高福祉高負担」にするのか「低福祉低負担」でやりたいのか、また生活者目線で給与水準のボトムをアップする方向か、それとも意欲のある人に多くのリソースを分けていく政策にしたいのか。候補者各員の政治哲学や思想がしっかりと見える選挙戦をやって欲しいと思います。

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    知られざる素顔をメッタ斬り! 都知事選、有力3候補の「泣きどころ」

    八幡和郎(徳島文理大教授、評論家) 東京都知事選挙は実質的に、小池百合子元防衛相、増田寛也元総務相、鳥越俊太郎氏の争いになった。宇都宮健児・元日本弁護士連合会会長は、立候補予定者として名乗りを上げて以降、テレビなどにさんざん露出し勝手なことを言っていたくせに、立候補を取りやめるとは都民をバカにするにもほどがある。電波ジャックで公開詐欺をしたようなものだ。弁護士だからいろいろ弁解はあるのだろうが、悪徳弁護士なみの法匪だ。主張は相容れないが筋の通った人だと思っていただけに見損なった。 また、驚いたことに、連合東京が鳥越氏を支持せず中立にまわることになった。政策が示されず検討しようがないという。前回は細川護煕元首相を民主党が推薦したが、反原発を明確にしたために、連合東京は舛添要一前東京都知事と政策協定を結んで支持に回った。今回はどの候補者も支援しないというが、実質的には、小池氏の行革路線に反発して増田氏の当選を期待するニュアンスがあるのかもしれない。それなら連合は国政選挙でも共産党を含めた野党連合にNOを突きつけるべきだった。立候補した(右から)鳥越、増田、小池氏 なぜ鳥越氏が野党4党の統一候補なのか? それは、4党野合連合+プロ市民+連合東京の中で、どこかがどうしても嫌だという候補ではないというだけだ。その上、自分たちにとってあまり厳しくなく、いい加減な主張をしているからだ。連合東京が鳥越氏を支持しなかったのも、鳥越氏だから中立にとどまったのであって、古賀茂明氏あたりなら増田氏を支持していただろう。 鳥越氏は76歳と、これまで千葉県の加納知事、岐阜県の武藤知事と並び就任時の最高齢で、唯一のセールスポイントか。出生率において東京は1.1で全国平均1.4を下回り最低だが、「全国平均より上」との認識を示していた。これでは、都知事候補どころかジャーナリストとしても現役続行は無理な耄碌ぶりとしか言いようがない。当選すればリオ五輪の閉会式をはじめ、世界を飛び回らねばならないのにどうするつもりか。 また「戦後70年、時代の流れが変わってきたと感じた。国全体が流れを変え始めている。舵を切っているということに、少し私が流れを元に戻すという力になれば」というのでは、都政にほとんど関心がないことが分かる。 鳥越氏はかつて、「そう簡単には戦争はできないものなのだ。そうした事から、中国の脅威といっても重大なものとは思っていない。ただ可能性として、中国が軍事力でやってくることはあるかもしれない。その場合は、日本の自衛隊が専守防衛の原則に従って行動し、侵略に対しては日本国民が立ち上がる。米国に助けてもらう必要はない」と語った。つまり中国の脅威は重大でないが、いざとなれば、自衛隊を先頭に日本人が立ち上がって戦えば撃退できるらしい。鳥越氏は徴兵でもするつもりなのだろうか?増田氏と小池氏は都知事として適任か 一方、増田氏は真っ当な候補である。ただし、彼に関するマスコミ報道はいい加減だ。超エリート官僚というが、大学を二浪で入って留年し、人気官庁ではない建設省に入省したのだから、ピカピカのエリートではない。父親が参議院議員だったが、選挙に弱く苦労したはずだ。岩手県での生活経験はなかっものの、小沢一郎氏から自民党候補に対する対抗馬として担がれ、おんぶにだっこの選挙戦で当選したが、お目付役の政務秘書などをつけられ苦労した。 知事としては手堅かったし前向きな姿勢も見せたが、小沢氏の呪縛と岩手県が当時持っていた厳しい条件のもとでは、大きな成果が出たわけでなく、また、四選は小沢氏の妨害でできなかった。 そういう意味では、守旧派と言われる自民党都連にまたおんぶにだっこで出馬するわけだから、かつての小沢氏との関係と同様に悩むことになるだろう。ただし、都連のいいなりになったままではなく、それなりの抵抗はするのではないか。 増田氏の難点をあげると、ひとつはこれまで地方振興の旗手と言ってきたことと利益相反になることだ。多くの地方の人を失望させた罪は大きい。 もうひとつは、東京五輪をまえにしてホスト役として世界をかけめぐり、多くの来客を迎えねばならないときに、語学を含めた国際コミュニケーション能力に長けているとは思えないことだ。舛添氏に比べてあまりに大きな落差があることだ。 ただし、鈴木俊一氏のあと、青島幸男、石原慎太郎、猪瀬直樹、舛添要一と非官僚知事が四人も続いたあとだけに、このあたりで一度官僚出身の知事をはさむことは組織のたるみを糺す意味があるかもしれない。 小池氏は、私が当初から適任者の一人と考えていた。それは、防衛相や環境相としてすぐれた行政手腕を発揮してきたし、抜群の国際コミュニケーション能力があり、女性初の都知事という付加価値もあるからだ。 彼女がこれまでついてきた親分というと、細川氏と小沢氏、それに小泉純一郎元首相だが、自らを彼らの参謀として演出し、また、彼らからリーダーシップをいいとこ取りで学んでいる。また、橋下徹前大阪市長についても、大いに参考にしているようだ。 欠点は格好良くものごとをやることへの反発だろう。また、各政党を渡り歩いていることを揶揄する向きもあるが、彼女自身の立ち位置にぶれがあったわけでなく、親分たちが右に言ったり左に行ったりしているのから距離を置いたというだけだ。 橋下氏ほど極端なことはしないだろうが、既存の利権構造とは厳しくけんかしながら改革を迫っていくのではないかと思うし、だからこそ連合にとっては嫌な知事になるかもしれない。 また、親韓派といわれる増田氏や鳥越氏と違って、韓国には厳しそうだ。新宿区の韓国学校問題の白紙撤回は明言しているし、ソウルの景福宮の衛兵の衣装そっくりなおもてなし隊のユニフォームも変更するというのは、結構なことだ。別にそれを嫌韓というべきでない。歪んだ判断の是正に過ぎない。また、親台湾派ということでも知られている。 それにしても、自民党も小池氏にさっさと乗って、全国の激戦区に応援で送り込んだら、参議院選挙で3~5議席ほど積み増しできたと思う。惜しいことをしたものだ。

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    小池氏vs増田氏が火花! 都知事選会見で分かった2つのこと

    安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)「編集長の眼」 混迷を極める東京都知事選、13日午後東京千代田区の日本記者クラブ開催で、4人に立候補予定者の記者会見が開催された。2時間にわたる長時間の会見だったが、明確になったことが二つあった。 一つは、小池百合子候補と増田寛也候補の対立点が明確になったこと。二つ目は、鳥越俊太郎候補に対する信頼性が揺らいだことだ。 まず一つ目。自民党の公認を得られず、単独で立候補した小池氏は、議会の一部の勢力による不透明な意思決定システムを正そうとしているのに対し、自公推薦の増田氏は、自民党の都連など、議会を牛耳る勢力と融和政策を取ろうとしていることだ。それは増田氏が小池氏に聞いたこの質問によく現れている。会見する(左から)宇都宮健児氏、小池百合子氏、鳥越俊太郎氏、増田寛也氏=7月13日午後、東京都千代田区 増田氏「小池さんは、都議会冒頭解散とおっしゃっていることが気になる。ボスがそこを支配している、というが、会派のことをおっしゃっているのかどうなのか?(議会と対立すると)課題の解決が遅れてしまう。都政が停滞し、混乱が継続してしまうのではないか?」 これに対し、小池氏はこう答えた。 「これまでの都知事の選挙において、議会との関係がクローズアップされたことはない。(議会解散と申し上げたことで)冒頭大変ショックになったかもしれないが、議会から不信任頂いて、と申し上げた。私も都連の一員になってから重要な会議に呼ばれないとか、様々な決定が後で知らされたりした。私は、会長代理だったが、いろいろな会議に招かれないこともあった。(意思決定の)プロセスが明確でない。(議会と)喧嘩してどうする、と言われるが、猪瀬、舛添、と起きた事はまた十分に起きうる。むしろ繰り返されるのではないか。議会の中には、声上げないけど同じ感覚持っている議員もいる。」 巷では、仮想敵を作ることで劇場型選挙を行おうとしているとの批判も聞こえてくるが、もし、首長=都知事が、議会の一部の勢力のいいなりになり、言うことを聞かなければしっぺ返しを食うような、そんな都政などあってはならないだろう。不透明な意思決定プロセスがあるのであれば、徹底的に正すべきだし、ましていわんや、そこに利権の巣窟などがあるとしたら、それを一掃すべき、というのが都民の偽らざる気持ちだろう。一方で、小池氏は8日のJapan In-depthとのインタビューで自らを「リアリスト」と称し、必ずしも議会と対決して都政を停滞させるようなことはしないとの考えを明らかにしている。 一方小池氏は増田氏に対し、「(前回の都知事選では)都連は舛添さんが世論調査で支持率があるということで推薦することになった。党を除名された人を持ってきた。今回私は真っ先に手を挙げ、党を除名されていない現役議員です。でも、党の推薦は増田さんになった。どうして私でなかったと考えられるのでしょうか?」と不満をぶつけた。 これに対し増田氏は、「党側の事情は十分承知しているわけではない。口幅ったいが、市区長さんたちとの対話通じて、都政を円滑にやっていこうと思っている。自民党の中の問題は十分承知していない。冒頭解散とかおっしゃるが、(都議会のいろんな党の)議員の職を奪うことになる。小池さんの手法は、私から見たら少し劇場型といったら、お叱り受けるかもしれないがそういうことをやられるように感じる。」とかわした。小池氏に解散権はないのだから、議員の職を奪う云々は的外れだが、党の事情は分からない、と逃げに終始した。 そして、野党の統一候補鳥越氏だが、宇都宮氏は、野党系候補として出馬を本当にするのかどうか聞かれ、「野党4党の政策協定があるのかどうか不透明。私は政策論争が中心にあると思っている。それが明確でないので現段階で出馬の意思は変わりません。」と明言、鳥越氏の政策がはっきりしないことを批判した。これに対し鳥越氏は、「誰でも最初はわからない。昨日から今日にかけて政策作りました。言ってるつもり。宇都宮さんは聞いていないと仰るかもしれないが。文章にまとめてないだけ。心配していただかなくても結構です。」と語気を強めた。 その鳥越氏、冒頭掲げた政策フリップは「がん検診100%」。自らをガンサバイバーと称し、最終的に検診率を100%に引き上げたい、と強調した。しかし、財政、オリンピック、災害など、都の重要課題への対応を問われると抽象的な回答ばかり。政策論争が深まらないなら宇都宮氏は立候補を取り下げないと言っているので、このままだと野党票が割れるのは必至、野党4党の選対はさぞかし頭が痛いだろうと思っていたら、会見後ほどなく夜8時前に宇都宮氏は立候補取りやめを表明。メディアを前にして鳥越氏の準備不足をあからさまに批判しておきながら、あっさり降板されては、宇都宮氏の支援者もどっちらけではないか。野党の足並みの悪さここに極まれり、だ。 その当の鳥越氏、最後に一言、と司会者に言われて引用したのが、室町時代の小歌集「閑吟集」の一句。「『何せうぞ くすんで 一期は夢よ ただ狂え』、何もしないでくすんで生きていてどうするんだい、人生なんて夢のようにあっという間だよ。だから今やりたいことを、狂うほどにやれよ、という意味。まさに今この心境。(私の人生)残り10年残っているかどうかだと思う。がんもやりましたしね。そんなに長生きできると思っていませんが、もし生命があるなら、残りの限りをつくし、ただ狂ったかのように、精魂込めて全身全霊かけて都知事をやりたい、やらしてください!」と声を張り上げた。その心意気やよし、と言いたいところだが、一抹の不安を感じた都民は私だけではないだろう。  一方の小池氏は、都知事としての資格を問われこう答えた。「たまには女性にしたらいいんじゃないのと思ってます。(会場笑)今山積している課題は男目線のものが多い。目線を変えることで潜在力花開くこともあるんです。環境大臣、防衛大臣やって、クールビズ、発想変えて社会変わった。都民と一緒にやりましょうというムーブメント起こせるのがリーダー。一つ一つの課題は現場にあります。耳傾けながら優先順位を決めて都民と実行していく。」 自民党都連は、党が推薦していない候補者を応援した場合、「除名などの処分対象になる」との文書を所属国会議員や地方議員に配布している。議員本人だけでなく親族による応援も禁じているが、これに反発する自民党議員もいる。与党も分裂選挙だが、自民公明の推薦を受ける増田候補が盤石なのか、無手勝流の小池候補が無党派票を取り込むのか、現時点で予測不能だ。 その他にも様々な候補者が乱立、星雲状態の都知事選だが、一つだけ言えることがある。都民がやるべきこと、それは一人一人の候補者の政策をしっかりと見極めること、それに尽きる。決して人気投票に終わらしてはならないし、参院選から続く選挙疲れで投票を棄権したりしてはならない。さすれば、組織票を持つ一部の候補者だけが有利になる。自分の暮らしを本当によくしてくれるのは誰なのか、考える時間はまだ、十分ある。

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    「後出しジャンケン」「分裂選挙」都知事選の歴史を振り返る

    早稲田塾講師・坂東太郎の時事用語THE PAGEより転載 舛添要一都知事の辞任を受けての東京都知事選挙(7月14日告示、31日投開票)は現職が立候補しないので新人同士の戦いとなります。すでに自民党の小池百合子元防衛相が立候補を表明しました(告示8日前)。事前に自民党の東京都支部連合会(都連)へ何のあいさつもなかった上に立候補の記者会見で都連への敵意をむき出しにしています。都連は元総務相の増田寛也氏(前岩手県知事)に出馬要請し、参院選投開票日の10日に出馬宣言。保守分裂が確実となりました。 対する都議会野党はジャーナリストの鳥越俊太郎氏を統一候補にすると決め、12日(告示2日前)に発表しました。前回知事選では次点ながら約98万票を獲得し、今回も立候補を表明していた弁護士の宇都宮健児氏は、告示直前の13日夜になって出馬を撤回。野党候補の一本化がギリギリの段階で成立しました。 いずれにせよ小池氏の「後出し」ならぬ「先出し」で各陣営は大混乱。これまで最も短かった猪瀬直樹氏の「告示8日前」を大きく塗り替える「2日前」となってしまいました。周到な計算をした上での「後出し」ではないだけに今回ばかりは必ずしも有利とはいえなさそうです。【図表】予算13兆円、職員16万人……東京都知事の権力と影響力「後出しジャンケン」元祖は青島幸男氏 「先手必勝」という言葉があるように、本来「戦」とは早く名乗りを上げて準備万端整えた方が有利なはず。ところが東京都知事選で新顔が激突した過去4回をみると、最後に出馬表明した候補が勝利しています。次第に「後出しジャンケンが強い」という神話めいたジンクスとなり、今回の都知事選でも告示間際まで各陣営がかたずをのんで他陣営の様子をうかがっていました。 「後出しジャンケン」の元祖は、1995年知事選で勝った青島幸男氏です。当時、官僚トップの内閣官房副長官(事務)を長く務め、主要政党相乗りで推薦・支持した石原信雄氏が最有力とみられていました。元出雲市の「アイデア市長」で知られていた岩國哲人氏も手を挙げていました。 それを見越した青島氏は、告示13日前に突如「無党派」を旗印に立候補します。タレント、俳優、直木賞受賞作家、参議院議員など才気煥発で知名度は抜群。特に参院議員時代から実施していた「選挙活動をしない」という戦法も功を奏したようです。衆院選で応援に駆け付けた青島幸男=1983年12月、新潟県三条市民センター ただ青島氏の当選は一般にはなじみの薄い石原氏が内閣官房副長官としての仕事が残っていて彼もまた告示16日前に立候補表明せざるを得なかったという、ラッキーな一面もありました。 青島都政が1期で終わった99年の知事選は石原慎太郎氏が告示の15日前に立候補を表明して勝利しました。 石原氏は芥川賞作家で、俳優の故石原裕次郎さんの兄。自民党衆院議員を長く勤めて大臣も歴任しています。ただ1995年の衆院本会議で勤続25年表彰を受けた際の謝辞で、議員辞職を表明しました。所属する自民党を含めて「すべての政党」は「最も利己的で卑しい保身」に走っていると痛罵し、記者会見でも「何もしない政党には、とてもいる気がしない」と話していました。したがって出馬は驚きを持って受け止められ、既成政党批判の受け皿にもなって勝利を収めています。 その石原知事が4期目の途中で辞めたために2012年に都知事選が行われました。石原知事は猪瀬直樹副知事を後継に指名しており、自民・公明と石原氏が代表を務める日本維新の会から支持・支援を受けました。政権末期で勢いがなく衆院総選挙と重なった民主党は、独自候補を立てる余力がなく告示日8日前に立候補を表明した猪瀬氏が圧勝しました。 猪瀬氏は作家で小泉純一郎政権下の2002年「道路関係四公団民営化推進委員会委員」となり旺盛な取材力とマスコミへの露出で知名度も高い候補でした。 猪瀬知事が「政治とカネ」問題で辞職して行われた14年の都知事選は「原発ゼロ」が話題となりました。前年から共産党と社民党などが推薦する宇都宮健児氏に加えて、細川護煕元首相が小泉元首相の全面支援を受けて「原発ゼロ」を訴えます。 舛添要一氏が出馬表明したのは細川氏と同日(告示7日前)なので明白な「後出しジャンケン」ではありません。結果は「原発ゼロ」票が宇都宮氏と細川氏に二分され自公の支援を受けた舛添氏が快勝します。 舛添氏は国際政治学者。討論番組からバラエティーまで幅広いテレビでの活躍があり参議院議員にもなり厚生労働大臣も務めました。2009年の産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査で「今、日本の首相に一番ふさわしい政治家は」という質問への回答でトップになったことも。ただ自民党が同年の総選挙で民主党に大敗した翌年に自民党を離党し、除名処分となっています。「保守分裂」は1991年と1999年の過去2回 今回の選挙の特長に「保守分裂」が上げられます。過去2回ありました。 1度目は自民・公明・民社の推薦を受け安定した都政を運営した鈴木俊一都知事の4選目で1991年。自民党本部がNHKの元ニュースキャスターの磯村尚徳氏を推薦して「鈴木降ろし」にかかったのに自民党都連などが敢然と反旗を翻して支援し、保守分裂選挙に突入しました。結果は鈴木氏勝利。小沢一郎自民党幹事長が辞任する事態にまで発展しました。 2度目は99年です。新人同士の争いとなり自民党本部と公明党が国際連合や外務省での経験豊富な明石康氏を推薦しました。自民党出身者はこの時点柿沢弘治氏が出馬表明をしていて都連の一部が支援、さらに舛添要一氏にも分散して保守大分裂の様相に加えて、野党民主党も鳩山邦夫候補を推してきました。様子をうかがっていたこれまた保守系の石原慎太郎氏が「後出しジャンケン」で制覇したのは先ほど述べた通りです。 このようにみていくと単に「後出しジャンケン」だから強いというよりも候補者の知名度が抜群で、かつ文化人らしさが「首都の顔」として受けがいいと分かります。 青島、石原、猪瀬の各氏はいずれも作家出身で、青島氏と石原氏は国会議員の、猪瀬氏には副知事の経験がありました。舛添氏も前述のようにテレビ番組で幅広く顔が売れてた上に国会議員や大臣も務めています。 今回の都知事選候補もニュースキャスター出身の小池氏は「知名度と文化人らしさ」を持っています。増田氏は経歴こそ「元知事・元総務大臣」ですがメディアの露出も多いので満たしているともいえましょう。野党4党幹部らと団結する鳥越俊太郎氏(中央)。左から社民党・又市征治幹事長、民進党・枝野幸男幹事長、鳥越氏、共産党・小池晃書記局長、生活の党・川島智太郎事務総長=7月12日、衆議院第二議員会館 鳥越氏は毎日新聞記者出身。テレビ朝日『ザ・スクープ』のメーンキャスターや同局の『スーパーモーニング』などの出演で幅広い知名度があります。 反対に、当選が有望視されていた95年の石原信雄氏や99年の明石康氏は行政官畑での経歴は立派でも一般的な知名度がそれほどなく、巨大な有権者と浮動票を抱えて1人を選ぶ選挙としては、国内最多の有権者を抱える都知事選では厳しい結果となったという分析もできます。 3期務めた美濃部亮吉知事の場合、当時の「保守か革新か」の構図で革新側から登場した人物でした。イデオロギー(主義主張)的な争いであったのが第一としても、美濃部氏はテレビ番組に出演して知名度が高かったという要因も見逃せません。次の鈴木俊一知事は内務官僚出身で、自治事務次官を務めた他の道府県知事によくある「内務・自治官僚」出身でした。ただ彼が初当選する際の争点は財政再建だったので、行政官出身の方が安心できるという側面があったようです。 知名度と文化人らしさを求める有権者の背景には、東京都に「これが争点だ」というほどの問題がないというのもありそうです。 自治体独自の収入(税収など)を運営に必要な経費(出ていくカネ)で割った数値を財政力指数といいます。ちょうど「1」が出と入りがピタリ一致する状態で、近づくほど余裕があり、遠ざかるほど厳しい。1を割り込んだ分は地方交付税で賄います。この税は国税の一定割合を運営が厳しい自治体ほど手厚く配分するのが原則です。単年度で約15兆円ほど。使い方は限定されません。この地方交付税を受け取っていない唯一の都道府県が東京都。「不交付団体」と呼ばれています。大企業の本社が密集し、地価が高く、人口も多いためカナダの国家予算に匹敵する財政規模を誇っています。言いなりにならない「一言居士」 都議会では戦後、自公が多数派です。多くの道府県では多数派と一体となって政治を行う知事が多いなか、歴代の知事はハイハイと操られるような者ではない「一言居士」が目立ちます。 多数派と異なった出身である美濃部、青島氏はもちろん、他の多数派と折り合っている風な知事も決して都議会の言いなりにはなりません。 自民党本部推薦の候補を破って初当選した石原慎太郎氏は「国政でできないことを都政でやる」と独自カラーを前面に押し出して3選まで自民党の推薦も受けずに勝ち切りました。その後継となった猪瀬直樹氏も副知事時代から参議院議員宿舎建設反対、東京電力改革、東京メトロと都営地下鉄の一元化など次々とぶち上げ、選挙でもやはり自民党の推薦はもらわず勝ちました。2013年の都議会議員選挙では「都議会のドン」内田茂都議(千代田区)の対立候補へ「私も応援しています」とのメッセージと顔写真を寄せてポスターに掲載されました。舛添要一氏も元々自民党を除名された過去があり、議会でも海外主張の多さや新国立競技場への対応などで自民党とぶつかっていました。 一番上手く運営していた鈴木俊一氏でさえ、前述のように4選目では自民党本部を敵に回して戦った過去があります。 こうした観点で今回の候補者を探っていくと、小池氏は自民党都連にケンカをふっかけての立候補で、公約に掲げた「都議会冒頭解散」は「冒頭に不信決議してみろ」と同じ意味なので、「一言居士」どころか初めから全面戦争です。増田氏も大臣時代に「地方法人特別税等に関する暫定措置法」をまとめて都議会から「東京都から税を召し上げる」と激しい反発を買いました。「極点社会」への言及など東京都の拡大に反対してきた年来の主張を知事として政策化すれば議会との激突は必至です。鳥越氏は都議会与党を最初から敵に回すので緊張する上、これまでの言動から考えて一転していいなりになるとも思えません。 つまり議会がコントロールできない「一言居士」の資格(?)は図らずも皆持ち合わせています。ばんどう・たろう 毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師、日本ニュース時事能力検定協会監事、十文字学園女子大学非常勤講師を務める。著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。【早稲田塾公式サイト】

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    バカ騒ぎの都知事候補選び 「泡沫候補」を決めつけるメディアの愚

     神田敏晶(ITジャーナリスト) 参議院選挙が終わり、都内1.4万ヶ所での選挙ポスター板が変わる。たった1人の都知事を選ぶために、また50億円(4850万ドル)かけた選挙が始まる。東京都内では、参議院選挙のポスター板を撤去して、東京都知事選挙のポスター板となった。使いまわしできなかったのだろうか? 2016年7月12日火曜日、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏が、参議院選挙の国政の結果を受け、急遽、都政の都知事選挙に出馬するという。出馬の決意は、昨日決めたそうだ。まず、参院選の選挙結果の改憲が多数という理由で出馬という時点で視点が都民の為となっていない。日本記者クラブで握手を交わす(左から)宇都宮健児氏、小池百合子氏、鳥越俊太郎氏、増田寛也氏=13日 野党統一推薦予定の古賀茂明さんと協議するつもりが、急遽、今日になって鳥越さんと協議となった、宇都宮候補。民進党は、古賀さんよりも、鳥越さんのほうが勝てる候補と見込んでの、急遽戦略の変更だった。なんとドライな判断なんだ。古賀さんも積極的に鳥越さんを支援するとのオトナな対応をおこなった。 民進党は、宇都宮氏が、「小池百合子化」することを懸念しながらも宇都宮候補への辞退要請。しかし、3度にもわたり、都知事選挙で戦い。98万票を獲得してきた次点候補としての実績のある宇都宮氏。おいそれとは引き下がれないのだ。しかも2日後には公示日だ。とんだドタバタ劇に巻き込まれる。 できるものならば、すんなりと宇都宮さんに辞退をのんでほしいと思うが、じっくりと準備を進めてきている宇都宮さんも、昨日突然、決めたばかりの候補といきなり交代という訳にもいかない。そう、選挙は支援してくれる組織もあり、母体もあるので、候補者といえども一存で決められない。 もしも、筆者が野党統一の幹部ならば、宇都宮さんにもメリットのある辞退方法を提示するしかないと思う。それは、鳥越さんを補佐する副知事として、鳥越さんと一緒に選挙を戦ってもらえないかという要請なのではないだろうか?それであれば、宇都宮さんの政策としての立場や組織は報われる。宇都宮さんのメンツも一応は保てる。候補者を正しく伝えないテレビ しかし、たったの一日でそんな即席で都知事コンビを作られても東京都民は困る。党が推薦するということは、全責任を持って推薦してもらわないと困るのだ。とりあえず勝てないとことには、はじまらないと考えているとしか思えない。 現在の党の判断は、勝てる候補なら誰でも擁立したいというのが本音だろう。しかし、この根本的な発想がとてもおかしい。都知事にふさわしい候補を勝てせてこそ、党の擁立し、推薦する候補でなければならないのだ。誰が為の政党なのだろうか? 都民の為に動いているとはとても思えない。今いちど、自党の政策は都民の為のものになっているかを自問自答していただきたい。 TBSのNスタでは、さっそく都知事注目の4人がスタジオ生出演と題した対談をおこなった。鳥越候補も含まれている。この対談の中で、宇都宮候補は、告示日までに出馬の意向を仲間と相談すると発言した。この時点で、報道されるべき候補者といえるのかどうかが怪しくなっている。 テレビで、注目や主要とかのラベルづけで告示日前から、他の候補と差をつけるのはかなりの問題があると考えている。泡沫候補を決めるのはメディアではなく有権者だと思う。都政について政策を自由に語ってもらい、有権者がその発言から判断すればよいのだ。都知事選の公開討論会で、騒ぎ始めた客席のマック赤坂氏=12日、東京都港区 メディア側で、討論会を開くのであれば、供託金300万円(2万9100ドル)を支払い、選挙管理委員会から許可をえた候補者はきわめて平等に公平に扱うべきだ。それでないと、メディアそのものが、一部の候補者の利益供与に繋がる電波の寄付行為で、公職選挙法違反ではないだろうか? そもそも、選挙報道は、有権者が候補者を決めるための情報提供であり、メディアはできるかぎりすべての候補者の情報を正しく伝える義務がある。視聴率を稼げるワイドショーではなく、選挙としての報道は、バラエティと一線を画すべきだ。そして、都知事を決めるのも政党ではない。政党の推薦された候補だけを本当に選んで、都政は本当に改善されるのだろうか? 本当に都知事になってもらいたい人かどうかを、推薦やメディアに左右することなく自分の意思で選んでいただきたいと思う。(「KandaNewsNetwork」より 2016年7月12日分を転載)

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    米大統領より大きいと言われる都知事の権限 休みは自由

     ついに、都議会に辞職願を提出した舛添要一東京都知事(67才)。政治資金に関するいくつもの疑惑を追求されても、不信任案が可決される見込みになるまで、辞めるとは言わなかった。 「あの人は、最初から権力者になりたくて、人の上に立ちたくて、政治家になるために政治学者になったような人」 ビートたけし(69才)が都知事をこう揶揄しているように、それでも辞めようとしなかった最大の理由は都知事が持つ巨大な権力ゆえ。石原慎太郎氏(83才)、猪瀬直樹氏(69才)、そして舛添要一氏ら三代の都知事とその都政について取材してきた東京新聞都政キャップの石川修巳さんが説明する。「東京都は47都道府県の1つであると同時に、日本の首都として非常に多くの企業の本社が集中し、税収も大きく、その予算は13兆円にも及びます。これはスウェーデンの国家予算に匹敵するほどです。都知事はその予算の舵取りをするので、他の行政のトップとは比較にならない幅広い政策を行い、また重責も伴います」 警察官や教職員を含めると、都知事の下には16万人もの部下がいる。その権限は、「日本の省庁3つ分」とも、「アメリカ大統領よりも大きい」ともいわれるほど。 ちなみに舛添氏が全額返上を申し出た都知事の給与は、月145万6000円。 「年収で2900万円。6月末に支払われる予定のボーナスは381万3992円です。ただし給与の返上は選挙区内では禁じられる“寄付”にあたるとされ、都知事が望んでも条例を改正しないかぎりは返上もできません。また4年の任期をまっとうすると支払われる退職金は約3600万円です」(石川さん)石原慎太郎氏 騒動の発端は、毎週金曜日、午後2時の会見後に退庁し、別荘のある神奈川・湯河原へ、公用車で通っていたことが報じられたことだった。そういえば石原氏も、作家活動があったことなどから、週に2、3日しか登庁していなかったなどと批判されていたが…。 「選挙を通じて選ばれた都知事は、“特別職”と呼ばれる特殊な公務員です。国の政治家や財界人と公式・非公式に面会したり、都内各地の行事へ出席する仕事も多い。このため一般職の公務員が勤務時間や有給休暇に内規による定めがあるのに対し、特別職にはありません」(石川さん) その日、その日のスケジュールによって登庁・退庁。残業時間など労働基準法なども適用されないため、年間の休日日数なども決まっていない。つまり自分の心ひとつで自由に休むことができる権限を持っているわけだ。 「盆暮れ正月も、知事自らの判断で休暇を取ります。プライベートで海外旅行に行くことも不可能ではないでしょうが、危機管理上、任地を離れることは批判を招くこともあります」(石川さん)関連記事■ 都知事は戦後わずか6人 都知事の権力や仕事を分析した本■ 猪瀬直樹氏が苦労を共にした夫婦の歴史や5000万円問題語る本■ 猪瀬知事 壇蜜に一緒に飲みたい願望告げるも軽くかわされる■ 都知事選脱原発争点化を批判の読売 東京都の尖閣購入は高評価■ 小泉純一郎氏 11月の福島県知事選に進次郎担ぎ出すプランも

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    5年間で都知事選の支出は170億円 あらためて一票を投じる意味

    日に投開票される都知事選と都議補選(4区・4人)の経費として、一般会計補正予算49億7800万円を、地方自治法に基き、副知事が専決処分した、と発表しました。このうち都知事選は、47億9600万円の予算をみています。有権者数は1115万人と見込まれ、有権者一人当たりに換算した知事選負担額はおよそ446円になります。 この予算額は、前回2014(同26)年の際に組まれた補正予算49億900万円より、約1億1300万円少なくなっています。都選管は「より現実ベースの数字に近づけた」と説明。例えば、前回は候補者数を25人と見込んでいましたが、今回は過去最高だった前選挙の立候補者数と同じ16人としました。 また、参院選すぐ後ということで、区市町村の集計結果速報まとめに使うパソコンリース代など、選挙のための環境設定にかかる費用が少し抑えられることも、前選挙より控えめに予算をたてた理由になっている、といいます。ただ「選挙経費の半数以上は、区市町村への委託費。自治体によって必要な経費は異なり、計上される額がどのようになるか、赤字にならないよう試算しなければならない」と説明します。前回選挙は46億円支出  では、過去の都知事選で、実際にかかった費用はどのくらいだったのでしょうか。 5年前の2011年4月まで都知事選は、統一地方選に併せて実施されてきました。その際、42億1360万4000円かかりました。しかし、石原慎太郎元都知事が第46回衆議院選挙出馬のために辞任します。翌2012年12月に初めて、任期満了を待たず、都知事選が実施されました。このときの費用は38億4636万8000円。「国の衆院選と同時に執行できたことで、費用が抑えられたところがあった」(都選管)ためです。画像はイメージです この選挙で当選したのは、猪瀬直樹元知事でした。猪瀬元都知事は、医療法人徳洲会からの金銭受領問題で、わずか1年余りで辞任。このため行われた昨年2月の前回知事選では、今回同様、予定外の選挙で費用がかさむことから、49億900万円の補正予算が組まれ、実際には46億1393万5000円かかりました。 過去3回の選挙で、126億7390万7000円を費やした東京都知事選。前回の選挙は、前年度の一般会計繰越金が充てられましたが、今回選挙の予算は、都財務局によると決算調整が終了していない時期のため、都の財政調整基金(前年度末残高6215億円)から繰り入れることになるそうです。 今回実際に使用される額が、前選挙並みの45億円前後と想定しても、この5年間で、都民は知事選だけに170億円を超す税金を費やしたことになります。これは、都の芸術文化振興基金88億円(本年度末見込み残高)の2倍近くになり、あらためて一票を投じることの意味を考えることになりそうです。

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    小池百合子氏がゴルフコンペや事務所経費問題に猛反論

     参院選の投開票が終わると同時に、大混迷の東京都知事選がスタートした。自民党都議団は増田寬也・元総務相の擁立に動き、反発した小池百合子・元防衛相(63)が出馬会見で都議会の「冒頭解散」「利権追及」を公約して対抗した。 互いの弱点を握っているが故に内ゲバはスキャンダル暴露合戦が激しくなるのは今回に限ったことではないが、出馬の意思を示すやいなや、小池氏に噴出した「政治とカネ」の疑惑に本人はどう反論するのか。「こうなるから出馬しない方が良かったんだ。舛添の二の舞になるぞ」。自民党の選対幹部はニヤリと笑った。 「百合子の乱」で東京都議団にケンカを売った小池氏の「政治とカネ」をめぐって、“身内”の自民党内に複数の文書や情報が流れ、新聞・テレビから週刊誌、ネットメディアまでバッシングが過熱している。そうした情報には、小池氏の党支部や政治資金団体の膨大な資金の出入りのうち、“不透明な部分”がピックアップされている。 産経新聞が報じた小池氏の党支部事務所の格安家賃問題も情報として出回っていたもので、疑惑報道の“アンチョコ”になっていることがうかがえる。 「都知事選の告示日(7月14日)まで順番に報道が出てくるんじゃないか」。前出の自民党幹部はそう予言する。 ならば、この際いっぺんに紹介しよう。いずれも取り沙汰されている内容を本誌が改めて政治資金報告書などから確認した。都知事選に出馬表明し、都政の政策発表会見に臨む小池百合子氏=7月11日、東京都庁■ゴルフコンペ不記載問題 小池氏は政治資金パーティや「Ysフォーラム」といった後援会の会合、「Ysカップ」というゴルフコンペ、忘年会を開いているが、4年分(平成23~26年)の政治資金収支報告書の記載とホームページの活動記録を照合したうえで、ゴルフコンペ3回と忘年会3回の収支が記載されていないことが指摘されている。本誌が確認すると、確かに記載はなかった。政治資金規正法に抵触する可能性がある。ちなみに『週刊文春』は、このほかに2つの政治資金パーティ(Ysフォーラム)について報告書に記載がなかったことを指摘している。■経費使いすぎパーティ 国会議員の資金集めパーティは参加者に提供する飲食代など経費を低く抑え、できるだけ多くの利益を稼ごうとする。だが、小池氏のパーティは原価率が高く、あまり儲かっていない。ある文書では、小池氏のパーティやフォーラムの原価率は30~50%が多く、なかには90%超もある。議員パーティの平均原価率(毎日新聞報道によると約17%)より高いことから、「収入をごまかしているのではないか」と指摘。■格安事務所家賃 政党支部の家賃(月額約15万円)が相場の半額程度と安く、差額は家主からの献金にあたるのではないかとの指摘(産経報道)。■「電通」献金 収支報告書によると、小池氏の政党支部は2014年12月30日に大手広告代理店「電通」から20万円の献金を受けている。同社はこの年、農水省の「日本食・食文化」の宣伝事業を受注しており、国から補助金や給付金を受けた企業の献金を禁じた政治資金規正法や、国の事業を受注した企業からの選挙のための寄付を禁じた公選法などに抵触するのではないかという問題。■金券ショップに多額の支払い 2012年の総選挙前に金券ショップに「郵送代」として約57万円を支払っている。「何を買ったのか。もし、商品券などを選挙で配っていれば違反」(都連関係者)という。■「花代」問題 2014年には「花代」として1年間に約97万円を支出。これも、選挙区内の後援者の葬儀などに花輪を送っていれば公選法に抵触する可能性がある。「政治資金の公私混同は一切ない」と小池氏 渦中の小池氏にぶつけた。「政治資金の公私混同は一切ありません。収支報告書の記載の中に私の目が行きとどかないミスや記載漏れがあるかもしれないが、ご指摘いただけばキチンと改めます。しかし、ためにする批判、悪意に満ちたネガティブキャンペーンには負けません」 そう猛然と反論した。個別の問題についてはかわって小池事務所の会計責任者が答えた。まず金券ショップ、花代、事務所家賃、電通献金の説明はこうだ。「金券ショップで購入したのは切手で、大量に買いすぎたために翌年や翌々年はほとんど切手代はかからなかった。領収証も『切手代』となっている。金券を配ったなんて論外です。花代は同僚の先生方への大臣就任祝いや以前の選挙区だった兵庫の後援者の葬儀への献花などで、現在の選挙区内には出していない。 家賃は小池が会見で説明したとおり、『空き室だから家賃を下げるので借りてくれ』と言われて借りた通常の取引。電通の献金は選挙の寄付ではないし、補助金企業ではないから法的には問題ないと考えている。いずれも疑惑といわれるのは心外で、牽強付会すぎるでしょう」 政治資金パーティはどうなのか。「経費がかかりすぎているのは事実で、他の議員に較べるとパーティ下手ということになるのでしょうが、出席者をおもてなしすぎだと批判されるとは思いませんでした。ただ、Ysフォーラムの事業はその他の事業として報告すべきものですが、収支が他の費目と一緒になっていました。その点を改めて、すでに政治資金収支報告書の修正を致しました」 こうした小池氏側の反論に対しても、自民党内の「小池阻止」の動きは止まらない。「こちらには組織力がある。利権だの解散だの、あんな言い方でケンカを売られた以上、小池を絶対勝たせるわけにはいかない」。都議団幹部は青筋を立てている。7月31日の投開票日まで、さらなる爆弾が飛び交いそうだ。関連記事■ 原口一博、江田憲司、前原誠司らにも収支報告書のトラブル■ 川崎二郎元厚労相に脱法パーティー券疑惑 週刊ポストが報道■ 小渕優子氏 パーティでQUOカード配布は公選法違反の可能性■ 西川農水相 「親族企業から物品購入」の政治資金私物化疑惑■ 小沢一郎夫人名義の複数の家屋に政治団体から賃料収入あった