検索ワード:慰安婦問題/96件ヒットしました

  • Thumbnail

    記事

    少女像をご本尊と崇める韓国「慰安婦信仰」の実態

    、韓国で慰安婦像の設置運動を行っているのは、主に元「従軍慰安婦」を支援する市民団体・学生団体である。慰安婦問題が顕在化したのは90年代の初めだが、四半世紀が経過した今、元慰安婦女性は神格化され、慰安婦支援運動は宗教の次元に近くなっている。絶対に風化させないための少女像 元慰安婦女性の意思とは関係なく、彼女らは抗日民族運動の象徴となり、韓国内では、その言動を批判したり、支援団体の主張に反する言動を取ったりすることはご法度になっている。韓国内では「小学生(国民学校生)まで慰安婦として動員された」「朝鮮人従軍慰安婦は20万人いた」「軍による慰安婦狩りがあった」などという真偽のほども定かではない言説が堂々と語られているが、これらの言説を公の場で批判するのははばかられる雰囲気である。また、慰安婦支援団体および一部元慰安婦女性の意に沿わないことを著書(『帝国の慰安婦』)に書いたという理由で、世宗大学校の朴裕河教授が刑事告訴され、民事訴訟まで起こされたのは、その好例と言えるだろう。 しかし、今や生存している元慰安婦女性も残り少なくなっている。さらに、昨年の日韓合意に基づき設立された財団(「和解・癒やし財団」)から、日本政府による拠出金を受け取った元慰安婦女性も相当数にのぼっている(このことについては韓国ではほとんど報じられていない)。日韓両政府が合意を交わしてから1年、合意に反対する集会で 少女像に自分のマフラーを巻く女性 =2016年12月28日、ソウルの日本大使館前 もし、元慰安婦女性がすべて他界してしまったり、全員が日本政府からの拠出金を受け取ったりしてしまったら、支援運動のよりどころがなくなってしまう。そうなると慰安婦問題は風化してしまい、支持者の支援もなくなり、韓国国民一般の関心も薄れてしまう。それを防ぐためには、絶対に風化しない、よりどころが必要となる。それが「少女像」なのである。 このことは仏教における仏像に置き換えると、理解しやすい。仏像は釈迦の生存時や入滅当初には作られなかった。しかし、入滅後には仏教の教理を民衆に広めるという必要に迫られ、仏像はアジア各地で作られていくことになる。少女像もこれと同様である。お気づきの方も多いと思うが、少女像の画像や動画を見ていると、支援者たちは像にマフラーを巻きつけたり、帽子をかぶせたり、傘を差しかけたり、はなはだしくは使い捨てカイロを貼り付けたりしている。お地蔵様によだれ掛けや頭巾をかぶせたりするのと似たような趣向である。少女像が単なるオブジェならば、こうしたことは行わないはずである。少女像が元慰安婦女性に代わる、老化も他界もしない「ご本尊」としての役割を果たしていることのあらわれである。 この少女像であるが、ソウルでも釜山でも公道上にこうした銅像を建てるのは法律違反である。また、日本政府が繰り返し主張しているように外国公館の尊厳を定めたウィーン条約にも明らかに違反している。慰安婦像はそうした条約や法律を超越した、神聖にして犯すべからざる存在なのである。これに異論をさしはさむ輩は「異端者」「背教者」である。少女像はすでに宗教的な高みに 一般の宗教でもそうであるが、信仰に熱心な信者は自分が特に篤い「信仰」の所有者であることを周囲に示そうとするものである。日本ではあまり知られていないが、一昨年の8月12日には一人の市民運動家が「従軍慰安婦」をめぐる日本政府の対応に抗議して、ソウルの少女像の前で揮発油をかぶって火をつけるという事件が起こった。日本ではこうした行為を「焼身自殺」と呼ぶが、これは適切ではない。焼身自殺は死ぬのが目的であるが、これは抗議活動の一種であり、韓国では「焚身(自分の体を燃やす、という意味)」と呼ぶ。この男性は9日後に死亡しているが、韓国のマスコミはこの男性について、まるで抗日運動に殉じた志士のごとく報じていた。遺体が安置された病院には遺影が飾られた祭壇と記帳所が設けられ、遺体は男性の居住地まで運ばれ「民主市民葬」なる葬礼が挙行されている。こうした「殉教者」の出現からも、少女像がすでに宗教的な高みに押し上げられていることが理解できるだろう。日韓両政府が合意を交わしてから1年、合意に反対する集会に 登場した大型の少女像=12月28日、ソウルの日本大使館前 日本の一部識者は、未だに少女像の問題を日韓間の問題と捉えているようであるが、すでに事態は日韓政府の話し合いで済む次元の状況ではない。少女像の問題はすでに韓国の国内問題、それも思想信条(信仰)の問題となり、これに政治的な思惑も絡んでさらに解決困難なものとなっている。 日韓合意の1周年目に日本大使館の前で開かれた抗議集会には、朴元淳・ソウル市長や秋美愛・「共に民主党」代表が参加した。これは何を意味しているのだろうか。言うまでもなく朴市長や秋代表は、朴槿恵大統領と対立する野党系の指導者である。また、朴市長は次期大統領の有力候補でもある。この二人にしてみれば、朴槿恵政権が日本との間で合意した取り決めは日本に対する屈服であり、元慰安婦女性を10億円で売り渡した国辱でしかない。朴市長にしても、秋代表にしても日韓間で慰安婦問題をどう円満に解決するか、などといった腹案など何もないのだが、とりあえず日韓合意をネタに朴大統領を非難していれば、世論を味方につけることができ、自らの政治的立地も強化され、ひいては大統領選挙に出馬する自分や自党の候補に有利に働く、といった計算が働いているのである。朴市長や秋代表だけではない。前回の大統領選挙で朴大統領に敗れた文在寅氏や、後先考えない毒舌で「韓国のトランプ」などと呼ばれている李在明・城南市長も日韓合意を非難し、これを反故にすると公言してはばからない。朴槿恵大統領でさえ反日と批判 問題をさらに複雑にしているのが、韓国政府の無能ぶりと最近の反政権運動にともなう朴槿恵政権の凋落である。韓国政府は世論を意識するあまり、日韓合意から1年が過ぎても少女像については何ら有効な手を打つことができなかった。さらに朴槿恵大統領は自身の側近のスキャンダルにより、国会の弾劾決議を受け、現在は職務停止状態である。 日本では朴大統領は最悪の反日大統領と思われているようであるが、実は韓国ではそうではない。朴政権に反対する野党や左派勢力(自称「民主化勢力」)は何と「朴大統領は親日派である」と主張している。実際に朴大統領が親日的な政策を行ったことなどないのだが、父親が日本軍の将校出身であったことと、朴槿恵政権が今回の日韓合意を主導したため、そうした非難を行っている。そうすることによって自らを反日愛国の闘士としてアピールできるからである。ちなみに韓国において「親日派」は「売国奴」と同義である。朴大統領が完全に指導力を失い、「売国奴」呼ばわりされている現状では、韓国政府に問題の解決を期待するのは難しい。 日本政府は釜山の少女像設置に対して4項目の対抗措置(大使・領事の一時帰国、日韓通貨スワップ協定協議の中断、日韓ハイレベル経済協議の延期、釜山領事館職員による釜山市関連行事への参加見合わせ)を発表しているが、どこまで効果があるのかは未知数である。韓国・釜山の日本総領事館前に設置された少女像に 黙とうする女性たち=2017年1月6日 ちなみに、釜山の領事館前に少女像を設置した市民団体は毎週水曜日に「水曜集会」という名の「記者会見」を行う、と主張している。これは、警察が領事館前のデモの届け出を受理しないための方便であるが、今後、ソウルの日本大使館前でのように「水曜集会」が恒例化する恐れは多分にある。釜山の総領事館関係者によると、1月11日には「水曜集会」こそなかったものの、学生たちが自主的に集まっていたそうである。 前でも述べたように、従軍慰安婦支援運動はすでに「信仰」の次元にまで昇華され、少女像はその「ご本尊」である。さらには、この少女像が朴槿恵打倒を掲げる反政権運動や、次期政権を狙う大統領志望者らによって政治的に利用されているという事情もある。そして、一方の当事者でもある韓国政府は無能無策である。このような状況下では、少女像をめぐる日韓間の対立が早急に解消されることは望めず、今後も相当な長期間にわたって続くだろうと予測される。また、これ以上、日本側から何らかの打開策や譲歩を示したとしても、少女像が撤去されることはないだろう。日本政府は問題が長期化することを覚悟し、安易な妥協をなさず、これ以上公館の前で少女像が増殖しないよう、断固とした姿勢で臨んでゆくべきだろう。

  • Thumbnail

    記事

    なぜ韓国人は「慰安婦像」をむやみに設置したがるのか

    016年12月30日、ソウルの日本大使館前の慰安婦像(右)付近で、イベントに参加する学生ら(共同)「慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している。安倍内閣総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する」 この英訳がまた酷いことは、ジャーナリストの有本香氏と対談した動画を参照いただきたいが、日韓合意とは「慰安婦20万人強制連行と性奴隷化」という朝日新聞と吉田清治のペアが世界中にまき散らした亡国プロパガンダを、日本政府が自ら歴史的事実として確証した、まさに歴史的瞬間だったのだ。この大失態の前には河野談話も吹き飛んでしまう。 私は昨年、ABC(豪州国営放送)、BBC、ロイターといった国際メディアからインタビューを受けた。どのメディアも我々の主張をかなり引用していた。それはこちらが英語で相手が理解しやすいロジックを発信しているからだが、残念ながら、全ての報道は「性奴隷20万人は日本政府が公式に認め、謝罪し、賠償金を払った歴史的事実」として伝えた。あのような声明を出したらそう解釈されるのは当たり前だ。その自明の理が理解できないのは日本政府だけだ。もし、外務省幹部がわざとやったのなら、安倍首相はまんまと罠にはめられたことになる。 日韓合意を米政府が高く評価したから、少なくとも政治外交的には成功だったと評価する方々もいるが、それは対米追従の悲哀を自ら肯定しているだけだ。米国の圧力で実現した日韓合意のシナリオは、もちろん米国人が書いている。米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)のスーザン・ライスが主導したと聞いている。 米国人は、日本の慰安婦制度は性奴隷制度だったと信じているから、その前提でシナリオを書き、それを日本政府が素直に飲んでくれたら上機嫌なのは当たり前だ。日本の名誉がどんなに損なわれても、米国政府は痛くもかゆくもない。日本が真の独立国ならば、まずは米国政府と膝を詰めて議論して双方が納得いくシナリオを練らなくてはならない。ただ与えられたものを咥え、頭を撫でられても、それは政治外交的勝利とは程遠い。 すでに元慰安婦のお婆さんたちの過半数がお金を受け取ったから、挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)の力が衰え、反日が収束に向かうと考えたら大間違いだ。韓国の異常な反日洗脳教育はエスカレートするばかりだからだ。韓国内外で激しさを増す異様な反日教育 2013年にソウル市内の公園で発生した、「日韓併合は悪くなかった」と言った95歳の老人を38歳の男が老人の杖を奪って撲殺するという凄惨な事件を覚えておられる方もいるだろう。この男に下った判決はたったの懲役5年だが、韓国では重刑と捉えられ、ネットには男を英雄と賞賛するコメントが溢れている。 年を経るごとに、この異様な反日教育は韓国内外で激しさを増し、今や韓国内外で挺対協の先兵となって慰安婦像設置など反日活動を率先しているのは学生らの若い世代だ。彼らは日韓併合時代はおろか、朴正煕の時代さえ知らない、純粋な洗脳世代だ。韓国南部の釜山市中心部にある日本総領事館前に座り、1人でデモをする女性=2016年1月(聯合=共同) そして私が特に強調したいのは、幼い子供たちほど、特定の民族に憎悪を煽る教育に感化されやすく、純粋な正義感から攻撃的な行動に駆られやすい、ということだ。北米では韓国人子女が、「日本人は悪辣な民族だ、韓国人を殺して苦しめた」と叫んで日本人子女に唾を吐きかけたり、集団で囲んで謝罪を要求し、泣き出すまで追いつめるといった事態が発生している。 YouTubeには、韓国系米国人生徒が製作した「日本軍慰安婦強制連行劇」が投稿されている。学内コンテストに参加した作品だそうだが、逃亡を企てた韓国人慰安婦が日本兵に刺殺され血が溢れるシーンで終わっている。昨年9月には、事態を憂慮した日本人母親グループが安倍首相に嘆願書を提出した。よほどの懸念がなければしないことだ。 シドニーではこんなことがあった。日本人の母親が幼い娘を連れて韓国人が経営する日本食レストランに入った。韓国人のウエイターが子供に出した水をストローで飲むなり、娘が「熱い!」と叫んで泣き出した。出されたのは水ではなく、熱湯だったのだ。 娘は喉を火傷した。慌てた母親が「水をくれ」と頼んだが、韓国人従業員たちは黙って顔を見合わせるばかりで対応しない。やっとしぶしぶ水を出すのに5分以上も経っていた。こんなことは、慰安婦像騒ぎが起こる前は聞いたことがなかった。この母親は、韓国の異常な反日が身近に迫ったことを悟って恐怖を感じたという。 おわかりだろうか。慰安婦問題は、「日本の名誉、英霊の名誉の棄損」といった次元を通り越して、異常な反日教育によって洗脳された若い世代による日系住民への直接的攻撃の局面に入っているのだ。日韓合意は、異様な反日教育にお墨付きを与え、「将来の世代に謝罪の重荷を背負わせない」どころか「今を生きる日本の子供たちに、文字通り煮え湯を飲ませている」のだ。慰安婦問題を焚き付ける「本当の敵」 この尋常ならざる事態にどう対応するか、AJCNの意見を申し述べておく。 まず、駐韓大使の帰国や通貨スワップの協議停止などの制裁措置は、絶対にこちらから緩めてはいけない。繰り返すが、日本は完全になめられている。強きに媚び、弱気をくじくのが韓国の伝統的民族性だ。釜山とソウルの慰安婦像が撤去されるまで、事実上国交断絶でも構わない。韓国が折れて謝罪し、行動で示すまで、絶対にこちらから歩み寄ってはいけない。「条約も守れない国家と協業することは不可能」と宣言してよい。こちらは何も困らない。韓国・釜山での慰安婦像設置を受け、帰国した長嶺安政駐韓大使=1月9日午後、東京・羽田空港(鈴木健児撮影) さらに、慰安婦問題を焚き付けているのは日米韓の離反を画策する北朝鮮直属の組織だとはっきり言った方がいい。韓国政府は北朝鮮の工作機関をコントロールする能力をとうに失っているから、自分では何も解決できないままに、新しい政権が一方的に破棄を通告してくる可能性が高い。その機会を捉え、韓国の「でたらめさ」を徹底的に世界に喧伝したうえで、本格的な歴史戦を開始する。 その時は政府が責任を持って、「慰安婦問題とは何だったのか」を明確かつ詳細に定義しなくてはならない。つまり、立論するということだ。明確な立論なくして反論しても無意味である。相手がどう思おうと、これが我々がまじめに研究して得た結論ですと宣言することから始めなくてはならない。ディベートの基本だ。 杉山晋輔審議官(当時)が国連で口頭で反論するだけでは甚だ不十分だ。外務省のホームページはお詫びと償いの言葉だけが溢れかえり、何の事実検証も記していない。それが日本の名誉の回復に全く役立たないことをいい加減に認めて、やり直すしかない。明確な立論をしないまま、第一次政権の時のように、安倍首相が単騎出動すれば、戦艦大和の水上特攻よろしく一方的な猛攻撃を受けてしまうのは当然だ。 私自身、多くの海外メディアから「慰安婦問題は、日本政府が正式に認め、謝罪して賠償金まで払ったのだから、もはや議論の余地がない。歴史的事実に関する像を建てても、日本人への人種差別には当たらないのではないか」という質問を多く受ける。私がカメラの前で言葉に詰まるのを期待するかのようだ。 しかし私は平然と答える。「安倍首相は安全保障などの重要事項を優先して合意を結びましたが、強制連行や性奴隷化を認めたわけではありません」。相手はたいてい「なるほど」と言って質問を変えてくるが、まず政府が明確な立論をしない限り、一民間人の議論には限界がある。将来の世代に煮え湯を飲ませたくないのなら、これを最後のチャンスと心得てしっかりやってもらいたい。さもなくば、日本人は軍隊を使って生理前の少女を拉致して性奴隷にした極悪民族として永遠に歴史に刻まれることになるだろう。まず邦人保護から着手せよ その一方で、外務省は海外での邦人保護を真剣に考えなくてはならない。外務省がまずしなくてはならないことは、慰安婦像をプロパガンダツールとする韓国の反日教育によって、海外で日系住民に対する差別やいじめが顕在化していることを認知し、政府として憂慮していることを公表することだ。慰安婦像が単なる記念碑ではなく、反日という政治目的を推進するためのツールであることを日本政府が公式に認めることが重要だ。 反日団体は「慰安婦像は二度とこのような悲劇が起こらないように祈念するための平和の像です」とうそぶいて同情を引きながら、公然と反日活動と反日教育を展開している。AJCNはこの動きに対抗して、昨年12月、豪州人権委員会に対し、日本人への偏見と差別を醸成する目的の慰安婦像を教会の駐車場からよりプライベートな場所へ移設することを求めて提訴した。民間の母親と父親がリスクを冒して戦っているのに、外務省が傍観するなら、日本はもはや国家の体を成していない。 もうひとつは、韓国という病んだ国家の崩壊に備えることだ。韓国は北朝鮮という白アリに食い荒らされた家屋と同じで、近い将来倒壊する可能性が高い。そもそも、韓国にはコアがない。なんでも強引に韓国発祥にしたがるウリジナル、整形手術の氾濫、海外への売春輸出と、どれを取っても劣等感と倫理の頽廃を反映している。 そしてこともあろうか、反日を唯一の民族を束ねる綱にしてしまった。歴史的事実など興味もない。北朝鮮に利用されているともわからず、これなら日本を叩けるという、被害者ファンタジー(恨タジー)に逃げ込み、狂奔している。 これはもう、社会学でいうところの「アノミー(無規範、無原則状態)」と言っても過言ではないだろう。来日した韓国人が駅のホームから人を突き落としたり、100以上の仏像を棄損するなどの常軌を逸した犯罪行為に走るのもアノミー発生の証左だ。 そのような暗い情念に取りつかれた民族は自ら溶解し、北朝鮮に取り込まれていってしまうだろう。そのプロセスには幾つものパターンが有り得るが、国際政治学者の藤井厳喜氏が指摘するように、大量の難民が日本に押し寄せる可能性がある。彼らは当たり前のような顔をして助けを求めてくるだろう。 ここで、海外の移民国家に長く暮らす者として明言しておくが、お人よしの日本人に大量の移民を制御する能力はない。これまでやってこれたのは、移民の数が人口比で圧倒的に少なかったからだ。 敵性国家からの移民なり、難民の人口が臨界点を越えて、参政権を持つようにでもなったら、「ここは自分たちの国だ」とばかりに傍若無人を始めるのは確実だ。一旦そこまで行ってしまったら、時計の針を戻すことは不可能で、ドイツ以上の壊滅的打撃を被るだろう。対馬海峡が日本の国防ラインになる日が遠からず来る。 日本という国も大分壊れてきたが、それ以上のスピードで世界秩序が音を立てて崩れていく。日本民族はこの難局を乗り越えることができるだろうか。今回の釜山慰安婦像への対処がその試金石となる。日本政府は、冷徹に現実を見据え、まずは邦人保護に着手して欲しい。日本の復活はそこから始まる。

  • Thumbnail

    テーマ

    韓国を信じたら、やっぱりこうなった

    どうして、いつもこうなるのか。韓国・釜山の日本総領事館前に新設された慰安婦像のことである。慰安婦問題をめぐる日韓合意からたった1年で約束は反故にされ、隣国を信じて10億円を拠出した日本側の「誠意」は、いとも簡単に踏みにじられた。いくらお人好しの日本人でも、さすがに今回ばかりは看過してはならない。

  • Thumbnail

    記事

    韓国外相はなぜ表に出て来ない! 文明国家の品位欠く「慰安婦暴走」

    体である「ウリギョレ(我が民族)ハナテギ(一つになる)釜山運動本部」の学生部代表として活動する中で、慰安婦問題を知って像設置運動を開始したと韓国紙とのインタビューで語っている。 また、推進委員会に加わっている団体の一つに「平和ナビ(蝶)」があるが、これは北朝鮮を支持して暴力革命を目指すとして解散させられた統合進歩党の青年部が母体となっている。ソウルの挺対協が北朝鮮と密接な関係を持っていることは関係者周知の事実だ。 だから、韓国政府がソウルや釜山の慰安婦像設置団体に移転のための協議を申し込んでも拒否されるだけだろう。しかし、たとえばサードミサイル配備決定に当たっては黃教安首相(現在の大統領権限代行)が予定地である星州まで足を運んで反対運動を続ける住民に説明を行ない、反対派住民3000人に取り囲まれて6時間監禁された。そのような努力を慰安婦合意の当事者である尹炳世外相は一切行わず表に出てこない。 安倍政権は、日本は合意を忠実に実行している、次は韓国の番だと主張している。先に見たように合意で韓国は慰安婦像の移転を約束してはいない。約束したのはウィーン条約違反である外交施設(大使館、総領事館など)前の慰安婦像の移転のため「関連団体との協議を行う等を通じた努力」だ。 なぜ、尹外相は釜山に行ってウィーン条約を説明して韓国が国際的に通じる当たり前の国になるためには条約を守る、すなわち慰安婦像を外交施設の周囲には立てないことを守る必要があると説得しないのか。ウィーン条約履行は大統領弾劾とはまったく関係ない外交問題であり、朴槿恵政権の発足以来外相の地位をずっと守っている尹外相こそ責任者として関係団体と会うべきなのだ。韓国の保守系新聞は自国批判も その努力があれば、たとえ釜山市が中央政府の方針に違反する決定を行っても、日本政府は韓国国内法の手続きを待つ余裕はあるはずだ。沖縄の米軍海兵隊基地移転問題でも日本政府と沖縄県の立場が対立し、日本は米国に対して行った約束を果たせないまま時が過ぎている。それでも中央政府が毅然として外交約束を守る姿勢を堅持しているから日米関係は悪化しない。 安倍政権は少なくとも尹炳世外相が釜山に行って関係団体と協議するまでは、今回の措置を続けるべきだ。今回の措置の結果、左派新聞は加害者である日本が被害者である韓国を圧迫するのは許せないと安倍非難一辺倒だ。たとえば左派系の京郷新聞は1月9日社説「誰が歴史の加害者安倍が大きな声を出せるようにしたのか」で「力のない隣のうちの妻子を連行して悪いことをおこなってからまとまったカネを握らせて『口を開いたらひどいぞ』と脅迫するやくざと変わるところがない」と安倍首相を誹謗している。破られているのが見つかった慰安婦像付近の横断幕=1月6日、韓国・釜山 しかし、保守系の朝鮮日報と東亜日報は安倍批判をしながらも社説でウィーン条約を紹介して韓国側にも非があることを伝えはじめた。朝鮮日報1月10日社説「日本の『慰安婦像』攻勢、危険だ」では全体としては日本批判をしながらも「外国の忌避施設をその国の公館の前に設置することに対する疑問は韓国内にもある。 国際協約は『相手国の公館の安寧と品位を守る責務』を規定している」、東亜日報1月10日社説「日本安倍の『慰安婦暴走』…黃代行は外交リーダーシップを発揮せよ」もやはり日韓合意とウィーン条約に言及してこう書いた。「日本大使館前の少女像に対して『関連団体との協議を通じて適切に解決するように努力する』と明らかにした韓国政府はその後、どのような努力をしたのか振り返る必要がある。ウィーン条約第22条は『相手国の公館の安寧と品位を守る責務』を規定していて、大使館と総領事館の前の少女像設置が論難の余地があるのも事実だ」。 そして、在野の保守団体である国民行動本部は「少女像をめぐる韓日関係悪化を憂慮する」という声明を出して「釜山の日本総領事館の前に『慰安婦少女像』を再設置したことは韓日間合意精神に背くだけでなく何よりも不法行為だ。文明国家としての国の格を守るためにも法の通りしなければならない。 政府は『慰安婦少女像』を撤去して韓米日同盟関係を修復しなければならない」と主張した。 日本が自己主張をすることで韓国人にウィーン条約を破っている自国の在り方がおかしいのではないかと考えさせる契機を与えることになる。真の日韓友好は健全な相互批判の上にしかないと強調したい。

  • Thumbnail

    記事

    慰安婦「少女像」を作り続ける夫婦の意図とその協力者

    次々と“他国へ輸出”されようとしているのだ。ジャーナリスト・織田重明氏がレポートする。 * * * 慰安婦問題における日韓の捻れを象徴するようになった少女像を作り続け、韓国の市民団体の間で英雄視されるキム・ウンソン、ソギョン夫婦が慰安婦問題と関わるようになった経緯について、夫のキム・ウンソン氏は、韓国のニュースサイト「オーマイニュース」のインタビューにこう答えている(2016年11月7日)。 「2011年1月に、日本大使館の前を通り、水曜集会(毎週水曜日に行われる抗議活動)を見て驚いたのです。『こんな集会を今までやっていたのか』と思った瞬間に、とても申し訳ない気持ちになりました。日本大使館前に置かれた慰安婦像 すでに水曜集会が始まるようになって20年ですが、未だにこの問題は解決されていませんでした。申し訳ない気持ちで挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)を訪ね、『私たちができることがありませんか。すまないという気持ちを減らしたいと思っています』と話したのです」 自ら協力を申し出てきた夫妻に、当初、挺対協は日本大使館前に設置する記念碑の制作を提案した。 夫婦が石碑に文字を刻もうと、デザインを考案したところ、「大使館の前に石碑を建ててはいけない」と日本側から圧力がかかった。 反発した夫妻は、再び挺対協を訪ね、あらためて別の計画を提案したとインタビュー記事にある。それが、文字を刻んだだけの石碑ではなく、より慰安婦の被害を強調できる彫像ではどうか、というものだった。 「そうすれば、日本に謝罪と反省をより強く求めることができる」(同) 2人の提案に、挺対協は喜んで、後押しを約束する。 当初の構想では元慰安婦のハルモニの像とする案もあったが、妻のキム・ソギョン氏は15歳前後の少女の姿にすることを決め、彼女たちは男性によって性暴力を受けたとの考えから、制作も妻が担当した。何も語らない製作者夫婦 かつて朝鮮半島で一般的だった三つ編みでなく、ざくざく短く切った髪型にしたのは、無理矢理連れ去られたことを表し、握りしめた手は一日も早く日本政府から謝罪を勝ち取るという気持ち、そして裸足は被害を受けた元慰安婦のハルモニたちの苦労をそれぞれ象徴しているという。 費用の拠出にはすべて挺対協が関わっている。挺対協をめぐっては、あまりにも鮮明な反日姿勢を掲げ頑なに日本政府に謝罪と賠償を要求してきた経緯から、韓国国内でも批判が少なくない。 2015年には元慰安婦からも、「当事者の意見も聞かず、日本との協議を拒否している」と、その活動方針を批判されてきた。 そうした市民団体からの依頼と資金で少女像を制作し続けることは、本当に慰安婦問題の解決につながるのか。 筆者が取材した関係者によると、夫婦は今後、さらにカナダやオーストラリア、さらにブラジルに設置するための作品を制作中だという。さらに別の関係者からこんな驚くべき情報を得た。「釜山の日本総領事館前に少女像を設置する動きが進んでいて、設置予定日は12月28日。釜山向けの少女像は既に完成済みでやはり夫婦の手によるものです。日本外務省は韓国側に対して、設置に許可を出さないよう圧力をかけていますが、もはや政府が機能していないので予断を許しません」 12月28日とは、ちょうど日韓合意を発表した日である。その一年後に企画されたこの設置運動は、実行されれば暴挙と言うほかない。 工房を訪ねる直前、夫婦に電話で取材を申し込んだところ、当初は予定が空いていれば喜んで受けると言い、日程を確認して折り返すとしていた。しかし、しばらくすると「日本のメディアは歪曲報道をするので取材に応じられない」とメールで連絡してきた。 工房の前で二日間待っていたが、結局、夫婦は現れなかった。夜の帳が下りると、半島特有の厳しい寒さが身を襲う。慰安婦問題解決の道が再び閉ざされないよう願うばかりである。 関連記事 ■ 反日勢力の急先鋒 韓国挺身隊問題対策協議会はどんな団体か ■ 朴槿恵氏スキャンダルで日韓合意を認めぬ挺対協が勢いづく ■ 韓国反日団体 中国人の「反日」インターンシップ受け入れも ■ 最終かつ不可逆的な日韓合意がひっくり返されるか ■ 韓国の反日スレ「日本に爆弾テロする?」「お前通報シマス」

  • Thumbnail

    記事

    台湾・韓国・中国・日本「慰安婦サミット」に潜入した

    クを韓国の代表者、申蕙秀氏(「慰安婦の声」ユネスコ記憶遺産計画責任者)に譲った。 「日本の安倍政権は慰安婦問題を解決する気がなく、国際機関からの勧告を徹底的に無視しています」 「彼らは、慰安婦たちが亡くなればこの問題も終わると思っているんです」 そう強い口調で日本を断罪し、2015年に慰安婦をユネスコ記憶遺産に登録申請した件についてこう語った。 「100年、200年後に慰安婦の歴史がどのように定義されるのか。そこで重要な役割を担う」 ユネスコ記憶遺産の申請については、「性奴隷」や「慰安婦20万人」といった主張に明確な裏付けはない。彼女たちの狙いが実現すれば、彼女たちこそが“歴史の改竄”に手を染めることになるのではないか。2015年は申請が却下されたが、「来年(2017年)こそ登録できるよう全力を尽くす」と語気を強めており、まったく諦めていない様子だ。関連記事■ 中国が提出の慰安婦関連史料 性奴隷説が誤りだと明確に示す■ 韓国の反日スレ「日本に爆弾テロする?」「お前通報シマス」■ 中国の働き掛けを受け韓国で「慰安婦記憶遺産登録論」が過熱■ 慰安婦 強制連行の事実はなく高給を得て帰国の自由もあった■ 慰安婦史料のユネスコ登録 オランダ加わればインパクト大に

  • Thumbnail

    記事

    慰安婦問題で韓国に「無条件降伏」し続ける外務省のホームページ

    山岡鉄秀(AJCN代表) 「慰安婦問題は,当時の軍の関与の下に,多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり,かかる観点から,日本政府は責任を痛感している」 2015年12月28日に突如発表された日韓合意。この岸田外相の発言を聞いた瞬間、唖然とすると同時に、東京下町出身の私の脳裏に、今は亡きフーテンの寅さんの声が聞こえて来た。「それを言っちゃあおしまいよ」。 英訳は次の通り。The issue of comfort women, with an involvement of the Japanese military authorities at that time, was a grave affront to the honor and dignity of large numbers of women, and the Government of Japan is painfully aware of responsibilities from this perspective. ご丁寧に、“involvement of the Japanese military authorities”と明言し、“a grave affront to the honor and dignity of large numbers of women = 大勢の女性の名誉と尊厳に対する甚大な侮辱”とは、日本語のオリジナルよりも強烈な印象だ。こんな言い方をしたら、強制連行、性奴隷といった、いわれなき誹謗中傷のすべてを認めて平身低頭して謝ったことになる。文字通り、ジ・エンドである。この「決定的に不適切な表現の問題」に即気が付いて公共の電波で指摘していたのは青山繁晴氏らごく少数だったと記憶している。慰安婦問題の合意後、握手する岸田外相(左)と韓国の尹炳世外相=2015年12月28日、ソウル(共同) 言い方を変えれば、このような表現(特に英語)は、金額欄が空欄の小切手を渡して「金額は一億でも一兆でも、好きなようにお書きください」と言っているようなものだ。「それならば」と袋叩きにあうのは目に見えている。特に、2015年は複数の日本の学者や研究者グループが、大変な努力をして海外の学者やメディアに反論を試みた年だった。私も手伝ったからよく知っているが、海外の学者たちはほとんどまともな反論ができなかった。日本側の圧勝であり、やっと朝日新聞がばら撒いた「20万人強制連行説」などの荒唐無稽な説を打ち消すことができるかと思った矢先の出来事だった。 くやしい思いをしていた海外左傾メディアや学者たちが、日本政府の声明を聞いて、ここぞとばかりになりふり構わぬ「復讐」に出たのである。だから、AJCNレポートで伝えたように、捏造(ねつぞう)を含めた「とんでもない内容」の日本叩きの大合唱になったのだ。かくして、日本人学者・研究者グループの努力は木端微塵に吹き飛んだ。背後から撃たれたらひとたまりもない。 それにしても、この突然の「無条件降伏声明」はどこから来たのか? 誰かが急きょ考えて、岸田外相や安倍首相に「これがベストの表現ですよ」と耳打ちしたのだろうか。こんな自爆行為ともいえる声明を平気で出すのは世界中で日本政府だけだ。誰かの意図が反映されているとしか思えない。そう思いながら、改めて外務省のホームページを見て愕然とした。青天の霹靂と思っていた「自爆的無条件降伏声明」が、ずっと前から繰り返し書かれていたのだ。すなわち、今回の日韓合意は、外務省の意図を明確に反映し、時計の針を左回りに巻き戻す行為だったのだ。外務省にとっての慰安婦問題とは何か?外務省にとっての慰安婦問題とは何か? 実は外務省は、今回に限らず、以前から「慰安婦問題とは多数の女性の名誉と権限を傷つけた問題である」と繰り返し定義していた。 外務省のホームページを見ると、2013年11月6日付けの英語の文章で The view of the Government of Japan on issues of history including “comfort women”(慰安婦問題を含めた歴史問題に関する日本政府の見解)というものがある。日本語版を見つけることができなかった。まさに「平謝り」の内容なのだが、その中に次の文章が登場する。Recognizing that the “comfort women” issue was a grave affront to the honor and dignity of a large number of women, the Government of Japan, together with the people of Japan, seriously discussed what could be done for expressing their sincere apologies and remorse to the former “comfort women.” 「慰安婦問題とは、大勢の女性の名誉と尊厳に対する甚大な侮辱であったと認識して、日本政府は、日本国民と共に、どうしたら元慰安婦に心からのお詫びと自責の念を伝えることができるか真剣に話し合いました」(山岡訳) この結果として、アジア女性基金ができたと続く。さらに、次のような文章も登場する。Prime Minister Abe and his predecessors are deeply sympathetic and sensitive to women who experienced immeasurable pain and suffering as the “comfort women”. Japan has extended its sincere apologies and remorse to all those women on various occasions such as the statement by the Chief Cabinet Secretary Yohei Kono in 1993. 「安倍首相とその前任者たちは、慰安婦として計測不能な痛みと苦しみを経験した女性達に対して、深く同情し気遣っています。日本はそれらの女性達に対し、1993年の河野洋平官房長官談話のように、様々な機会で、誠意ある謝罪と自責の念を表明しました」(山岡訳) この文章では不十分と思ったのか、その後も外務省は、同じ趣旨を何度も繰り返す。河野洋平氏 2014年10月14日付で、「慰安婦問題に対する日本政府のこれまでの施策」という文章が日英両言語で掲載されている。この中でも、「河野洋平官房長官談話において、この問題は当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であるとして、心からのお詫びと反省の気持ちを表明し、以後、日本政府は機会あるごとに元慰安婦の方々に対し、心からお詫びと反省の気持ちを表明してきた」とし、償いとしてアジア女性基金を開設したと続く。 さらに、2015年9月18日付の「歴史問題Q&A」でも、「慰安婦問題に対して、日本政府はどのように考えていますか」という問いかけに対し、「日本政府としては、慰安婦問題が多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題であると認識しています。政府は、これまで官房長官談話や総理の手紙の発出等で、慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からお詫びと反省の気持ちを申し上げてきました」と再び強調している。 これではっきりした。外務省は、慰安婦問題に関しては、どんなに誹謗中傷されても、この問題を総じて「女性の尊厳を傷つけた問題」とだけ総括し、「強制連行や性奴隷としての扱いはなかった」などとは一切反論せず、ひたすら心からのお詫びと反省の気持ちを表明するのが正しいと信じて、かたくなにその方針を守っているのである。日韓合意は、岸田外相と安倍首相にその方針を再確認させる儀式だった。河野談話が好きな外務省河野談話が大好きな外務省 素朴な疑問が湧く。あれほど河野談話が元凶だと騒がれ、わざわざその製作過程の検証を行い、韓国側の意向を慮ってのすり合わせがあったことが証明されたではないか? それはいったいどこに行ったのか? 外務省ホームページには、「慰安婦問題を巡る日韓間のやりとりの経緯~河野談話作成からアジア女性基金まで~」という文章が日英両言語で掲載されている。しかし、この文章と全く同じ日付(2014年6月20日)で、菅官房長官のタイトルのない談話が掲載されている。英語のものしか見つからないこの談話の趣旨は以下の通りだ。菅義偉官房長官 「石原官房副長官による、河野談話の作成過程において、韓国側との内容のすり合わせがあったという衆議院予算委員会における証言に基づき、日本政府は3人の女性を含む有識者のチームを作って事実関係を検証しました。今日の午後、日本政府はその結果を衆議院予算委員会に提出しました。いずれにしても、私どもは河野談話を変更することはないと再確認いたします。慰安婦問題に関しましては、計測不能な苦しみを経験された全ての方々に思いをはせる現政府のスタンスは変わりません。韓国は日本にとって最も大切な隣国でございます。安倍政権が日韓関係に継続的に重視し、様々なレベルでの対話を通じ、韓国との協調を進展させるという安倍政権のスタンスは決して変わることがございません」(山岡訳) この談話では、調査結果の内容についてはいっさい触れられていない。これを読めば、誰もが日本政府は調査結果を無視して、河野談話には一切手を触れずに尊重いたしますと宣言し、韓国に詫びを入れていると理解するだろう。このように、河野談話成立過程の検証努力は完全に無効化されている。 こんな有様だから、「20万人強制連行と性奴隷化」を明確に否定した、本年1月18日付参議院予算委員会での中山恭子議員に対する安倍総理の答弁も完全に無視されている。厳密に言えば、2007年3月16日付の「衆議院議員辻元清美君提出安倍首相の『慰安婦』問題への認識に関する質問に対する答弁書(平成19年3月16日閣議決定)(抜粋)」という文章は掲載されている。しかし、このような抜粋の掲載では、閣議決定であるにも拘わらず、何を言わんとしているのかさっぱり伝わらない。本来なら、閣議決定された答弁書こそが政府の見解ではないのか?英語で自傷したい外務省英語で自傷したい外務省 私はかねてより、外務省の英訳があまりにも自傷的で不適切だと指摘して来たが、今回、今でも日本政府の公式見解とされている河野談話にもその傾向を発見した。河野談話には次のくだりがある。 「いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である」 英語版では、この「いずれにしても」が “Undeniably = 否定できないほどに” と訳されているのだ。私は慰安婦問題の最前線で戦い続ける市民団体の代表として、改めて外務省の回答を求めたい。誰がこのような訳をしているのか?これは意図的になされているのか? 今回、外務省のホームページを見直すことで、外務省の主流派が依然として「慰安婦問題を漠然とした女性の人権侵害問題と捉え、たとえ事実に反する誹謗中傷があっても決して反論せず、全国民が深く反省し、河野談話で謝罪し、アジア女性基金で誠意ある償いを実行したと繰り返し訴え続けることこそが最良だ」と信じ、それをフレームワークとして一歩たりとも譲る気がないことが確認できた。このフレームワークこそが、戦後レジームの象徴であり、この枠内で行動する限り、安倍政権が戦後レジームを脱却することは不可能である。外務省のホームページ 1000歩譲って、このようなアプローチで相手が納得し、問題が解決するのなら、外務省主流派の考えにも一理あるかもしれない。しかし、現実には状況はどんどん悪くなっている。当たり前である。国際社会では、弱いと見なされたら徹底的に攻撃されるのが常だ。塹壕の中で頭を抱えたままじっとしていれば、いずれ攻撃がやむと思ったら大間違いだ。一発も撃ち返してこないとわかれば、頭上から爆弾が雨あられと降り注いでくる。劣化ウラン弾でも平気で打ち込んでくる。大金でメディアを買収し、捏造でもなんでもする。日本を占領し、支配下に置くまで止めることはない。「日本人は謝りたくて仕方がないらしい。理解できない精神構造だが、徹底的に利用して攻撃しよう」と考えているのが明らかだ。こんなことは素人でもわかる。それが国際社会の現実というものだ。 ではなぜ、効果がない、と分かっているフレームワークにいつまでも固執するのか? それはひょっとして、日本の名誉や国益を守るという目的のためには効果がないが、外務省主流派にとっては最も利益があるからではないのか? つまり、戦後レジームの守護者である外務省主流派にとっては、戦勝国およびGHQによって批判を禁じられた韓国の意向に沿い、歓心を買うことこそがもっとも大切な仕事であり、それが日本国の国益の上位に位置づけられているからではないのか? さもなくば、自らが理想とする「高邁な理念」を守ることが、国益を守ることよりも大切だと考えているのか? 外務省にも、日本の為に必死に努力している人が多くいることは承知している。しかし、ホームページに反映されている「平身低頭の戦後レジーム死守」の姿勢を見ると、上記の疑念が頭をよぎらざるを得ない。これもやはり、日本が依然として占領下であることの証左であろうか。

  • Thumbnail

    記事

    惨敗でも変わらぬ朴大統領  改めて読む慰安婦合意の中身と展望

    けたことへの反省など全く見せず、自らの信念を貫く姿勢ばかりが目立つからだ。 日本での関心はといえば、慰安婦問題を巡る昨年末の日韓合意への影響に集中している。「日本との再交渉」を公約に掲げた野党の勝利で合意履行が難しくなるという見方もあるが、それは単純すぎる。 合意の履行は、もともと簡単なものではなかった。そうした意味で、韓国側の事情は総選挙の前後でそれほど大きく変化していない。世論の反発は強いけれど、朴大統領は強行突破しようとしている。ただし、限界はある。大まかに現状を見れば、そういうことだ。「これからも変わらない」と宣言した 朴大統領は総選挙から2週間ほど後の4月26日、韓国メディア46社の編集局長や報道局長を昼食に招いて懇談会を開いた。出席者からの質問に答える、事実上の記者会見である。 細かく紹介するよりも、翌日の韓国各紙の社説を見ると内容が分かるだろう。 最も保守的で朴大統領よりの姿勢が目立つとも言われる朝鮮日報は、「選挙結果に対する責任問題には一言も言及しなかった。(中略)国民が期待したのとは距離がある選挙結果への評価だと言わざるをえない。このように他人の話をするかのようにしていたのでは、どれだけの国民が納得したか疑問である」と苦言を呈するとともに、「国会と妥協しないという従来の態度に大統領が固執するならば、際限のない摩擦と衝突が繰り返されることになる。国政の混乱は避けられない」と懸念を表明した。韓国総選挙で投票の順番を待つ朴槿恵大統領(右)=4月13日、ソウル(聯合=共同) 同じく保守系の東亜日報も、「惨敗しても大統領の考えに大きな変化が見られないのは憂うべきことだ」と指摘する。 進歩派の各紙は、当然のことながらさらに厳しい。ハンギョレ新聞は「何も変わっていない。大統領は独善と傲慢という部屋に高い壁を作り、そこから出てこようとしない」と指弾。京郷新聞は「朴大統領は(総選挙のあった)4月13日以降も変わっておらず、これからも変わらないということを公開の場で宣言した」と指摘し、「民意を最後まで否定して変化を拒否するならレームダック(死に体)が前倒しでやってくることを知らねばならない」と主張した。 筆者は、朴大統領が4月18日に初めて選挙結果に言及したことを受けて「朴大統領の姿勢はすべてにおいて何も変わっていない」という趣旨のコラムを書いた(月刊「アジア時報」5月号所収)。この懇談会を見ると、やはり朴大統領は何も変わっていないのである。少女像に関する発言は変わったか少女像に関する発言は変わったか 日本ではこの時、慰安婦合意に関する発言が報じられた。朴大統領は懇談会の出席者から合意について聞かれ、こう答えたのだ。 「被害者の方たちが1人でも多く生きている間に問題を解決し、日本から謝罪を受け、さらに、その方たちの生活に助けとなる支援を行う。そうしなければならないのではないか。それで先般、難しい合意をみた。安倍晋三首相と会談した際、このように難しい状況下でなしとげた合意について話をした。本当になぜこの合意をしたのかという、その精神、趣旨、そういったものに反することのないようにしながら、財団の設立などという後続の措置を誠実に履行する。 そして、未来の世代にもこのようなことを教えていかねばならない。(安倍晋三首相と)そのような話をし、そういった内容を確認した。少女像の撤去と(日本政府による財団への10億円拠出が)つながっているとか、なんだとか言われているが、これは本当に合意で全く言及もされていない問題だ。そのようなことをもって扇動したらいけない。被害者の方たちの助けにならない。それは、まったく事実ではない。そのようなことで混乱を引き起こしてはならない。日本も努力して早く後続措置が行われ、その過程で被害者の方たちや関連団体とコミュニケーションを取り続けながら、早くしようと思っている。さらに遅れて良いことではない。もう既にとても遅れているのだ」(聯合ニュースによる) これをもって朴大統領が態度を変えたということはできない。他の国政課題はすべて従来路線に固執しているのに、慰安婦問題だけ変わるなどということはありえない。慰安婦問題でも従来路線を突き進むけれど、少女像の移転はそもそも約束されていないということを改めて確認したにすぎない。 朴大統領は、野党や世論の反発が鎮まらなくても合意履行の次のステップである財団設立へと突き進もうとしている。この発言を正確に読めば、そういう意味になる。韓国政府は実際、5月中に財団設立の準備委員会を作り、6月末か7月初めには財団を立ち上げようとしているのである。少女像移転は「逐条的に確認しあったわけではない」萩生田光一官房副長官 安倍政権も、そんなことは理解しているということだろう。萩生田光一官房副長官は翌27日の記者会見で、「今回の合意において韓国側は日本政府が大使館前の少女像に対して懸念を持っていることを認知し、韓国政府も適切に解決されるよう努力をすることとなっている。他方、合意の前提かというと、そういった細かいことを逐条的に確認しあったわけではない」と述べた。(質疑は「動画」の4分30秒目くらいから) 萩生田氏は「やはり、この問題を最終的かつ不可逆的に次世代に引きずらない。お互いに日韓新時代の新しい関係を築いていこうというのが日韓合意の大きな意味だから、そういう意味では細かいことの一つに含まれていると私は認識している」とも述べている。 日韓新時代を築こうという合意の意味を考えれば少女像移転は当然やってもらいたいが、確実な約束になっているわけではない。歯切れの良くない萩生田氏の発言趣旨をまとめれば、こんなところだろう。 ちなみに質問をした記者は、朴大統領の発言について「財団の出資金の前提条件という意見をけん制した」ものだという自らの考えを示した上で、日本政府の受け止めを聞いた。「意見をけん制」というのはユニークな表現である。「日本との再交渉」公約には重みがない「日本との再交渉」公約には重みがない 日本では今回、日本との再交渉を公約に入れた最大野党「ともに民主党」が勝利したことで、慰安婦合意の履行に大きな影響が出るのではないかという懸念が語られた。 だが、韓国の政界関係者は「総選挙での野党の公約なんて誰も気にしない」と口をそろえる。中には、「だから韓国の政党政治はまだまだなんだ」と憤る政治学者もいた。 それに、今回の総選挙では政策は一切と言っていいほど争点になっていない。与野党とも来年末の大統領選へ向けた党内の陣取り合戦に忙しく、与党の方が「より多く負けた」だけというのが実相である。経済や北朝鮮といった喫緊の課題すら争点にならなかったくらいであり、ましてや慰安婦問題を含む対日政策を気にする人など誰もいなかった。 だからこそ、「ともに民主党」の選挙戦を指揮した金鍾仁・非常対策委員会代表が選挙期間中に慰安婦合意について「国家間の合意であり、修正できる状況にはない」と述べたり、選挙後に別所浩郎大使と会って「履行を急がねばならない」と話したりということが起きるのである。別所大使に対する発言の時には党の広報が「党の立場には変わりない」と釈明をしたが、それ以上は問題にならなかった。総選挙で当選確実になった候補者にシールを貼る「共に民主党」の金鍾仁非常対策委員会代表=4月13日、ソウルの韓国国会(共同) ただ、金鍾仁氏の場合は党の路線から外れても仕方がないとも言える。氏はもともと全斗煥政権で社会福祉政策を担当した穏健保守であり、金大中・盧武鉉両氏の流れをくむ党のカラーとは異質だからだ。 金鍾仁氏は、次期大統領選へ向けた思惑含みで昨年末に党が分裂するという危機に陥ったことを受けて、総選挙へ向けたイメージ一新のために外部から迎えられた。韓国政界でも「ウルトラC」級の手ではあるが、それでも特に問題視はされない手法だ。今回の選挙で政策が争われていないことの傍証とも言えるだろう。合意非難の国会決議は採択される可能性も合意非難の国会決議は採択される可能性も そうは言っても、与党が過半数を割り込んだのだから朴大統領への打撃は大きかろうと思う読者も多いだろう。ただ、現在の韓国国会では過半数には大きな意味がない。2012年に改正された国会法(通称・国会先進化法)によって、予算案以外の法案処理には5分の3(180議席)の同意が必要とされたからだ。 李明博政権が数に頼んだ強行採決を繰り返したことへの批判が強かったため、同年末の大統領選をにらんで朴槿恵氏が主導して行った法改正だった。当時から、韓国の政治風土と選挙制度の下では一党で5分の3を占めるのは不可能に近いと見られており、だからこそ与野党が落ち着いた協議を尽くして法案処理するようになるという理想論が語られた。 しかし実際には、重要法案になればなるほど与野党は激しく対立する。朴大統領が妥協をよしとしない対決型の指導者であることもあって、2013年に発足した朴槿恵政権下の国会は「植物国会」と揶揄されるような状態が続いてきた。与党は過半数を超えていたが、5分の3は持っていなかったからだ。おかげで朴政権は、内政でまったくと言っていいほど成果を挙げることができていない。 今回の選挙で第1党となった「ともに民主党」は123議席、与党セヌリ党は122議席で、どちらも過半数(151)にすら遠く及ばない。第3党である野党「国民の党」が38議席。「ともに民主党」とセヌリ党が協力しなければ5分の3というハードルをクリアできないが、1年半後に大統領選を控えているという時期的な問題だけを考えても、それは非現実的だ。国会がスムーズに動けない状況は何も変わっていない。 ついでに言うと、韓国の国会は年間100本近い決議を採択しているので、「決議には重みなど全くない」(与党関係者)。国会決議は過半数でいいから、野党が過半数を占めるようになる国会で慰安婦合意の「無効決議」くらいは採択されるかもしれない。だが、それは基本的に朴槿恵政権への嫌がらせにすぎない。過去に繰り返されてきた対日非難決議の場合、日本で大騒ぎになっているのに韓国では全くニュースになっていないということも珍しくなかったのである。最大の眼目は「ゴールポストの固定」最大の眼目は「ゴールポストの固定」日本大使館前の慰安婦像周辺で行われた抗議集会=6月22日、ソウル(共同) さて、最後に合意の中身を改めて確認しておきたい。昨年12月28日に日韓両国の外相がソウルの韓国外務省で記者会見し、明らかにした合意内容は次のようなものである。 すべての前提となる認識は、▽当時の軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、日本政府は責任を痛感している▽安倍首相は、日本国内閣総理大臣として心からおわびと反省の気持ちを表明するーーというものだ。 さらに両国の約束として、▽韓国政府が元慰安婦を支援するための財団を設立する▽日本政府が財団に10億円を拠出する▽国連など国際社会において相互非難をしない▽合意がきちんと履行されることを前提に、慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認するーーことが明示された。 そして、前述したようにソウルの日本大使館前に建つ少女像について、韓国政府は「適切に解決されるよう努力する」と表明したのである。この項目は、日本側が「少女像に言及しないと国内がもたない」とねじ込んだもので、韓国側は最後まで抵抗を示していたという。 慰安婦問題が日韓関係の中心課題となったここ数年の間に、少女像は日韓両国において正反対の意味合いを持つシンボルと化してしまった。いくら朴大統領が剛腕だといっても、簡単に突っ走れるのは財団設立までだろう。少女像の移転は極めてハードルが高い。それが、専門家の多くが当初から抱いてきた見立てだ。 そもそも合意の意義は、両国が外交交渉を通じて「最終的かつ不可逆的な解決」という合意に達したことを国際社会に発信したことにある。米国や欧州諸国などから歓迎されたことで、合意内容をいじることは日韓ともに難しくなった。「ゴールポストを動かせなくする」ことに最大の眼目があるのだから、少女像問題の解決に時間がかかるのは目をつぶらざるをえない。それが、慰安婦合意の枠組みである。 日本側で一部の人たちが喧伝した「少女像移転も近い」という考えは、もともと幻想にすぎない。韓国総選挙における与党惨敗で日本側の期待値が下がったとしたら、それは合意履行には悪いことではないのかもしれない。

  • Thumbnail

    記事

    慰安婦合意 日本は韓国が関係改善せざるを得ない時まで辛抱

     昨年末の「慰安婦問題」解決のための日韓合意が実現に向けて動き出したかのように見える。日本政府が10億円を拠出する元慰安婦の支援財団は、今年6月末の設立を目指している。しかし同時に、看過できない動きがある。 去る4月26日、韓国の朴槿恵大統領は、韓国メディアとの懇談会でソウルの日本大使館前に設置された少女像の撤去について「(日韓)合意で言及もまったくされなかった問題」と発言したのだ。「合意事項の一つ」とする日本側と真っ向対立する朴発言の裏には何があるのか。前在韓国特命全権大使の武藤正敏氏が読み解く。* * * 慰安婦問題において、これまで譲歩するばかりだった日本だが、今回の合意では安易な譲歩は見せなかった。昨年は日韓国交正常化50周年の記念の年であり、この機を逃せば、韓国は合意をまとめる口実を失う。加藤達也・産経新聞前ソウル支局長への無罪判決も関係改善のシグナルであったと言えよう。日本は、韓国が関係改善に向けて動かざるを得ない時点までよく辛抱したといえる。 こうした先例をつくった意義は大きい。今後の最大の関心事は「合意」が正しく履行されるかどうかであるが、少なくとも朴大統領は、先頭に立ってこの問題に取り組んでいると私は見る。韓国の朴槿恵大統領(ロイター)「合意」が発表されたとき、元慰安婦支援施設「ナヌムの家」の元慰安婦が激しく抗議した際、朴大統領は「この合意は最善を尽くした結果である。これを無効と言えば、今後どの政府もこうした難しい問題には手をつけられないだろう」と反論した。これまで挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)など元慰安婦の立場を“代弁”してきた組織からの抗議に対し、まったく言いなりであった韓国政府首脳としては異例の発言である。 こうした発言や、韓国政府自ら財団をつくり元慰安婦を支援するといった合意内容からも、韓国側の本気度が窺える。「合意」を受け入れ始めた韓国国民 実は、韓国国民も「合意」を受け入れ始めている。5月半ばに発表された読売新聞と韓国日報社の合同世論調査では、日韓関係が悪いと答えたのは日本が66%、韓国が82%だった。1年前に比べて日本19ポイント、韓国7ポイント改善している。また、「日韓合意」については、韓国で「評価しない」と答えたのは73%だった。「日韓関係が悪い」と答えた82%と比べると、9ポイントも少ない。「納得はできないけれど、しょうがない」という雰囲気が表れていると私は見る。 慰安婦問題の解決へ向けた動きを軌道に乗せたいのが朴大統領の本音だろう。それには、韓国政府がつくる財団にできるだけ多くの元慰安婦に参加してもらう必要がある。しかし、ひとたび「少女像を撤去する」と表明してしまえば、合意全体への反対が燃え盛ることは必定で、財団自体が有名無実になる。まずは元慰安婦に財団からの支援金を受け取ってもらい、「この問題は解決した」という雰囲気を醸成させ、その上で少女像の問題に取り組むつもりではないか。つまり、「少女像」は解決への入口ではなく、出口なのだ。 朴大統領の“掌返し”発言は、こうした状況下で国内を説得するためだったと考えることができる。今回の朴大統領の発言を日本側が受け入れるわけにはいかないが、それでも直情的に反応するのではなく、冷静な視点を持ちたい。 日本が騒げば騒ぐほど、少女像の“価値”が上がることを肝に銘じなければならない。日本の一部の国会議員は少女像が撤去されなければ10億円を支払うべきではないと主張しているが、それも避けるべきだ。 日本が10億円を拠出しなければ、間違いなく合意は破綻する。そうなって喜ぶのは誰か。 韓国国内で「合意反対」を叫び続ける「挺対協」である。日韓合意により、挺対協はその存在意義まで問われかねない立場に追い込まれた。かりに挺対協が政権と対立して合意を潰せば、韓国国内からも批判が起きるかもしれない。そんな苦しい状況で日本側がこれを潰してくれれば、まさに渡りに船だ。日本側の不誠実さを言い触らし、各地に少女像を設置して歩くことだろう。 私はこれまで「日韓合意」について、韓国内で批判は度々されるだろうが、それに対して日本の政治、メディアが冷静でいられるかどうかが重要だと述べてきた。関係改善は緒に就いたばかりだ。いまこそ私たちは状況を俯瞰し、総合的で客観的な視座を持つべきだろう。関連記事■ 米軍慰安婦で問われる朴槿恵氏の「歴史と向き合わぬ国」発言■ 潘基文韓国大統領誕生で「反日韓国」「慰安婦問題」が甦る■ 反日パフォーマンスやった李明博氏に国賓訪問あり得ぬと指摘■ 前駐韓大使 慰安婦問題の妥結は日本より韓国にかかっている■ 韓国が小中高生向けに作成した慰安婦教材 史実歪曲した内容

  • Thumbnail

    記事

    慰安婦合意で見せた「日本らしさ」 首相の意志に希望はある

    著者 河合芳典〈例えば外国人相手の日本人の教師は、外国人学生に対して、日本語の発音、文法だけでなく、語用論的な問題、たとえば日本の社会での言語行動の特徴について、日本語は相手の気持を察する高文脈言語であるといったことなども教える、つまし結果として学生をタタミゼ化する教育を積極的にしていることになります〉 『日本の感性が世界を変える 言語生態学的文明論』(新潮選書)の著者、鈴木孝夫氏によると、tatamiser(タタミゼ:畳の動詞化)とは、最近使われるようになったフランス語で、 良い意味で「日本かぶれ」「日本贔屓になる」、悪い意味では「日本ボケする」というような意味だそうです。〈これに反して日本にいる外国人(語学)教師の多くは、むしろ彼らの文化を基準として、日本人学生がアメリカ人やフランス人のように考え行動するようになることを目標にして、学生を教育するため、自分のほうが言語的文化的に日本的になることが少ないように思われます〉 なるほど、そうかもしれません。揉め事になると、とりあえず謝ってしまう。自分自身に非がなくても、諍(いさか)いを起こしていること自体、世間を騒がしていること自体に謝る。疑問を感じつつ、ご親切にも認めてやれるところを探してしまう。そういう子こそが、日本国内では「いい子」です。そうであれと育てられました。 ところが大人になり、殊に海外に出てみると、それじゃダメだと叱られることになりました。国内で美徳とされたものが、国際社会においては悪癖であるかのように言われます。実際海外で暮らし彼の国の人々と渡り合うには、否が応でも日本人らしさを捨てなければならないのかもしれません。 良い悪いではなく、そうして外国で戦ってきた人々にとって、先般の日韓合意は信じていた人に裏切られ、はしごを外されたと映っているようです。決して謝ってはいけなかった。相手の言い分を一寸たりとも認めてはいけなかった。事実、日韓外相共同記者発表にある「軍の関与の下に(with an involvement of the Japanese military authorities)」 との文言がもとで、「日本政府が、ついに軍による強制連行・性奴隷を認めて謝った」式の報道がなされたではないか、自分たちの努力は何だったのか、ということのようです。日韓首脳会談を終え、記者の質問に答える安倍首相=2015年11月2日、ソウル市内のホテル(共同) けれど今、この情勢の中、首相や外相の地位にある人が「従軍慰安婦というのは戦地売春婦で高給取りでした」と「本当のこと」を言えば、どうなるでしょう。そんなことをしても、誰にも届かないし、「歴史修正主義者」のレッテルを貼られ、信用を失い、ますます話を聞いてもらえなくなるだけではないでしょうか。政治家が自分の心情に忠実になりすぎて、世論や空気から浮いてしまっては、結局何もできなくなります。 首相も政府も「少女達を強制連行し性奴隷にして後に20万人を殺害した」なんてことは決して認めていません。そこを押さえたうえで、精一杯アチラ側に「歩み寄って」みせ、韓国系の「運動家」たちに対する疑問が出始めたところに、それでもコチラ側から「謝って」みせました。 人は理性だけではなく、感性というものを持ちあわせています。比重はともかく、それは人類共通です。 首相は、理の通らぬことを飲み込み堪えて、それでも慰安婦がらみの反日運動は何としてでも終わらせるんだという、政府としての意志を示しました。その成り行きを世界が見ていたというところには、絶望だけではなく希望もあるのではないか。私はそう思っています。

  • Thumbnail

    テーマ

    何サマですか? 国連の上から目線が許せない

    が男系男子の皇族だけにあるのは女性差別と指摘した女子差別委員会の見解に多くの日本人が仰天しただろう。慰安婦問題でもそうだったが、日本の主権や尊厳をないがしろにする国連の無神経な介入と「上から目線」を許してはならない!

  • Thumbnail

    記事

    いざ左派系団体の独壇場へ! 慰安婦問題「国連攻防」杉田水脈レポート

    た政府報告 ジュネーブの国連女子差別撤廃委員会(CEDAW)で2月15~16日(現地時間)、日本軍の慰安婦問題について、重要な議論が行われました。中国や韓国、内外の左派・反日勢力から仕掛けられている歴史戦争で、日本政府が自国の名誉と国益を守るため、しっかりとした反撃の一歩をようやく踏み出した。後年、そう評価されるかもしれないスピーチが、日本政府代表団によってなされたのです。 本誌1月号で報告したように、CEDAWは昨年夏、日本政府に対し、《最近、「慰安婦の強制連行を証明するものはなかった」との報告を受けた。見解を述べよ》との質問書を出しました。 CEDAWをはじめ国連の各委員会はこれまで繰り返し、「慰安婦は性奴隷」といった虚構に基づいて日本政府を批判し、さまざまな要求を突きつけてきました。解決ずみの元慰安婦への補償はもちろん、関係者の刑事訴追、関連教育の義務付けなど不当極まりない要求も並んでいました。 しかし、わが国の政府、外務省は、「慰安婦強制連行は確認されていない」という事実に則った反論はしてきませんでした。代わりに、「(元慰安婦の女性たちに)哀悼の意を表明してきた」「アジア女性基金(AWF)を設立し、償い金をお渡しした」といった殊勝な言葉を繰り返し、その場しのぎの謝罪で切り抜けてきたのです。不当な批判を認めるかのような外務省の姿勢が、韓国や国内反日勢力の慰安婦をめぐる嘘が国際社会に拡散するのを後押し、各地で慰安婦像が設置されるのを許してきたと言っても過言ではありません。 そもそも「性奴隷」なる悪質なレッテルが世界中に広まったのも、1996年に国連人権委員会に提出されたクマラスワミ報告がきっけでした。外務省はこのとき、同報告書の内容を「極めて不当」「歴史の歪曲に等しい」「受け入れる余地は全くない」ときっぱりと否定する反論書を一旦は提出しながら撤回しています。 こうした状況に、「もう看過できない。外務省がダメなら、われわれ民間人が立ち上がろう」と考えた「なでしこアクション」会長の山本優美子さんや私たち有志が昨年以降、ジュネーブに足を運び、「強制連行」や「性奴隷」といった慰安婦をめぐるデマに反論してきました。その結果出されたのが、昨年のCEDAWの質問書です。慰安婦問題についての国連の認識を大きく正すことができる絶好の機会であり、政府の回答が注目されていました。発言時間はわずか1分間 今回は、CEDAWの質問書に対する日本政府の回答と、ジュネーブにおける発言について報告します。 CEDAWは、女性問題の現状や解決への取り組みについて各国政府から報告を受け、その内容を検討する会合を、ジュネーブの国連欧州本部で定期的に開催しています。慰安婦問題についての日本政府の回答は、他の報告とともにCEDAW第63回セッションで検討されました。画像はイメージです 日本の検討会前日の2月15日、ワーキングミーティングが開かれました。NGOが、すでに提出されている政府の報告についての質問を、CEDAWの委員に提起し、報告する場です。委員はこれをもとに検討会で政府側からの聞き取りを行います。慰安婦問題のCEDAW質問書への日本政府の回答も、この政府報告の中に盛り込まれています。 私となでしこアクションの山本さんは、このワーキングミーティングでそれぞれ1分間の発言時間を与えられました。日本からは8団体が参加していて、規模の大きい団体の発言者には4~5分間が与えられました。会場には多くの日本人が詰めかけ、入りきれない人もいました。 私は次の通り発言しました。「日本政府は『政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる《強制連行》は確認できなかった』と(CEDAWの質問書に)回答しました。 一方、クマラスワミ報告には『20万の韓国女性が強制的に性奴隷にされた』と書いてあります。よって、委員会は日本政府に、この明らかな矛盾について明確にするように質問してください」 山本代表は「2014年の自由権規約委員会111セッションで、日本政府は『(慰安婦は)性奴隷との表現は不適切』と表明しました。よって、委員会は、戦時中に日本軍・政府が韓国の若い女性を性奴隷化したかどうか明確にするよう、日本政府に質問してください。第2に昨年、日韓合意で、日本は『心からのお詫び』を表明しました。よって委員会は『お詫び』の意味、つまり『当時の軍の関与』とは正確に何であったのかを日本政府に確認してください」と発言しました。 日本政府が我々の質問に答え、この問題の真実をしっかりと訴えるかどうか。期待が高まりました。 そして検討会当日。日本政府からは6省庁(外務省、内閣府、法務省、厚生労働省、文部科学省、警察庁)が出席していました。冒頭、政府代表団長の杉山晋輔外務審議官が報告の概要を説明しました。この中で慰安婦問題は「日本は女子差別撤廃条約に、1985年に締結した。従って、85年以前に起こっている慰安婦問題を取り上げることは適切ではない」と短く触れただけでした。杉山審議官の答弁に驚いた この発言を聞き、「この一言で終わってしまうのか? 我々は永久に国際社会での発言の場を失うことになるのではないか」と不安になりましたが、その思いはいい意味で裏切られたのです。国連女子差別撤廃委員会の対日審査会合で、慰安婦問題について日本の立場を説明する杉山晋輔外務審議官=2月16日、スイス・ジュネーブ オーストリアのホッフマイスター委員(女性)が質問をしました。「慰安婦問題は人権に反している。被害者は未だ納得していない。(日韓)2国間の合意が昨年の12月になされたが、どう実行するのか。日本政府は中国やフィリピンなどの他の国の被害者にはどう対応するのか。被害者への補償や加害者訴追、日本の軍当局の責任追及はどうするのか。日本の歴史教科書の改訂はするつもりがあるのか。被害者への賠償や精神的なリハビリを行う用意があるのか」 これに対する杉山審議官の答弁に、私は驚きました。「日本の真実」を踏まえたものだったからです。「政府は歴史問題が政治外交問題化された1990年以降、強制連行の有無についての調査を行ったが、これを確認できるものはなかった。 これが広く流布された原因は、吉田清治氏(故人)が自著の中で、済州島において自らが日本軍の命令で、大勢の女性狩りをしたという虚偽を述べたことによる。朝日新聞はこれを大きく報道し、国際社会に多大な影響を与えた。しかし、これは彼の完全な想像の産物である。朝日新聞もこの事実関係の誤りを認めた。 20万人を慰安婦にしたという数字に裏付けは無い。『20万人』という数字は、朝日新聞が女子挺身隊と慰安婦を混同したことが元になっている。女子挺身隊とは労働であり、性の相手ではない。『性奴隷』という表現は事実に反する。 日韓合意で日本政府は今後、10億円を提供する。これで元慰安婦の心の傷をいやすための事業を行うことにしている。他の国についても、サンフランシスコ講和条約や各々の二国間条約で個人の請求も含めて法的に解決済みである」 クマラスワミ報告書を否定しなかったことを除けば、当初国連に提出しようとしていた回答(後述)と同様の内容です。書面ではなく、口頭での説明になってしまいましたが、国連の場で、日本政府が「強制連行、20万人、性奴隷」を否定したというのは大きな前進です。 この回答を受け、委員は驚いたようです。中国の女性委員ゾウ氏は続けて次の質問をしました。 「日本政府の回答は矛盾している。歴史の事実に反する。慰安婦問題を否定しているのに、一方では日韓合意を認めている。もし、慰安婦問題がないのであれば、なぜ日韓合意をする必要があるのか」 これが中国の委員から出されたものでなければ、当然の疑問でした。今まで一度も国際社会で反論も否定もせず謝罪を繰り返してきた日本政府がいきなり、これまでの通説を否定したのですから。国連が事実上の「非公表」措置国連女子差別撤廃委員会の会場で立ち話する中国出身の委員(右)と 韓国人弁護士=2月16日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部(藤木俊一氏撮影) しかし、歴史問題で日本を攻撃する中国の委員の言葉です。杉山審議官の毅然とした答の前には、揚げ足取りの屁理屈にしか思えませんでした。「『歴史の否定』というご発言は事実に反する。強制は裏付けなし。軍の関与というのは、慰安所の設置、移送、医療提供である。『20万人』も誤りで、性奴隷も事実に反する。ゾウ委員のご意見は、いずれの点においても受け入れられない。事実に反することを発言していると言わざるをえない」 遅きに失した感はありますが、この日の答弁だけを見ると満点に近いと感じました。「英語で公表されない」!? ところが、翌朝にジュネーブを発つ間際、たいへん残念な情報が飛び込んできました。現地のジャーナリストによれば、「昨日(16日)の(女子差別撤廃)委員会の日本政府の英文の質疑を国連が公表しないと言っているようです。ここジュネーブのジャーナリストから、今朝、私の携帯に電話があり、英文のやりとりの書面はプレスにも公開しないと言っているとのことで、抗議をしてもらっています」というのです。 これでは、今回の画期的といってもよい日本政府代表団の答弁が日本以外では報道されないことになります。国際社会に拡散した慰安婦問題の虚構を否定する第一歩には、到底なりえません。冒頭で、今回の代表団答弁が「後年、歴史戦争の反撃の一歩を踏み出したと評価されるかもしれない」と書いたのは、国連が事実上の「非公表」措置をとったという、この情報があったためでした。 では、この情報が真実だとしたら、なぜこうなったのか。推測に過ぎませんが、考えられることが幾つかあります。一つは、国連という国際的な公的機関としてあってはならないことですが、CEDAWが日本政府代表団の答弁をよしとせず、葬りさろうとしているのではないか、ということです。 CEDAWに日本を歴史問題で攻撃している中国人委員がいることは先に述べました。さらにCEDAWの林陽子・現委員長は、フィリピン人の元慰安婦らが1993年に日本政府に国家補償を求めて起こした訴訟の原告団(団長は高木健一弁護士)事務局長だった人物です。彼らの存在が、日本政府代表団の答弁の実質「非公表」という事態に関わっているのかいないのか。 もう一つは、日本政府、外務省が実質「非公表」となることを見越して、CEDAWに対して今回の答弁内容を事前に文書で回答しなかったのではないか、ということです。文書で回答していれば、国連サイトにただちにアップされます。しかし、口頭による発言は、必ずしもアップされるとは限りません。山本優美子さんのワーキングミーティングでの発言で紹介した「(慰安婦は)性奴隷との表現は不適切」という2014年の自由人権規約委員会で表明された日本政府の見解も、口頭でのもので国連サイトでは見られません。国連回答をめぐる二転三転 これから説明するように、慰安婦問題でのCEDAWの質問書に対する政府・外務省の対応は、二転三転してきました。今回の答弁内容を評価しない者が、口頭発表にこだわって、国連による実質「非公表」措置に導いた疑いを私は捨てきることができません。今後、確認していきます。 さて、昨年7月にCEDAWでスピーチをした私は、帰国後質問書の存在を知り、外務省などへの取材を始めました。11月には、日本政府の回答書に「朝鮮半島において慰安婦の強制連行を裏付ける証拠はなかった」とする政府の立場を盛り込む方針で調整されていると聞き、前回の本誌報告では、慰安婦の強制連行を明確に否定する回答になることを期待したいと書きました。 ところが、実はこの時、回答をめぐって、外務省内でかなり混乱があったようなのです。本来のCEDAWへの提出締め切りは11月6日でした。私が11月の初旬に確認すると、「11月13日(第2週の週末)までには提出する」との答えがありました。ところが、第3週になって尋ねると、「官邸との調整が済んでいない。実は外務省から官邸にまだ提出できる状態ではない」と言われ、作業が遅れている印象を持ちました。 不安になりましたが、その後、回答書作成の作業関係者から回答は概ね「期待通り」の内容となったと聞き、11月末にはCEDAWに提出されたとの情報を得て、安堵していました。会談を前に韓国の尹炳世外相(右)と握手する岸田外相= 2015年12月28日、ソウルの韓国外務省日韓合意の疑問 年末の12月28日、慰安婦問題をめぐる日韓合意のニュースが飛び込んできました。 私はソウルで合意について発表する岸田文雄外務大臣の記者会見を聞き、次の2点の疑問を持ちました。(1)なぜ、「軍の関与の下」という言葉を入れたのか?(2)中国「国連等国際社会において(日韓が)互いに非難・批判することは控える」とはどういう意味か? 日韓両政府間の合意において、なぜわざわざ「国連」という言葉が入ったのか。「国連」とは本来、政府が自発的に発言できない場です。慰安婦問題などを扱う国連人権理事会傘下の各委員会は、各国の民間団体(NGO)から意見を聴取し、その国の政府に回答を求める仕組みを取っています。まだまだ人権が確立されていない国が多く、政府にモノが言えない住民に代わって国連が意見を言うのです。我々には理解しがたいことですが、国連の委員は「民間人は善、政府は悪」という考えで委員会を運営します。政府は聞かれたことに答えるだけの立場なのです。 実際に国連の委員会に参加して気付いたのですが、そこで発言しているのは日弁連や、日本女性差別撤廃条約NGOネットワークといった左派系の団体でした。我々が国連で発言するまでは彼ら左派系団体の独壇場だったのです。独壇場を奪われた左派系団体の焦り 昨年から始まった私たちの国連委員会での発言で、独壇場を奪われた格好の左派系団体はとても焦っています。そして、今まで波風を立てず、その場しのぎを続けていた外務省も同じように焦っているのではないでしょうか。その焦りが日韓合意の中に「国連」と明記するに至った原因ではないかというのが、私の考えです。 国際社会で定着した慰安婦問題の虚構を突き崩そうと動き出した保守民間団体を牽制することで、国連での激しい議論になるのを阻止し、自分たちが慰安婦問題にこれ以上関わらずにすむよう防御線を張ったのではないか。そのために、わざわざ「国連での非難、批判を控える」としたのではないかと思えてなりません。国連女子差別撤廃委員会に先だって開かれた委員会とNGOの非公式会合の会場に集まった日本からのNGO =2月15日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部(田北真樹子撮影) 政府や外務省が、国連で日本を貶めてきた左派系団体と議論するのを避けているのではないかという不信の念を抱くのには理由があります。 CEDAWへの政府回答書は、各省庁からの報告が取りまとめられた後、内閣府の監視専門調査会で監査が行われます。監査にあたる有識者の多くが、実はこの国連の委員会に出席していた民間団体のメンバーなのです。もちろん調査会には外務省の担当者も参加しています。左派系民間団体と政府、外務省との蜜月関係を疑いたくなる状況なのです。 また、内閣府が2月4日、東京で開催した「第4次男女共同参画基本計画及び第7・8回報告審査に関する女子差別撤廃委員会からの質問事項に対する回答等について聞く会」に出席した方の話を聞き、不信はさらに強まりました。 今年3月の国連・女性の地位向上委員会(CSW:ニューヨーク)会合のサイドイベントとして、日本政府と日本女性差別撤廃条約NGOネットワークが公式イベントを共同開催するというのです。テーマは主に女性が直面する経済格差ですが、慰安婦問題についても言及するというのです。 日本政府と左翼系NGOの蜜月状態がここまで来ているのかと正直驚きました。日韓合意が国連回答に影響 話がそれましたが、慰安婦問題での日本政府回答書が議論されるCEDAWのセッション開催が迫っていた1月末、衝撃的な情報が飛び込んできました。《11月末に提出されてと思っていた回答が実は提出されていなかった》というのです。 このことについては2月1日付の産経新聞でジャーナリストの櫻井よしこ氏がコラム「美しき勁き国へ」で詳しく報告されていますが、私の把握した経緯もほぼ同じです。 それによると、当初の回答は、朝日新聞が誤報を認めたことを説明し、吉田清治氏の「慰安婦狩り」証言は嘘であり強制連行を示す証拠は存在しないこと、慰安婦と挺身隊と混同したために20万人という数字が出てきたことをはっきりと記述。クマラスワミ報告書についても「一方的で裏打ちのない内容が記載され」ていると反論している内容でした。韓国が世界にばらまいてきた「朝鮮半島において20万人を強制連行し、性奴隷にした」という嘘を明確に否定していたのです。日本が先に日韓合意を破ったと言われたくない ところが、昨年末の日韓合意の後、それが「国連等国際社会では非難、批判し合わない」といった合意内容をそのまま記した文章に差し替えられようとしていた──とのこと。官邸筋が異を唱え、「強制連行を示す書類は見つかっていない」という短い文章をなんとか付け加えた回答書が提出されたのです。 回答が差し替えられた経緯の詳細は現在もわかっていません。国連のHPに英文で公表されている政府のCEDAWあて報告書の最後には、[Note] The replies in this document (except Question 9) are as of December 8, 2015. とあります。12月8日付でもともとの回答を提出して、日韓合意の後に9(慰安婦問題の部分)を書き直して再提出したのか。元々の回答は送ってなかったのか。そして現在国連サイトで公表されている回答はいったいいつ提出されたのか。経緯を調べるため、「日本のこころを大切にする党」の和田政宗参議院議員から質問主意書を提出していただき、政府からの回答を待っています。「私たちの努力で掴んだ日本の名誉回復のチャンスをなぜみすみす放棄しようとするのか」と落胆しましたが、私なりに取材を進めるうちに、その大きな原因が見えてきました。日韓合意が影響していたのです。画像はイメージです 日韓合意の真の目的とは何だったのでしょうか。 アメリカをはじめとする第三国に保証人になってもらい、日本と韓国両政府が、合意内容をもとに「慰安婦問題」を「最終的かつ不可逆的に解決する」ことだと私は考えています。合意の内容は多少相手に譲ったとしても、これが「最終的かつ不可逆的に解決」であることが大切なはずです。 その合意がなされたばかりというタイミングでのCEDAW日本セッションです。これまでであれば、「謝罪しています」「賠償しています」で済んでいたのでしょうが、今回はそうはいきません。委員会が「『強制連行はなかった』という意見を聴取した」として回答を求めているからです。日本政府として「強制連行があった」と国連の場で嘘をつく訳にもいきません。一方で「強制連行はなかった」、「20万人の性奴隷」は嘘だと答えれば「日本が先に日韓合意を破った」と指摘される可能性があります。不満そうな様子を見せた「捏造派」 これまで日本が国際社会において全く否定も反論もせず、「謝罪しています」で逃げ続けた結果、アメリカには多くの慰安婦碑そして像が立ち、国際世論は『嘘』の方を信じています。今回の合意に「軍の関与の下」という文言が入った結果、日本政府の思いとは裏腹に『嘘』の流布に拍車をかける結果となりました。そんな中で強硬にその嘘に反論するとどうなるか。きっと「日本の方が先に合意を破った」というジャッジメントを国際社会から受けてしまうのではないか─。 そんな懸念が外務省をはじめ日本政府を弱腰対応に駆り立てたのでしょう。現に今回の回答が公表されると真っ先に韓国のマスコミが「合意を破った」と書き立てました。「真実を発言する」ことは合意の「非難・批判」には当たらないと、外務省の官僚も与党の政治家も口をそろえて言いますが、その一方で今は強く主張するタイミングではないという見解も聞こえてきます。 ともかく日本政府は毅然とした態度で真実を主張しました。会場を埋め尽くした「捏造派」の人たちは非常に不満そうな様子で、彼らの記者会見は長時間にわたっていました。このような国内の反日左派をはじめ、韓国、中国などからの反発も予想されます。 アメリカ各地に建立されている慰安婦像(碑)に刻まれている「強制連行、20万人、性奴隷」を否定したわけですから、アメリカの議会なども反応することでしょう。 今はまだ、「捏造派」の方が大きな勢力です。長年活動してきている分だけ、国際社会での戦い方も上手です。 我々はあきらめず、真実を情報発信し続けます。英霊にかけられたいわれのない汚名を晴らすことができるまで、ぶれずにつづけます。まずは、国内外のメディアがこのことをどのように報じるのかを注視していきたいと思っています。すぎた・みお 昭和42年、兵庫県出身。平成2年、鳥取大学農学部卒業。積水ハウス木造を経て、平成4年、西宮市役所入所。平成22年退職し、平成24年、衆議院議員に初当選。衆議院内閣委員会委員、予算委員会委員。日本維新の会復興推進本部事務局長、歴史問題検証プロジェクトチーム事務局長などを務めた。

  • Thumbnail

    記事

    日本に厳しい国連 日本のリベラル系団体の溜まり場に

     3月7日、国連の女子差別撤廃委員会が日本に向けた「最終見解」を発表した。慰安婦問題の日韓合意については「被害者中心のアプローチが不十分」と批判。夫婦同姓の義務づけや女性だけ再婚禁止期間を定めた民法規定も差別的とされた。当初の見解には、「男系男子の皇位継承を定める皇室典範」に対しての言及もあった (日本政府の抗議で最終見解からは削除)。 同団体は、女性差別を禁止するために1982年に設立。女子差別撤廃条約の締結国が選出した委員23人で構成され、年3回、スイス・ジュネーブで会合を開くという。最終見解を読むと日本が差別大国であるかのような印象を受ける。 気になるのは、彼らは何をもとに審査や見解をまとめているのか、という点だ。その歪な構造に疑義を呈したのが漫画家・小林よしのり氏である。同誌は現在発売中の雑誌『SAPIO』の連載『ゴーマニズム宣言』にて解説をしているが、要旨は次の通りだ。 同委員会は各国民間機関の意見を積極的に受け入れている。ジュネーブで行う会合では民間団体のロビー活動が開かれる。わざわざ同地まで足を運ぶ民間団体は少ない。今回の最終報告には、日本のある市民団体の主張がそのまま反映されている……。 この構図、何かに似てないか。慰安婦問題にせよ、靖国参拝問題にせよ、最初の火種を起こし、それを海外に持ち込んだのは日本の市民団体や一部のメディアだった。それが事実ならともかく、慰安婦問題でいうなら一昨年の朝日誤報問題で綻びが明らかになっている。今年の国連の対日報告書では、子どもの人身売買やポルノ問題に関し、日本はJKビジネス(女子高生らによる男性の接待行為)の禁止勧告を受けている。これについては昨年10月、同勧告に携わった国連のオランダ人報告者が日本に視察に訪れ、「女子生徒の13%が援助交際をしている」と発言したことをご記憶の方も多いだろう。日本政府が正式に抗議すると、同報告者は「裏付ける公的かつ最近のデータはない」と回答。 日本視察時、誰が報告者に「13%」という怪情報をもたらしたかは定かではないが、それが国連の禁止勧告に繋がっているとしたら、由々しき事態だ(JKビジネスは当然、禁止すべきだが、それは日本自体が、正確な状況把握に基づき真摯に取り組むべき問題である)。 今年2月、国連女子差別撤廃委員会を視察するためジュネーブを訪れた前衆議院議員・杉田水脈氏が語る。 「国連はいま、日本のリベラル系団体の溜まり場のようになっています。そこで日本の保守系団体が(国連の)会合に参加できれば彼らの“ロビー活動”を阻止できる。しかし、保守系団体は国連外交にそこまで注目してこなかった。国連の認定がないと議論への全面的な参加が許されませんが、保守系団体はこの資格をあまり持っていません」 風評は立ちやすく、消えづらい。遠いスイスの地で、日本の信用が不当に貶められているとすれば、事態は深刻である。関連記事■国連の日本視察者が紹介した「女子高生の13%が援交」の真偽■韓国紙 外相が国連総会で安倍首相の足引っ張るかで沸き立つ■「従軍慰安婦=性奴隷」説を世界中に広めたのは日本人弁護士■韓国紙デスク 韓国メディアが朝日新聞を大好きな理由を解説■中韓歴史博物館 日本人自ら過ち認めた証拠に日本の新聞使う

  • Thumbnail

    記事

    なに! 今まで「強制連行は捏造だ」と説明しなかったのか!

    西村眞悟(前衆院議員) 本通信の表題の冒頭に、二日連続して「なに!」と書くことになった。その理由は、書かざるをえないからだ。  「泣き叫ぶ二十万人の若き朝鮮人女子を、我が日本政府や日本軍が強制的に連行して日本軍兵士の性奴隷にした」 このようなおぞましい事実が、あったのか、なかったのか。このことに関して、日本政府と日本国民は、大東亜戦争中から戦後七十一年を迎える本年までの八十年になんなんとする間、一貫して、そのような事実はなかったと認識してきた。  七十年以上前の時代を現実に生きた人々は、日本軍兵士のみならず朝鮮人も、慰安所で働く朝鮮人婦女子が日本軍や日本政府に強制連行されて性奴隷としてそこにいるのではないことを当然のように知っていた。 ところが、現実に戦時に生きた人々が高齢化して、その人口が減少してきた頃に、吉田清治という人物が「慰安婦狩り」をしたと強制連行を捏造した本を出版するや、朝日新聞がそれを大きく報道し、その報道に併せて韓国に強制連行されたという老女が現れ、日本を韓国政府と共に非難し始めた。 ところが、吉田清治が慰安婦狩りをしたと本に書いた韓国済州島において、そのような事実はないことが直ちに判明した。にも、関わらず吉田清治に続いて日本側に、韓国の対日非難に配慮して、不可解にも、あたかも強制連行を認めたかのような談話を発表する官房長官が現れた。 しかし、ないものはないのであるから、日本政府がいくら当時の記録を探しても「強制連行」を裏付けるものはなく、反対に強制連行をしていないことを示すものがあるのみだった。 即ち、日本政府および外務省は、吉田清治が捏造しても、朝日新聞が捏造記事を書いても、 河野官房長官談話が「あやふや」でも、韓国がアメリカやソウルの日本大使館前に、「二十万人を日本政府が強制連行して性奴隷にした」というプレートを貼った慰安婦像を建てても、強制連行は捏造であり事実ではないことを一貫して知っていた。国連女子差別撤廃委員会に出席する外務省の杉山晋輔外務審議官ら =2月 16日 、ジュネーブの国連欧州本部(田北真樹子撮影) しかしながら、日本政府及び外務省は、国際社会に「強制連行は捏造だ」と一言も説明しなかった。その結果、どうなったか。国連はもとより、欧米も世界も、日本軍は二十万人を強制連行して性奴隷にしたと認識した。 そのあげく、昨年十二月二十八日、我が国外務大臣が韓国に慌ただしく飛び、韓国外務大臣との間で、従軍慰安婦に関して訳の分からん「最終的かつ不可逆的な解決」に達し、同時に総理大臣が韓国大統領に電話をして「反省と謝罪」を表明した。河野談話や村山富市談話と同じだ。 そして、こうなってから。昨日二月十六日、我が国外務省の杉山外審(ナンバー2)が、ジュネーブの国連欧州本部で開かれた女子差別撤廃委員会の対日審査で、 始めて、慰安婦強制連行は捏造だと説明したのだ。日本政府と日本国民は、これが捏造だと知っている。しかし、欧米や世界は、二十年以上にわたって強制連行を叫ぶ韓国の対日非難は認識しているが、 今になって、始めて、「それは捏造です」という日本外務省の説明に接したのだ。   「なに!今まで、説明しなかったのか!」とあっけにとられていると言わざるをえない。 これは、今になって外務省よく言った、と好意的に受け取れない。  外務省が黙って説明しなかったこの二十年間の間に国際社会のなかで、日本国と日本国民の無念にも奪われた名誉の重さを思えば、あらゆる証拠があるのに頑なに否認してきた犯罪者が、最後になって「自白」しても、その情状を評価できないのと同じだ。  国家と民族の名誉のために、外務省を非情に鞭打たねばならない。

  • Thumbnail

    記事

    真実の拡散を恐れる反日団体 大量の嫌がらせ電話とファクスにあきれた!

    トニー・マラーノ(米在住評論家)  ハ~イ! みなさん。 世界中で展開されている理不尽な反日プロパガンダに立ち向かうため、俺たちは先週、討論会「テキサス☆ナイト in ニューヨーク」を開催した。昨年に続いて2回目で、熱心な参加者と一緒に貴重な時間を過ごすことができた。 ニューヨークで長年暮らしている「ニューヨーク正論の会」の鈴木規正氏が中心になって準備を進めてくれた。パネリストは「論破プロジェクト」の藤井実彦氏、「なでしこアクション」の山本優美子氏、親友のシュン(=テキサス親父日本事務局の藤木俊一事務局長)らだ。 国連などでの反日活動の現状を確認し、日本人や米国人の心構え、今後どう行動すべきかについて話し合った。とても盛り上がったぜ。参加者とパネリスト、スタッフの方々には心から感謝したい。ありがとう。米国国立公文書館で発見した慰安婦の資料を持つ トニー・マラーノ氏(提供画像) 討論会の開催にあたり、反日団体や活動家による卑劣な妨害工作があったので報告したい。彼らの邪悪な本性が実によく分かるぜ。 今年の会場は「アルメニア教会」だった。昨年の討論会では、反日活動家らの脅迫行為を受けて、会場側が直前になって使用をキャンセルしてきた。そこで、「どんな脅しにも屈しない場所」として、苦難の歴史にも負けなかったアルメニアの人々の教会を選んだ。 今回も嫌がらせの電話やファクスが大量に届いたそうだ。教会側は「SP2人を入り口に配置すること」「100万ドル(約1億1370万円)の保険に入ること」を条件にしたが、「言論の自由」「表現の自由」を守り通してくれた。 反日団体や活動家は、よほど俺たちに「真実を拡散される」ことが脅威のようだな。俺たちは、彼らがそこでどんな会合を開いても構わないし、彼らのような卑怯な妨害工作などしない。ただ、事実無根のウソを吹聴していたら、証拠を示して冷静に反論していく。これが民主主義の基盤である「言論の自由」だぜ。 ところが、反日活動家らは意見の違う人々に対し、「ナチスだ!」「ヒトラーだ!」「ファシストだ!」などとレッテルを貼り、自由な言論すらも妨害しようとする。彼らの方がファシストだろ? 米国にも似たような動きはあるが、化けの皮がはがれてきているぜ。 日本でも最近、「ヘイトスピーチ(憎悪表現)を規制しろ」と主張している人々がいると聞いたが、それは確実に言論封殺につながるぜ。この活動家たちの思考回路そのものだ。特定の国家や団体、活動家が背後にいるんじゃないか? 日本を中国のような「言論の自由のない国」にしないためにも、十分気をつけた方がいい。 親愛なるみなさんと、日本と米国に神のご加護がありますように。世界各国で日本を貶めて、自分たちが優位に立とうとしている国家や団体、活動家による憎悪表現こそ、問題にすべきだぜ。

  • Thumbnail

    記事

    国連委発言の2日後に「遺憾」報じた朝日新聞の開き直り

    したのは、日本政府代表の外務審議官、杉山晋輔がジュネーブで開かれた16日の国連女子差別撤廃委員会で、慰安婦問題に関し朝日報道が「国際社会に大きな影響を与えた」と発言したこと。朝日は「根拠を示さない発言」と断じた。 杉山はこの場で4回にわたり朝日に言及した。 「強制連行説は慰安婦狩りに関わったとする吉田清治(故人)による虚偽の事実の捏造(ねつぞう)で、朝日新聞社により事実であるかのように大きく報道され、日本、韓国の世論のみならず、国際社会にも大きな影響を与えた」 「朝日新聞自身も累次にわたり記事を掲載し事実関係の誤りを認め、正式に読者に謝罪した」 「朝日新聞は平成26年8月5日付の記事で20万人の数字のもとになったのは女子挺身(ていしん)隊と慰安婦を誤って混同したことにあると自ら認めている」 日本政府が朝日報道に関して国連の場で説明するのは初めてだった。朝日新聞記者は現地などで取材し17、18両日付朝刊で同委員会について報道したが、自社に関する杉山の発言については一切触れなかった。 朝日は申し入れ書で国際的な影響については、慰安婦報道を検証した第三者委員会でも見解が分かれたと説明。杉山発言の「根拠が示されなかった」と主張した。慰安婦「20万人」については「女子挺身隊と慰安婦の混同がもとになったと報じていない」とした。 慰安婦問題で朝日報道を批判してきた有識者からなる独立検証委員会は、朝日報道が米国と韓国のメディアに多大な影響を与えたことを実証している。副委員長で東京基督教大教授の西岡力は「吉田清治を世に出したのは朝日新聞だ。朝日は第三者委員会で見解が分かれたというが、それは委員会の中でも影響があると認めた人がいたということではないか」と指摘。朝日の姿勢をこう批判した。 「朝日は外務省に申し入れたことで初めて自社の責任に言及した杉山発言を報じた。ファクト(事実)を報じる新聞の役割を果たしていない。(誤報を)本当に反省しているのなら、自ら国際社会に発信すべきではないか」 朝日新聞社広報部は産経新聞の問い合わせに「記事に書いてある以上はお答えできない」と回答した。日韓合意で一変「幻の回答」に 昨年12月末、日韓両政府は慰安婦問題について「最終的かつ不可逆的に解決する」と合意。国連を含む国際社会でお互いに非難、批判を控えると申し合わせた。このことは女子差別撤廃委員会に対する日本政府の回答にも影響を与えた。慰安婦問題を広げた朝日などに力点が置かれるようになったのだ。政府高官はこう強調した。 「朝日に責任があるのは明白だと国際社会に知ってもらう必要がある。朝日に(日本政府が拠出する10億円の半分の)5億円を出してもらいたいぐらいだ」 日本政府は昨年8月、国連女子差別撤廃委員会から慰安婦問題に関する質問を受けた。それ以降、回答内容について検討作業を続け当初は11月中旬に提出する方針だった。政府関係者によるとその頃までに準備したのは「A4用紙10枚以上で、完璧な内容だった」。 回答案は慰安婦問題が政治問題化した経緯を詳述した。慰安婦募集の強制性を認めた平成5年の河野洋平官房長官談話作成時の事務方トップ、元官房副長官、石原信雄が26年2月の衆院予算委員会で軍や官憲による強制的な女性募集を裏付ける客観的資料がないと証言したことに言及。「慰安婦狩り」を証言した吉田清治や朝日新聞についても説明した。 ただ、分量が多く簡潔にする必要があると練り直した。それでも「誤った事実関係が(国連人権委員会に提出された)クマラスワミ報告書における事実に反する記述や人権諸条約の委員会による懸念表明や勧告の有力な根拠となっているのは大変残念である」との踏み込んだ表現は残った。 しかし、結果として“幻の回答”となる。昨年12月28日の日韓合意で状況が一変したからだ。 「日韓合意を破棄しない」。この不文律の下で行われた再調整の結果、回答は外相、岸田文雄が昨年12月28日に行った記者発表の内容を記しただけとなった。これに首相補佐官の衛藤晟一が異論を唱えた。 「日韓合意の内容だけでは委員会からの質問に答えていない」 衛藤は提出予定日の1月22日朝、外務省の担当者に電話し待ったをかけた。官房副長官の萩生田光一も同調。首相、安倍晋三は外務省に再調整を指示した。その結果、吉田清治や朝日新聞について、委員からの質問の有無にかかわらず外務審議官の杉山が口頭で説明する方針が固まった。オーストリア出身の女性委員が牽制 16日に行われた女子差別撤廃委員会。冒頭、「女子差別撤廃条約締結(昭和60年)以前に生じた慰安婦問題を取り上げるのは適切ではない」と杉山が述べると委員からは反発が出た。口火を切ったのはオーストリア出身の女性委員、リリアン・ホフマイスターだ。 「委員会が慰安婦問題を取り上げるのは人権侵害が続いているからだ。被害者が納得のいく結果にならなければいけない」と杉山を牽制(けんせい)した。杉山が強制連行を示す証拠はなかったなどの見解を示すと反応したのは慰安婦問題を担当する一人、中国出身の女性委員、鄒暁巧だった。 「政府代表の発言は残念で落胆させられた。受け入れられない。たとえ70年前に起こった出来事とはいえ歴史的事実を変えたり、否定することはできない」 鄒は日本政府が慰安婦問題を否定していると断じた上で「日本政府に第二次大戦中に何が起こったかを認識してほしい」と締めくくった。“歴史修正主義者”というレッテルを貼ろうとする中国の常套(じょうとう)手段だ。杉山がすぐに反論した。 「非常に残念なことにいずれの点においても日本政府として受け入れられるものではないだけではなく、事実に反することを発言されたと残念ながら申し上げざるを得ない」 杉山が発言している間、鄒はあきれたように首を振り、机の上のパソコンを閉じた。 休憩中、鄒は日本政府への怒りを隠さなかった。 「安倍政権が発足してからこういうことは想定していた。だからこの3年間、国連の場では慰安婦問題について強い言葉が使われるようになっている」 対日審査を踏まえた委員会の最終見解は3月7日に発表される。鄒らの発言をみると、日本政府を強く批判する内容になる可能性が高い。それでも今回、日本政府が初めての試みとして慰安婦問題に関する事実関係を包括的に説明した意義は大きい。杉山は終了後、記者団にこう語った。 「誤解だと思われる点はさらに発信し、分からせる努力が一層必要だ」(敬称略)

  • Thumbnail

    テーマ

    慰安婦プロパガンダを正せ!

    昨年12月末、慰安婦問題での日韓合意は正しかったのだろうか。海外では、20万人の女性を性奴隷として奉仕させたことを日本政府が認めたと報道されている。外交上の妥協が必要だったのかもしれないが、誤解(誤報)は正していくしかない。長期戦を覚悟したい。

  • Thumbnail

    記事

    クリスマスと慰安婦の話

    〝文明の衝突〟が起こる。日本政府に裏切られた気分日本政府に裏切られた気分 その夜遅くドイツに戻ると、慰安婦問題での日韓合意のニュースが飛び込んできた。これには、心臓が止まるほどびっくりした。 慌てて日本の報道を見ると、主要紙のオンラインニュースでは、「安倍首相の外交勝利」「日韓の仲直りへの期待」など、肯定的な見方がほとんどだ。日韓が対立を続けると、対中共同作戦を立てられず、日本も困るがアメリカも困る。そのためアメリカからの強いプレッシャーがあり、今回の合意が成立したという。いずれにしても、日本が妥協し、韓国大統領の顔を立てれば、日韓関係が改善され、日本の国益にも適うはずという理屈だ。日本政府は戦略的に、「名を捨てて実を取る」作戦に出たのであろうか。 たしかに日本国内では、一昨年の朝日新聞の謝罪により、これまでの慰安婦についての報道の多くが誤りであったということもわかり、国民のあいだでは、不毛な争いにはそろそろ終止符を打ちたいという機運が高まっていた。安倍政権が、当時の兵隊相手の売春婦の存在を否定しているわけではないことも、皆、わかっている。つまり、今回の合意をもって「解決」としたいという土壌が、すでに出来上がっていたのかもしれない。ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像のそばで、日韓合意に抗議する3人の男性=2015年12月29日、韓国・ソウル(藤本欣也撮影) しかし、海外にいる日本人の立場からいわせてもらうと、まったく違った話になる。「慰安婦」はドイツではTrostfrau(慰め女)という変な言葉に訳されているが、ここで流れたニュースの内容は、極悪非道の日本軍に「性奴隷」として奉仕させられた20万人の少女や女性たちの多くは、虐待と拷問で生きて帰ってこられなかった。なのに日本軍は都合の悪い証拠を隠滅し、以後、歴代の政権は、慰安婦の存在自体を否定しつづけた。ところが、このたび安倍政権がようやくそれを、軍の関与をも含めて初めて認めた。そして謝罪し、10億円の慰謝料を払うことになったというものだ。 もちろん、これらの話は多くがおかしい。20万人というのはものすごい水増しだし、性奴隷は嘘だし、それを拷問して殺す理由も不明だ。また、軍指導の強制連行があったかどうかはいまだに争点。一方、売春婦は公募制で、ちゃんとお給料が払われていたという主張はかなり信憑性が高い。しかも日本政府は謝罪をしており、国家間では補償も済んでいる。 日本人なら、たとえどんな意見の人でも、そういう知識はいちおうもっているし、何が争点かも知っている。しかし、外国では誤った情報だけが独り歩きしてきたため、たいていのドイツ人は、今度こそ安倍首相も逃げきれなくなって謝ったのだと解釈した。首相が韓国の言い分の一切合切を認めたのだから、そう思っても当然だ。このうえ将来、少女像の撤去で揉(も)めたりすると、かえって日本は卑怯だとか傲慢だとかいわれかねない。 じつは慰安婦問題については、いままでも、誤解を正すために海外で地道な努力を続けてきた日本人が大勢いた。彼らにとって今回の合意は、弾が後ろから飛んできたようなものだ。日本政府に裏切られた気分だろう。とくにアメリカ、カナダ、オーストラリアなど、少女像の立っているような町の日本人は気の毒でたまらない。学校で日本の子供が虐められるなどという話を聞くと、同じ海外に住む人間としてとても心が痛む。 さらにいうなら、名を捨てて実を取るということは、かつて日本のために戦った兵士全員に、彼らが犯さなかったかもしれない罪をなすりつけることにならないか。とっくの昔に死んでしまった人の名誉より現在の国益? しかし、それは取りも直さず、私たちの父親や祖父の名誉なのだ。私たちが犠牲にしたものは大きいと思う。日韓関係の改善にはあと200年ぐらい日韓関係の改善にはあと200年ぐらい そもそも、占領地の女性を強制連行して売春を強要した事例では、どちらかというと、ドイツ軍のほうが罪が深い。軍が強制売春に大々的に関与していたことを証明する命令書も残っている。生き残りの証言をまとめた研究もある。 ところが、ドイツではホロコーストの罪があまりにも大きかったため、慰安婦など問題にさえならない。それどころか、ナチを弾劾し、ひたすら謝罪しつづけるうち、ドイツ人は「ナチとは違う自分たち」を救っただけでなく、いつの間にか、モラルの高い立派な国民ということになってしまった。すごい裏技だ。 安倍総理は、これを見習おうとしたのかもしれないが、日本とドイツには大きな違いが一つある。日本にはホロコーストなどなかった。 しかも、今回の合意が本当に国益になるのかどうかさえ怪しい。アメリカの狙いは対中政策よりも、日本に韓国の経済を助けさせるということではないか。韓国経済の低迷で困るのは、多くの資本を投下しているアメリカだ。しかし、たとえまた日本が韓国経済を救うことになったとしても、日韓関係の真の改善には、あと200年ぐらいかかるのではないだろうか。ヨーロッパが「危険な国」になるなんて そんなことを考えながら迎えた新年だったが、大晦日にケルンで、1000人以上の難民による集団性的犯罪と窃盗が起こったことが、4日もたってからわかった。しかも、この事件を当局とメディアが隠していたとして大きな問題になっている。 被害者はすべて女性で、ケルンだけで被害届は760件以上。その後の調べでは、他の都市でも同じようなことが起こっていたという。以来、ドイツ人の難民に対する感情が大きくマイナスに傾いている。 去年ドイツでは難民申請者が110万人を超えた。メルケル首相の「難民ようこそ」政策を支持する国民は、いま、急激に減り、EUでも、ドイツが主導しようとする難民政策に同調してくれる国はほとんどなくなってしまった。さらにテロの恐怖もあるので、EUは不穏の一言だ。いつも年末年始はヨーロッパで過ごす友人夫婦が、今年は来なかった。ヨーロッパが「危険な国」になるなんて、いままで誰が想像しただろう。 メルケル首相の足元は大揺れ。ドイツの、そしてEUの前途は厳しい。かわぐち・まーん・えみ 大阪府生まれ。日本大学芸術学部音楽学科ピアノ科卒業、シュトゥットガルト国立音楽大学大学院ピアノ科修了。拓殖大学日本文化研究所客員教授。著書に、『住んでみたドイツ8勝2敗で日本の勝ち』(講談社+α新書)、『ヨーロッパから民主主義が消える』(PHP新書)など多数がある。関連記事■ 難民・テロ・甦る国境……ヨーロッパから民主主義が消える?■ なぜドイツ人は、一瞬でおつりの計算ができないのか■ 日本の初等教育は世界一

  • Thumbnail

    記事

    国連委員会は左派の牙城 「慰安婦=性奴隷」を広めた日本人たち

    の時、私はひと月半後の2016年2月にジュネーブの国連欧州本部で行われる女子差別撤廃委員会で配布する慰安婦問題英文冊子の作成に追われていました。 これまで、国連の人権関連委員会は、全くといっていいほど注目されてきませんでした。ところが、日韓合意に「国連等国際社会において、本問題について互いに非難・批判することは控える」とあり、合意後初めての国連舞台が2月の委員会となったのです。しかも、日本政府は委員会からの質問「『慰安婦』の強制的連行を示す証拠はなかったという最近の公式声明について日本政府のコメントを求める」に回答しなくてはならないという状況でした。俄然、委員会での日本政府の答弁が注目を集めることになったのです。 国連で「慰安婦=性奴隷」を広めたのは日本人です。韓国ではありません。これに対して日本政府が反論し事実関係を述べるのは、日韓合意にある「互いに非難・批判する」には全く当てはまりません。 国連においてはNGOの意見が非常に尊重されます。日弁連、反差別国際運動(部落解放同盟系)、新日本婦人の会(共産党系)、ヒューマンライツナウ、などのいわゆる左派は、これまで委員会の度に国連に通い、意見レポートを提出し、発言し、ロビー活動をし、時には委員を日本に招くなど、自分たちの影響力を強くする様々な活動をしてきました。国連女子差別撤廃委員会に先だって開かれた委員会とNGOの非公式会合の会場に集まった日本からのNGO=2月15日、ジュネーブの国連欧州本部(田北真樹子撮影) 日本の状況などよく知らない委員達は、自ら調査研究することも無く、日本のNGOからの情報を基に最終見解の勧告という形で日本政府に様々な要求をつきつけます。NGOの意見が国連というフィルターを通して権威づけされて日本に戻ってくるというのが実態。国連の委員会は左派NGOの牙城なのです。 この状況を覆すには私たちも国連に意見を届けなければならなりません。そこで、なでしこアクションは「慰安婦の真実国民運動」と協力し、2015年7月の準備委員会に参加しました。「強制連行はない、性奴隷ではない」旨の意見レポートを出した上で、会議で発言もしました。慰安婦の対日審査で韓国男性が発言の不思議 すると委員からこういう質問が出ました。「私たちが国際メディアで知っていたのとは異なり、慰安婦は日本軍の強制的売春ではないという意見がありました。それはどのような証拠、調査に基づいているのでしょうか?」 これが、前述の委員会から日本政府ヘの質問「『強制的連行を示す証拠はなかった』にコメントを求める」に繋がったのです。 そして2016年2月に行われる委員会の日本審査会に向けて、友好団体と協力して「慰安婦=性奴隷」を否定する8つのNGO意見レポートを事前に提出しました。性奴隷否定側のレポートがこれだけ多く出されたのは初めてのことです。また、慰安婦問題についての事実関係の資料を纏めた英文冊子も準備しました。 国連欧州本部では2月15日に委員会のNGO発言会議、16日に日本審査会が行われました。発言会議では、私たちを含めた3つのNGOが性奴隷を否定する側として発言しました。審査会では、日本政府代表団の杉山外務審議官が、強制連行説は「捏造」であること、20万人は朝日新聞が挺身隊と混同したことなど、国連の場で初めて事実関係をもって口頭で反論しました。私たちが提出した意見レポートや会議での発言、委員に直接手渡した資料、冊子等が日本政府の発言をサポートする形になったはずです。 一方、この会議にも日本から左派NGOが100名近く参加していました。その多くは女性で、アイヌ民族衣装やチマチョゴリ姿も見られ、熱心に委員に話しかけ、記念撮影し、活発にロビー活動をしていました。そこでは、私たち性奴隷否定派は少数派なのです。 委員会終了後の3月7日、「最終見解」が発表されました。杉山外務審議官の発言や私たちNGOからの情報を全く無視し、菅官房長官が翌日の記者会見で「極めて遺憾であり、受け入れられないもの」と表現したように全く酷い内容でした。 最終見解は、慰安婦問題の他にも様々な女性問題を取り上げていますが、日本の国柄・伝統・文化、社会・法制度、教育を変えようとするもので、マイノリティーとしてアイヌ・部落・在日を特別扱いする内容です。すべて日本の左派NGOが委員会に持ち込んだ人権侵害と称する告げ口のようなもの。委員はその告げ口をもっともらしく権威付けて日本政府に勧告するのが仕事なのです。 国連の人権委員会というところが如何に信頼、信用できないところか。偽善的で、傲慢で、偏向しているその実態が曝されることとなりました。少し前まで、誰も知らなかった「女子差別撤廃委員会」が今回これだけ注目されたのは国連信仰の日本人に目を覚ましてもらう、良い機会だと思っています。 2月15日のNGO発言会議で「慰安婦=性奴隷」側の発言をした韓国人の男性がいました。そもそも女子差別撤廃の日本審査会議で韓国の男性が慰安婦問題について発言すること自体、変なことです。彼は「民主社会のための弁護士団(MINBYUN)」という韓国の親北朝鮮系のNGOに所属する弁護士でした。この弁護士と行動を共にしていたのが、日本の慰安婦支援団体「女たちの戦争と平和資料館(WAM)」です。WAMは「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」とも関係があり、3月末に日韓合意反対運動でワシントンを訪れる挺対協と現地で合流するとの情報もあります。 日本の慰安婦支援団体は国内においてはもう支持されないでしょう。しかし、韓国の弁護士団体や挺対協と連携し、中華系団体の支援も受けて、これからは海外で「慰安婦=性奴隷」プロパガンダ拡散の運動に力を注いでいくと思われます。 日本政府が慰安婦問題でしっかりと反論を始めた今、これからが日本の名誉回復の時。国連対策を含めて私たち民間もますます対外発信を強化すべきと確信します。

  • Thumbnail

    記事

    「ハンタジー」から覚めない韓国人 反日プロパガンダは終わらない

    けているのだ。彼らの目的は、長い歴史で積もり積もった民族的な鬱憤と屈辱を日本にぶつけて晴らすことだ。慰安婦問題は朝日新聞と左翼活動家が与えてくれた絶好の口実に過ぎない。別の韓国人活動家はメディアの取材に答えて言った。「慰安婦像設置は我々にとってのヒーリングプロセスなのです」。 今年に入って、「鬼郷」という映画の試写会がアメリカで行われ、韓国では上映されて人気を博しているという。20万人の韓国人少女たちが、日本軍に拉致され、凌辱されたあげく、虐殺されたという荒唐無稽な映画だ。朝鮮日報(2月5日)によるとチョ・ジェンレ監督は「少女たちは異郷で寂しく死んでしまった。映画ででも故郷に連れて行ってあげたいという思いが強かった」「ユダヤ人虐殺のような犯罪の話として見て欲しい」と語ったという。 日本人なら、事実の検証もせずに、自国の少女が外国の軍隊に20万人も拉致され、凌辱されたあげくに虐殺された映画をつくって、ホロコーストに見立てて感慨にふけるという行為は思いも付かない。この監督と反日団体リーダー、そしてブリスベンのデモ参加者のメンタリティには明確な共通点がある。・事実の検証には興味がない・自国の悲劇の歴史は大げさに言いふらす方がよい朴大統領を応援するために10億円払う? 反日団体リーダーが自ら語るように、韓国の歴史は常に外国勢力の支配下に置かれた惨めなものだった。今、「被害者の立場」であるからこそ、彼らは初めて世界の表舞台に立てる。そして、「正義を手にした被害者」として日本に対して圧倒的に優位な立場に立てる。被害者であればこそ、歴史上一度も手にしたことがないパワーが手に入るのだ。だから、被害者の数は多ければ多いほどいいし、極限までに悲惨であることが望ましい。そして、それをナチによるユダヤ人ホロコーストのように、誰も疑義を挟めない歴史的事実にまで昇華させてしまえば、永遠に強い立場を保持できる。それによってやっと民族のプライドが取り戻せると考えるのだ。 これはもう、民族的ファンタジーの世界である。よく、「韓国文化は恨(はん)の文化」というが、まさに、「ハン(恨)タジー」の世界と呼べるだろう。今やこの「ハンタジー」が民族の存立基盤なのだから、異議を唱えるものは何人といえども許されない。その一例が、「帝国の慰安婦」の中で、「自発的な売春婦」「日本軍との同志的関係」と記述した朴裕河(パク・ユハ)世宗大教授の在宅起訴だ。同胞である韓国人学者の実証主義的研究をも弾圧するのである。事実の検証に基づいた議論などするわけがない。事実ではないと知りながらも、「ハンタジー」を死守し、言論弾圧も辞さない。なんと悲しい屈折したメンタリティであろうか。惨めな歴史は続いているのだ。 さて、事実から目を背け、まともな証拠を持たない彼らにとって、今最高の証拠がある。それは元慰安婦達の曖昧な証言ではない。それは日本政府の謝罪だ。日本政府が謝罪したのだから、自分たちが立証する責任はない、というロジックを振りかざせる。反日議員のマイク・ホンダも同じことを言った。諸外国の政府もメディアもそう解釈した。だから、日韓合意直後に海外メディアは「日本政府が性奴隷を認めて謝罪した」と怒涛のように書きなぐったのだ。そして、日本が謝罪すればするほど、韓国人は自信を持つ。自らの反日活動にお墨付がもらえ、絶対的正義の側に立てるからだ。さらに彼らは謝罪を求めながらも、安易に謝る人間を侮蔑する。それゆえ、「自らの過ちを認めた日本人よ、永遠に土下座して謝罪せよ」とますます反日が過激になる。これが、日本が謝れば謝るほど事態が悪化する理由だ。いい加減に学んでほしい。その上、国庫から金まで出せば、どういう解釈をされるかは自明の理というものだ。朴大統領を応援するために10億円払う?「3・1独立運動」の記念式典で演説する韓国の朴槿恵大統領=1日、ソウル(共同) ところが、日本はさっさと韓国に10億円を払ってしまった方がよいと主張する有識者、特に外務省出身者の方々がおられる。その論旨をまとめればこうなる。 「慰安婦問題をここまでこじらせたのは(北朝鮮との繋がりがある)挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)である。挺対協さえ押さえられれば、韓国国内の反日はある程度抑えることができる。そして今、朴大統領が先頭に立って挺対協と世論を説得しようとしている。これはかつてなかったことである。ここで日本が大使館前に立つ慰安婦像の撤去にこだわって合意が潰れれば、挺対協の思う壺だ。ここは静かに朴大統領を応援すべく、速やかに10億円を払ってしまうのが賢明な判断だ」 僭越ながら異論を申し述べる。 風雲急を告げる朝鮮半島情勢で、米国から「日本との喧嘩をやめて安全保障に協力せよ」と強力な圧力をかけられた韓国政府に逆らうチョイスはないから、朴大統領も米国の意向に沿うポーズを取らざるを得ない。しかし、韓国経済が悪化の一途を辿る中、国内で無為無策と批判されている朴大統領を応援したところで、朴大統領が反日団体や世論を説得しきれる保証は全くない。挺対協さえ抑えればなんとかなるという見立ては甘すぎる。挺対協は明確な政治的意図を持った団体だが、「ハンタジー」は韓国国民に幅広く共有されているものだからだ。高さ6メートルの巨人慰安婦の登場には心底呆れたが、案の定、韓国の学者やメディアから「慰安婦問題がなくなったら困る」と言わんばかりの不満が次々と表明されている。杉山発言から始まった長い道のり さらに、韓国外交部は1月20日、一般国民向けに「慰安婦日韓合意Q&A」をウェブサイトで公表している。そこには次のことが明記されている。・不可逆性とは政府レベルに限ったことで、民間の活動は制約されない・研究および教育などを通じ未来世代に慰安婦問題の真実を知らせ、再発を防止しようとする努力は最終的、不可逆的とは無関係であり、韓国政府は今後このような努力を継続し、記念館設立も推進していく・不可逆的という表現は日本が今後、合意を覆したり逆行する言動をしてはならないという意味を内包している。すなわち、日本の反論は許さない これは要するに、政府として表立って抗議するのは控えても、日本の反論は許さない一方で反日教育は継続し、民間の反日活動には関与しない、と言っているのである。世界中で展開される反日活動の背後に韓国政府がいることは明らかだ。ストラスフィールドで慰安婦像建設を阻止された後、反日団体のスポークスパーソンはメディアの取材に対し「残念な結果だが、次回は韓国政府のさらなる支援を取り付けていく」と答えている。この悪しき構図は今後も変わらないということだ。韓国政府はすでに合意を骨抜きにする布石を打っている。 そして3月1日、釜山の日本領事館前に新しい慰安婦像が建てられ、除幕式が行われた。外務省OBは「(ソウル大使館前の慰安婦像の)撤去は合意が履行され、慰安婦問題が解決したと韓国国民に納得させてから説得してもらう以外ないであろう」と主張していたが、釜山の日本大使館前にこのタイミングで新たな慰安婦像が設置されたことをどう説明するのか?韓国政府は「民間がやることに政府は干渉できない」と繰り返すばかりだが、10億円払えばこの国際法違反の建造物を何とかしてくれるのだろうか?それとも、これも「いたしかたない」のだろうか? 総合的に考えて、たとえ10億円払ったところで、「一時的に韓国政府に(表面的な)自己抑制の理由を与え、米国の歓心を買う」ことぐらいの意味しか持たないだろう。韓国政府は「慰安婦白書」の外国語への翻訳を止めることぐらいはするかもしれないが、大使館前の慰安婦像は残るどころか新設され、民間レベルの反日活動はより過激になるのも野放しのままで、未来の反日活動に繋がる反日教育は継続され、記念館などを利用した反日プロパガンダは続く。そうであれば、合意が反故にされるのは時間の問題だ。その一方で、国際社会においては、「日本軍は組織的にアジアの少女を拉致、強姦、虐殺した犯罪者集団」という認識が決定的に定着してしまった。このことが反日団体をさらに動機付け、中国共産党が戦略的に付け込む隙を与えている。杉山発言から始まった長い道のり 去る2月16日、国連女子差別撤廃委員会における杉山外務審議官の反論は、一応評価できるものではあった。しかし、一般に報じられていないが、その後のフォローアップ質問で、「もし、慰安婦の問題が無いのであれば、なぜ韓国との間に合意を形成する必要があったのか?」とゾウ委員に問われた時の杉山審議官の回答は、満足のいくものではなかった。日本政府は21世紀に入って15年も経つ今になっても、「謝罪して金を払う」という行為が国際社会でどういう意味を持つか理解できていない。だから相手を納得させる説明ができるわけがない。国際社会ではただの自己矛盾と捉えられる。杉山発言は海外メディアには完全に無視された。 もっとも、外務省は当初、「日韓政府間で不可逆的に解決するという合意がなされました」という簡単な答弁だけ用意していたという。官邸のリーダーシップが無かったら、完全なゲームオーバーになるところだった。外務省は「まともに反論したら、日本側から合意を破棄したと解釈されることを恐れた」そうだが、そもそも本当のことを言ったら破たんするような合意をすべきではない。日本政府はゾウ委員の質問にまっすぐ答えられなくてはならない。それは、日本政府は何について謝罪し、何について謝罪していないか、その上でなぜ合意が必要だったかをより明確に論理的に説明することだ。まずは外務省のホームページで始める。そしてその英語は外務省任せにするのではなく、官邸が責任を持って吟味すべきだ。それができないようでは日本は国家の体をなしていない。慰安婦問題が解決するとき慰安婦問題が解決するとき 自民党の稲田朋美政調会長が2月18日、ラジオ番組で、「ソウル大使館前の慰安婦像が撤去されないかぎり、10億円を払うべきではない」という考えを明言した。多くの日本国民がそう感じているだろう。日本政府は「大使館前の慰安婦像は違法建築物であり、明確なウイーン条約違反なのだから、合意に含まれているかどうかに拘わらず、撤去されるのが当然だ」というメッセージを全世界に向けて発するべきだ。その上で、こちらからは合意を破棄するそぶりは一切みせずに様子を見る。「ハンタジー」の圧力に負けて韓国側から破棄することになれば、国際社会の批判は韓国に向かい、韓国が恥をかく。店晒しのまま有名無実化しても構わない。すでに韓国は安全保障上、日米に協力せざるを得ないのだ。韓国・釜山での設置を予定する少女像の模型=2014年12月(釜山平和の少女像誘致推進委員会提供・共同) もう一度言う。彼らは真実の探求になど興味はなく、和解など求めていない。むしろ、慰安婦問題が無くなってしまったら困ると思っている。釜山の日本大使館前に新設された慰安婦像がそれを証明している。したがって、慰安婦問題が解決するとき、それは、韓国が「この問題で日本を叩いても、もう通用しない、逆にブーメランで自分たちがダメージを被る」と悟るときだ。その時になって韓国はやっと「ハンタジー」の夢から覚め始める。そして、朴裕河教授ら、まともな学者の学術的な研究が真っ当な評価を受けるようになったとき、はじめて慰安婦問題が解決する兆しが見えるだろう。 ゆめゆめ謝罪や金で解決できると思ってはいけない。その時が来るまで、日本政府は事実ベースの反論を毅然として続けなくてはならない。杉山発言は20年遅れのはじめの一歩に過ぎない。これは女性の人権という美名に隠れた悪意との情報戦争だ。10億円払っても何も解決しない。この問題を解決するのは我々日本人の確固たる意志に基づく官民一体のブレない努力だけだ。道は果てしなく遠いが、進まなくてはならない。2016年をその第一歩の年にすべきだ。追記 この記事が書かれた後の3月7日、国連女子差別撤廃委員会は、日本に対して慰安婦問題を含む最終見解を発表した。「強制性」「性奴隷」などの表現こそ使われなかったが、慰安婦問題を「第二次大戦中に締約国(日本)の軍隊により遂行された深刻な人権侵害であり被害者に影響を与え続けている」と表現し、昨年末の日韓合意を「被害者を中心に据えたアプローチを採用していない」と批判した上で、元慰安婦への金銭賠償や公式謝罪を含む「完全かつ効果的な賠償」を行うよう勧告した。 杉山審議官の説明が完全に無視された内容で、日韓合意すら全く評価されない現実を再認識させた。また、過去長期にわたって反論もせず、ひたすら「すでに謝罪した」と逃げ回った不作為が状況を回復不可能なほどに悪化させたことも証明された。これからは方針を180度転換して歩みださなくてはならない。杉山発言ははじめの一歩だ。

  • Thumbnail

    記事

    『帝国の慰安婦』問題に見る韓国の異常な言論空間

    「数百万人の軍人の性欲を満足させられる数の『軍専用慰安婦』を発想したこと自体に、軍の問題はあった。慰安婦問題での日本軍の責任は、強制連行があったか否か以前に、そのような〈黙認〉にある」(『帝国の慰安婦』32頁) 彼女は決して日本軍、そして大日本帝国が無謬であったと主張しているのではない。 だが、韓国側が主張も極端だとして、韓国人が触れたくない事実も指摘している。 例えば、次の指摘だ。 「朝鮮の貧しい女性たちを戦場へ連れていったのは、主に朝鮮人や日本人の業者だった」(前掲書、28頁)「挺身隊や慰安婦の動員に朝鮮人が深く介入したことは長い間看過されてきた」(前掲書、49頁) 要するに、『帝国の慰安婦』は、日韓の極端な「慰安婦像」を問い直し、本来、「慰安婦」とはいかなる存在であり、そうした慰安婦を生み出した構造を問うという内容の本なのだが、こうした研究が韓国では禁忌とされたようだ。 朴教授を元慰安婦の女性たちが名誉棄損で訴え、ソウル東部地裁は1月13日9000万ウォンの支払いを命じる判決を言い渡した。そして2月には、給与の差し押さえが認められたという。 慰安婦とはいかなる存在であったのかを虚心坦懐に研究しようという試みそのものが名誉棄損とされてしまうという野蛮。 慰安婦問題の真の解決を妨げているのは、日韓のいずれの国家なのか。それは火を見るより明らかではないだろうか。 韓国の言論空間が成熟しない限り、この問題が解決することはない。(「岩田温の備忘録」より2015年2月23日分を転載)

  • Thumbnail

    記事

    日本との競合とナショナリズムの暴走で観光客を失った韓国

    がピークアウトしたこともあるのでしょうが、あれだけまるで国中がカルトにはまったようにメディアが煽り、慰安婦問題で反日キャンペーンを繰り返したのですから、韓国とは関わりたくないという心情になった人が増えたのも当然です。自業自得というか排外主義に走ってしまったツケといわざるをえません。 感情に任せ、怒りをぶつける。怒りの感情を煽って、高揚感にひたるうちに、韓国社会全体が、まるで反日カルト、慰安婦カルトに陥ってしまったように見えます。その代償として日韓の国民感情の間に自ら溝を深めてしまったのです。以前指摘しましたが、韓国は朝鮮戦争やベトナム戦争当時の慰安婦問題や集団レイプ問題などの時限爆弾を抱えているので、慰安婦問題を言えば言うほどリスクを背負います。 慰安婦問題では、日韓政府が合意したものの、いったん洗脳を受けたひとびとが冷静にものごとを判断できるようになるには時間を要するのではないでしょうか。学術書「帝国の慰安婦」の朴裕河(パク・ユハ)世宗大教授が在宅起訴され、給料が差し押さえられるというのが現実です。【「帝国の慰安婦」問題】著者の朴教授、給料が差し押さえられる 「全く予想していなかった」 - 産経ニュース 韓国は時代の節目にさしかかったのだと思います。経済も、日本が数十年前に迎えた高度成長期の終焉にようやくさしかかったばかりです。これから成熟した国への道を歩むのでしょうが、社会や文化の成熟は、追いつけ追い越せのハングリー精神で実現できるものではありません。 日本からの訪韓観光客を取り戻そうと、韓国政府が高い目標をかかげてキャンペーンを行うことを通して、これまで韓国が行ってきたことが、いかに自らの国家を辱めてきたか、また負の遺産として残ったかという現実に気づけば、また韓国にも違った対日外交の道が見えてくるのではないでしょうか。(「大西宏のマーケティング・エッセンス」より2016年2月17日分を転載)

  • Thumbnail

    記事

    国連で慰安婦の事実に踏み込む反論 外務省の腰が重いのはなぜか

    できる外務審議官の説明 2月16日、ジュネーブの国連女子差別撤廃条約委員会で、杉山晋輔外務審議官が、慰安婦問題に関する明確な反論を行った。 〈日本政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を確認できるものはなかった〉 〈慰安婦が強制連行されたという見方が広く流布された原因は、吉田清治氏が、日本軍の命令で、韓国の済州島で大勢の女性狩りをしたという虚偽の事実を捏造(ねつぞう)して発表したためだ。(これが)朝日新聞社により事実であるかのように大きく報道され、日本と韓国の世論のみならず国際社会にも大きな影響を与えた〉 〈「20万人」という数字も、具体的裏付けがない。朝日新聞は通常の戦時労働に動員された女子挺身隊と慰安婦を誤って混同したことにあると自ら認めている〉 〈「性奴隷」といった表現は事実に反する〉 1992年以来、初めて外務省が事実関係に踏み込んだ反論をしたという点で画期的なものだった。その点は肯定的に評価したい。ただし、国連の場で吉田証言を引用したクマラスワミ報告への反論をしなかったことは惜しまれる。杉山氏は「誤解だと思われる点はさらに発信し、分からせる努力が一層必要だ」と語ったという。しかし、私は強い疑問を抱いている。 歴史問題については当時の枠組みにおける事実関係で争わず、現在の価値観から遺憾の意を述べることだけを行うことが得策だという、20年、30年続いてきた外務省の基本方針には全く変化がないからだ。今回の杉山反論も肝心の外務省のウェブページに掲載されていない。誹謗中傷の放置が得策? 外務省が掲載したのは、事実関係に踏み込んだ反論は一切入っていない冒頭のステートメントだけだ。また、首相官邸の強い指導で〈「強制連行」は確認できなかった〉という記述を盛り込んだ書面回答も掲載されていない。繰り返すが外務省のウェブページのどこを探しても、事実関係に踏み込んだ反論は全く出てこない。 安倍晋三首相は1月18日の参議院予算委員会で〈正しくない誹謗(ひぼう)中傷があることは事実だ。性奴隷、20万人といった事実はない。政府として事実でないとしっかり示していく〉〈(日韓合意で認めた軍の関与は)衛生管理も含めた管理と設置である〉〈日韓請求権協定で解決済みとの立場は変わらない〉〈戦争犯罪の類(たぐ)いのものを認めたわけではない〉と正論を主張した。 首相が国会で「誹謗中傷に対して政府として事実でないと示す」と答弁しているのに、外務省は国際広報で全く取り上げていない。 朝日新聞が吉田清治記事などを取り消した後である2014年10月に、外務省は慰安婦問題に関する新しい説明文書(日英)を作成した。驚いたことにそこでは、河野談話で謝罪し、アジア女性基金で償いを行ったとしか書いていない。その文書が今現在も、外務省のウェブページの慰安婦コーナーの先頭に置かれている。 外務省高官らは国際社会の誹謗中傷を放置することが外交上得策だと今も内心、考えているのではないかと私は疑っている。外務省OBらは以下のごとく、慰安婦問題や南京事件で事実に基づく反論を政府が行うことを否定して、外務省のこれまでの姿勢を擁護している。先にゴールポストを動かした日本 ある外交評論家は、過去の価値基準に基づき過去の事実を評価することは学者に任せるべきであり、外交においては過去の事実を現在の価値基準に基づいて評価しなければならない、という趣旨の発言をしている。 別の評論家は、事実関係ではなく過去に対する日本人の主観が焦点になっている、と発言し、元大使は、国際社会に過去を反省していないという不信感を植え付けるから、慰安婦の狭義の強制性はなかったという主張はすべきでない、と言っている。 彼らは慰安婦問題で韓国政府がゴールポストを動かしてきたと主張する。しかし、外務省が事実関係で争わずに謝罪だけをしつづけてきたことで、先に日本がゴールポストを動かしたのだ。 1992年、宮沢喜一首相が慰安婦問題で8回謝罪した直後に、私は外務省幹部に「権力による強制連行を認めて謝ったのか、貧困の結果、そのようなことをせざるを得なかった女性に人道的に謝ったのか」と質問したが、答えは「これから調べる」だった。国際社会では、謝罪すれば非を認めたことになるし、反論しなければ相手の主張を認めたことになる。 国家基本問題研究所(櫻井よしこ理事長)は1月に(1)「事実関係に踏み込んだ体系的歴史認識の国際広報」を担当する専門部署を外務省とは独立した形で設置(2)「わが国の名誉を守るための特別法」制定(3)国際広報における官民協力体制構築-を提言している。関係者の真剣な検討を望む。外務省の「歴史関連」分野にある慰安婦に関する外交政策一覧(同省ホームページより)

  • Thumbnail

    記事

    日韓合意 「日本が性奴隷を認めた」との認識が海外拡散

     日韓合意後の声明文で日本政府は、慰安婦について「日本軍の関与」の下、「女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」問題と認めた(2015年12月28日)。これにより、海外メディアには、「日本が軍による性奴隷の強要を認めた」との認識が広がっている。 米ワシントン・ポスト(同日付)は、〈日本軍は韓国を含む占領国出身の20万人もの女性や少女に性奴隷となるよう強要した〉と報じた。同じく日韓合意について詳細に報じた英ガーディアン、英BBC、米ウォール・ストリート・ジャーナルなども同様の認識を示した(いずれも電子版)。 しかし、改めて指摘するが、慰安婦は戦時下の「公娼」であって「性奴隷」ではない。また、朝鮮半島や台湾では軍など公権力による強制連行は確認されていない。 当時の朝鮮半島では貧困などを理由に親が娘を身売りする事態が相次ぎ、中には悪質な民間業者に騙され、半ば強制的に慰安婦となった女性も残念ながら存在したが、大多数は自らの意志で働いていた。しかし、そうした事実に触れている記事はほとんどない。「毎日40人の日本兵を相手にさせられた」──元慰安婦の証言をそのまま紹介「誤解」と「偏見」の最たるものは、英国の大衆紙サン(2015年12月30日付)が〈1日40人の兵士との性交を強いられた─日本がついにおぞましい“慰安婦”制度を謝罪〉との見出しで報じた記事だ。 同紙は13歳の時、朝鮮北部の自宅から警察官に拉致されたというチョン・オクスン氏の以下の証言を引用する。〈私たちは、性奴隷として、毎日40人もの数を相手にしなければならず、5000名を超える日本兵とのセックスを強要されました〉〈抵抗すると殴られてぼろ切れを口に突っ込まれました〉〈服従するまで、局所にマッチ棒を突っ込まれたこともありました〉 これらの証言は、1996年2月に国連人権委員会に提出された、いわゆる「クマラスワミ報告」からの引用だ。 この報告は、ジョージ・ヒックス氏の著書『従軍慰安婦』や吉田清治氏の証言など、虚偽であることが明白な資料に基づいて作成された。チョン氏の証言については北朝鮮側から受け取った記録であり、クマラスワミ氏はチョン氏に面会していないという指摘もある。 戦時中、慰安婦は慰安所からの外出を許可され、接客拒否や廃業、帰国の自由もあった。慰安所では兵士の飲酒と慰安婦への暴行が規則で固く禁じられており、違反者には厳しい処罰が下された。 実際、1944年に米・戦時情報局(OWI)が作成した記録には、「慰安婦は将校より高収入であり、接客拒否の権利も認められ、外出の自由も保障されていた」と記されている。 より看過できないのは、「日本軍は少女を慰安婦にした」という暴論だ。サンの記事はチョン氏の以下の証言を伝える。〈日本の警官が学校に行き少女たちを集めた〉〈犠牲者の多くは、処女であることを保証するために、14~18歳の少女が集められた。抵抗した家族は、その場で殺された〉 ひどい誤解というよりない。1990年代始め、朝日新聞は戦時下で女性を軍事工場などに徴用した「女子挺身隊」と「従軍慰安婦」を混同して報じた。それ以降、韓国では「女子挺身隊イコール慰安婦」という事実誤認が一般化した。 1992年の宮沢喜一首相(当時)の訪韓直前には韓国メディアが「12歳の少女が挺身隊に動員されたことを示す学籍簿が見つかった」と報じ、「小学生を性奴隷にした」との虚報が一挙に広がった。 一昨年、朝日新聞はようやく誤りを認め謝罪したが、韓国では少女が犠牲になったと今も信じられている。慰安婦像が少女の像なのはこのためだ。関連記事■ 日本が国際社会から「性奴隷国家」の屈辱を浴びせられた原点■ 中国が提出の慰安婦関連史料 性奴隷説が誤りだと明確に示す■ 慰安婦 強制連行の事実はなく高給を得て帰国の自由もあった■ 韓国の反日スレ「日本に爆弾テロする?」「お前通報シマス」■ ユネスコ慰安婦史料登録 客観性ない証言が証拠扱いの懸念も

  • Thumbnail

    記事

    日韓慰安婦合意成立 最大の理由は米国の圧力と経済的な要因

    党「共に民主党」の文在寅代表は「今回の屈辱的な合意は無効」と断じた。 反日で国を束ねる韓国にとって、慰安婦問題は解決されては困る問題であり、何があっても永遠に燃え盛る炎のようなものだ。李明博前大統領は竹島を反日カードにしたが、朴槿恵大統領は慰安婦問題を普遍的な「女性の人権問題」として世界にアピールしてきた。保守派の彼女には、親北朝鮮の野党支持者を取り込むねらいもあった。 朴槿恵にとって慰安婦問題は政権を維持する最大の反日カードなのに、なぜ日本との合意を急いだのか。朴槿恵大統領を叱責した 最大の理由は米国の圧力だ。南シナ海の人工島建設やサイバー攻撃など、「力による現状変更」の意志を隠さない中国と政情不安定の北朝鮮は東アジアの安全保障にとって大きな脅威であり、日米韓が緊密に連携する必要があるが、「米中二股外交」を展開する韓国は米国の制止を聞かず中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加し、昨年9月、北京で開催された抗日戦争勝利70年記念行事には朴大統領自ら出席した。「慰安婦問題が解決しない限り日韓首脳会談は実現しない」と明言する朴槿恵は米国にとって実に厄介な存在だった。 言うことを聞かない彼女に怒り心頭のオバマ大統領は昨年10月、ホワイトハウスの米韓首脳会談で日韓友好を求めて朴槿恵を叱責したとされる。会談後の会見でオバマ大統領は「(日韓の)困難な歴史問題が解決されることを望む」と厳しい表情で語った。 同時に経済的な要因も大きい。ウォン安を背景に輸出で躍進した韓国経済は近年のウォン高と中国経済の減速で大ブレーキ。韓国貿易協会によると日韓関係の悪化で日韓輸出入総額は2011年の約1080億ドル(約13兆円)から2014年は約860億ドルに減少した。 今や日本の若者は嫌韓ムード一色だ。私の勤務する大学では韓国語を学ぶ学生が激減し、韓国への短期研修は希望者が少なく、今年度は初めて実施されなかった。 韓国観光公社などによると、2000年代後半300万人台だった訪韓日本人は現在200万人を割る勢いだ。代わりに増えた訪韓中国人はお目当ての品がなく、訪日時のような「爆買い」をしないので当地は潤わない。 焦った経済界から「やっぱり日本だ」との声が噴出した。昨年5月、ソウルで開かれた日韓経済人会議で韓国代表は「両国が1つの経済圏を形成し、ともに成長、共同繁栄の時代を構築すること」を提案した。会議では「日本を追い抜いた」との奢りから停止していた「日韓通貨スワップ協定」の復活や「韓国のTPP加入」などが議題となった。 米国と経済界から突き上げられた朴槿恵は孤立を怖れて渋々、日本との関係改善に動き、昨年11月、ソウルで就任以来初の日韓首脳会談を開催した。昨年末、朴槿恵への名誉毀損で在宅起訴された産経新聞の加藤達也・前ソウル支局長の無罪判決、韓国憲法裁判所による1965年の日韓請求権協定は違憲との審判請求の棄却も今回の合意を後押しした。●呉善花/1956年、韓国・済州島生まれ。東京外国語大学大学院修士課程修了。現在、拓殖大学国際学部教授。近著に『朴槿恵の真実 哀しき反日プリンセス』(文春新書)など著書多数。関連記事■ 米軍慰安婦で問われる朴槿恵氏の「歴史と向き合わぬ国」発言■ SAPIO人気連載・業田良家4コマ漫画【1/2】「根拠のないデマ」■ SAPIO人気連載・業田良家4コマ漫画「日韓スワップ」■ SAPIO人気連載・業田良家4コマ漫画「鏡のない国のパク」■ 伊勢志摩サミットを逃せば日韓関係に当面修復のチャンスなし

  • Thumbnail

    記事

    慰安婦捏造 「言語の壁」で責任を隠ぺいする朝日新聞

    たことにある」と自ら認めた。 このように、杉山審議官は、三度にわたって朝日新聞という固有名詞を出し、慰安婦問題の起こりを説明したのだった。朝日新聞という固有名詞こそ、この事実関係の核心である。ジュネーブで開かれた国連の女性差別撤廃委員会の対日審査会合で、日本の立場を説明する杉山晋輔外務審議官=2月16日(共同) ところが、十七日付の朝日新聞の報道記事は、自社の誤報が国連で名指しされたことには一切触れていない。仮に自社の不名誉な内容の発言であるとしても、日本政府代表が新聞社の固有名詞を出して説明したのは客観的な事実なのであるから、それをスルーするのは、報道機関として失格だ。 さらに問題なのは、国連の女子差別撤廃委員会の議事録が、杉山発言の核心部分に当たる朝日新聞の名前を出さず、a leading newspaper in Japan (日本の大手紙の一つ)という表現で匿名化したことだ。しかも、朝日新聞の名前が二度目に登場する時も、議事録は、a leading newspaper というフレーズを繰り返した。そのため、奇妙なことが起こった。 「日本の大手紙」はもちろん何紙かあるだろう。だから、匿名化に際して初出で「a  leading newspaper」とするのは当然だが、二回目以降は「the newspaper」としなければならない。なぜなら、ここに登場するのは、朝日新聞一紙だからである。議事録の新聞に関する言葉の指示対象は、あくまで朝日新聞である。ところが、英文でまた「a」を使ったため、もう一つ、別の「大手紙」が役者として登場しているかのような誤解を読者に与える結果となっている。 これは、日本政府代表が3回も名前を挙げた朝日新聞という固有名詞を消すという、作為的な議事録の改ざんが行われた結果である。その不正の痕跡が、不自然であるばかりか事実と離れた不正確な表現となって残ったのである。これは、国連の女子差別撤廃委員会の事務局の中立性に重大な疑念を抱かせるものである。  しかし、このような扱いは、国連の機関にとどまらない。朝日新聞に対する異例の批判をした日本の外務省も、この点に関して全く同じ流儀で資料を公表しているからである。すなわち、外務省のホームページには、日本文では朝日新聞という固有名詞が記録されているが、英文ではこれを公表していないのだ。 なぜ、朝日新聞の名前を公表するのを避けようとするのか。理由ははっきりしている。国際社会に、慰安婦問題が捏造された事実経過を知らせたくないのである。逆に言えば、朝日新聞の名前を出してこそ、世界の人々がこの問題の真相を具体的に理解することが出来るのである。なぜ朝日の名前を公表するのを避けようとするのか 昨年の七月、国連対策に取り組んで来た民間団体「慰安婦の真実国民運動」による代表団の一環として、日本人の二人の女性が、発言した。山本優美子氏は英語で、杉田水脈氏はフランス語でスピーチをした。持ち時間はそれぞれわずか二分間。杉田氏は、吉田清治の嘘を朝日新聞が事実として報道したこと、朝日は記事を取り消していることを説明した。これについて委員の一人は「世界のメディアが知らされていたのとは反対の意見を聞いた。その意見の根拠を知りたい」と発言した。委員会は日本政府に説明を求め、それによって日本政府の今回の説明の機会が与えられたのである。  事態はこうなっている。日本の周りは巨大な壁で囲まれている。言語の壁である。壁の内側は日本語の世界で、ここでは朝日新聞の責任は誰もが知っている。しかし、壁の外側の世界には、巧妙に隠蔽された情報だけが流される仕掛けになっている。この仕掛けを維持する強力な意思が存在する。一月十八日の国会における安倍首相の、「性奴隷」などを否定した答弁も、壁の外の世界のメディアでは完全に黙殺された。作為は一貫しているのである。 この「言語の壁」の存在とその利用こそ、日本の慰安婦の真実が世界に広がらない決定的な装置となっている。この壁が崩れたとき、日本の名誉が回復する筋道が開かれることになるだろう。

  • Thumbnail

    記事

    10億円は朝日に負担させろ(笑)

    が腹を切れ!」と迫った。安倍も笑顔を浮かべながら、「君、腹を切る覚悟がありますかね」と言えばよかった慰安婦問題の合意について共同記者発表を終え、握手する岸田外相(左)と韓国の尹炳世外相=2015年12月28日、ソウルの韓国外務省(共同)堤 だいたい、五人の拉致被害者が帰って来たのだって安倍のお蔭だ。小泉純一郎の第一回訪朝で、金正日から「拉致被害者八人死亡」と告げられて、外務官僚の田中均はオロオロするだけ。協議は硬直したまま昼食の休憩となる。小泉はといえば顔面蒼白で、毒殺を怖れて持参した握り飯も喉に通らない。ただ窓の外を眺めるだけ。その場を救ったのが安倍だ。盗聴されているのを利用して、わざと声を大きくしてこう言った。「総理! 拉致を認めて謝罪しないなら、席を蹴って帰りましょう!」 会議が再開されるや否や、金正日は拉致を認めて謝罪した。つまり、拉致問題に突破口を開いたのは安倍晋三の政治的反射神経なんだよ。安倍ほど早くから拉致問題に腐心した政治家はいない。この問題に先鞭をつけたのは、父親の外相・安倍晋太郎だ。言うなら父子二代にわたる懸案で、父親の遺志を継いでいる。 安倍がこの問題に取り組んだ頃、土井たか子は「北朝鮮が拉致なんてバカなことをするわけがないッ」と連呼していた。あげく土井は、拉致実行犯・辛光洙が韓国で逮捕・死刑判決を受けるや、菅直人、江田五月、千葉景子、村山富市、岡崎トミ子らと組んで助命釈放の署名運動をやる始末だ。いずれも社民、民主党の議員だ。安倍は彼らを「間抜け議員」と呼んだ。だいたい、民主党がこの問題で安倍を追及する資格なんて、どこを押してもない。 だから安倍が、「二十年前、私たちが一所懸命拉致問題をやっていたときに、あなたは何をしていたのか」と反駁するのも当然だよ。その頃、緒方は外務官僚だ。外務省が何もできなかったのを、安倍が切り開いたんじゃないか。話がアベコベだよ。久保 拉致に関して言うなら、安倍は拉致問題対策本部が設置された時に「私の使命として、私が最高責任者であるうちにきちんと解決したい」と言ったでしょう。その後も記者会見などで「拉致問題は安倍政権で必ず解決する」と繰り返したけど、当時、僕はこの対談で「これはちょっとまずいんじゃないか」と言ってきた。なぜなら、これも心情倫理としてはわかるが、結果責任を問われる政治家の言葉じゃないからです。確たる根拠もなく国民に公約するなど、愚の骨頂なのですよ。 安倍は国民に公約したことで自らの手足を縛り、北朝鮮はそれを利用して安倍を揺さぶる。少し大げさに言えば、“生殺与奪”の権をこのキチガイ国家に与えたことと同じなのです。奴らは、そういう民主主義自由主義国家の弱点を巧みに衝いてくる。一方、「安倍は公約違反」「拉致問題を利用した」と攻撃する蓮池や緒方をはじめとする野党、それに朝日新聞などは主観的意図はともかく、客観的にはそうした北朝鮮の援護射撃の役目を担わされている、ということになるのですよ。ゼニ丸の杜撰な言葉遣いゼニ丸の杜撰な言葉遣い堤 かつて小沢一郎が、「結局、これ(拉致被害者)はカネで買うしかない」と言ったという記事を何かで読んだ記憶がある。蓮池透も外国人記者クラブでの会見で、「拉致被害者一人奪還に十億円を支払う手もある、といった見方もありますね」と言った。小泉が一回目に訪朝したとき、一千万ドル(約十一億円)と二十五万トンの米を手土産にした。 日朝交渉の際に、北が必ず言い出すセリフがある。ゼニ丸こと金丸信が約束した四百億ドルはどうなっているのか、だ。金丸と金日成がサシで会った時のやり取りは、記録係を挟んでいないから公式文書として残っていない。本来なら、意味のない「約束」だ。なのに北は以後の日朝交渉で、「金丸さんが金日成主席と約束したじゃないか」と言い張る。久保 金丸ってやつは言葉がいい加減でね、語録を見てみるとおかしなのがいろいろ出てきます。たとえば対米交渉の時に、「アメリカにノーと言われたらどうしますか」と言うべきところを、「アメリカにノーコメントと言われたらどうしますか」と言い間違えたことがある(笑)。 とにかく言葉遣いが杜撰。だからその時も、円とドルを言い間違えたんじゃないかな?北朝鮮の自称「水爆実験」堤 ここで話を北朝鮮の「自称・水爆実験」に移そうか。腹が立つのは、過去三回の北朝鮮の核実験への対応と何もかもが同じということだ。やれ「各国と緊密に連携して」、やれ「より厳しい制裁処置を」といった文言を並べるだけ。 今回、「水爆だ、いやそうじゃない」という論争が付け加わったけど、そんなことはどうでもいい。北朝鮮は何が何でも「原爆を持つ」という意志を維持し、国連決議も制裁もどこ吹く風。これまでと同様の対応では抑え切れない。なのに繰り返しだ。 日本は二発の原爆を食らった。三発目を食らわないためにはどうするか。普通の頭ならそれを考える。核を抑えるには核しかない。核は抑止力でもあるが、恫喝力でもある。なのに「日本も核を持とうや」といった声が一つも上がらない。久保 理科系の高校卒程度の知識があれば技術的にはできる、と以前、アメリカの科学専門誌に書いてありましたね。堤 いざとなれば、国連もアメリカも頼りにならんよ。アメリカは北朝鮮の核を阻止してみせると言いながら、何もせずにズルズルと北朝鮮の核武装を許してきた。かつてキッシンジャーは、「いずれ日本も核武装するだろう」と言った。日本を取り巻く状況にまともに対応するなら、それを選択するしかないだろうという意味だ。水爆実験に関する文書に署名する北朝鮮の金正恩第1書記(共同)久保 韓国でさえ、野党の議員も新聞も「核兵器を保有すべきだ。核武装を議論しよう」と言い出している。日本でも、北朝鮮の最初の核実験の時は核武装論を唱える声が澎湃として起こったけど、今回は堤さんのおっしゃるとおり、さっぱりですね。堤 加瀬英明に聞いた話だけど、彼はよくインドに行く。行くたびに、インド国防相の部屋を訪れる。数年前、それまでになかった写真が壁に飾ってある。広島の原爆ドームのカラー写真だ。聞けば、「核を持たなければこういう悲惨な目に遭うということを、毎日心に刻むために飾ってある」という答えだ。 日本にだって考えている政治家はいる。〇六年に北朝鮮が初めて核実験をしたとき、安倍と中川昭一が「日本も核の議論が必要だ」と発言した。その二人を、朝日新聞はじめ大手メディアは叩きに叩いた。しかし、まともなのはどっちなんだい?久保 僕は心理的背景に興味があって、日本人は何か事が起きても、必ず「たいしたことにはならないだろう」という消極的・希望的観測が先に立つ。習近平の野望を目の当たりにしてもそうでしょう。これは、マッカーサー憲法によって日本人に植えつけられた最大の後遺症ですよ。タイムリーな政治決断堤 かつて土井たか子が「北朝鮮が拉致なんてバカをするわけない」と言ったのも、そういった心理からだね。最悪の事態を考えるのが怖い、嫌なんだよ。しかし、最悪の事態を想定して対応するのが、政治家の一番の仕事じゃないか。 アメリカ在住の伊藤貫(国際政治・米国金融アナリスト)が、アメリカで「日本の核武装についてどう思うか」と聞いて回った体験を書いたことがある。向こうの高官の一人がこう言った。「日本人がガタガタ言うんじゃない。お前らはMD(ミサイル防衛)で我慢しておけばいいんだ」 しかし、北朝鮮は日本全土に届くノドンを二百発も日本に向けている。五月雨式に撃たれたら、MDで防衛しきれるのか? 米ソの冷戦は、双方が核を持っているから、代理戦争にはなっても直接の熱戦にはならなかった。キューバ危機のときに明らかになったのは、核の威力は保有している核の数じゃないってことだ。あの危機はケネディとフルシチョフのポーカーゲームみたいなものだったけど、ケネディが「わがアメリカはソ連に十倍する核兵器を保有している」と豪語したのに対して、フルシチョフはせせら笑って「地球を壊滅させるほどの核を持つことに何の意味がある。こちらは十発あれば、NYをはじめ主要都市を破壊できる。それで十分じゃないか」と言った。 日本だって何十発もいらない。相手の主要都市をぶっ潰すだけの数さえあれば足りる。アメリカが文句を言うなら、アメリカには届かない弾道ミサイルしか持たないと言えばいい。北朝鮮や中国に届きさえすればいいんだからね。久保 理屈としてはそうだけど、アメリカは持たせないでしょうね。堤 いや、アメリカには日本の核武装を容認する人が結構増えてきていると聞いているよ。いずれにしろ、金正恩や習近平など、相手の気持ちをああだこうだと忖度しても始まらない。他人を頼らず、自分の身は自分で守る、それにはどうするかを考える時代になっているんじゃないのか。だけど、その種の議論が一向に起こらない。国も一個の生命体だ。生存本能の欠如というのかねぇ……。久保 歴史にifは禁句だけれど、思考の補助線として引いてみるならば、もし安倍が日米同盟を深化していなければ、また日韓慰安婦合意をしていなければ一体どうなったでしょう。アメリカが守ってくれるのか、日米韓の連携が取れるのか、韓国は中国にひた走るのではないか、と韓国はもとより、日本でもおそらく与野党も戦後平和主義者どもも含めて列島騒然になっていたはずです。 元慰安婦の問題の政治決着については、自民党右派から「これでは河野・村山談話の撤回どころか追認だ」とか、保守派論壇でも「日本の名誉に禍根を残す」(西岡力)といった批判が強い。僕もそう思います。 しかし、日本はじめ東アジアにかかわる緊迫した国際政治のパワー・ポリティクスという観点からみれば、安倍の選択肢以外ない。しかも極めてタイムリーな政治決断だったと言えます。政治は原理主義を貫くだけではやっていけませんからねぇ。堤 それは、あとで出て来る日韓合意の話の時に言おうと思っていた(笑)。日韓合意に対して、自民党のなかからも反対意見が出ていたけど、水爆実験が行われた途端に沈静化した。安保法制についてもそうだ。まさに安倍の先見性だね。建て前で責任逃れを建て前で責任逃れを久保 ところが、野党や一部マスコミは「安倍はマッチポンプ、タカ派発言をやって日韓関係をこじらせ、それを今回修復しただけ」とか、「日韓ともにアメリカにケツを叩かれ、修復をやらされただけ」とかケチをつけるばかりで、安倍の外交的成果を可能な限り貶めようとする。マキャヴェリは『政略論』のなかで、次のように言っています。「英雄がその業績に応じて受けて当然の名声を、人民は嫉妬のために奪い取ってしまう。しかも彼らのみならず、もう少し力量を備えた人々も一緒になって……」。 この言葉は、安倍のような優れた業績をあげた政治家とアホな野党との関係にも当然、当てはまるでしょう。堤 その種の手合いは、いまの国際情勢をどう見ているのかねぇ。脅威があることはハッキリしている。もし安倍のやり方が駄目だというのなら、代案を出さなければならない。ところが、ひたすら反対を言うだけだ。口を開けば首脳外交を急げという。前提条件付きの首相外交なんぞ、やれるわけがない。無条件なら会うと構えて、相手の出方を待っていた安倍の態度が正解だよ。核を持つのは「主権保持」久保 年末年始、テレビがつまらないから、前に一度見た『24 ─TWE-NTY FOUR─』をまた見ていたんだけど(笑)、テロと対決する連邦機関の捜査官、ジャック・バウアーは、いくら国側が遵法精神・法令順守、人権などを重んじても、テロリストに対しては何の効力もないし、テロを抑えるどころか奴らが好き放題やるための手助けをしていることになってしまう。 だからバウアーは法を逸脱して行動し、結果としてテロ行為を防ぐ。だが、上司も米上院もバウアーの功績を評価するどころか反社会的人物として徹底的に追及しようとする──。北朝鮮北西部の東倉里から打ち上げられるロケット。事実上の長距離弾道ミサイルとみられる(共同) もちろん法治国家である以上、大統領も捜査担当者も憲法や法律を遵守するのは当然の責務でしょう。しかし、現にテロリスト集団が原爆を盗んで数百万人の命を一瞬で奪おうとしている時、逮捕した仲間の一人から核を仕掛けた場所を聞き出すため拷問にかけるのは憲法上、禁じられているからできないとし、みすみす大都市が全滅する大惨事を招いたとしましょう。 それでも憲法上、法律上、拷問によって白状させることは禁じられているからやむを得なかった、と人権や民主主義の建前価値に固執する一部の野党や平和主義者、朝日新聞などは言い逃れするつもりなのですかねぇ。『24』は、そういう問題提起をしているわけです。9・11以後、テロに怯えるアメリカ国民にとってこの物語は、いつ現実に起こっても不思議ではない切実な問題であり、いまやISのテロや傍若無人な習近平の中国、北朝鮮の核実験によって、日本でも無関係ではない話です。 ところが、先に成立した集団的自衛権など、安保法制にせよ、安倍が新設しようとしている緊急事態条項にせよ、野党やアホな憲法学者、一部メディアは、立憲主義だの法令順守だのと建前価値を振りかざして反対している。これら建前価値は結果として打つべき手を打たず、悲劇的な結果を招いた時の責任逃れの避難所なんですよ。お前ら、口を閉じてまず『24』を見て勉強しろ!(笑)。堤 〇八年、プーチンは「核を保有しない国は主権国家の名に値しない」と言った。言い換えるなら、核クラブ五カ国だけが「主権」を保持しているということだ。核保有国が既得権を手離さないのは当然で、NPT(核不拡散条約)は「俺らは持つけど、お前らは持つな」という縛りで、プーチン流にいうなら「オマエらは主権を持つな」と言うに等しい。 しかし、「主権」を獲得・保持するのは国の気構えしかない。インドもパキスタンもそれをやってのけた。イスラエルも隠れ保有国だ。ドイツはアメリカから核をレンタルしている。このあたり、日本もよくよく考えないといけないね。久保 その核武装論は一つ落とし穴があって、北朝鮮が核を持つ論理を否定できなくなる。彼らは彼らの主権として核を持ってどこが悪いんだ、と。現に金正恩は、「核実験は国の独立自存のための権利」と演説しています。堤 そのとおりだ。俺は前から、「北朝鮮が核を持つのは悪い」とは一度も言ってない。むしろ天晴れだと思っているよ。久保 でも現実には北朝鮮の核武装は、アメリカや周辺国を脅して外交的優位に立ち、経済的利益などをせしめようという強盗の論理なわけですからね。 それと、これは安倍の直接的な責任とは言えないけれど、日米同盟を深化したことによって、日本人の多くは「アメリカが対応してくれるのなら日本が核武装する必要はない」という安易な考え方に戻って、自立のための核武装論が出てこなくなっていることです。堤 だけど安倍こそ、一番核武装の必要性を理解しているんだ。彼の祖父・岸信介は専守防衛の小型戦術核は憲法違反ではないと発言し、新聞は大騒ぎした。後年、安倍が官房副長官の時に早稲田大学の講演で質問されて、「私もそう思う」と言い、またぞろ大騒ぎになった。ことほど左様に、祖父の遺志を腹蔵しているんだよ。暗殺で現状打破?暗殺で現状打破?久保 北朝鮮の自称・水爆実験に、中国がどう動くかも注目すべきですね。堤 朴槿惠は中国の対応に不満を表明し、「追加の核実験を防ぐには中国の役割が重要だ」と談話で述べた。アメリカも中国に期待していると言っている。対して中国の報道官・華春瑩は、「そういうあなたがたは、これまで何をしてきたんですか」と言ってニヤリと笑い、「中国だけに責任を負わせないで下さい」と言った。 中国は三回目の核実験に対し、国連の経済制裁に賛成した。なのにその後、中朝貿易は過去最高の額に達している。今回だって、中国は公には北朝鮮を非難する。これはAIIBや人民元のSDR入りなど、経済面から欧米とうまくやっていかないといけないからだ。だけど国営放送などを見ると、起こった事実を淡々と述べるだけで、論評は一切加えていない。 かつてCIAのトリプレットは、「北朝鮮は中国のナイフだ」とする本を書いた。今後も“ナイフ”として使うのか、それともこの刃が自分に向くかもしれないと危惧し始めたのか、いずれ言葉より行動に中国の本音が表れる。久保 北朝鮮は潰せばいいというものではない。アメリカにとっても中国にとっても、ある意味では日本にとっても、厄介だけれど当面ないと困る国と言えます。 そうした前提で現状を打破する有効な手段を考えてみると、辿り着くのはただ一つ、金正恩排除、つまり暗殺ということになってくるんじゃないですかね。奴はヒトラーと同じで、国際社会・国際外交の常識に全くかからない、いわば狂人。 ヒトラー暗殺未遂は内部クーデターだったけど、一説には連合国と連絡を取り合っていた。習近平の中国は兄貴の金正男というカードを持っているから、傀儡政権を作ればいまの国の形をそれなりに温存しながら、もう少し穏健な型でコントロールできるようになる。堤 アメリカが「俺たちはビン・ラディンを殺した。中国は金正恩をやってくれ」と頼むか(笑)。 中国が恐れているのは、北の“ナイフ”がロシアと繋がることだ。もともと、ソ連の核科学者が北朝鮮に原発造りを教えたんだからね。仮に米中が北朝鮮の核をめぐって接近するとなると、プーチンはどうする? 国際情勢が複雑になっていく。久保 とにかく、それくらいの策(金正恩暗殺)を練らないと、北朝鮮が参加した六者協議なんてのでは永遠に問題は解決しませんよ。日韓基本条約の裏側堤 さて、日韓慰安婦合意に話題を変えようか。先ほど言ったように、党内からも反発があったし、ウソかホントか、安倍のFacebookは批判のコメントで炎上しているという。 たしかに岸田外相が、軍の関与がどうのと、河野洋平みたいにいわずもがなのことを言った。彼は、河野洋平が代表を務めた宏池会だからね。 今度の合意で一番注目すべきは、「慰安婦問題の最終的、不可逆的な解決を確認する」ということだ。韓国側の要求は謝罪、金銭支援、法的責任を認めろ、という三点だ。日本は法的責任を認めない。認めるわけがない。残る二点でカードを晒し、これで双方が最終合意した。 これで問題は、韓国側が約定を履行できるかどうか、いまや韓国内の問題になってしまった。実際、韓国では激しい議論になっている。韓国の担当官が慰安婦の住む家を訪れ、一昨日来いと放り出された。そこへ朴槿惠も説明に行くと言っている。朴槿惠にすれば、実に苦しい立場に追い込まれた。自業自得だけどね。 一九六五年に結ばれた日韓基本条約は、「今後、両国間に一切の貸し借りはないものとする」という条文が定められた。いわゆる「個人補償」も含めてだ。大統領・朴正煕の特使として条約の準備に当たった金鍾泌(のちに首相)に、青瓦台で会ったことがある。 彼によれば、特使として来日、外相・大平正芳とサシで交渉した。大平が「いくら欲しいのか」と訊くから、「八億ドル欲しい」と持ちかけた。朴大統領から「できるだけ高く吹っかけてみろ」と言われていたからだ。 大平はビックリして、椅子から飛び上がった。それもそのはず、当時の日本の外貨準備高は十八億ドルで、その約半分だったからだ。結局、韓国は日本から五億ドルのカネと技術協力の約束を取り付けた。 実はこれ、ケネディの差し金がある。日本はケネディから、アメリカはベトナムで手一杯だ、韓国の面倒を見てくれといわれていた。ケネディは六三年に暗殺されたけど、この要請は続いていた。だから、虎の子の十八億ドルから五億ドルも出した。 ところが韓国では、「五億ドルでは少ない。おまけに日本の議会では賠償金ではなく、経済協力金と言っているではないか」と騒ぎになり、暴動に発展した。朴正煕は軍隊を動員して鎮圧。たしか一千人を超える死者を出したと記憶する。問題は五億ドルの使い道だ。金鍾泌は「大統領、一部を個人補償に回しましょう」というが、朴正煕は「いや、このカネは挙げて経済復興に使う。個人補償は国が豊かになってからでいい」と答えた。 そして五億ドルを財閥育成に投じ、「漢江の奇跡」と呼ばれる経済復興を成し遂げた。「おかげで韓国は世界で十一番目の経済大国になりました」と金鍾泌は言うが、個人補償は置き去りだ。事情を知らない慰安婦や徴用工らが、補償を求めて日本の裁判所に訴える。もちろん、門前払いだ。そこで「慰安婦、徴用工は別口だ」となる。 すべては朴正煕が残した「負の遺産」なんだよ。父親の尻拭いは娘の義務じゃないか。それに慰安婦像の撤去一つを取っても、朴槿惠が父親のような強権をふるえるか。怪しいもんだ。久保 尻拭いする前に、朴槿惠は大統領を辞めちゃうんじゃないですか。日本をスケープゴートに日本をスケープゴートに堤 NHKの世論調査でも、慰安婦問題が今後、日韓の懸案となると思うかという問いに、「今後はない」が八%、「今後もある」が五九%だ。六割の日本国民が、またぞろ問題になると思っている。 しかし韓国が慰安婦問題を蒸し返したら、国際的に終わりだね。「不可逆的な解決」を国際的にアナウンスしているから、またぞろムシ返したところで誰も相手にしない。 久保 “行かず後家の踏ん張り”もここまでってことか(笑)。堤 ガハハ、言い得て妙だな。歴史カードを振りかざせば、ブーメランのようにテメエに降りかかってくる。久保 注目すべきは、いまやこの慰安婦問題の構図というのは、日韓だけに留まらないということです。つまり、アメリカでもヨーロッパでも人道・人権を振りかざして、あたかも「日本だけが性犯罪を行っている」として非難を繰り返す。 日本だけに押しつけることで、欧米各国は過去に自分たちが犯した遙かに悪質な女性虐待の罪から逃れようとしているわけです。つまり、日本をスケープゴートにしている。だから、この問題が日韓合意だけで決着がつくとは思えない。堤 なぜ、いまこの時期に朴槿惠が合意したか。近づく選挙対策でもあったけど、アメリカのプッシュが大きかったからだろうね。 では、なぜアメリカがプッシュしたか。昨年、韓国人女性ら百二十二人が、米軍相手の慰安婦として強制的に駆り集められて働かされたとして、韓国政府を相手に国家賠償を求める訴訟を起こした。借り集めの書類には朴正煕の署名がある。娘の朴槿惠に降りかかってくる。アメリカにしても、このまま日韓の慰安婦問題を放っておくと自分たちにも降りかかってくると考えたに違いない。 アメリカは日本でも、占領軍相手の性的慰安所の設営を政府に命じている。大蔵官僚の池田勇人(のちに首相)が予算の一億円を工面した。そして作られたのが、特殊慰安施設協会(通称、RAA)だ。 一方、韓国だってタイガー部隊五万人、のべ三十万人がベトナム戦争に出かけ、ベトナム女性を強姦しまくって、ライダイハンと呼ばれる混血児を三万人も作っている。これが補償を求めたらどうする。全部跳ね返ってくる問題だ、とようやく気付いたんだね。久保 それはヨーロッパも似たり寄ったりですよ。たとえばクリスタ・パウルの『ナチズムと強制売春』(明石書院)によれば、ナチはユダヤ人の女性を強制収容所特別棟に収容し、組織的な売春をさせていた。その“恩恵”を受けた者のなかには抵抗運動をやって捕まった政治囚も多く、どうやらそいつらのなかには、のちのヨーロッパ各国の再建に貢献した者も含まれている、なんて話がどんどん白日の下に曝されつつあります。 ヴァイツゼッカーもメルケルもそういった事実に蓋をして、キレイゴトをぬかしている。その言葉に欺かれたアホな日本人が、「ドイツを見習え」と叫んでいたわけです。編集部 日韓合意について、朝日と毎日が肯定的に、読売と産経が批判的に報じていました。堤 朝日としては、もう従軍慰安婦問題に蓋をしたい。「これで終わり」になれば、今後、話題にならず、朝日も責められずに一息つけるからだよ。仮に慰安婦像が撤去されて十億円を出すことになったら、朝日に負担させるべきだな。なにしろ、三十二年にわたってウソ八百を垂れ流してきたんだからね。十億円でも足りない。名誉を汚された日本人への慰謝料はどうしてくれるんだい。久保 韓国がまた蒸し返したら、一番困るのは朝日かもしれませんね(笑)。    

  • Thumbnail

    テーマ

    慰安婦基金、10億円は朝日が負担しろ!

    元慰安婦支援を目的に韓国が設立する財団に、少女像が撤去されなければ10億円拠出をしない意向を示した日本政府。仮に慰安婦像が撤去されて10億円を出すことになったら、朝日に負担させるべきだ。32年にわたってウソ八百を垂れ流し名誉を汚された日本人への慰謝料はどうしてくれる。

  • Thumbnail

    記事

    朝日新聞にアドバイス、誤報の拡散防止すらやらないなら未来はない

    はないと思うのだが、もし掲載されるようならどのような記事になるのか、今から楽しみである。 ところで、慰安婦問題に関する朝日の一連の記事は、「日本を貶めるための意図的な捏造だった」と主張する人が多い。ちなみに私自身は「捏造(故意)」か「誤報(過失)」かを問題にするつもりはなく、朝日の「誤報だった」という主張を受け入れている。その理由は、いずれであっても、発生した結果の重大性は同じだからだ。 朝日の最大の問題は、結果責任を過小評価している点にある。故意犯ではなくても、過失犯としての責任は十分取らなければならない。ところが朝日はこれまでに、新聞の読者に対して誤報があった事実を謝罪しただけである。誤報をきっかけに日本人の名誉が傷付けられ、日韓関係の悪化にも繋がった事実は完全無視である。 たとえるなら、F1ドライバーが過失から大事故を起こし、観客が巻き込まれて死亡したときに、マシンを壊したことをチームに対して謝罪したが、死亡した観客の遺族からの謝罪要求は完全に無視しているようなものである。 自社の誤報という過失が原因で発生した重大な結果を、朝日は正面から受け止めて日本国民に謝罪すべきだし、それで失われた日本の名誉の回復のために、最大限の努力をするべきである。現時点で、朝日が日本の名誉回復のために、十分努力していると考える日本人は皆無だろう。 私自身の話をすれば、「日本軍は朝鮮半島でたくさんの朝鮮女性を強制連行して従軍慰安婦にした」という話を、以前は深く考えることもなく信じていた。そして、それが誤報だったと理解したので、自分の間違いを認めた。 実は数年前から、親しい友人が数回に渡って、「いわゆる従軍慰安婦の強制連行という話は全部デタラメだよ」と教えてくれていたのに、私は聞く耳を持たなかった。そのことに対する反省と自戒の意味もあり、現在は日本の名誉回復のために、最大限の努力をしているつもりだ。朝日新聞を定期購読したことがない 実を言うと私は、朝日新聞を定期購読したことがない。私が信じていたのは、英字新聞「ジャパンタイムズ(JT紙)」に書かれた慰安婦報道の内容である。JT紙が元慰安婦として名乗り出た韓国人女性などに、独自取材をしたとは思えないので、朝日の報道を鵜呑みにしたのだろう。朝日は長年、日本が誇る三大紙の一つなのだから、JT紙の記者がその報道内容を信用したのは当然とも言える。 ところが、朝日の記事取消し発表から1年8カ月が経過した今も、JT紙は相変わらず「慰安婦は性奴隷だった」と書いている。朝日の誤報取消しを知った上で、意図的に日本と日本人の名誉を傷付けようとしているのなら、「ジャパンタイムズ」ではなく「アンチジャパンタイムズ」とでも改名すべきだし、万一、記者や編集長が朝日の誤報取消しを知らないのであれば、取材能力が低すぎて目も当てられない。いずれにしてもJT紙は、同紙の全記事の信憑性と信頼性に対する「自傷行為」を続けている。 私にはJT紙のようなマゾヒスティックな趣味はないので、朝日の誤報取消し直後、早速自分の公式ブログに「朝日新聞へのアドバイス」というタイトルで、今まで自分が間違った情報を信じていたことの恥ずかしさを書いた。冷静に考えれば、戦争中に20万人もの朝鮮人女性の強制連行など無意味だし、物理的にも不可能である。荒唐無稽な作り話を信じていた自分が本当に恥ずかしかった。 照れ隠しもあったので、ジョークを交えながら「誤報にすっかり騙されて、慰安婦問題を外交政策の中心に据えて一生懸命活動してきた韓国のハシゴを、朝日新聞はいきなり外した。早く謝罪して賠償しないと、千年恨まれますよ!」という趣旨の記事を書いた。だから、「10億円は朝日に負担させろ」という、今回の花田編集長の企画は、まさに私が最初に抱いた考えと合致している。 改めて言うまでもないが、その時書いたブログ記事は半分以上が皮肉とジョークだった。その後、昨年末に「日韓合意」がなされ、韓国の小学生向けの歴史教科書から慰安婦の記述が消えるなど、当時と比べてかなり状況が変化しているので、今回は少し真面目な話をする。「3・1独立運動」の記念式典で演説する韓国の朴槿恵大統領=ソウル(共同) 朝日は、現在のピンチをチャンスに変える努力をするべきである。今から私が具体的な方法を教える。つまり、「朝日新聞へのアドバイス第2弾」である。これは「敵に塩を贈る」話ではない。私はただ、慰安婦問題を一日も早く解決したいだけである。 とてもシンプルな解決法だ。朝日は「慰安婦強制連行説は当社が間違って拡散させた完全な誤報であり、この誤報はすでに取り消し済みである。貴社の記事は歴史的事実に反しており、これ以上誤報が拡散しないよう協力していただきたい」と、世界中のメディアに対して個別に発信すれば良いのだ。 日本国内に住む、日本語の読み書きが十分にできる日本人記者が在籍しているジャパンタイムズですら、先述のように歴史的事実に反したあり得ない記事を書き続けている。朝日が慰安婦問題誤報取消しの周知徹底に対する熱意に欠けていることが、原因の一つであることは間違いない。 朝日が広めた誤報を今でも信じているせいで、世界中のメディアは、「日本軍は朝鮮半島で20万人の朝鮮女性を強制連行して性奴隷にした」「日本政府はそれを認めて韓国政府と合意した」というデマを垂れ流している。それら全てのメディアは「私たちの記事はいい加減な取材に基づいて書かれています」と宣伝しているようなものだ。 ちなみに昨年末の日韓慰安婦合意について、「このような事態の発生が十分に予想されたのだから合意すべきではなかった」と主張する人もいる。気持ちは理解できるが、私はこの意見に賛同しない。 中途半端な日韓合意は残念だと思ったが、お陰で数多くの海外メディアのうち、どこが日本に対する悪感情を煽る意図を持っているのかを知ることができた。日本政府がそれを最初から意図していたとは思わないが、「災い転じて福」と為せばよいではないか。国連での外務省の反論も行われた。あとは一つずつ「貴社の慰安婦報道の内容は間違いである」と潰して行けばいい。 この地道な作業の中で、もっとも重要な役割を果たすべき存在が、朝日新聞である。朝日こそが、「その記事の内容は歴史に反している!」「私たちの世紀の大誤報をこれ以上拡散しないでくれ!」と、海外メディアに正面から抗議すべきなのだ。 もちろん、米大手教科書会社のマグロウヒルに対しても同様である。「私たちは慰安婦報道に関する誤報を恥を忍んで取り消したのに、その誤報に基づくデマを子供に教えるような真似は、お願いだからやめてくれ!」、「恥の上塗りはもう嫌なんだ!」と、朝日は半泣きになりながらでも訴えるべきなのだ。 昨年末の日韓合意の前まで、私は「朝日はニューヨークタイムズや朝鮮日報などの各国メディアに、慰安婦誤報を訂正する記事広告を出稿すべきだ」と主張してきた。しかし、これにはかなりの金額の出費が必要なので、読者数の減少に歯止めをかけられない昨今の朝日が、この方策に二の足を踏んだことは理解できる。 この方法と比べれば、今回の方法は驚くほど低予算で実行できる。米国、英国、フランス、韓国など、世界各国で「誤報」を拡散するメディア各社や、教科書会社マグロウヒル、あるいは事実無根の主張を続ける歴史学者、そして国連に対して、「当社の恥ずかしい誤報をこれ以上拡散しないで欲しい!」という趣旨の抗議文書や電子メールを送り付け、それに対する各社の反応を、紙面やウェブ上で報告するのだ。 慰安婦問題の誤報で失った会社の信頼を取り返そうと試みる、朝日の真剣で真摯な態度を見れば、解約した読者が購読を再開するかも知れないし、この戦略の行方を見守りたい新規読者が出てきても不思議ではない。当然、私も朝日の今後の展開に注目するし、応援も可能になる。 だが、自らの結果責任を十分に自覚しないまま、低予算で行える「誤報拡散防止活動」すら朝日が行わないのだとしたら、「朝日新聞は反省が足りない!」「日本と日本人の名誉を貶めたい売国メディアだ!」という、日本の保守層に定着した風評を拭い去ることはできず、読者数は今後も減少する一方だと思う。 人間は必ず間違いを犯す。公私を問わず、生涯に一つの間違いも犯さない人間など、この世に存在しえない。人間が犯しうる最大の間違いとは、「自分の間違いに気が付いたのに、それを素直に認めない間違い」である。 私の言葉が、朝日の経営者や株主、記者などの関係者に届くことを願っている。

  • Thumbnail

    記事

    国連でやっと主張された「慰安婦強制連行」の真実

    門田隆将  ああ、やっとここまで来たのか。そんな思いがする。今朝の産経新聞が1面トップで〈慰安婦問題 強制連行説は「捏造」 「20万人、朝日が混同」 政府、国連委で説明〉と報じた。 日本が国連欧州本部で開かれた女子差別撤廃委員会の対日審査で、慰安婦問題に関する事実関係を説明したのである。外務省の杉山晋輔・外務審議官が「強制連行を裏付ける資料がなかったこと」を説明し、強制連行説は故・吉田清治氏による「捏造であった」こと、さらには、朝日新聞が吉田氏の本を大きく報じたことが「国際社会に大きな影響を与えた」ことを指摘したのだ。 日本政府が国連の場で、こうした事実関係を説明するのは言うまでもなく「初めて」のことだ。私は、まだまだ不十分とはいえ、政府、というより外務省の姿勢が変わらざるを得なくなってきたことを、感慨をもって見つめている。「ああ、やっと時代が変わってきた」と。 一方的に糾弾されるばかりで、歴史の真実を歪められてきた日本と日本人が、どう「本当の事実と向き合っていくか」という時代が来つつあるのではないだろうか。 これまで当欄で何度も書いてきたように、従軍慰安婦問題とは、朝日新聞が一貫して報じてきた「強制連行」問題にある。あの貧困の時代、さまざまな事情で、春を鬻(ひさ)ぐ商売についていた薄幸な女性たちが、数多く存在した。 「公娼制度」として、そういう商売が認められていたあの時代に、そんな幸せ薄い生涯を送った女性が多かったことは、歴史に銘記しなければならない「事実」である。 当時、朝鮮の新聞には、大々的に業者による「慰安婦募集」の広告が打たれ、彼女たちは当時の兵士の給料の30倍という「月収300圓」を保証されて慰安婦となっていった。なかには親に売り飛ばされた女性もいただろう。彼女たちの不幸な身の上には、大いに同情しなければならない。「歴史に銘記しなければいけない」という理由は、まさにそこにある。3月1日、ソウル中心部で開かれた従軍慰安婦問題での日韓合意の破棄を求める集会に参加した学生ら(共同) しかし、これが、無理やり日本軍、あるいは日本の官憲によって「強制連行されたものだ」と喧伝し、世界中に広めた日本のメディアがあった。朝日新聞である。同紙の一連の報道によって、慰安婦強制連行問題は、日本を窮地に追い込むアイテムとなった。 慰安婦の「強制連行」とは、「拉致」「監禁」「強姦」のことである。意思に反して連行されたのなら「拉致」であり、無理やり慰安所に閉じ込められたのなら「監禁」であり、望まない性交渉を強いられたのなら「強姦」だからだ。それを日本が「国家としておこなった」という虚偽が朝日新聞によって世界中にばら撒かれたのだ。 現在、韓国が主張し、世界中に広まっている日本による「従軍慰安婦=性奴隷(sex slaves)」という論拠は、ここに根ざしている。今や世界各地に日本糾弾のための「慰安婦像」が建ち、さまざまな議会で日本非難の決議がなされ、日本の若者の国際進出に対する大きな「障害」となっているのは、周知の通りだ。 しかし、日本が国家として「強制連行した慰安婦」という虚偽に対して、やっと今回、日本政府が国連欧州本部「女子差別撤廃委員会」の対日審査で、初めて「反論した」のである。 私は、「違うこと」を「違う」と言うことができなかった時代を、本当に不幸に思う。いまだにドリーマーでありつづける日本のマスコミが、インターネットの普及によって、真実と向き合わなければならなくなったことを感じる。ついには慰安婦の強制連行を喧伝しつづけた朝日新聞の立場が崩れていったことを、本当に「時代の流れだなあ」と感じるのである。 日本を貶めることに邁進している人々が「歴史修正主義」なる言葉を用いて、盛んに論評をしているのを最近、よく目にする。歴史に重要なのは「真実」だけであり、「歴史修正主義」などという観念論ではなく、慰安婦の強制連行説について、本当に真実を論評して欲しいと思う。 しかし、今日の朝日新聞を読むと、この外務省による“初の反論”も、第2社会面に〈慰安婦問題「不可逆的に解決」 国連委で日本強調〉という小さな記事でしか報じられていなかった。 もちろん、全45行にしか過ぎないその小さな記事の中には、朝日新聞が過去におこなったこと、そしてそのためにこれほどの「日本への不利益」がもたらされたことなどには、一切触れられていない。 私は、今も朝日新聞に“洗脳”されつづける読者が数多くいることを不思議に思う。どうして、そこまで「日本を貶めつづけたいのか」、本当に「なぜなのですか」と聞いてみたい。 歴史上で日本は、数々の過ちを犯している。しかし、それは日本だけではなく、世界中が帝国主義、植民地主義に覆われていたあの時代そのものを把握した上で、考えていかなければならない。そうしなければ、何が真実なのかを見誤ってしまうだろう。 1970年代に、全共闘世代を中心に持て囃された「反日亡国論」。その残滓を今も消し去れないでいる日本の大手マスコミとジャーナリズム。その“負の遺産”を日本のマスコミが拭い去ることができるのは、一体いつのことだろうか、と思う。 今回の国連の場でも、中国から1993年に慰安婦の強制性を認めた「河野談話」をもとに、日本の主張に対して「受け入れられない」という激しい反発があったという。それぞれの国家の思惑が激突する「歴史の真実」をめぐる闘いは、やっと「緒についた」ばかりだ。 真実に対して「謙虚であること」が最も重要であることは言うまでもない。そして、それを毅然として主張しつづけることの困難さも、私たちは理解しなければいけない。 日本には、不幸にして“うしろから弾を撃ってくる「内なる敵」”が数多く存在している。しかし、“情報ビッグバン”というべきインターネット時代に、やっと多くの人々が真実に目覚めつつある。是非、この流れを大切にしてもらいたいと、心から願う。

  • Thumbnail

    記事

    自らの「捏造報道」批判発言を、完全になかったものに捏造報道する朝日新聞

    n1.html 重要なので杉山外務審議官の発言要旨をチェックしておきましょう。 日本政府は、日韓間で慰安婦問題が政治外交問題化した1990年代初頭以降、慰安婦問題に関する本格的な事実関係調査を行った。日本政府が発見した資料には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を確認できるものはなかった。 慰安婦が強制連行されたという見方が広く流布された原因は昭和58年、吉田清治氏(故人)が「私の戦争犯罪」という刊行物の中で、自らが日本軍の命令で韓国の済州島で大勢の女性狩りをしたという事実を捏造(ねつぞう)して発表したためだ。この内容は朝日新聞社により事実であるかのように大きく報道され、日本と韓国の世論のみならず国際社会にも大きな影響を与えた。 しかし、この書物の内容は複数の研究者により完全に想像の産物だったことがすでに証明されている。朝日新聞も平成26年8月5、6日を含め累次にわたり記事を掲載し、事実関係の誤りを認め、正式に読者に謝罪した。20万人という数字も具体的な裏付けがない。朝日新聞は26年8月5日付の記事で、通常の戦時労働に動員された女子挺身(ていしん)隊と慰安婦を誤って混同したと自ら認めている。なお、「性奴隷」といった表現は事実に反する。 日韓両政府は昨年12月28日、ソウルで日韓外相会談を行い、慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認した。両首脳も同日、電話会談を行い、合意を確認し、評価した。 今後、韓国政府が元慰安婦の支援を目的とした財団を設立し、日本政府は10億円程度の資金を一括で拠出する。現在、両政府はそれぞれ合意内容を誠実に実行に移すべく取り組んでいる。国際社会は日韓両国の合意を歓迎している。 先の大戦にかかわる賠償や請求権の問題は、サンフランシスコ平和条約、日韓請求権経済協力協定や日中の処理の仕方も含むその他の2国間の条約などによって誠実に対応してきている。条約の当事者間では、個人の請求権の問題を含めて法的に解決済みというのは、日本政府の一貫した立場だ。(ジュネーブ 田北真樹子) 杉山外務審議官の発言要旨ですが、国連の女子差別撤廃委員会という国際的な場所で、日本政府・外務省が従軍慰安婦関連で初めて具体的な反転攻勢に出たわけです。2015年5月18日、核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第1委員会で発言する杉山晋輔外務審議官(中央)=ニューヨーク(共同) ニューヨークで開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の公開討議に18日、次官級の杉山晋輔外務審議官が出席、広島、長崎の被爆地訪問を世界の指導者らに要請するとの日本提案の記述を最終文書案に復活させるよう訴えた。  被爆地訪問要請の記述は素案に盛り込まれたが、歴史問題に絡めた中国の反対で削除された。日本は杉山氏を派遣、関係国に働き掛けを強める狙いだ。ただ、最終文書は 遅きに失する感は否めませんが、これまで海外からのいわれなき歴史的批判に反論することに消極的だった外務省にすれば、一歩前進といったところでしょう。 もちろん、今回の反論は、安倍官邸からの強い「指示」によるものです。 ・・・ さて、発言の中で三か所も名指しで「捏造」報道を批判されている朝日新聞なのであります。 この発言、日本外交上の重要なエポックでありますから、他紙も当然取り上げています。(読売記事)慰安婦「強制連行証言は捏造」…国連委で説明2016年02月17日 12時01分http://www.yomiuri.co.jp/politics/20160217-OYT1T50056.html?from=ytop_main1 まあ一面トップをかざった産経ほどのボリュームはありませんが、朝日新聞が繰り返しその捏造報道を取り上げられているポイントははずしていません。【ジュネーブ=石黒穣】国連の女子差別撤廃委員会の対日審査会合が16日、ジュネーブで開かれた。 杉山晋輔外務審議官が慰安婦問題について、「日本政府が発見した資料の中には、軍や官憲による強制連行は確認できなかった」と述べた上、昨年末の日韓外相会談において「日韓間で最終的かつ不可逆的に解決されることが確認された」と説明した。 杉山氏は、韓国の済州島で慰安婦を強制連行したとする吉田清治氏(故人)の証言について、「完全な捏造ねつぞうだ」と述べ、吉田証言を事実として報じた朝日新聞が「誤りを認め謝罪した」ことにも言及した。 慰安婦の数をめぐって、杉山氏は「20万人という数字は具体的な裏付けがない」と指摘。「朝日新聞が労働力として動員された女子勤労挺身ていしん隊と慰安婦を誤って混同したことによると自ら認めた」と述べた。また、慰安婦を「性奴隷」と呼ぶのは「事実に反する」と訴えた。・・・ さて朝日新聞の捏造報道は過去の事例ではない、現在進行形であることを、読者の皆さんとともに押さえておきましょう。 捏造の言葉の定義を三省堂広辞林より押さえておきましょう。ねつ ぞう -ざう [0] 【捏▼造】( 名 ) スル〔「でつぞう(捏造)」の慣用読み〕実際にはありもしない事柄を,事実であるかのようにつくり上げること。でっちあげ。 「会見記を-する」http://www.weblio.jp/content/%E6%8D%8F%E9%80%A0 捏造とは「実際にはありもしない事柄を,事実であるかのようにつくり上げること」とあります。 従って一般的には「捏造」記事は、2つの手法が取られます。(捏造手法1):事実無根の「捏造」 事実無根の事柄を事実のように報道する。 「捏造」記事を完遂するためにときに2番目の手法を取ります。(捏造手法2):事実の「隠ぺい」 重要な事実を隠して報道しない。 一般に「捏造」報道とは、(捏造手法1)あるいは(捏造手法2)あるいはその両方を駆使して行われるものであります。 さて、17日付け朝日新聞記事であります。 存分にご堪能くださいませ。「不可逆的に解決」 慰安婦問題、国連委で日本強調2016年2月17日05時00分 国連女性差別撤廃委員会の対日審査が16日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で行われた。慰安婦問題について、杉山晋輔外務審議官は昨年末に韓国政府と合意し、「最終的かつ不可逆的に」解決されることを確認したと強調した。 杉山氏は冒頭、「日本政府としては20世紀の戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深くログイン前の続き傷つけられた過去を胸に刻み続け、21世紀こそ女性の人権が傷つけられることのない世紀とするためリードしていく」と発言。質疑では、政府による慰安婦問題の事実調査で「発見した資料の中に、軍や官憲によるいわゆる強制連行を確認できるものはなかった」と説明した。「性奴隷といった表現は事実に反する」とも述べた。 同委員会の国別審査は、女性差別撤廃条約の加盟国が定期的に受ける。女性の権利全般について幅広い問題が対象になっている。 慰安婦問題での日韓合意については、人権NGOなどが一定の評価をしつつも、「被害女性を抜きにした合意だ」などと反発する声もある。韓国側の認識と違う日本政府の見解を国連の場で説明すれば、韓国で合意を批判する一部の市民団体やメディアを刺激しかねない。ただ、今回は首相官邸の意向で見解を説明することになった。 (松尾一郎=ジュネーブ、武田肇)http://digital.asahi.com/articles/DA3S12212231.html?_requesturl=articles%2FDA3S12212231.html&rm=150 杉山晋輔外務審議官の発言内容から見事に朝日新聞という固有名詞がスポイルされています。 それどころか「捏造」というキーワードも隠蔽されています。 これは、事実の「隠ぺい」です、重要な事実を隠して読者に報道しない立派な捏造記事です。 国連における従軍慰安婦に関する朝日新聞「捏造報道」批判発言を、完全になかったものに捏造報道する朝日新聞なのです。 読者の皆さん。 これがこの国を代表するクオリティペーパーと自負しているメディアのすることでしょうか? どう思われますか? ふう。

  • Thumbnail

    記事

    朝日新聞よりひどい!テレビが報じた「従軍慰安婦」

    「誤報謝罪会見」から一年二カ月が経った。今夏にようやく産経新聞の取材を受けた植村隆氏は、相変わらず「慰安婦問題の拡大は自分や朝日のせいではない」「朝日が日韓関係をこじらせたのではない」と主張した。だが、朝日新聞がことさらに「朝鮮人慰安婦を強制連行した」との構図を強調して書き立ててきたことは論を俟たない。 新聞各社の「慰安婦報道」は縮刷版や記事データベースなどで検証可能であり、だからこそ朝日新聞は慰安婦報道に関する検証記事を発表、一部誤りを認めたのだろう。読者は忘れても、アーカイブはその足跡をすべて覚えているからだ。 では、テレビ番組はどうか。ネット普及以前に放送された番組はほとんど検証できず、稀に動画サイトに上がってもすぐに削除されてしまい、番組内容は出演者や視聴者の記憶に頼る部分が少なくなかった。 各放送局はいったい、慰安婦をどのように報じていたのか……。そこで行きあたったのが、横浜にある「放送ライブラリー」である。〈放送法の指定を受けたわが国唯一の放送番組専門のアーカイブ施設で、時代を伝えるNHK、民放局のテレビ・ラジオ番組、CMを一般に無料で公開〉している施設だ。 テレビ番組約二万本、ラジオ番組約四千本を保存し、約一万八千本を公開。特にドキュメンタリーや歴史、文化などの教養番組、大河ドラマ、各時代の代表的なバラエティ番組などが充実している。 「慰安婦」というキーワードで検索すると、以下の五つの慰安婦に関するドキュメンタリー番組が登録されている(ドラマ、ラジオは除く)。 (1)一九八二年三月一日放送 『11PM 韓国から見た日本〔2〕(シリーズ・アジアと共に生きる〔4〕)』日本テレビ放送網 (2)一九九二年五月三十日放送『特別番組 汚辱の証言 朝鮮人従軍慰安婦の戦後』九州朝日放送  (3)一九九二年八月十四日放送『NHKスペシャル 調査報告 アジアからの訴え 問われる日本の戦後処理』NHK (4)一九九六年九月三十日放送 『NNNドキュメント96 IANFU インドネシアの場合には』中京テレビ放送   (5)一九九七年十二月八日放送 『NNNドキュメント97 声閉ざされて、そして インドネシアの「慰安婦」たち 特集・戦争の時代に』中京テレビ放送   これらをすべて視聴したうえで、主に朝鮮半島の慰安婦について扱った1・2の番組に関し、内容を検証してみたい。まるで「啓発ビデオ」まるで「啓発ビデオ」(1)『11PM 韓国から見た日本〔2〕』 韓国・朝鮮半島とのかかわりを追った五回シリーズのうちの第四回で、従軍慰安婦のほか、樺太残留韓国人、BC級戦犯、在韓被爆者などの問題を取り上げており、その年の日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞を受賞している。 結論から言ってしまえば、この番組が五本のなかで最も杜撰、かつおどろおどろしい作りになっていた。ドキュメンタリーというよりも、運転免許更新の際に見せられる「交通事故予防啓発ビデオ」に近い。「事故を起こせば人生終了」といったトーンの、あれだ。 のっけから激しいBGMとともに、〈女子挺身隊という名の慰安婦〉と大間違いのテロップが画面の真ん中にドカンと現れる。 続いて元軍医の麻生徹男氏のインタビューが挟まれているが、麻生氏が「(隊内に梅毒が蔓延しないように)慰安所を設けるよう意見書を提出した」と話す場面に、〈慰安婦に関する軍への意見書が朝鮮女性連行につながった〉と、ここでも意図的なテロップを表示。麻生氏の「かなりどぎつい集めかたをしていますね」のコメントとともに、視聴者に強く印象づけている。 麻生氏はたしかに意見書を提出してはいるが、内容は花柳病(つまり性病)の蔓延に関する報告が主であり、なかでも特に強調しているのは「娼楼ではない慰安の場所」、つまり音楽や映画、スポーツなどの軍用娯楽施設の設置を求めるもので、強制連行とは何の関係もない。 麻生氏がこの番組に登場したのは、千田夏光氏の『従軍慰安婦』(一九七三年)の記述によるものだろう。千田氏は本のなかで、あたかも麻生氏が慰安所を考案した責任者のように書いている。ちなみに、本には「従軍慰安婦は挺身隊の名で集められた」との表現もある。 麻生氏は軍医として慰安婦らの身体検査を行っており、当時の写真や状況を『戦線女人考』にまとめている。そのなかで、「支度金千円を払って急遽集められた女性たちが慰安所に連れてこられた」と書き残している。 ところが千田氏は、『従軍慰安婦』に「レポートの結果として軍の目は当然のようにそこへ向けられていく。それは同時に、朝鮮人女性の怖るべき恐怖のはじまりでもあった。朝鮮半島が若くて健康、つまり理想的慰安婦の草刈場として、認識されていくことになるのだった」と書いたのである。 そのため、麻生氏は世間から「慰安婦強制連行の責任者」であるが如く受け取られてしまい、なかには麻生氏の娘の甘児都氏のところに「民族の恨みを晴らす」「責任者の娘としてどう思うか」などと言って押しかけて来たものもいたという。 甘児氏によれば、〈千田氏はこの件が誤りであり、今後誤解を招く記述はしないと(中略)謝罪してきましたので、三一書房と講談社に改訂を申し入れましたが、二社ともそのままで出版を続けています〉とのことだ(麻生徹男・甘児都『慰安婦と医療の係わりについて』)。 この番組のテロップも、千田氏の本に沿って「麻生氏が慰安所設置の意見書を出した」「それが強制連行につながった」とミスリードを行っている。朝日より先だった日テレ朝日より先だった日テレ 番組はその後、韓国放送公社制作の元慰安婦の女性を扱ったドラマ「従軍慰安婦 ポンスンの空」の映像を紹介。〈日本軍は行く先々で従軍慰安婦を連行していた〉〈女子挺身隊という美しい名のもとに一身を捧げる〉〈(しかし)現実は兵隊たちに一日何十回となく体を提供することだった〉と説明を述べたのち、ドラマの映像がそのまま流される。韓国最大野党がソウル中心部に掲げた日韓合意に反発する横断幕=1月27日(共同) 場面は戦場。日本兵の上官が「慰安所に並べ」と言うや否や、若い兵隊たちが慰安所内の女性に襲いかかる場面に「ギャーッ」と女性の悲鳴。 その次の場面では、兵隊にまぎれて行軍するチマチョゴリ姿の慰安婦。疲労で倒れる慰安婦を無理やり歩かせる日本兵が描かれている。「ヘイタイサン……ヘイタイサン……」と片言の日本語で兵隊に助けを求める慰安婦の姿が痛々しい。 このドラマは、元慰安婦のポンスンが戦後も実家に帰ることを許されず、売春観光に訪れる日本人観光客を相手に売春を強要される女性の代わりに殺人を犯し、投獄されて精神を病む……というストーリーだ。 八〇年代の日本人男性の「売春観光」と慰安婦の存在を結び付け、「今も昔も韓国人女性を蔑視する日本人」「その日本人によって精神病に追いやられたポンスン」を印象付ける。 たしかに、戦後の「売春観光」が慰安婦問題勃発の下地になっていた可能性はある。 だが、11PMのこのシリーズ自体は「ドキュメンタリー」というジャンルでありながら、内容はドラマの筋書きにすっかり乗っかっている。 さらに番組では〈しかし事実はもっと広く大きかった〉とのナレーションのあと、兵隊ではなく労働者の相手をさせられたという元慰安婦のインタビュー映像を挟む。暗い部屋に座る元慰安婦らしい女性のシルエットを映しつつ、証言が流れる。 「嫁入りの口がある、と騙された」 「日本人が引っ張ってきた」 「虐待に耐えられず四人が自殺」 「日本人は薄情」 三十四分の番組のうち慰安婦のパートは十四分程度だが、過剰なBGMや再現ドラマ、元軍医の証言と盛りだくさんの内容で、破壊力十分。だが、とても賞に値する番組とは思われない。 『11PM』は深夜のワイドショー番組で、一九六五年から九〇年まで続いた長寿番組。当初は硬派な番組だったが視聴率が取れず、麻雀や酒、お色気に至るまで幅広い話題を取り上げる番組に変貌を遂げた。 『韓国から見た日本』が放送されたのは「テコ入れ後」の一九八二年三月一日だが、この『韓国から見た日本』以外にも、一九七二年の沖縄の復帰を扱い、こちらも賞を受賞している。 一九八二年三月一日という放映日にも注目である。朝日新聞(大阪版)が吉田清治証言を初めて掲載したのは、一九八二年九月二日。日本テレビは、朝日新聞の吉田清治報道より半年も前に「従軍慰安婦の強制連行」を取り上げていたことになる。 しかも、早くもこの時点で「女子挺身隊と従軍慰安婦を混同」しており、植村隆記者の一九九二年の記事を先取りしている。 朝日新聞の「慰安婦報道」検証では、読売新聞は産経新聞に次いで「朝日批判」の色を強めていたが、ともすれば「朝日以上」の番組を系列のテレビ放送網が放映していたことを、読売関係者はご存知だろうか。朝日ソウル支局が協力朝日ソウル支局が協力(2)『特別番組 汚辱の証言 朝鮮人従軍慰安婦の戦後』 九州朝日放送のこの番組は、(1)に比べれば「ドキュメンタリー番組らしい」内容で、やはり「地方の時代」映像祭一九九二優秀賞受賞作だ。 主に元慰安婦の「文玉珠」を中心に描かれており、彼女が福岡の団体に招かれて来日、「戦後四十七年、ようやく重い口を開き始めた」という、まるで植村記者の金学順報道の見出しのようなトーンで彼女を追うドキュメンタリー。  番組放映日は、一九九二年五月三十日。植村記者の金学順記事は前年の八月十一日だから、この記事の影響するところは多かっただろう。九州朝日放送制作のこの番組のエンドロールにも、制作協力として「朝日新聞ソウル支局」が名を連ねている。 番組は文氏が日本で開催された慰安婦集会に登壇し、「平日は三十人から四十人、日曜には六十人から七十人の相手をさせられた」と語るシーンから始まる。 そして、すぐに韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)の尹貞玉代表(当時)が登場。尹氏は「慰安婦問題で日本は彼女たちを三度殺す」と述べ、「一、ひどいことをした。二、忘れられていた。三、謝罪がない」の三重苦を負わされていると発言。このまま謝罪がなく、日本人が日本の若者に慰安婦の事実を教えなければ「三度目の死となる」と述べる。 場面変わって、文氏の来日支援を行った慰安婦研究家の森川万智子氏。彼女は文氏の著作『文玉珠 ビルマ戦線 楯師団の「慰安婦」だった私─教科書に書かれなかった戦争』(梨の木舎、九六年。新装増補版は二〇一五年)の構成と解説を担当している。番組では、福岡で「慰安婦一一〇番」という電話相談を受ける団体の代表として登場。「市民として過去を清算したい」と述べる。 この番組で文氏は、「十八歳でビルマへ行った。食堂に行けば稼げると言われた」と話す。文氏の本によれば、もともとキーセン学校に通っていた文氏は、一度、憲兵らに連れられて慰安婦になったが故郷に戻り、次は友人から「食堂で働き口がある」と聞いて行ってみたところ、実態は慰安所だった。が、「やはりそうか」と納得したという。「人間的な」兵士との交流 文氏は番組で、涙ながらに「夜明けまで相手をさせられて死にそうでした」と述べているが、文氏の本には意外な場面が描かれている。 それは慰安婦・文がヤマダ(仮名)という日本兵と懇意になるくだりだ。 〈わたしは一生懸命ヤマダイチロウの無事を祈った。二、三カ月して、前線からヤマダイチロウの部隊も戻ってきた。ヤマダイチロウは無事だった。すぐに慰安所にきた。 「ヤマダ上等兵、無事帰還いたしました」 ヤマダイチロウはわたしに向かって敬礼した。私たちは抱き合って喜んだ。そういう日はマツモト(という朝鮮人の男。慰安所の引率者)公認で、慰安所全体も大騒ぎになり、開店休業だ。さっそくわたしたち慰安婦も一円ずつ出し合って大宴会をしたのだった〉(文玉珠『「慰安婦」だった私』、補足は筆者) もちろん、過酷な記憶と楽しい記憶が共存することはありうるため、これを以て「慰安婦としての生活は悲惨ではなかった」とは必ずしも言えない。また、この本の内容は「真偽定かならぬ部分もないわけではない」(秦郁彦氏)との指摘もあるとおり、兵隊を蹴り飛ばした、刺し殺したなどの箇所もある。しかし、エピソードのすべてが創作とも思えない。封印された記憶 また、番組で文氏の「人間的な」兵隊との交流に全く触れていないのは不自然だ。文氏をことさら「かわいそうな被害者」としてだけ描いており、本にあるような人間性や女性としての逞しさ、明るさは番組からは全く感じられないのである。 番組では、元日本兵や軍関係者も証言者として登場する。 「九州の兵隊は慰安婦がいないと元気が出ない」 「(慰安所は)日本にもあった特殊飲食店の一環。悪いとは思わない」 「女は消耗品だから助けなくていいと言われた」 その後、さらに二人の慰安婦が登場。韓国・城南市の沈美子氏の証言。 「日本地図に刺繍しろと言われ、朝顔の刺繍を入れたら『桜を入れろ』と叱られ、日本の警察に焼きゴテを当てられた。気を失っている間に連行され、気がつくと福岡にいて、その後、『七番』と番号で呼ばれる慰安婦になった。先生になりたかったが日本に踏みにじられた」 ハルモニ食堂を経営する黄錦周氏。 「勤労挺身隊として紡績工場に行くのだと思ったら、樺太に着くなり服を脱げと急に言われた」封印された記憶 そして文氏が市民グループの手引きで来日し、集会で証言をする場面が流れる。 「大日本帝国国民となります、と言わされたのに、この仕打ちは酷い」 この発言には驚いた。番組制作側は、「大日本帝国=悪」だとしてこの発言を削らなかったのだろう。だが文氏の本の記述を読むと、また別の思いを感じ取る。 〈戦地の軍人たちの思いと、わたしたちの思いとは同じだった。ここに来たからには、妻も子も命も捨てて天皇陛下のために働かねばならない、と。わたしはその人たちの心持ちがわかるから、一生懸命に慰めて、それらを紛らしてあげるよう話をしたものだった〉(『同』) 番組内の元軍人の証言でも、慰安婦とのこんなやりとりが語られる。 「(軍が引き揚げるとき)慰安婦たちは『連れて行って下さい』と言っていた。『途中でお金が必要になったら、私たちがたくさん持っています』と言って、もう三文の値打ちもない軍票を見せていた。『死ぬ時は一緒に死にます』と泣きつかれて……」 涙を拭う元軍人。 この二つの場面には胸を打たれた。軍人と慰安婦の間には、戦地特有の一体感さえも生まれていたことになる。「戦地」に置かれた女性と男性の、悲しい「同志の心」だったのだろう。だが、いまや、それは日韓双方で語られることはなくなってしまった。日本大使館前で慰安婦像を囲み、慰安婦問題での日韓の最終合意に抗議する元慰安婦や支持団体のメンバーら=2015年12月30日、ソウル(名村隆寛撮影) 彼女たちの真の歴史を奪ったのは挺対協だけではない。朝日新聞などが「強制連行」を強調して報じたことにより、慰安婦になった本当の経緯や、戦地で生まれていた軍人と慰安婦の関係についての真相は「反日」の幕で覆い隠されてしまった。彼女らの真の証言を、朝日新聞や挺対協が封殺したと言っていいだろう。 もはや、元慰安婦たちが「あの頃、日本の軍人さんとどのような関係にあったか」「どんな雰囲気だったか」を率直に話すことはできまい。特に韓国では、「親日売国奴」の汚名を着せられかねない。 真の和解のための“よすが”になりえた共通体験だが、可能性は潰されてしまった。そして、「戦地でたしかに存在していた慰安婦と軍人の関係」は歴史の狭間に葬り去られることになる。「母に楽をさせたい」「母に楽をさせたい」 その後、番組は文氏が支援者に付き添われて下関郵便局を訪れ、野戦郵便局から貯金していたお金を返してほしい、と交渉する場面が流れる。日韓協定で決着がついている以上、日本側から個人にお金を払うことはできない、と断られるが、諦められない文氏の表情が大写しになる。 慰安婦が性奴隷ではなく、「高収入の売春婦」だった証として「慰安婦の収入明細」のように紹介される「文原玉珠」名義の貯金通帳明細は、この文氏のものだ。政府の調査でこの記録が出てきたのだが、たしかに文氏は二万六千円もの貯金をしている。当時の二万円は、現在の六千万円相当とも言われる(ただし戦地のインフレ率や軍票との関係により諸説ある)。 文氏は、本にこう書いている。 〈事務を仕事にしている軍人に、わたしも貯金できるか尋ねると、もちろんできる、という。兵隊たちも全員、給料を野戦郵便局で貯金していることをわたしは知っていた〉 〈どんなに働いても貧しい暮らしから抜け出すことができなかったわたしに、こんな大金が貯金できるなんて信じられないことだ。千円あれば大邱に小さな家が一軒買える。母に少しは楽をさせてあげられる。晴れがましくて、本当にうれしかった。貯金通帳はわたしの宝物となった〉(『同』) 貧しさのなかにあった文氏が、こつこつ貯めた財産だ。それが戻らないのは気の毒ではある。「カネをもらっていたのだから奴隷であるはずがない」という主張はたしかにそのとおりだが、結果として「母を思いながら、春をひさいで貯めたお金が手元に残らなかった」恨み、悲しみに寄り添う必要はあろう。 だが番組内でも説明があるように、補償関係はすべて日韓協定で「解決済み」となっているのである。 個人補償よりも国家の発展を選んだのは韓国政府である。もちろん、その国家の発展の恩恵を文氏も少なからず受けてはいるだろうが、やり場のない怒りがすべて日本に向いてしまっているのは、日本にとっても文氏にとっても不幸なことである。 一生懸命働いたのに、お金が残らなかった。母に楽をさせてあげられなかった……彼女にそんな思いがあったのだろう。その思いを「運動」のために利用した人々がいる。 女性たちの思いに報いようとしたのが、アジア女性基金だった。少しでも元慰安婦たちの心に寄り添い、生活を支援しようとした動きだったが、韓国側運動団体はこれに激しく反発。元慰安婦の女性たちに受け取りを拒否するよう圧力をかけた。 いまでこそ取り組みを評価している朝日新聞も、当時は韓国側の空気を慮ってか、この取り組みを必ずしも支持しなかった。彼女たちが「恨みを残したまま死ぬ」ように仕向けたのは誰だったのか。元慰安婦の涙元慰安婦の涙 番組では、支援者が開いた文氏の誕生日パーティの模様を映し出す。 「自分の誕生日も知らなかった私を祝ってくださってありがとうございます……」 文氏は涙にくれる。そして、「戦場から戻った軍人に呼ばれて同席した宴会のために覚えた」という歌を披露する。「生れ故郷を 何で忘れてなるもんか 昨夜も夢見て しみじみ泣いた そろそろお山の 雪さえ溶けて 白いリンゴの 花がちらほら ああ 咲いたろな」(「リンゴ花咲く故郷へ」正しくは“咲くだろな”) 故郷から遠く離れた戦地で、立場は違えど、軍人と慰安婦は、この歌を歌いながらともに故郷を思っていたのだろう。文氏が本に書いたような軍人との交流もあったからこそ、彼らが歌っていた歌を忌み嫌わず、懐かしく口にしたのではないか。 生死の行方も知れない戦争のさなか。いまよりもずっと貧しい時代だ。いまの価値観で善悪を判断することはできない。「連行されたに違いない」「軍人を恨んでいたに決まっている」とするのは、元慰安婦らの生きた足跡を、いまの価値観で全く別のものにしてしまう可能性がある。 番組終盤で再度、挺対協の尹氏が述べる。 「日本がやったことは韓国人の人格を貶め、日本人自身も失った。戦後処理をしなければ絶対に忘れません」 だが、慰安婦という職業についた女性に「賤業」のレッテルを貼り、さらには「日帝のために働いた女」として社会から排斥した韓国社会にも問題はなかったか。 番組に登場する元慰安婦・沈氏も、「結婚もできなかった。友人の家族を見ると辛い」と涙を見せている。 誕生日を祝われて涙を見せる文氏にも、元慰安婦として名乗り出たあとには、「お金のためでしょ」「もう付き合いをやめる」という電話があったそうだ。 いまも運動のためにだけ駆り出され、寒空の下、あるいはカンカン照りの路上で泣き、「悲惨な体験」を語ることのみを求められ、世界各国を「ドサ回り」させられている老女たちがいる。そんな姿を見るのは本当に心苦しい。 罪を犯したのは誰か 「少女の頃のことを忘れたくなかったから」とピンク色のチマチョゴリを着た理由を語る文氏。取材陣に手を振る姿を映して、番組は終わる。そこにいるのは、戦争という時代と苦労の人生を歩んだ一人の老女である。 和解は双方が目指さなければ決して成り立たない。 歴史には光も影もある。その双方を織り込み、「ありのままの体験を話すことで『和解』を果たす」道を取っていれば、日本人の多くは彼女たちとその人生に心からの深い同情を寄せられたはずだ。 だが慰安婦問題を運動に仕立て上げた人たちは、彼女らに「強制連行」の嘘をつかせ、日本人を恨ませ、生活の足しになるはずのお金を渡すことすら妨害した。そして互いの猜疑心は膨らみ、日本人からの女性たちに対する同情心さえ離反させてしまったのである。 朝日や「強制連行」派の学者、テレビ関係者、運動家は日本人の名誉を貶めただけでなく、このような元慰安婦たちから「真実の歴史」「生きた証」を奪い去った「罪」をも負っているのではないだろうか。かじい・あやこ 1980年生まれ。中央大学卒業後、企業に勤める傍ら「特定アジアウォッチング」を開始。「若者が日本を考える」きっかけづくりを目指している。月刊誌に寄稿の他、『韓国「食品汚染」の恐怖』や『竹島と慰安婦—韓国の反日プロパガンダを撃て』など日韓関係に関する電子書籍などを無料公開中。

  • Thumbnail

    記事

    「恬として恥じず」朝日新聞は“再び”死んだ 

    国際的な影響について、朝日新聞の慰安婦報道を検証した第三者委員会でも見解が分かれ、報告書では「韓国の慰安婦問題批判を過激化させた」「吉田氏に関する『誤報』が韓国メディアに大きな影響を及ぼしたとは言えない」などの意見が併記されたと説明。国際社会に大きな影響があったとする杉山氏の発言には根拠が示されなかったと指摘した。 また、女子挺身隊と慰安婦を混同して報じた点について、朝日新聞社はおわびし、訂正しているが、20万人という数字について、「女子挺身隊と慰安婦の混同がもとになったとは報じておりません」と指摘した。慰安婦の人数については諸説あることを報じていることも伝えた。川村泰久外務報道官は文書を受け取った上で、「お申し入れの内容が詳細なので、精査させて頂きます」とコメントした〉“居直り強盗”という言葉が浮かんだ いかがだろうか。私は、品のない表現で大変申し訳ないが、“居直り強盗”という言葉を思い浮かべた。そして、こんな“子供の屁理屈”にも劣る言辞が通用すると「本気で思っているのだろうか」と考えた。少なくとも、自分たちが、根拠もなく慰安婦の強制連行を世界に広めたことに対して、反省のかけらもないことがわかる。 あらためて言うまでもないが、朝日新聞の報道の一例を示すと、1992年1月11日付朝刊1面トップで、朝日は、日本軍が慰安所の設置などに関与したことを示す資料が見つかった、と大々的に報じている。当時の宮沢喜一首相の訪韓わずか「5日前」にブチ上げられた記事である。 その中で朝日は「従軍慰安婦」の用語解説をおこない、〈太平洋戦争に入ると、主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した。その人数は八万とも二十万ともいわれる〉と書いた。 しっかりと、〈挺身隊の名で強制連行〉と書き、〈その人数は八万とも二十万ともいわれる〉と記述している。また、翌12日付の社説でも〈「挺身隊」の名で勧誘または強制連行され、中国からアジア、太平洋の各地で兵士などの相手をさせられた〉と書いている。ジュネーブで開かれた国連女子差別撤廃委員会で、日本の立場を説明する杉山晋輔外務審議官=2月16日 これはほんの一例だが、朝日新聞は、長年の外部からの指摘に耐えかねて、ついに一昨年(2014年)8月5日、「検証記事」を掲げた。そのなかで、〈読者のみなさまへ〉と断って、わざわざ〈女子挺身隊は、戦時下で女性を軍需工場などに動員した「女子勤労挺身隊」を指し、慰安婦とはまったく別です。当時は、慰安婦問題に関する研究が進んでおらず、記者が参考にした資料などにも慰安婦と挺身隊の混同がみられたことから、誤用しました〉と、「混同」「誤用」を認めているのである。 杉山審議官の国連での発言は、もちろん、それらを踏まえたものだ。しかし、当の朝日新聞は、こともあろうに、これに対して「抗議」をおこなったのである。子供の屁理屈にもならない、というのは、〈20万人という数字について、「女子挺身隊と慰安婦の混同がもとになったとは報じておりません」〉と噛みついている点だ。 では、その〈20万人〉がどこから出てきたものなのか、〈女子挺身隊との混同〉でなければ「いったい何でこんな途方もない数字が出てきたのか」、それを自ら指摘・告白するのが、礼儀であり、大人というものである。〈慰安婦の人数については諸説ある〉という申し入れの文言は、明らかに「開き直り」というほかない。「法的措置を検討する」朝日新聞からの脅し 私は、自分自身の経験を思い起こした。2014年5月20日付で朝日新聞が、「吉田調書を入手」したとして、福島第一原発の現場の人間の「9割」が所長命令に違反して撤退した、と1面トップで報じた件だ。 吉田昌郎所長をはじめ、現場の多くのプラントエンジニアたちにも取材した私は、『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日』というノンフィクションを2012年に出しているが、その取材結果をもとに、朝日の記事を「誤報である」と指摘した。公開された「聴取結果書(吉田調書)」 (一部モザイク加工しています) それに対して、朝日新聞は「報道機関としての名誉と信用を著しく毀損する」として、私に「謝罪と訂正」を要求する文書を送りつけてきた。そして、その文書の中には、要求に応じない場合は、「法的措置を検討する」という“脅しの文言”がしっかり入っていた。 私は、朝日新聞という報道機関が「自由な言論を封殺」しようとしたことに、一種の感慨が湧き起こった。自分たちに都合の悪いことに対しては、言論や表現の「自由な空間」を守るどころか、「圧殺する」という恐ろしい体質を同紙が持っていることがあらためてわかったからだ。 私は、これで逆に大いなる闘争心が湧き起こり、週刊誌、写真誌、月刊誌、新聞……等々で、自分にできる最大の論陣を張らせてもらった。その意味で、私に対する朝日の“脅し戦略”は、まったくの逆効果をもたらしたことになる。 幸いに3か月後の9月11日、朝日新聞は自らの「誤報」を認め、木村伊量社長が記者会見を開き、訂正・謝罪の発表と、社長退陣と編集幹部の更迭がおこなわれた。 私はその後、朝日新聞からの正式な謝罪を受けたが、今回の外務省への抗議は、「真実」を指摘された時の「開き直り」という点で、まったく「共通」のものであることがわかる。 今回の朝日の外務省への申入書には、自らつくった慰安婦報道に対する「第三者委員会」の委員の中には、朝日の報道が「国際的な影響を与えた」ということに「そうではない」と言っている人がいます、と書いている。なんと稚拙な論理だろうか。 岡本行夫、北岡伸一両委員は、はっきりと朝日の報道が韓国による批判に弾みをつけ、過激化させたことに言及しているが、波多野澄雄、林香里両委員は、「国際的な影響はない」との見解だった、というのである。 イタズラを怒られた駄々っ子が、「でも、ボクは悪くないって言ってる人もいるもん!」と、お母さんに必死で訴えているような図である。私は、昨年末に出た朝日新聞の元スター記者、長谷川熙さんの『崩壊 朝日新聞』の一節を思い出した。長谷川さんは半世紀以上務めた「朝日新聞」にいる記者たちのことを“パブロフの犬”だと書いて、その典型例の実名まで挙げている。 〈旧陸海軍について、いかなる虚偽の悪行が伝えられても、旧軍のことであれば、記者であるのにその真否を究明することなく、なんでも実話と思い込んでしまうその現象を私は、ロシアのパブロフが犬の実験で見つけた有名な生理反射(ベルの音と同時に犬に餌をやっていると、ベルの音を聞いただけで犬は、餌がなくても唾液を出すことをパブロフは発見した)になぞらえてみた。(略)そうした条件反射のまさに典型例が、吉田証言関係の虚報でとりわけ大きな影響を内外に及ぼしたと私が見る北畠清泰であり、そして一連の虚報を背景に、OBになってからではあるが、慰安所糾弾の模擬法廷の開催へと突き進んだ松井やよりである〉 事実をそっちのけに、“条件反射”のように「日本」を貶める朝日の記者たち。彼らは、朝日に言及した国連での杉山発言の中身を今回も「抗議の段階」でしか報じていない。都合の悪いことは、ねぐり続ける朝日新聞らしい姿勢というほかない。 本日の産経新聞には、その朝日新聞広報部のコメントとして、「記事と申入書に書いてある以上は、お答えできない」というものが紹介されていた。ただ、「溜息が出る」だけである。私は思う。朝日新聞が、再び「死んだ」ことは間違いない、と。※2016.1.20 門田隆将ブログ「夏炉冬扇の記」より転載。

  • Thumbnail

    記事

    慰安婦「合意もどき」は日本のイメージを傷つけただけだ

    一色正春(元海上保安官) 2015年末に行われた、いわゆる慰安婦問題に関しての日韓合意と言われるものに対して、日韓双方とも国内世論が賛成反対で真っ二つに分かれています。今のところ韓国国内では「いい加減日本と妥協しなければやっていけない」と考える賛成派と、反日教育の成果により心の底から日本を許せないと思っている人や反政府の立場から日韓連携を望まない人たちの反対派に二分され両勢力が均衡していますが、今後、韓国経済が立ち直って日本の援助を必要としなくなったり、何かをきっかけにマスコミが反日世論を煽ったりすれば、あっという間に賛成派の数が激減することは過去の事例から容易に予測できます。一方、日本国内での賛成論は、「過去の罪を認めて謝罪したので評価できる」というようなものと「韓国に対して、二度とこの問題を蒸し返さないという確約をとったのは素晴らしい」というようなものに大きく分かれているようです。それに対して「当時は合法的であった民間業者の売春行為に対して国家がなぜ謝罪しなければいけないのか」「元々、根拠のない言いがかりをつけてきた相手を黙らせるために日本が金を払う必要はない」「相手の嘘を認めるのか」というような反対論があります。 日本軍の過去の罪を云々と言う話は論外としても、残念ながら日本国内の賛成派が仰っている「今までの談話の踏襲にすぎない」「強制性や法的責任は認めていない」「日本政府は金を直接払わない」などという至極まっとうな理屈は日本人にしか通用しないと思われます。むしろ、そのようなロジカルな話よりも、岸田外務大臣が「慰安婦問題は、当時の軍の関与のもとに、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」と発言し、日本国の総理大臣が自称性奴隷に対して謝罪し、10億円という大金を払うということの方が人々、特に欧米人に与える印象は大きく、著しく日本のイメージを損ねてしまったのではないでしょうか。 例えて言えば、有名人が相手の浮気が原因で離婚する際に10億円の養育費を支払い、「相手が浮気したのは、自分にも至らないところがあったからだ」というようなコメントをすれば、思慮深い日本人は「潔い人だな」という好印象を受けると思いますが、「○○離婚、10億円支払い謝罪」という見出しのニュースを見ただけの人が、どういう反応をするかといえば、普通は「10億円も払うのだから、よほど悪いことをしたに違いない」と思い込み、その人間に対して悪いイメージを持ってしまうのではないでしょうか。契約書の細かい条項やネットの利用規約などの細かい条件を隅から隅まで読む人は極少数で、多くの人はイメージだけで判断するということです。「あの安倍が金を払って謝罪した」プロパガンダの危険性 確かに、よく説明を聞き冷静に考えれば簡単に解る話なのですが、いったん感情的に思い込んでしまった人間に対して、その誤解を解くための説明が如何に大変であるかということを、この問題に対して真剣に取り組んできた人々は解りすぎるくらいわかっているからこそ納得できず、安倍総理の今回の行動について批判しているのです。私自身も、慰安婦が日本軍により強制的に連れ去られたという話を信じている人間に対して、一生懸命、理路整然と説明しても「だって日本政府が認めているじゃないか」の一言で話が振り出しに戻ってしまうという虚しい体験を幾度となくしました。思えば、この問題にしろ、南京にしろ「どうせ嘘なのだから」「もう学術的に国内では決着がついた」などと油断し、海外における反日勢力のプロパガンダを甘く見ていた結果が、今日の事態を招いたのではないでしょうか。 おそらく韓国も、今後は「あの安倍が金を払って謝罪した」ということを前面に押し出して宣伝してくるでしょう。はたして日本の外務省に、そのプロパガンダに対抗する能力があるのでしょうか。結局は最前線で戦う民間の人々、特に在米日本人が苦労することが目に見えています。もはや、この問題は外務省ではなく民間から広く人間を集め、政府が資金面等でバックアップする組織を作り、そこが対応するべきではないでしょうか。そちらの方が「ジャパンハウス」などよりもっと効果的な税金の使い方だと思います。 そもそも、条約をまともに履行できない韓国が素直に約束を守ると思うのは早計です。今の段階において既に、韓国政府はウイーン条約に違反して日本大使館前の公道に設置されている慰安婦像に関して「民間が自発的に設置したものであり、政府がどうこうできる事案ではない」と詭弁を弄し、自称市民団体は韓国国内で反対デモを相次いで行い、野党は「合意は無効だ」と宣言しています。それに対して、「アメリカや国際社会が証人だから大丈夫だ」と言いますが、私はそのようなものは信用していません。彼らは公正と信義などより自国の利益や軍事力を背景とした力関係で動くのですから、アメリカも韓国も何か事があれば軍隊を持たない日本に対しての約束など反故にすることなど厭わないでしょう。それに対して、一昨年、拉致問題の解決を目指して日朝間で取り交わした「ストックホルム合意」を一方的に反故にされているにもかかわらず何もできない日本政府が、今回だけ何かできると考えるのは無理があります。国際社会で正義が通用するのであれば、拉致問題はとっくに解決しているはずです。なぜアメリカを巻き込まなかったのか 本当にアメリカを巻き込むというのであれば、外相会談は日韓の二カ国ではなく日米韓の三カ国で行い三カ国の外相が揃って謝罪し、設立される財団は日本兵相手の慰安婦だけに補償を行うのではなく、日米韓の三カ国が資金を出してアメリカ兵相手の慰安婦や日本人慰安婦も含めるべきであり、あわせてアメリカを証人としてアメリカにおける像の撤去などアメリカにおける反日行動を禁止することに対して一筆とるべきであったのではないでしょうか。そこまでやればアメリカも日本の意向を無視できなくなり、今後は日本だけを非難できなくなるでしょう。 また、韓国は国民の反対により日本との約束を履行できなくなった場合、アメリカの批判をかわすために中国の属国に逆戻りすることも視野に入れているはずです。そうなれば、日本国総理大臣が自称性奴隷に「苦痛を与えて申し訳なかった」と謝罪した事実だけが残ります。たとえ韓国政府が約束を履行したとしても、反日教育を続ける限りは徴用工や樺太残留問題等での嫌がらせは続き、慰安婦問題に関しても民間団体は何ら制約を受けることなく、政府がやらない分、今まで以上に日本批判を繰り返すでしょう。そうなってしまえば、日韓関係崩壊の危機を迎えかねません。昭和20年以降の日韓関係というのは、韓国が日本に悪行を重ね、それを対して「過去に日本は韓国に対して悪いことをした」と教え込まれてきた日本人が、ひたすら我慢するという図式で成り立ってきたのです。2015年12月30日、ソウルの日本大使館前で、他界した元従軍慰安婦女性の遺影を持つ「水曜集会」の参加者ら(共同) ところが最近はインターネットの普及などの要因で、日韓関係の真実を知るようになった人を中心に、いわゆる嫌韓感情というものが高まってきており、日韓関係は今までとは違った形になり始めています。私が心配するのは韓国側が、その変化に気付かないまま、合意をしたにもかかわらず今まで通りに日本を攻撃し続けた場合、日本人の堪忍袋の緒が切れ、日韓断交などの取り返しのつかない事態に発展することで、そうなってしまえば日韓離反を目論む国の思う壺になってしまいます。 逆に、可能性は低いですが現政権が日本との約束を真面目に履行すれば、それはそれで大変なことになります。韓国国内において政権批判が今以上に高まり、青色吐息であった従北勢力が勢いを盛り返し、次期大統領選はいわゆる左派勢力の勝利する可能性が高くなるでしょう、そうなれば慰安婦問題が蒸し返されるだけではなく、度々延期されてきたアメリカ軍から韓国軍への戦時作戦統制権の移譲が早まり、それが段階的な朝鮮半島からの米軍撤退にも繋がりかねません。最悪の場合は日本列島が38度線になることも覚悟しなければならず、いずれにしても日本にとっては厳しい道のりです。ただ、例に挙げたのは日本にとって極端なケースで、今後の韓国の出方によっては最悪の事態を回避することも十分に可能です。こうなったからには、日本は韓国と距離を取って静観し朴政権が国内の反日感情を上手にハンドリングしてくれることを望むしかありません。日本人同士の批判合戦は敵を利するだけだ そして我々日本人は、自国の総理が口に出してしまった以上、対外的に今回の合意もどきに対して日本の正当性を訴えるべきであり、感情的に安倍総理を批判したり、その逆に「安倍総理の真意をわからないのは馬鹿だ」「似非保守だ」というような批判を日本人同士で行い合うことは、敵を利するだけで日本の国益にとってマイナスの効果しかもたらしません。そうではなく我々日本人は世界に向けて、具体的に「軍の関与が、どういったものか」「謝罪の意味は何なのか」ということを説明していかねばなりません。大事なのは、この慰安婦問題もそうですが、感情を持った人間同士が正面からぶつかり合う局面においては、いくら正論でも相手の感情を無視した物言いでは相手に受け入れられないということです。そこを理解せず「自分たちが正しい」「それが分からないのは馬鹿だ」の一点張りでは、相手を説得することなどできません。 我々日本人が、この慰安婦の問題に限らず戦争で負けたことによって世界的に広まってしまった日本に対する誤った悪いイメージを払拭する為には、謙虚な姿勢で粘り強く説明していくしかないのです。その前提として、まずは日韓で行われている反日教育を止めさせなければなりません。それを行わずして、いくら最終決着と言っても、次から次に新たな問題が発生して来ることは目に見えています。子供のころから日本を嫌いになるよう教えている国と真の友好関係など築けるはずがないのですから、まずは日韓議員連盟をはじめとする日韓友好を標榜する人たちは、この問題に真剣に取り組んでいただきたいものです。 また今回、日本政府が韓国に対する責任を認めたことによりアジア各国におられる元慰安婦の方々を利用して日本を貶め、金を引っ張ろうとしている人間が国内外から湧いて出てくることも予想され、特に北朝鮮の出方が気になるところです。他にもアメリカにおいて、いわゆる従軍慰安婦の嘘を教科書に載せようする運動が行われており、これら山積する問題に対応するためには、たとえ今回の事に不満があっても現実問題として安倍総理に代わる人間がいない以上、今のところは彼を応援して我々日本人は一丸となっていくしかありません。いくら韓国が日本より国力が劣ると言っても、日本の中枢にいる親韓勢力や背後にいる中国や北朝鮮のことを考えると、決して侮れる相手ではなく、何しろ相手は国家の存続をかけていると言っても良いくらい必死でやっているのですから、油断すると足元をすくわれかねません。 我々は「安倍総理のやることは間違いない」と盲目的に彼を支持するのではなく、間違っているところは厳しく批判し、万が一彼が道を誤り本当に日本のためにならないと思えば退陣を求めるくらいの覚悟で批判しなければなりません。そうでなければ「アベ政治を許さない」と言っている人たちと、主張が逆なだけで同じになってしまいます。我々日本国民が守るべきは「自民党」でも「安倍総理」でもなく日本という国なのです。

  • Thumbnail

    記事

    私は総理に「反対」を伝えた! 慰安婦合意で不幸になるのは誰か

    たでしょう。それを、貧困がある程度は改善された現在の韓国と日本の眼から、高飛車に批判すべきではない。慰安婦問題の根っことは、ただ、これだけではありませんか?」 ここまで話すのに、わたしの語りとしては、せいぜい2、3分である。 それでも、なかなか語り終えることができないことも多い。しかし、語り終えることができたときには、韓国民の眼の色が、嘘のように穏やかに、優しく変わっていることを何度も体験した。 このままでは、韓国の子供たちと未来の世代は「朝鮮半島の男は、女を見殺しにする」という嘘をその身に被ることになる。 もともとは日本の敗戦後教育に、歪んだ根っこがある。アメリカ占領軍の「世界大戦は、日本だけが悪かったんだと思え」という教育宣伝作戦(WGIP/ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)をまともに呑み込み、日本を悪者にすることをみずから子供たちと国民に学校教育とメディア報道を通じて刷り込んできた。 だから「韓国の女性を銃で脅して連行し、従軍慰安婦にして弄(もてあそ)んだ」とみずから真っ赤な嘘の告白をすると本が売れてテレビに出られると思った吉田清治という自称ジャーナリストが嘘のつき始めとなり、学校で成績優秀だった記者が多いからこそ日本悪者論を骨の髄まで吸収している朝日新聞がそれを拡大し、韓国の政治家らが利用した。 現在の朴槿惠大統領からして、幼い頃からその虚偽を植え付けられて育っているのだ。 安倍晋三総理は、日本だけではなくアジアの史観を公正にするためにも再登板した。 それが「軍の関与の下」という致命的な嘘を固定する役割を果たしては、天命に反する。 天命に反すれば、不幸な結果がやがて忍び寄る。当面の内閣支持率が上昇し、参院選などに有利になっても、いずれそれが音を立てて逆回転し、内閣は本願を果たせずに終わるだろう。天命に反したままにしてはいけない。安倍総理は、嘘は嘘であることを世界に向けて立証することを、むしろこれを機に決断すべきだ。 わたしたち国民にもできることがある。韓国に行かずとも、ネットというツールもある。 わたしの長年のささやかな、前述の試みを、どうぞ参考になさってください。これからも一緒に考えましょう。

  • Thumbnail

    テーマ

    総理、慰安婦合意で良かったのですか?

    日本と韓国が慰安婦問題で合意したのは昨年暮れ。以来、安倍首相の歴史的な決断を疑問視する声が総理の支持層からも上がっている。「首相には失望した」「もう支持をやめます」…。ネット上では今もこんな不満の声がくすぶり続ける。総理、日本にとって慰安婦合意は本当に良かったのですか?

  • Thumbnail

    記事

    右派の批判は視野が狭い 対韓不信の感情で慰安婦合意を評価するな

    櫻田淳(東洋学園大学教授) 永井陽之助が著した『平和の代償』には、「伊藤博文は日露戦争を『邏卒番兵の役』であると認識していた」という趣旨の記述がある。明治・日本が死力を尽くした対露戦争の実相は、往時の覇権国家たる大英帝国の「代理戦争」であった。こうした実相を怜悧に察知していたのが、伊藤を含む明治・日本の政治指導層の「卓越性」の所以である。 此度の日韓合意にも、似たような風景が浮かび上がる。筆者は、此度の日韓合意に際しては、日本にとっての外交の相手は、「韓国」ではなく「米国」なのであろうと評価していた。米国を含む西側同盟のネットワークの中で「弱い環」になっていたのは、従軍慰安婦案件を含む歴史認識摩擦に揺れる日韓関係であったとすれば、その修復にどれだけ誠実に臨んでいるかは、西側同盟ネットワークのメンバーとしての存在証明になる。 当代の日本は、伊藤博文が大英帝国の「邏卒番兵」と認識した明治・日本ほど矮小な立場ではないにせよ、それでも覇権国家・米国の「ジュニア・パートナー」としての役割を引き受けてきた。昨今、ロシアによるクリミア併合や中国の南シナ海進出のような国際政治上の動きは、そうした役割の拡大を要請している。昨年の安全保障法制整備や「日米防衛ガイドライン」改定も、そうした要請に応える政策対応の一環であった。日本政府にとって、此度の日韓合意もまた、そうした政策対応の延長線上にあるものであろう。しかも、朴槿恵が政権発足以来、示してきた「対中傾斜」姿勢が露骨であればこそ、日本には、前に触れた西側同盟ネットワークのメンバーとしての存在証明を明確にすることは大事であったということである。会談する安倍晋三首相とオバマ米大統領=2015年11月19日、マニラ(共同) 一方、朴槿恵が国内政治上、どのように、この合意の履行をハンドリングできるかというのは、日本政府が容喙する話ではない。この合意が国際社会の衆人環視のものになれば、「出来たか、出来なかったか」という結果が問われる他はない。多分に十億円を供出してしまえば、「やることはやった」と説明がつく日本政府とは対照的に、韓国政府には、国内世論の懐柔から財団の設置・運営に至るまで、「やらなければならないこと」が積み重なってくる。韓国メディアは、此度の合意に反発する韓国国内の声を様々に伝えているけれども、もし、韓国政府が、そうした声に押されて此度の合意を反故にする挙に走れば、それは、韓国が西側同盟ネットワークから実質上、放逐される事態を招くであろう。米国を含む西側同盟諸国の支持という担保によって、韓国の対外行動に一つの「拘束衣」を着せたのが、此度の合意の意義である。 しかも、対日「歴史認識」共同戦線を張っていたはずの中国に対して、此度の「抜け駆け」合意をどのように釈明するかという課題も、韓国政府には重く圧し掛かってくるはずである。任期の半分を過ぎた朴槿恵は、このようにして一挙に積み重なった課題を片付けることができるのか。結構、難しいというのが客観的な評価であろう。此度の合意は、安倍晋三(内閣総理大臣)の政権基盤には大した影響を与えることはないけれども、朴の政治基盤には少なからずの影響を及ぼすかもしれない。 そうであるならば、此度の日韓合意を批判する日本国内右派層の反応に現れるのは、日韓合意を専ら「日韓関係」の文脈で評価する視野狭窄であろう。従軍慰安婦案件を含む従来の歴史認識摩擦の中で醸成された対韓不信の感情は、相当に広く浸透しているように推察される。故に、「韓国など信用ならないのに怪しからぬ…」という反応が出て来る。そうした議論は、国際政治が「四人でプレーする『三次元のチェス』」のようなものである事情を全然、理解できていないのであろう。日露戦争を專ら「日本とロシアだけの戦争」と認識した故に、その講和の中身に激昂した往時の日本の世論に似た風景が、そこにある。 もっとも、日韓合意が成ったとはいえ、それが日韓関係の好転を促すかといえば、そうした期待は抱かないのが賢明であろう。日韓交渉を続けたとしても、日本政府の視線がソウルではなくワシントンに向いていたのであれば、そうした結論になる。実際、NHK世論調査の結果に拠れば、日韓合意それ自体には、64パーセントがポジティブ評価を与えているけれども、それが日韓合意の要としての「最終的、不可逆的解決」を担保できると考えている層は、僅かに8パーセントである。実に59パーセントは、「蒸し返される」と思っていることが浮かび上がるのである。日本における対韓感情の膠着が解かれるのは、随分と先のことになるのであろう。

  • Thumbnail

    記事

    慰安婦合意の懸念 「プロの妥協」が日韓両国民の和解を遠くする

    老練な外交成果 日韓が慰安婦問題について合意に至りました。先の首脳会談で、「年内解決」がぶち上げられて以来、日韓合意が近づいている旨のリークが続いていましたから、まったく意外であるというわけではありません。私自身は双方の国内政治上、受け入れ可能な合意に至るのは難しいのではないかと懐疑的でしたので、「本当にやるのか」というのが率直な印象でした。その上で、今般の合意については老練な外交成果として評価したいと思います。 合意の骨子は、まず日本政府が慰安婦問題について「軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」ことを認め、「心からおわびと反省の気持ちを表明」することにあります。ここでのポイントは「軍の関与」という幅のある表現を使っていることでしょう。韓国からすれば日本軍による国策として強制性を認めさせたと主張できますし、日本は軍主導による強制連行までは踏み込まずに、慰安所の運営に軍が関わっていたことを認めたに過ぎないと主張できます。 合意では、「韓国政府が、元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し、これに日本政府の予算(約10億円*筆者挿入)で資金を一括で拠出し、日韓両政府が協力し、全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業を行う」ことになっています。個々の元慰安婦の方が金銭を受け取るのか否かについては、韓国政府に下駄を預けています。その結果として、慰安婦問題は「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認」されるという、日本が一番欲しかった言質を得ているわけです。韓国の尹炳世外相(手前)と会談する岸田外相=2015年12月28日、ソウルの韓国外務省(共同) 長らく懸案として存在し、戦争と暴力と性的搾取に関わる問題ですから、左右双方から様々な意見が表明されています。今後の日韓双方での世論の展開は読み切れませんが、左右の両極に位置する勢力以外は積極的に「評価」まではせずとも、「許容」するのではないでしょうか。特に、妥協を嫌う保守陣営を黙らせることは、保守に基盤を持つ安倍政権にしかできなかったことでしょう。その点が、自民党の中のリベラル勢力を代表していた河野官房長官主導の河野談話との違いでしょう。 反発する保守勢力に対しては、韓国側の出方を見ようと言うことができます。韓国政府が本当にこの問題を提起しなくなるのか、また、在韓日本大使館前の少女像の撤去/移転について「努力する」のか、韓国側にボールがあるからです。 2013年末の総理の靖国参拝と同様、国内メディアが「休日モード」に入っているタイミングを見計らっての合意発表といい、合意に至る過程での期待値コントロールのやり方といい、今回の合意には老練という印象を持ちました。 それでも、何か引っかかるものがある。政権による「歴史的」との自画自賛の評価とは別に、いくつかの懸念を覚えるからです。国民の和解は遠い国民の和解は遠い 最初に確認すべきは、これは政府間の合意であって国民間の合意でも和解でもないということです。当たり前のことですが、重要な点です。 韓国側は、これまでの常識からはとても解決できるとは思えない難題を抱え込みました。もちろん、日本側として、相手国が国内合意を取り付けられるかどうかまで心配して交渉する義理はありません。韓国の国内説得はどこまでも韓国の問題だからです。実際には、元慰安婦の方の説得も、慰安婦の方々を支援してきた対日強硬派の挺対協の説得も、少女像の撤去も、どれも一筋縄ではいかないでしょう。韓国の野党は当然批判のボルテージを上げてくるはずで、来年4月の国会議員選挙で与党が持ちこたえられるか注目されます。 日本側の世論も微妙です。足下の合意に不満を表明している保守層のことではありません。低位で安定している対韓世論全般が、さらに悪化するのではないかと思います。なぜなら、今後、慰安婦問題は以下のように展開するだろうと予想するからです。 今回の合意に韓国国民は拘束されませんから、韓国内はもちろん、米国や豪州など韓国系の住民を抱える国においては、これまでにも増して慰安婦問題がクローズアップされることでしょう。慰安婦像もどんどん建てられるはずです。 また、日韓政府は、「国連等国際社会において、本問題について互いに非難・批判することは控える」ことに合意していますが、当然、私的な団体による問題提起はなくなりません。韓国政府も、慰安婦問題で日本政府を「批判」することはしないかもしれませんが、当然慰安婦問題を「記憶」し、「顕彰」するための活動は継続するはずです。 今回の合意によって、日本社会には、今後、韓国(人)は慰安婦問題を持ち出さないという期待が生じているかもしれませんが、その期待はほぼ確実に裏切られる運命にあります。残念ながら、韓国国内に存在する強い反日世論は変わりませんから、反日運動は続きますし、日の丸が焼かれることも続くのです。韓国政府による対日批判は多少はトーンダウンするでしょうが、日本国民から見た慰安婦問題の取り上げられ方には大きな変化はないはずです。 日韓関係については常々、国民に支持されない合意はもたないと申し上げてきました。悲観主義が過ぎるのかもしれませんが、数年後、あの時が日韓関係の転換点だったと振り返ることになるのか。国民の支持に根差さない「プロの妥協」がかえって国民同士の関係がこじらせないか、懸念を覚えるわけです。何のための妥協だったのか何のための妥協だったのか 今回の合意に至る過程では、日本政府も重要な点で妥協を行っています。大事なのは、何のための妥協であったのかということです。 最も一般的な解釈は、東アジア外交のためということでしょう。日韓関係を改善することは隣国との関係改善ということでそれだけで一定の価値がありますが、より大きくは日米韓の絆を再強化することにつながるという点でしょう。日韓関係の改善には日中関係の改善が効いていたことは明らかですので、日韓関係の改善によって今度は中国にプレッシャーがかかるという側面もあります。 日本外交にとって一番の課題である中国とどのように向き合うかという点において、日韓関係の改善は明確な好材料です。日韓関係を改善する一番の戦略的な意味は韓国を中国の側に過度に追いやらないことですから、そのための妥協ということであれば十分な大義があります。年頭の記者会見に臨む安倍晋三首相=1月4日午前、首相官邸(斎藤良雄撮影) 二つ目の可能性は、内政上の目的をもった妥協であったという解釈です。安倍政権は、これまでも世論の雰囲気に巧みに対応してきました。安保法制の制定過程で右に寄りすぎたと思われたときには、首相の70年談話で中道に歩み寄り、支持率が回復基調にあるときには強硬策も押し通す。政策の微妙な立ち位置や言い回しを調整し、政策実施のタイミングもうまくコントロールしてきました。 年明けには、ずっと先延ばしにしてきた国会が控えています。景気の先行きが不透明で、アベノミクスの効果に注目が集まる中で、不人気の消費増税と公明党に配慮した軽減税率を固めなければいけません。夏に控える参議院選挙は、政権にとっての終局的な政治目標と思われる憲法改正を進められるかを占うものです。言ってみれば、憲法改正を実現するための妥協ならば、そこに一定の意義はあるとの見方は可能でしょう。 三つ目の可能性は、統治のための妥協であるという解釈です。つまり、長期政権を目指す安倍政権が権力維持のために行ったものであるということです。政権にとって権力維持はもちろん重要です。総理がコロコロ入れ替わる不安定な政治を経験してきた日本国民はその思いを強くしており、安倍政権の高支持率を支える根本的な理由となっています。しかし、本来的には政権維持は手段であって目的ではないはずです。 慰安婦問題は人々の感情に訴える問題ではあるけれど、基本的には象徴性をめぐる問題でしかありません。そもそも70年以上前の過去に完結している事象の解釈をめぐる問題です。名誉を回復されるべき元慰安婦の方もご存命の方々はわずかです。したがって、基本的には誇りとプライドの問題であり、動員されなければならない国家資源も大きいものではありません。慰安婦問題にこだわってきたのは韓国ですから、相手にとって重要な問題に、一定程度誠実に対応することは悪いことではありませんが、その妥協に、血の滲むような苦しさはありません。 言い方を変えれば、日本はもっと大きな問題に直面しているということです。追い詰められていると言っても良いかもしれません。経済は失速寸前でアベノミクスの勢いは消えつつあります。時間稼ぎをしている間に進めておくべき抜本的な経済改革は、実は、あまり進んでいません。日本の発展を支えてきた外交上の外部構造も崩壊しつつあります。 繰り返しますが、今回の合意は正しい方向だと思っています。そのやり方も、ある意味あっぱれです。支持率も上がるでしょう。他方で、本格政権には成し遂げるべきことの期待値も上昇するという代償があります。今回の合意に至る妥協は何のためのものだったのか、この支持率を何に使うのか。それが単に統治のためということでないと思いたい。そんな疑念が湧いてくるのです。(ブログ「山猫日記」より2015年12月29日分を転載)

  • Thumbnail

    記事

    「慰安婦日韓合意」で保守派が激怒する理由と背景

    著述家)「慰安婦日韓合意」に激震覚めやらぬ保守界隈 29日に岸田外相と尹韓国外相との間で発表された「慰安婦問題日韓合意」を受け、日本国内ではネット右翼(ネット保守とも)層を含む強硬な保守派全般の激震が覚めやらない。 SNS上やブログ上では、ネット右翼や保守系言論人による日韓合意への怨嗟の声が溢れ、これまで安倍総理を強固に支持してきた層からも「(安倍総理に)失望した」「裏切りだ」「年の瀬に最悪の悪夢」などの声があふれている。「慰安婦」日韓合意のニュース映像が流れる大阪市内の電気店=2015年11月28日午後、大阪市浪速区(彦野公太朗撮影).jpg この合意を受け、早くも12月29日には東京都内の保守系市民団体らが議員会館、首相官邸、外務省前などで抗議活動を繰り広げるなど、怨嗟の声はネットを突き破りリアルにも波及し始めている。「慰安婦日韓合意」がここまで保守派を怒らせている理由はなにか。「慰安婦問題」は保守運動の「一丁目一番地」 ネット右翼を含む強硬な保守派全般(以下、強硬な保守派)にとって、所謂「従軍慰安婦問題」は保守運動の「一丁目一番地」であると見做されてきた。 強硬な保守派が従前から強烈に主張してきた政治的イシューは、「憲法(第九条)の改正」「靖国神社公式参拝推進」「反東京裁判史観=YP(ヤルタ・ポツダム)体制打破」など手垢のついたものだったが、2011年12月に韓国の市民団体=韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)がソウルの日本大使館前の公道に「慰安婦像」を設置してから、急速に強硬な保守派にとって「従軍慰安婦問題」が運動の推進剤となった。 ブロンズ像という視覚的に分かりやすい「韓国の反日」の具体化が、日本の保守運動に火をつけ、この時期、強硬な保守派の中で「慰安婦」に絡めた「嫌韓」が自乗するように加速していく。 代表的なものを見ていくと、同年に設立された『なでしこアクション』(山本優美子代表)が筆頭で、「(従軍)慰安婦=性奴隷のウソに終止符を」を掲げ、爾来数々の保守運動の中心的存在のひとつとして保守系メディアで取り上げられてきた。 或いは2012年6月には、保守系政治団体『維新政党・新風』の鈴木信行氏らが前出慰安婦像の前に竹島の日本領有権を主張する「杭」を打ち込んだとしてソウル地検に起訴され(竹島杭事件)、韓国政府から入国禁止処分を受けるやいなや、強硬な保守派からは英雄扱いとなり各地で講演会、イベントを行うなどした。 さらにこのような保守運動を勢いづかせたのは、2014年8月に朝日新聞が自ら発表した「吉田清治証言の取り消し」であった。済州島で日本軍関係者が現地の女性を強制連行して慰安婦に仕立てあげたという所謂「吉田清治証言」が虚報であったことが確認されると、保守派は1993年の所謂『河野談話』、及び1996年の国連『クマラスワミ報告』が「吉田清治の捏造証言を大きな根拠としている」と主張した。造語「追軍売春婦」の登場造語「追軍売春婦」の登場 よって強硬な保守派は「吉田清治証言が捏造であるなら、河野談話もクマラスワミ報告も連座して無効」と主張し、従軍慰安婦そのものを「存在しなかった」として扱い、従軍慰安婦を営利目的の「追軍売春婦」(日本軍に勝手に追従した自由意志の売春婦)と言い換えてきた。 このように、2010年代からにわかに保守運動の前衛として「従軍慰安婦問題」がフォーカスされ、慰安婦像の撤去や慰安婦の存在そのものを否定するを運動はグレンデール市(米カリフォルニア州)での慰安婦像撤去署名運動、および2014年2月のフランス『アングレーム国際漫画祭』での、日本の保守系任意団体『論破プロジェクト』が出展を計画した「慰安婦否定漫画」などへと繋がっていく。 或いは、宗教右派や軍恩関係団体から構成される『日本会議』、保守系の独立放送局である『日本文化チャンネル桜』とその関連政治団体『頑張れ日本!全国行動委員会』、また所謂「行動する保守」の代表格である『在特会(在日特権を許さない市民の会)』など、大小を問わず、ほぼあらゆる強硬な保守系の運動の中に「慰安婦問題」が否定の文脈として登場することになった。 このようにして、まさに慰安婦問題は、保守運動の「一丁目一番地」となった。ずれる保守派の論点、整理されぬ対抗言説 このような従軍慰安婦問題に関する保守運動が大きな盛り上がりを見せる一方で、彼らの理論的根拠はチグハグで終始一貫性がないものであった。まず強硬な保守派が主張したのは、以下のように大きく三つに類別される。1)「吉田清治証言が捏造であったのだから、強制連行はなかった。したがって従軍慰安婦は強制されたのではなく自由意志で日本軍に従事していたのであり、彼女たちは”追軍売春婦”に過ぎないから問題ではない」とする追軍売春婦派=彼らの論拠からすれば、「追軍売春婦」は金儲けのために追軍し、待遇面でも良かったのだから”性奴隷”とは程遠く何ら問題ではない、となる(現状ではこの意見が最も多数派)。2)「従軍慰安婦はむしろ喜んで日本軍に奉仕した。日本軍とともに戦って死んだ慰安婦もいる」とする美談派=彼らの論拠からすれば、例え強制的な戦時性労働であっても、国のために兵隊に奉仕したのだから何の問題があるのか、という感情論。3)「同時期のドイツ軍等も同様だったのだから、日本だけが非難されるいわれはない」とする相対派=彼らの論拠からすれば、軍の関与も広義の強制性も認めているということになる(2014年1月にNHKの籾井会長が同様の発言をし、その後陳謝している)。或いはこの相対派の意見の中には、ベトナム戦争時の韓国軍による婦女暴行の事案(ライダイハン)を持ち出す傾向もある。 というふうになる。しかし奇妙なことに、「彼女たちは従軍慰安婦などではなく自由意思の、カネ目当ての追軍売春婦である」というものと、「例え強制的であってもお国に奉仕した無私の慰安婦に何の問題があるのか」というものと、「従軍慰安婦の存在も広義の強制性も認めるが、それは相対的に見て日本だけが悪いわけではない」という、全く世界観の異なるこれら三つ主張をすべて内包していたのが、強硬な保守派の主張だった。 すなわち、1)を採用すれば2)と3)と根本矛盾し、2)を採用すれば1)及び3)と対立するし、3)を採用すれば、1)と2)を完全否定することになる。 基礎的な歴史の事実を精査しないで、強硬な保守派の各人が、ネット上で各々勝手に、1)~3)の主張を叫び、或いはその都度、都合の良いようにミックスさせてきたのが今日に至る強硬な保守派の基本的な立ち位置であった。 すなわち、彼らのスローガンは「従軍慰安婦は存在しない。元慰安婦の証言はウソである。彼女たちは進んで性を提供することで兵隊に無私の立場で奉仕し、かつ高給取りだった。それはドイツもやっていたのだから日本だけが悪いわけではない。或いは全ては日韓基本条約で解決した」というものだ。この一文の中に、ありとあらゆる意味での矛盾が含まれていることは自明である。 つまり強硬な保守派は激烈に沸き起こる「嫌韓」や「反朝日新聞」の潮流の中で、対抗言説の要点を全く整理せず、慰安婦問題のどの部分を問題視しているのか、理論的中心がてんでバラバラであった。無理筋な「自由意志」無理筋な「自由意志」 その中でも、割合強硬な保守派が重視したのは1)にある強制連行の有無で、これが吉田清治証言の虚報によって補強されたのだから、「強制連行のウソ=軍の関与なし、つまり自由意志の追軍売春婦」という歴史観が強硬な保守派の通説となっていく。 ところが、欧米を含む国際世論が重視したのは、「吉田清治証言のような強制連行の有無」を通過し、「軍の関与そのもの、軍によるあらゆる形での管理買春の存在それ自体が戦時人権侵害である」というものであり、強硬な保守派の対抗主張と国際世論が重視する問題点はズレてきた。 その後、吉田清治証言は少なくとも河野談話に影響していないことが確認された(2014年10月3日、菅官房長官答弁)にも関わらず、強硬な保守派は「朝日新聞=吉田清治=河野談話=歴史の捏造・でっち上げ」というラインを崩すこと無く保守運動の推進剤としてきた。 が、実際に先の大戦中、旧植民地出身の従軍慰安婦が軍の管理(関与)の元、性労働に従事していたのは当然の事実であり、そこには仲介業者などを通じた人権侵害があったことは事実で、到底「自由意志」とすることはできない。 例えば先日逝去された水木しげる氏の作品の中でも「(当時呼称)ピー屋」として描写されているのが有名(作中では、慰安婦たちは軍の管理下の元、過酷な性労働に従事する一方で、軍に保護される存在として描写されている)なように、これまでに様々な媒体で発表されてきた韓国人元慰安婦の体験談の中に、誇張や幾許の嘘があり、所謂「強制連行」は無いとしても、従軍慰安婦の存在と日本軍の関与という歴史事実は、動かすことが出来ない。「嫌韓」の濁流の中を突き進んだ保守運動 これを現在の価値観から「善か悪か」と判断するのは評価の別れるところだが、このような歴史事実を「まったく存在しない」として主張する強硬な保守派の前出の主張1)は無理筋だし、2)については根拠に乏しいコラム的愛国美談に過ぎず、3)についてのみ、ドイツとの比較点がありそうだが、対抗言説を繰り広げそれを保守運動の中に積極的に組み込んできた強硬な保守派は、この1)~3)の互いに矛盾する全く異なる主張を、前出のスローガンのように逐次散漫に出しては繰り返し、対抗論点を整理しないまま、ネット上の粗悪な「嫌韓」の文脈の中にばら撒いたままにし、先鋭的な「嫌韓」に突き進んでいく。 よってこの度の慰安婦日韓合意で、日本政府が「軍の関与」を認めたことに保守派は激怒し、韓国に対し日本側が大幅に妥協したと憤慨している。彼らの怒りは、論点を整理しないまま、「嫌韓」の大潮流の中で唱えられていた「アンチ慰安婦問題」の保守運動が、漠然と日韓合意によって全面否定され頓挫したという印象を強く持つからであろう。 ところが繰り返すように、当の強硬な保守派自身が「慰安婦問題」の何が問題なのか、その論点を全く整理しないままに保守運動の「一丁目一番地」として前衛にしてきた。 常識的な判断ならば「吉田清治的強制連行はなかったにせよ、日本軍の関与(管理)があったのは事実なのだから、それについて10億円で最終的かつ不可逆的な解決が韓国とできるのであれば、良いのではないか」という評価に落ち着くと思うが、強硬な保守派の多くはそもそも「慰安婦自体が存在していない」から始まり、「喜んで性を提供した追軍売春婦」ときて「ドイツもやっていた」とあまりにもびまん的になるから、今般の日韓合意そのものが、強硬な保守派の漠として思い描く「慰安婦=捏造」の世界観が否定されたとして、これまた漠として怒っているというのが正解であろう。安倍政権への打撃はあるのか安倍政権への打撃はあるのか 今回の慰安婦日韓合意で、強硬な保守派から向けられた安倍総理への批判や失望は、第一に安倍政権にとっての打撃になるのか。また第二に、安倍総理がこのような強硬な保守派から「見限られる」という事態につながるのだろうか。 まず第一についてだが、仮に強硬な保守派全部が今回の慰安婦日韓合意を機に「反安倍」に鞍替えしたとしても、政権への影響は「まったくない」という風に評価できる。なぜなら、前述してきたネット右翼を含む強硬な保守派の人数はおおよそ全国で200万人前後で、かれらが議席に与える影響は『日本のこころを大切にする党(旧次世代の党)』の現有議席と趨勢をみれば明らかであるからである。 この辺りの実態は、私が拙著『ネット右翼の終わり(晶文社)』やYahoo!ニュースの別稿等で繰り返し主張してきたとおりで、仮に「ネット右翼を含む強硬な保守派の総離反」が起こったとて、政権への影響は極めて微弱かゼロである。安倍総理は「見限られる」のか そして第二については、そのそもこうした強硬な保守派が「反安倍」に鞍替えすることは、まず考えにくいという事実だ。遡れば、保守派が安倍総理に「深い失望」を表明したのは何も今回だけではない。 自民党が2012年12月に政権党に返り咲く前の段階でマニフェストに記載していた「竹島の日式典の政府主催」「尖閣諸島への公務員常駐」への強硬な保守派の期待は相当なものであったが、第二次安倍政権がスタートしてまもなくの2013年2月22日(竹島の日・竹島の日式典)が、政府主催ではなく従来と同じ島根県主催のものであった事実は強硬な保守派を落胆させ、一部の右派活動家らが首相官邸前で抗議活動をするなど事態はエスカレートした。 その時も今回と同様、「安倍に裏切られた」の怨嗟の声は多数あったが、強硬な保守派の受け皿が自民党しか無いため、結局彼らの多くは安倍支持を継続したという経緯がある。 ここには、「社民」「共産」といったリベラル勢力が小さいながらも国政政党を保有し、彼らの政治的主張の受け皿を担っているのに対し、強硬な保守派の政治的受け皿が、ほぼネット空間にしか存在しなかったという歴史的経緯が影響している。唯一、2014年後半に旧次世代の党がその役割を担ったものの、すぐに瓦解してしまった。 自らの政治的主張を代弁する国政政党を持たない強硬な保守派は、例え自らの理想とする「真の保守的世界観」から安倍総理が現実主義を採用して遠のいたとしても、安倍総理を支持するしか方策はなく、よって「見限られる」という事態につながるとは考えにくい。 強硬な保守派が「一丁目一番地」としてきた慰安婦問題は、大きく動いた。今後、日本大使館前の慰安婦像の撤去(移転)が実現するかどうかが愁眉の問題となるが、これが近い将来実現するとなると、強硬な保守派も一定溜飲を下げることとなり、結局は従前よりも増して強固な安倍支持の特性を色濃く持つだろうと予想される。(「Yahoo!ニュース個人」より2015年12月31日分を転載)

  • Thumbnail

    記事

    日韓慰安婦合意 歳暮のサプライズで吹き荒れた「後暴風」

    年12月25日、韓国訪問を予告する岸田文雄外務大臣の突如の発表につづいて、28日には日韓両国の外相が慰安婦問題の「最終的且つ不可逆的」解決を共同会見で宣言したのである。これによって、慰安婦問題が「一件落着」したとみなすしかないだろう。国際社会も歓迎する雰囲気なので、日韓関係史の上で大きな転換点の1つになることに間違いない。しかし、この電撃的な動きの後には、疑問と「後暴風」が吹き荒れている。総理の指示と大臣の年末外遊 クリスマス・イブの12月24日、安倍晋三総理大臣が「岸田外務大臣に対して年内に韓国を訪問するよう指示」したと報道された。昨今の日本政治であまり聞かない表現である。年末という時期に自民党内大派閥の領袖である岸田氏に韓国に行くように首相が「指示」した。そういう珍しいできことがあるならば、韓国との間になんらかの「根回し」が行われていたと推測するしかない。慰安婦問題の「年内決着」にこだわりを見せたのは韓国の朴槿恵大統領で、安倍首相は時期には拘らないという雰囲気を演出してきた。では、なにがあったのか。日韓両国外務当局の局長や次官レベルでの協議は数回あったが、それに頼って首相が大臣に年末外遊を支持することは想像しにくい。 こうした疑問を抱く私にふっと、1つの出来ごとが頭に浮かんだ。11月末に私は「ナヌムの家」(分かち合う家)の所長を訪ねたことがある。ソウルの郊外にある「ナヌムの家」には存命の慰安婦56名の中で10人が暮らしている。ある個人が寄付した土地に韓国仏教界が支援して1992年に作られたこの施設には、「日本軍慰安婦歴史館」と「国際人権平和センター」も併設されている。韓国では慰安婦の人々のための代表的な施設である。慰安婦の方々の安否に話が至ったところ、「将来はどうなるのか」の聞いた私に、アン・シンクォン(安信権)所長は予想外の答えを出した。ドイツの「記憶・責任・未来」財団を模範とするものをつくるのだという。そう答える安所長の顔には希望とビジョンが映っていた。それから一か月後の両国外相の共同会見で日本政府が出す資金で「財団」をつくるという発表が出た。元慰安婦女性らの支援施設「ナヌムの家」を訪問し、合意内容について理解を求めた韓国外務省の趙兌烈第2次官(左)=2015年12月29日、ソウル郊外(共同) 法律的には財団法人を作ることになるので、基本的に民間団体が主体にならざるを得ない。では、慰安婦関連の活動を行う韓国の団体が中心的な役割を果たすのであれば、どこになるのか。これを韓国の現政権が「選択」するのであれば、「ナヌムの家」か「挺身隊問題対策協議会」(以下、挺対協)になる。現在の朴政権の保守性を鑑みると、答えは前者になる。挺対協の執行部が「左派」の理念を持つ人々であることは、周知の事実で、それについて当事者たちは「誇り」をもつはずである。「右の反日」と「左の反日」 結局、韓国政府が「ナヌムの家」を相手にして日本との水面下の交渉を進めてきたということだ。だから、朱鐵基(ジュ・チョルギ)大統領外交安保首席補佐官が(2015年10月に韓国型FX戦闘機開発におけるアメリカからの技術移転問題で辞任するまでに)青瓦台から遠いナヌムの家まで何回にも足を運んだわけだ。朱氏は、青瓦台の「日本通」である李丙琪(イ・ビョンギ)大統領秘書室長(元駐日大使)の外務高等試験の2期先輩である。 この「青瓦台―外務部―ナヌムの家」連携仮説を裏付ける証拠はまたある。両国外相の発表のあとに、2人の韓国外務次官がそれぞれ挺対協と「ナヌムの家」に「説得訪問」をおこなった。その際、挺対協で待っていた元慰安婦イ・ヨンス氏は、入ってくる事務次官に「お前はどの国の者か」となじりとがめた。そして日韓合意を受け入れないのは当然であると。他方、「ナヌムの家」では事務次官が割と和やかな雰囲気で受け入られ、合意は不十分だが政府がそこまで頑張ったので受け入れると、元慰安婦は発言した。同じ慰安婦なのに反応は正反対である。ここで大事なポイントは、80歳をすぎた元慰安婦の方々が本人の意思をいうのではなく、自分たちの面倒を見てくれる団体の意見を反映しているということだ。日本大使館前の少女像を動かしたら「国論が分裂」すると、ワシントンで活動する韓国系団体が言った。しかし、慰安婦のことでは、韓国の国論は当初から分裂していたのだ。「右の反日」と「左の反日」 韓国の近代化を成し遂げた主役は、朴槿恵現大統領の父である朴正煕と彼の路線を引き継げる人々である。この保守の人々は基本的に親日的価値観をもっている。ビジネスマンが集まったところにたびたびでるたとえ話で、「仮に日本列島にトルコが入っていたら韓国はいまどうなっただろか」である。そうした意味で「保守=親日」「革新=反日」という政治図式があった。右派と左派の人々が国家共同体を分占するのが現在の韓国の実態である。この左右分裂に地域対立と世代間の葛藤が加わり、韓国ではことごとに紛糾が起きている。 しかし、歴史認識がかかわる事案では、左右を問わず反日に収斂している(正確には保守の人々があえて反論をいえない)のである。慰安婦、独島(竹島)、歴史教科書、そして最近に台頭した徴用工の問題である。こうした歴史問題の底辺に潜めている深層心理は、「既得権対非既得権」という意味での左右ではなく、歴史の上での敗北ということへの共通分母的「うらみ」である。では、そのうらみを構成する化学物質とはなんだろうか。それは、歴史を通して隣の(昔は劣勢だった)日本という民族に繰り替えし侵入され、1回も「仕返し」したことがないという羞恥心と、これからも永遠にそれができないという閉塞感であろう。 歴史認識問題において保守と進歩の両世界に「普遍的」に働いたこのうらみのせいで、韓国の保守政権さえ「ゴール・ポスト」を勝手に動かせるというイメージを日本に与えた。保守性の濃い李明博元大統領の独島上陸や朴謹恵現大統領の「千年の恨み論」はその普遍性を語ってくれる。だから、実用主義を重視し、日韓関係の重要性を深く認識している両政権も歴史問題においては市民社会をリードすることができなく、うらみに呪縛された状態にいたといえる。危機で映える政治家危機で映える政治家 そうした状況で、「慎重すぎる」朴大統領が安倍首相との会談であえて「年内解決」という表現を口にしたことは予想外のできことだった。歴史問題の呪縛を断ち切ったのである。では、なにがあって朴大統領は呪縛を切ろうと決心したのか。類推できることは2つの要因である。1つは、韓米日同盟関係をこれ以上漂流させるのは危ないという戦略的判断だろう。この判断にはオバマ政権の圧力があったことを否定できない。この戦略的計算は国内政治ともつながる。5年任期をもってスタートした朴大統領は、意外に支持率が低空飛行してきた。朴大統領には「国がなくなっても支持してくれるコンクリート支持層」が35%あるという話だった。であれば、現実の朴大統領への40%前後の支持率は極めて低いものである。こうした中で2016年に入ると、任期は実質的に2年しか残っていない。性格が弱いひとであれば、諦めてレームダックに安住してもおかしくない。しかし、両親を銃弾で失い、独身で政治の修羅場を勝ち抜いてきた朴大統領には恐怖心がないし、決断をしたら前に突進する。朴槿恵という政治家は危機の中で映える人物である。 2015年8月、天安門広場の壇上に上がった時点で朴大統領は任期の返還点を通過した。その時点から外交日程がきっしりと組まれていた。しかし、朴大統領を頂点とする韓国の保守界には危機意識が走っていた。1つは、韓国の中国接近が米国との同盟関係を揺らぐほどまでに行き過ぎたのではないかという心配。もう1つは、韓国市民社会で左派の価値体系が教育現場を支配しつつあるということだ。そういう趨勢は止めなければ2016年の総選挙で野党が優位に立つ可能性があり、その可能性は2017年の大統領選挙で野党人士の当選につながる恐れがある。そうなると、引退後の朴謹恵氏が大変な目にあう可能性も排除できない。 こうした危機感の中で行われた軌道修正が、外交の面では中国接近論の払拭と米日韓同盟体制の立て直しであり、内政では歴史教科書編纂の「国定化」への臨時的回帰、そして潘基文国連事務総長の大統領候補としての迎入への努力であった。そういう流れで、朴大統領は慰安婦問題の「決着」を腹で決めていたはずである。「後暴風」 こうした背景で「電撃的」運ばれた合意と共同声明に奇襲された韓国の市民社会、特に左派系の市民団体や学者たちが反発することは当然だ。それを韓国では「後暴風」とよぶ。砲を発射すると弾が飛びだした反対方向に反作用が働き、強く吹く風が後暴風だ。その後暴風の模様を1つ鑑賞しよう。 1月5日、韓国国会の議員会館では「緊急診断:2015年韓日外務長官会談の問題点」というタイトルの「緊急討論会」が行われた。主催は、挺対協、「民主社会のための弁護士の会」など4つの市民団体であった。その討論会に参加した運動家、学者、弁護士などは12・28合意を「歴史的正義を背けた野合」と規定し、「最終的且つ不可逆的」解決という宣言は韓国の憲法に違反する政治行為であると弾劾した。こうした議論がこれから野火のように広がることに間違いない。 そうなると日本からは韓国が「ゴール・ポスト」をまた動かすという批判がでるだろう。しかし、韓国政府、特に外務当局がわざとゴール・ポストを動かしたことではない。問題の要諦は、2分された国論をまとめる統治能力が発揮されてなかったことだ。その統治能力を朴大統領が見せてくれるのかによって韓国の国際社会での位相がきまる場面に差し掛かっている。ROH Daniel 政治経済学者、アジア歴史研究者、作家。韓国ソウル市生まれ。米国マサチューセッツ工科大学で比較政治経済論を専攻して博士号(Ph.D)取得。香港科学技術大学助教授、中国人民銀行研究生部客員教授、上海同済大学客員教授、一橋大学客員研究員、国際日本文化研究センター外国人研究員、京都産業大学客員研究員などを経て、北東アジアの政治経済リスクを評価する会社Peninsula Monitor Group, LLCを2015年7月に東京で設立。日本での著作として『竹島密約』(2008/草思社、第21回「アジア・太平洋賞」大賞受賞)がある。『「地政心理」で語る半島と列島』が藤原書店から出版予定。

  • Thumbnail

    記事

    韓国ロビー工作で米国人に「残酷非道な日本人」の印象増した

    態はさらに悪化した。  1991年、韓国の元慰安婦3人が謝罪と補償を求め日本政府を提訴すると、政府は慰安婦問題の調査を開始。1993年8月、十分な調査がなされないまま当時の内閣官房長官・河野洋平氏が旧日本軍の関与と強制性を認める「河野談話」を発表し陳謝した。これが決定打となり、慰安婦問題は外交カードとして韓国に利用されるようになる。  その後、韓国は米国をはじめとする国際社会に執拗なロビー工作を展開。1996年2月には「慰安婦=性奴隷」と定義する「女性への暴力に関する特別報告」(通称=クマラスワミ報告書)が国連人権委員会に提出され、日本政府による被害者への賠償などが勧告された。以後も国連ではたびたび慰安婦問題が提起され、「慰安婦制度は奴隷制度」、「慰安所は収容所」、「慰安婦は性奴隷」という誤った認識が国際社会に定着してしまった。米ニューヨークの国連本部で記者会見する米民主党のマイク・ホンダ下院議員(右から2人目)。同議員ら北米や韓国などの議員ら5人は、各国の議員横断組織「性奴隷制の犠牲者のための国際議会連合」を創設したことを明らかにした上で慰安婦問題について、日本政府に謝罪を求める声明も発表した=2015年11月23日(共同) 2007年になると、日系米国人のマイク・ホンダ議員を中心に、「慰安婦問題に対する日本の謝罪要求決議案(慰安婦非難決議案)」が米下院に提出され可決された。これにより、多くの米国人に「女性の人権を無視した残酷非道な日本人」のイメージが植えつけられたことは間違いない。  米国では、最もポピュラーな歴史教科書に「日本軍は14~20歳の女性を強制徴用し、慰安所で売春婦として働かせた」との記述があり、2011年以降は在米韓国・中国人の働きかけによって米国の各地に慰安婦碑や慰安婦像が設置されている。日本の名誉と国益を損なうプロパガンダは今も着々と進行中だ。関連記事■ 韓国が小中高生向けに作成した慰安婦教材 史実歪曲した内容■ 韓国の反日スレ「日本に爆弾テロする?」「お前通報シマス」■ 従軍慰安婦問題について韓国要人「一言謝れば韓国人は納得」■ 韓国 慰安婦を人権問題として世界に注目させ日本の譲歩狙う■ ソウル市劇団 慰安婦演劇の全米横断公演等で反日盛り上げる

  • Thumbnail

    記事

    禍根残した慰安婦日韓合意 虚偽に「断固たる反論」はできなくなるのか

    西岡力(東京基督教大学教授) 日韓両国政府が慰安婦問題で合意した。外交という側面からは肯定的に評価できる部分もあるが、国と国民の名誉を守るという側面では大きな禍根を残した。後者をどのようにリカバーするのかを早急に考えなければならない。予断を許さない慰安婦像撤去 ともに米国と軍事同盟を結ぶ韓国との関係改善は日本にとって国益にかなう。特に北朝鮮独裁政権が核武装をほぼ完成させる一方、大物要人の亡命があいつぐなど不安定さを増している現時点において、日韓関係の改善は日米韓3国同盟強化のために不可欠だ。 朴槿恵大統領も昨年7月に「2016年にも(北朝鮮が崩壊して)統一が来るかもしれない。影響力ある要人が亡命しているのは事実だ」と述べている。同じく昨年、ハワイに根拠をおく米太平洋軍司令部が北朝鮮有事に備えて作戦計画の再整備に取りかかっているという情報もある。 日本側からの要求を韓国が受け入れたという点も、これまでの対韓歴史外交にない新しさがあり、一定程度評価できる。これまでは韓国側からの要求を受け、まず謝罪した後、国際法上の立場から韓国の要求を値切るだけだった。それと比べると今回は日本側からも、(1)「最終的かつ不可逆的な解決」であることを韓国政府が確認すること(2)在韓日本大使館前の慰安婦像の撤去-を要求した。 前者は実現したが、すでに韓国第1野党が「合意に拘束されない」と公言しており予断を許さない。ただ、少なくとも一国の外相が公開の席で述べた国際約束を、政権交代したからといって無視するなら韓国の国際的信頼度は急降下するだろう。 後者は韓国政府が「努力する」と約束したが、そもそも公道に無許可で建造された像の撤去をなぜ民間団体と折衝する必要があるのか、韓国の「法治」が揺らいでいるとしか言いようがない。もし、日本が10億円を払った後も像の撤去が実現しないなら日本世論では反韓感情がより拡散するだろう。日韓関係歪めた盧政権の見解 一方、日本にとっての慰安婦問題の解決は、虚偽によって傷つけられた日本国の名誉回復なしには実現しない。この点で今回の合意は禍根を残した。 盧武鉉政権は05年8月に「韓日会談文書公開後続対策関連民官共同委員会」(李海チャン国務総理主催)を開催して、慰安婦問題についての次のような驚くべき法的立場を明らかにした。日韓首脳会談を終え、共同記者会見する小泉純一郎首相(右)と韓国の盧武鉉大統領=2003年6月7日午前、東京・元赤坂の迎賓館(代表撮影) 〈日本軍慰安婦問題等、日本政府・軍等の国家権力が関与した反人道的不法行為については、請求権協定により解決されたものとみることはできず、日本政府の法的責任が残っている。サハリン同胞、原爆被害者問題も韓日請求権協定の対象に含まれていない。〉 ここから日韓関係はおかしくなっていく。11年8月、韓国憲法裁判所が、韓国政府が慰安婦への補償について日本政府と外交交渉しない不作為は「憲法違反」だと決定したが、それもこの盧武鉉政権の見解に基づいている。 一方、日本政府は繰り返し慰安婦問題で謝罪をしてきたが、それはあくまでも売買春が非合法化された現在の価値観からの道義的なもので、当時の法秩序の中での「不法性」を認めていないし、「請求権協定で解決済み」という立場を崩していない。今回、岸田文雄外相も「責任の問題を含め、日韓間の財産および請求権に関する日本政府の(解決済みという)法的立場は従来と何ら変わりありません」と確認している。事実に基づく反論を自制するな しかし、安倍晋三首相までもが謝罪して国庫から10億円もの資金を支出することを見て、国際社会では「日本政府が、第二次大戦中に20万人のアジア人女性を性奴隷として強制連行し、人権を蹂躙した事実を認め、韓国政府に10億円を支払うことに合意した」という虚偽が広がっているのだ。 1月4日、合意に抗議して日本大使館前に座り込んでいた女子学生らは私に「20万人が強制連行され性奴隷となり、うち18万人が日本軍に虐殺された」と説明した。 安倍首相は14年12月の総選挙で掲げた政権公約で「虚偽に基づくいわれなき非難に対しては断固として反論し、国際社会への対外発信などを通じて、日本の名誉・国益を回復するために行動します」と約束した。 しかし、今回の合意で国際社会での相互批判を自制するとしたことにより、今後「断固たる反論」が事実上、できなくなるのではないかと憂慮される。 そもそも外務省は、吉田清治証言が事実無根であることさえ積極的に広報していない。安倍政権が外務省主導の下、慰安婦問題をはじめとする歴史問題で「事実に基づく反論」を控えてきたことからすると、政府の国際広報をどのように再建するか真剣な検討が必要になる。私は繰り返し「外務省とは独立した専門部署を設置し、わが国の立場を正当に打ち出す国際広報を継続して行うこと」を提言してきた。日本国の名誉回復ぬきの慰安婦合意は評価できない。

  • Thumbnail

    記事

    焦る朴大統領に余裕の安倍首相 慰安婦問題解決の妥協点を考える

    戦に近い状態が続いています。日韓間にはいくつかの課題がありますが最も重要視されているのがいわゆる従軍慰安婦問題。この慰安婦問題の「妥協点」を探り、解決へと導くために、安倍首相は岸田外相に対して、年内に韓国を訪問する方向で調整するよう指示したことが報じられています。年内といえば残すところ1週間。さすがにお互いに大晦日あたりは外したいでしょうから、ほんの数日で訪韓ということになるのでしょう。急な展開です。 朴大統領の任期は2013年2月25日から5年間です。来年の2月には残りは2年間。残り1年近くになれば、レームダック状況になります。こうした難問はレームダック状態の政治家は解決できません。ですから可能性があるとすれば、来年中に解決に一気に持っていくしかありません。このままであれば、朴大統領は日韓関係を冷え切ったままにさせただけで、成果を残さず、経済を冷え込ませてしまったということが残るだけになってしまいます。なんとか成果を出したいところでしょう。 まずは12月17日に韓国のソウル中央地裁は朴大統領への名誉毀損容疑で起訴されていた加藤達也産経新聞前ソウル支局長に無罪判決を言い渡しています。そもそも起訴自体がありえないようなケースですから、無罪は当然ではありますが、これも韓国政府から関係をこれ以上崩したくないというメッセージのようです。司法と政治とは別々のはずですが、韓国ではそうした建前も崩れているようです。判決に先立って、李裁判長は、韓国外務省から法務省に宛に「善処を望む」という要望が提出されたことを明らかにしています。韓国政府は日韓関係の改善を求めている、ということです。その後、ソウル中央地検は控訴を断念しています。これも政治的な匂いがします。 また、12月23日には、1965年の日韓請求権協定が「違憲」だとする訴えに対して、韓国憲法裁判所は却下の決定を下しています。日韓関係での韓国での裁判で、韓国の側が負けるという事態が続いています。従軍慰安婦問題の決着を目指す外務省局長協議を前に、記者団の質問に答える尹炳世外相=12月27日、ソウルの韓国外務省(共同) ただ、これを韓国が日韓関係の改善のために「折れつつある」とみるのは早計に過ぎるでしょう。むしろこれを取り引き材料として、慰安婦問題での日本側の譲歩を引き出そうとしているともみえます。韓国のユン・ビョンセ外相は従軍慰安婦問題について、「もう少し待ってもらえれば、結果を報告する時が来るだろう」と早期解決に向けた楽観的見方をしめしています。 水面下ではかなりの交渉があるのでしょう。ただどのような妥協案があるのかはまだ不明です。 韓国は、慰安婦問題には日本政府が関わっており、政府が謝罪し、補償することが必要という態度を崩していません。日本も1965年の韓日請求権協定で慰安婦問題は法的に解決済みであることと、慰安婦問題は民間での問題であり、日本政府は関わっていないという主張を変えることもないようです。法的な責任ではなく、人道的な見地から補償をしていくという姿勢です。これでは議論は平行線。どちらか、あるいはどちらもが折れなければ問題は進展しません。 私は妥協点を探すとすれば、以下のような案になるのではないかと考えています。*政府の代表としてではなく、安倍首相が謝罪し、人道的な立場から補償をしていく。*日本政府が従軍慰安婦にどのように関わったか、関わらなかったかについては、さらに 調査研究を進めることで合意する。そのための研究費用を日本政府が拠出する。*日韓の交流を促進するための基金を作り、学術交流、文化交流、経済交流をさらに進める。 つまり、焦点をぼやかしながら、お互いの主張が異なることを認め合い、問題解決への努力をすることで合意するというものです。 韓国側はこれで妥協しにくいでしょうが、安倍首相の(個人としての)真摯な謝罪があることを条件に飲むかもしれません。 これでもお互いに妥協できないとなると、 お互いに主張しながら時間が経つというこれまでと同じ平行線を続けるしかないのかもしれません。いずれにしても、この1~2ヶ月で一気に事態が動くかどうか。微妙なところです。韓国が二つの裁判での「配慮」を主張して、大幅な妥協を日本に求めるなら、朴大統領の政権下では解決はなくなるかもしれません。雪解けムードのなか、一気にお互いが妥協点を見つけるという可能性もあります。安倍首相が保守に属し、安定政権を築いている状態ですので、安倍首相は妥協できるだけの余裕を持っています。基本的な主張を曲げない範囲での妥協で、とりあえずの合意がなされ、日韓関係は雪解けの2016年になるかもしれません。(「児玉克哉のブログ『希望開発』」より2015年12月24日分を転載)

  • Thumbnail

    テーマ

    慰安婦「決着」を手放しで喜ぶべきか

    岸田文雄外相は28日午後、韓国の尹炳世外相と会談し、慰安婦問題で合意した。両外相は「最終的で不可逆的な解決」をそれぞれ表明。元慰安婦への支援では韓国政府が財団を設置し、日本政府からも約10億円の資金を拠出することが決まった。日韓国交正常化50年の節目で実を結んだ「決着」は手放しで喜ぶべきなのか。

  • Thumbnail

    記事

    朴槿恵大統領は決断できるか すべてが受け入れがたい慰安婦妥結案

    平(北海商科大学教授) 本日(28日)、岸田外務大臣が韓国を訪問し、尹炳世(ユン・ビョンセ)外相と「慰安婦問題」について協議を行う。ただし、その先行きは極めて不透明である。日韓両国がこの会談で何らかの合意に至るかどうかも分からないし、たとえ至ったとしても、元慰安婦女性を含め、大多数の韓国人は「慰安婦問題が解決した」とは受け止めないはずだからだ。 会談に先立ち、日本側が求めているのは、1965年の日韓国交正常化の際に締結した日韓請求権協定の再確認、慰安婦問題を最終決着させ今後蒸し返さないことの確約、ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像の撤去などである。さらに、それを文書で確認するよう求めているとされる。これらの要求は韓国側からすれば、すべて受け入れがたいものである。 日本側は1965年の日韓請求権協定で日韓間における法的な問題は解決済みとしてきた立場である。ところが、韓国の尹炳世外相は27日、日韓請求権協定に関し、「慰安婦問題」は請求権協定の対象外で、未だ解決していないと述べている。外相会談の一日前なのに、最も基本的な部分で意見の一致を見ていないのである。  「慰安婦問題を最終決着させ今後蒸し返さないことの確約」は更に難易度が高い。そもそも日本政府の要求を受け入れるならば、「従軍慰安婦問題はすでに解決済み」ということになってしまい、今後、この問題に関しては政府レベルで日本に何らの要求もできなくなる。もし、韓国政府がその種の妥協を行った場合、今度は国内からの激しい批判にさらされることは容易に予想できる。その批判は政権批判につながるだろうし、国会議員選挙を来年に控えて支持率を意識せざるを得ない朴槿恵政権としては大きな負担となるだろう。何しろ、日本が「慰安婦問題」を解決済みとする根拠となっている日韓請求権協定は朴槿恵大統領の父君・朴正熙大統領が日本と結んだものだからだ。会談前に笑顔で握手する安倍首相(左)と韓国の朴槿恵大統領=ソウルの青瓦台(代表撮影・共同) 実は、あまり日本では知られていないことだが、韓国で朴槿恵政権に批判的な人々が好んで口にするのが「朴槿恵大統領は親日派だ」というフレーズである。朴槿恵大統領が親日的だと考える日本人は誰もいない(だろう)が、韓国では朴大統領を批判する際に多く語られる言説である。その理由は朴正熙大統領が満洲軍官学校の出身で、日本の陸軍士官学校に留学した経験を持っているからである。その父の娘なんだから「親日派」なんだろう、という単純な論理である。韓国で「親日派」という言葉は一種の罵倒用語で、「売国奴」と同じ意味を持つ。そうした批判にさらされて続けてきた朴槿恵大統領が「慰安婦問題を最終決着させ今後蒸し返さないことの確約」を認めることなどあり得ないだろう。そんな確約をしたら最後、朴槿恵大統領の支持率は急落し、それこそ「親日派」として末代まで非難の対象とされてしまう。このことを否定する韓国人はおそらくいないだろう。慰安婦撤去の高いハードル 去る11月、朴槿恵大統領は安倍首相と会談した際に「元慰安婦女性が受け入れ、韓国民が納得する方法で(慰安婦問題を)解決すべき」という漠然とした要求を行っている。日本に正式に謝罪や補償を要求しつつ、その具体的方法は日本政府まかせ、その評価は元慰安婦女性や韓国民の判断まかせ、という曖昧な要求である。こうした要求を行った背景には前述した韓国内の事情がある。もし、「慰安婦問題」に関して安易に日本政府に妥協案など示したら、また、日本政府の出した解決案に安易に妥協などしたら、「親日派=売国奴」と批判されかねない。実際問題、日本政府がいかなる案を出したところで、すべての韓国人が納得することなどあり得ないだろう。多くの韓国人は「慰安婦問題の解決には日本政府の誠意ある対応(謝罪と補償)が不可欠である」と考えているが、それがどの程度のものなのかは個々人によりかなりの隔たりがあるからだ。  「ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像の撤去」は最もハードルが高い。韓国側は慰安婦像の移転を検討しているとも報じられたが、慰安婦像を設置した慰安婦支援団体(韓国挺身隊問題対策協議会)は強く反発している。挺対協の代表は「少女像(慰安婦像)は共同の存在であり、撤去や移設は不可能」とし、「日本政府に本当に解決の意志があるなら、日本の大使が少女像の前に来て追悼をするのが道理である」とも語っている。もともと、この銅像は韓国政府が設置したものではないし、すでに慰安婦支援運動の象徴的な存在となってしまっており、撤去どころか移転すらも容易ではない。  もし、これらの障害をすべてクリアして、日韓両政府が何らかの形で交渉妥結に至ったとしても、「慰安婦問題」で強い発言力を持っている慰安婦女性の支援団体(当の元慰安婦女性も含め)がそれに納得するとは到底考えられない。日本政府は元慰安婦女性を支援する新基金の設立を検討しているというが、元慰安婦女性の支援施設「ナヌムの家」の安信権所長は「名誉回復にならない」と否定的な見解を示している。また「ナヌムの家」で生活する元慰安婦女性も日本政府の妥結案に「失望している」と述べ、「安倍首相がここに来てひざまずいて謝らねばならない」「慰安婦の強制動員を認めない限り、謝罪は受け入れられない」「賠償はすべての被害者が話し合って決める問題だ」などと不満を示したとされる。また、「ナヌムの家」では生存する元慰安婦46人の意見を聞き、「1人でも反対すれば謝罪と賠償は受けない」と決めたという。  今回の日韓外相会談で何らかの合意に到るためには、朴槿恵大統領の不退転の決断が不可欠である。しかし、日本政府が韓国政府と何らかの合意に至って、元慰安婦女性の支援基金を準備したところで、現状では元慰安婦女性がその基金を受け取る可能性は低いと言わざるを得ないだろう。結局、95年に設立された「女性のためのアジア平和国民基金」の二番煎じになってしまうのではないか、というのが筆者の見立てである。

  • Thumbnail

    記事

    慰安婦合意、韓国支援団体に日本の「法的決着」がのめるのか

    最大の要因は、別のところにあると考える。韓国の市民運動の変化である。いくら日韓の政府間で合意しても、慰安婦問題を主導する運動体の理解がなくては、再び迷走してしまうことは確実である。そこにある程度のメドがついたから会談するということなのだろう。しかし、運動体に変化が見られるとはいえ、その変化は道半ばだとも思われ、実際に最終的解決に至るのかは楽観できない。その事情を書いておきたい。 この問題を知る人にとっては常識的なことだが、慰安婦問題をめぐる日韓の対立を理解するキーワードは、「法的責任」である。韓国側は、この問題は日本政府が当時の国際法、国内法に反して引き起こしたものであるので、国家としての法的な謝罪と賠償をする責任があるとしてきた。日本側は、日本が国家として関与したことは認めつつ、法的な謝罪と賠償の責任をとるような性格のものではなく、かつ日韓条約で法的にも決着済みであるので、人道的な見地での謝罪と金銭の供与が適当であるとしてきた。 日本側がこのような考え方を表明したのが、いわゆる河野談話であり、それを具体化したのがアジア女性基金であった。河野談話は、いまでは左派の金科玉条となり、右派には忌み嫌われる存在であるが、93年の公表当時、評価は現在と逆転していた。 たとえば産経新聞の「主張」は、「「強制連行」を、表現こそ違え、肯定するような意味を持つ」として危惧の念を表明しつつ、「改めで戦争が女性に強いた惨禍に胸が痛む」として、宮沢首相が表明した「おわびと反省の気持ち」の「言葉を繰り返す以外にない」と述べた。「民間主導でかつての慰安婦に誠意を示すことは大賛成だ」として、後のアジア女性基金の考え方を肯定している。「主張」のすぐ横に載った上坂冬子氏の談話では、いろいろ問題点を指摘しつつも、「政府の談話としてはこれが限度であろう」と述べ、限度として容認することを表明している。 一方、朝日新聞は、「被害者の名誉回復への前進である」として前向きの評価を与えている。しかし、今後の課題として、「反省と謝罪をはっきりと内外に宣言すること」、「補償するべきは補償する」ことをあげている。これは、河野談話でははっきりとした反省と謝罪になっておらず、「法的責任」を果たすことを意味する「補償」も明言されていないことへの批判だったのである。「法的責任」問題で表れた挺体協の変化 韓国の運動体である挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)も河野談話について声明を出したが、「「戦争犯罪という本質を回避した発表で、法的責任をとろうとしていない」と強く非難」(日経新聞93年8月5日)するものだった。筆者も1年ほど前(14年11月)、挺対協が運営するソウルの人権博物館を訪れたが、そこで流されていたテープの音声は、河野談話について「法的責任を回避するもの」としており、二十余年を経てなお批判する立場を明確にしていたのである。 ところが、昨年来、そこに変化があらわれた。「法的責任」という問題をめぐってである。韓国大統領府前で記者会見する韓国挺身隊問題対策協議会のメンバー=2014年8月29日、ソウル(共同) この十数年間、挺対協を含む日韓の運動団体は、毎年のように会議を開いてきた。2014年6月に開かれた会議は、「日本政府への提言」を確認したのだが、そこでは「「河野談話」を継承・発展」させるとして、かつてあれほど批判した河野談話を肯定的なものと捉える考え方が示されている。その上で「次の事実と責任を認めよ」として四項目が示され、さらに日本政府に求める「措置」が列挙されている。 今年の会議でも同じ内容のものが確認されたのだが、大事なことは、この文書への挺対協の見解が示されたことだ。挺対協の共同代表である尹美香(ユン・ミヒャン)代表は、この提言について「まさに私たちが求める解決の内容でした」と評価したのである。 その文書の内容を書き連ねることはしないが、大事なことは、このなかで「法的責任」という言葉が使われていないことである。「強制連行」という用語も、法的責任に直結するからだろうか、使われてはいない。そういうことを日本政府に求めていては、いつまでたっても問題が解決しないことを、日本の運動団体が挺対協に働きかけ、説得したのであろう。 日本政府側となお隔たりがあると思われるものもある。言葉でなく内容をめぐってだ。 たとえば日本政府が認めるべき事実として、「当時の様々な国内法・国際法に違反する重大な人権侵害であったこと」があげられている。国家が法に違反したということになると、「法的責任」そのものになる。しかし、戦後70周年に際しての安倍首相談話においても「深く名誉を傷つけられた女性たち」の存在に言及されており、「重大な人権侵害」を行った主体が日本政府だと認めよというのでない限り、何らかの合意は可能だと思われる。 日本政府がとるべき措置として、謝罪(法的な謝罪とは言っていない)とともに「謝罪の証として被害者に賠償すること」があげられている問題もある。「賠償」というのは一般に、違法行為をして与えた損害を償うことであり、「法的責任」と表裏一体のものである。だから、日本政府が「賠償」という名称で何らかの金銭給付をすることは考えられない。けれども、賠償という言葉は使わないが、全額を日本政府が拠出することにより、実態は賠償と言えるものにすることはあり得る。例えば、日本では「私有財産制」の原則から、災害などで個人の家屋が失われても、それを再建する費用は国庫から支出されないできた。しかし、阪神大震災などを経て次第に変化が生まれ、建前は変わらないまま支出がされるようになっている。 法治国家というのは、ある意味で、建前が原則なのである。建前に説明がつけば、実態はある程度の柔軟性が許容されるということだ。それを慰安婦問題にどう適用するかという応用問題が問われている。 問題は、日本側の建前が変わらないという現実を、挺対協が受け入れられるのかということである。日韓外相会談で何らかの合意があったとすれば、そのことが挺対協に問われてくる。 いま紹介したような運動体の文書に挺対協が合意してきたとはいえ、あくまで会議に参加した代表が合意したということであって、組織全体が合意したことを意味していない。実際、挺対協のなかには、一切の妥協を許さないグループも存在すると聞く。日韓政府間合意はガラス細工になる 解決が容易でないことを予測させる事態が、運動体の今年の会議をめぐって発生した。北海道新聞が、この会議について、「慰安婦問題 『法的責任』は求めず 韓国・挺対協 従来方針を転換」と見出しをつけて報道したのだが(4月25日付朝刊)、挺対協からの抗議を受け、訂正をしたのである。 北海道新聞の当初の報道は、「挺対協が、日本政府に対して立法措置による賠償など『法的責任』に基づいた対応を求めてきた従来方針を転換したことが分かった。……要求を緩めた」とするものであった。さらに、「尹代表は『(法的責任を直接追及しなくても)提案内容で、実質的に日本の法的責任を明確にできる』とも報じた。これが訂正報道では、それぞれ「…日本政府に対し慰安婦問題の解決に関しとるべき方向を提示した」、「尹代表は『法的責任の内容というものは提言の中に込められている』とした」とされたのである。 要するに挺対協は、「法的責任は追及しない」という部分を問題にしたわけである。法的責任という言葉は使わないにしても、要求している内容は法的責任に当たるということにしてもらわないと、これまでの行きがかりもあって、立つ瀬がなくなるということである。実際には法的責任という建前を放棄しているのだが、放棄したと書かないでほしいということでもある。 日韓政府間で何らかの合意がされたとして、運動体がこれまで建前と本音について徹底して議論してきたのなら、スムーズな解決がされたかもしれない。しかし、そういう議論がないままなので、運動体の内部では建前と本音を上手に使い分けしていかないと、政府間合意を一致して受け入れることにならないだろう。 いわばガラス細工のようなものなのだ。不用意な政治家が、「この合意では法的責任は認めていない」とか、「賠償を払わないことで合意した」などと発言でもすれば、それだけでこんな細工は容易に崩壊する。 けれども、これが最後の機会である。立場は様々であっていいから、誰もが合意を促進する立場に立ってほしい。慰安婦問題の解決に積極的に運動してきた人には、あれこれの問題点をあげつらうのではなく、二十年余の努力が実を結んだのだとみなして、慰安婦に対して「これで解決しよう」と励ましてほしい。慰安婦問題など存在しないと考えてきた人にも、「これで本当に最後にならないと恐ろしいことが待っているぞ」という気持ちからであってもいいから、韓国側を挑発するのはやめてほしい。 なお、合意に向かう上で最大の障害の一つは、在韓日本大使館前に設置された慰安婦像をどうするかという問題になろう。撤去せよという日本側と、撤去しないという韓国側の間で、一致することが困難だ。この問題では、拙著『慰安婦問題をこれで終わらせる。』(小学館)で提唱したやり方しかないと感じている。慰安婦問題が解決し、日韓が和解したことの証として、いまの像を包み込むような形のモニュメントをつくるものである。このやり方なら、韓国側は慰安婦が安らかな眠りについたと思えるし、日本側は慰安婦像はなくなったと解釈できるのではないか。 何をもって慰安婦問題の解決というかは難しい問題である。しかし、首脳会談もまともに開けないとか、市井の人々の日常の暮らしのなかに隣国批判が横溢するとか、そんな状態は終わらせなければならないと思う。本当に最後の機会である。

  • Thumbnail

    記事

    反日勢力の急先鋒 韓国挺身隊問題対策協議会はどんな団体か

    戦の舞台裏を赤裸々に明かした前・在韓国特命全権大使の武藤正敏氏はいう。韓国の反日勢力の主体のひとつ、慰安婦問題解決を妨害してきた一部の声の大きな勢力について、武藤氏が解説する。* * * 反日勢力の主体のひとつは歴史問題を扱う市民団体やNGOで、中でも急先鋒として知られるのが韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)である。「(慰安婦問題を)なんとか解決をしたいと思っている」と話す韓国挺身隊問題対策協議会の尹美香代表=5月、ソウル市内の事務所(共同) 挺対協は1990年代はじめ、「慰安婦問題」解決のために組織された韓国の民間団体で、ソウルの日本大使館前で毎週行う「水曜デモ」が1000回を超えたことの記念に「慰安婦像」を大使館の目の前に設置したことでも知られる。 同時に、日本政府の謝罪や反省、補償が十分ではないとの考えから、元慰安婦に対して、日本の「女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)」からの「償い金」や、村山首相の「おわびの手紙」の受け取りを拒否させたり、受け取った7人の元慰安婦に、露骨な嫌がらせをしたりした(*注1)。【注1:韓国紙『ハンギョレ』(7月13日付)は慰安婦団体関係者の発言として〈(日本で)挺対協が被害者の意思を無視したまま、アジア女性基金を拒否するなど…問題の解決の妨げになっていると、根拠もなく非難する人々が増えている〉と書き、武藤氏の著書などにより挺対協の実態が批判されてきていることに懸念を表している】 そういう団体だから、韓国政府に圧力をかけることは常だ。日本が「アジア女性基金」を設立して慰安婦問題の解決に向けて努力した1995年、当初、韓国政府は「これまでの被害者の要求がある程度反映された誠意ある措置であると評価したい」と論評していた。しかし、挺対協の横やりを受けて徐々に態度を曖昧にしていき、韓国政府も最後には「被害者たちが納得する措置を日本政府には取ってほしい」と評価を一変させてしまった。 韓国政財界に多くの人脈を持ち、国民の支持を得ている挺対協の主張には政府もマスコミも従うほかなく、妨害工作が幅を利かせている。私が大使に就任した10年、実は前述の7人だけでなく、54人の元慰安婦が秘密裏に「償い金」を受け取っていたことを知った(*注2)。【注2:アジア女性基金は、54人の元慰安婦の存在について、韓国内における立場を考慮し公表しなかった】 挺対協が受け取りを拒否させていなかったら、ほとんどの人が受け取り問題は解決し、安らかな老後を送っていたことだろう。日本が一方的に非難される現状を打開しなければ日韓関係は正常に戻らないと考え、私は大使としての責任において、あえてその事実に言及した。慰安婦問題で和解の道を探るとすれば、事実関係を正確に理解し、それを踏まえた取り組みを始める以外にないと考えたからだ。 しかし、半ば予想した通り、韓国政府や有識者はその事実に目をつむった。韓国政府が一部の政治家、マスコミ、挺対協等の反日勢力の圧力に屈することで火種が醸成される。それが近年の日韓対立の構造である。関連記事■ 韓国反日団体 中国人の「反日」インターンシップ受け入れも■ 反日利用の朴槿恵氏 ベトナム虐殺問題ではブーメランが襲う■ 韓国の反日スレ「日本に爆弾テロする?」「お前通報シマス」■ 韓国 慰安婦を人権問題として世界に注目させ日本の譲歩狙う■ 従軍慰安婦問題について韓国要人「一言謝れば韓国人は納得」

  • Thumbnail

    記事

    前駐韓大使 慰安婦問題の妥結は日本より韓国にかかっている

     安倍晋三首相と韓国の朴槿恵大統領との初の首脳会談が11月2日に行なわれた。慰安婦問題をめぐって攻防戦が展開されると思われたが、朴大統領の方から、水面下で慰安婦問題解決の“示談金”ダンピングに応じる構えを示してきたのだ。日本政府が元慰安婦に対する人道支援をするというもので日経新聞は1億円台、韓国の東亜日報は3億円以上と報道している。この問題の行方を前駐韓大使の武藤正敏氏が解説する。* * * 日韓首脳会談で朴大統領は、慰安婦問題の解決を求めましたが、この問題は国交正常化の際、「完全かつ最終的に解決」されています。 ところが、韓国では皆が「慰安婦問題は未解決だ」と信じています。その原因を作ったのが、歴史問題にこだわった盧武鉉(ノムヒョン)元大統領で、2005年に慰安婦など反人道的な行為については日韓請求権協定の対象外だと主張しました。明らかな後出しジャンケンです。盧武鉉元大統領 盧武鉉政権はその後も国内の対日協力者の財産を没収しましたが、これも後出しジャンケンです。政治的に終了している問題も、自分たちの歴史認識と相容れない問題は終わらないのです。 日韓関係を難しくしているのは国民感情です。今後日韓関係は国際的視野で考えていくことが重要です。世界有数の民主主義国日本に欧米各国が求めているのは、現代の人権感覚に基づいて、「慰安婦は過去のことではあるが、女性の人権が蹂躙された案件だから、人道的見地からお詫びする」という姿勢であり、他の歴史問題にはない視点です。実は、日本は既にアジア女性基金で行なっています。 本来ならあの時、おばあさんたちがお金を受け取っていれば、「これで償われた」と健やかな老後を送れていたはず。しかし、韓国国内で強い影響力を持つ挺身隊問題対策協議会(挺対協)が「法的責任」を要求して反発し、韓国政府は批判を恐れて「アジア女性基金からは受け取らない」と誓約書を出した元慰安婦に生活支援金を出したため、「償い金」を受け取らなくなったのです。 報道では、日本政府が改めてアジア女性基金のような形で「償い金」を出すというプランが出ていますが、問題は韓国政府が挺対協の主張に振り回されることなく、国益と国家戦略、地域の安全保障、日本との関係、日韓の世論などを総合的に判断して対応できるかです。この問題の妥結は、日本側よりむしろ韓国側にかかっていると思います。関連記事■ 韓国が小中高生向けに作成した慰安婦教材 史実歪曲した内容■ 韓国の反日スレ「日本に爆弾テロする?」「お前通報シマス」■ 韓国 慰安婦を人権問題として世界に注目させ日本の譲歩狙う■ 従軍慰安婦問題について韓国要人「一言謝れば韓国人は納得」■ 韓国人と結婚した統一協会の日本女性が和服で慰安婦問題デモ

  • Thumbnail

    記事

    朴槿恵政権にとって「韓日国交正常化50年」は一体何だったのか?

    しんだ。朴槿恵政権は対中傾斜を強めた一年だった。その一方で日本の世界文化遺産登録を批判し、妨害した。慰安婦問題は28日の日韓外相会談で妥結を目指すことになったが、朴政権がこの間、醸成してきた日本の嫌韓感情は、たとえ慰安婦少女像が撤去されても、簡単には払拭できないだろう。今年、両国政府は443件の日韓50年記念行事を承認したが、両政府主催の祝賀行事はついに開けなかった。韓国発でいまだに揺れる? 日韓国交正常化の普遍性 今月23日、韓国憲法裁判所は元徴用工遺族の訴えを却下した。訴えは1965年の日韓請求権協定そのもの俎上に上げ「請求権協定は違憲」としていた。韓国司法は近年、日韓の外交案件に関わる司法判断を続々と出していただけに、今回の却下は「日本への配慮か」と観測されている。 戦後処理に関する二国間問題を国内法で覆す-国際的には非常識な対日攻勢に日本側は強い違和感を抱いてきた。安倍政権が今春、外交青書の韓国に関する記述から「価値観を共有」を削る背景にもなった。 慰安婦問題も背景には韓国司法の違憲判決が横たわる。2011年、憲法裁判所が出した「慰安婦問題で韓国政府が努力しなかったのは政府の不作為で憲法違反」との判決だ。元徴用工問題も韓国大法院(最高裁)の「個人の賠償権は日韓請求権協定外」との判断(2012年)を根拠に、下級審で日本企業の敗訴が続き、現在も上告中で大法院の判断待ちだ。 28日の外相会談も、違憲判決を背景にした協議だ。韓国側は「韓国の国民が納得できる水準」を日本に迫ることになる。「日本との政治和解はしていない」 今年は各種の日韓シンポジウムが開かれた。代表的な見解はこうだ。韓国側からの現状分析- 「国交正常化は政治的妥協の産物だったが、真の日韓和解はまだ実現していないのだ。当時、確かに韓国は日本の経済協力資金で国土の開発資金を得た。しかし、日本も国交正常化で韓国という市場を得たではないのか。両国間にはわだかまる感情と歴史認識問題が残っている」(韓国の研究者) 今年8月14日、在韓日本大使館の前では慰安婦問題などの抗議集会が開かれ、警察による厳重な警備が行われた=ソウル(早坂洋祐撮影) 日本側は日韓関係をこんな風に捉える-。 「半世紀を経て日韓関係は構造的な変化している。半世紀前の韓国は朝鮮戦争後の混乱期にあり、経済的に日本に従属的な関係にあった。しかし韓国は高度成長を経て先進化し、GDP2万8000ドル(昨年実績)となった。両国関係は垂直から水平的な関係に変わってきた」(日本の研究者) ただ、韓国側の発想には根本的に日本側と相容れない認識がある。それは日本統治に対する評価で、日本は帝国主義時代の国際法で合法だったとするが、韓国は非合法の侵略としている点だ。従って韓国側には「日韓併合は侵略」「違法だった併合を日本が賠償するのは当然」とする発想がある。 日韓基本条約、請求権協定で「完全かつ最終的に解決」とする日本に対し、韓国には「承伏できない」との不満が渦巻く。これがさまざまな議論に影を落とすのだ。韓国における請求権をめぐる訴訟も韓国側の「解消されないフラストレーション」による。朴槿恵大統領が日本に求める「正しい歴史認識」の背景にはこの認識対立がある。2015年の朴外交と安倍外交 2015年日韓関係は停滞のなかでの“にらみ合い”が続いた。朴外交は対中傾斜が目立ち、安倍外交は着実な日米関係の前進が特徴となった。 韓国は安倍晋三首相の戦後70年談話に神経を尖らせ、「植民地支配」「侵略」「痛切な反省」「おわび」のキーワードの有無を注視、一方で日米関係強化に高い関心を示した。日米ガイドラインの合意や安倍首相訪米での議会演説の内容を注目した。一方で北東アジアの安保環境に資する安倍政権の安全保障関連法案には強い警戒感をみせ、韓国メディアは日本の野党と同様の「戦争法案」のレッテルを貼り安倍政権を批判した。 日本からみると、朴政権の対日外交は韓国の軸足のブレからくる日本に対する牽制のように映った。 朴槿恵政権は“米中バランス外交”を標榜してきたが、実際には米中の狭間で揺れていた。韓国は米国の懸念をよそに中国のアジアインフラ投資銀行の創立メンバーに入ったが、米韓関係の後退を懸念する声が絶えなかった。 11月、日韓首脳会談が実現した背景には米国からの再三の要請があった。韓国は譲歩し、慰安婦問題の進展なしでの首脳会談を決断した。経済界からも対日改善への要求のある朴外交は日本に対し和解ムードに切り替えたようにみえる。4月の総選挙後は韓国政界の関心は次期大統領選に移る。朴政権にとって大きな政治決定は年内が望ましかった。 慰安婦問題について、日本の認識は「ボールは韓国にある」(外交筋)とみられている。反日世論の抵抗がより厳しいからだ。この慰安婦協議は、正常化から51年目に入る日韓両国の本音が問われることになる。(久保田るり子)

  • Thumbnail

    記事

    韓国に「譲歩」では何も生まれないことを日本人は知るべきだ

    して、名乗り出て訴訟沙汰になっている米軍相手の慰安婦「ヤンコンジュ(洋公主)」たちのことを記事にし、慰安婦問題で日本を批判する韓国政府を舌鋒鋭く批判していた。そのことも、パク大統領には許せなかったのかもしれない。 「これは当然の判決であって、特別に感慨を抱くということはありません。公人中の公人である大統領に関する記事が気に入らないとして起訴する構図。このあり方は、近代的な民主主義国家の姿としてどうなんでしょうか。いま一度、考えてもらいたいと思います」 本日、判決後にそんな怒りの記者会見をおこなった加藤氏の気持ちはよくわかる。一方、加藤氏を起訴し、「懲役1年6か月」という求刑までおこなっていた韓国の検察当局は、最後に政権からも梯子(はしご)を外され、世界に「恥を晒した」と言える。 この事件で失墜した韓国の「国家的信用」が回復されるのは極めて難しいだろう。民主主義国家の根幹を成す「言論・表現の自由」がこの国に存在しないことは、先月、『帝国の慰安婦』の著者、朴裕河(パク・ユハ)・世宗(セジョン)大学教授を在宅起訴して、世界を唖然とさせたことでもわかる。 起訴の理由は、驚くべきことに、「秩序の維持などのためには、言論の自由や学問の自由は制限される」というものだった。「気に入らない言論は叩きつぶす」「都合の悪い研究はやめさせる」というのが、韓国の際立った特徴であり、基本姿勢なのだ。まさに“独裁国家”である。三権分立も言論・表現の自由も韓国には「ない」 一連の出来事は、韓国が先進国と「価値観の共有」ができるような成熟した国家になるまでには、まだまだ長い歳月が必要であることを教えてくれる。 それにしても、今回の裁判は最後まで驚かされた。これまた近代国家、民主主義国家の原則である「三権分立」も韓国には「ない」ことがわかったからだ。 韓国外務省が判決を前にして、裁判所に対し、「日韓関係などを考慮し、(判決に対して)善処するよう要請した」というのである。つまり、韓国では、「司法の独立」もなく、政府が判決の中身に干渉したり、要望を出したりすることができるのである。 もともと加藤氏の起訴が、大統領の“意向”であったことは間違いなく、事件は最初から司法への政治介入から始まり、最後も政治介入で「決着させる」という極めて特異な経過を辿ったことになる。「三権分立」さえない国には、「民主主義国家とは何ぞや」と聞くことさえ憚られる思いだ。 本日、李東根(イ・ドングン)裁判長は、3時間もの判決文朗読でこう言及した。「韓国は民主主義制度を尊重しなけければならない。憲法でも“言論の自由”が保障されている」「外国記者に対する表現の自由を差別的には制限できない。本件も、言論の自由の保護内に含まれることは明らかだ」「大統領の公的地位を考慮すれば、名誉毀損は認められない。私人、朴槿恵に対する誹謗目的もあったとは認めれない」 そして、「判決は、次の通りである」と前置きして、「無罪」を宣言したのである。3時間もの間、着席も許されず、立って朗読を聞き続けた加藤氏は、ついに「無罪」という言葉に辿り着いたのだ。 それは、「三権分立」もなく、最初から「有罪」という結論が決まっていた中での、まさに「予想外」の判決だった。 私は、この無罪判決は、ひとつの大きな「道」を示したと思っている。それは、加藤氏も、産経新聞も、そして官邸も、一度も韓国に譲歩せず、毅然とした姿勢を貫き通したことにある。 そして、日本政府は、あらゆるチャンネルを通じて、「この裁判がどういう意味を持っているか」を韓国に伝えてきている。一種の“脅し”である。 それは、「やれるものなら、やってみろ」という気迫が伴うものでもあっただろう。私は、一貫したこうした毅然とした姿勢が、今回の「無罪判決を生んだ」と思っている。 韓国のような国家に対して「譲歩」では何も生まれないことを日本人は知るべきだろう。それを「教えてくれた」という意味では、この裁判もそれなりの意義があったと言える。 今後、今回の国家的信用失墜に対して、韓国は長く苦しむことは間違いない。民主主義国家としての価値観が共有できない「弾圧国家」としてのレッテルが貼られた韓国は、その払拭(ふっしょく)のためには長い歳月が必要だろう。 この無罪判決で、「両国の関係は改善される」などという楽観的な観測が早くも出ている。しかし、日本側からすり寄る必要は全くない。 韓国は、民主主義国家ではないことが証明されたのだ。今後は、その“根本”に目を向けさせるために、日本は、毅然として「距離」を置き、同じ価値観を共有できるまで、じっと「待てばいい」のである。そのことを日本人は肝に銘じるべきだと、私は思う。