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    ニッポンの宅配危機はアマゾンのせい?

    界に達したとの指摘もあるが、やはり最も影響が大きいのは米ネット通販大手、アマゾンの存在である。変わる流通業界、ニッポンの宅配危機を考える。

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    悪役かヒーローか、アマゾンが変える宅配業界とネット通販

    角井亮一(イー・ロジットチーフコンサルタント) 2016年11月。その異変が起こりました。横浜市にあるヤマト運輸の支店で働いていた従業員がヤマト運輸の労働組合でなく、労働基準監督署に行き、残業代未払いなどの実態を申告しました。これまで宅急便の生みの親、小倉昌男氏と労働組合のタッグの強さは業界の中でも有名でしたが、その労働組合を頼らなかったのです。 そして、1月24日。全国から902人が集まったヤマト運輸労働組合の「春季生活改善」中央討論集会では、さまざまな意見が飛んだそうです。結果、2月末から日経新聞が連日、ヤマト運輸の宅配ドライバーさんの悲鳴とアマゾンに対する値上げ、サービスレベルの引き下げなどの話題を報じ、テレビなどでも取り上げられました。 私自身も、『とくダネ!』『スッキリ!!』などの情報番組やJ-WAVEなどのラジオにも出演し、冷静な解説に努めました。私の説明は「宅配ドライバーさんの長時間労働が根本問題」であるということ。値段よりも、仕事量や働き方こそに問題があると考えています。宅配60億個時代 そもそも、なぜこの問題が起こったのでしょうか? その背景には、宅配個数の著しい伸びがあります。私は2020年代には宅配便60億個の時代が来ると思っています。過去にはサプライチェーンマネジメントという製造サイクルの短期化という大きな1つ目の波があり、2つ目にインターネット革命によるネット通販の拡大がありました。そして今、IoT革命による実店舗とネット通販が融合した「オムニチャネル」化宅配という3つ目のビッグウェーブが来ています。 アマゾンがいなくても、60億個時代は来る。そしてインターネット通販の拡大は続きます。なぜなら、「私たち消費者が便利な買い物を求めている」からです。この問題を一番短期で効果的に解消するのは、数値で20%、体感値で35%もある再配達をゼロにすることです。アマゾンが教えたこと では、なぜアマゾンばかりが槍玉に上がるのでしょうか? それは、拙書『アマゾンと物流大戦争』 (NHK出版新書)で書いたようにアマゾンが物流によって、勝ち上がってきたからです。 日本は以前からロジスティクス(物流)を重要視していませんでした。戦争でいちばん大事なのはロジスティクスですが、当時から日本では軽視されていました。一方、アメリカや中国はロジスティクス重視で、それは戦争だけでなくビジネスでも同じです。物流は戦うための支えになる戦略なのです。ロジスティクス重視の会社の業績が上がることは、セブン-イレブン・ジャパン、アスクル、花王を見ても明らかです。ロジスティクスは、ボディブローやローキックのように、じわじわと相手を痛め、打ち負かす戦略です。 そして、アマゾン。彼らはいま挙げた日本企業の数倍も物流を重視する会社です。かつて創業者のジェフ・ベゾスは「アマゾンはロジスティクスカンパニーだ」と語りました。いま、日本企業は、アマゾンにはロジスティクスによって勝てないと焦り始めています。アマゾンが、ロジスティクスの重要性を私たちに教えたのです。プライムナウの衝撃 世界各国の物流業界を見てきた私は断言します。日本の宅配会社は世界最高峰であると。特に、小倉昌男氏が作り上げたヤマト運輸の「宅急便」は最高に素晴らしい。ただ、ここでもアマゾンは、日本の物流に関する観念(考え)に一石を投じました。日本のネット通販企業は全国1箇所、多くて2箇所の物流センターが通常ですが、アマゾンは大型の物流センターを12も出しています。地方にも出すことによって、お客様に近い場所からお届け出来、当日配送のエリアを拡大できるようになったのです。画像はイメージです そしてこの利便性にハマる顧客が出てきました。明らかに盲点です。もちろん、すべての荷物に当日配送は不要ですが、10回に1回でも必要なときがあれば、当日配送ができるネットショップを使おうとします。これによって、いつもの店がスイッチするのです。もともとの会社にとっては、これまでの常連さんが居なくなるのです。 また、プライムナウという1時間で配送できるサービスを開始しました。 このプライムナウですが、使った人の話を聞くと、多くの確率で、受け渡しなどの対応はヤマト運輸さんや佐川急便さんのドライバーさんのほうが良いと言います。私もそう思います。でも、消費者は使うのです。 なぜなのか? 宅配だと1回で受け取れずに、結局受け取りに時間がかかります。1時間や2時間後なら、自分が自宅にいることを見越した上で、注文できます。 もう1つ重要なポイントがあります。夜間配送です。一番遅い便だと、深夜0時までの配送が可能です。ほとんどの宅配便は9時が最終です。9時以降に受け取りたいという人がいるのです。また、朝は8時から(一部では6時から)届けてもらえるので、パートに出る前に受け取ることが出来たりします。 当日配送やプライムナウは、日本の宅配便のサービスレベルに慣れていた私たちに衝撃を与えました。彼らは新しい物流サービスのニーズがあることを消費者やネット通販企業、物流会社に知らしめました。日本の宅配サービスは、過剰といえる部分があったり、足りないところもあった。物流には、新しいサービスを提供する業態があったということをアマゾンは、私たちに教えたのです。アマゾンが王者になる日 ヤマト運輸は、時間帯指定のサービスレベルを下げると発表しました。これはネット通販企業にとって大きな出来事です。なぜなら、彼らの売上を落とすインパクトがあるからです。例えば、ネット通販を頻繁に買う若年層の場合、他の世代と比べて一人暮らしが多く、また、それほど高い家賃のマンションに住んでいないため、宅配ボックスの数が不足気味か宅配ボックスの無いマンションに住んでいる率が高いのが実態です。そのため、多くの荷物は、20〜21時の時間指定にしています。 ということは、この層がメインターゲットのアパレル通販などは、受け取りづらくなるため、店に行ったほうが早くなるかもしれません。また、クール便を使う商材を扱う企業でも同様です。これによって、購入自身を断念するかもしれません。そうなると、ヤマト運輸を利用するネット通販企業は、売上が下がる可能性が高く、その下がった分は、プライムナウの地域であれば、プライムナウで買う人が増える可能性が高いのです。 今回のヤマト運輸の決定は、一見、アマゾンにとっての打撃かもしれませんが、実は、中期的にアマゾンのシェアを上げることになるのです。また、彼らは全身全霊でヤマト運輸ゼロでも対応できるように準備しますから、さらにアマゾンが独自のロジスティクスを持つことになり、競合への競争力は一段、いや数段上がることになります。 ヤマト運輸の20〜21時の廃止(19時〜21時への拡大)によって、アマゾン以外が衰え、自社配送を行うアマゾンが大幅に売上を伸ばす結果となります。今後のアマゾンのロジスティクスへの投資は、注視しないといけませんし、他の企業は独自または共同のロジスティクス網を構築する必要があることを冷静に分析し、決断しなければなりません。

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    ヤマト運輸が「当日配送」から撤退しても、アマゾンが潰れない理由

     加谷珪一(経済評論家) ヤマト運輸とアマゾンの交渉がヤマ場を迎えている。ヤマトはアマゾンに対して配送料金の値上げを求めているが、当日配送からも撤退する方針を固めており、サービス内容の見直し交渉も同時並行で進めている。アマゾンは値上げについてコメントしていないが、一部のサービスが変更になる可能性は十分に考えられる。 2016年3月期におけるヤマトの宅配便取扱量は17億3126万個と前年比で6・7%増加したが、2017年3月期はさらに増えて18億6756万個になった。2011年と比較すると荷物の取扱量は約3割も増加している。 取扱量が増えた最大の原因は、言うまでもなくアマゾンを初めとするネット通販の普及である。アマゾンは年会費3900円の有料会員(プライム会員)向けに「お急ぎ便」のサービスを提供している。お急ぎ便の場合には、時間にもよるが当日配送が可能となるため、運送会社の負担はどうしても大きくなる。※写真はイメージ 以前、アマゾンは当日配送を主に佐川急便に委託していたが、佐川が当日配送から撤退したことを受けて、多くをヤマトに依存するようになった。このためヤマトの取扱量がここ数年、急激に増加していた。ヤマト以外にもSBSグループや日本郵便など複数の運送会社に依頼することで負荷分散を図っているが、ヤマトのシェアが高いことから、結果的に同社の負担が過大になってしまった。 ヤマトはこうした事態を受けて、当初、時間帯指定サービスの見直しについて検討を開始した。荷物の総量が増える中、正午から14時までの時間帯指定配送があると、昼食を取れない従業員が出てくるなど、現場の負担が大きくなる。夫婦共働きやひとり暮らしの世帯などは、夜間の時間指定配達を依頼するケースが多いが、これも従業員の帰宅時間を遅らせる結果につながってくる。時間指定の要件を緩くすることで、配達要員の仕事にゆとりをもたせようという考え方である。 だが時間帯指定サービスの見直しは、あくまで配送効率を高めるためのものであり、取扱量の削減にはつながらない。ヤマトは取扱量抑制のため、値上げ交渉を進めるとともに、当日配送から撤退する方針を固めた。もし値上げと当日配送からの撤退が実施された場合、アマゾンなどネット通販のサービスはどう変わるのだろうか。 アマゾンは一連の交渉について外部にコメントしていないので、今後の対応については推測するよりほかない。だが、同社のこれまでの事業展開を考えると、単純にサービスを低下させるだけにとどまる可能性は低い。アマゾンの対応については短期的なものと中長期的なものに分けて考えた方がよいだろう。 短期的にはヤマトが当日配送から撤退し、配送料金の値上げを実施した場合、アマゾンは一部のサービスを見直すことになるかもしれない。アマゾンは日本郵便やSBSへのシフトを進めると考えられるが、両社のキャパシティは限定されているので、従来と同じサービスを維持することは難しくなる。ただ、これがアマゾンの経営にとって大打撃なのかというと、そうはならないというのが筆者の見立てである。 アマゾンが提供している「お急ぎ便」のサービスには、通常の「お急ぎ便」と当日に配送する「当日お急ぎ便」の2つがある。無料会員の場合、お急ぎ便は360円(税込み)、当日お急ぎ便は514円の配送料がかかるので、わざわざ高額の配送料を払ってお急ぎ便を選択する利用者はそれほど多くないはずだ。ヤマトの撤退が大手にとってはチャンスになる 一方、有料会員の場合にはどちらも無料になるので、利用者側はあまり意識せずにこれらのサービスを利用している可能性がある。だが利用者の意思で両者を自由に選択することはできない仕組みとなっており、物流センターの状況や商品の在庫状況によって当日配送かそうでないかは変わってしまう。つまり、当日配送にするかどうかの選択肢はもともとアマゾン側にある。 当日配送かどうかをあまり意識せずにお急ぎ便を使っていた有料会員にとっては、当日配送できる商品の割合が減っても現実的にはあまり困らない。アマゾン側は利用者があまり認識しない形でサービス水準を落とすことができるので、ヤマト以外の配送事業者で対応できる範囲までサービス・レベルを調整することはそれほど難しいことではないだろう。 では長期的にはアマゾンはどのような対応を見せるのだろうか。おそらくはアマゾンはすでに開始している自社のリソースを使った独自配送網の拡張に動く可能性が高い。 アマゾンは、お急ぎ便のサービスに加えて、有料会員を対象にアプリを通じて注文した商品を1時間以内に配送する「プライムナウ」というサービスも行っている。1回あたり2500円以上の注文が条件で、890円の配送料がかかるが(2時間以内でよければ無料)、運送会社ではなくアマゾンのスタッフが商品を直接配送する。注文から1時間以内に配達する「プライムナウ」でアマゾンジャパンが開設した専門倉庫=東京都豊島区 先ほど、お急ぎ便のサービス内容が低下するという話をしたが、どうしてもすぐに商品が欲しいという利用者は追加料金を払っても「プライムナウ」のサービスを利用するはずである。プライムナウが利用できる範囲はまだ限定的だが、これが大きく広がれば、既存のお急ぎ便との棲み分けは十分可能となる。 量販店大手のヨドバシカメラも昨年9月から、ネットで注文した商品を最短2時間半で届ける「ヨドバシエクストリーム」というサービスを開始している。すべての商品が対象になっているわけではないが、自社の配達要員が2時間半で配達してくれる(配送料は無料)。 同様のサービスには、ディスカウント・ストア大手のドン・キホーテも参入している。同社の「majica Premium Now」サービスは、専用サイトで注文した2千円以上の買い物について、最寄りの店舗から最短58分で配送してくれる。対象エリアは店舗から半径約3キロ以内で750円の配送料がかかるが、2時間枠内での配送でよければエリアが半径5キロに広がり配送料も無料となる。 ヤマトのアマゾンから一部撤退と値上げは、短期的にはネット通販にとって逆風だが、体力のあるネット通販事業者にとっては自社配送による顧客囲い込みを行うチャンスとなる。ネット通販のビジネスは今回の騒動をきっかけに大きな転機を迎えることになるかもしれない。

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    巨人アマゾンの罠にまんまとハマったヤマト運輸の「豊作貧乏」

    片山修(経済ジャーナリスト) 世界でも高水準といわれる日本の物流網が軋(きし)み始めた。一体、物流の現場で何が起きているのか。 軋みの原因は、宅配便の急激な増加だ。中でも、インターネット通販の急成長による荷物の急増だ。その象徴がネット通販国内最大手、アマゾンジャパンであり、同社の荷物量は年間で4億5000万個にも上るといわれる。 アマゾンの荷物は過去、宅配便業界2位の佐川急便がメーンで引き受けていた。ところが2013年、佐川急便はアマゾンとの値上げ交渉が決裂して撤退した。その後を受けて参入したのがヤマト運輸だ。佐川急便は撤退後、取り扱い個数は減ったが、利益率は上昇した。逆にヤマト運輸は個数が格段に増加したが、利益率は減少したのである。 というのは、ヤマト運輸のさばく宅配便全体のうち、アマゾンの荷物は1割から2割、年間約2・5億個から3億個とされる。ヤマト運輸は現在、アマゾンと独自の契約を結んでおり、アマゾンの荷物の平均配送単価は、15年度の宅配便全体の平均578円の半分程度といわれている。 ヤマト運輸に限らず物流業者は、人手不足で荷物をさばききれないため、配送を他社に委託せざるを得ず、委託費が収益を圧迫する「豊作貧乏」状態にある。 利益があがらないので、ドライバーは当然「低賃金」に甘んじることになり、いよいよもってドライバー不足に拍車がかかる悪循環に陥っているのが現状だ。 問題の解決には、荷受け抑制のための料金の引き上げが焦点になる。現にヤマトは、今年9月末をめどに、27年ぶりに個人向け宅配便の基本料金の引き上げに踏み切った。次のポイントは、大口顧客のアマゾンとの値上げ交渉である。 ヤマト運輸のセールスドライバーは、昼休みも業務に追われ、連日15時間以上働くような状態で、現場からは悲鳴が上がっている。サービス残業の常態化による残業代未払い問題まで起きているのだ。 ドライバーなど現場にこれ以上の負担を強いることができないヤマト運輸は、アマゾンに対して強い姿勢で交渉に臨むというが、どんな駆け引きが展開され、いかなる結論に至るのか。「巨人」アマゾンが相手だけに、予断は許されない状況にある。「物流大混乱」二つの原因 宅配便最大手のヤマト運輸が苦境に陥るほど、物流の現場が混乱している背景には、大きく二つの原因がある。 一つは深刻な人手不足だ。少子高齢化、人口減少社会の中、1995年に約8700万人だった生産年齢人口は、15年に約7700万人、65年には約4500万人にまで減ると試算されている。 中でも物流や建設など、いわゆる3K(きつい、危険、汚い)職場の人手不足は深刻だ。ヤマト運輸のセールスドライバーは、全国に約6万人といわれ、現在も増員中だが、荷物の増加には追いつかない。 もう一つは、前述したように、インターネット通販の普及による宅配便の急増だ。国内の宅配便などの取り扱い個数は、10年前に比べて30%近く増加している。ヤマト運輸の16年度の個数は18億6756万個を数えた。荷物を台車で配送するヤマト運輸の従業員=東京都中央区(伴龍二撮影) 宅配便急増の背景として指摘しなければならないのは、社会構造の変化だ。 全商取引金額における電子商取引の占める割合は5%近くに達し、宅配便サービスは今や社会インフラ化しているといえる。実際、若年層や共働き世帯などにとって、必要なものをスマートフォンから手軽に注文し、指定した時間に受け取れるネット通販の利便性は捨てがたく、今後、ますます需要は増えると考えられるが、現状のままでは物流崩壊は避けられない。  では、質の高い宅配サービスは、どうすれば維持できるのか。正直、妙案はない。 物流業者はもちろん、ユーザーである企業や受取人、行政などができることを一つひとつ積み重ねた上にしか、サービスの維持はできない。 宅配業者を悩ませる問題の一つが、2割近くにのぼる再配達率だ。寝起きや化粧をしていないといった理由で「居留守」を使うケースも少なくないといわれている。いかにして再配達率を下げるか、知恵を絞らなければいけない。 例えば、物流業者は再配達の3度目以降の料金を追加するなど、適正なサービス対価を受け取ることを考えるべきだろう。現に西友は、ネットスーパーの再配達時に手数料400円の上乗せを始めた。日本郵便と楽天は近々、初回の荷物受け取りで楽天ポイントを付与するサービスを開始するという。消費者に求められる常識的な努力 それから、家にいなくとも荷物を受け取れる「宅配ロッカー」をもっと普及させるべきだろう。ヤマト運輸は、仏郵便機器大手、ネオポストと組んで22年までに駅や商業施設5千カ所に宅配ロッカーを設ける計画で、すでに200か所以上に設置している。JR東日本やセブン‐イレブン・ジャパンもロッカーの設置を進めている。 ロッカー増加にはずみをつけるには、国の後押しが必要だろう。幸い、国は17年度から宅配ロッカー設置業者に費用の50%を補助する制度を始めた。 この際、もう一歩進んで、新築のマンションに対して宅配ボックスの標準装備を義務付けてはどうだろう。それに、戸建て住宅の宅配ボックスにも補助金が検討されていいだろう。都内のオフィスビルに置かれた宅配ロッカー。荷物を通勤時に受け取れ、ユーザーにとっても利便性が高い その一方で、消費者の意識にも変化が求められる。生活の中に定着し、欠かせない宅配便を存続させるため、「居留守を使わない」「再配達について必ず受け取れる時間を指定する」など常識的な努力が求められる。それから、ヤマトの会員制サービス「クロネコメンバーズ」に登録すれば、LINE上で配達指定時間のやり取りができるなど、簡単に配達の効率化に寄与できるのだから、消費者もそれくらいの配慮をしてもいいのではないか。 このような努力を積み重ねても、人口減少社会が続く限りは人手不足の解消が期待できない。今後もドライバー不足は続くだろう。 となれば、頼みの綱は技術進化だ。すなわち、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)など最先端技術を導入し、合理化、生産性向上を目指すのだ。物流倉庫へのロボット導入やピッキングの自動化などはもとより、長距離の幹線輸送においても、無人運転を目指した隊列自動走行の実証実験が2018年以降にスタートする。 またヤマト運輸は、AIによる最適な配送ルートの割り出しのほか、宅配車の自動運転、ドローン配送など、マンパワーに頼らない新たな配送手段の開発を急いでいる。 宅配便は今や、誰もがその恩恵を受ける水道やガス、電気にも匹敵するほどの「社会インフラ」である。ならば一層の技術進化を含め、維持に向けて多方面からの努力が求められてしかるべきである。

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    ヤマトの宅配ドライバー「Amazonなければ辞めてなかった」

     ネット通販の拡大によって、宅配市場は急成長を遂げたが、現場のドライバーたちにとっては、ただ負担が増すばかりだった。アマゾンやユニクロへの潜入取材で話題を呼ぶジャーナリストの横田増生氏が、ヤマト運輸や佐川急便に潜入して著した『仁義なき宅配』(小学館刊)で体感した現場の過酷さとは──。* * * 現場が疲弊する最大の理由は運賃の低下にある。業界のシェア50%近くを握るヤマト運輸の2000年の1個当たりの平均運賃単価は740円台だった。それが直近の単価は570円台まで下がっている。2割以上の下落である。 運賃下落の最大の要因は、アマゾンをはじめとしたネット通販各社への大口割引にある。多くのネット通販が、送料無料を掲げるが、実際はネット通販の運賃を肩代わりして支払っている。しかし、利用者から送料を受け取らないだけに、宅配各社へ支払う運賃は低く抑えられる傾向が強くなる。 そのなかでも、アマゾンからヤマト運輸が受け取る運賃は300円前後となり業界で最安値の水準にあるといわれている。しかし、出荷個数は3億個前後で、ヤマト運輸の取扱個数の約2割を占める。宅配便業界が“豊作貧乏”に陥っている理由がここにある。 2016年に辞めたヤマトのドライバー2人は、「アマゾンの荷物がなければ辞めてなかっただろう」と口を揃える。 アマゾンからの荷物は、数が多いだけではなく、荷物が各宅急便センターに届くタイミングも遅い。通常、センターには、毎日3回、センターごとに仕分けされた荷物が配達されてくる。朝が午前6時前後、昼が午後2時前後、夕方が午後5時前後。アマゾンからの荷物は、5時頃の便で大量にやってくる。40個や50個が運ばれてくることもある。 6時頃に出庫する際の残貨が80個を超えると危険水域だ。民家への配達は1時間で20個前後。そうなると最終の夜9時までに配り終えるのは難しい。焦ったドライバーが、日付が変わって寝静まった民家に誤って配達して「こっぴどく怒られた」という話も聞いた。関連記事■ ヤマト、宅配料金を全面値上げへ…27年ぶり■ ヤマトと佐川急便の2強が繰り広げる「運賃ダンピング合戦」■ 佐川急便 Amazonと取引停止で「ライバルに100億円のエサ」■ 郵政上場 日本郵便はヤマト運輸との全面対決で「奪還営業」■ 日本における民間宅配事業の先駆者 ヤマト運輸か佐川急便か

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    公営や官営が大嫌いな大前研一氏が提唱する「宅配公社」構想

     ドライバーの人手不足、荷物量の急増などによって宅配便業界が崩壊寸前だと言われている。この危機的な状況を打開するには、どうしたらよいのか。経営コンサルタントの大前研一氏は、荷物を届ける最後の「1マイル(1.6km)」の配送の方法を公営もしくは官営にすべきだと提案している。* * * ドライバーの長時間労働が問題となっている宅配便最大手のヤマト運輸は、荷物の急増と人手不足で厳しさを増しているドライバーの労働環境を改善するため、宅配便の基本料金を27年ぶりに引き上げるとともに配達時間指定サービスの見直しや再配達の受付時間を短くすること、荷物量を適正な範囲に抑えることなどを決めた。 この問題については様々な議論が巻き起こっているが、私はすでに約20年前からラストワンマイル(最後の1マイル)の配送を1社に集約する「宅配公社」構想を提案している。なぜなら、日本の住宅は不在率が高いため、宅配便にしろ郵便にしろ、ラストワンマイルにお金と手間がかかりすぎているからだ。近年はタワーマンションや大規模マンションが増えたため、ますますラストワンマイルが遠くなっている。 一方、ユーザーの側からすると、宅配便だけでなく新聞や郵便物、投げ込みチラシなどを届ける業者が、入れ代わり立ち代わり玄関やポストにやってくるのは、時に煩わしいものだ。お中元やお歳暮のシーズンは、1日に何枚も不在連絡票が入っている家も珍しくない。そこで、このラストワンマイルの配達を1社に集約すれば、物流の効率は飛躍的に向上する。その具体的な方法が宅配公社の設立だ。 私はもともと「公営」や「官営」は大嫌いな人間だが、ラストワンマイルだけは公営あるいは協同組合にすべきだと思う。やり方は二つある。一つは自治体ごとに宅配公社を設立するという方法で、これは自治体の財源にもなる。 もう一つは、公営とはいえヤマト運輸や佐川急便、日本郵便などの民間企業が共同運営するという方法だ。つまり、ラストワンマイルを届けるためのデポは地区ごとに宅配会社のうちの1社を決め、各社はそこに配送する。そこから先は、クール便などの特別な荷物以外はその地区を任された会社が“右代表”で1日1回(場合によっては朝・夕2回)、各家庭にまとめて届けるのだ。 新聞や牛乳なども一緒に配達すればよいだろう。そうすれば宅配会社のドライバーの負担は大幅に軽減されるし、ユーザーも1日に何回もインターホンを鳴らされずに済む。 そして宅配会社間の競争は、ラストワンマイル以外のところでやればよい。たとえば、よりきめ細かい顧客対応やドライバーの負担を増やさなくてもできる配達時間指定・再配達のシステム作りなどである。関連記事■ 宅配マンが敬遠する荷物は水 大量に運ぶと憂鬱な気分になる■ 宅配便配達員が証言「amazonで本買う人は不在のことが多い」■ 宅配業者にイケメン期待する化粧奥様 イケメンでないと落胆■ 宅配便 配達状況を最も把握してる人と遅配発生する理由とは■ ヤマトの宅配ドライバー「Amazonなければ辞めてなかった」

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    ヤマト運輸で発生した空前絶後のサービス残業は数百億円分?

    中嶋よしふみ(シェアーズカフェ・オンライン編集長) 先日、宅配便最大手・ヤマトホールディングが未払い賃金の調査を全社的に行っていることが報じられた。社長の山内氏がインタビューに答え、調査に不備があり再調査の指示を出しているという。(ヤマト未払い残業代、再調査指示 一部支店で不適切対応 朝日新聞デジタル 2017/03/23)業界最大手のヤマト運輸が試練に直面している(ロイター) 社長自ら調査の陣頭に立つなんてすばらしい……と見えなくもないが残念ながらそのような判断は出来ない。当初の報道でヤマト運輸に数百億円の未払い賃金の可能性が報じられているからだ。一社で日本全体の未払い賃金を倍増させる金額に……? 社長インタビューに先立つ記事では同じく朝日新聞で数百億円にのぼる未払い賃金の可能性が指摘されている。 宅配便最大手ヤマトホールディングス(HD)が、約7万6千人の社員を対象に未払いの残業代の有無を調べ、支給すべき未払い分をすべて支払う方針を固めた。必要な原資は数百億円規模にのぼる可能性がある。サービス残業が広がる宅配現場の改善に向け、まずは未払い分の精算をしたうえで、労使が協力してドライバーの労働環境の正常化を進める。出典:ヤマト、巨額の未払い残業代 7.6万人調べ支給へ 朝日新聞デジタル 2017/03/04 大手企業で億単位の未払い賃金が発覚したといった報道は時折見かけるが、数百億円という数字はあまりに巨額で聞いたことが無い。自分が知らないだけで珍しくない事例なのかと思ったが、厚生労働省で公表されたデータを見ると、ヤマトHDの未払い賃金の額と対象者の人数がいかに異常なのかが分かる。平成24年 104億5693万円 10万2379人 平成25年 123億4,198万円 11万4,880人平成26年 142億4,576万円 20万3,507人平成27年  99億9,423万円 9万2,712人※いずれも全国の労働基準監督署の監督指導により支払額が1企業で合計100万円以上となった事案出典:監督指導による賃金不払残業の是正結果 厚生労働省 各年度の公表結果より  概ね毎年10万人に対して100億円程度の未払い賃金が発覚していることがデータから分かる。これは氷山の一角と言われているが、上記データと比較しても7万人超に数百億円という数字は一社で日本全体の数字を超えかねない、空前絶後という表現は決して大げさでは無いことが分かるのではないかと思う。 なお、ヤマト運輸はこの報道に対して、社内で未払い賃金の調査中であることは認めたものの、数百億円という数字については当社から発表したものではないと公式リリースを出している。未払い賃金数百億円の信ぴょう性は?未払い賃金数百億円の信ぴょう性は? 現在ヤマト運輸に関する報道は多数なされており、その多くはアマゾンの荷物が多すぎて現場が疲弊していてドライバーが可哀そう、といった心情的なものであり、これは多くの消費者がヤマト運輸に対して良いイメージを持っていることも起因している。ただ元々の原因は無茶な数量の荷物を引き受けていることが原因だ。それはアマゾンのせいでもアマゾンを利用する客のせいでもなく、経営判断のミスでしかない。 2013年末には佐川急便がアマゾンの配送から撤退しており、そのころからヤマト運輸が引き受ける荷物はさらに増加していると思われるが、これはヤマト運輸にとっても交渉力が増している状況であり、ヤマト運輸にまで逃げられてしまえばアマゾンは事業の継続すら困難になる。結局現在起きている問題は増加する荷物を低価格で大量に受け入れた経営陣の責任と言うほかはない。 現在、ヤマト運輸では労使交渉で時間指定の配達を一部停止する事、業務の終了から翌日の業務開始までの時間を一定時間以上取るといった措置(インターバル規制)によりドライバーの負担を減らすことで同意したと報じられている。そして未払い賃金の調査に不満が出た事で上記の通り再調査を命じるなど改善に努めている点について評価できる点もあると思われる。 ただしそれは将来の話であり、過去に発生した未払い賃金の責任を免れることは出来ない。つい先日もヤマト運輸と社員2人との間で未払い賃金の支払いについて調停が成立したと報じられた。その金額が過去2年でそれぞれ301万円、276万円と巨額にのぼっている(ヤマトが解決金支払い 労働審判で調停成立地裁 カナコロby神奈川新聞 2017/03/24)。 これが7万人分となれば、未払い賃金は数百億円という報道に信憑性を与えるような数字だ(1人あたり10万円でも70億円と膨大な額になる)。サービス残業は「粉飾決算」であるサービス残業は「粉飾決算」である 過去3年のヤマトホールディングスの営業利益(いわゆる本業の利益)は600億円超で推移しており、2017年も580億円の見通しとなっている。 未払い賃金数百億円が100億円なのか、200億か、300億か、調査の結果を待たないと分からないが、仮に年間100億円、労働債権の時効である2年分で200億円と考えても、特別損失として業績に大きく影響を与える数字であることは間違いない。 あくまで仮定の数字となるが、年間100億円であれば営業利益の2割近い数字となる。これだけの利益が未払い賃金という犯罪行為で計上されているとなれば上場企業のコンプライアンスとして許されるわけも無く、株主に対しても間違った数字を報告してきたことになる。 社内で行われているという調査結果で報道通りの数百億円という数字が出た際、近年しつこいほどコンプライアンス(法令順守)を強調している証券市場でそのような「粉飾決算」が許されるのか、東京証券取引所もコメントを出すべきではないのか。 そして未払い賃金の際に必ず出てくる過去2年分という期限はあくまでそれ以上さかのぼって払う法的義務が無いというだけの話で、5年分でも10年分でも「支払ってはいけない」という法律があるわけでは無い。ヤマト運輸は2007年にも労働基準監督署から是正勧告を受けており、アマゾンの配送などとは関係なく長期間にわたってサービス残業が常態化していた可能性も指摘されている。――なぜ、未払い残業代の全社的な調査に乗り出したのですか。「第一線の社員に負担をかける形では、社会インフラとしての宅急便を維持するのは難しい。社員に本来あるべき姿で働いてもらうために調査を始めた」~中略~――きちんと調査をした支店長がマイナス評価を受けることはありませんか。「それは全然ない。むしろ(きちんと)やらなかった方が悪い評価になる。管理者が(社員の労働)時間を故意に削ったり、修正したりした場合は懲戒の対象にしていくと決めている」――きちんと調べきって、きちんと支払いきると、社員に約束しますか。「はい」出典:「人材が先、サービスは後」 ヤマトHD山内社長 朝日新聞デジタル 2017/03/23 インタビューで社長が自らここまで答えている以上、さかのぼって支払う期間を2年で区切る必要は無い。同インタビューで抜本的改革が必要、とも答えている。過去の未払い賃金は「全て」清算すべきだろう。その金額が数千億円になろうと元々は支払うべきものであり、年間600億円の営業利益をあげているのであれば、今後10年かけて分割してでも全て支払うことは不可能ではない。過去の未払い賃金を調べるにはDeNA方式の採用を過去の未払い賃金を調べるにはDeNA方式の採用を 法的に払う必要の無いお金を払う事には株主からのプレッシャーを考えれば極めて難しい経営判断となるが、従業員がストライキの圧力をかけてでも過去全ての未払い賃金の獲得を目指す意味はあるのではないかと思う。 ヤマト運輸による物流が1日でも止まれば日本全体で尋常ではない影響が発生する。そしてその責任は従業員ではなくタダ働きをさせた経営陣にある。結果的に取引先や株主から損害賠償請求を受けようと、過去の経営陣まで責任追及がなされようと、全ては自業自得だ。 過去何十年分にもわたって全社員の、そして退職者も含めた未払い賃金の記録を正確に調べることは極めて難しい(というか無理)と思われるが、ある程度簡便な方法もある。 昨年、大手IT企業・DeNAが運営するキュレーションサイトで著作権侵害が疑われる記事が多数掲載されていることが問題となり、全てのサイトが閉鎖された。第三者委員会ではその全体像を調べる際に、全ての記事を確認するには時間がかかり過ぎると判断したのか、サンプル調査から推測する形を取った。 つまり全てではなく一定の数の記事を調べ、そこで判明した問題のある記事の割合から全体で何本の記事に問題があるか推測する、という手法だ。要するにTVの視聴率のように一部から全体を推計する統計的な手法だ。ヤマト運輸でも一部の社員の未払い賃金を長期にわたって徹底的に調べることで、統計的な観点からある程度妥当な未払い賃金の総額を導き出すことは不可能ではないはずだ。ヤマト運輸は「第二の電通」とすべきではないのか? 長期間にわたってサービス残業をさせて企業が不当な利益を得る、結果的にバレたとしても2年分を支払えば全てチャラになる、バカをみるのは真面目に働いてきた社員だけ、というのでは安心して働くこともできない。 こういった状況を是正するために電通では強制捜査が行われたのではないか。 電通では入社一年目の社員が過酷な長時間労働で自殺をした、過去にも同様の事例があった、労働時間の改ざんまで疑われた……とイエローカード二枚目といった状況だったが、ヤマト運輸の未払い賃金の金額が報道の通りであればレッドカードに値しないのか。これだけ巨額の未払い賃金が発生しても過去2年分の賃金を払えば会社も経営者も大きなお咎めは無し、などという前例は作るべきでは無い。 逆に、報道通りに数百億円の未払い賃金が発覚して強制捜査から経営陣の逮捕や起訴という状況まで進めば企業の経営者は震え上がり、たとえ売り上げが減ろうと未払い賃金の発生を防ごうと考えるだろう。労働人口の減少が急激に進む、という新しい問題 電通の強制捜査はまるでライブドア事件を彷彿とさせる国策捜査のようでもあり、法の下の平等を考えれば決して納得できるものでは無いが、悪質な違法行為には強制捜査や経営陣の逮捕が待っている、という状況になれば安心して働く環境があっという間に実現出来るかもしれない。 電通は現在、法人と自殺した社員の上司が書類送検されている状況で結論はまだ出ていないが、社長辞任で事件の幕引きは出来なかったとも言われている。 結局はタダ働きをさせるインセンティブは会社の利益ということになるが、経営者個人の責任が法的に問われるようになれば、会社の利益のために有罪になるなんてたまったもんじゃない、と経営者の行動は大きく変わる。※ただし、サービス残業ではなく長時間労働へのインセンティブは労働時間の長短で雇用調整せざるを得ない現在の法律が原因となっているが、別の話になるので今回の記事では論じない。人口減少は緩やかに進むが労働人口の減少は急激に進む、という新しい問題 先日、春闘で中小企業の賃上げ率が大企業と並んだことが報じられた。 低賃金で雇った従業員に無茶をさせて儲ける、というビジネスモデルは人手不足による賃金上昇で崩壊しつつある。 運送業における個人宅への配送はラストワンマイルと呼ばれ極めて手間のかかる業務だが、従来は現場の努力や無理という「人力」で成り立ってきた。そして現在は再配達が不要な仕組みや配達を効率化する仕組みを作れないか、様々な取り組みが検討されている。 駅に受け取りのロッカーを設置する、個人宅に大きなポストを設置する、LINEで事前に在宅確認をする等、どれも決して技術的に難しいものではない。そういった新しい取り組みに経営者が手間をかけようとする意志があるかどうかの問題だ。 今後人手不足がさらに進むことはすでに確定した将来だ。そして「人口減少」は緩やかに進むが「労働人口の減少」は急激に進む。結果的に多くの企業はこれまでにない状況で、これまでにない問題へと直面する。 ヤマト運輸は配送量の急激な増加という形で大きなトラブルに発展したが、小売・飲食等もアルバイトの時給アップですでに強く影響を受けている。新しい環境に直面した企業がどのように対応していくか、注目したい。※関連記事■1億円の借金で賃貸アパートを建てた老夫婦の苦悩。(中嶋よしふみ SCOL編集長・FP)http://blog.livedoor.jp/sharescafe/archives/44769829.html■年収1100万円なのに貯金が出来ませんという男性に、本気でアドバイスをしてみた。(中嶋よしふみ SCOL編集長・FP)http://blog.livedoor.jp/sharescafe/archives/44746902.html■ワタミに入社二ケ月で自殺した娘さんの両親が和解金でブラック企業と戦う基金を設立した件について。(中嶋よしふみ SCOL編集長・FP)http://blog.livedoor.jp/sharescafe/archives/48395653.html■徳川埋蔵金の再発掘は実現するか? 株式会社ほぼ日がついに上場。株価は急上昇中。(中嶋よしふみ SCOL編集長・FP)http://blog.livedoor.jp/sharescafe/archives/49677197.html■キュレーションメディアのiemo・meryに50億円を投じた経営責任 ~DeNAの謝罪会見を解説~(中嶋よしふみ SCOL編集長・FP)http://blog.livedoor.jp/sharescafe/archives/49032425.html

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    現場崩壊に抗うヤマト、宅配料金値上げは根本解決策に非ず

    中西享(経済ジャーナリスト)今野大一(Wedge編集部) 「水や書籍など、かさばる荷物が増え、再配達も多いのでドライバーの負担は増している。毎朝9時から10時は業者間でマンションの宅配ボックスの争奪戦だ」業界最大手のヤマト運輸が試練に直面している(ロイター) ヤマト運輸のとある宅配ドライバーは、宅配現場の惨状を嘆く。国土交通省によると、2016年の宅配便貨物の取扱数は約38.7億個と6年連続で過去最高を更新。宅配ドライバー不足もあり、現状のサービス水準を維持するのが困難な状況になっている。 クロネコブランドの宅配最大手、ヤマト運輸は時間指定などサービスの一部を改める方針だ。ヤマト運輸労働組合が、荷物の引き受け増加により、労使で締結している残業時間の上限がこの数年は守れなくなってきたとして、取扱荷物の総量を抑制するよう要請したためだ。会社側も提案を受け入れる方針で、創業以来ひたすら続けてきた「お客様第一主義」拡大路線の軌道修正を迫られている。 宅配荷物が急増した背景には、アマゾンジャパンなどを通して購入するネット通販の急増が挙げられる。当初は書籍の宅配から始まったが、現在はあらゆるものを取り扱い、ネット通販では断トツの伸びを見せている。 09年に当日配達サービスを開始、10年には日時指定サービスを始めるなど、利用者の便利さを追求、配送スピードの速さがアマゾンの武器になっている。こうしたサービスもプライム会員(年会費3900円)になれば無料で受けられる。その配達はヤマトなど宅配業者に委託している。 アマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長は、2月の日本記者クラブでの講演で、「品ぞろえの強化、低価格、利便性の3つの柱が重要。その中で配送スピードは最も重要な戦略の一つだ」と、今後の戦略を語った。筆者が顧客サービスについて「これ以上の速いサービスも行うつもりか」と質問すると「イノベーションが進めばさらにスピードアップするのは可能。それを進めるか否かは顧客次第だ」と答えた。 ヤマトは現在、最大の荷主であるアマゾンと配達サービスの見直しについて協議をしている。宅配サービスはこれまでは「送料無料」が当たり前になっていたが、これからは圧倒的な人手不足と、残業時間の削減の観点から、このサービスは是正されるべきだろう。その際に、アマゾン側と利用者側に送料負担についてどこまで理解を得られるかがポイントになる。 ネット通販の拡大や速達ニーズに対応するため、ヤマトは24時間「止めない物流」を目指し、1時間に最大4万8000個の荷物の仕分けができる総合物流センター「クロノゲート」を13年に東京・羽田に完成。この施設により約30%の省人化に成功した。 ただ、第3四半期までの業績(4~12月期)を見ると、営業収益は宅配便荷物の増加により前年同期比で3.1%伸びたが、営業利益はドライバーの人件費増が響いて6.5%減少するなど、多忙の割には利益につながらない「豊作貧乏」の状態になっている。その理由は、「物流センターを効率化しても、『ラストワンマイル』と呼ばれる配達の最終段階で大きな課題が残っているため」(畠山和生ネットワーク戦略部プロジェクトマネージャー)だ。再配達を減らすために全社が力を合わせるも……再配達を減らすために全社が力を合わせるも…… 同社は、ラストワンマイルでの課題を克服するための効率化も進めている。その一つが、数年前から取り組んでいる「チーム集配」だ。それまではドライバーが担当地域を1人で受け持っていたが、複数人での集配に改めた。早くからチーム集配に取り組んできた東京都葛飾区のチームに現状を聞いた。主婦パートの同前三貴香さんは、午前中だけ週に5日配達を担当。「私も含めた主婦のパート従業員は土地勘があり、地域に密着している分、再配達も少しは減らせる」と教えてくれた。楽天が駅に設置した宅配ロッカー=3月10日、東京都港区 宅配業者を悩ませるのが再配達だ。ヤマトもチーム集配で地域の主婦を活用し無駄を減らそうとしているが、その効果は限定的に見える。再配達の割合は約2割で、国交省でも「社会的損失」として解決策を検討、実施してきた。現状の解決策は、「最寄り駅やコンビニエンスストア、マンションなどへの受取ボックス設置を増やし、利用者がこのボックスを利用することで再配達の無駄を省く」、「スマホを使って利用者に配達日時を連絡することで確実に受け取ってもらう」などが挙がる。 このほか、国交省は1回の配達で受け取ってくれた届け先に、宅配・通販事業者から100円以下相当のポイント付与を提案している。しかし、「負担するのが宅配事業者なのか、通販事業者なのかが不明確で、実際には難しい」(畠山氏)と、実施には消極的な姿勢だ。 再配達の件数を減らすことができれば二酸化炭素の排出量も減らせるため、同省は環境省と共同で17年度にボックス設置を促進。環境省が5億円の予算を初めて計上し、受取ボックスを設置した物流事業者などに対し補助金を出す。JR東日本は今年5月までに首都圏の駅に100カ所の受取ロッカーを設置する計画で、ヤマトも22年度までに、駅やバスターミナルに5000カ所設置する予定だ。 再配達に対しては、受け取る客に課金させるべきとの声もあるが、発送元と届け先どちらに課金するかなどの課題があり導入のハードルは高い。 将来を見据えた取り組みも進める。自動運転を活用した無人宅配サービス「ロボネコヤマト」の実証実験を、3月からDeNAと共同で実施。自分宛の荷物の配送を知らされた顧客は専用アプリを使い、受け取り場所と日時を指定。配送車が到着すると、荷台のロッカーから荷物を受け取れるサービスを目指しているが、現状の課題をすぐに解決できるわけではない。 物流業界に詳しいイー・ロジットの角井亮一社長は「ネット通販は爆発的な広まりを見せており、JR東日本が宅配受取ロッカーを増設したり、ヤマトが配達料金を上げたりしても『焼け石に水』だ。業界全体で使えるような通知アプリの開発など、業界を挙げた取り組みが不可欠だ」と指摘する。 物販市場全体に占めるネット通販の割合は5%に過ぎないが、今後はさらに伸びていくと考えられる。効率化を進めても限界があり、抜本的な解決は不可能だ。女性の社会進出なども進み、生活形態も消費行動も変化する中、40年以上続いた「便利で非効率な」ビジネスモデル自体をデザインし直す必要性に迫られている。

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    IT企業は初任給が高い 楽天の30万円は就職人気200社中最高

    ビジネスマンであれば、景気や賃金の話と並んで気になるのが就職人気企業ランキング(以下に示すカッコ内の順位は楽天『みんなの就職活動日記』調査による『2015年度卒 新卒就職人気企業ランキング』のもの)についての話題だ。ランキングがそのまま企業の格を示しているとはいえないが、人気の変遷は日本経済の写し鏡であるとはいえる。 楽天(31位)やマイナビ(128位)などのIT関連企業は、軒並み「初任給」が高いのが特徴だ。特に楽天は、初任給が30万円以上で、人気ランキング上位200社中トップの金額。ランキング1位のANAと比べて10万円も高い。しかし、IT業界の実態はなかなかシビアなようだ。「初任給を高くしているのは、大手志向、安定志向が強い日本の学生から少しでも優秀な人材を確保しようという狙いからでしょう。しかし完全成果報酬の給与体系を採用する企業が多く、初任給が高くても仕事ができないと給与は上がらない。年収が前年を下回ることは珍しくありません」(大手IT企業の30代社員) 学生にもサラリーマンにも、人気と実力を兼ね備えた企業を見抜く目が求められる時代なのだ。※週刊ポスト2014年8月15・22日号 ・平均年収上位はテレビが独占 5大商社はすべてトップ15入り ・就活人気ランキング上位社への就職 将来は「死に場」と指摘 ・人気企業への就職 全体で見れば東大の実績は群を抜いている ・好業績に沸く総合商社への就職では慶大の強さが他大学を圧倒 ・卒業大学と学部で給料に差つくため米の受験戦争激化と大前氏

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    ネットスーパーの未来 アマゾンフレッシュの挑戦

      ネット通販で増える荷量を誰が捌くか。宅配便ネットワークが構築されていない国々は、日本以上にこの問題に悩まされている。米国では、あのジェブ・ベゾスが生鮮通販「アマゾンフレッシュ」で自社配送の構築を目論んでいる。 2007年にひっそりとシアトル市内の2地域で始まったアマゾンフレッシュ。米アマゾンが手掛ける生鮮食料品のネット通販サービスだが、7年経った14年6月時点でも、ロサンゼルスとサンフランシスコに地域を拡大しただけに留まる。しかし、このスローペースには理由がある。 アマゾンフレッシュの10年前、サンフランシスコでウェブヴァンという食料品ショッピングサイトが生まれた。18カ月で9つの都市圏にまで拡大したが、01年に突然倒産してしまう。ウェブヴァンの元幹部が挙げる重要な倒産要因のひとつに「物流」がある。 ウェブヴァンは都市における細かな地域ごとの分析をせず、幅広い地域でサービスを実施したため、配達トラックの運行スケジュールを効率的に組めなかったと言われている。人口密度の低い地域も同時期にサービス開始したことで、1回のトラック出動で配達する件数を稼ぐことが困難だった。米国アリゾナ州にあるアマゾンの物流センター。図書館の書庫のように、書籍がひしめく (REUTERS/AFLO)アマゾンフレッシュの日本上陸はあるか (REUTERS/AFLO) 現在、三都市圏で営業しているアマゾンフレッシュだが、需要が多い地域に限っている(年会費は299ドル、即日配達は別にプレミアム料金70ドルが必要)。アマゾンはウェブヴァンの轍を踏まないようにしているのだろう。 アマゾンにはウェブヴァンの元幹部ミック・マウンツがいる。ウェブヴァンが苦戦した倉庫運営の効率化のために、マウンツが起業したロボットメーカー「キヴァシステム」を12年に7億750万ドルで買収したからだ。 自社配送を目論むベゾス アマゾンのジェフ・ベゾスCEOは「我々アマゾンにあってウェブヴァンになかったもの、それは既存の膨大な顧客ベースだ。我々の顧客は本や家電と一緒に食料品もネットショッピングしてくれるはずだ」と、アマゾンフレッシュの事業化に自信を見せる。 アマゾンが所有する巨大倉庫から消費者宅まで食料品を運ぶのは、アマゾンが独自で運営している緑色のトラックだ。これまでアマゾンは、運送大手の米フェデックスや米UPSを下請けで利用していた。しかし、アマゾンフレッシュを手始めに自社配送ネットワークを構築しようとベゾスは目論む。アマゾンにとって年々増加する配達費用は頭の痛い問題である。2011年には40億ドル、2012年には51億ドルに跳ね上がったこれらの費用を抑えるだけでなく、食料品以外の商品も同じトラックのラインに乗せることで、効率化も推進したい狙いだ。 生鮮食料品のオンラインビジネスは、在庫管理や新鮮なまま配達を完了させなければならないなど多くの点でリスクが大きい。しかし、ベゾスはどうやら、繊細な商品を取り扱うアマゾンフレッシュをあえて、自社配送の試験台に使う目的のようだ。将来的に自前のロジスティックス網を持つことで、「時間通りに商品を配達する」という部分まで完全にコントロール権を掌握しようとしているのだ。 しかし、フェデックスやUPSからの完全な離脱は困難というのが大方の見方だ。ノウハウの構築、及びアマゾン全体の物流をこなすだけの人材の確保は一朝一夕にはできないからだ。ベゾスは、「フェデックスもUPSも、アマゾンの成長に見合った投資を行っていない。だから自分でやる」とあくまで意気軒昂だが、30から40の都市圏へのサービス拡大は噂だけが飛び交い、具体的な計画は伝わってこない。リアルスーパーの対抗策 全米最大のスーパーマーケットであるウォルマートが、アマゾンフレッシュに対抗して打ちだしたサービスが「ウォルマート・トゥ・ゴー(持ち帰りできるウォルマートの意味)」だ。 これは近隣店舗からの配送サービスのことで、一部地域では生鮮食料品の当日配送も始めている。消費者は店舗でのピックアップ(受取)も選択することができる。 ウォルマートが独自に行った調査によれば、回答者のうち55%が配達されるよりも自分で受け取りに行く方がいいと答えた。現時点では実店舗を訪れることを厭わない消費者の方が多いとウォルマートは結論付け、配送よりピックアップに力を入れる。14年3月には、アーカンソー州の本部近くで同じ「ウォルマート・トゥ・ゴー」と冠したコンビニ業態をテスト展開し、ピックアップ拠点の多様化を図っている。 となると、世界一のコンビニ企業、セブンイレブンの動きが気になるところだ。日本全国に17000店舗という膨大な拠点を既に有している。 同社に加え、イトーヨーカドー、そごう・西武など様々な業態を持つセブン&アイは、鈴木敏文会長の大号令のもと、ネットと実店舗を融合させるオムニチャネルの取り組みを模索中だ。完成すれば、ネットで注文したヨーカドーの食料品と西武の高級品をまとめてセブンイレブンで受け取ったり、自宅に送ったりできるようになる。 イトーヨーカドーのネットスーパーは「売上450億円、営業利益率4.3%に達し、拡大が見込まれる。店舗内のピックアップ、梱包作業の増員、効率化で出荷能力を上げる」(高橋信オムニチャネル推進室総括マネージャー)。配送は地場の運送業者に委託しているが、セブンイレブンにはコンビニ店員が消費者宅に弁当や総菜を届けるサービス「セブンミール」がある。「コンビニからの生鮮の配送も検討はしている」(広報部)という。 神奈川県の橋本地区では、ヨーカドーの商品をセブンイレブンで受け取る試験サービスが7月に始まった。セブン&アイが世界最大のコンビニ網をどう活用するか注目が集まっている。

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    楽天が米ネット通販会社を買収

     楽天は9日、インターネット通販関連サイトを運営する米イーベイツ(カリフォルニア州)を買収すると発表した。10月をめどに、同社の発行済み株式100%を約10億ドル(1050億円)で取得する。北米で知名度の高いイーベイツと組むことで海外展開を強化する。 イーベイツは米アマゾン・コムやイーベイなど大手ネット通販などと連携して、消費者に購入額の一部を還元するキャッシュバック(現金還元)やクーポンの配付などのサービスで取引を拡大。2013年12月期の売上高は前期比37.5%増の1億6700万ドル。 楽天の海外事業の比率は6%だが、イーベイツの買収によって16%になる見込み。9日に記者会見した三木谷浩史会長兼社長は「北米に加え、アジアは年100%で伸びている。2020年過ぎには海外比率50%以上を達成できそうだ」と述べ、海外事業拡大に意欲を示した。

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    ヤマト、佐川に迫るネット通販時代の脅威

    ネット通販などEコマースの成長で急伸する宅配便市場。ヤマトが筆頭、佐川が2番手という寡占状況がさらに強まるのか。

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    ラスト・ワン・マイルを競う中国 アリババの牙城を崩す自社物流のテンセント系

     急成長する中国のネット通販市場。中国2大IT企業のバトルは、ラスト・ワン・マイルの戦略が命運を決める。 ラスト・ワン・マイルの攻防は、中国でも熾烈な争いが起きている。 カギを握るのは、今、中国のビジネス界で最も話題にされている馬雲(ジャック・マー)氏が創業したアリババと、馬化騰(ポニー・マー)氏が創業したテンセントだ。アリババは、中国のネット通販最大手で「中国版アマゾン」と称される。一方のテンセントは中国のSNS最大手。対話アプリの配信で成功したことから名付けられた異名は「中国版LINE」だ。 実は、両者のバトルは、ネット通販市場と宅配市場でも表面化している。 今年6月、中国の報道機関は、2013年の中国のネット通販市場が米国を抜き、世界1位に躍進したと大々的に伝えた。中国国家郵政局とデロイト中国の最新報告によると、13年の中国のネット通販市場は、前年比5400億元増の1兆8410億元(約30兆6000億円)。08年時点では、1282億元(約2兆円)だったため、この5年間に平均年率70%の成長率で急拡大してきたことになる。 一方、ラスト・ワン・マイルを担う宅配業界も、それに応じるように急成長を遂げている。中国宅配業界の宅配便取扱総数(全国展開の大手のみ)は13年、前年比62%増の92億個(10年比3.9倍)で、総売上高は36%増の1442億元(約2.4兆円、10年比2.5倍)だった。そのうちの半分以上がネット通販によって生み出されたものだとされている。 注目は、個人向けのネット通販(BtoC)市場だ。中国のネット通販系コンサルタント「易観国際」が7月末に公表した報告書によると、14年第2四半期のBtoC市場は、総売上高が前年同期比72%増の3205億元(約5.3兆円)だった。 通販サイトの売上高シェアは、アリババが運営する「天猫」(Tモール)が52.4%で1位。次いで、京東商城の「JD.com」が18.7%、日本の家電量販店ラオックスを買収した蘇寧雲商(旧蘇寧電器)の「蘇寧易購」が3.5%で後を追う。 2位の京東商城は、5月に米国ナスダック市場に上場した有力企業の一つだが、3月にテンセントから15%(約220億円)の出資を受け、テンセントの傘下に入っている。つまり、中国のネット通販市場は、アリババとテンセントのバトルでもあるのだ。外部委託か自主物流か しかし、1位のアリババと、2位のテンセント系・京東商城の戦略は、ラスト・ワン・マイルの攻め方に違いが表れている。 アリババのラスト・ワン・マイルはこれまで、日本のネット通販会社と同様、既存の大手宅配会社に委託してきた。中国の物流事情に詳しい名城大学の謝憲文教授は「自前で整備するよりも、第3者を利用することで、コストを下げようとしたのだろう」と推測するが、急激な荷量の拡大に宅配会社側が対応しきれず、配送時間の遅れなどサービス低下が問題に。謝氏は「外部委託が限界に達していたのではないか」と話す。 こうした中、独自路線で経営基盤を固めてきたのが、京東商城だった。もともと「家電専門から出発し、ネット通販参入後に百貨店化した」(謝氏)という同社の戦略は、ラスト・ワン・マイルを外部委託ではなく、自社で築くことにあった。 謝氏の調べでは、同社は09年からの5年間に計約93億元(約1540億円)を自社物流の整備に投資した。結果、3月末の時点で、中国36都市に物流センターを7個、倉庫を86個。495都市に1420カ所の配送センターと、214カ所の集荷センターを置き、2万人以上の配送スタッフを抱えるに至った。そして、こうした自社物流を武器に、当日午前11時までに注文した商品を当日中に配送するなどの速達サービスを打ち出し、他社との差別化を図っているという。謝氏は「京東商城がネット通販2位まで成長したのも、自社物流を築いたことに勝算があった」と分析する。 ラスト・ワン・マイルを自社化する傾向は他社でも見られ、ネット通販3位の「蘇寧易購」を運営する、中国家電量販店最大手の蘇寧雲商も15年までに自社物流を整える計画という。 こうした他社の動きに慌てているのが、アリババだ。昨年夏に、他の小売店や物流会社との共同物流体制を整える構想を打ち出したほか、昨年末には中国全土90カ所に物流拠点を置く中国家電最大手ハイアールの物流子会社に出資すると発表した。 中国の株式市場に詳しい京華創業の徐学林社長は「アリババが出資した背景には、自社物流を構築したい狙いがある。全てを自社で整備するのはコストが掛かるため、安全を優先したのだろう」と説明する。 ネット通販最大手アリババの牙城をラスト・ワン・マイルの自社化で切り崩そうとするテンセントら2番手、3番手たち。中国のネット通販・宅配市場は、混戦の時代を迎えている。

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    ネット通販が競争軸を変える? 独走ヤマトの行方は

    宅配便市場はヤマト・佐川2強の寡占化が進む。そこに押し寄せるEC化。配送はコストか利益の源泉か─。業界入り乱れた模索が始まっている。「来年あたり、ヤマト運輸の市場シェアが5割を超えるかもしれない。そうなるとより強い価格決定力を持つ」(ある中小宅配会社の幹部) 国土交通省が7月に発表した2013年度の国内の宅配便取扱個数は、前年度比3.1%増の36億3668万個だった。ヤマトの「宅急便」のシェアは46.3%と前年度比3.6ポイント増。2位の佐川急便の「飛脚宅配便」を合わせると約8割と寡占化が進む。 宅配便の取扱個数の著しい増加をもたらしているのは、ネット通販などEコマース(電子商取引)市場の拡大だ。 「ECは、正確な数字を取れていないが確実に伸びている」(ヤマトの櫻井敏之・ECソリューション課長)。ヤマト依存のラストワンマイル 10兆円規模のネット通販市場をけん引するのが、アマゾンや楽天などのネット通販大手だ。アマゾンは直販型、楽天が運営する楽天市場はテナント型とビジネスモデルは異なるが、商品を消費者に届けるラストワンマイル(事業者と利用者を結ぶ最後の区間の意味でもとは通信用語)は、アマゾンも楽天も、ヤマトを中心とした宅配業者に委ねているのが現状だ。 本場米国では、無人ヘリによる宅配構想が注目されるアマゾンも、日本では昨年佐川が引き揚げ、「ヤマト頼み」の状態だ。7月から開始した小売店のプライベートブランド商品の販売で取材に応じたアマゾンジャパンの渡辺朱美・バイスプレジデントは「配送部分は、宅配業者との長期的なパートナーシップを築いていく」と強調する。 一方の楽天は、半年前までは戦略が違った。アマゾン型の物流システムを築こうと06年にトヨタ自動車から武田和徳氏を招き常務執行役員に据えた。武田氏は10年に物流子会社として設立した楽天物流の会長に就任し、アマゾンが先行してきた即日配達や、楽天市場出店者の在庫管理といった物流戦略の「カイゼン」を図った。 しかし、楽天物流は、13年12月期の決算で、売上高64億円に対し営業損益は39億円の赤字、54億円の債務超過となった。楽天は今年4月に突如、楽天物流を吸収合併すると発表。武田氏は、トラベル事業に担務替えとなった。 楽天はラストワンマイルも狙っていたと言われ、参入しやすいネットスーパーの楽天マートで中小宅配業者と連携し、首都圏を中心に自社配送網を築き始めている。いずれは、その配送網に楽天市場の商品を混載する計画だったと言うが、関係者は「混載は実現できていない」と打ち明ける。結果、楽天もヤマト依存に傾斜している。 オフィス用品通販大手のアスクルは12年に、資本提携しているヤフーの協力を得て、ネット通販「LOHACO(ロハコ)」を開始。事業者向け(BtoB)から消費者向け(BtoC)に進出した。BtoBでは、子会社の運送会社ビゼックスを主に使っていたが、ロハコの配送ではヤマトに委託した。「消費者からの信頼がある」(広報)からだ。芽生え始めた新たな動き ヤマトに死角はないのだろうか。 07年に設立された新興系のエコ配(東京都港区)。自転車配送を主軸にし、荷物の大きさと集荷エリアを限定することでコストを圧縮し、安い配送料を実現している。年間の取扱個数は約1000万個で、そのうち個人向けは15%程度というが、片地格人社長は「BtoCは伸ばしていく」と意気込む。 配送業は中小事業者が多く、競争軸が価格だけになりやすいため、配送料には常に下方圧力が働く。ヤマトですら、売上高は増えているのに営業利益は伸び悩んでいる。主因はネット通販の配送単価の下落だ。ヤマトは料金決定方式を個数からサイズに変更することで状況を打破しようとしている。 ライバルの佐川は「2年ほど前から、適正な運賃をいただくという交渉を続けてきた」(森下琴康執行役員)結果、大幅な増益を達成しており、寡占化がさらに進めば通販と物流の地位逆転もあり得るのかもしれない。 しかし、もっと中長期的にみると、違った状況が想定される。物流業界に詳しい伊藤忠テクノソリューションズの長谷川真一氏はこう指摘する。 「小売業のEC化率は現状3%程度だが、先進国ではいずれ10%~20%になるのは確実と言われており、そうなると現状の大手3社体制では捌ききれない。ネット通販だけを受託する第4極が勃興する可能性は十分にある」 というのも、「ヤマトでは5割の伝票は手書き。ネット通販の荷物だけに絞れば全てITで管理できるため効率化の余地が大きい」(長谷川氏)からだ。 「歴史的に見て、宅配は集荷が売上の源泉だったため、集荷拠点の整備が重要だった。通販は物流センターがあればよい。通販が主になれば競争軸が変わる可能性が高い」(業界誌編集者) アスクルは、順調に拡大しているロハコの今後の課題のひとつに「配送サービスの進化」を挙げ、ラストワンマイルの自社化を視野に入れている。 「BtoBでは、配達したコンテナの持ち帰りや消耗品の回収など、いわゆる“静脈配送”で付加価値を高めた。BtoCでも配送を使った様々な提案ができると考えている」(川村勝宏・上級執行役員ECR本部長) ヤフーは東京・豊洲地区で始めた買い物代行の実験サービス「すぐつく」に手ごたえを感じている。「平均37分という驚異的な早さに『実験をやめないで』という声は多い。配送コストはかかるが、広告による回収というビジネスモデルが構築できないか模索しているところ」(小澤隆生執行役員)。 これまでの配送の常識では対応しにくい生鮮食料品がEC化するとプレイヤーが変わる。配送はコストなのか利益の源泉なのか。新興勢力による模索は続く。

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    日本の中古品は中国の新品より売れる インフォーマル製品求めてアフリカ商人が集う中国・広州

    は不良品が多く、アナーキーな市場では詐欺も横行しており、地下銀行や不法就労等の賄賂の支払いを含めて、流通チェーンの各段階での取引コストは非常に高い。そのため、アフリカ系商人たちにとって、一つの商品、特定の得意先に依存した商売をおこなうことは、非常に危険である。それゆえ、彼ら自身も「試しに仕入れてみる」という商品・仕入れ先の多様化をリスク分散の戦略として実行する。 また低模造品の世界は、製造業者とアフリカの消費者のいたちごっこで動いている。たとえば、アフリカでタイ製の衣料品のほうが縫製がよいと需要が高まると、すぐさまMade in Thailandのタグのついた中国製衣料品が製造される、特定のアプリのマークで偽スマホは判別できると噂が広まると、マークが改善された偽スマホが製造されるといったことである。 この「いたちごっこ」のはざまで交易を担うためには、組織化して大量仕入れを試みるより、有象無象の零細商人たちが少量ずつ買いつけ、スピーディーに販売し戻ってくるという構造に利がある。そして、こうした中国製品の安さとスピード感は、実際にはアフリカの消費者の購買行動にも合致している。「安かろう悪かろう」を超えて タンザニアの行商人は「雨が降ってから傘を売る」という。「貧しい暮らしをしている人々は、必要に迫られないとものを買わない」からだ。私は、中古品と中国製品とのあいだで悩んだ友人たちによく意見を求められたが、たいていの場合、彼らには「日曜日に上京してくる母親にテレビを見せたい」といった差し迫った事情があった。結果として選ばれる中国製品の「安さ」は、実際にはタンザニア人の平均的な購買力ではなく、緊急時でも出せる価格に照準があっているのだ。 しかし一方で、私の友人たちは「目の前を通った行商人が持っていたシャツが気に入った」「懐が温かいと何か買わないといけない気がして扇風機を買った」と、偶発的な買い物をかなり気軽に行う。矛盾しているようにみえるが、「計画的にものを買わない」という意味では同じ行為である。 日本では景気が停滞すると、消費を先延ばしにする人々が増える。だが、この延期消費はよくなっていくかどうかは別として、未来がある程度、予測しうる状況であるからこそできることである。タンザニア都市部で正規の雇用機会を得ている者は、人口のわずか2割強である。多くの人々が従事する零細自営業や日雇い労働での収入は極めて不安定で、数カ月後に同じ仕事をしているかさえ不確かである。未来が予測不可能な状況に生きる人々は、「今この時を逃したら、いつまた商品を買えるかわからない」という理由でモノを買うことも多いのだ。 また貨幣への不信、親族等からの無心への対応とあいまって、少額の現金を形に残るモノに変えたいという欲求もある。このような消費行動に対応するためには、必ずしも広告とマーケティングにより特定の商品の販路拡大を目指すことは適切ではない。むしろ、外見上のわずかな違いしかなくても新商品をスピーディーに供給し、商品との「一期一会性」を高めることが、消費の促進につながることも多い。 ヴィトンの柄にシャネルのロゴがついたバッグ、玩具のようなサッカーボール型携帯、このストリート的想像力に基づいた「奇抜な」模造品は騙し目的ではなく、アフリカの人々の偶発的な消費の楽しみに即応して流通しているのだ。中古品の価値 日本において中古品が取り上げられるときは、「リサイクル」─環境保護─や「社会貢献」─貧者の支援─がクローズアップされがちである。しかしアフリカ諸国の人々にとって日本の中古品は、中国製品との比較で価値づけられている。冷蔵庫や洗濯機など比較的長期にわたって利用する家電製品の場合、「品質」が重視されるので中古品が根強い人気だ。ただし衣類や小型電化製品などの流行にあわせて頻繁に買い替えるものは、急速に中国製品に置き換えられつつある。 また中古品は、供給元の収集方法により製造時期や性能、デザインが不揃いな製品が店頭に並ぶことになる。旧型は部品が手に入りにくいし、高度な技術が駆使された最新モデルは修理が困難だ。 明らかなことは、中古品が中国製品に完全に置き換わった後では、日本の製品の価値を改めて理解してもらうのは難しいことだ。アフリカの消費者の購買力が本格的に伸びるまでには少し時間がかかるが、それまでに日本製品の魅力を彼らの購買行動に即して伝えるために、中古品ビジネスの再興を考えるのも面白いのではないか。