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    17万票を超える10代票、大阪の若者が低投票率の流れ変えるか

    HE PAGEより転載) 10日投開票に向け、最終盤に突入した第24回参院選。大阪府の代表を選ぶ大阪選挙区(地方区時代を含む)の歴史をひもとくと、大阪は投票率で分が悪い。過去の参院選の大半で、全国平均を下回っている。とりわけ、若い有権者の動きが鈍い。祖父母世代のシニア有権者と比べると、投票率は半分にも満たないのだ。18歳、19歳の新有権者に注目が集まる中、10代有権者ブームが弾みとなって、20歳以上の若者たちも投票所を目指すだろうか。 10日投開票に向け、最終盤に突入した第24回参院選。大阪府の代表を選ぶ大阪選挙区(地方区時代を含む)の歴史をひもとくと、大阪は投票率で分が悪い。過去の参院選の大半で、全国平均を下回っている。とりわけ、若い有権者の動きが鈍い。祖父母世代のシニア有権者と比べると、投票率は半分にも満たないのだ。18歳、19歳の新有権者に注目が集まる中、10代有権者ブームが弾みとなって、20歳以上の若者たちも投票所を目指すだろうか。回顧 大阪参院選30年の激戦 選挙のたびに変わった当選陣営の顔ぶれ選挙事務所で調べてきた情報をもとに、各党の若者向け政策などについて発表する生徒ら=大阪市旭区の府立旭高校大阪参院選の投票率は全国平均より低調 第1回参院選が執行されたのは1947年(昭和22)。以来、3年ごとに通常選挙が行われてきた。23回の選挙の投票率を、大阪と全国平均で比較すると、23回のうち21回までは大阪が全国平均を下回っている。 全国平均を上回ったのは、第18回(98年・平成10)と第23回(2013年・平成25)の2回だけ。しかも、第18回59.53%(全国58.44%)、第23回52.72%(全国52.61%)と、全国平均を僅差でクリアしただけに過ぎない。 一方、全国平均を下回った際、大阪と全国平均の落差が大きい。第3回51.27%(全国63.18%)、第5回48.11%(全国58.75%)、第10回65.69%(73.20%)など、全国平均と比べて5ポイントも10ポイントも低い投票率が続出している。 80年(昭和55)の第12回選挙は、初めての衆参同日選挙となった。衆参連動の激しい選挙戦の結果、投票は全国平均で史上最高の74.54%を記録したが、大阪は70%におよばない67.38%に終わった。 過去23回で全国の投票率は70%台を4回記録しているが、大阪は1回だけ。しかも、今から66年も前に執行された50年(昭和25)の第2回選挙(71.58%)まで、さかのぼらなければならない。 半面、全国の投票率が史上最低の44.52%だった第17回をみると、大阪は40%台を割り込み、38.26%まで沈んだ。この38.26%を筆頭に、48.11%(第5回)、49.96%(第16回)が大阪投票率のワースト3だ。第18回から直近の第23回までは、6回連続で55%をはさんだ50%台で推移しており、投票率が上向く変化のきざしは見受けられない。20代の投票率は30%で70代は70%超え 低調な投票率が気になる大阪ではあるが、世代別の投票率をみると、世代間ギャップが歴然とあることが分かる。大阪市選挙管理委員会が3年前の第23回選挙で、年齢別投票行動の追跡調査を、市内有権者の約5%を対象に実施した。 大阪市内の投票率は、第22回の55.55%から52.83%と、2.72ポイント下回った。年齢別の投票率では、20歳以上24歳以下のもっとも若い年齢層が、もっとも低い29.07%だった。全体の投票率を大きく押し下げ、10人に3人程度しか投票していない。 25歳からは年齢が上がるに伴い、投票率も上昇。25歳から29歳までは31.89%で、20代平均は30.64%だった。30代は42.08%、40代は50.41%で、40代までは平均以下。50代が60.02%、60代は68.73%と、平均投票率を押し上げた。さらに70歳から74歳までが最高の73.41%を記録し、75歳から79歳も70.49%と続いた。 10人のうち3人しか投票に行かない20代とは一転して、70代は10人のうち7人以上が投票所へ赴いている。いわば孫世代と祖父母世代では、見事に対照的な投票行動を取っていたわけだ。この世代間ギャップは過去3回の選挙に共通している。 中高年世代の投票率をこれ以上押し上げるのは、たやすくないだろう。投票率上昇のカギを握るのは、若い世代に他ならない。大阪市住之江区の広報紙。1面で高校生が参院選での投票を呼びかけている =住之江区役所10代に刺激され20代も投票所を目指すか 今回の参院選大阪の有権者総数は731万7331人。このうち18歳、19歳の新有権者は17万2970人だ。730万票台の大票田といえども、改選4議席をめぐり、有力候補たちが最後の最後まで争う大激戦になれば、17万票を超える10代票は、当落に影響を与えるだけのパワーを十分秘めている。 参院議員の任期は6年で、衆院議員の4年と比べて長い。衆院と異なり、参院は任期半ばでの解散総選挙もない。参院は派手さこそないものの、長らく良識の府と呼ばれ、国のかたちをじっくり検討する重責と向き合う。これからの国づくりを討議する議員を選ぶ選挙に、次代を担う若者たちの声がしっかり反映されてしかるべきだろう。 若い世代に対する選挙啓発の一環として、高校生向けにオリジナル缶バッジを作成したり、大学構内で投票呼びかけキャンペーンなどが展開中だ。10代有権者ブームが弾みとなって、20代、30代の若手世代も一票を投じ、選挙史の流れを変えることができるか注目される。(文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)

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    初めて選挙に行く君へ伝えたいこと 世界で一番やさしい選挙教室

    おときた駿(東京都議会議員) いよいよ今週末、7月10日(日)に迫った参院選。「18歳選挙権」初の国政選挙となることもあって、若者へ投票を呼びかける動きがあちこちで起こり、若者の政治参加を期待するムードが高まっている。しかし、当の若者たちは選挙権を手にしてやや戸惑っている様子が伺える。「選挙って、どうやって行けばいいかわからないし、なんだか面倒くさそう」と思って彼らの多くが棄権してしまえば、10代、20代の投票率が期待されているほど伸びず、「シルバーデモクラシー」と言われる状況が変わらないどころか、加速することも懸念される。 そこで立ち上がったのが、『ギャル男でもわかる政治の話』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)で、「たとえ」を駆使したかつてない明快さで政治の基本を解説し、若い世代を中心に反響を呼んでいるブロガー議員のおときた駿氏。「なんで選挙に行かなきゃいけないの?」「選挙で2枚投票用紙が渡されるって知ってる?」「どうやって投票先を決めたらいいの?」という3つのテーマを掲げ、当事者である18歳〜20歳の4人の若者たちから質問を受けつつ、極力若者の立場に立って選挙の基本を解説することを試みた。 若者代表として参加したのは、人気コラムニストの妹尾ユウカさん(@yuka_seno)、モデル・俳優の三上龍馬さん(@510rm2525)、現役大学生の森崚茉さん(@oasis18b)、同じく現役大学生の小木純之介さん(@junu_uzzz)の4人。イベント前には「そもそも、なんで選挙に行かなきゃいけないのかわからない」と話していた彼らは、日頃から抱いていた疑問をおときた氏にぶつけつつ、講義を非常に熱心に聴き入っていた。  以下では、会場からの質問を交えつつ展開されたおときた氏の講義の様子を、会場の熱気そのままにお伝えする。(文/ディスカヴァー編集部、写真/saru) おときた駿(以下、おときた):こんにちは。『ギャル男でもわかる政治の話』の著者で、東京都議会議員のおときた駿と申します。今日は、壇上にいる4人の若者たちと一緒に、若い世代の視点で選挙について考えていけたらと思っています。 おときた駿氏第一部「なんで選挙に行かなきゃいけないの?」おときた:まずは壇上の4人に聞いてみましょう。なんで選挙に行かなきゃいけないんでしょうか。 小木純之介(以下、小木):僕ら若い世代が選挙に行くことで、お年寄りばかりじゃなくて僕ら若い世代の意見も政治に反映させていく必要があるっていうことを、政治家にわからせるためです。 森崚茉(以下、森):ひとことで、国のため。 三上龍馬(以下、三上):行かなきゃいけない感じがするから。 妹尾ユウカ(以下、妹尾):私は、なんとなくの義務感から、です。 おときた:ありがとうございます。小木くんだけやけに気合が入っているのは、彼は政治学科の学生だからです(笑)。  この「なんで選挙に行かなきゃいけないの?」という問いに対する僕の一番シンプルな答えは、「行かないと損するから」です。これは数字で見ても明らかで、日本のGDPは約500兆円なんだけど、そのうち、どのぐらいが若者や子供のために使われているでしょうか? 妹尾:20兆円とか? おときた:惜しいな。正解はGDPの1%、500兆円あるうちの5兆円しか、子供と若者に使われていないというのが日本の現状です。これは諸外国と比べると圧倒的に低い。ヨーロッパだと最低でもGDPの2〜3%。多いところは4%、20兆円以上使われていたりします。 こういうことが起きるのは、若者の投票率が低いからです。若い世代、例えば20代の投票率って、何%か知ってますか? 森:8%ぐらい? おときた:なんでそんなに低いんだ(笑)。さすがにそんなに低くないです、正解は33%ぐらい。つまり、3人に1人しか行かないということ。逆に、一番投票率が高い世代は60代で、だいたい70%ぐらいが行っている。およそ2倍の差があるってわけだ。この状況で予算がどう使われるかと言ったら、さっき説明した通り。若者は圧倒的に損をしているんです。 なんで投票率が低いと損をするのか? そのことを説明するために、少したとえ話をしてみたいと思います。 政治家は「みんなの代表者」ではない!政治家は「みんなの代表者」ではない!おときた:政治家は僕らの代表者だって、学校で習ったと思う。これを僕は『ドラゴンボール』にたとえて、「政治家は孫悟空みたいな人」と言っています。どういうことかというと、僕たちはか弱い人間だから悪い奴らと戦えないんだけど、悟空はすごく強いからフリーザとか魔人ブウとかセルとかと戦ってくれる。で、悟空は並みいる強敵たちを倒すためにある必殺技を使う、と。人々から少しずつエネルギーをわけてもらって大きなエネルギーの玉を作り、相手にぶつけて殺す…… 三上:あ、わかった。元気玉ですか? おときた:そう! 政治家は「オラに力を分けてくれ!」と言って有権者からエネルギーを集め、その力を駆使して政治を行う悟空だってわけだ。で、悟空は誰のために戦うのかというのが問題でね。『ドラゴンボール』の世界では西の都と東の都という2つの街があるんだけど、敵を倒すために悟空はどちらかの方向に向かって元気玉を撃たなきゃいけない。当然、撃った先にある都は壊滅する。このとき、西の都の人たちは悟空に一切元気を分けてくれなかったとします。そして、東の都の人はすごいエネルギーをくれたとする。そうしたら、悟空はどっちに向けて元気玉をぶっ放すでしょうか? 妹尾:西、ですよね? おときた:その通り。教科書では「政治家はみんなの代表者です」って習ったと思うけど、これは嘘。政治家というのは、みんなの代表者ではなくて、選挙で投票に行く人の代表です。選挙で投票に行く人の利害のために政治を行うのが政治家だから、当然、投票に行かなければ自分たちの利害は守られない。つまり、損をするってわけだ。さっきも言ったように、これまでは若い人たちが選挙に行かないせいで、彼らは損をしてきた。若い世代のためにはお金が使われず、保育所や待機児童、奨学金といった問題が全然解決していない。海外に行ったら返済不要の奨学金なんていっぱいあるんだけど、いまの日本の大学生はものすごく苦労して返さなきゃいけないよね。 だから選挙に行くことによって、「こっちにもっと予算をくれ」「予算をくれないと君たちは次の選挙で当選しないぞ」と脅しをかけることが必要です。だから選挙に行かなきゃいけないというのが、一番単純な理屈なんです。 妹尾:でも若者としては、先にお金をくれると言われたら選挙行くんだけどな、という気持ちです。ニワトリが先かタマゴが先かって感じですけど、図々しいですかね……? おときた:いや、その通りだと思います。しかし残念なことに、政治家というのは別に、選挙に来てくれなくてもいいんです。なぜなら、高齢者がもうたくさん来ているから。いま元気玉を集めている政治家は、その状態で当選して政治家になっているわけだから、逆に若者が新規参入してくるとパワーバランスが変わってしまう。彼らにとっては、若者の投票率が低いまま、高齢者の票だけで勝ってるほうが幸せなんです。妹尾:でも、おじいちゃんおばあちゃんも、もっと年齢が上がってくると変わってきますよね? おときた:実際、60代は投票率が70%もあるんだけど、70代からどんどん下がっていきます。もう足腰が立たなくなってくるから。そういう意味では若い人たちも発掘していかないといけないのは確かだけど、若い人たちがいますぐ行くというよりは、歳をとってそういう価値観になってから選挙に来てくれたほうが、政治家たちは安泰なんだよね。そういういまの世の中を変えるためには、やっぱりこの循環をどこかで断ち切る必要がある。いますぐ若い人たちが選挙に行って、高齢者たちだけで勝ってのうのうとしている政治家たちを変えていかなければいけないと思います。 小木:ちょっと話が変わるんですが、18歳で選挙権を持った人が投票しようとするとき、たくさんいる政党とか立候補者とかから選ぶのって大変だと思うんですね。そういうときって、どういうところから政党の情報とか立候補者の情報を得ればいいんでしょうか。 おときた:やっぱり、インターネットってすごく便利なのでおすすめです。ただ玉石混淆だから、誰か信頼できるオピニオンリーダーを一人フォローするというのがいいと思います。その人が共有・拡散している政治の情報にアクセスして、そこから広げていく。そうすることで、自分にある程度近くて、ちゃんとした情報を得ることができます。 政治を本気で若者向けにする方法とは?政治を本気で若者向けにする方法とは?三上:若い人向けのマニフェストを公表してくるところって増えているんですか。 おときた:これまではあまり若者向けのマニフェストって各政党から出てこなかったんですけど、今回の参院選では増えています。それは見てみて僕もびっくりしました。18歳選挙権の1回目だからということで、意図的に増やしてきているんだろうと思います。でも、これを本気にさせるかどうかは、君たち若者が行くかどうかにかかっている。今回の選挙で、思ったより若い人が投票に行かなかったという結果になると、また次の選挙からは元通りになって、若者向けの政策は端っこに書かれるようになると思います。 質問者:政治家が、投票してくれた人のためだけに政治をやるんじゃなくって、全員、どの世代にとってもいいことがある政策をしっかり掲げていればいいなと思うんですが、そういう政治家はいないのでしょうか。 おときた:はっきり言うと、いません。なぜいないのかというと、それが合理的な選択になるから。選挙という弱肉強食の世界では、合理的な生き物が生き残るようになっているんです。「僕らはみんなの代表なのであって、若者も高齢者も同じ国民なんだから若者にもちゃんとお金あげなきゃね」とか言っている人は、次の選挙で淘汰されていなくなります。その結果、自分に投票してくれる人のために政治活動する政治家ばかりが残って、それがどんどん再生産されているというのが、いまの状況なわけです。  これを打破するには、そうやって気づいた政治家をなんとかして生き残らせるよう、若い有権者が応援してあげること。それがなければ、なかなかこの弱肉強食の世界に変化は起きません。 若い人たちが選挙に行かない理由はシンプルで、いまの若い人たちは政治と接点がないからなんですが、であれば若い人と政治の接点を増やすことが一つのソリューションになると僕は思います。 例えば、結婚して子どもができたりすると、途端に区役所に行って政治にめちゃくちゃ関わるちようになるんだけど、それは保育所に入れなかったり高い税金を払わなきゃいけなかったりすることに、そこで初めて気づくからです。実際、その辺りの30代、40代からだんだん投票率が上がり始める。 同じように、10代や20代でも、例えば奨学金の問題なんかは実際に苦しんでいる人が多いから、それをきっかけに政治に関心を持ってもらうことはできるはず。実際、政治家たちは奨学金の問題をマニフェストに取り入れて、若者に支援してもらおうとしているからね。 あとは、若者政策に取り組む政治家をとにかく増やすこと。「人が3人集まれば政治家が来る」という法則があるんだけど、若者向けのイベントにそういう政治家を呼んで、その政治家に対する若者の支持を増やしていく。そういうイベントを小さくたくさんやって、それをネットで広げていく。そういうスモールビジネスみたいなやり方が、この問題の一つの解決方法なんだろうなと思います。 質問者:若者向けのマニフェストというのは、本当に実行されるんでしょうか。実行されるとしたら、いつ実行されるんですか? おときた:いい質問です。政府は毎年、予算というのを組んでいるんですが、この国って突然予算をつけたりします。例えば今回の選挙前に、低所得の年金生活者、要は高齢者に3万円を配ります、ということをいきなり安倍さんが言い始めた。それでいきなり何千億というお金を使ったわけです。だから、本気になればすぐにもできるということ。 よく「政治家は人の話を聞かない」って言いますが、それは一番大きな誤解です。僕は政治家になって3年経ちますが、自分の認識を一番大きく覆されたなと思うのは、政治家が人の話をめちゃくちゃ聞くということです。ただし、票になるとわかった場合に限る。 票になるとわかるというのは、要はビーチフラッグみたいなことです。「ピッ」て笛が鳴ってフラッグが立ったら、政治家たちはわーっと我先に走り寄って、フラッグを取ろうとする。それで誰よりも早く「実現しました〜!」って言いたい。だから、フラッグが立ってからはめちゃくちゃ早いんです。 したがって、どこまで旗を立てられるかというのが重要です。旗というのは投票率の高さもそうですが、「保育園落ちた日本死ね」というブログがバズったように、社会的なムーブメントを起こすというのも一つの手。ネットで話題になって、ガチの普通の人たちまで国会前にデモに来るようになると、政治家たちは結構焦るんです。本当にこれは票になるムーブメント来てるな、やらなかったら票を落とすな、と思う。そうなると、そこからは早いですね。第二部「2枚の投票用紙が渡されるって知ってる?」第二部「2枚の投票用紙が渡されるって知ってる?」おときた:選挙に行くべき理由がだいたい理解できたら、次は選挙に行った時にどうするか、という話をします。今回の参院選の場合、投票所に行くと2枚の投票用紙を渡されることになります。これ、なんで2枚渡されるのか、わかりますか? 妹尾:小選挙区と比例区があるから? おときた:おっ、いいですね。政治学科の小木くん、その違いを説明すると? 小木:比例代表は全国を一区として政党または人に投票する形式なのに対して、小選挙区は選挙区ごとで人に投票する形式です。 妹尾:比例区って、個人に投票しても政党に投票してもいいんです? おときた:参院選ではそうだね。ただし、衆院選の比例代表は政党だけです。これは後ほど解説するとして、まずはなぜ小選挙区制と比例代表制の2つの制度があって、なぜ日本はこの2つでやっているのかということを説明しましょうか。 まず、政党って何か、わかりますか?  三上:チームみたいなこと? おときた:そう、おおむね正解です。野球のチームみたいな感じで、同じ思想の持ち主がなんとかその思想を実現させようと思って頑張っているのが政党です。日本にはいろんな政党があるんだけど、比例代表ではこの政党に投票していくわけです。 一方、小選挙区は人に投票します。例えば、A・B・C・Dの4つの政党の人が立候補したとしようか。投票の結果、A党が40%、B党が20%。C党、D党も20%の票を集めたとすると、小選挙区で当選するのは誰でしょう? 妹尾:A党? おときた:そう。すると、大体どこの選挙区でも似たような結果が出て、A党が過半数の議席を獲得するわけです。つまりA党が意思決定権を持つことになるけど、A党の支持率は40%、つまり過半数の支持を得ていないんだよね。A党は40%の人からしか「お前に任せる」とは言われていないのに、全体の意思決定ができてしまって、60%の意思は無視されてしまうという、おかしな状況が発生してしまいます。それで、「これって本当に民主主義として正しいの?」「少数派の意見ってどうなっちゃうの?」という疑問が噴出した結果、編み出されのが比例代表制度なんですね。比例というと、何かと何かが比例するって言いますよね。これ、何と何が比例しているかわかりますか。小木くん。 小木:票数と、代表する人の人数? おときた:そう。票数というのは、つまり? 小木:……意見の大きさ? おときた:そう。比例代表制では、票数と民意が比例するわけです。だから全部比例代表制で選挙をすると、もし議席数が10席で、A党、B党、C党、D党の支持率が40%、20%、20%、20%なら、各党4人、2人、2人、2人が国会議員になるわけです。国会でちゃんと少数者の20%の意思がしっかり比例して反映される。これが比例代表のとてもいいところです。でも、これにも欠点があります。例えば比例代表制で4人、2人、2人、2人という結果が出て、小さいけど国会を開くとします。議題が安保法案とかいろいろあって、わーっと議論が起きたときに、じゃあ多数決で決めましょうとなったら、これ、決まるでしょうか。 妹尾:A党が勝つ? おときた:いや、過半数を取っていないので、A党だけでは勝てないね。B・C・D党が反対で、A党だけ賛成だったら、負けるときもある。比例代表制だけだと、意思決定が非常に怪しくなったり、時間がかかりすぎたりするわけです。これが小選挙区でやれば、ほとんど10人中8人がA党になるわけなので、とにかく意思決定がスムーズ。A党が賛成って言ったら、他の党の意見は全部無視して決まってしまうわけです。一方で比例代表は少数派の意見も重視するから、バラけてしまってなかなか結論が出せない。これが比例代表の欠点です。だから、メリットとデメリット、一長一短があるのが小選挙区と比例代表なんですね。 小選挙区はアメリカとかイギリスで採用されていて、比例代表はヨーロッパが中心。で、日本はこれを見ていて思ったわけです。どっちも欠点あるな、なんかこの欠点を解消する方法ないのかな、と。そういうとき、日本人ってどうする? 妹尾:……どっちも? おときた:そう、そういうことなんです。折衷案。日本はハイブリッドなんです。両方のいいとこ取りをしようということで、小選挙区比例代表並立制になった。そうすると、4党のパワーバランスが40%、30%、20%、10%だとして、小選挙区は50議席、比例代表は20議席を決めるとする。小選挙区だと、30人、20人、0人、0人。比例代表の20人は支持率に比例して8人、6人、4人、2人。ということで、この支持率が低い20%とか10%とかしか票が取れない人たちも、4人と2人の代表者を国会に送り出せますよね。プラス、この最大与党、一番でかいA党は30人+8人で38人いるので、70人中の過半数をとっている。少数者の意見も聞き入れつつ、意思決定もちゃんとできる。そういうハイブリッドができるのが、日本の小選挙区比例代表並立制というしくみなんです。 2枚の投票用紙を最大限活用する方法2枚の投票用紙を最大限活用する方法おときた:この制度というのはすごく面白くて、小選挙区ではA党に入れるけど、比例代表ではB党に入れる、ということもできる。小選挙区では1人しか受からないから、どんなに頑張ってB党に入れても、いわゆる死票になっちゃう可能性が高い。だから、あえて受かりそうな人に入れるか、接戦のときにどっちかに入れて、勝たせようとするか。比例代表というのは、小さい政党に入れると効果が高いです。小選挙区では勝ちそうにないけど、どうしても○○党が好きで彼らに頑張って欲しいというのだったら、比例代表で入れれば1議席とか2議席とか取れるかもしれません。こういう投票行動を戦略的投票といいますが、たった1票でも戦略をもって投票することで、うまく自分の思いを託す代表者を国会に送り込むことができるわけです。 質問者:比例で1枠とったとしても、そんなに影響力がないような気がしてしまうんですが、実際はどうなんでしょうか? おときた:1人でも、参議院では結構力を持っています。たしかに総理大臣と議論するような時間はもらえないですが、議員はいつでも質問主意書っていう紙で官僚組織に質問できるんです。そうすると、官僚は質問主意書に大臣の誰かの印鑑付きで答えなきゃいけない。それを出しまくることで、世論の力を借りて政治を動かしていくことができるんです。 福島みずほさんとか山本太郎さんとかは、それでめちゃくちゃ活動している人たちです。官僚組織にとってはそういう人が1人でもいるとものすごく大変なので「嫌がらせ」という言い方もありますが、それをちゃんとネットで公開して、「こんなとんでもない回答が返ってきた」とバンバンやって議論を焚きつければ、それで世論に影響を与えることができる。それは全然一人でもできます。なのでそういう意味では、比例代表は結構いい制度だと思います。第三部「どうやって投票先を決めたらいいの?」おときた:じゃあ最後、投票先をどうやって決めたらいいのか、についてお話していきます。まず基本的な考え方としては、今の社会に不満があるかないかで投票先を判断します。選挙というのは何年か一度にありますが、それは政治に対して正しいか正しくないかをジャッジメントする機会なんですね。この3年間、ないし4年間は良かったのか悪かったのかを考える。良くなかった、いまの社会が嫌だというなら、野党に投票すればいいんです。 余談ですけど、僕が政治家になろうと思ったのは、僕があまりにも女性にモテないからです。こんなにモテないのは社会がおかしいんじゃないかと。この社会を抜本的に変えるためには政治を変えなきゃいけないと。そう思って政治家になろうとしたのが僕です。女性たち、ドン引きしないでください(笑)。 妹尾:(モテない原因は)髪型だと思います。 おときた:すみません。小泉進次郎を意識したんです(笑)。まあそれは余談ですけど、そういう風に不満があれば野党に入れる。いまは不満もないし、ということであれば、いまの政権を担っている与党に入れればいいと。これが基本的な投票行動です。ここまではわかりやすいですよね。 でも、どうしても、そんなこと言ってもよくわからん、野党といってもいっぱいあってどれがいいかよくわからないし、でもなんか行かなきゃいけないから誰かに入れたいってときは、こう稽えてください。まず、男性の政治家か女性の政治家かで言えば、女性に入れてください。そして、若い政治家か高齢の政治家で言うなら、若い人に入れてください。 妹尾:じゃあ、若い女が最高なんですね!? おときた:その通りです(笑)。なぜなら、いまの日本の議会って女性の議員が極めて少ないんですよ。国会で11%ぐらいしかいない。もうオッサン社会なんです。オッサンの論理で物事が決まってしまっていて、子育て支援とか、オッサンが理解しにくい問題はなかなか変わらないわけです。となればやっぱり、マイノリティの意見を取り入れたほうが状況は変わりやすくなる。  若い人というのも同じで、いま国会の平均年齢ってだいたい53歳とかなんですね。でも日本人の平均年齢って40代だから、圧倒的に年寄りが多い。そんな中で20代、30代の議員がもっと増えないと、教育にお金を使おうとか、子育てにお金を使おうとかやっぱり思わないわけです。そういう常識を変えていくには、新しい人材のほうが、変化を起こしてくれる可能性が比較的高い。  だから、確率論で言えば、若い女性の政治家が一番変化を起こしてくれるポテンシャルを持っている政治家だということになります。 「マニフェストに書いてることって語尾が濁されている」妹尾:それはわかるんですけど、マニフェストももうちょっとどうにかならないかなと私は思っていて。マニフェストに書いてることってすごく語尾が濁されてるじゃないですか。「〜しようと思います」とか「検討します」とか。それが言い切り型じゃないのって、どこかずるいなって感じがするんですけど、あれはなんで言い切らないんですか。やれなかったとしても、「ごめんなさい」で済むじゃないですか。 画像はイメージですおときた:「ごめんなさい」で済まないからだろうね(笑)。要は保険をかけているわけですよね。できなかった時に、「いや、検討するとは言いましたけども、やるとは言ってない」みたいな。 妹尾:そっちのほうが意地汚いな。 おときた:うん。マニフェストってよく読んでも真面目な人ほど損するのは、結局いいことしか書いてないんですよね。あれもやります、これも実現しますって書いてあるから、結局この政党は何をしてくれるのかわからない。だからポイントとして見てほしいのは、マニフェストの最初に何を持ってきているかということ。内容は大して変わらないから、一番上に持ってきている政策が何かで、この政党が一番何を重視しているかがなんとなくわかるわけです。安倍さんなら経済を持ってきているし、共産党だったら安保法案廃止、憲法改正反対を持ってきている。向こう3年間で何を強調してやろうとしているかっていうのは、この順番にすごく表れるんです。だから、それを投票の参考にするのはありだと思います。 あと、僕はぜひ若い人たちに仕掛けてほしいと思っているのは、自分の選挙区の候補者にTwitterとかFacebookで質問をぶつけてみるということ。政治家たちはみんなTwitterとかFacebookをやらなきゃいけないというのはわかっているから結構アカウントを持っているので、そこに「18歳で初めて選挙に行きます。これはどうなんですか。一番丁寧な答えを返してくれた人に比例で投票します」とか言って質問を投げてみる。すると、それにちゃんと丁寧な答えを返してくれるのか、あるいは無視するのかで、本当にネット選挙とか若者向けの政策を真面目にやろうとしているのかがわかると思います。 質問者:選挙に出られる年齢って、確か衆議院が25歳以上で、参議院が30歳以上とかだった気がするんですけど、それだといざ若い人に入れようと思っても、私から見たらおじさんおばさんたちしかいないから、正直誰に入れたらいいかわからないです。若い人が選挙に出られるように変わらないんでしょうか。 おときた:今回18歳選挙権を受けて、実はほとんどの政党がマニフェストで「被選挙権の年齢を引き下げます」というふうに書いています。でもそれをどこまで本気でやろうとしているのかというのは、さっきの妹尾さんの質問じゃないけど、政党によっては「検討する」とか「やります」だったり違いがあるから、そこは見てみると結構面白いですね。 ただ、そのときよく注意してほしいのは、被選挙権の年齢が下がるだけじゃ意味が無いということです。実は、選挙に出る時のもう一つの条件に供託金というのがあって、国政選挙だと300万円もします。どこの世界に、18歳で300万円積める人がいるでしょうか。結局、世襲の2世かタレントしかいないわけです。これを下げないということは、彼らはポーズでやっているだけとしか思えない。 彼らは、若い人が出てきたらライバルになっちゃうから、それを恐れているんです。若い女性は特に票を集めやすいから、そういう人たちが入ってこれないように、参入障壁を高くしておこうとする。そこをしっかり僕らが「当然お金も下げてくれますよね?」「下げなんだったら入れないですよ?」とプレッシャーをかけていく必要があるんです。 妹尾:私はいま18歳なんですけど、それで最近18歳選挙権がらみのお話をいただくことが多いんですね。で、そうやって政治に触れる機会が増えると、少し興味関心が増えていっている気がするんですが、でもやっぱり普通の10代の人はこういう場所にはいないですよね。18歳選挙権を導入します、18・19歳の人は選挙に来てくださいって言う割には、そんなに私たち10代が政治に触れる機会ってないなというのを感じているんですが、その点についてはどう思いますか。 おときた:いい質問です。これはやっぱり、「票育」、つまり教育現場でちゃんと教育をしなきゃいけないということに尽きると思います。 いったいこの18歳選挙権の何がチャンスかというと、実は高校生が投票に行けるようになることなんです。大学で学生が一堂に会する機会ってなかなかないんだけど、高校だと毎朝ホームルームがあるよね。で、投票日は日曜日だから、月曜日の朝のホームルームで投票結果を受けて、学校の先生が「いやあ、昨日は選挙だったけど、君ら選挙行った?」とか「投票の結果こうなったけど、どう思った?」とか聞けるわけです。そうすると、高校生はいろいろ考えるようになるから、すごくいい機会になる。そういう票育、あるいは主権者教育をちゃんと今後やっていくかどうかが、ひとつの鍵になるかと思います。 あとは、18歳だと親と同居している人がまだ結構いる、というのも大きい。僕は以前、スイスに視察に行ったことがあるんですが、スイスでは16歳から投票に行ける州が増えているんです。なぜかというと、16歳はまだ実家にいることが多いから、投票日が日曜日とかだと「ほら起きなさいアンタ、投票行くわよ!」って言われて、親に連れていかれる。それでああだこうだ話しながら家庭内で教育が行われる。一回投票に行ってしまえば、その癖が17歳、18歳にも続くから、継続して行くようになる、ということです。実際、一度16歳で投票に行った人は、将来にわたって投票する癖がつくという研究があります。 政治的に真っ白な子どもたちに政治の話を吹き込んでいいのか質問者:外国の人と話すと、本当に自分の国のことをしっている外国人の人が多くて、例えば今回のアメリカ大統領選とかでも、Aという候補者にはこういうマニフェストがあるから私は入れない、とかそういう議論を熱心にやっていて驚くことがあるんですが、日本でそれが起きないのってやっぱり教育が原因なんでしょうか。 おときた:欧米で昔から当たり前に政治教育をやっていたかというと、そうじゃないんですね。ドイツとかでも教育者が10代みたいな政治的に真っ白な子どもたちに政治の話を吹き込んでいいのかっていうのはすごい国民的な議論がありました。でも最終的には、政治教育の三か条みたいなものを作って解決したんですね。「特定の思想を押し付けない」「反対の意見もちゃんと聴かせる」「最後は生徒自身の言葉で喋らせる」とか。そういう最低限のガイドラインを守ったうえで、教師は教育現場で政治の話をどんどんしましょう、ということを、国民的な議論を経て決めていったんです。だから日本も、そういう風に議論して、政治教育を前に進めなきゃいけないんじゃないかな、ということを僕は個人的には思っています。 小木:僕はいまアルバイトで塾の先生をやっているんですけど、子どもたちに社会を教えているときに、「安倍総理は憲法を変えるから悪いやつだ!」とか急に言ってきて、「え、そんなこと思ってるの?」とびっくりしたことがあります。「それはなんで?」って聞いたら、「テレビで放送されているから、そうに決まってるじゃん」みたいに言うんです。それってなんかすごい残念だなと思っていて。反対意見とか、もっといろんな意見があって、それを全部知ったなかでそうだっていうんだったらわかるんですけど、でもそうじゃない。学校教育だと決まったことしか教えてくれないから、テレビの偏っている放送を見ているとすぐ染まっちゃうんだと思います。これからもっと投票できる年齢が下がっていって、若い人も政治参加していかなきゃいけないっていうときに、どういう教育をすれば、若い子たちが正しい情報を得られるようになるんでしょうか。 おときた:それって日本の教育現場の根本のあり方の問題だと僕は思うんです。日本の教育では情報を与えるわけですよね。あれは悪いとか、どこどこを侵略しました、とか。でも、魚釣りで言えば、本当に大事なのって魚を与えることじゃなくって、釣り方を教えることなんです。世の中にはいろんな情報があって、こういう立場があって、それを取捨選択するやり方を教えるのが、本来の教育であるはずです。与えるべきは釣り竿であって、釣り竿の使い方を教えるのが本来の教育のやり方なんです。 知ることから始めよう。おときた:じゃあ、締めに登壇者のみなさんから感想をいただきましょうか。 妹尾:そもそも感じたのは、「なんで選挙に行かなきゃいけないの?」っていう疑問が生まれること自体、本来ちょっとおかしいことなのかな、ということです。それってたぶん、テレビが政治についてやっている内容がどれもあんまりいいものがないのが大きな理由なのかなと思います。やっぱり、今日みたいな機会で選挙とか政治についてお話を聞けば少しなりとも興味は出てくるものなので、やっぱりこういう機会は必要だなと思いました。 三上:選挙については本当になにもわからなかったんですけど、自分が勉強しないとなにもわからないんだなと。これからどんどん知っていくようにするのが大事かなって思いました。 森:自分も、選挙とか政治についてはそんなに知らなかったので、もちろん自分のまわりの同じ世代の若者の人たちでも絶対わからない人たちがいるんですよ。その人たちにもしっかり伝えて、まわりの人の考え方も変えていけたらいいなと思います。 小木:僕も一緒です。そこに事実としてあるのにそれを知らないって、すごくもったいないことだなって今日の話を聞いて思いました。あとは、このお話を聞く前はどうしても政治って遠いものだなと思っていたんですけど、今日のお話を聞いて、わりと親しみやすいんだなって思いました。まずは次の選挙に行ってみようと思いました。 おときた:ありがとうございます。いよいよ7月10日は、参議院議員選挙です。今日の僕の話を聞いて、選挙のことや日本のことを考えるきっかけにしていただき、ぜひ7月10日、行けない方は不在者投票でもいいです、ぜひ投票に行っていただいて、みなさんの意思を国に伝えて、政治を動かしていっていただければと思います。どうもありがとうございました。

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    18歳選挙権 自民、民進の若者向けアピールは迷走

     7月に実施される参院選から「18歳選挙権」が初めて認められる。新たに増える約240万人の有権者を引き込もうと、各党は若者へのアピールを強めるが、その方向性が、何やらおかしい。自民党が発表した、若年層に投票を呼び掛けるパンフレット 自民党は今年5月、若者に投票を促すパンフレット『国に届け』を公開した。人気少女マンガ『君に届け』(集英社刊)を彷彿とさせるそのパンフの冒頭には、「軽いノリじゃダメですか?」とのキャッチで始まる“若者啓蒙マンガ”が掲載されている。政治に疎い女子高生がイケメンで政治意識の高い男子と仲良くなるため、選挙の勉強をする物語だ。 しかし、女子高生が「さんいんナントカって私も行けるんだっけ!?」と尋ねるなど、「『女子高生は政治に無知で構わない』と言っているようなマンガ」(ジェンダー・漫画研究家の堀あきこ氏)と批判が集中。図らずも参院選公約にも掲げた女性活躍社会の看板の薄さを露呈してしまった。 各党は学生との交流にも積極的だが、やはりどこかズレている。安倍晋三・首相は6月10日、遊説先の奈良県で新有権者となる学生と昼食し、「選挙、(投票先は)誰か決めている?」と唐突に問いかけた。公示前で候補者名もわからず、戸惑う学生が「まだです」と答えると安倍首相は苦々しく笑うばかりだった。「仮面女子」と」共演し、楽曲を熱唱する民進党の枝野幸男幹事長=幕張メッセ さらに迷走するのが民進党だ。6月9日に生放送されたネット番組では、山尾志桜里政調会長がモデルらと「女性の社会進出」をテーマに「女子会」を開催。「しおりん」と呼ばれた山尾氏はかつて子役を務めたミュージカル「アニー」のポーズで写真撮影をキメた。 枝野幸男幹事長は4月29~30日に千葉市の幕張メッセで開かれた「ニコニコ超会議2016」で地下アイドルグループ『仮面女子』とコラボし、ステージ上で歌とダンスを披露した。汗だくでタオルを振り回し、「普段政治に関心のない人にも、あんな政治家いたなと思ってもらえたら」と“手応え”を口にしたが、2月に秘書が仮面女子のメンバーを幹事長室に“連れ込んだ”と公私混同が問題視されており、その言葉は軽く聞こえる。 数々の調査で「将来の総理候補」と評される民進党の玉木雄一郎・衆院議員はハフィントン・ポストの企画で行なわれた若者との対談で、「投票先を選ぶ時は、新しくスマートフォンを買う気持ちで」と発言。機種のカタログを見るように候補者の政策や経歴を調べようとの意図だが、スマホと選挙を同列に扱うセンスに違和感を覚えた若者は多い。関連記事たけし提言「選挙権をやるなら、18歳に少年法はいらねェよ」衆参ダブル選挙 18歳選挙権拡大が混乱の大きな火種に18才選挙権に異論「ろくでもない男を追っかける時期なのに…」日本だけ高い被選挙権年齢制限 米国では18歳市長登場の例も前回総選挙で約45%の投票者が60代以上 高齢者支持で当選圏

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    アベノミクスは「失敗」だったのか

    「アベノミクスの宴は終わった」。民進党の岡田克也代表が政権批判をしきりに繰り返している。確かに、ここ最近は円高が進んで株価も下がり、日本経済の先行きが怪しくなった感は否めないが、本当のところはどうなのか? まだ道半ばとはいえ、アベノミクスを一度評価してみる。

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    アベノミクスを「特効薬」のように煽った安倍政権とメディアの罪

    れる。 今回の参院選であるが、与党野党ともに印象論ばかりでろくな争点が見受けられない様に思う。本来、選挙で問うべきは、国家の未来像とその実現のための具体的な政策でなくてはならない。そのためにも、政府は積極的な経済に対する啓蒙活動を行うべきだと思う。国民に正しい知識を与え、判断の基軸を作ることこそが政府に求められている。そして、正しい知識を得れば、それが正しい判断とデフレからの脱却につながるのだと思う。

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    見くびられた日本経済の実力 アベノミクス「再起動」は今しかない!

    飯田泰之(明治大学政治経済学部准教授) 7月10日投開票の参議院選挙が間近に迫ってきた。2010年代の国政選挙の特徴は、有権者の経済問題(社会保障、雇用、景気)への関心の高さである。今回の参議院選挙も例外ではない。年代、地域を問わず、投票先を選択する際にもっとも注視する項目のトップ3には経済問題が並ぶ。これをうけて、各党の公約・主張においても経済問題への言及が目立つ。与党は3年半にわたるアベノミクスの成果と実績を訴え、野党は生活実感の悪化を非難するというのが基本的な展開である。 選挙の時期が固定されている参議院選挙には、現政権の政策を採点するという中間選挙的な役割があるのは確かだ。株価・為替・雇用・GDPが2012年以降どのように変化したか、直近の動向だけではなくやや長い、といっても5年程度の話だが、視点をもって各自検討されたい。その一方で、選挙によって決まるのは「過去の実績」ではなく「これからの政策」であることも忘れてはならない。安倍首相が強調するアベノミクスのエンジンをふかし、脱出速度を最大限に上げるために必要な政策は何か。民進党が指摘するふつうの人から豊かになる経済政策とは何か。ここでは、アベノミクスの今後(またはポスト・アベノミクス)のために必要な経済政策を考える基本について説明したい。 マクロの経済環境、例えば雇用や平均所得などは一国経済における需要(総需要)と供給能力の小さい方から決まる。誰も買わないものを作る企業はなく、みんなが欲しがるものでも作る能力がなければ供給はできないと考えれば当然のことだろう。需要と供給のいずれが経済の足かせになっているかによって、必要な経済政策は大きく異なる。結論に先回りすると、日本経済は未だ総需要不足、それも深刻な需要不足状態にあると考えられる。トヨタ自動車の元町工場=愛知県豊田市 2012年時点では、日本経済の需要不足状態は2年からせいぜい3年程度で解消されると考えられていた。人口減少社会に突入した日本において、労働者の供給には限りがあり、ある程度の需要改善があれば経済は「供給能力の天井」にぶつかる。需要が供給能力を上回るようになると、ディマンド・プル・インフレーションが発生する。さらに労働市場は本格的な人手不足に陥るため、賃金上昇率は高くなる。これが2012年当時想定されていたデフレからの脱却であり、そのために提示されたのがアベノミクス第一・第二の矢(大胆な金融政策・機動的な財政出動)である。そして、需要が供給を上回った後には供給能力の増強が経済成長の源泉となる。そのためには第三の矢(成長戦略)が必要となる。これがアベノミクス始動当初の政策パッケージである。日本経済の実力は事前の想定よりも高かった しかし、ここには大きな誤算があった。一国経済の供給能力とは、言い換えればその「経済の実力」と言い換えても良い。多くの専門家も官邸も、この日本経済の実力を過小評価していたきらいがある。金融政策によって極端な円高が是正され、雇用情勢が改善すると、これまで職に就くことをあきらめていた女性、高齢者が想定外の規模で労働市場に参入してきたのである。数年で頭打ちになると考えられていた雇用者数は2012年平均に比べ157万人(うち正社員37万人)の増加を経てなお増え続けている。「職に就くことをあきらめていた人」が働き出してみると、日本経済の供給能力、いわば日本経済の実力は事前の想定よりも高いということがわかってきた。 実力を過小評価していた――ということ自体は悪いニュースではない。その一方で、政策スケジュールは変更を迫られることになる。事前の想定よりも供給能力と需要の差が大きかったわけであるから、そのギャップを埋めるにはより長い期間とより強力な需要政策が必要とされることになる。 このように、今後のアベノミクスに必要とされる政策の姿が見えてくる。需要不足経済では、「需要を足してやる」ことで経済全体の成長を導くことが出来るからだ。そのために必要となるのが、アベノミクス第一の矢(金融政策)と第二の矢(財政政策)の再起動であり、両者の連動性を高めるための工夫である。 金融政策にはまだまだ出来ることが多い。なかでも重視すべきは、継続性への信頼を高める方法である。金融緩和がより長期にわたって継続されること、金融引締(量的緩和の縮小や利上げ)ははるかに先の話であることを市場に信用させなければならない。そのためには、政府が経済に関する明確な数値目標を設定し、その達成までは現在の金融緩和が強化されることはあっても縮小されることはないこと――それを政府・日銀が共同宣言として発表するべきだろう。目標としては、「(食料・エネルギーを除く指数で)2%のインフレが1年以上継続し、かつ名目GDPが600兆円を超えるまで」といったものや、雇用情勢とリンクさせたものが考えられる。大幅下落した日経平均株価の終値などを表示するボード さらに、政府の財政政策もこのような政府・日銀共同宣言と整合的なものに改めるべきであろう。2014年の消費増税、さらに2015年以降の公的支出の停滞をみても、第二の矢は継続性・一貫性を欠いている。自民党の公約集でも触れられている財政出動について、有効性の高い分野を見極めた上で、財政支出をためらわないことが求められる。 このような政策パッケージは与党の専売特許というわけではない。野党側にとっても合理的な方針となり得る。多くの論者が指摘するように、アベノミクスの政策パッケージは海外ではむしろリベラル政党に典型的な政策方針である。例えば、中道左派政権の首班であるカナダのトルドー首相は大胆な低金利のチャンスを逃さずに財政支出を拡大すべきだと主張している。民進党であれば金融緩和をさらに拡大し、低金利を生かした国債発行や財投債発行によって資金を調達し、自民党案よりも生活支援や低所得世帯対策に予算を優先的に配分することで消費の拡大を目指すといった提案も可能だろう(ちなみに英労働党はこのような方針を「人民のための量的緩和」と呼んでいる)。 アベノミクスの三年半によって、日本経済は大きな変化の時期を迎えている。改善されたことも多い。その一方で、まだまだ満足のいくパフォーマンスではないのも確かだろう。選挙戦も残り少なくなってきたが、次の一手の経済政策について、各党の活発な論戦を期待したい。

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    結局成功したのか アベノミクス景気は謎だらけ

    塚崎公義(久留米大学商学部教授)     アベノミクス開始から3年以上経過しましたが、景気は良いのか悪いのか、はっきりしない状態が続いています。それより何より、従来の常識からは説明が難しいような事が数多く起きています。どんな事が起きているのか、見てみましょう。金融緩和の偽薬効果で景気が回復 経済学者のなかには、「金融緩和をすれば世の中にお金が出回って、それがデフレを終わらせ、景気を回復させる」と考えていた人がいました。「リフレ派」と呼ばれる人々で、黒田日銀総裁もその1人です。しかし、実際には世の中にお金が出回ったわけではないので、彼等は間違っていたことになります。  一方で反対派は、「ゼロ金利の時に金融を緩和しても景気は回復しない」と主張していました。しかし、実際には金融緩和により株価やドルが値上がりし、それが景気を回復させたので、彼等も間違っていたわけです。 「金融が緩和されれば世の中に資金が出回ってドルや株が値上がりする」と考えた投資家がドルや株を買ったわけで、それが景気を回復させたのですが、これは「偽薬効果」とでも呼ぶべきものでしょう。 医者が患者に「良い薬だ」と言って小麦粉を飲ませると、「病は気から」なので治ってしまうことがある、というのと同じです。本来は金融緩和をしても世の中にお金が出回らないのだから、株やドルが高くなるわけでも景気がよくなるわけではないけれども、人々が株やドルが高くなると信じたことで、目指した成果の一部が実現したわけです。東京外国為替市場で円が上昇し、1ドル=104円台と高値をつけた =6月16日、東京都中央区円安でも輸出入数量は変化せず 1ドルが80円から120円に変化したのに、輸出入数量は、ほとんど変化しませんでした。円安になった当初は「企業が円高期に工場を海外に移転したから」という説明がなされていましたが、さすがに円安が始まって3年も経つと、この説明では不自然でしょう。円安なのですから、海外の工場で生産している数量を減らして国内工場の生産量を増やせば良いからです。 実際には、日本企業が「再び円高に戻るリスクがあるので、生産を国内に戻す決断が出来ない」といった要因が強いのかもしれません。そうだとすると、円安傾向が持続し、企業経営者が円高に戻る可能性は小さいと考え始めるまで、本格的な輸出の回復は見込めないのかも知れません。 もしかすると昨今の円高ドル安で日本企業が、再び円高に戻るかも知れないという恐怖心を思い出してしまい、ますます生産を国内に戻す動きが遅れることになったかも知れませんね。 人口が減少する日本ではなく、成長しそうな海外で生産する方が良いと考えている企業も多そうです。そうなると、生産の国内回帰は一層難しいかもしれませんね。 一方で輸入は、消費者が「国産品の方が安いから輸入品は買わない」と思えば減るので、輸出数量増よりも輸入数量減の方が先に生じるかも知れません。もっとも、日本企業が国内生産を高付加価値品だけに限定しているとすれば、輸入数量もあまり変化しないかもしれません。 たとえば日本企業が普段着は国内では生産せず、ドレスだけを国内で生産しているとしましょう。その場合、消費者が「円安だから中国製の普段着を買わずに同品質の日本製の普段着を買おう」と思っても、売っていないから、仕方なく値上がりした中国製の普段着を買い続けるのかも知れませんね。ゼロ成長なのに雇用も企業収益も好調ゼロ成長なのに雇用も企業収益も好調 アベノミクスで景気が回復したと言われていますが、成長率を見ると、過去3年間を平均してわずかな成長にとどまっており、「概ねゼロ成長」と言えるレベルです。 にもかかわらず、雇用情勢は絶好調で、有効求人倍率は高く、各種アンケートでも人手不足感が強くなっています。脱デフレで値下げ競争からサービス競争に移行している事が一因かもしれませんが、それだけでは到底説明し切れるものではありません。 企業収益も好調です。ゼロ成長で企業収益が好調となれば、労働者にしわ寄せが行っているのかと言えば、そんな事もありません。原油価格下落は一因でしょうが、それだけでは到底説明し切れるものではないでしょう。 筆者は、GDP統計に若干の疑問を感じていますが、仮にGDP統計が上方修正されたとしても、雇用と企業収益の絶好調を説明できるようなものにはならないでしょう。 おそらく、高齢化によって医療や介護といった労働集約的な仕事が増えていることが人手不足の一因なのでしょうが、それだけでは説明しきれないでしょう。今後とも、この違和感の解明は筆者の課題です。画像はイメージです結局アベノミクスは成功したのか 経済政策の目標が、「インフレも失業も無い世の中を作ること」だとすれば、今の日本経済ほど理想的な状況は考えられません。一方、多くの庶民は景気回復の実感が得られずに消費税率の引き上げ分だけ生活が苦しくなったと感じています。 結局、アベノミクスの恩恵が、株を持っている富裕層と失業を免れた最下層に集中していて、一部はワーキング・プア等の非正規労働者にも待遇改善という形で及んでいるものの、サラリーマン等の一般庶民には及んでいないため、景況感がバラバラになっているのでしょう。 しかし、兎にも角にもアベノミクスにより株とドルが値上がりし、株高で高級品が売れるようになり、円安で外国人観光客が増加した事、就業者が大幅に増えた事、などを考えると、アベノミクスが景気を回復させたと考えて良いでしょう。 景気の回復速度は充分ではありませんが、安倍政権発足前と比べれば、明らかに景気は改善しています。消費税率の引き上げ(これはアベノミクスと無関係)が無ければ、景気は更に良くなっていた筈ですから、アベノミクスの景気回復効果は決して小さくなかったと考える事も可能でしょう。 今後については、「景気は自分では方向を変えない」ので、引き続き緩やかな回復が続くと考えて良いでしょう。海外の景気が急激に悪化したりすれば別ですが、そうした可能性も高くはなさそうです。 筆者が期待しているのは、労働力不足によって企業が省力化投資を活発化させることです。バブル崩壊後の日本経済は、失業が問題でしたから、企業は安いコストでいくらでも労働力を集めることが出来、それによって省力化投資をせずに来ることが出来ました。 したがって、今の日本経済は「労働生産性の向上余地(少しだけ省力化投資をすれば労働者一人当たりの生産量が大きく増える余地)」が大きいのです。そこに企業が目をつけるはずだ、と考えているわけです。そうなれば、景気の回復が続き、少しずつ拡がりを持ったものになっていくと期待しているのです。【関連記事】■英国のEU離脱でも世界経済は大丈夫 (塚崎公義 大学教授)■アリとキリギリスで読み解く日本経済 (塚崎公義 大学教授)■経済情報の捉え方 (塚崎公義 大学教授)■株価は景気の先行指標だが、景気は改善しそうな理由 (塚崎公義 大学教授)■大学教授が教える、本当に役に立つ就活テクニック (塚崎公義 大学教授)

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    デフレと戦うアベノミクス 大東亜戦争との意外な類似点

    て外交が懸念されていたが、まったく逆になっている。  安倍首相は参院選を「アベノミクスへの信認を問う選挙」と位置づけている。むしろサミットを含めた外交の成果で政権の信任を受け、選挙後に経済政策を一新してほしいものである。 (日沖コンサルティング事務所『経営の視点』より転載)

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    安倍首相 野党呼びかけの党首討論に応じず上手に争点隠す

     7月10日に投開票される参議院選挙について、朝日、毎日、産経をはじめ新聞・テレビは全国の選挙情勢調査をもとに、〈改憲勢力 3分の2うかがう〉(毎日、産経)〈「改憲勢力」3分の2に迫る勢い〉(TBS) などとほとんど同じ見出しで「安倍自民圧勝」の見通しを報じている。安倍首相は党首討論に応じず 本誌が入手したある大手メディアの情勢調査のデータでは、自民党59(選挙区38、比例21)、公明党13(選挙区6、比例7)、おおさか維新5(選挙区2、比例3)と改憲支持の3党で77議席を獲得すると予測されていた。非改選組の改憲支持派(88議席)を合わせると165議席で参院の3分の2(162議席)を上回る。衆院では与党だけで3分の2以上の勢力を持っているから、参院選後、いよいよ憲法改正発議が現実味を帯びる。 ところが、有権者には選挙戦が盛り上がっている実感はまるでない。にもかかわらず、投票率が低ければ自民党が議席を上積みし、安倍首相は木に登る。「無党派層がそのまま寝てしまってくれればいい」 かつて森喜朗首相はそう発言して有権者の怒りを買い、総選挙(2000年)に敗北した。安倍首相はもっと上手い手を使った。メディアを眠らせたのだ。 まず、テレビの党首討論を減らした。首相は公示日前後に民放4局の党首討論に順番に出演した後、野党側が開催を要求しても一切受けない。民放キー局の報道スタッフが語る。「安倍政権はアベノミクスと連呼しているが、本音は憲法改正。前回の総選挙でもアベノミクスを争点にしながら、選挙後は安保法制を強行した。それと一緒で、一番の争点を隠そうとしている。政治部の記者はそれをわかっているが、ニュースでは言えない。政権からクレームが来るからだ。仮に、党首討論をやれば野党が憲法改正を議論するから報じることができるのだが、自民党は党首討論に応じない。 放送局の方も、どうせニュースやワイドショーで参院選を取り上げても数字(視聴率)が取れない。視聴率が取れないのに政権に睨まれるリスクをおかして党首討論をゴリ押しすることもないと考えている。視聴率が高かった舛添スキャンダルがなつかしい」 このままでは与党の望み通り、「過去最低の投票率で3分の2の大勝」ということになる。関連記事■ 民主党 TPP参加を選挙公約にすれば小選挙区議席40との予測■ 菅首相 党首討論に「×詰問 ○真摯に」などのカンペを持参■ 安倍首相 集団的自衛権の是非問う解散総選挙を仕掛ける説も■ 安倍首相 選挙棄権した1000万人超の大衆が動き出すこと恐れる■ 夏の参院選 愛知は河村たかし・名古屋市長の動向が鍵を握る

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    消費税5%に引き下げできる財源を内閣府資料は示唆していた

     安倍晋三・首相は6月1日の消費税再延期会見で、今年秋にも「大型景気対策」を打ち出す方針を表明した。だが、もっとシンプルな景気対策がある。「この際、税率5%に戻すのが正論です」と指摘するのは長谷川幸洋・東京新聞論説副主幹だ。というのも、2013年度からアベノミクス効果で日本の景気が良くなっていたにもかかわらず、突然失速したのは2014年の消費税8%への増税がきっかけだからだ。だからこそ5%に戻せば個人の所得は増え、株価上昇も間違いなく、日本経済は瞬く間に回復するだろう。にもかかわらずなぜ引き下げをしないのだろうか。 単純な疑問がある。公共事業の景気対策を組む財源があるなら、消費税率を下げられるのではないか。前出・長谷川氏の説明はわかりやすい。「消費減税をすれば社会保障の財源がなくなる、というのは官僚が与野党の政治家と結託して国民に減税をあきらめさせるための理屈です。国の一般会計の社会保障予算は32兆円、それに対して消費税収は17兆円。今も足りない分は別の税収等でまかなっている。消費税収が減っても、他の収入を回せば社会保障予算を削らないで済む。一時1ドル=100円台の円相場を示すモニター =7月6日午前、東京・東新橋の外為どっとコム しかも、政府・与党は経済対策の補正予算を検討しているが、特定の業界にカネを落とす公共事業などより、国民に広くメリットが行き渡る消費減税の方が景気刺激効果ははるかに高い。消費減税で景気が回復して所得税や法人税収が増えれば、社会保障の財源は十分まかなえます」 社会保障財源については、民進党は「赤字国債」の発行を主張し、「法人税減税をやめればいい」(経済アナリストの森永卓郎氏)といった意見もある。 実は、どちらも必要がない。内閣府が作成した興味深い資料がある。「アベノミクスの3年間の成果」という表題で、倒産件数、失業率、財政など安倍政権前と現在の経済指標を比較・分析した資料だ。今年1月の経済財政諮問会議に提出されたものである。この中に、ズバリの数字が書かれている。 国と地方の税収は、安倍内閣発足前の2012年度は78.8兆円だったが、2016年度は99.5兆円に大きく増えた。資料には、〈消費税率引き上げ分を除いても約13兆円の増収〉とある。 消費税率を8%から5%に戻すために必要な財源(税収減)は年間約8兆円であり、13兆円の税収の純増分をあてれば、他に増税しなくても、当面は5%に戻せることを物語っている。やればできるのである。 会期末会見で安倍首相は、「アベノミクスのエンジンを最大限にふかす」と語った。その言葉どおりなら、「8%据え置き」ではなく「5%に戻す」が筋だろう。あとは安倍首相が政治的な面子を捨て、国民と日本経済のための決断を下せるかどうかなのだ。関連記事■ 消費税率を5%に下げない理由を首相ブレーンが解説■ 消費増税 安倍・海江田の「談合質疑」は国民をバカにしている■ 安倍首相 消費増税の一方で法人税減税は明確な企業優先政治■ 赤字国債発行停止には消費税率16%引き上げが必要と専門家■ 安倍政権の増税論は「少子化対策」の失敗を自ら予測している

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    見識なき若者の政治的関心だけで「良い社会」になるとは限らない

    山本みずき 18歳選挙権の関連法案成立を2週間後に控えた昨年、大学で朝日新聞社の出張講義があり、同社記者が「18歳選挙権から考えてみる」をテーマに講演した。大教室に集まった学生は約500人。18歳選挙権の意義について語った記者が講演の中で学生に賛否を問うと、賛成派がわずかに上回った。 同様の調査は、法政大学の現代メディア論の授業でも実施され、結果は18歳選挙権への賛成は半分にとどまる一方、反対は17.6%となり、賛成派が多数であることが明らかになった(朝日新聞による調査)。 では賛成派はなぜ賛成なのか、理由を聞いてみた。「18歳で働いている人がいても選挙権がないのはおかしい」、「シルバーデモクラシーが現状となっているため、選挙権年齢の引き下げは人数的に微増だが、打開のきっかけとなり得る」、そのほか「若者の政治的関心を高めることにつながるから」という意見もあった。 こうした意見は、政治に関心を高めるキャンペーンに取り組む若手政治活動家の間で、よく主張されている内容と同じだ。ただ、これらの主張を聞いて、私はいつも感じることがある。彼らの意見は、確かな知識やデータに裏付けされたものなのだろうか。感覚だけで公に言葉を発してはいないだろうか、と。 例えば「18歳で働いている人がいるから選挙権がないのはおかしい」との意見を考えてみる。これは18歳以下の人であっても働いているならば選挙権を与えるべきだという主張が成り立つ。「安保法制の反対を声高に叫ぶ人々が、デモに行く前に2時間程度でも外交の専門書を読んで街頭に立てば、より論理的な話ができたと思う」という発言をした人もいたが、最近は政治を知的に考える姿勢が蔑ろにされてはいないだろうかと思わざるを得ない。安全保障関連法に反対する高校生グループのデモ=2月21日、東京・渋谷 本稿では、冒頭に紹介した学生たちの意見を参考にしながら、より具体的に18歳選挙権の意義を考えてみたい。 まず、「18歳選挙権がシルバーデモクラシーを打開するきっかけとなり得る」との主張については、二つの側面がある。一つは人口の規模である。シルバーを65歳以上と定義したとき、総務省統計局の統計によると人口は3189万8千人であり(平成25年10月現在)、20代の人口は1307万4千人、30代は1668万3千人で、20代と30代を合計すると若い世代の人口は2975万7千人となる。 では、18歳選挙権が加わると、投票に参加できる人口は一体どのくらい増加するのだろうか。18歳と19歳の人口は247万人。このためシルバー層の人口3189万8千人に対して、若年層の人口は3222万7千人となり、18歳と19歳が加わることで、選挙権を持つ若年層はシルバー層を上回った(若年層を10代と20代に限定するならば、シルバーデモクラシーの打破は人口的には無理があるが)。従って第一条件である人口の問題は解決することになる。18歳選挙権は政治的関心を維持させる装置 しかし、もう一つの側面を見る必要があり、それは18歳選挙権によって、20代および30代の投票行動が変化するか否か、である。人口面ではクリアしても、実際に投票行動に変化がなければシルバーデモクラシーを打破することはできないからである。この効果は実際に結果を見てみなければわからない。来月7月10日の投開票を待つ必要があろう。 その上で、18歳選挙権がないことが、結果として20代以降の政治的関心を左右しているという分析を紹介したい。 これは慶応大教授の小林良彰氏が憲法審査会で述べたことである。小林氏は、若者の政治的関心が低い原因を、18歳を含む高校生の境遇三構造分析から導き出し、その最大の要因を「自分自身が政治に働きかけることができるかどうかという内的有効性感覚の欠如にある」とした。2015年6月に開かれた衆院憲法審査会 まず、18歳という年齢が重要なのはなぜか。それは多くの場合、年齢を重ねるにつれ、「政治経済」や「公民」の授業を通して現代日本の様々な課題を学び、「18歳」はそれについての関心が芽生える機会を得る時期である。 しかし、こうした機会を得ながらも、実際の選挙で投票する機会を得るのは早くても2年先、長い場合で4、5年先となっていた。「自分は何も関与することができない」という若者が、内的有効性感覚を持つことは難しい。 これはつまり、18歳にとっては投票行動を待たされている間に政治への関心が薄れていき、それが世代効果を通じて、その後の政治的関心にも影響しているとの分析である。この点で、18歳選挙権とは政治的関心を維持させる装置になり得ることが分かる。 筆者自身は今年21歳となり、すでに選挙権を有しているため、18歳選挙権を付与された世代の感覚を完全に理解することはできない。ただ、言えるのは、18歳選挙権によってシルバーデモクラシーが打破され、若者の政治的関心が高まっても、それ自体は評価に値しないということである。 結果として「良い社会」「良い政治」が実現されたときに初めて意義を感じるものであり、政治への関心を高めた結果が「悪い社会」「悪い政治」であれば日本に明るい未来はない。 民主主義とは、これら両方の可能性を秘めた政治形態であり、そこに落とし穴があるのではないかと強い危機感を抱く。だからこそ、知識や教養、見識を磨くための努力も同時に重視すべきではないかと切に思う。

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    18歳に政治参加を期待しても無駄である

    参院選が公示され、目玉トピックは18歳選挙権である。そもそも全有権者のわずか2%に過ぎない240万人の民意で何が変わるというのか。表題のように、タカをくくっているお年寄りも多いだろう。若者よ、もっとシルバー民主主義の現実に怒り、一票を投じて「老害」どもの鼻を明かせ!

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    18歳選挙権で変わるべきは大人と社会全体だ

    原田謙介(NPO法人・YouthCreate代表)若者の参画が始まった いよいよ、選挙権年齢を18歳以上へと引き下げる公職選挙法の改正案が、2016年6月19日に施行された。18歳、19歳が投票できる18歳選挙権時代のスタートとなる。 自分は若者と政治をつなぐをミッションとしているものとして、この変化には思い入れが強いし、色々な仕掛けも変化に合わせて行ってきた。1年前に、国会で法律の改正が決まり、この1年間の実践や世の中の変化を通じて、改めて今の考えを簡単にまとめたい。 たとえば、10年後ぐらいから今年を振り返ったときに「2016年って選挙権年齢が下がった年だよね」なんて評価にはさせない。「選挙権年齢が下がったことをきっかけに、若者の参画が進みだした年だよね」。そのような評価につなげなければならない。 京都議定書の採択をきっかけに環境に対する動きが増えてきた。阪神大震災を契機にボランティアというものの認識が変わった。18歳選挙権をきっかけに、若者の力を社会で活かすことを考えたい。 以下は昨年6月に参議院にて参考人として招致され意見陳述をした際の動画です。変わるべきは大人PRする奈良県立橿原高校の生徒たち 「選挙権を得た10代の意識の変化が求められます」なんて偉そうなコメントをメディアなどでたまに見る。違う、変わるべきは10代じゃなくて大人。あるいは社会全体だ。 「なんか政治の話タブーみたいだから、家庭や学校で話しにくい」「政治については悪い話しか大人がしていない」「そもそも、お父さんお母さんが投票に行っていない」こんな話を、高校に授業にお邪魔する際によく耳にする。 若者は良くも悪くも社会全体の空気に敏感だ。まずは、大人自身が、“主権者の一人”である意識を改めて持つ必要がある。2014年の衆議院選挙で、40代前半までは投票率が50パーセント切っている現状も意識したい。学校現場の変化が起こりはじめた まず、高校での教育は大きく変わってきている。自分も執筆者の一人である、文科省・総務省両省による”高校生向け政治選挙に関する副読本”の全高校生への配布を皮切りに、様々な主権者教育に関する授業が行われている。 特に高校では、文部科学省の調査によると96.4%の高校で3年生向けに、なんらかの主権者教育を行うそうである。また、高校だけでなく小中高と積み重ねで進めることへの検討も進んできている。 さらには大学でも様々な動きがあり、自分も4月から岡山大学で、大学生向けの主権者教育授業の講師を行っている。これまで自分が受けてきたのとは違う教育を受けて社会に出てくる世代がいるということを、知っておきたい。選挙の仕組みを知ることにとどまらず、民主主義の一員として、主権者としての認識を持ってきている世代だ。家庭・地域の変化を作り出せるか家庭・地域の変化を作り出せるか 学校現場での教育の特徴は、中立的な指導の下に政治について同世代で政治について語っていくことだ。家庭・地域では、学校現場と違う以下の特徴を持った話の場になる。家庭では、親の考えなどを伝えながら、政治・選挙に関する話ができそうだ。 「お父さんとしては○○党のここがいいと思うだけど、どう思う??」「○○という政策に関して、親である立場としてはこう思うんだけど、どう思う?」。こんな会話をやってみてはいかがでしょうか? 学校の先生は自分自身の政治的な意見を言ってはいけないと日本では定められているので、こんな会話の切り出し方はできない。 また、地域での楽しさは多世代・多様な立場の人がいることだ。小学生・中学生、親世代、祖父母世代、様々な職業。いろんな人がいて、多様な意見に気づくきっかけになるだろう。 もちろん、「政治を話す会やるよ!」なんて言ってもなかなか人が集まるものではないと思うが、地域の何かのイベントや集まりの中で、政治とのつながりを視点として持ってその場にいるだけで全く見方は変わってくる。例えば、地域のスポーツクラブの集まりの際に、「スポーツ省について」「運動できる場や施設について」などなどが政治と関わっていることを意識してみる。町内会のイベントの際に、行政と町内化の繋がりを考えてみる。そんな視点をもって、声に出してみてはどうだろうか?政治は国政の話だけではない 参議院選挙という状況であることも加わり、どうしても「政治=国の話」となってしまいがちだが、自分の街に視点を向けてみても面白い。医療・年金・憲法・消費税などなど大事なことはわかるけど、どうも自分事として考えることができないということもあるだろう。 視点を、身近な自治体の政治に向けてみると印象が少し変わるかもしれない。「駅の周りの再開発をどうする!?」「統廃合で使わなくなる小学校の跡地をどう利用する!?」「街のPRのための企画をどうする!?」そんな話が見つかるだろう。もしかすると、そんな話は子供も大人も気軽に意見をいうことができるものかもしれない。 以上の視点を考えることのできる、発信やイベントを弊団体でも引き続き行っていきたい。

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    トリガーは18歳選挙権 動き始める「シルバー民主主義」からの脱却

    西野偉彦(松下政経塾政経研究所研究員) 2016年6月19日、改正公職選挙法が施行し、選挙権年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下がった。いわゆる「18歳選挙権」である。これにより、7月10日投開票の第24回参議院議員通常選挙では、国政選挙として初めて18歳選挙権が適用され、18・19歳の約240万人が投票に行くことができるようになった。  18歳選挙権にはどんな意義があるのか。例えば、若い世代の意見が政治により多く反映されることで、世代間格差の解消に向けたトリガー(引き金)となるという点が挙げられる。世代間格差については賛否両論があるが、生涯における社会保障費等の受益と負担の差が、高齢世代と将来世代では9000万円超に上るという推計もある。全国初の「18歳選挙権」が実施される見通しの滋賀県日野町で投票体験する高校生 その背景には、少子高齢化時代に突入し、高齢者より若者の人口に占める割合が低くなってきていることに加え、国政選挙の投票率を見ても、60代の投票率は20代に比べて約30ポイント以上も高いことから、高齢者の意見や要望が政治に反映されやすい「シルバーデモクラシー」が指摘されている18歳選挙権の適用によって、若者の意見をより政策に取り入れ、「世代による偏り」をできる限り抑える政治を行うことで、世代間格差の拡大にブレーキを掛けることが期待されている。 実際、今回の参院選では、各党の公約に若い世代を意識した政策が盛り込まれている。給付型奨学金の創設や出産・子育ての支援充実、被選挙権年齢の引き下げの検討等が目白押しだ。 また、各党は「ニコニコ超会議2016」等の若者が多く集まるイベントに出展したり、高校生や大学生を招いた意見交換会を催したりと、これまでの選挙以上に、若者の意見に耳を傾け、投票先に選んでもらおうとする姿勢が見られる。パフォーマンスと切り捨てることは簡単だが、各党が若者に向き合うことで「シルバーデモクラシー」から脱却し、世代間格差の解消への挑戦を始めたとも言える。 一方、18歳選挙権には課題もある。それは低投票率だ。2014年12月に実施された第47回衆議院議員総選挙で、20代の投票率は32.58%に留まり、約7割が棄権している (総務省HP「衆議院議員総選挙における年代別投票率の推移」)。「明るい選挙推進協会」の調査 によると、20代が棄権する主な理由には、「選挙にあまり関心がなかったから」や「政党の政策や候補者の人物像などの違いがよくわからなかったから」等が挙げられているが、同様の理由で、選挙権を得た18・19歳が選挙に行かない可能性もある。 そもそも、18歳選挙権の適用で有権者となる約240万人は、全体の有権者数に占める割合で見ると約2%に過ぎない。18歳選挙権の導入により、前述のように政党が若い世代に向き合おうとしているにもかかわらず、10代の投票率も低い水準に留まってしまった場合、若者の意見が政治に反映されるチャンスを失ってしまうかもしれない。ドイツの取り組みがヒントになる もちろん、筆者は「何でもいいから投票に行こう」という考えには賛同しない。政党の政策や候補者の主張について十分に判断ができなかったり、自分なりの意見を持たないまま投票に行くことは、衆愚政治に繋がる危険性があるからだ。それでは、どうすれば18・19歳の新しい有権者は、自分なりの意見をもって投票に行けるようになるのか。 この課題を考えるヒントを提供してくれるのは、日本よりも早く18歳選挙権を導入し、若者の政治参加に長年取り組んできた欧米諸国である。例えば、ドイツでは、若者たちが国政選挙に際し、興味深い「選挙キャンペーン」を実施している。その一つが「立ち位置(STAND.)」という署名活動だ。 これは、国会議員の候補者に対して、「立ち位置」と書かれたポスターを見せ、若者に関する政策への賛同の是非を問うものである。仮に、候補者が「若者のために全力を尽くします」と書かれた宣言に署名し当選した場合、若者たちは「あなたは署名したが、実際に議会等で若者に関する政策の働きかけをしているのか」というモニタリングを行うという。 この他にも、選挙権を持たない18歳未満も含めて投票機会を与える「U18」という模擬選挙のキャンペーンも全土で実施されている。若者たち自らが選挙のための教材を作成し、争点を整理し、模擬政党を作って議論し、投票箱を作成し、模擬投票の結果を「選挙特番」としてオンラインで発表している (小串聡彦・小林庸平・西野偉彦・特定非営利活動法人Rights2015「ドイツの子ども・若者参画のいま」p.63-68)。ドイツ連邦若者協議会による「立ち位置(STAND)」&「U18 」選挙キャンペーンのポスター さらに面白いのは、この選挙キャンペーンの主体は大人ではないという点だ。これらは、若者たちが政治に対する自分たちの意見反映や利益向上に努めるために組織された「連邦若者協議会」が仕掛けている。この会は、600万人以上の会員を擁するドイツ最大の若者団体だ。ドイツでは、若者の声を政治に反映させるための「ロビイング」が様々なかたちで行われており、「連邦若者協議会」も大きな影響力を有しているという。 このようなドイツの取り組みからは、選挙に対する若者の姿勢が徹底して「ポジティブ」であることが見受けられる。そこには、「投票してもどうせ政治は変わらない」とか「どの政治家も一緒だろう」などのネガティブな印象はない。 政党や候補者の違いについて、選挙キャンペーンを通じて、自分たちで情報を収集し、どこに投票するべきなのかを熟慮し判断しようとしているのである。もちろん、歴史や文化、国民性等が異なるドイツの事例を日本にそのまま導入することは望ましくないだろう。ただ、「自分なりの意見をもって投票に行く」ことの一つのあり方として参考になるし、日本の若者たちならではの「ポジティブな政治との向き合い方」を模索するヒントにはなるのではないか。18・19歳を含めた若者たちには、各党や候補者が発信している政策や主張を比べつつ、街頭演説や討論会、ソーシャルメディア等を活用して、候補者の主張を聞いてみたり、質問を投げかけたりすることで、ポジティブに選挙に関わってほしい。ドイツの事例を模した「選挙キャンペーン」を試みても面白いかも知れない。 そして、自分なりの意見を持って投票所に足を運んでほしい。今回の参院選は、18歳選挙権のスタートラインであり、長い年月をかけて日本の民主主義社会を成熟させていく道程の新たな一歩にしていきたい。

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    「政治は悪さ加減の選択」18歳の投票が続かないと思う理由

    岩渕美克(日本大学法学部教授) 18歳選挙権は選挙権年齢のグローバル・スタンダードが18歳以上であることや、若者の低投票率や少子高齢化で、若者の意見が政治に反映されにくくなることを懸念して導入されましたが、18歳なら主権者として権利を行使することを与えてもいいレベルにあるので、私は基本的に賛成です。ただ、日本の多くの若者は高校3年生に初めて選挙を迎えることになります。学校制度上の問題と、未成年者の選挙運動を禁じた公職選挙法(第137条の2)がバッティングする恐れがありますから、教育現場も政治の側も対応をおろそかにすると、せっかくの選挙権が上手に機能しない可能性があります。 例えば、18歳選挙権の導入で高校生の主権者教育に注目が集まっていますが、むしろ、今年3月に高校を卒業したばかりの18歳や、7月までに19歳の誕生日を迎える若者への教育のほうが重要だったはずです。でも政治や選挙に関する副教材は高校生には配布されても、社会人や大学生、専門学校生などの若者がどこまで教育を受けられているか疑問が残ります。そんな政治の準備不足が、各種世論調査で「投票に行く」と答える新しい有権者が6割程度にとどまっている原因につながっているかもしれません。しかも実際にはそのうちの7~8割ぐらいしか投票に行かないでしょうから、決して関心が高いとはいえません。ただ20代の投票率は総選挙でも3割と低いものですが、20歳の投票率だけは記念投票の意味でそれほど低くなかったと思うので、新しい有権者も記念に投票所に足を運ぶのではないかとみています。でも記念だけではそのあとが続かないでしょうから、続けて投票に向かわせるように若者に訴えることが政治に求められることです。 今までも、20歳を迎えて選挙が始まれば、突然投票所の入場券が届かないと気付かなかったわけですから、その意味では主権者教育にスポットが当たるようになったのはいいことです。ただ国民主権ですから、人は生まれたときにすでに主権者です。主権を行使できるようになる年齢が20歳から18歳に引き下げられただけで、突然「選挙に行きなさい」と言われて本を読まされても、新しい有権者は政治を身近に感じないでしょう。 でも20代の30%という投票率が、30代、40代、50代になると10%ずつ上がっていくように、彼らが年を取ればちゃんと選挙に行くようになるんです。それは、社会の中で税、教育、社会福祉といった問題に触れて、政治を身近に感じるようになるからです。だから18歳から政治を身近に感じさせるには、中学1年生から時間を掛けて主権者教育を行う地道な努力が必要だと思います。各政党も色々な高校に行って選挙権に関する話をしていましたけど、言葉は悪いですが、やっつけ仕事にしか見えない。1回の訪問だけで政治に関心を持つことはありませんから、高校回りを今後も続けて、4、5年後になって長期的な効果を見極めるようにしなければいけません。2014年12月、こども職業模擬体験施設「キッザニア東京」(東京都江東区)で行われた「こども模擬選挙」(鈴木健児撮影) また、3年前にネット選挙運動が解禁されましたが、日本は選挙運動が制限されているし、不備な点だらけです。高3でも選挙権のある生徒とない生徒がいますし、LINEで高1の後輩から「誰に入れるんですか?」と聞かれた高3の先輩が「○○に入れる」と返信しただけで、未成年者の選挙運動に抵触する恐れが出てくるわけです。この程度のやり取りが自由に出来ないのはおかしいので、ネット選挙選挙運動に関して公選法改正が必要でしょう。若者の関心が高い意外な政策 さらに、18歳選挙権により若い有権者が増えて「シルバーデモクラシー」偏重の解消を期待する向きもありますが、実はいま政府が進めている政策で高齢者寄りのものはあまりないんです。社会保障制度の構築にしても世代間格差をなくす、数十年後の若者に対する政策ですから、「シルバーデモクラシー」ばかりではないと思います。一方で若者向けの政策となると、教育関連ばかりが挙げられますが、奨学金の給付制度なんて本当は30代、40代の親世代向けの制度ですから、若者のため政策と一概には言えません。 では若者にどういった政策で訴えればいいのかといえば、大学受験生や保護者が一番気にしていたのが就職に関することでしたので、雇用政策は重要視されると思います。また昔の選挙研究を見ていると、30代以上の有権者が景気に一番関心が強かったのに対し、20代だけ外交、防衛政策が上回っていたというデータがありました。生活や景気にまだ実感がない分、若者にとってより関心が高くなったと言えます。SEALDsが出てきたのもその裏付けかもしれませんし、安全保障政策には若者が投票所に足を運ぶための効果があると思います。 候補を選ぶ際に「政策を見て決めるのが正しい決め方だ」などと難しいことを言っている人もいますが、私には違和感を覚えます。もちろん国民の代表を選ぶわけですから、政策で選ぶことに反対するつもりはないです。でも政策で決めるといっても全ての政策に賛成することはあまりないですから、自分が重要視する政策に合う候補でも、カッコいい候補でも、いい大学を出ている候補でも個人的には全て正しい選択だと思います。むしろ選んだ代表者がその後政治活動を監視していくことのほうがはるかに重要です。東京都知事選で有名人だから間違いないと思って投票した人が、お金で失敗して辞めてしまったら、反省して知事を選ぶポイントを付け加えたり、変えたりして、次の投票に臨めばいいわけです。選挙は自分が投票しなくても誰かが当選してしまうんです。福沢諭吉も丸山眞男だって「政治は悪さ加減の選択である」と言っているじゃないですか。だからもし入れたい人がいなければ、投票したくない人を外して、一番マシな人を選べばいいんです。(聞き手、iRONNA編集部・松田穣)いわぶち・よしかづ 日本大学法学部教授、同大学院新聞学研究科教授。1958年、東京都出身。慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程単位取得退学。聖学院大学政治経済学部専任講師、日本大学法学部専任講師、助教授を経て現任。専門は政治コミュニケーション、世論など。現在日本選挙学会理事長を務める。

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    「政治は悪さ加減の選択」18歳の投票が続かないと思う理由

    岩渕美克(日本大学法学部教授) 18歳選挙権は選挙権年齢のグローバル・スタンダードが18歳以上であることや、若者の低投票率や少子高齢化で、若者の意見が政治に反映されにくくなることを懸念して導入されましたが、18歳なら主権者として権利を行使することを与えてもいいレベルにあるので、私は基本的に賛成です。ただ、日本の多くの若者は高校3年生に初めて選挙を迎えることになります。学校制度上の問題と、未成年者の選挙運動を禁じた公職選挙法(第137条の2)がバッティングする恐れがありますから、教育現場も政治の側も対応をおろそかにすると、せっかくの選挙権が上手に機能しない可能性があります。 例えば、18歳選挙権の導入で高校生の主権者教育に注目が集まっていますが、むしろ、今年3月に高校を卒業したばかりの18歳や、7月までに19歳の誕生日を迎える若者への教育のほうが重要だったはずです。でも政治や選挙に関する副教材は高校生には配布されても、社会人や大学生、専門学校生などの若者がどこまで教育を受けられているか疑問が残ります。そんな政治の準備不足が、各種世論調査で「投票に行く」と答える新しい有権者が6割程度にとどまっている原因につながっているかもしれません。しかも実際にはそのうちの7~8割ぐらいしか投票に行かないでしょうから、決して関心が高いとはいえません。ただ20代の投票率は総選挙でも3割と低いものですが、20歳の投票率だけは記念投票の意味でそれほど低くなかったと思うので、新しい有権者も記念に投票所に足を運ぶのではないかとみています。でも記念だけではそのあとが続かないでしょうから、続けて投票に向かわせるように若者に訴えることが政治に求められることです。 今までも、20歳を迎えて選挙が始まれば、突然投票所の入場券が届かないと気付かなかったわけですから、その意味では主権者教育にスポットが当たるようになったのはいいことです。ただ国民主権ですから、人は生まれたときにすでに主権者です。主権を行使できるようになる年齢が20歳から18歳に引き下げられただけで、突然「選挙に行きなさい」と言われて本を読まされても、新しい有権者は政治を身近に感じないでしょう。 でも20代の30%という投票率が、30代、40代、50代になると10%ずつ上がっていくように、彼らが年を取ればちゃんと選挙に行くようになるんです。それは、社会の中で税、教育、社会福祉といった問題に触れて、政治を身近に感じるようになるからです。だから18歳から政治を身近に感じさせるには、中学1年生から時間を掛けて主権者教育を行う地道な努力が必要だと思います。各政党も色々な高校に行って選挙権に関する話をしていましたけど、言葉は悪いですが、やっつけ仕事にしか見えない。1回の訪問だけで政治に関心を持つことはありませんから、高校回りを今後も続けて、4、5年後になって長期的な効果を見極めるようにしなければいけません。2014年12月、こども職業模擬体験施設「キッザニア東京」(東京都江東区)で行われた「こども模擬選挙」(鈴木健児撮影) また、3年前にネット選挙運動が解禁されましたが、日本は選挙運動が制限されているし、不備な点だらけです。高3でも選挙権のある生徒とない生徒がいますし、LINEで高1の後輩から「誰に入れるんですか?」と聞かれた高3の先輩が「○○に入れる」と返信しただけで、未成年者の選挙運動に抵触する恐れが出てくるわけです。この程度のやり取りが自由に出来ないのはおかしいので、ネット選挙選挙運動に関して公選法改正が必要でしょう。若者の関心が高い意外な政策 さらに、18歳選挙権により若い有権者が増えて「シルバーデモクラシー」偏重の解消を期待する向きもありますが、実はいま政府が進めている政策で高齢者寄りのものはあまりないんです。社会保障制度の構築にしても世代間格差をなくす、数十年後の若者に対する政策ですから、「シルバーデモクラシー」ばかりではないと思います。一方で若者向けの政策となると、教育関連ばかりが挙げられますが、奨学金の給付制度なんて本当は30代、40代の親世代向けの制度ですから、若者のため政策と一概には言えません。 では若者にどういった政策で訴えればいいのかといえば、大学受験生や保護者が一番気にしていたのが就職に関することでしたので、雇用政策は重要視されると思います。また昔の選挙研究を見ていると、30代以上の有権者が景気に一番関心が強かったのに対し、20代だけ外交、防衛政策が上回っていたというデータがありました。生活や景気にまだ実感がない分、若者にとってより関心が高くなったと言えます。SEALDsが出てきたのもその裏付けかもしれませんし、安全保障政策には若者が投票所に足を運ぶための効果があると思います。 候補を選ぶ際に「政策を見て決めるのが正しい決め方だ」などと難しいことを言っている人もいますが、私には違和感を覚えます。もちろん国民の代表を選ぶわけですから、政策で選ぶことに反対するつもりはないです。でも政策で決めるといっても全ての政策に賛成することはあまりないですから、自分が重要視する政策に合う候補でも、カッコいい候補でも、いい大学を出ている候補でも個人的には全て正しい選択だと思います。むしろ選んだ代表者がその後政治活動を監視していくことのほうがはるかに重要です。東京都知事選で有名人だから間違いないと思って投票した人が、お金で失敗して辞めてしまったら、反省して知事を選ぶポイントを付け加えたり、変えたりして、次の投票に臨めばいいわけです。選挙は自分が投票しなくても誰かが当選してしまうんです。福沢諭吉も丸山眞男だって「政治は悪さ加減の選択である」と言っているじゃないですか。だからもし入れたい人がいなければ、投票したくない人を外して、一番マシな人を選べばいいんです。(聞き手、iRONNA編集部・松田穣)いわぶち・よしかづ 日本大学法学部教授、同大学院新聞学研究科教授。1958年、東京都出身。慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程単位取得退学。聖学院大学政治経済学部専任講師、日本大学法学部専任講師、助教授を経て現任。専門は政治コミュニケーション、世論など。現在日本選挙学会理事長を務める。

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    選挙権も18歳、供託金を世代設定すれば政治が変わる

    (東京都議会議員) 昨日も成人式に関連して若者の政治参加について取り上げたところですが、民主党が「被選挙年齢の引き下げ」にも言及したことが話題となっており、News Picksのコメント欄が非常に賑やかになっています。民主 「被選挙権年齢」も引き下げをhttps://newspicks.com/news/1337677/日本では選挙権は18歳からとなったものの、被選挙権でいうと衆議院議員:25歳参議院議員:30歳都道府県知事:30歳区市町村長:25歳各種地方議員:25歳となっています。なぜかと聞かれれば、公職選挙法でそのように定まっているからなのですが、ではこれって一体どうやって決まったのでしょうか? 歴史的に見ると衆議院選挙は明治22年に選挙権25歳・被選挙権30歳でスタートし、昭和20年(1945年)に婦人参政権が認められるとともに、選挙権20歳・被選挙権25歳という近代の形が完成しました。これを受けて戦後に成立した参議院選挙の方は、昭和22年に被選挙権を30歳としてスタートしています。 主な学説では参議院は「良識の府」であり、大衆の代表である衆議院よりも完成された人格が必要とされることから、衆議院よりも高い年齢設定が課された…とされているようです。参院本会議を終え退席する議員=6月1日 ちなみに都道府県知事が公選制となったのも戦後のことで、昭和22年が第一回と参議院選挙と同時期です。なので都道府県知事の被選挙権が30歳という設定なのは、この参議院の基準に引っ張られたと言えるでしょう。端的に言えば現状は大戦直後につくられた昭和の慣習を、70年近くも盲目的に引きずって使っているだけとも考えられます。 では海外スタンダードはどうなっているんだろう…と思ってインターネットを叩くと、非常にわかりやすくまとまっている記事がありました。日本の若者を「遅らせる」3つの年齢「投票権・成人・被選挙権」- 世界の潮流は?http://tatsumarutimes.com/archives/1575・被選挙権年齢21歳が世界的にみて最も多数派の年齢であり、59カ国(約30%)が制定・続いて25歳が57カ国(約29%))で、18歳に定めているのは45カ国(約23%)である・つまり、21歳の時点で被選挙権が得られる国は世界で108カ国(約55%)ということで、日本のように30歳まで出れない選挙が存在するのは、世界的に見れば少数派(20%以下)と言えそうです。なんでもかんでも世界に合わせれば良いわけではないのは当然ですが、世界最速のスピードで少子高齢化が進むわが国でこのような制度を保つことは、ますます若者たちを「置き去りにする」可能性が極めて高いと言えます。 民主党が単独で被選挙権年齢の引き上げを提唱してきたことは、本来であれば超党派で取り組む流れに逆らうスタンドプレイのようですが、とにかく18歳選挙権の勢いでこうした議論が加速するのは前向きな傾向だと思います。 加えて被選挙権を下げるにあたっては、国選選挙・首長選挙では最低300万が必要となる悪名高き「供託金」の引き下げも合わせて検討されるべきです。18歳や20代そこそこの若者に、300万円ものお金を用意するのは至難の技。こうした歪な参入障壁は、ますます職業政治家や世襲政治家を増やすことになります。 私が個人的に面白いと思っているのは、供託金に世代別で傾斜配分をかける方法で、10代:30万20代:50万30代:100万40代:150万50代:200万60代以上:300万として若年層に有利な形でハードルを下げていけば、国会議員の若返りを促進する一手になる気がします。 もちろん供託金を下げると「泡沫候補が増える」などのリスクもあるんですけど、現時点の設定でも完全に排除はできないわけで、NHKの政見放送とか取りやめにして全部ネット配信にすればコストもかからないし、愉快犯も減るんじゃないですかね。選挙制度というのは、国の政治を形作る根幹です。ここが変われば、一気に政治が変わっていきます。未曾有の少子高齢化に突入するわが国は、選挙制度のモデル・チェンジが必要不可欠です。(「おときた駿 公式ブログ」より2016年1月12日分を転載)

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    若者の投票は世の中を動かすのか? 北海道5区補選で見えたこと

    記事はヤフーニュースで書きました。 SEALDsは若者にウケず、野党共闘で投票率を下げた(北海道5区選挙結果速報値)(山本一郎) - Y!ニュース http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20160426-00057084/ 本件は、今日23時05分から放送のフジテレビ系ネット放送ホウドウキョク『真夜中のニャーゴ』でも多少喋ります。小一時間ぐらいでしょうか。ホウドウキョク 『真夜中のニャーゴ』http://www.houdoukyoku.jp/pc/ この厚別区をサンプルにすると、結局若者の投票性向もよく見ると現状に概ね満足で、比較的与党志向が強いと言えます。比較的左翼に強い北海道の土地柄を抜きにしても、いままで町村信孝さんの地盤であった北海道5区は弔い選挙を掲げた和田さん有利なのは仕方なかったと思うんですけど、若い人の投票は、意外に周辺に意見を聞いていることがなんとなく見て取れます。 選挙、とりわけ候補者について情報を入手するルートはスマホから(67.2%)、家族から(65.2%)、 友達・同僚から(47.1%)と他の世代と比べてスマホ経由が増え、新聞を読む人の割合は4.2%、新聞を信頼する人も18歳19歳で61.2%、20代前半で64.4%と順調に下がっていっている状態です。期日前投票所で投票する女子大生 ただ、そのスマホで何を読んでいるのかというと、ヤフーニュースが圧倒的、LINEが二番手でこの二つをあわせて8割強、選挙があるので興味を持って記事を幾つか読んだと回答した人がスマホ読者の7割超ということで、一応は興味あるんだよということは分かります。世代別投票率の詳報はこの後ですが、厚別区に関して言えば4割台前半で健闘するのではないかと思います。もっと選挙行けよ、といいたいところですが、世の中そんなものです。 政治に対する関心を持つ若年層は概ね20%弱というのは80年代からそう変わりません。これも、世の中そんなものだと言えます。あんま議論してもしょうがないレベルの話です。まあ、高校出て働きに出て、いきなり投票所で画板持った調査員二人組に「ちょっといいですか」と声をかけられて「政治に関心ありますか?」と訊かれて「はい、政治に関心あります」とポジティブに答えられる若者が少ないのは仕方ないでしょう。 そうなると、毎回教育だリテラシーだという話になるんですが、おいちょっと待てよ、お前ら年齢重ねた連中だってたいした政治教育受けないまま新聞記者になったり組織で偉い人になってんだろと思います。世の中こうであるべきだ、と自分の中で固まるのは40代だったとしても、そこにいたる過程で若い人が自分なりの社会経験をつむ中で試行錯誤するのは許されることだと私は思うんですよね。 良くも悪くも、政治環境というのはこういうものだと感じます。その中で、いかにより良い社会を作り、努力していくかを考えていくのが一番なんでしょう。「関心持て」といってもそうはいかないのが世の中ならば、関心のある人がきちんと物事を考えて取り組んでいって良い社会にしていくしか方法がないのだと思います。 というわけで、次いこ次。 (やまもといちろうオフィシャルブログ 2016年4月26日分を転載)

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    若者に告ぐ! 参政権と国防義務は不可分一体だ

    義に使った、とか保育園の増設、とか平和の大切さ、とかある党は、途中からその訴えの時間に合わせて参議院選挙の候補者を入れて宣伝をさせた。  それらを聞いてから私は次のように話した。 高校生こそ、国家を語れ、身近なことを語るな。この会議は、高校生未来会議ではないか。君たち高校生が国家を語らずして、どうして国家の未来が開けようか。その国家とは、日本である。 三島由紀夫は、 命にかえて守るべきものそれは歴史と伝統の日本であると言った。君たちも、その日本の歴史と伝統を語ってほしい。その意味で、伊勢志摩サミットの意義は計り知れないことを知ってほしい。伊勢神宮内宮を訪問し、参道を歩く安倍首相(中央)ら各国首脳 =5月26日 何故なら、その地にある伊勢神宮は、日本の天皇家と歴史と伝統の根源にある天照大神を祀る神社であるからだ。伊勢志摩サミットは、世界に日本は神話と歴史が連続して現在に至っているとてつもない国であることを世界に発信したのだ。 現在の我が国を取り巻く内外の情勢は、まことに厳しい。よって、今こそ我々は古代ローマ以来の格言を思い起こさねばならない。それは、「平和を望むならば、戦いに備えよ」という格言である。最大の福祉とは国民の命を守ること 現在、外においては、中共の暴力的台頭が、南シナ海で我が国のエネルギー供給のシーレーンを奪おうとしている。我が国はエネルギーの供給を断たれれば国民生活が麻痺して国家が崩壊する。 そして、内においては、いわゆる日本は悪いことをした国だという自虐史観を子ども達に教え続け、日本共産党と民進などの野党が連合して我が国の安全保障法制を廃止しようとしている。 これは、「平和を望むならば、戦いに備えよ」という格言の逆の動きである。従って、この共産党主導の動きは、中共が軍事力を行使しやすくするものでありますます我が国に動乱を招き寄せる動きである。 現在のこの内外の情勢こそ、亡国の危機であることを理解されたい。この危機を克服して平和を維持するために、軍備を増強しなければならない。防衛省の中庭にパトリオットを配備する自衛隊員=2013年4月、東京都新宿区(ロイター) さて、18歳から参政権を行使できる。そこで言っておく。参政権と国防の義務は、不可分一体なのだ。参政権とは、国家の在り方の決定に参加する権利でありかつ公務である。従って、国家の在り方の決定に参加したものは、はい、それで終わりではなく、国家の危機において、国家を守る義務を負うのだ。このことを忘れてくれるな。     最後に、もう一つ、格言を申し上げる。これはローマではなく、私が阪神淡路大震災の直後に被災地を歩いて見て回ったときに確信したものだ。それは、「国防は最大の福祉」、大災害の時、また、他国の軍隊に攻められたとき、最大の福祉とは、国民の命を守ることではないか。そしてその時、国民の命を守ることができるのは国防力すなわち軍隊である。この時、国民の命を守ることができない国家は福祉国家ではない。 この話をしているとき、高校生達はシーンとして聞き入ってくれた。その高校生の姿によって、私は我が国の未来を信じる。 私が話し終えてから、共産党の議員が私の横に来て、安保法制廃止は共産党の主導ではないというようなことを話してきた。私はにやりとして、「あれはなあ、コミンテルンの伝統的な人民戦線戦略やろ」と答えた。 なお、未来会議に出席した高校生達が、各党の主張に対して、如何なる評価を下したのかは公表されなかった。但し、南木隆治先生が、会議を最後まで傍聴されていたのだが、その南木先生が私を見たときの表情から、私の主張が、高校生から最高の評価を得たと確信した。(西村眞悟公式ブログ 2016年6月7日分を掲載)

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    18歳選挙権を導入しても、今のままでは気休め程度の改善策に過ぎない

    児玉克哉(社会貢献推進機構理事長) 7月10日に投開票が予定されている参議院選挙から選挙権年齢は「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられる。選挙権年齢の引き下げは、1945年の終戦直後に「25歳以上」から現行の「20歳以上」となって以来、70年ぶりとなる。多くの他の国では18歳から投票権を持つというのが多い。191カ国の中で176ケの国や地域で18歳までに選挙権が認められている。OECDの中では、18歳までに国民に選挙権を与えていないのは日本と韓国だけであった。実に遅い対応と言える。 ちなみに16歳で選挙権を得られるのは、ブラジル、キューバ、ニカラグア、オーストラリア、東ティモール、キルギスである。17歳は、北朝鮮、インドネシア、スーダンである。 逆に21歳以上にならないと選挙権を得れない国もある。21歳以上は、オマーン、クウェート、パキスタン、レバノン、サモア、トンガ、フィジー、シンガポール、マレーシア、モルディブ、ガボン、コートジボワールである。アラブ首長国連邦は選挙権は25歳からとなっている。イスラム諸国が目に付く。 いずれにしても日本で今度の選挙から選挙権年齢が18歳に引き下げられるのは歓迎すべきことだ。18歳、19歳の有権者数は現在、240万人とされる。 この選挙権年齢の引き下げの意味について考えてみよう。 まず、若者の意見を政治に生かすことにプラスになることが挙げられる。少子化が進む中で、若者の数は減っていく。そして若者の投票率は非常に低くなった。60歳以上の高齢者の投票率と比較すると相当な差になる。選挙は勝たなければならない。そうなると、大票田を意識した政策アピールをするしかないのだ。高齢者の数が多く、投票率も高いとすると、その層をターゲットにした政策を展開するしかなくなる。候補者に聞くと、子育てが大切だ、教育が大切だ、若者が生き甲斐を感じる社会を作りたい、などを言う。しかし、政治家はそれを本気で取り組まないのだ。年金を大切にする、医療を充実する、高齢者福祉を充実する、などといった政策の方が票に結びつく。日本の教育や子育て環境が劣化してきたのには、若者の数の減少と投票率の低下が影響している。デパートで客層に応じた品揃えをするように、投票者層に応じた政策が展開されてきたといえる。240万人の若者の有権者数の増加は多少は、状況を緩和させる。ただ投票率は高くはならないだろうから、気休め程度の効果といえようか。候補者の訴えを聞く有権者ら=6月22日、大阪市 権利と義務は表裏一体の関係といわれる。これから若者への「義務」が重くなる。大きな財政赤字がある中で、景気が急に上向くとは考えられない。高齢者比率がますます増える中では、医療費や社会保障費の負担は増加していく。つまり若者世代は大きな負担をしていかなければならない。なのに、投票権もないというのでは、おかしいという議論になる。投票率が低いのは投票に行かなかったものの責任としよう。選挙権年齢を下げたことによって、国は「堂々と」若者に負担増を押し付けることができるのだ。 投票に行けるということで、政治意識が少しは高まるのではないかともいわれる。これも効果の一つではある。しかし、これまでに選挙権のある人の政治意識も低い。投票に行けるから政治を考えるようになるだろう、というのは0ではないにしても、大した効果が期待できるわけではない。 つまり、選挙権年齢が18歳に引き下げられるのは、当然のことで、歓迎すべきことだ。だが、それで状況はほとんど変わらないということだ。若者を含めた国民が本当に政治に参画できる仕組みを作ることが最も大切なことだ。選挙選挙というけれど、選挙で政治が変わると思っている人はあまりいない。私は選挙選挙の間が最も重要だと思っている。その間に、どれだけ社会づくり、地域づくりなど政治に実際に参画できる仕組みを作るか、が決定的に大切なのだ。 日本では政治家が政治をするものだと思われている。政治家はろくな政治をしない。政治は国民がするものだ。私は北欧に6年間住んでいたが、普通の人が国や自治体の政策に直接的に関わり、NGOが政策を動かす力を持っていたことに驚かされた。だから北欧では国政選挙の投票率は8~9割だ。政治を政治家任せにしていない。 来る参議院選挙。私は、最も重要なポイントは、国民とともに政治を作りたいという姿勢を持った政治家を選ぶことだ。国民が政治参画できる仕組みと政治文化を作ること。これが実行できれば、おのずと投票率は上がっていく。そうした新たな政治ができることを願っている。今の日本では、この単純なこともあまりに遠い夢となっている。(「児玉克哉のブログ『希望開発』」より2016年6月9日分を転載)

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    18歳選挙権施行に備え高校で模擬投票実施するのは無意味

     7月と噂されている参議院選挙では、18歳選挙権が初めて行使される選挙となる。18歳でも選挙についてよくわかるようにと、メディアや高校で様々な啓発・教育が行なわれているが、評論家の呉智英氏は無意味なものが多いと、その空疎さを指摘している。以下、呉氏が解説する。* * * 改正公選法が6月から施行され、18歳選挙権が実現する。新聞には啓発記事が掲載され、高校では模擬投票も行なわれている。しかし、これが啓発、教育だろうか。 朝日新聞は、昨年末以来、AKB48のメンバー3人を起用し、憲法学者・木村草太、ジャーナリスト・津田大介を交互に講師として、政治の仕組を学ぶと称する企画を随時連載している。AKBを使うのは、ソフトに、ポップに、ということらしいが、本質を外していたら何の意味もない。 2月12日付は「国政選挙、AKB総選挙とどう違う?」。問われるまでもなく、誰でも分かる。AKB総選挙で選ばれるのは、舞台でセンター位置に立つ権利者である。国政選挙で選ばれるのは立法権者(国会議員)であり、その中から行政権の長(総理大臣)が選ばれる。要するに統治権力の執行者を選ぶのである。AKBのセンターなんて何の権力執行もできない。国政選挙とは全然違う。AKBの「選抜総選挙」で、会場に登場したメンバー=6月18日、新潟市 だが、共通点もある。AKBの実質的な統治権力者はプロダクションである。センター権者を気に入らなければ潰してしまえばいいし、AKBを解散させることさえできる。国政の場合も同じで、選挙なんて無関係に統治権力を代えてしまうことができる。クーデタ、革命、そして侵略(被侵略)である。憲法学や政治学で言う「憲法制定権力」の交代である。 一見難しそうなこの言葉も、AKBというシステムを譬えにすれば、非常によく分かるだろう。そして、ここが憲法論の要なのである。 共通点はまだある。AKB総選挙も国政選挙も、しょせん人気投票だし、金がものを言う、ということである。国民なんてその程度のものだし、民意なんてその程度のものであり、そうであれば、今我々が当然のことだと思っている普通選挙制度(1925年成立)も疑ってみる必要がある。だって、日本の軍国主義化、アジア侵略、治安維持法とその強化(最高刑に死刑を含める)は、全部普通選挙以後のことではないか。 朝日新聞の啓発記事以上にくだらないのが各地の高校で行なわれている模擬投票である。 避難訓練や救急訓練ならやる意味もあろう。しかし、投票に訓練なんて必要か。用紙に名前を書いて投票箱に入れるだけではないか。衆参同日選挙の場合でも、投票用紙の色は違うし、投票箱も違う。しかも、説明板も置いてあるし係員も配置されている。それでなお模擬投票をするのは、投票ゴッコという遊びでしかない。 投票ゴッコでもよい。慣れや動機づけにはなる、という人もいる。困ったものだ。 現在、高校で医大志望者がふえている。そのための小中学生向けの塾もある。そこでお医者さんゴッコが奨励されるだろうか。医大入試の面接で動機を聞かれ、子供の頃からお医者さんゴッコが好きでしたと答えたら合格するだろうか。そんな奴は真先にはねられる。 政治教育ゴッコも投票ゴッコも政治理解には何の役にも立たない。●くれ・ともふさ/1946年生まれ。日本マンガ学会前会長。著書に『バカにつける薬』『つぎはぎ仏教入門』など多数。関連記事■ 衆参ダブル選挙 18歳選挙権拡大が混乱の大きな火種に■ AKB前田の13万9892票は静岡市長、さいたま市長を超えた■ 衆参ダブル選挙 NHKで長時間政見放送流れることに■ 「マイナス1票」投票権の創設で日本の政治が劇的に変わるか■ 総選挙で新人議員184名誕生 氏名標作成業者は徹夜で名入れ

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    若者よ騙されるな!参院選公約比較「ワカモノのミカタ」政党を探せ

    高橋亮平(中央大学特任准教授、NPO法人Rights代表理事) 参院選の選挙公約が揃い始めた。「18歳選挙権」実現以降、多くのマスコミはこの投票率の問題や18・19歳の投票行動、またそれによる選挙結果の変化に注目した。 「18歳選挙権」による初の選挙とのなる参院選を目前に控え、18・19歳を中心に若者の動向が注目される選挙ではあるが、注目すべきは若年投票率ではない。こうした取材を受けるために話してきたことがある。2007年から世代間格差の問題を指摘し、様々な政策提言を行ってきた。※参照:「世代間格差ってなんだ」(PHP新書)https://www.amazon.co.jp//dp/4569790216 2015年には若者の声を政党公約に反映することを目的に「日本若者協議会」を立ち上げ、自民・民進・公明・おおさかの各党と政策協議を続けてきた。 すでに各党からも我々の提言を受けて政策に反映したとの発信もあるが、今回の参議院議員選挙は、18歳選挙権による初めての国政選挙ということもあり、各政党とも公約についても若者に対して、一定の意識をした公約になってきている。 いよいよ明日、日本で初めての「18歳選挙選挙」とも言える参議院議員選挙が公示となる。今回は、こうしたタイミングで、自民・民進・公明・おおさか・共産といった政党の参議院選挙公約について、『ワカモノのミカタ政党はどこだ!』と各政党参議院選挙公約若者度評価を作成して紹介したいと思う。画像はイメージです すでに6月15日に先述の日本若者協議会とワカモノ・マニフェストの共催で、『参議院選挙直前!18歳選挙権サミット~ワカモノのミカタ政党はどこだ!~』を行った。各党代表の国会議員から各党の公約について紹介してもらった上で、各分野の有識者たちを交え、若者目線で各党公約から「ワカモノのミカタ政党」を考えた。この様子はニコニコ動画で生中継も行ったので動画を見てもらうこともできる( http://live.nicovideo.jp/watch/lv265909518 )。 また、本日6月21日は、代表理事を務めるNPO法人Rightsと松下政経塾が協力し、お笑い芸人であり東大院生でもある、たかまつななさんや、日本一の選挙プランナーとして政治業界では知らない人のいない三浦博史さんなどをゲストに、『「若者×政治」フォーラム ~参院選前夜!18歳選挙権は激戦区を制するのか~』( https://www.facebook.com/events/1649178368739943/ )を行う。 是非、こうした場も、新たなに選挙権を持つ18・19歳はもちろん、30代くらいまでの若者、さらにはその上の世代の皆様にも今回の選挙を考える、また、今回の選挙での投票先を考える参考にしてもらえればと思う。※データは日本若者協議会とワカモノ・マニフェストに各党が回答したものと公約から作成http://blog.livedoor.jp/ryohey7654/160621コラム/160621イベントチラシ.jpg公約でこぞって被選挙権年齢引き下げ公約でこぞって被選挙権年齢引き下げ そんな中でも参議院選挙における選挙公約で象徴的なのが、自民始め主要政党が公約でこぞって「被選挙権年齢引き下げ」を掲げたことだ。被選挙権年齢引き下げについては、これまでも『自民党が安倍総理への提言にまで載せている二の矢『被選挙権年齢』引き下げの実現性』などでも紹介してきた。この「被選挙権年齢引き下げ」について2011年以降、国会で発言した件数を調べたところ、最も多かったのが、18歳選挙権実現の中心であった船田元 議員(自民)と、そしてなぜか国会議員でもない高橋亮平 参考人の6回だった。いかに国会の中でこれまで議論されてこなかったテーマであるかがここからも分かるはずだ。少なくとも主要政党でこの被選挙権年齢引き下げを公約で掲げるような政党は1つもなかった。それが今年に入って一変した。 こうしたプロセスについては、『若者が与党を動かした!~自民党、参院選公約に「被選挙権年齢引き下げ」盛り込みへ』、『若者たち自身が動かした!「若者担当相」「被選挙権」等が公明党参院選重点政策に!』なども見てもらえればと思う。 本気で若者の声を聞こうとしているのはどこか? まず注目したいのが、「若者の政治参加」の項目だ。とくに先述の被選挙権年齢引き下げに関しては自民・民進・公明・おおさか・共産のすべてが明記した。・自民:「被選挙権年齢の引き下げについて検討します」・民進:「選挙に立候補できる年齢を一律5歳引き下げる。(衆議院は20歳から、参議院は25歳から)」・公明:「被選挙権年齢の引き下げをめざす」・おおさか:「18歳以上に被選挙権付与」・共産「被選挙権年齢のすみやかな引き下げ」 今回の参議院選挙の公約の特徴は、この被選挙権年齢引き下げに限らず、多くの政策で、各党の政策の差がほとんどなくなってきている。ということにある。 細かい部分での公約表記の違いの見分け方についても紹介しておくと、引き下げの想定年齢を「18歳」としている政党と、「20歳」からとしている政党があること、参議院や知事などの年齢規定と分ける必要があるのか、などが一つの論点になる。こうした設定にも各党の特徴や背景も透けて見えるのが面白い。ただ、こうした年齢規定の「好き嫌い」だけで選ぶのは短絡的で、それ以前に、引き下げを断言している政党と、「めざす」「検討」としている政党があることも注目してもらいたい。当事者たちがどういう思いで公約の文面にしたかは別にして、うがった見方にもなるが、「めざす」という表記は結果がどうであれ「めざせば」、公約達成になるし、「被選挙権年齢の引き下げについて検討します」は、そもそも「引き下げるべき」とすら言っておらず、「引き下げるべきか、引き下げるべきでないか」を「検討」さえすれば公約達成ということになる。 こうしたいわゆる「てにおは」などによって七光りにした文面を官僚が作る文面に例えて「霞が関文学」などと言ったりするが、まさに「永田町文学」を読み解く力が、若者たちにも求められることになる。こうした視点で、このほかの政策も見ていってもらうと面白くなるのではないだろうか。若者の政治参加分野の公約については、もう一つ新しい提示が、選挙に限らない若者の直接参画の促進を明示した政党が出てきたことだ。・公明:「若者政策を担当する大臣・部局」・「審議会等への若者の登用」・「「若者議会」の開催を推進 」公明しか提示していないということはあるが、若者の参画現場を選挙だけだと位置づけるのではなく、行政など政策形成の現場や、地方自治体においても必要だと位置づける政策が主要政党の公約に明示されたことには大きな価値がある。この他については、各政党によって違いが見える。自民党と共産党が供託金の緩和について、おおさかと自民がネット投票に関してなどが明記されたほか、18歳選挙権の実現によって関心も高まっている政治教育について明記しているのは民進党だけ、また高校しえの政治活動の禁止に触れたのは共産党だけだった。・自民:「選挙における供託金のあり方やインターネット活用の可能性等についても検討します」・民進:「主権者教育を高校だけではなく、小・中学校から積極的に行う」・「学校現場での「模擬選挙」等の実施について支援する」・おおさか:「スマホ投票(ネット投票)」・共産:「供託金を大幅に引き下げ」・「高校生の政治活動の禁止・制限に反対し、主権者としての自由を守る」 こうした政党の特徴についても見てもらえればと思う。http://blog.livedoor.jp/ryohey7654/160621コラム/スライド1.jpg 若者が働きやすいのはどんな環境だろう? 労働雇用分野についても各党が掲げる公約は、違いがなくなってきた。その象徴が「同一労働同一賃金」だろう。自民・民進・公明・おおさか・共産ともに同一労働同一賃金に関して明記。最低賃金の引き上げや、ブラック企業対策についても自民・民進・公明・共産が明記した。こうした表記では、違いを読み解くのは難しいかもしれないので、大きな違いだけ触れておくことにしたい。 「同一労働同一賃金」と明記しているものの考え方だが、自民・民進・公明・共産の4党については、基本的に非正規社員を正規社員にすることを目指しているが、おおさかだけは非正規については非正規のままで賃金や労働条件を正規並みに引き上げ、雇用や働き方を多様化しようとしている。画像はイメージです 細かいところでは、最低賃金の引き上げについても金額については全ての政党が1,000円と額は同じものの、全国どこでも1,000円以上を想定している政党と、全国加重平均としている政党があったり、ここでも「めざす」と表記している政党もある。各党の考え方の違いがより明確なのはその他の部分で、新しい産業やイノベーションなどの促進に触れる政党、テレワークなど働き方の多様化をめざす政党、労働環境改善に向けた環境整備をめざす政党があった。・自民:「待遇を確保しつつ、失業を経ない形で、成熟分野から成長分野への円滑な労働移動を進めます」「柔軟に仕事ができるテレワークの推進も含め、働き手が時間や場所に制約されない効率的で多様な働き方を実現します」「日本人だけでは労働力が不足し社会に深刻な悪影響が生じる分野について、外国人労働者が適切に働ける制度を整備します」・民進:「若者の雇用増にもつながるイノベーション・新規企業への支援。農業者戸別所得補償制度の法制化、中小企業への支援の拡大、NPO税制拡大」・公明:「仕事と子育て・介護の両立支援」「短時間勤務やテレワークの推進」「女性起業家支援を強化」・おおさか:「ストックオプション行使による利益はキャピタルゲイン扱いに」・共産「パワハラ行為を行った企業には、労基署などが助言、指導、勧告をおこない、勧告に従わない企業名を公表 」http://blog.livedoor.jp/ryohey7654/160621コラム/スライド2将来まで考えるとどの政党の主張が成り立つのか 今回の参議院議員選挙公約の最も象徴的な政策の一つが、この分野だと思う。2007年から「世代間格差」という言葉をつくり、この問題を指摘し続けてきた。 今年2月には、この視点から『若者政策競争で自民党がここまで踏み込むと、「18歳選挙選挙」でも自民圧勝の可能性が出る』( http://blog.livedoor.jp/ryohey7654/archives/52051377.html )というコラムも書いたが、結論から言うと、この分野は、ここで紹介した自民党も含め、各党ともに、この参議院選挙公約から大きく後退することになったと言える。 象徴的なのが消費増税についてである。自民党が消費増税を延期したことは、すでに多くの人が知っていることかと思うが、民進党・公明党についても消費増税を延期することとした。もともとおおさか維新の会と共産は消費税増税そのものについて反対。日本から消費増税を訴える政党がなくなった。・自民:「消費税については全額、社会保障の財源とし、国民に還元します。経済再生と財政健全化を両立するため、2019年10月に消費税率を10%へ引き上げます」「消費税率引上げに伴う低所得者への配慮として、2019年10月に消費税の軽減税率制度を導入します。軽減税率制度を混乱なく円滑に導入できるよう、事業者への対応を含め、 万全の準備を進めていきます」「軽減税率制度の導入に当たっては、財政健全化目標を堅持するとともに、「社会保障と税の一体改革」の原点に立って安定的な恒久財源を確保します」・民進:「消費税再引き上げは2年延期」・公明:「消費税率10%への引上げ延期 」「軽減税率制度の実施 」・共産:「消費税10%は、先送りでなくきっぱり断念し、富裕層や大企業への優遇税制を、あらため、「能力に応じた負担」の原則をつらぬく税制改革をすすめる」増税は延期する一方で、社会保障については、おおさか維新の会が唯一縮小することをを除いて、すべての政党が拡充を主張しています。・自民:「その間、赤字国債に頼ることなく安定財源を確保して可能な限り社会保障の充実を行います」「「自助」・「自立」を第一に、「共助」と「公助」を組み合わせ、税や社会保険料を負担する国民の立場に立って、持続可能な社会保障制度を構築するとともに、弱い立場の方には、援助の手が差し伸べられるよう社会保障を充実します」・民進:「年金・医療・介護の充実と子育て支援は、消費税引き上げを待たずに予定通り2017年4月から実施すること、行財政改革の断行、給付付き税額控除の実施が条件」「若者に不公平にならない、持続可能な年金制度等を構築する。来年4月から低年金者の年金かさ上げ、保険料支払い期間を短縮する」「医療・介護・保育・障害福祉等の自己負担を軽減する総合合算制度を創設する(自己負担の合計額に上限をもうける)」・公明:「社会保障の充実は赤字国債に頼らず可能な限り実現」「保育・介護従事者の賃金引き上げやキャリアアップ支援」「無年金者対策の推進」「低所得の年金受給者への支援強化」「被用者年金の適用拡大等」「低所得高齢者の介護保険料軽減」・おおさか「社会保険の保険料・給付適正化 公的年金の支給開始年齢を段階的に引き上げ」「公的年金の積立方式への移行」「医療費の自己負担割合を年齢でなく所得で区別」「医療費抑制等のため、診療情報の登録推進」「低所得者対策として、給付付き税額控除の導入」・共産:「社会保障削減を中止し、税金の使い方を変え、拡充へと転換する」「年金削減をストップし、年金の底上げ、最低保障年金制度をめざす」「医療費の窓口負担、国民健康保険料(税)の軽減などをすすめる」「特養ホームなど介護施設の増設、介護保険・利用料の負担減免」「介護報酬の引き上げで、介護・福祉労働者の賃上げや労働条件の改善をはかる」「障がい者・児の福祉・医療の「応益負担」を撤廃、無料化をすすめる 生活保護の切り捨てをやめさせる」「雇用保険の拡充、失業者への生活援助、再就職支援の強化」税と社会保障分野に関しては、「もらえるのともらえないのどっちがいい」ということだけでなく、「成り立つ構造なのか」ということ、さらには「世代間格差」の視点から考えてもらえればと思う。http://blog.livedoor.jp/ryohey7654/160621コラム/スライド3.jpg「どの政党が自分に一番お金をくれるか」でいいのか以前から課題としては変わっていないにも関わらず、「保育園落ちた日本死ね!」で一気にこの国の課題として認定されてしまった待機児童問題。この問題についても自民・民進・公明・おおさか・共産の全政党が公約に掲げた。・自民:「待機児童の解消を目指し、平成29年度末までの整備目標に10万人分上積みし、50万人分の保育の受け皿の整備を着実に進めます」「保育士の人材確保対策・処遇改善を行い、保育の質を確保します。保育士が将来への展望を持って働けるよう総合的な対策を行います」・民進:「保育士の月給を5万円引き上げる(保育園を増やし、質も拡大し、待機児童を解消する)」・公明:「待機児童解消へ新たな受け皿を拡大」「保育士が働きやすい環境整備」・おおさか:「保育所設置基準を地方で決められるようにする     保育サポーター導入、保育ママ拡大」「地価等に応じた、地代・家賃の運営費補助」「私立保育園と無認可保育施設の保育士の処遇を大幅改善」・共産:「30万人分(約3000カ所)の認可保育所を緊急に増設する」「保育士の賃上げ、配置基準の見直しで労働条件を改善する 学童保育の待機児を解消し、指導員の処遇を改善する」子育て分野、教育分野ともに、今回の参議院選挙公約を見るとその多くが子どもの貧困対策も含むが経済支援がほとんどであることが特徴とも言える。教育分野においても、調べた全政党の政策の半分が経済支援だった。まず全頭そろって掲げたのが大学生への奨学金に関する政策だった。特徴的な政策としては、おおさか維新の「幼児教育から高等教育まで、憲法で無償化」などがあった。・自民:「幼児教育の振興と無償化、高校生等奨学給付金の充実、大学生等への給付型奨学金制度の創設等、教育費負担の軽減や原則無料の学習支援の充実に取り組み、教育の機会均等を実現します」・民進「返済のいらない給付型奨学金を創設する」「奨学金の利子をなくすことをめざす」「現在、奨学金を返済している人への支援をおこなう(所得に応じて無理なく返済できる制度)」「保育園・幼稚園から大学等まで段階的に教育の無償化を進め、給食費等の家計の負担をへらす」・公明:「奨学金や授業料減免を拡充」「給付型奨学金を創設」「無利子奨学金の残存適格者を解消」「無利子奨学金は低所得世帯の学力基準を撤廃」「新所得連動返還型奨学金を既卒者へ適用」「高校生等奨学給付金の拡充」「家計が厳しい小・中学生の就学支援を強化」「家計が急変した児童生徒への補助制度創設」・おおさか:「幼児教育から高等教育まで、憲法で無償化」「教育予算の対GDP比を他の先進国並みに」・共産:「国立大学への国の交付金を毎年1%程度(約160億円)ずつ増やし、現在、年53万円の授業料を、10年後には26万円にまで引き上げる」「国の私学助成に学費値下げの緊急枠をつくり、毎年900億円程度の国費を投入することで、平均で86万円の私大授業料を、10年後には半分の額まで引き下げる」「公立大学にも、10年で授業料を半額にするための助成を実施する」「月額3万円の給付制奨学金を、現行の奨学金受給者の半分にあたる70万人の規模で創設」「すべての有利子奨学金を無利子にする」「既卒者の奨学金返済の減免制度をつくり、生活困窮の人に救済措置を講ずる」 政治の役割は、「税の再配分」と言ったりもする。その意味では、再配分がメインになることもまた政治という気がするが、一方で、「選挙になると各党がお金を配る」ということであれば、それもどうかと思う。世代間格差は、単年度における分配の格差ももちろんあるが、それだけではない、将来負担の問題もある。「どの政党が自分に一番お金をくれるか」「恩恵を受けるか」で選ぶことも一つがだ、一方で、こうしたことも含め、政党選択プロセスで考えてもらえればと思う。http://blog.livedoor.jp/ryohey7654/160621コラム/スライド4.jpghttp://blog.livedoor.jp/ryohey7654/160621コラム/スライド5.jpg いよいよ明日6月22日、「18歳選挙選挙」とも言える参議院議員選挙が公示となる。若年投票率の向上ばかりに注目が集まるが、個人的には、とくに若い人については、一人ひとりの「投票の質」の向上を意識して、この選挙に挑んでもらえればと思う。 この歴史的な選挙で、是非、我々世代ではできなかった社会への一石を投じてもらいたいと思う。その中で、こうしたコラムが、一つの参考になってくれれば嬉しい。(世の中を変えるブログ! 2016年6月21日分を転載)

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    安倍総理はなぜ「解散」を躊躇したのか

    「衆院解散が頭の中をよぎったことは否定しない」。1日の記者会見で消費増税再延期を正式表明した安倍晋三首相は、衆参同日選を見送った経緯について初めて言及した。首相はなぜ「伝家の宝刀」を抜かなかったのか。ぎりぎりまで「解散風」に揺れた政局の舞台裏と総理の真意を読み解く。

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    聞けば聞くほど分からない!アベノミクス参院選で本当によかったのか

    強調しつつ、経済の「リスク」を語り、「アベノミクスの加速か、それとも後戻りするのか、これが来る参議院選挙の最大の争点です」と明言した(なお正しくは参議院議員選挙)。参院本会議を終え退席する議員=6月1日午前、国会(斎藤良雄撮影) さらに「中国経済のかげりが見える」「成長の減速が懸念される」「リーマンショックの経験に学ばなければならない」等々の理由を挙げた上で「消費増税を延期すべきと判断した」と表明した。 総理は「延期」と言ったが、正しくは「再延期」である。総理自身、先の解散総選挙に際し「再び延期することはない。皆さんにはっきりと断言する」「必ずやその経済状況をつくり出すことができる」と明言した。にもかかわらず、前言を翻した。総理は「公約違反との批判は真摯に受け止めている」「参院選を通して国民の信を問いたい」と語ったが、それ以上の具体的な説明はなかった。 勝敗ラインについては「改選議席の過半数」という「高い目標」を掲げ、「厳しい選挙戦となる」と、与党への支持を訴えた。最初から最後まで、憲法改正への言及は一言もなかった。拍子抜けと感じたのは私ひとりだろうか。正直、私はガッカリした。 先の解散は「アベノミクス解散」と呼ばれた。私は当時から解散の法的妥当性について憲法上の疑義を表明してきた(拙著『護憲派メディアの何が気持ち悪いのか』PHP新書)。その論点は蒸し返さないが、先の解散を踏まえていえば、今回は「アベノミクス参院選」とでもなろう。本当にこれでよかったのだろうか。護憲派メディアと野党の不思議護憲派メディアと野党の不思議 当初は、「会期末の6月1日に衆議院解散があり、7月には衆参のダブル選挙になる」との見方が強かった。「週刊文春」が舛添要一都知事の金銭スキャンダルを報じたこともあり、「都知事選とのトリプル選挙になる」とも囁かれていた。 それが結局、「サプライズがないのがサプライズ」とでもいうべき結果となった。1日の会見で総理は「解散がよぎった」と漏らしたが、ついに解散は行われなかった。 伊勢志摩サミットも、懸念されたテロなどの事件や事故もなく、無事に終わり、日本で開催されたサミットとしては一人も逮捕者も出さない史上初めての快挙となった。 サミットの成果については様々な評価があり得よう。海洋安全保障について言えば、案の定「中国」という国名を挙げて指弾できなかった点など不満も残るが、厳しい非難に値するような失点はなかったと言ってよい。記者会見で、消費税増税の再延期を正式表明する安倍首相=6月1日午後、首相官邸 マスコミ世論はサミットそのものより、オバマ米大統領の広島訪問や安倍総理が会見で示唆した消費増税再延期に注目した。いずれも好意的に受け止められたと評してよかろう。私自身は「核のフットボール(発射コード)」が広島に持ち込まれた事実や、法律で明記されている税率や期日を内閣が変更しようとすることに異論を唱えてきた。 だが大半のマスコミ世論は、〝核の発射ボタン〟の持ち込みを黙認しながら、「持たず、つくらず、持ち込ませず」の非核三原則を唱え、オバマ大統領に「謝罪せよ」「被爆者と面会しろ」と迫った。いわゆる安保法制を「解釈改憲」「立憲主義に反する」「憲法違反」とまで合唱した護憲派メディアが、なぜ、法律を内閣が変更することに批判しないのか。なぜ「選挙公約と民主主義を踏みにじる暴挙」などと批判しないのか、不思議である。 さらに不思議なのが野党である。民進党の岡田克也代表は5月31日の衆議院本会議で「民進党・無所属クラブ、日本共産党、生活の党と山本太郎となかまたち、社会民主党・市民連合を代表し」、平和安全法制の整備を「立憲主義と平和主義への重大な挑戦」と非難した(安倍内閣不信任決議案趣旨弁明)。そうした非難が当たらないことは前掲拙著で詳論した。一点だけ挙げれば、岡田代表は「憲法違反であることは明らかです。憲法違反の法律は、いくら時間が経っても憲法違反です。我々は、安全保障法制を白紙化することを柱とする議員立法を今国会に提出しました」(同前)と訴えたが、「憲法違反」なら、平和安全法制はすべて無効であり(憲法98条)、改めて立法する必要などない。「最大の争点」たるべき憲法改正「最大の争点」たるべき憲法改正 問題は参院選の争点である。総理が「参院選を通して国民の信を問いたい」と挙げたのは、消費増税再延期の是非である。公約の重大性や財政規律、国際社会の信任など、再延期を非とすべき理由に事欠かない。記者会見を終え引き揚げる安倍晋三首相=6月1日午後、首相官邸(納冨康撮影) だが、最大野党の民進党はじめ野党は(政府与党とは異なる論拠とはいえ)消費増税の再延期を訴えている。つまり与党も野党も延期に賛成している。ゆえに、これが最大の争点と言われても、われわれ有権者は戸惑う。 来月の参院選では、選挙権が得られる年齢が、18歳に引き下げられる。これにより、18歳と19歳の約240万人が新たに有権者となる。また、駅構内や総合商業施設などに「共通投票所」が設置され、投票の利便性も高まる。自治体の判断により、期日前投票の投票時間も最大2時間拡大される。 国民に対し、正面から堂々と憲法改正を訴える絶好の機会だったのではないだろうか。 岡田代表は《安倍総理の目指す憲法改正とは何か。「本丸」は9条です》とも訴えた、この指摘に限り、私は同意する。まさに「本丸」たる9条の改正こそ、安倍政権にとって最大の使命であろう。 先の「アベノミクス解散」総選挙では、集団的自衛権に関する憲法解釈の一部変更を含む「平和安全法制」の整備を正面から掲げた選挙にはならなかった。そのことが、事後いわゆる安保法制の整備にネガティブな影響を与えたと考える。私は、野党が賛成する消費増税再延期などではなく、本来、「最大の争点」たるべき憲法改正を掲げた国政選挙となることを願ってきたが、今回も、その願いは叶わなかった。  先の総選挙同様、今度の参院選でも与党は勝つに違いない。だが、勝てば官軍という政治姿勢はけっして美しくない。もとより結果も大事だが、結果に至るプロセスの適正さも重要である。蛇足ながら、そう考えるのが正統的な保守思想でもある。

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    「もう一度勝負する」首相任期延長の近道を選ばなかった総理の覚悟

    内では麻生太郎財務相、谷垣禎一幹事長、稲田朋美政調会長らが再延期に反対し、「どうしても延期するなら総選挙に問うべきだ」と7月の衆参ダブル選挙を主張したが、首相は拒否して参院選だけを選んだ。その理由について菅義偉官房長官は「衆院選をやれば30~40議席減る」との見通しを示していた。首相はいたずらに減らして政権を弱くすべきではないとの判断を優先したのだろう。 財務省は予定通りの10%への引き上げに固執し、自民党内幹部を洗脳していたが、首相の頭は財務省不信で固まっている。15年間もデフレを続けた財務省のいうことを聞けば、さらにデフレが続くだけだと首相は信じている。アベノミクスの成功のために財政投資を続けてアベノミクスに息を吹き込もうと考えているようだ。15年間の不況を一時的にせよ崩したことで、首相は財務省より、自分の認識、首相周辺の学者、経産省のいい分を信じているようだ。 もともとアベノミクス自体が財務相と相談してできたものではない。安倍氏は自身の選択を信じているということだろう。 ダブル選挙には首相の任期延長の妥算もあったはずだ。ここで勝っておくのが最良の任期延長の理由になったはずだが、その妥算は一応、捨てて、今年末か来年中にもう一度勝負する機会を見出そうというのかどうか。 5月26、27両日に行われたG7の伊勢志摩首脳サミットは首相の外交手腕を見事に見せた場面だった。安倍首相が政権に就いた直前の日本の相場は(1)倒産一歩手前の債務超過(2)日米関係は最悪(3)欧州からもASEANからも関心を持たれず、まさに“日本売り”の状態だった。それを見事にはね返して、いまや世界の主役を演じているかの如くだ。日米関係では石を積み上げるように努力 ここまで来る安倍首相の課題は(1)オバマ大統領にいかに日本を認識させるか(2)中・韓の“歴史認識”改善にどう対処するか(3)外交空間の拡大―の3点だった。安倍氏が政権をとったのちの訪米ではオバマ大統領との会談はわずか1時間半。晩さん会もなしという冷遇だった。これは民主党時代に日米関係が損なわれたうえ、安倍政権を“右寄り”と見られたことによる。その判断の根拠の一つは中・韓相手に無用の喧嘩を売っているという“誤解”もあった。 中・韓の歴史認識改善は、今では世界の誤解がほとんど解けているが、首相が「条件つきなら会わない」と最初に突っ張ったのが勝因だろう。この“土下座外交”の終わりを告げられた朴槿恵大統領は米欧主要国に告げ口外交を始めた。中・韓問題にケリをつけるために「70年談話」が発せられたが、これは河野談話のような密約とは全く違う。村山談話、河野談話も含めて謝罪し、その事実を米国が証人として聞いた、ということだろう。原爆ドームの前で安倍晋三首相(左)と握手するオバマ米大統領=5月27日、広島市中区の平和記念公園 日米関係では丹念に石を積み上げるような努力をしている。13年2月22日に安倍首相はCSIS(米戦略問題研究所)で「日本は帰ってきました(Japan is Back)」と宣言したが、これは「日米同盟に息を吹き込むよ」という意思表示に他ならない。国内では同盟の基礎固めとして「特定秘密保護法」(13年12月成立)、国家安全保障局を設置(14年1月)した。これらは歴代、自民党政権でもできなかったことだ。この実績を示すことによって米国の“安倍を見る目”は様変わりした。 日米関係の仕上げは安倍首相の15年4月29日の米議会上下両院合同会議におけるスピーチだろう。ここで安倍首相は日米関係を「希望の同盟」と名付けた。演説中何回もスタンディングオベーションが起こり万雷の拍手で終わった。 安倍首相は日米関係をゆるぎないものとしたあと、伊勢志摩サミットに臨んだ。代表として「中国」を議題にし、南シナ海の岩礁への基地構築などを「国際法の遵守」という観点から切り込んで、G7の理解を得た。これまで日本はサミットを主催したことは何度もあるが、議題を仕切るような見識をみせたことは一度もない。 オバマ大統領の広島訪問には日本国民の実に98%が支持した。加害者、被害者の立場を捨て、将来に向かって核廃絶を目指そうというオバマ氏のスピーチは日米国民の心を打った。 伊勢志摩サミットで首脳らが世界経済のリスクに関連して指摘されたのは中国である。過剰設備、不動産を抱えた中国の中央、地方政府の借金は史上空前の規模で膨張し続けている。このバブルが崩壊すればリーマン・ショック級のダメージがあると安倍首相はサミットで意見を開陳した。この見方を甘く見ない方がいい。

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    「争点つぶし」をやり遂げた安倍首相が陥った憲法改正というジレンマ

    松竹伸幸(ジャーナリスト、編集者) 安倍首相による解散総選挙が先送りされた。同時選挙に踏み切って両方とも勝利するだけの確信が持てなかったからなのか、参議院選挙単独でやっても圧勝する自信を得たからなのか、どうなのだろう。成功してきた「争点つぶし」 安倍首相にとって現在、衆参の両院で3分の2を占め、改憲を発議できるようにすることが、他のあれこれに優先する判断基準となっていることは間違いない。すでに3分の2を占める衆議院を解散するというリスクを冒してまで、同時選挙に踏み切ることを選択肢に加えていたのは、まさにそういう思惑があったからだ。 その安倍首相にとって、これまでの選挙戦略は、かなりの程度、思惑通りに進んできたと思われる。いわゆる争点つぶしである。 昨年夏の戦後70周年談話、年末の日韓慰安婦合意では、左派的な人々にさえもある程度のウィングを伸ばすことに成功した。右派の一部は反発したが、これらの人も選挙で投票するとなると自民党しかないことは安倍首相には織り込み済みだろうし、サミットで各国首脳を伊勢神宮に招くことによって、その右派にも飴を与えた格好だ。伊勢神宮を訪問し、参道を歩く安倍首相(右から3人目)らG7各国首脳=5月26日午前、三重県伊勢市(代表撮影) 「保育園落ちた、日本死ね!」をめぐって対応を誤り、一時期、追い詰められる事態が生まれたが、ただちに保育士の給与を引き上げるという対策を表明した。これが抜本策ではないという批判はあるが、野党との違いは引き上げの額の違いだけで、方向性は変わらないという印象をつくりあげることに成功している。残業代をゼロにする法案をめぐっては、四野党が共同で労働基準法改正案を提出し、争点化されるのかと思ったが、国会の議論は選挙後の秋に先延ばしされた。 これらに加え、おまけのようにアメリカからもたらされたのが、オバマ大統領の広島訪問だった。そして極めつけが消費税増税の再延期。これをめぐっても野党の批判はあるが、選挙の争点にはなりづらいだろう。一つに絞られた争点一つに絞られた争点 こうして、安倍政権の支持率は高止まりしている。アップしていると言ったほうがいい。同時選挙をやっても十分に勝利できると思わせるほどである。 しかし、逆説的だが、その成功が安倍首相の心のなかに、言い知れぬ不安をもたらしているのではないだろうか。なぜかというと、これだけ争点をつぶしてしまって、では選挙で何が争点となるのか、安倍首相は何を争点としたいのかという問題が生まれているからである。 結論から言うと、これだけ争点がなくなってしまえば、残る争点は一つに絞られることにならざるをえない。憲法改正である。 憲法改正だけは、いまの安倍首相の政治姿勢のもとで、争点つぶしができない問題である。この争点をつぶしてしまったら安倍政権ではなくなってしまう。一方の野党であるが、民進党はこの間、安倍首相に「改正案を出さないのは無責任」と責められ続けたが、岡田代表は「安倍政権のもとでの改憲には反対」という対応を堅持している。共産、社民、生活は護憲である。この状況下で、選挙で憲法改正が焦点になってしまえば、改憲をめざす与党か護憲の野党かという対立軸での争いとなることは明確である。記者会見で消費税増税の再延期を正式表明する安倍首相を映す街頭テレビ=1日夕、東京・有楽町 この対立軸が何を生み出すのか見通せない。与野党ともに見通せない。そこに、高支持率を誇りながら解散にまでは踏み切れないという、安倍首相の判断があるのではないだろうか。憲法改正に反対する世論の高まり 今年の憲法記念日を前にした各種の世論調査を見ると、改憲(とりわけ9条改憲)が争点となった場合、改憲派には望ましくない傾向が見られる。いくつか紹介しよう。 たとえば読売新聞(3月16日)。参院選で投票先を決める際、憲法への考え方を判断材料にすると答えた人が67%もあり、「しない」の31%を大きく上回っている。しかも、憲法を「改正しない方がよい」が50%で、「改正する方がよい」の49%をわずかに上回った。昨年は「する方がよい」が51%、「しない方がよい」は46%だったので、逆転した格好である。 次にNHKが4月15日から実施した全国電話世論調査の結果。憲法を「改正する必要があると思う」が27%、「改正する必要はないと思う」が31%、「どちらともいえない」が38%だったという。NHKは2007年から今年で5回同じ質問をしているそうだが、「改正する必要はないと思う」の割合が一番高かったのが、今年の調査だった。 最後に9条について毎日新聞(5月3日)。「改正すべきだと思わない」とする人が52%で、「改正すべきだと思う」とした27%を圧倒している。参院選で憲法改正に賛成する勢力が参院の3分の2を上回ることを期待するかどうかについては、「期待しない」が47%で「期待する」の34%を上回った。 参議院選挙で憲法9条改正が争点になれば、盤石に見える安倍政権の屋台骨が揺らぎかねない。それがいまの世論の現状である。自民党執行部はそれを避けるために腐心している。しかし、それに替わる都合のいい争点が見つかっていないというのが、安倍政権を取り巻く状況だろう。安全保障問題での野合を突けるか安全保障問題での野合を突けるか 憲法改正問題で野党を分断できないとなれば、自民党にできるのは、9条とも直接に関わる安全保障問題で野党を突いていくことしかない。野合批判を強めることである。先の衆院北海道5区の補選でも、与党が攻めたのは、「日米安保は廃棄、自衛隊も解消するのが共産党だ。安全保障の考え方がまったく異なる政党の野合だ」という点であった。 野合批判は、民進党には不安を与えている。北海道5区補選も、自衛隊の駐屯地を多く抱える千歳、恵庭などが選挙区であったこともあり、陣営の一部からは、「共産党には駐屯地の前で宣伝してほしくない」との声もあがっていた。共産党は、その懸念を受けて自衛官出身の共産党市議会議員(茨城県土浦市)を連れてきて、自衛隊のすべての官舎の前で、迷彩柄の服を着て「新安保法制を廃止して自衛官の命を守る」と訴えた。この元自衛官は、「自衛隊と共産党は思想が同じだ」と考えている人で、それなりの効果もあったことと思う。結果として、千歳、恵庭では与党票が野党票を上回ったが、圧倒したというほどではなかった。集会で野党統一候補の池田真紀氏(中央)と一緒に気勢を上げる奥田愛基さん(左)と鳥越俊太郎さん=4月10日午後、北海道千歳市 ただし、安全保障問題をめぐる野合批判は、野党共闘にとって乗り越えるべき大きなハードルではあり続けている。本当に選挙に勝とうとすれば、労働基準法改正や保育士の給与引き上げなどの分野での政策共闘にとどまらず、安全保障問題での共闘をどうするのかを真剣に探究することが不可欠になっている。 共産党の志位委員長は、国民連合政府の構想を打ち出した直後、日本に対する侵略があった場合、自衛隊を出動させるし、日米安保条約第5条の発動も当然だという立場を表明した。野合批判が出るとすればこの分野であることを自覚し、いち早く手を打ったというところだろう。その結果、野党間では、ずっと将来のこと(共産党が安保廃棄、自衛隊解消を政策として掲げる将来の段階)は別にして、当面の現在は、安全保障政策も一致できる可能性があるということなのである。与野党ともに見通せない野党協議の行方 ところが、いま報道されている限りでは、野党協議のなかで安全保障面の政策の一致をめざす議論がされているわけではないようだ。これまで、あまりに開きが大きかったため、志位氏の提案が他の野党には真剣なものと受けとめられていないのかもしれない。また、与党からの野合批判に対する「赤旗」などの反論を見ても、侵略されたら自衛隊を出動させるという新しい論点は強調されず、「自衛隊を解消するのはまだ先のことだ」という、これまでの支持者をおもんばかった対応が目につく。当面の問題での政策転換とはいえ、共産党にとっても支持者を納得させることは簡単ではない。 解散総選挙に打って出て、憲法改正問題が最大の争点となることを想定した場合でも、野合批判で野党を分断できれば与党の勝利が見えてくる。しかし、安全保障政策で野党が一致するのかしないのか、そこが与党にも野党にも見通せていない。大きな不安が残る。これが、非常に上手に選挙戦略を遂行してきたのに、最後の賭けができなかった安倍首相の心の内なのではないだろうか。

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    地方の事情も知らない司法に決められる「1票の格差」という欺瞞

    門田隆将(作家) 昨日、共同通信の配信で、この夏の第24回参議院議員選挙に「293人」が立候補の名乗りを上げていることが明らかになった。各地方紙がこれを一斉に大きく報じたことで、参院選への空気が一挙に高まった感がある。 野党は勝敗の鍵を握る32の改選1人区のうち、すでに「21選挙区」で統一候補擁立に事実上、合意しているのだそうだ。勝敗の行方は、まさに「与野党一騎打ち」の選挙区での成績次第なのである。 今回の参院選は、公職選挙法の改正によって、史上初めて「18歳以上」が有権者となる。また、「1票の格差」を是正するため、「鳥取と島根」、そして「徳島と高知」が「合区」となった。つまり、2県で「1議席」しか選ばれないのである。 熊本地震の影響もあり、衆参同日選挙の可能性がほぼ消えた今、この2点が参院選の注目点となる。私は、後者の「1票の格差」問題に大いなる疑問を持つ一人だ。 私自身が、代表的な過疎県である「高知県」の出身であることも関係しているだろう。高知県は、簡単に言えば、四国の南側(太平洋側)を占め、7100平方キロメートルもの面積がある。しかし、過疎で人口は減り続け、今は「72万8000人」しか県民がいない。川崎市の人口のおよそ半分だ。 「1票の格差」を唱える弁護士たちや、これに憲法違反のお墨付きを与えた最高裁をはじめ、司法の人間は、果たして真の意味で「1票の価値」を考えているのだろうか、と思う。衆院選の「一票の格差」訴訟の上告審判決のため、最高裁に向かう原告側の升永英俊弁護士(手前右から3人目)ら=2015年11月25日午後 拙著『裁判官が日本を滅ぼす』でも指摘させてもらったが、司法の人間(特に裁判官)は、事案を判決文に組み込む「要件事実」だけで判断する。そのための訓練を徹底的に受けているのだ。そこで排されるのは、「事情」である。 「1票の格差」の司法判断を例にすれば、機械的に人口と議席の配分で選挙区ごとの「1票の格差」を割り出し、これを「違法」「違憲」と訴える“原告”がいれば、「要件事実」は整っている。そのまま機械的に「違法」「違憲」と判断すればいいだけである。 そこには、本来の政治が持っている役割や、切り捨てられる地方の問題、さらには都市部出身の議員たちだけで決められていく政治が何をもたらすか、それが本当に民主主義と言えるのか、というような「事情」は一切、考慮されない。民主主義の基本を本当にわかっているのか 私は民主主義国家で、ある程度の「1票の格差」があるのは当然だと思っている。東京に住む人間と、地方に住む人間が数字的な「1票の価値」にこだわるなら、それは「地方を切り捨てる」しかないからだ。 有無を言わせぬ「少子化」によって、今後、日本の人口はますます都市部に集中していく。過疎県は、人口がさらに減少し、不便な地方に住む人はどんどん少なくなっていく。そこから選出される国会議員もいなくなっていくのである。 すでに過疎県は「合区」にされ、今後、過疎化が進めば、2県だけでなく3県、4県で「1議席」という事態も遠からず来るだろう。都会出身ばかりの国会議員によって国政が論じられ、ますます人口の都市部集中と過疎化が進んでいくというわけだ。 高校野球だって、そのうち、東京や大阪、神奈川など人口の多いところから何校も出場して、地方は「2県に1校」、「3県に1校」などという時代が到来するかもしれない。「地方の時代」などと、うわべでは言いながら、実際には、完全に地方が「切り捨てられる」のである。 ちなみにアメリカの上院では、「各州2名ずつの選出」と定められており、人口が3700万人もいる「カリフォルニア州」と、わずか「56万人」のワイオミング州では、1票の格差は、実に「66倍」もある。 だが、アメリカでは、「これほどの1票の格差は許されない」として、ワイオミング州と隣の州を「合区にして是正せよ」などという声は起こらない。 日本では、わずか「2・13倍」で、‟違憲状態”なのだそうだ。弁護士たちが意気揚々と「1票の格差」を訴える原告団として裁判所に入っていくニュースをよく目にするが、私は、「この人たちは、民主主義の基本というものを本当にわかっているのだろうか」と疑問に思う。 取材や講演で、全国に出張する私は、地方で「1票の格差」についての司法判断に対して、反発の声をよく聞く。先月も北海道で、「私たちがこんなに過酷で広大な北海道に住んでいるから、北海道は日本の領土なんだ。もし、いなかったら、とっくに外国の領土になってるよ」と怒る人がいた。 地方のことを「理解」も、「想像」もできない司法の人間たちの判断によって、どんどん「地方が切り捨てられていく」のは、本当に情けないかぎりである。 「1票の格差」訴訟と、その最高裁判断への「ノー」を国民が突きつける時は、すでに到来しているように思う。政治家こそ、声を上げるべきだろう。地方出身の国会議員たちは一体、何をしているのだろうか。 果てしなくつづく都会への住民移動と、それを追いかけて「1票の格差」を是正していこうとする司法判断に敢然と反対を唱え、‟地方切り捨て”にストップをかけようとする政党が出てくれば、是非、そんな党を支持したいものだ。(「門田隆将オフィシャルサイト」より2016年4月29日分を転載)

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    政治が混乱して当事者能力を欠くのは「指導者」にビジョンがないから

    ちろう(ブロガ―・投資家) 題名は勇ましいですが、内容は雑記です。すいません。 週が明けると、そこは選挙モードになっていました。何しろ、広島でオバマ大統領の感動的な振る舞いを見て、あれだけの外交的な勝利ポイントを達成した安倍政権ですので、一時的か恒久的かは分かりませんが速報の内閣支持率が55%に達し、一部通信社での自民党支持率も44%という空前の支持率になってバブル到来であります。野党もさすがにあの歴史的な外交劇を正面から否定するわけにもいかず、勝ち筋の見える争点も設定できない状態ですのでかなりしんどいよなあ… と思うわけです。 一方で、先般の舛添要一都知事の件は、愛人隠し子問題から公私混同政治資金にいたるまで揉めに揉めて、問題勃発から二週間経ってもなお「舛添都知事は辞めるべき77%」とか残念な状態ですのでどうにもならないのでしょう。バッシングにどこまで耐えられるのか、都知事任期一杯務め上げて1億円を目指して針のむしろでもしがみつくのかなあと思っていたところ、今日になって辞任への動きが本格化しているという話が来ました。本当に辞めるのかは分かりませんけど、いろいろな醜聞が舛添さんを襲ってなお、誰も彼を守ろうとしないのが驚きです。 もしも舛添さんへの嫌疑が本当であったとしても、では石原慎太郎さんが都知事時代はどうだったのか、政治資金について身奇麗でない政治家はほかにいないのかという話になりますとお通夜のような状態になるはずです。それを指摘しないメディアがどうだという批判もあるんでしょうが、それ以上に舛添さんをみんな嫌いだったってことなのかも知れず。参院予算委員会で顔を寄せ合って話す(左から)菅義偉官房長官、 安倍晋三首相、麻生太郎副総理兼財務相=1月19日、国会  一方野党は… というと言葉をいくら尽くしても足りないぐらいの状況ですけど、実際のところ、指導者の毛並みという点では日本の政治家はそれなりに素晴らしい人も多いんです。議論もできるし、政策に関する理解がある人も多く、勉強熱心な人ほどしっかりと考えて行動している。ただ、今回の話でも出てくるのですが、与野党の間で争点がない、だから選挙戦は野党が不利だ、みたいなことを野党幹部が平然と言ってしまうわけです。いや、それをビジョンとして掲げてこなかったから、いざ選挙戦になったときに国民に刺さる活動ができていないだけなんだよ、という話だと思うのですが、その辺は誰もアドバイスしないんでしょうか。 異論はたくさんあるでしょうが、数字を見る限りでは、安倍首相は国民からの高い支持を得ています。今回のオバマ大統領の広島訪問で、教科書に載りかねないレベルの偉業を達成した宰相になったよというのは、明らかな事実です。一方で、原発の問題や、親学、安保法制まで、もう少し国民と向き合って方針を策定しないととんでもない未来が日本社会に降りかかりかねないんじゃないの、という話が山積しているのもまた事実です。私が最近勉強している社会保障方面でも、安部政権なりに、自民党なりに頑張っているところはあるのでしょうが、消費税の増税の見送り(増税自体の是非はともかく)がもしも国の歳入に欠陥を呼ぶならば、社会保障費用は減額せざるを得ないのがいまのポジションなんですけど、なぜか増税見送りのところだけが議論されておるわけです。日本の国民は全員うすうす分かっている自民党代議士会であいさつする安倍首相 =6月1日、国会 日本はこれから貧しくなっていく途上にあるとしても、最低でも次の世代、若い人たちにツケを回さないようにするためには何をしなければならないのかを考えるのが政治だよね、という話だと私は思います。いずれ厳しい状態に陥るようになるかもしれない日本の財政を、どうしましょうか、教育は、治安は、安全保障はといったところを、総花的ではない具体的な議論として優先順位を決め、未来を見定めてビジョンを分かりやすく策定して、国民に提示しないことには政治にならんのだと。 ただ、実際に起きていることは、目の前の宿題に取り組むのに精一杯で、そもそも学校を出てどうするのか考えていない苦学生のような事例です。昔は成績優秀だったけど、いまはちょい微妙な感じで、でも真面目で。  たぶん、日本の国民は全員うすうす分かってることなんですよ、このままでは駄目なのだろう、大変なことになる、ってことは。でも、誰かを犠牲にすることはむつかしいってなると、建前は全部用意しておいて、突かれてもコンプライアンス的に言い逃れができるように、サービス残業してでもうまく回そうとする。しかし、実際にはもう日本にはそんなに金もないし、国民が年金くれ、教育無償化しろ、残業代払え、公務員の生活を守れと言いまくっても全部を満たすことなどとっくにできない社会になってきてます。 つまりは、”右肩下がり”の状況に適応するビジョンを作り上げ、それに見合った政治をすることが求められているのに、国民は”右肩上がり”の経済、社会体制であることを政治に求め続けるから、メリハリを効かせることができず、死ぬべき自治体や法人にも公費を突っ込んで、生きてる人も地域も一緒に共倒れしかねない社会に進んでいくわけです。 もう高度成長なんて絶対に来ないんですよ。来ない理由は「現役世代がだらしなかった」のではなく、子供が減って、移民も入れないから経済成長などしないんです。デフレになるの、当たり前じゃないですか、人の数が減るんだから。需要が減るんですよ。空き家が増えて、資産価値ゼロになった郊外の戸建てに、35年ローン組んで借金返済してきた日本人が一杯いるんですよ。数千万で買った家が、老朽化して無価値になる社会が、人口減って経済成長するはずがないじゃないですか。ゼロ%だって御の字ですよ。毎年、社会に富を生み出す生産人口が毎年2%ぐらいずつ減っていくんですから。 背伸びに背伸びを続けているから、公債費も44兆円毎年出て行ってます。これ全部、借金の返済と利払いですよ。「花見酒経済」なんていいますが、背負ってる酒樽から酒が無くなってしらふに戻ったら何も残らないのがいまの日本経済になってしまう可能性すらある。そして、社会保障費の国庫負担もおおよそ40兆円です。7割が年寄り関連の予算ですね。綺麗に年寄り養育費が、国債発行で充当され、見事に次世代にツケ回されているのが日本の経済の実態とするならば、これはもう回らないでしょう。 本来ならば、参院選は憲法改正云々もありますけど、消費税上げたり増税して社会保障費を確保しようとするのか、増税見送って景気対策やる代わりに社会保障費ガーンと削って夜警国家モードに入るのかの二択の選挙です。だって、カネがないんだもの。誰だよ埋蔵金とかいって騙して結局無くて時間無駄にさせた奴。 状況は結構待ったなしのはずなんですが、実際の政治はというと愛人問題やら野党共闘やらですったもんだして、時間ばかりが浪費されています。まあ、そういう人を選んだ有権者の責任ですから、どうしようもないんですが。ちょっとでも何か考えて、自衛していく以外ないのかなあと思う毎日です、はい。 (やまもと いちろうオフィシャルブログ 2016年5月30日分を転載)

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    アベノミクスは半分しか成功していないことがバレてしまったぞ

    はかなり高い確率でW選になる」と声を挙げ始められていた今年の1月の最初の段階で 【長谷川豊】衆・参W選挙はないんじゃないかと……(教えてgoo) というコラムを発表しまして、4つの理由をもとに「ダブル選はないと思う」と書かせていただきました。あくまであの当時の自分の取材の結果なのですが、そもそも「論理的」に考えればリスクが大きすぎる、と書かせていただきました。 政治の取材をかなりさせていただきましたが、政治って、所詮は人間です。あ~だこ~だと理屈をゴネる記者は多いのですが、私の感覚では「選挙に通っただけの普通の人たち」が織りなす人間劇でしかないというのが正直なところなので、正確に予想できたことは私の一つの自信になりました。 はい。そうですね。 消費税増税は見送り。 衆議院の解散も見送り。です。今年の7月10日に参議院選挙。さて、大きな意味を持つ選挙です。どのような結果になるか…。 結論から言うと、民進は当然、大きく議席を減らします。自民は上積みできますし、公明も少しだけ上積みでしょうか…。おおさか維新は今の議席が少なすぎるので躍進。共産は現状維持。会見に必要な3分の2の議席は…微妙ですね…。本当にギリギリのラインのはずです。 さて、です。 しかし、これは実は、安倍政権にとってけっこう危険な状態と言えて、何かといますと「民進をはじめとする野党が弱すぎただけ」の勝利となる言えます。今の状態の安倍政権はけっこう危険です。と、言いますのも、今回の選挙… 理屈だけ言えば、非は安倍さんの方にあると言わざるを得ません。 そうです。2014年の解散の時にあれだけ「なにがあっても消費税は上げる」と豪語していたのですから、本来は解散して国民の信を問うべきであったことは当然のことなのです。また、どうして消費税が上がらないか、という点に関していえば、アベノミクスの失敗だ、という野党の追及は一定の説得力を持ってしまいます。 私も何度も指摘していることですが、アベノミクスは前半は絶対にうまくいっています。これは皆さん、疑わないで大丈夫です。事実、GDPもかなり上がっているでしょ?それに伴って税収はどれだけ上がっています?順調そのものでしょ? アベノミクスは方向性は間違っていないんです。最初の段階では。でも、続く場所が悪い。 これも何度も指摘していることですが、安倍政権の最大の欠点は2つだけしかなくて、一つは少子化対策。馬鹿の一つ覚えの「保育園を増やしましょう~」政策。私のコラムで何度も指摘している通り、保育園ごときで少子化は改善できません。これは19年も前に世界で行われた調査で明らかになっています。日本ではバカフェミニストたちが握りつぶした情報ですが、保育園を増やしてもイクメンを増やしても 働く女性へのゴマすり しかなりません。少子化は改善できません。結果は出てるでしょ?早く気づけよ、厚労省のアホども。 そして、もう一つが「地方創生対策」です。あまりに稚拙。幼稚園のお遊戯状態。何にも結果が出ていません。 国の経済を改善するための根本的処置って、実はこの2つをかなりドラスティックに改革しなければ出来ないようになっているんです。説明すると長すぎて面倒くさいけれど、とにかく、アベノミクスって、人間の体で言えば、 相当に病に侵されている人間にまず、モルヒネまでは打ちましたよ、と。 で、何とか動けるようにまでしましたけれど、アーダコーダと言い訳しながら「手術に踏み切れない根性なし」状態なのです。 なので時間が経てば経つほどバレてくるんです。「今のままじゃあ経済って回復しないんじゃね?」って。 以前のコラムで指摘した通りで、日本の経済は20年は最低でも回復しません。絶対です。それをちゃんと踏まえた対策を打たなきゃいけないんですけれど、その為には「日本人は間違えたんだ」「失敗したんだ」 とちゃんと厳しく指摘しなきゃいけないんです。「俺たちはバカだったんだ」と。 そして、その上で、老人にばかり垂れ流しになっているお金を奪い取って若者の「子育て世代」に注入しなければいけない。お年寄りはみんなゲロ吐きますが、無視してやらなきゃいけない。東京にばかり流れている金も物も全部奪い取って地方に流さないといけない。東京に土地もってる人は泣き叫びますが、それも断行しなきゃいけない。そうしないと日本って回復しないようになっています。 さて、安倍政権の経済政策が中途半端で止まっていることは完全にバレました。岡田さん以下がダラシナサ過ぎるので今回の参院選は救われるでしょうが…次は持つかな…?応援している人間としては、なかなか心配の尽きない2016年後半と言えそうです。

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    衆参同日選で野党統一なら自民20~40減との情勢分析

     年明けから幾度となく7月の衆参同日選挙が取りざたされてきたが、強い意欲を持ち続けてきたのは安倍晋三・首相その人である。 国民の選挙で選ばれた衆院議員475人全員を一存でクビにする解散権は総理大臣の権力の源泉といっていい。474人の議員が束になっても、総理1人が決断すれば止められない。「総理たるもの、いつ何時も常に解散が念頭にある」 30年前に衆参同日選を行なった中曽根康弘・元首相がかつて本誌に語った言葉だ。総理大臣は勝利のチャンスがあれば解散の誘惑に駆られ、現に安倍首相は前回(2014年12月)、与野党の誰も予想しなかったタイミングで解散を打って勝利し、政権の求心力を高めた。 今回は表向き「解散のかの字も考えていない」といいながら、昨年末から同日選を想定して国会日程を組み、選挙準備を進めてきたことは政界では周知の事実だ。 その決意を止めるために、首相のもとに選対から重要な資料が提出された。自民党はゴールデンウイーク後に官邸の指示で衆参同日選を行なった場合の衆院295小選挙区(前回から定数5減)と参院選選挙区の情勢について内々に世論調査(5月14~15日)を実施した。その調査の生数字と情勢分析結果だった。 例えば今回から定数1増(改選3議席)となり、自民党と民進党が候補者を2人ずつ擁立する参院北海道選挙区の場合、1位は自民の長谷川岳氏が約25%、2位は民進の鉢呂吉雄氏が約18%、当選圏内の3位には民進の徳永えり氏が約14%で滑り込んでおり、自民新人の柿木克弘氏は共産党の森つねと氏と横一線の約11%で4位争いをしている──という数字だと党内に伝わっている。 勝敗の分け目となる32県の参院1人区は、共産党が候補者を取り下げて民進、共産、社民、生活の野党4党が候補者を一本化し、選挙協力態勢を組んだことから激戦となっている。岩手、宮城、秋田、山形、福島、新潟、長野、山梨、滋賀、三重、奈良、岡山、大分、沖縄の14選挙区が大接戦。「最大10選挙区で落とす可能性があると分析されている」(自民党幹部) とくに沖縄では島尻安伊子・沖縄担当相が大きくリードされ、福島でも岩城光英・法相が苦戦しており、参院議員の現職閣僚2人が落選の危機だ。 参院選以上に安倍首相の解散判断に影響があるとされるのが衆院選の調査だ。ただし、衆院は参院選と違って民進党と共産党の候補者一本化は何も決まっていない。そのため選挙区の情勢分析は大きく加工されている。自民党選対幹部は、「衆院でも各選挙区で民進、共産の野党候補が一本化され、共産票が全部民進党候補に加算されるという最悪のケースで検討している」と明かす。結果は、自民党は「20~40議席減」の可能性があると報告された。 前回総選挙の得票で計算しても、民進と共産の得票を合わせると馳浩・文部科学相が苦戦、副大臣は11人が逆転や接戦となる。 安倍首相にとっては“衝撃のデータ”ではなかったか。前出の自民党幹部が語る。「菅官房長官が調査結果をもとに、『衆院では自公でせっかく3分の2以上の議席を持っているのに、ダブル選挙で衆院の議席を大きく減らせば元も子もない。リスクが大きすぎる。参院選だけに集中すれば十分に挽回できます』と総理に解散見送りを強く進言した」 首相説得の格好の材料になったことがわかる。関連記事■ 民進党と共産党の選挙協力で衆参W選に自民党の勝算立たず■ 衆参ダブル選挙 18歳選挙権拡大が混乱の大きな火種に■ 衆院落選議員 参院へ鞍替え図るのは借金苦から逃れる側面も■ 衆参同日選めぐる安倍VSオール衆院議員の攻防展開■ 総選挙 票が取れなくても自民圧勝の反民主主義的な結果予想

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    衆参同日選 「政治記事の確度高い」読売の見送り報道で沈静化

     衆参の同日選挙に強い意欲を持っていた安倍晋三・首相はオバマ大統領、キャメロン英首相との首脳会談のためにサミット会場の伊勢志摩に向かう前、山口那津男・公明党代表、谷垣禎一・自民党幹事長と相次いで会談した。 同日選に強く反対している公明党の山口代表は、「『同日選という向きもあるが』と問うと、総理は『解散のかの字も考えていない』と述べた」と会談の具体的なやりとりを明かして「解散なし」を強調した。 読売新聞は会談の内容をもとに1面トップで「同日選見送りの公算」(5月25日付朝刊)の見出しを掲げ、同日夕刊1面でも、「参院選集中 首相が指示」との見出しでこう報じた。〈谷垣氏によると、首相は参院選の個別選挙区の対応を具体的に指示したという。首相は現時点では衆院解散を考えておらず、参院選に注力する構えを示したものだ〉渡辺恒雄・読売新聞グループ本社会長=2015年3月23日(撮影・大橋純人) 首相に近いとされる産経、読売、NHK3社のうち、とくに読売はベテランの政治家や秘書、政治部記者たちから「政治記事の確度が高い」と見られており、前回の解散もスクープしている。その読売だけはそれまで「首相は解散を諦めていない」と書いていたが、ついに同日選見送りを報じたことで、永田町では解散ムードは沈静化しつつある。 それでも、自民党内には安倍首相はまだ最終的な判断をしていないという疑心暗鬼が根強くある。関連記事■ 衆参同日選は来年7月10日か 1月4日国会召集で一気に真実味■ オバマ氏広島訪問決定で安倍首相は解散チャンス再来と見た■ 衆参同日選挙 安倍首相決断に大きな影響与えたのは大阪W選挙■ 与党内で安倍首相と公明党が衆参ダブル選挙めぐり神経戦■ 衆院解散風の威力強大 病床の甘利明氏を立ち上がらせ

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    安倍首相をガチで落選させようとする人々

    最近、「落選運動」という言葉をよく耳にします。安保法制の成立に賛成した議員を落選させようという動きです。安保反対デモで注目を浴びた学生団体SEALDsの呼び掛けで広がっているようですが、「なんだかなぁ…」って感じです。せっかくですし、私たちも一度真剣にこの問題を考えてみませんか?

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    落選運動では政治への関心が低い人を巻き込めない

    原田謙介(NPO法人・YouthCreate代表) 来年夏の参議院選挙から、ほぼ間違いなく選挙権年齢が18歳以上に引き下げられます。 私はこの変化を「18歳選挙権“時代”」の到来だと発信しています。選挙権年齢が70年ぶりに変わるということ、それ自体がもちろん大きな変化です。しかし、私は法律的な変化にとどまらず、「若者と政治」あるいは「若者と社会」の関係が大きく変わり、新たな時代に突入したのだと言えるぐらいの動きを作っていく必要があると感じています。そのような理由から「18歳選挙権“時代”」という言葉を使っています。 参議院選挙までまだ半年以上ありますが、各政党・立候補予定者はもちろんのこと、政治に関わる人は選挙に向けた動きを色々と始めています。本稿では、政治への関心が高い人ができる、政治への関心が低い人を巻き込む政治的主張の方法について考えてみたいと思います。 流行語大賞にも選ばれた「SEALDs」。安全保障関連法案への反対を訴えて学生が集い、国会前の集会をはじめとした様々な動きを行い注目を浴びたことは皆さんの記憶に新しいと思います。彼らの想いと反対に安全保障関連法案は賛成多数で成立しましたが、彼らは他の団体など共に、参議院選挙に向けて「落選運動」を始めているようです。落選運動とは、簡単に言えば、自分たちの主義主張とは合わない議員の当選を阻むための行為の総称です。つまり、SEALDsは安全保障関連法案に賛成の立場をとった参議院議員で、来夏改選を迎える人が選挙で当選しないことを目標としているといえます。ですから法案への賛否や、実際の目標を達成するための効力などではなく、冒頭にも書いた“政治への関心が低い人を巻き込む”という視点からみれば落選運動の効果は薄いと考えます。 最大の理由は、一般の人からすれば選挙という決定の機会は遠い先のことだということです。ゴールを選挙の結果に絞り、今から運動を展開することは実感がわきません。安保法案の審議中、国会前の集会に多くの注目が集まったのは、今まさに行われている決定のプロセスに影響を与えるという行動であったからです。しかし、決定のプロセスである選挙の開始は半年以上も先のことであるにも関わらず、すでに選挙を意識しなければならないということはかなり難しいことです。加えて、「安保関連法案はダメな法案で、その法案に賛同した議員を当選させない」という確立した主張以外の考えが入る隙間がないことも、人の巻き込みを更に難しくしています。 つまり「安保関連法案への反対」と「議員を落選させること」、この2つに同意することが運動への参加の要件となるわけです。法案に関心はあったが、結局自分自身の考え方を決めきれずもやもやしていた人や、そもそも安保関連法案の議論を自分事として捉えていなかった人は、これまでの国会前での集会の際に求められていた「安保関連法案への反対」に加え、「議員を落選させること」という大きな決定をしなければなりません。以上のようにかなり先の決定のプロセスに関して、すでに終わった決定のプロセスに基づいた一つの主張を持たなければ参加できないという運動への参加の難しさがあるのです。半年先の選挙に多くの有権者を惹きつける方法 ここからは安保関連法案の話ではなく一般的な考え方を書きます。何らかの主張があるグループが、半年以上先の決定のプロセスである選挙に関して、どうすれば多くの有権者の関心を惹きつけることができるのでしょうか。それは選挙がまだ遠いまさに今、新たな決定のプロセスを作りだせば良いのです。具体的に言えば、選挙の際に候補者や政党が打ち出す政策に影響を与えるという新たなプロセスです。今から有権者として主張をしていくことにより、政策の作成過程に影響を与えることができる可能性を感じてもらうのです。一言で言えば、「○○分野のマニフェストへ有権者の意思を入れよう」運動と言えるでしょうか。グループとしては政治家や政党との対話の機会を積極的に持ち、彼らの政策に対して少しずつの変化を促していくということです。衆院選の街頭演説を聞く有権者ら=2014年12月7日、東京・中野(宮崎瑞穂撮影) また、主張を他の有権者に知ってもらうためのイベントなどを開いて、疑問点に関して主催側との対話が行える機会を作ってもいいかもしれません。主張に賛同していない人でも集える場を作ることで運動の広がりを作る必要があります。「議員を落とす」という議員を向いた運動ではなく、「自分たちの考えを有権者に広める」という有権者の方向へ力を入れた運動になります。 強い主張までは持たなくても、何らかの分野に問題意識や関心を持っている人は多くいます。そのような人に、主催側の気持ちをしっかりと伝え、対話等を通じ、主張に共感してもらう。さらに、その主張により、今まさに行われている決定のプロセスに影響を与えていく。そんな巻き込み方はいかがでしょうか? 最後に、繰り返しになりますが、本稿は落選運動自体を否定しているものではなく、“政治への関心が低い人を巻き込む”という点においての効果は少ないと述べているものであることを改めて述べておきます。

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    選挙が終わったら解散する」無責任野郎から国を守るために

    うになった。これについて志位委員長は「戦争法廃止の国民連合政府を作る。大義で一致する全ての野党が国政選挙で協力する」という。岡田代表はいっとき「志位さんは信頼しているので、いい結論に至るのではないか」と言っていた。しかし、党内からは松本剛明元外相が共闘路線に反発して10月26日に離党を表明した。 岡田氏は「国民連合政府」は党内事情からムリ。共産党が一方的に候補者を下ろして民主党を応援してくれれば「ありがたい」といった思惑ではないか、10月27日に行われた宮城県議選では共産が4から8に倍増、民主が2議席減少して5になった。勢いがあるのは共産党の方で民主党の縮み指向がはっきりした。これでは「ありがたい」話が転がってくるわけがない。 岡田氏は「戦争法案成立」の一点なら野党共闘ができるのではないか、と信じているようだが、そういう考え方は「革命家」の発想だ。潰したあとにどういう政府を作るかを見せずに選挙ができるのか。国民は安定指向だから「現政府がまし」と判断するだろう。民・共一体となったとたんに民主から保守派が抜け出すだろう。宮城県議選のケースは改革派はすでに民主党に見切りをつけて、共産党に乗り換えたということではないか。左翼の衣を着るのがインテリなのか 民主党が野党第2党に落ちたことは民主党が構造的問題を解決しなければ再起、再興は困難だということを物語る。岡田氏は保守派と左派を結んで党を大きくしようという腹だ。この左右を結ぶ方式は民主党誕生の時から同じだ。しかし政権をとったとたんにその矛盾が露呈した。旧社会党勢力が中国の方を向いてしまったため、日米関係は最悪となった。国民が同じ体質の党を再び選ぶわけがないだろう。 旧社会党は衆院で最大時、166議席を占めたが、現在2議席。これはすでに旧社会党、社民党の思想は死んだことを意味する。その死んだ思想を秘めて民主党にもぐり込んだ連中と手を切らねば党勢は衰退するばかりだ。連合は産業別に12人の立候補者を決めた。これはまさに利益代表者そのもので、こういう人物には議員の資格がない。連合選出の議員を入れた会議に出席したことがあるが、利益代弁者そのものだ。 共産党と民主党を結ぶ方式として壊し屋の小沢一郎氏は「オリーブの木」方式を提唱している。オリーブの木に登録した野党各党は当選したら連立内閣を目指す。政策は過半数をとった時点で協議するというもの。1993年に共産党を加えて政権をとったが「共産党」の中身がまるで違う。ベルリンの壁が壊された頃からイタリアの共産党は政権をとるために大変身する。 まず党名を「左翼民主党」と変え、さらに共産党を象徴する仕組みだった民主集中制を廃止し、多数決で政策を決めることにした。党首も議員の選挙によって決まる。要するに普通の政党に変身したのである。日本共産党は未だに民主集中制を守っているが、こういう党は集団とか結社と呼ばれるもので、「政党」ではない。まして国政を動かす権利などないと知るべきだ。新安保法に反対派は「戦争法」だとか「徴兵制」になると大騒ぎした。 しかし国際情勢は集団的自衛権が行使できないと危ういところまできている。中国には南シナ海の岩礁を埋め立て基礎を作ろうとしている。「尖閣諸島は中国の固有の領土」だと宣言している。ここをとりに来たら日本は反撃しなければならない。その際、中国は日本の後ろに米国がいることを常に意識せねばならない。米軍は尖閣までは手助けしてくれないだろうが、中国を牽制することはできる。すでに中国は太平洋の半分を寄こせと米国にいっており、軍備を着々と整えている。国会周辺で開かれた集会で安保法案反対を 訴える坂本龍一氏=8月30日 坂本龍一氏は「9条の精神がここまで根付いていることを皆さんが示してくれ、勇気付けられた」とシールズを賛嘆しているが、シールズのおかげで日本の安全が保たれているとでもいうのか。 作家の森村誠一も「戦争がはじまったら最初に若い人達が殺される。安倍は再び戦争ができる国にしようとしている」と語っている。 作家や芸能人にはこの手の左翼がゴロゴロいる。左翼の衣を着るのがインテリだと思っているらしい。 日本の平和は憲法9条のおかげで保たれているわけではない。田中美知太郎先生は、それなら憲法に「台風は来ないでくれ」と書いておいたらどうかといっている。「自衛隊のリスクが高くなる」とか「徴兵制が始まる」というのもひたすら不安を煽る手口だ。自衛隊員はもともとリスクの高いのを承知で入隊してきた人達だ。リスクが高ければ退却することも自由だ。今どきの戦争は若い人同士が肉弾戦をやるやり方ではない。いわゆるサイバー戦争でベテランが必要なのだ。イスラエルではそれに備えた徴兵制をやっているそうだが電子隊志望には3年(通常2年)やってくれといわれるそうだ。 パフォーマンスの演説で国論を迷わせてもらっては困る。 安保法が無くなったら、日本の安全はどうなるのか。「選挙が終わったら解散する」という無責任野郎から国を守るには、このタチの悪い霧を吹き飛ばし、視界明瞭にすることだ。

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    選挙プランナーが読み解く 日本にネット落選運動は根づくのか

    三浦博史(選挙プランナー) ご承知のように、米国の大統領選挙では、短期間で数億円規模の資金を調達(ファンドレイジング)したり、数十万人ものサポーターを集めたり、さらには動画やSNS等を駆使し支持拡大や集会の動員を図るなど、ネットの特性をフルに活かしている。 わが国の「ネット選挙」は、平成25年4月の「インターネット選挙運動解禁に係る公職選挙法の一部を改正する法律」の成立により、同年7月に行われた参議院議員通常選挙から解禁・導入となったわけだが、法案成立直前に行われた「衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会」に、私は与党側参考人として出席し、“選挙後進国”の現状を打破すべく、「ネット選挙解禁」の必要性を訴えた。 しかし、あれから2年半が経過したものの、選挙の何が変わったのか、特に先の安保関連法の際に話題にのぼった「落選運動」について触れてみたい。 わが国のネット上での「落選運動」の“はしり的かつ典型的事例”としては、平成25年7月の参議院議員通常選挙での2つの事例がある。 その一つは、定数5議席を有力6候補で争った東京選挙区だ。ここでは民主党広報委員長でネット選挙解禁の功労者の一人でもあった民主党公認の鈴木寛候補(現職)と、「反原発」を標榜する無所属の山本太郎候補(新人)による熾烈なネット上での争いが注目を浴びた。参院選東京選挙区に出馬、街頭で支持を訴える無所属・山本太郎候補=2013年7月15日、東京・秋葉原(撮影・山内倫貴) 山本候補が狙ったターゲットは、自民党公認の丸川珠代候補や武見敬三候補ではなく、野党の経済産業省出身で東日本大震災時に政権与党の文部科学副大臣だった鈴木候補だった。 序盤の選挙情勢は、定数5の内、自民党公認の丸川、武見両候補、公明党代表の山口那津男候補、そして、参院選の前月(6月)に行われた東京都議会議員選挙で議席を倍増させ、勢いのある共産党の吉良佳子候補の4人が当選圏内で、残る1議席を民主党の鈴木候補と無所属の山本候補の争いと見られていた。 原発事故をめぐる当時の政府の対応のまずさを街頭の聴衆に訴え続けていた山本候補は、鈴木候補への攻撃に集中する。「文部科学省はSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)のデータを福島の住民に見せず、その後も福島の子どもたちに20mSv/年までの被曝を強いた。(当時)副大臣だった鈴木氏は重大な責任を負っている」と、鈴木候補を名指しで「この方を僕は引きずり下ろしたいんです」と熱弁を振るい、この演説がネット上で拡散した。 これに対し、鈴木陣営も即座に反応し、緊急メッセージとして「どうしても言いたいことがあります。放射能について、誤った理解に基づいて、過度に不安をあおる人がいます」と反論を試みたものの、反論としてのインパクトに欠けていたことは否めず、それから両陣営による批判合戦が始まった。7月14日には鈴木候補が街頭演説中に女性に殴られ、額打撲で全治1週間のけがを負うという事件も発生。通常なら同情票を集められそうなものだが、翌15日の鈴木候補の声明に、名指しはしないものの山本候補を念頭に批判していると解釈される文言があったため、今度は「暴力事件を利用して他陣営を批判した」と、鈴木批判の火に油を注ぐ結果となった。 結果は山本太郎候補が66万6684票を獲得し4位当選、鈴木寛候補は55万2714票で次点(落選)となった。「ネガティブ・キャンペーン」動画配信のインパクト もう一つは、定数2議席を5人の候補者で争った宮城選挙区。 序盤の情勢は、自民党現職の愛知治郎候補は知名度に加え、支持基盤も強くトップ当選が確実視され、民主党現職で党副代表の岡崎トミ子候補も、これまで2議席を自民と民主で分けあってきたこともあり、2位当選は間違いないものと思われていた。この2候補に、みんなの党から出馬した元NHKアナウンサーで新人の和田政宗候補が挑んだ。 その和田候補がターゲットにしたのが、“2位当選確実”とみられていた岡崎候補だ。和田候補は選挙期間中、毎晩インターネットで生放送を行ったり、ブログやツイッターを駆使するなど、和田陣営のネット戦術は実に巧みで、特に岡崎候補の過去の言動に対する「ネガティブ・キャンペーン」の動画配信はインパクトの強いものだった。 それは岡崎候補が2003年の訪韓時に、ソウルの日本大使館前で行われた元従軍慰安婦支持団体主催の反日デモに参加したときの画像を動画に組み込んだものだ。「あなたは知っていますか?」「反日デモに参加した宮城の政治家がいることを」「参院選 宮城選挙区 民主党 岡崎トミ子氏(69)」「あなたの一票を託せますか?」といった内容だ。 この動画の効果は絶大で、これを見たネットユーザーは激しく反応し、“保守系ユーザーの支援”も相まって岡崎批判が大きく拡がった。しかし、この攻撃に対する岡崎陣営の反論らしい反論はほとんど見られなかった。 結果は和田政宗候補が22万207票で2位当選を果たし、岡崎候補は21万5105票と、わずか5102票差で落選した。各市町村別の開票結果を見ると、さらに面白いことがわかる。得票数で和田候補が岡崎候補を上回った地区は仙台市とその周辺部のみで、他はすべて岡崎候補の方が上回っていたのだ。即ち、和田陣営の都市部を重視したネット戦術による勝利といっても過言ではないだろう。 このように、事実に基づいた相手候補批判を行ったところが、従前の「怪文書」攻撃とは大きく異なる。「怪文書」の多くは差出人不詳で、記載されている内容もその大半が事実無根。山本候補、和田候補の陣営が行った「ネガティブ・キャンペーン」は、捏造ではなく、事実に基づいたものだけに、またたく間に拡散したともいえる。 ここで注目すべきは「ネガティブ・キャンペーン」の本質とは何かということだ。 米国の著名な選挙コンサルタントであるトニー・シュワルツ氏に私がお会いした際、「日本にはネガティブ・キャンペーンは馴染まないというが、米国のネガティブ・キャンペーンは怪文書と異なり、すべて事実に基づいたパンチであり、それが選挙戦を面白くする。もし、そのパンチが事実と異なるのであれば、相手候補は正々堂々と、事実に基づいて反論すればいい。しかし、反論できず、あるいは説明不足なら、そのパンチはその候補者の致命傷となっていくのだ」と教えられた。 このように、「落選運動」も事実に基づいたものでなければならない。もし、その内容が事実と異なれば、その発信者は「名誉毀損」や「選挙の自由妨害罪」等で訴えられることになるかもしれない。 「落選運動」は(誰かを当選させる)選挙運動とは異なるため、公職選挙法上の定義規定はなく、未成年者であっても自由に参加できる。 米国の選挙戦でのネット上の「ネガティブ・キャンペーン」は日常的に行われており、有権者もそれには“慣れっこ”になっている。しかし、わが国ではそうした土壌とは異なるため、特定の政党や候補者に的を絞った「落選運動」を行う場合には、より公平・公正な視点・手法による配慮も必要だろう。 選挙を面白くすることは非常に大切だ。しかし、あまりにも意図的なものとなった場合、有権者のさらなる政治不信に繋がる可能性もある。 同時に、ある選挙区で落選させたい人がいれば、当選させたい人もいるはずで、過度の「落選運動」によって、バンドワゴン効果を生み出し、思惑とは反対に攻撃された候補者に同情が集まったり、攻撃を仕掛けたと見なされた(当選してほしい)候補者が有権者の反発を買い、落選に繋がることも想定しておいた方が良いだろう。 「落選運動」に対する一番の対応策は、“落選運動には落選運動”。即ち、“守りより攻め”にあるのかもしれない。 しかし、個人的にはネガティブ・キャンペーン(落選運動)合戦は選挙の本流から大きく逸脱する気がしてならない。

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    SEALDsの合言葉「落選させよう」は公選法に違反しないのか?

    が「賛成した議員を落選させよう」と発した呼びかけが、静かな波紋を広げている。来年2016年夏に参議院選挙が予定されているが、選挙運動には公職選挙法で様々な規制がかけられており、「まだ選挙が始まってもいない段階で、選挙に向けた動きをするのは違法ではないか」との声もある。シールズの合言葉「落選させよう」は、公選法に違反しないのだろうか。【写真】SEALDsの奥田愛基さん会見「デモのつながりは選挙にも影響を与える」「落選のみ」が目的なら選挙運動ではない これまで過去の選挙では、選挙が始まる前の選挙運動、いわゆる「事前運動」を行って、当局から摘発された事例が数多くある。シールズの「落選させよう」は、これに当たるのではないか? との念がよぎる。国会前で行なわれた安保法案に反対するデモでは「法案賛成議員は落選させよう」というプラカードも掲げられていた そもそも選挙運動とは何か。総務省サイトによると、選挙運動とは、「特定の選挙に特定の候補者を当選させる目的で投票を勧める行為」と定義づけられている。 公職選挙法では、この選挙運動は「選挙の公示・告示日から選挙期日の前日までしかすることができない」としている。この選挙期間より前に選挙運動を行うことは「事前運動」として禁じられており、1年以下の禁錮または30万円以下の罰金。選挙権および被選挙権が停止される。 では、落選運動は、この「選挙運動」に含まれるのだろうか? 落選運動の定義を探ると、ネット選挙が解禁された2013年、「インターネット選挙運動等に関する各党協議会」がまとめた改正公選法のガイドラインで、以下のようにはっきりと示されていた。「何ら当選目的がなく、単に特定候補者の落選のみを図る行為である場合には、選挙運動には当たらないと解されている」 つまり、落選運動は選挙運動ではない。だから公選法による時期の制限を受けない。よって、今すぐできる、ということになる。ネット上の「落選運動」の効果は?未成年は落選運動を行っても“問題なし” 念のため、総務省自治行政局選挙課に確認すると、「落選運動は、特定の候補を当選させる意図が含まれる選挙運動と認められない限り、事前運動の縛りはない」と明言。さらに、選挙権のない未成年について、公選法では選挙運動を禁じているものの、落選運動について未成年を規制する法令は何もないため、落選運動に未成年が取り組んでも「問題にならない」と話した。 もちろん、「落選のみが目的」というところがポイント。仮に、誰かを落選させて、誰かを当選させる、という意図が認められると、「政治活動」とみなされ、公選法の事前運動禁止などの規定に触れることになるので注意が必要だ。 さらに、2013年の公選法改正により、選挙期間中には、ウェブサイトなどに選挙運動や落選運動に使用する文書図画を掲載する際は、運営者に連絡が取れる電子メールアドレスなどを表示することが義務づけられた。選挙期間中に落選運動をやるなら、一方的に情報発信をするのではなく、指摘や反論などを受ける態勢を整えておきましょう、ということだろう。ただ、この表示義務は、選挙期間中のみ。選挙期間ではない時期なら、この規制を受けることはない。 だから、ネットを使って今すぐ、例え未成年であっても、「特定の候補者の落選」を目指した情報発信を自由に進めていくことができる。もちろん、根拠のない誹謗中傷などは論外だが、落選運動は選挙運動と比べ、はるかに自由に展開できる印象を受ける。ネット上の「落選運動」の効果は? 果たして、この落選運動は、実効性を伴う活動として広まっていくのだろうか。 実はつい最近、自民公明の推薦候補を巡り、「落選運動」とみられるネット活動が展開された事例がある。その候補は選挙で敗れた。今年1月に行われた佐賀県知事選だ。 同県の元武雄市長である樋渡啓祐さんは、TSUTAYAとコラボした市図書館リニューアルを行うなど、8年超にわたる市政運営で全国的な注目を集め、知名度は抜群だった。一方で、その独創的な手法や言動に反発する人も少なくなく、ネット上でも樋渡さんに反発するサイトが立ち上がった。 樋渡さんは官邸と自民党本部の主導で自公推薦を受けて出馬。ところが、地元の一部保守勢力がこれに反発し、投票日から1か月を切った段階で、無名だった元総務省過疎対策室長・山口祥義さんを擁立。フタを開けると、樋渡さんは4万票近い差をつけられ、山口さんに敗れた。ただもちろん、落選運動が選挙結果にどれほど影響を与えたかを判断するのは難しい。 来年の参院選でも、現職以外の候補がまだ決まっていない選挙区も少なくない。しかし一方で、ネット上では安保法案に賛成した議員のリストが出回っている。参院選の結果はどうなるだろうか。(記者・メディアコンサルタント/坂本宗之祐)

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    「戦争法案」可決 落選運動を粘り強く続けよう

    く、この反対行動をしてきた人たちが「落選運動」を提唱していることに非常に共感するものです。次の参議院選挙、そして衆議院選挙もこの「落選運動」を粘り強く続けていきましょう。 そして、この反対運動が示した効果は非常に大きなものがあったと思います。安倍氏が憲法「改正」も憲法の改正条項の「改正」も断念しましたが、もし、そのようなことを行おうとすれば、これまで以上の反対運動が国民の中からわき起こるだろうことを示してくれました。 何よりも若い人たちが立ちが上がりました。政治に無関心と言われた若い人たちですが、自分のことと考え、立ち上がったことは安倍自民党にとっては全くもって想定外だったことでしょう。日本国民の良識の結集があれば憲法の改悪はできない、それを支配層に見せつけたことです。2012年2月、南スーダンの首都ジュバで、国連平和維持活動(PKO)のために派遣された陸上自衛隊の先遣隊(早坂洋祐撮影) さらには国民の反対が強いということは自衛官にも拒否の意思を強く持ってもらいたいことです。 海外への派兵は、建前は志願制です。命令でもって戦地に動員するということは行われない建前です。しかし、実際は無言の圧力の強制が行われます。拒否者には陰湿なイジメがあるかもしれません。そのような自衛隊で良いのか、私たちにも問われます。既に政府内では、南スーダンでの駆け付け警護が「内定」しています。北海道の北部方面隊から派兵されるのではないかと言われています。「南スーダンでの「駆け付け警護」という戦闘行為へ 自衛隊が武力行使の時代」 既に隊員には無言の圧力が加えられていることでしょう。このような事実上の強制は自衛官を確実に精神的に追い詰めます。 この法案に賛成した人たちは、それでいいんだということなのでしょうが(だから徴兵制はいらないんだというわけです)、この法案に反対した私たちまで、それでいいというわけにはいきません。まさに反対運動に掲げた「わたしたちは闘わない」という言葉に象徴されるとおり、決して自衛官を送り出してはなりませんし、その支援こそすべきです。 現実に問題なのは、実際に戦死者が出た場合です。安倍自民党にとって戦死者を出すことは当然の前提であり、必ずやかいくぐらなければならない壁です。これで1人でも戦死者を出したことによって国民の批判が高まり、事実上、出兵ができない状況になることは絶対に回避されなければならないことなのです。 そのため、戦死者の死の批判を政府に向かないよう、ウヨクマスコミを動員して戦死者が「英雄」であるという演出をすることです。しかも必ずや遺族が悲しみの中にあるのに批判とは何事だという誹謗中傷がネット界では飛び交います。マスコミがそれを利用する構図です。 絶対にこのような妄動に乗せられてはいけません。戦死者を出さない、ではなく、出兵させない、英雄扱いしない、あくまで自民党政権の犠牲者であり、国民は一切、拒否していることを今後も示さなければなりません。 この戦争法廃止のためにがんばりましょう!(『弁護士 猪野 亨のブログ』より2015年9月20日分を転載)

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    来年の参院選で与野党逆転が可能だというこれだけの理由

    での協力も視野に入れながら、引き続き協議することが合意されています。 この協議を成功させ、参院選での選挙協力を具体化させることが必要です。それは戦争法を廃止させるだけでなく、安倍政権の暴走をストップさせ、満身創痍に陥った日本を救う唯一の道なのですから……。 しかし、このような協力が具体化したとしても、果たして参院選で与野党逆転を実現させることが可能でしょうか。その可能性は十分あると、私は思っています。 もちろん、選挙協力の内容や選挙をめぐる情勢がどうなるかは分かりません。今から予断を持たせることも、楽観論を振りまくことも避ける必要があります。 とはいえ、全く可能性がないというのでは頑張る気持ちも出てこないでしょう。条件が整えば大きな成果を上げることができるというのであれば、その条件を整えるために力を尽くそうという気にもなろうというものです。 来年の参院選については、すでに7月30日付のブログ「来年の参院選が楽しみだ」http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2015-07-30で書いたことがあります。 そこでは、「第1に、選挙区の定数が変わり……、結果的には自民党にとって不利に、他の政党にとっては有利な形で選挙区の再編がなされ」たこと、「第2に、選挙権が拡大され、18歳以上とな」ったこと、「第3に、国民の政治的覚醒が格段に高ま」ったこと、「第4に、政党支持構造の地殻変動が始まり、政党支持率にも変化が生じ」たこと、「第5に、この間の『戦争法案』反対運動の中で野党間の連携が強まり……、このような経験を生かして、参院選の1人区などでの選挙協力の可能性が出てき」たことなどを指摘し、「これらの変化は、来年の参院選で与党に不利に、野党に有利に働くにちがいありません。安倍政権の暴走を阻止し、政権打倒にまで追い込んでいく運動が、とりもなおさず参院選に向けての準備になっている、それも野党勝利に向けての準備に、という関係が強まっているのではないでしょうか」と指摘しました。 「というわけで、来年の参院選が楽しみです」というのが、この時の私の結論でした。 基本的に、今もこれを修正する必要はありません。ただし、内閣支持率は下がり続けていますが、「政党支持構造」については「地殻変動」というほどの大きな変化が生まれているとは言えないでしょう。 しかし、最後の「野党間の連携」については、大きな進展がありました。「戦争法廃止の国民連合政府」樹立という共産党の提唱をきっかけに具体的な協議が始まったからです。会談に臨む民主党の岡田克也代表(右)と共産党の志位和夫委員長=9月25日午後、国会内(酒巻俊介撮影) 「この点では、沖縄での衆院選小選挙区の経験に学ぶことが必要でしょう。この間の運動によって培われた経験や信頼関係を、ぜひ来年の参院選での取り組みに活かしていただきたいものです」と、先のブログに書いた私の希望はかなえられる可能性が出てきました。ぜひ、これを実現していただきたいものです。 今日の東京新聞は、来年の参院選について「野党協力なら8区で逆転」と報じています。これは、昨年末の衆院選での得票を元にした1人区についての予測です。 2人以上の複数区を含めれば、もっと自民党の議席が減る可能性があります。比例代表でも自民党は議席を減らすでしょう。 というのは、今回改選を迎える参院選は2010年に実施されたものだからです。この時は、選挙直前の菅首相による消費税10%引き上げ発言によって民主党が大敗し、逆に自民党が大勝しました。 次の参院選をめぐる政治情勢は、これとは全く異なるにちがいありません。それは民主党など野党に有利で、自民党に不利なものとなる可能性が大きいと言えるでしょう。「アベノミクス第2ステージ」は「自爆路線」だ すでに、戦争法廃止をめざして次の選挙で賛成議員の落選運動が呼びかけられており、もし、明文改憲が争点とされればこのような運動の勢いはさらに増すでしょう。安倍政権打倒をめざした倒閣運動の一環として参院選が位置付けられているということも大きな意味があります。 さらに、参院選前の通常国会では消費税の10%への再増税が問題となり、軽減税率をめぐって自民・公明の選挙協力がギクシャクする可能性が出てきています。間もなく再開されるTPP参加をめぐる閣僚協議が決着すれば、関連法案が審議されるのも来年の通常国会になります。 そのうえ、日本経済をめぐる情勢も混とんとしてきました。安倍首相は自民党総裁への再選に当たって「アベノミクス第2ステージ」を宣言しましたが、これはほとんど「自爆路線」のようなものです。 600兆円のGDPを目標とする経済成長などは実現不可能で、株価は乱高下しながら下がり続けており、アメリカの利上げも今年中には確実と見られています。アベノミクスを支えてきた円安・株高は終わりつつあり、ほとんど指標は「元の木阿弥」になっています。 このような中で、内閣支持率はさらに低下する可能性があります。内閣改造で一時的には多少上がるかもしれませんが、それを持続させるだけの材料は見当たりません。 参院での現在の与野党差は28議席です。ということは、15議席が入れ替われば与野党の勢力関係は逆転し、野党優勢の「ねじれ現象」を生むことができるというわけです。 先に紹介したように、野党が協力すれば1人区で8議席入れ替わる可能性があり、都市型の複数区でも与野党の議席が数議席入れ替われば10議席ほどの入れ替えは可能です。これに加えて、比例代表での議席が与党から野党に5議席入れ替われば「ネジレ」が生ずることになります。 ただし、これだけでは、次世代、元気会、新党改革など戦争法案に賛成した「隠れ与党」がいますので、戦争法を廃止することはできません。しかし、その執行を停止させることができるようになります。 衆参両院の「ネジレ」が生じるほどに自民党が議席を減らせば、安倍首相の責任問題が生ずるでしょう。参院での法案が通りにくくなれば安倍首相は窮地に立ち、早晩、辞任せざるを得なくなります。 そのような可能性が高くなれば、衆参同時選挙に打って出るかもしれません。そうなれば、戦争法廃止の暫定政府樹立を目指して一気に政権交代を実現するチャンスが訪れることになります。衆院選が無くても、安倍政権を追い詰めて3割以下にまで内閣支持率を低下させれば、安倍首相を辞任に追い込むことができます。 そうならない場合でも、参院選での敗北によって「ネジレ」が生じ、その差が大きなものであれば、いずれ解散・総選挙に追い込まれるでしょう。つまり、野党協力の進展次第では、安倍政権は長く持っても来年7月の参院選までということになります。 これは、「夢物語」かもしれません。しかし、今後の運動の発展や野党の連携と協力、政治情勢いかんでは十分に実現可能な「夢」です。 来年の参院選に向けて、この「夢」を現実のものとするために大いに力を尽くしたいものです。その選挙の結果、参院で与野党逆転が可能だというこれだけの理由があるのですから……。(ブログ『五十嵐仁の転成仁語』2015年9月27日分を転載)

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    安保デモ参加者 安倍氏落選狙い10万人の山口4区移住提言

    ている。 そうはいっても、安保法案の責任者として名前があがっている有力政治家の多くは固い地盤を誇り、選挙に強い議員たちだ。山口県下関市の長府商店街を視察に訪れた安倍首相=2014年8月13日午後 衆院山口4区の安倍首相の場合、昨年12月の総選挙で約10万票を獲得し、次点の共産党候補(約1万7000票)に6倍近い8万票以上の差をつけて楽々当選している。山口1区の高村氏も次点の維新の党候補に8万票以上の差で当選した。「落選運動」といっても、この2人のように解釈改憲の象徴ともいえる議員たちを追い詰めるくらいの選挙戦にならなければ政治を変えることは難しいはずだ。 果たして反対派に“安倍首相落選”への成算はあるのだろうか。選挙・政治制度論が専門の湯浅墾道(はるみち)・情報セキュリティ大学院大学教授は「可能性はある」と、米国の州議会選挙などの落選運動で使われているボート・スワッピング(投票交換)の手法をあげる。 「東京都民が安倍首相を落選させたい場合、ネットで山口4区の人に“安倍首相に入れないで”と依頼し、それに応じた山口4区の人は東京で誰に投票しないでほしいと依頼して投票行動を交換する。落選運動は主にネットで広がるため、効果は大都市の選挙区であるほど大きく出る傾向がある」 これならば、“長年、自民党支持者だったが、安倍首相には反対、でも自民党以外に投票するのも気がすすまない”というジレンマを抱えている有権者も動きやすくなる。 とりわけ参院選であれば、選挙区と全国比例の候補者の投票を交換するといった多様な交換条件が考えられる。かなり有効だろう。ただし、衆院選の場合、ガチガチの「安倍支持者」が多い首相の選挙区で8万票もの大差を覆すほどの有権者が票の交換に応じるかは疑問がある。 安保法案反対派の中から「究極の秘策」として浮上しているのは、もっとストレートなやり方だ。「8月30日に全国300か所以上で行なわれた安保反対デモに参加した人は1日で数十万人にのぼった。デモ参加者を中心に“絶対に安倍さんを落選させたい”という人に呼びかけて山口4区に移ってもらう。10万人規模の有権者が住民票を移せば、現職総理を落選させることも可能だ」(デモ参加者) 現実にはハードルが高いが、もしそんな規模の有権者が行動すれば、どんなに選挙に強い政治家でも心胆を寒からしめることができるはずだ。関連記事■ 落選運動 制約少ないが選挙期間中はSNSで実名の使用が必要■ 政党乱立選挙 7~8割もの投票が「死に票」になる恐れあり■ 落選運動 選挙活動ではないため今すぐ始められると東大教授■ 尖閣上陸問題 2004年自民党政権時も今回同様弱腰対応の過去■ SAPIO人気連載・業田良家氏4コマ「例え話国会」

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    朝日と毎日の論調が地方選挙をダメにする

    の佐藤孝弘さんが初当選したことは、政権運営にとっては小さくない勝利なわけですが、そもそも論として地方選挙で毎度のごとく思うのは、その地元と関連性の薄い国政マターがメインな争点であるかのようになってしまう違和感です。山形市長選で当選を決め、遠藤五輪相(左)と抱き合って喜ぶ佐藤孝弘氏=9月13日夜、山形市 まあ、選挙というのは血みどろの戦なので、野党陣営が何が何でも勝つための方策として、安保法制を掲げるのはそんなものかと思いますが、そういう当事者間の刺し合いで過熱するからこそ、メディアというものは中立性を発揮して、そういう永田町文脈からは一歩引いて、その地域の有権者が直面する課題を深く考えてもらい、投票率が上がっていくようにするのが本分ではないかと思います。 しかし、たとえば今回の市長選を取り上げた毎日新聞の記事はこんな調子です。山形市長選:まるで地方版「安保対決」の様相(15年9月6日) 6日に告示された山形市長選。参院で審議が進む安全保障関連法案の与野党対立がそのまま持ち込まれ、選挙戦は、さながら「安保対決」の様相だ。 遠藤利明・五輪担当相(衆院山形1区)の地元でもあり、野党側は「安倍政権を追い込める選挙」と結束。1966年以来続く革新・非自民陣営からの市政奪還を目指す自民は、法案賛成を前面に出さず争点化を避けたい考えだが、防戦に追われている。 そして朝日もこんな感じ。安保、市長選争点に 山形、与野党の対立軸(15年9月10日) 国会での審議が大詰めを迎える安全保障関連法案が、山形市長選で主要争点のひとつになっている。国会での与野党対決の構図を映した無所属新顔の2人を軸にした戦い。野党が推す候補が「選挙結果は法案の行方を左右する。山形から反対の民意を示そう」と訴えれば、対立候補の陣営は「地方選と外交・安保は関係ない」と主張する。投開票は13日だ。 両紙とも、さすがに地元の山形版は、市政担当記者が書いた定番の市政の課題連載は一応やっているわけですが、後者の朝日の記事は第二社会面(東京本社管内)に掲載されていて、本社の息がかかってくると、永田町文脈が介入してくるわけですよ。朝日も毎日も野党に“加担”している 沖縄の県知事選のように、県政の争点がイコール基地問題のようになっている場合は例外的に国政とリンクした報道になるのはやむを得ないでしょう。しかし中国が攻めてくるわけでもない山形市で安保法制を“主要争点”扱いとしようとすること自体、朝日も毎日もメディアの中立性を踏み越えて、安倍政権を倒したくてたまらない本音を微妙ににじませつつ、安保法制を争点化したい野党に実質的に“加担”しているわけです。 日本新聞協会が綱領で「報道は正確かつ公正でなければならない」と示す建前論の影で、朝日新聞は昨年の第三者委員会の調査で「角度をつける報道」をやっていたのが暴露されたわけですが、永田町文脈を安易に持ち込む全国紙の地方選挙報道が、不毛な対立を招いたり、政策論議の空洞化につながっていたりするんじゃないでしょうかね。むしろ国政マターを安易に持ち込もうとする中央政党を戒めるような論調をすべきじゃないでしょうかね。別に争点化を避けたかった自民党の肩を持つつもりも全くないけど、政治関連の仕事をしていると、つくづくそう思います。 とりあえず、山形市長選に勝って「安倍政権の打倒へ弾み」なーんてFacebookでシェアしようと思っていたSEALDsクラスタの皆さん、空振りに終わってご愁傷様でした。逆に自民党の皆さんも調子に乗らないことですね。「安保法制が支持された」なんて言わないで粛々と国政と地方のことは切り分けて仕事していただきたいと思います。ではでは。(「新田哲史のWrite Like Talking」より2015年9月14日分を転載)

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    橋下市長の敗因は「シルバーデモクラシー」ではない

    の動かしようのない数字から分かる事は、橋下氏の敗北はシルバーデモクラシーが原因ではないという事だ。 選挙結果として、年代別、男女別の出口調査がテレビで報じられていた。20代から70代以上まで6つの年代と男女に分けられた賛否の割合だ。この調査で反対が50%を上回っているのは50代の女性と70代以上の男女のみだ。それ以外は50代男性も、そして60代の男女まで賛成が50%を上回っている。 これだけを見れば70代以上が全てを決めてしまっているシルバーデモクラシーじゃないかという事になるが、数字の上では40代とそれ以上の年代の人口割合はほぼ半々だ。50代男性と60代まで賛成派の味方についたのに、なぜ負けたのかといえば投票率という事になる。 40代までとそれ以上の人口比がほぼ半々なのであれば、賛成派が負けた原因はワカモノの低い投票率以外に無い。人口比で負けたのならばシルバーデモクラシーという指摘は正しいが、投票率で負けたのなら、それは単に民意が反映されたと考えるべきだ。投票に行かない人は「どんな結果が出ても従います」という意見表明をしている事になるからだ。 つまり高齢者の意見が反映されている事は間違いないがその原因はシルバーデモクラシーでは無いという事だ。※全体の投票率は66.83%と報じられている。自分が確認した限り記事を書いている時点では年代別の投票率を報じたメディアが見当たらなかったが、おそらく本日中には公開されるだろう。投票に行って自分の意見を表明する事は悪い事ではない このようなシルバーデモクラシーの誤解は国政選挙でもあり、以前以下のように書いた。 選挙は投票率が下がるほど組織票がモノを言う。単純な話だが選挙に興味の無いワカモノはこれを知らない。高齢者は投票率が高いので、ある意味で組織票に近いものがある。そして当然の事だが選挙に行く事はなんら悪い事ではないし、自分が支持する政策を実現する人・政党に投票するのも当然だ。それに呼応してリピート率・利用頻度の高い「顧客」向けの政策を打ち出すのも政治家としては当たり前だ。災害より老後を怖がる日本人 ~20代と60代の利害は一致する~ シェアーズカフェのブログより 2012/12/07 反対派が自分の意見を投票する事も、高齢者がワカモノより投票に行くことも、何ら問題のある行動ではない。これを否定するのであれば選挙や住民投票の仕組み自体を否定する事になり、住民投票で賛否を問うと決断した橋下氏を否定する事にすらなりかねない。橋下氏自身も民意に選ばれなかったことをはっきりと認めている。 大阪都構想による二重行政の解消が高齢者にとってマイナスになるとは到底思えないが、今回の結果を受けて大阪は終わった、という意見を多数見かけた。将来大阪が地盤沈下する事になっても、全ては住民にとって自己責任としか言いようが無い。もっと言えば自業自得だ。敗因は女性票か? 先ほど書いた男女別の投票率を見ると、男性の賛成票の多さに比べて女性の賛成票は随分少ない。例えば20代から40代男性の賛成票の割合は60%後半から70%超と強い支持を見せている。同年代の女性はいずれも50%半ばと半数は超えているものの、男性と比べて10ポイントから15ポイントも低い。 橋下氏が女性票に弱いというイメージはあまりなかったが、強権的な手法が嫌われたのだろうか。過去には女性関連の問題で週刊誌に報じられたものや、慰安婦に関する発言などがある。いずれも数年前の話題で今さら掘り返すようなものではないが、僅差での敗北を考えると影響している可能性はあるかもしれない。 今回の住民投票はあくまで都構想の賛否ではあったが、現実には橋下氏の信任投票でもあったように思う。とはいえ、実際にはワカモノの投票率がもう少し高ければほとんど関係の無い小さな影響だと言わざるを得ない。やはり敗因はワカモノの投票率の低さという事になる。橋下氏にすがる記者たちという異様な光景 昨夜11時から始まった記者会見は2時間にわたって続けられた。 橋下氏は会見当初からすっきりとした笑顔を見せていた。最後まで戦い切った満足感、あきらめ、お前ら今後どうなっても俺はもう知らないぞという突き放し……これらがないまぜになったような表情に見えた。「本当に引退するんですか?」「負けたとはいえ半数近くの支持があったんですよ?」「これだけの支持者と維新の会を放り出してやめてしまうんですか?」「例えば10年後の復帰も本当に無いんですか?」 まるで突然引退を表明した芸能人かアイドルに対するような、何とも不思議な質問が新聞社やテレビ局から何度も繰り返された。橋下氏は、僕は奴隷じゃない、職業選択の自由がありますので、と今後について政治家への未練が一切無いことを表明した。 過去の2万%府知事選挙への出馬は無いという発言についても、当時すでに撮影したテレビ番組がお蔵入りになってしまうので嘘をつかざるを得なかった、今はそういう事情は全くない、と取り付くしまも見せなかった。これまで政治家として散々タダでテレビに出て来たけど今後はそうはいかない、と冗談とも本気ともつかないような発言もあった。 しつこく繰り返された本当に辞めるんですか?という質問は、無料で使える「面白いコンテンツ」としての政治家・橋下徹氏が消えてしまう事への未練だったのだろうか。自分にはマスコミとケンカをしながらも、現状打破のために戦う政治家に目の前であっさりと引退を表明されてしまい、辞めないでほしいとすがっている人達にしか見えなかった。それはまるでこれまで批判してきたことに対する懺悔のようだった(市と府を混乱に陥れた責任を取って辞めるんですか?といったようなキツイ質問が多数ぶつけられるかと思いきや、そういった質問は全くと言って良いほど無かった)。足による投票 今回の投票結果は決してシルバーデモクラシーではなく住民全体の意思によるものだ。本人も認めるように賛否が別れる、そして一部からは大いに嫌われているものの稀有な政治家を住民の意思で葬った事になる。 今回の住民投票が将来の大阪に、そして日本にどのような影響を与えるのか。反対派として手を組んだ自民・公明・民主・共産は野合と批判されているが、二重行政の解消は大阪都でなくとも出来ると説明している。 今後は足による投票、つまり大阪の地盤沈下に伴って移住もありうるだろう。停滞した地方から都市部に働きに出るワカモノが珍しくないように、大阪以外の都市に引っ越すという選択肢だ。以下の記事も参考にされたい。■グーグルはなぜ新入社員に1800万円の給料を払うのか?http://blog.livedoor.jp/sharescafe/archives/43503648.html■「残業代ゼロ法案」は正しい。http://blog.livedoor.jp/sharescafe/archives/43530974.html■なぜスイスのマクドナルドは時給2000円を払えるのか?http://blog.livedoor.jp/sharescafe/archives/43721475.html■「安定した雇用」という幻想。~雇用のリスクは誰が負うべきか?~http://blog.livedoor.jp/sharescafe/archives/41886861.html■お金を払ってFPに相談……でも本当に信頼できる? ~同業者の目から見た「ファイナンシャルプランナーの選び方、使い方」~http://blog.livedoor.jp/sharescafe/archives/42814111.html 東京都と大阪都、2つのエンジンで国が回っていく将来を期待していた人も居ると思うが、これが完全に消えてしまうのか、それとも橋下氏が去り、江田氏が代表を辞任した後の維新の党が新しい政策を掲げていくのか、今後も注目したい。なかじま・よしふみ ファイナンシャルプランナー、シェアーズカフェ・オンライン編集長。1979年生まれ。2011年開業、翌年に開設した「シェアーズカフェのブログ」はFPとしてアクセス数日本一を誇る。現在は日経DUAL、アゴラ、ハフィントンポスト等で執筆中。その他新聞雑誌など多数の媒体で情報発信を行う。対面では住宅購入のアドバイスを得意とする。生命保険の販売や住宅ローンの仲介等を一切行わず、FP本来のスタイルで営業中。現在は各種士業や大学教授など、多数の専門家が書き手として参加するウェブメディアを編集長として運営。シェアーズ・カフェ:http://sharescafe.com/関連記事■ 大阪都構想 影響が大きい「政治論としての」敗北■ 政権批判なら何でもいいのか トンチンカンな左派マスコミ■ 高齢者の地方移住 安い生活費と医療がカギ

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    老人の老人による老人のための政治

    大阪都構想に関する住民投票の結果からにわかに巻き起こった「シルバーデモクラシー」論争。将来に責任を持つ有権者層の意見を政治に反映できないと言われて久しいが、高齢者の発言力が強すぎるのか、それとも若者があまりに政治に無関心すぎるだけなのか。

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    民主主義を通じた問題解決は「臭いものに蓋」では進まない

    だ。特に、他世代よりも人数の多い団塊世代が高齢化する中でこの傾向が顕著になっている。 第二に、日本の選挙制度では一票の格差が温存され、高齢化が一段と進んでいる農村票の価値が高く設定されていることである。 人口構成については、誰かに責任がある問題ではないが、選挙の度に問題となる一票の格差問題は人為的に作り出された民主主義の欠陥である。しかも、最高裁さえも投票価値を1倍に近づけていこうという発想はなく、衆議院では2倍以内、参議院では概ね4~5倍以内が目指されているに過ぎない。参議院が地域代表としての特性を持つというのは百歩譲ってそうかもしれないが、衆議院についてはかような欠陥を正当化できるようには思えない。 第三に、高齢者の投票率が高いということが指摘される場合もある。この点は各世代の行動様式の問題であり、過剰代表の原因であるのはそうとしても、以上に挙げた構造上の点と同じ次元で捉えるべきかどうかは微妙なところだろう。 では、シルバーデモクラシーが、問題である所以は何かというと、民主主義における負担と給付の関係が崩れ、不公正が生じてしまうということに尽きる。 近代民主主義の根幹には、「代表なくして課税なし」という言葉に代表されるように、負担と給付を均衡させる発想がある。絶対王政下ならばいざ知らず、このバランスが崩れると、「割を食う」集団が現れ、民主主義を長期的安定的に持続させることができないからだ。 ことがそれほど単純でないのは、ここに福祉国家の理念が重なってくるからである。福祉国家という制度は、負担と給付をバランスさせるという発想を、「能力に応じて負担し、必要に応じて給付する」という発想で修正したものである。そして、近代化の過程では高齢者は弱者であることが多かったため、現行の福祉制度は高齢者を弱者として制度設計が行われている。 結果として起こってきたのが国民の負担能力を超えた福祉の膨張であり、強者としての高齢者による既得権保護の欲求である。実際、日本でも何十年も社会保障改革が叫ばれているが、現役世代の負担増は進んでも、高齢世代の給付減は少しずつしか進んでこなかった。 シルバーデモクラシーの問題が根深いのは、民主主義の中で解決することが極めて難しいということである。多数決原理を原則とする限り、上記の負担と給付のアンバランスを克服することが困難だからだ。この困難さは、他国においても日本においても繰り返し証明されている。  民主主義を通じて解決が難しいからこそ、民主主義の外側に解決策を求める声も大きくなる。高齢者の過剰代表性の補正を目的とした、一票の重みの調整や世代別の投票制度などである。個人的には、殆どリアリティーのないこれらの提案には懐疑的である。むしろ、問題の本質から国民の目を背けさせ、社会の階層、年代でのセクト化を助長するものとして害があるとさえ思っている。民主主義の欠陥は、民主主義を通じた修正を尽くしてから検討されるべきと考えるからだ。そして、民主主義を通じた解決の前提は、問題の所在を明確にすることである。 例えば、世代間不均衡の代表例である年金の負担と給付の格差については、年金は損得で考えるべきでなく世代間の助け合いである、という誤魔化しがまかり通ってきたことは問題である。これでは、民主主義を通じた解決は望むべくもない。結果として、年金の信頼感がガタガタとなり、負担する人の割合が極端に低下するというマイナスのスパイラルが生じている。 住民投票を通じた大阪都構想の否決は、シルバーデモクラシーの問題を先鋭化させた。民主主義を通じた問題解決は、「臭いものに蓋」では進まない。その意味で、一連の経緯を通じて、シルバーデモクラシーの問題が晒され風が当てられたことはいいことだったかもしれない。フラストレーションが高まっている方々にとっても、そう考えることで多少は救いとならないであろうか。もちろん、問題の所在が明らかになった後には、問題の解決に向けて汗をかくリーダーが必要であるのだが。関連記事■ 大阪都構想 影響が大きい「政治論としての」敗北■ 政権批判なら何でもいいのか トンチンカンな左派マスコミ■ 高齢者の地方移住 安い生活費と医療がカギ

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    民主主義の“当たり前”を変えられないことがシルバーデモクラシーだ

    いくことが求められている。 もちろん、現状を打破するための取り組みは色々と進んでいる。インターネット選挙運動の解禁や大学内への期日前投票所設置等がわかりやすい事例だ。さらに、選挙権年齢に達していない子どもを持つ親が、子どもに代わって投票に行くことができる制度(子どもが二人いれば、親が3票投じることができる)などの大胆な変化も本格的に検討が必要だ。 少子高齢社会においてであっても、若者を政治のほうに振り向かせ、主体的にアクションをとるためには何ができるのか。ひきつづき考えたい。「シルバーデモクラシーだよね」、で諦めるのは早すぎる。まだまだやれることはある。関連記事■ 大阪都構想 影響が大きい「政治論としての」敗北■ 政権批判なら何でもいいのか トンチンカンな左派マスコミ■ 高齢者の地方移住 安い生活費と医療がカギ

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    なぜ「泡沫候補」は選挙に出るのか

    自身の裸体を選挙ポスターに掲げた人もいれば、元グラビアアイドルや大物歌手の元カレといったユニークな経歴の人たちが、今回の統一地方選に立候補し、地方自治の在り方とは違った意味で注目されている。当選する見込みがほとんどないのに、なぜ彼らは選挙に出るのか。

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    選挙に強い泡沫候補”はすべて計算ずくのことである

    外山恒一(政治活動家、「我々団」総統)少しもフザケてなどいない 私が(普通の意味で)選挙に出たのは05年から08年にかけての計4回だけで、したがって直近のものでもすでに7年前のことになる。一番よく知られているであろう東京都知事選への出馬は07年4月である(他の3回は05年11月の鹿児島県霧島市議選、件の都知事選を前半戦とした07年統一地方選の後半戦・熊本市議選、08年4月の鹿児島市議選)。 都知事選の政見放送で私は、選挙での社会変革の可能性を全否定し、はっきりそうは云わなかったがおそらくはきっと何か物騒な手段での「政府転覆」を呼びかけて、一躍“著名な泡沫候補”の仲間入りをしたわけだが、“泡沫候補”呼ばわりされること自体に特に異議はない。 もっともマスコミも含め世間一般のその線引きは非常に恣意的ではある。とくに奇矯な印象でもない無名の地味なオッサンたちも泡沫候補扱いされるから、キャラで峻別されているわけでもあるまい。絶対に当選するはずがないのになぜか立候補してる人、をそう呼ぶのであれば、07年以来の都知事選を例にとれば、石原・猪瀬・舛添氏の当選は投開票を待つまでもなく明らかだったのだから、浅野史郎、黒川紀章、そのまんま東、ワタミ、宇都宮健児、松沢成文、細川護熙、タモちゃん(田母神俊雄)ら各氏、みんな泡沫候補ではないか。 ただ多少不服なのは、どうも世間では“笑える”イコール“フザケている”という等式が常識的であるらしいことだ。むろん“笑わせる”ことと“笑われる”こととは全然違う、ということでもある。私は明確に意図して“笑わせた”のだし、私以外にも(私にはミジンも面白いとは思えないが)わざと“笑わせて”いるらしい著名泡沫候補もいる。だがそれとはまったく違う水準で、さらに不服なのである。私は“笑わせた”が、少しも“フザケて”などいない(もう一人の著名泡沫候補は明らかにフザケている)。件の政見放送で語った内容は、すべて私が心の底から本気で思っていることばかりであり、そうでないフレーズは一つとしてない。東京都知事選に落選し、熊本市議会議員に立候補した外山恒一氏=2007年4月17日、熊本市内 私は他の(少なくとも主観的にはマジメなタイプの)著名な泡沫候補たちと違って、その主張の内容に(婉曲に云って)独創的なところはまったくない。世界史の教科書にだって太字で載ってる左右のメジャーな反体制思想であるアナキズムとファシズムとが私の信条(正確には“アナキズム経由のファシズム”)であり、“選挙否定・議会制民主主義否定”はそれらに共通する主張でしかない(ムソリーニもヒトラーも議会進出はしたが、彼らがそれら“民主的”システムをハナっからバカにし、状況次第で平然と踏みにじったことを否定する者はあるまい)。勢力的には極少な過激思想の表現にいきなり触れた無学な人民が唖然とするのは仕方がないが、一流大学の学生や出身者どころか教授レベルにさえそれらと大差ない反応が多いことには、むしろこちらが唖然とさせられた。 私はただ自らが拠って立つアナキズム&ファシズム(無学なインテリたちはこの併記にも唖然とするようだが、先入観を捨ててそれらの成立史を辿ってみれば、両者はほぼ表裏一体の思想である)の選挙観を、例えば社会派ミュージシャンがいくら渾身の歌詞とはいえ、それをただ棒読みすることはなく必ずリズムを整えメロディをつけアレンジを施すように、できるだけ多くの人を最後まで飽きさせず画面に釘づけさせられるよう、レトリックと“役作り”の面を工夫して伝えたにすぎない。 選挙に出た目的も私の場合ははっきりしている。私は選挙を中心的手段としない、直接行動的な闘争の延長線上に革命を展望しており、中期的には60年代末のようなラディカルな学生運動が、かつてのそれとは違い左派の枠内で模索されるのではなく右派的な志向を持つものとして再興することがその唯一の突破口であると考えているが、そのさらに前段階としてはまず誰かが現代に公然とラディカリズムの旗を掲げて登場しなければならない。それが私の05年から08年にかけての一連の立候補だったというだけである。 要するにラディカリズム復興のための核となる“最初期の同志”を求めての立候補だったわけだが、その目的は充分には果たせず、各地から私が本拠としている九州へと移住し合流した、志ある感心な若者は数名しか出現せずに終わった。その理由は、日本のジャーナリズム・アカデミズムあるいは前衛美術シーンなども含めて、私の予想をはるかに下回る水準で停滞しており、“マジメなラディカリズムの論客・活動家”として各種メディアに進出するという、都知事選後に想定していた“二の矢”を放てなかったことにあると考えている。政治活動を選挙便乗路線に政治活動を選挙便乗路線に したがって08年の鹿児島市議選を最後に、存在アピールとしての(当落を度外視、というより落選前提の)立候補路線は断念し、やはり政治的関心が通常より高まる機会ではあるので度々“選挙”には便乗しつつも、以後は別の方向を模索している。 08年にはアメリカ大統領選に“勝手に立候補”を表明する演説動画を自作して公開し(これまたわざと“笑わせる”工夫を随所に施してあるが、内容的には極めてオーソドックスな“反グローバリズム”である)、11年の都知事選でも正規の政見放送の放映時間に合わせて“自主製作の政見放送”動画を公開した(こちらはそんなに“笑わせる”ことは追求していない“マジメな”演説である)。 “3・11”以降は、もともと駆け出しの活動家だった88年の第1次反原発ブーム以来、反原発の主張を撤回したことはないし(03年に獄中でアナキズム→ファシズムの転向を果たした際に“原発にも核武装にも反対”の立場から“原発反対・核武装賛成”の立場に移行した程度である)、原発問題に絡めて各種選挙に“便乗”してきた。12年暮れの衆院選では、九州各地の原発推進派と思われる立候補者たちの選挙カーを、「原発問題を争点に!」と大書した街宣車で、ショパンの葬送行進曲を浴びせながら1候補につき1日ずつ追い回しつつ、「今、目の前を走っている何々サンは原発推進派です!」と沿道をご通行中の有権者の皆様に云いふらす“原発推進派懲罰遠征”を敢行し、13年夏の参院選では、たまたま他の用事で北陸から東北・北海道にかけての長旅の最中で、その合間に片手間で、今度は「こんな国もう滅ぼそう原発で」と看板を書き換えて、忌野清志郎のイヤミったらしく能天気な曲調の「原発賛成音頭」を爆音で鳴らしながら、北日本各地の繁華街で「原発を標的として狙う私たちテロリストは、原発を続けてくれる自民党を支持します!」と表明して回る(この時は“選挙カー追い回し”はしなかった)“自民党ほめご…いや大絶賛キャンペーン”を展開した。ほぼ同じことを14年の都知事選でも、原発推進派のタモちゃんと、とくに当選確実だったやはり原発推進派の舛添サンを標的におこなった。無責任な期待に応える気は一切ない これら一連の行動によって、遅まきながら私を“マジメな政治活動家”として認知してくれる人が多少は増えてきたのはよいのだが(選挙のたびに確実に支持者を増やし、一部では“選挙に強い泡沫候補”とまで云われた)、もちろん私は反原発派であると同時に反選挙派であり、原発がらみの選挙介入も、そんなことで選挙結果を左右できるとは考えていなかったし、むしろ逆に、いつまでも選挙に幻想を抱いて、フツーに立候補したり、立候補をした人をマジメに応援したりしている愚かな反原発派の諸君に、“選挙以外の直接行動路線”を身を以て提示するための行動だった。そこらへんがどうも誤解されて、単にちょっと奇抜な手法でのマジメな選挙介入だと思われてしまったフシがあるので、先日の統一地方選では、反原発の主張はいったん一切引っ込めて、選挙の無意味さを告発し、投票ボイコットを呼びかける“ニセ選挙カー”を、福岡市議選をはじめ、九州各地の選挙戦エリアに走らせた。 考えてみれば07年の都知事選以来、本拠の福岡ではそれほど派手な活動はしておらず(先述の“懲罰遠征”の舞台の一部としたぐらいか)、少数の同志たちと地味な“学習会”など組織していた程度なので、そもそもずーっと福岡にいるのに、今回の“ニセ選挙運動”で「なぜ外山恒一が福岡に?」という反応が多いのを見て反省した。今後は選挙と無関係にも、日常的に福岡での街宣活動に力を入れて、いよいよ“党建設”を最優先課題とするつもりである。 かくのごとくに私の行動はすべて、あくまで将来の革命政権樹立を念頭に、現在がそのどれくらい手前の状況であるかを勘案して展開されているので、「また選挙に出てくださいよ」などという単なる面白がりの無学な自称“ファン”どもの無責任な期待に応える気は一切ないのである。中期的には、我が革命党がいよいよ数百数千の規模に拡大したら、同志たちの一部をまずは地方議会に順次送り込むための本気の選挙戦を考えてはいるが、その場合も私自身が出馬することはないだろう。革命を目指す党において、公職の議員などはせいぜい中堅幹部が担当する役割にすぎないからである。私を本当に支持してくれたり、支持はしないまでもマジメな考察の対象としてはくれている人々は、選挙なんぞという、我々過激少数派にとっては徹頭徹尾どーでもいい“多数派のお祭り”の場に公式に登場せずとも、今でも引き続き私の一挙手一投足に注目しており、「外山恒一って今どうしてるんだwww」とかツイートしたりしないので、これでいいのである。関連記事■ 上西小百合さん、議員辞職を拒否ですか 責任は維新の会にある■ 「スネ夫」的生き方を是とした橋下徹の少年時代■ 記者へのお礼に果物贈る議員秘書 「腐るから」と返品回避する

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    映画「立候補」監督が問う 泡沫候補とは何か?

    藤岡利充(映画監督)羽柴誠三秀吉の死去 2015年4月11日。日本全国の選挙に何度も立候補し続けた羽柴誠三秀吉(本名:三上誠三)氏が65歳で亡くなった。羽柴氏は青森県五所川市金木町出身。青函トンネルの土をダンプで運ぶことをきっかけに財を築いた。自宅は日本の城を模したもの。甲冑を身につけ、ヘリコプターを飛ばすなどの派手な選挙パフォーマンスは、目立ちたがり屋で金持ちの道楽立候補、選挙の時だけ現れては消える水の泡、泡沫(ほうまつ)候補として揶揄する人もいた。一方で、人から何を言われようとも我が道を行き、自由奔放に生きていると賞賛する人もいた。本人はどう考えていたのか?2000年の大阪府知事選に鎧兜姿で出陣する羽柴誠三秀吉氏 2012年6月。まだ闘病中だった羽柴氏に、私はインタビューした。「今後、羽柴氏を手本にして立候補する人たちも現れてくるのではないか?」 すると、意外な答えが本人から返ってきた。「まず、私を手本にして欲しくないナ。戦って、戦って、最後の結末で勝てたなら、いくら負けても、何度でも戦っていけ!と言うけどもヨ。まだ私は最後の戦いに勝利して、(政治の世界に)歯車を噛ませていませんから。だから、私を手本にはして欲しくないナ。」 泡沫候補と呼ばれた彼は、負ける前提の戦いではなく、勝利を信じ選挙戦を戦い、社会の歯車となることを目指していた。羽柴氏のカメラを見つめる目は優しく、言葉は力強かった。羽柴氏が亡くなったことを大変残念に思う。 供託金 日本の選挙には、供託金制度というものがある。例えば、大きな首長や国政の選挙では立候補するのに300万円が必要となる。もしも、一定の得票率に達しない場合は300万円が没収される。海外の民主国家では供託金制度自体がないところも多く、立候補をお金によって制限することにも議論がある。しかしそれ以前に、この供託金制度自体を知らないという人も多い。日本人の多くは、立候補という政治参加の手段を存在しないものとしている。政治参加の手段1「家の中でグチる」2「家の外でガナる」3「投票する」4「立候補する」5「革命を起こす」 今の政治に対して満足している人は3の「投票」で良いだろう。しかし、現在の政治に対して不満があり、支持する政党や政治家がいない場合、どうしたら良いだろうか? 棄権や無記名投票は、政治に対して何ら法的効力を持たない(憲法改正では有効かもしれないが)。1も2も法的な力はほとんどない。5番目の「革命」は違法だ。 泡沫候補と呼ばれる人たちは、政治に対して不満があり、投票先が見当たらなくて、4番目の「立候補」という合法的な政治参加の手段に気づいてしまった人たちなのだ。 あなたはまだ、負けてすらいない。 とはいえ、いきなり選挙に立候補しても、落選必至である。出るからには勝ちたい。地盤(組織力)、看板(知名度)、鞄(資金力)。もしも既成政党にも各種団体にも頼らず、自力で当選したいと考えたなら…。 鞄は借りることが出来る。でも看板は借りることができない。看板は、芸能人やスポーツ選手など限られた人だけしか持てない。しかし、選挙での勝利を目指し、その手段として知名度(看板)を上げようとすると、こう言われる。 「目立ちたいだけでしょ。」 彼らは目立つことが目的ではない。あくまで、それは手段。インターネット、学校、職場。認められたい、勝利したい思う場所は人それぞれ違う。この言葉を投げかけた人は、自分自身が何か新しい大きなことに立候補しようとするとき、自分に返ってくる。 「目立ちたいだけでしょ。」 負ケルトワカッテ、ナゼ戦ウ? 私は泡沫と呼ばれる立候補者たちを取材した映画「立候補」で、上記のコピーをつけた。この言葉は立候補しない人たちから、泡沫候補たちへの問いかけを意味している。大阪出直し市長選の告示日、戎橋上で遊説するマック赤坂氏 私は負ける戦いを仕掛けることがおかしいとは思わない。なぜなら、私自身が、生まれてから死ぬまで負ける戦いをしているからだ。お金を貯める。体を鍛える。映画を作る。そんなことしなくても三途の川は必ず渡れる。患者を治療して、その患者の最期を看取る医者のことを誰もおかしいとは言わない。 老病死。いつかは負ける人生という戦いの中で、かりそめの泡のような勝利を目指してもがくことは美しい。例え、その戦いで敗北しても、今度は子供たちが勝利を目指して戦いを続けてくれるだろう。 映画の中では最終的にカットしたが、私は上記コピーの問いかけに答えを3つ用意していた。  1.死に場所を求めている。2.いつかは勝てると思っている。3.思いは誰かに伝わるから。 2013年1月、泡沫候補として有名なスマイル党総裁マック赤坂氏はこの問いかけにこう答えた。 「うん。それは基本的に2だよ。勝つための立候補であって、その上で結果的に3も達成します。当選に向けて逆算すれば良いんでしょ?俺の選挙戦は今まで投票へ行かない若者にアピールしていた。次は投票へ行く人たちにアピールすれば良いんだろ?もうレオタードは封印だよ!」 レオタード封印と宣言したインタビューから約半年後の2013年7月。参院選に立候補したマック氏は、衣装をレオタードから、ガンジーの衣装に変えた。勝利を目指す手段は人によってさまざまだ。 私は映画で勝利を目指し戦い続ける。あなたは、どんな泡沫候補ですか?ふじおか・としみち 映画監督、ディレクター。1976年生まれ、山口県出身・在住。立命大卒。ワードアンドセンテンス合同会社所属。映画作品に「フジヤマにミサイル」(2005年)、「映画「立候補」」(2013年)。著書に「泡沫候補」(ポプラ社)。現在、新作映画に向けて準備中。関連記事■ 上西小百合さん、議員辞職を拒否ですか 責任は維新の会にある■ 橋下徹が本当に冷たい人とは思わない■ やっぱり若者はダメだ…広がる失望を払拭できるか

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    本気で当選目指した羽柴秀吉氏 家では別の顔を持つ父だった

    有名な「泡沫候補」が死去した。自分を生まれ変わりと信じていた「羽柴秀吉」の名で東京都知事選など多くの選挙に出馬した三上誠三氏が4月11日、肝硬変のため65歳で亡くなった。 甲冑姿のド派手な選挙ポスターや大阪城を模した自宅などが話題となり、「泡沫候補」の中でも名の知れた存在となった。選挙にのめり込むようになったきっかけを次男の大和氏が話す。 「父は20代の頃、青函トンネルの土砂運搬工事の仕事を、談合破りをして取ってきたことがあったそうです。そのせいで青森の業者からは締め出しをくらい、隣の秋田県まで資材を取りに行かなければならなかった。そんな経験をしたことで、政治の力で公共事業をめぐる悪しき風習を何とかしたいと思ったようです」4月11日に亡くなった「羽柴秀吉」こと三上誠三氏 1976年に地元・青森県金木町(現・五所川原市)での立候補を皮切りに、2011年の夕張市長選まで「計17回立候補してすべて落選」(大和氏)。2005年、五所川原市長選に立候補した際に支援した民主党青森県連副代表の今博氏が振り返る。 「どうやったら有権者に思いが伝わるかという情熱を持っていて、金色の名刺を配るなどして印象に残るアピールをしていました。長靴に会社の作業着姿で演説するなど庶民的な面もあって、人なつっこい笑顔が印象に残っています」 ところが、意外にも家庭では全く別の顔を持った父親だったと大和氏はいう。「家族の前では口答え無用の『鬼』でした。怒鳴るわ手が出るわで誰も逆らえません。子供の頃は私の友達ですら『お前の親父がいるなら家に遊びに行かない』というぐらい恐れられていた。晩年、病気で立っているのがやっとの状態でも、柱にしがみつきながら怒鳴り散らしていたくらいです。 仕事人間で朝は早く夜は遅いため、食卓を共にした記憶もありません。しかし選挙は遊び半分でやっていたわけではなく、本気で当選しようと情熱を注いでいました。病気が発覚した後も『もう一度選挙に出たい』と漏らしていたほどです。タバコや酒、ギャンブルはやらなかったので、選挙が生きがいだったのではないでしょうか」 2007年の夕張市長選では当選者と342票差まで詰め寄った三上氏だったが、それでも当選は叶わなかった。有権者からの支持は集まらなかったが、国民的関心を集めたことは間違いない。関連記事■ 元美魔女衆院選候補 落選後は「子供と常に一緒に過ごしてる」■ マスコミが報じない参院選・ネット選挙の真相に迫った1冊■ 当選無効騒動の「美しすぎる市議」立川明日香がセミヌードに■ 鈴木宗男氏の選挙カー 箱乗り姿勢保つ手すり付きの特別仕様■ 藤川優里八戸市議と因縁の元女子アナ候補(39)が笑顔で手振る

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    有名候補者、“唯一神”又吉イエス代表の素顔に迫る

     2大政党の時代。地盤もカバンも看板もなく国政選挙に出馬し“独自の戦い”を繰り広げる候補者たちがいる。新聞やテレビなどでは半ば存在しないものとして扱われている彼らの中で、ネット上で「唯一神」と呼ばれ伝説的な存在となっているのが、「世界経済共同体党」の又吉イエス代表(65)だ。「対立候補は腹を切って死ぬべきだ」「唯一神又吉イエスが地獄の火の中に投げ込む」などの過激なスローガンで知られ、実際の得票数をはるかに上回る独特のプレゼンスを示す又吉代表の素顔に迫った。唯一神が扇風機を… JR高田馬場駅周辺の繁華街から少し離れた新宿区下落合の住宅街。又吉代表が代表を務める世界経済共同体党の事務所は、針灸院やもんじゃ焼き屋などが入居する雑居ビルの4階にあった。 暗く狭い階段を上る。「地獄の火の中に投げ込まれるようなことになったらどうしよう」と緊張しながらドアをノックすると、又吉代表の妻、正子さん(62)が出迎えてくれた。 12畳ほどの部屋の真ん中にある簡素な応接テーブルに案内されると、唯一神が自ら扇風機をかついで向きを変え、「冷房の効きが悪くて申し訳ありません。風は来ますか」と気遣ってくれた。とりあえず火あぶりは避けられそうだと一安心した。 最も話題を集めている選挙ポスターの過激な文言の意図について質問したところ、「腹を切って死ぬべきだ、というのは責任追及であり、日本の責任感の精神なんです。神の当選を邪魔しているのだからその罪万死に値する、という意味でもある」という。公職にある者は命をかけて臨み、失政を猛省すべしということだと、私は理解することにした。 「参院選のときは(選挙区が東京全域であり多くの立候補者がいるため)首相を名指ししているんですよ」。切腹の指名相手は、衆院選と参院選でちゃんと使い分けがあるようだ。雑貨屋の5人兄弟の末っ子 「私が再臨した沖縄県宜野湾(ぎのわん)市の大山というところがあるんですが、そこの海はとっても…最高です。もちろん私の創造の手によるものです。ほかのところの海ももちろんいいんですが、(宜野湾の海は)とってもいい…」 又吉代表は昭和17年、沖縄本島中南部の宜野湾市(当時は宜野湾村)の雑貨店に、5人兄弟の末っ子として生まれた。戸籍名は又吉光雄。中央大学商学部に進学し、東京の商社や設計事務所で働いた後、沖縄に戻った。 家の近くの海で泳いだり潮干狩りをしたり…。子供のころの故郷の美しい海での楽しい思い出を語る又吉代表は、政治の話をしているときの激しさとは全く違う、本当に幸せそうな表情を浮かべた。 沖縄に戻った又吉代表は自動車販売店勤務、学習塾経営などを経た後、牧師となって教会を開いた。主に精神障害の患者に対し、心のケアを行った。当時は心の病に対する偏見が強く、世間の無理解に苦労を重ねたという。 そんな中、故郷の海岸を埋め立て地とする計画が持ち上がり、反対運動を起こしたのが政治にかかわるきっかけだった。沖縄県庁で「再臨宣言」 「絶対に許さない」。故郷の海を愛する又吉代表にとって、まったく受け入れがたい計画だった。しかし運動もむなしく、埋め立ては進んでいく。その抗議行動の最中、沖縄県庁で又吉代表は自らをイエス・キリストだとする「再臨宣言」を行った。 「これは(神としての)予定の行動です。これからは政治を直接私がみる時代だ、時期がきたな、と」。又吉光雄から、唯一神又吉イエスへと変わった瞬間だった。 以後、平成9年の宜野湾市長選を手始めに、沖縄県知事選、名護市長選などに相次いで立候補。いずれも落選した。 そして14年、2度目の県知事選立候補の際に掲げた「沖縄県民が唯一神又吉イエスを次期沖縄県知事にしないというなら、本世界経済共同体本部は東京に持って行く。それは沖縄県民の子や孫・ひ孫達、更に末代までの沖縄県の恥になるが、それでもいいのか」との公約に従って、15年の衆院選には東京1区から出馬した。 「腹を切って死ぬべきだ」のスローガンなどにより、ネットを中心として一気に“全国区”に。この選挙以降は、ずっと東京を活動拠点としている。又吉代表、選挙の資金源は…資金源は軍用地地代 法定得票数に達しなかった候補は供託金を没収される。その額は衆院選挙区立候補の場合300万円。軽い金額ではない。 「300万円をドブに捨てているのではないか、その金で困っている人を助けられるのではないかとご批判もありました。しかしそれでもやらないといけないのが私なんですね」「私が唯一神の世界経済共同体を作らない限り、一人ひとりの困っている皆さんを助けられないんですよ」 寄付も最も多いときで200万円ほどであるため、足りない分や実際の選挙活動費は、年400万円ほどある宜野湾市の普天間基地内に所有する軍用地の地代収入から拠出しているという。 1~2年に1度のペースで出馬しているため、冗費は許されない。一張羅のグレーのスーツも、2年前の参院選の際に近所のスーパー「ライフ」で買った約1万円のものだ。 「私はライフ育ちなんですよ。ライフで身を包んでます」。室内を見回しても電化製品の型は古く、本棚にいたっては3段のカラーボックスを2つ並べただけ。唯一神の生活は、実に質素だった。「2ちゃんねらーの功績大」参院選、JR新大久保駅前で演説する又吉光雄氏=2013年7月7日、東京都新宿区 沖縄時代はほとんど夫婦2人だけで行っていた選挙活動だが、現在はボランティアによって支えられている。 人数は19年の参院選の場合、50~60人ほど。ネット上で初めてブレークした15年衆院選では、巨大ネット掲示板「2ちゃんねる」を通じ、個人同士で連絡を取り合った若者約90人が手伝いに訪れたという。 「2ちゃんねらーのみなさんが連れ立って、たくさん来ていただいたようです」 当初は学生が多かった支持者層だが、6年がたった今では「外に出ましても声をかけてくださる皆さんが…あれ、世界経済共同体党もちょっと歳とってきたな、年期が入ってきたなと。皆さん、30歳ぐらいになってきてますよ」。 そんな子や孫ほどに歳の離れた世代のボランティアや支持者たちに囲まれてあれこれ語らうのが、選挙期間中の何よりの楽しみ。 彼らにパソコンの使い方を習ったり、公式サイトを作ってもらったりしたことを、好々爺の表情で語る。「唯一神又吉イエスにとって、2ちゃんねらーの皆さんの功績は大きいです。とっても大きいです」。「本当に恩師です」 「すごく優しくてとてもきめ細かい先生でした。子供心にも、大丈夫かな、と思ったほどに」。学習塾経営時代の又吉代表の教え子だった那覇市の映画館「桜坂劇場」番組責任者の真喜屋力(まきやつとむ)さん(42)は、当時の印象をこう話した。 「目がまっすぐな人でした。今はやせて目だけギョロッとした感じなんですが、昔はもっとぽっちゃりしていた」 小中学生を対象に、全教科を又吉代表がみる小さな個人塾。月謝は4000円程度で、当時としても格安だった。教え方は徹底した教科書中心主義で、問題を理解するまでやる。「熱心に、意味を考えるよう教えてくれました。車での送り迎えもあった」という。 「本当に恩師です。おかげさまで、立派に…かどうかはともかく、社会人としてやっています。今でも感謝しています」。真喜屋さんはいつか又吉代表に会ってそう伝えたいという。(磨井慎吾) 関連記事■ 上西小百合さん、議員辞職を拒否ですか 責任は維新の会にある■ 「タカ」も「ハト」も不毛だ■ 沖縄県紙の市長選「介入」報道は許されるのか

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    次世代の党はなぜ一人負けだったのか

    ヨシザワ タカフミ(東京都) 今回の選挙ほど風が吹かなかった選挙はないと考える。自民党の小泉進次郎氏が当選後のインタビューで述べた言葉は、「熱狂なき選挙であり、熱狂なき圧勝だった」。自民、公明両党の圧勝で幕を閉じた第47回衆院選である。私自身も一人の有権者として、本当に今回の選挙に大義はあったのかと思わせるような選挙であった。 自民・公明両党で、326議席になったことに対しては多少予想していたけれども、実際目にすると愕然となった。理由としては、野党の存在価値のなさである。今回の選挙が不意打ちであることは野党に大きなダメージをあたえたと考えることが出来る。また、野党共闘も出来なかったと考える。民主も目標の100議席には到底及ばなかった(73議席)。また、維新の党もおひざ元の大坂でたったの5議席しかとることが出来なかった。生活・社民はともに低迷し2議席であった。唯一の野党の勝利は共産の8議席から21議席に増えたことにあろう。共産党は小選挙区で1996年以来の議席を獲得し、大幅に議席を増やした。つまり、共産党の議席が増えたのは「反安倍」を掲げていたことに対して、共鳴した国民が投票したのであろう。 しかし、最初に述べたように今回の選挙結果から分かることは、野党の存在価値のなさである。そのなかでも、一人負けといっても、特にダメージが大きかったのは「次世代の党」であろう。 次世代の党の議席数は19議席から2議席に大幅に減少したのである。 まず、当選したのは小選挙区で、元来地盤のある平沼(岡山)・園田(熊本)の2名にとどまった。 「自民党の右に確固たる軸を作る」をスローガンに戦った次世代の党は、なぜ支持されなかったのか。敗北原因として、自民党寄りの政策を掲げたことと知名度の低さ・保守層の離反により議席を失うことになったと考えることが出来る。実際には今の自民党がいるのにわざわざ「次世代の党」に投票する必要があるのかといった意見であろう。さらに、次世代の党が結党して4か月弱しかたっていないという知名度の低さと、ネット保守の離反にあるだろう。実際に、次世代の党は、アベノミクスに賛成し、憲法改正を訴え、自民党寄りの政策を掲げ、保守を意識するPR「タブーブタのうた」を制作し、保守層の票を狙ったのである。しかし、蓋を上げればたったの2議席であり、マイナス17議席である。 これは、「次世代の党一人負け」といっても過言ではないのである。 つまり、国民の目線としては次世代の党の政策において自民との差異がよくわからなかったことと、知名度の低さが主な敗北原因であろう。ここで、実際に次世代の党の綱領・政策骨子に注目してみる。次世代の党の綱領・政策骨子国政も地方も参政権は国民固有の権利であることを明記、移民の国籍取得要件等の厳格化自立、新保守、次世代の理念の下で自主憲法制定正しい歴史観点、愛国心を育む教育憲法に自衛権や家族尊重に関する規定を新設集団的自衛権に関する憲法解釈の適正化と安全保障基本法の整備直間比率の見直し、法人実効税率の大幅引き下げ医療費自己負担割合の一律化世界最先端の原子力技術を維持公正と秩序を維持する規範・道徳教育 2014年11月25日、次世代の党は、衆議院選挙の公約を発表し、自民党の安倍晋三が掲げる経済政策「アベノミクス」の基本的な方向性は容認するが、2014年10月に決定した日本銀行の追加の金融緩和を白紙撤回させ、過度の円安を是正するとする。 このように、極めて自民党寄りの政策であり、極めてアベノミクスに友好的であることがわかる。やはり、次世代の党は野党として十分な役割を果たせなかったのであろう。また、国民の政治離れにより政治無関心層が増えたことは、一定の支持層がいない次世代の党にとっては大きく不利な戦いであったと改めて考えることが出来る。このように、今回の選挙において次世代の党が一人負けした事実は大いに注目しなければならない。自民・公明圧勝選挙は別名、次世代一人負け選挙といってもいいかもしれない。