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    米国は憲政の危機に? 大統領vs司法

    2017年02月08日 16:29 公開 自分は米国をテロから守ろうとしているのに、「いわゆる裁判官」が邪魔をするせいで、とても大変だというのが、ドナルド・トランプ米大統領の言い分だ。 対する裁判官は、特定7カ国からの入国を制限する大統領令の執行停止を命令。大統領の行動の順法性を確保しようとしているのだと主張している。 大統領令をめぐり、米政府の三権のうち二権が真っ向から対立していることになる。行政府と司法府は論理上は対等だ。そのため、この対立は憲政上の危機につながる可能性がある。 何が問われているのか 米国の統治の仕組みを理解するには、権力分立の原則を理解する必要がある。 合衆国憲法は、貴重な「チェック・アンド・バランス(抑制と均衡)」の仕組みを作り上げた。政府の三権の権限は平等で、互いを牽制する関係にある。 連邦政府の権力は、行政(大統領と内閣)、立法(連邦議会)、司法(裁判所)の3つに分かれている。 大統領は――裁判官を指名し、議会が作る法律を拒否することができる。 議会は――大統領の拒否権を覆し法律を制定することができる。連邦政府の予算決定権も議会にある。裁判所に対しては、大統領が指名した判事の任命を拒否できる。判事を弾劾(罷免・処罰)することもできる。 裁判所は――大統領の行動を違憲と判断できる。議会が制定した法律についても、違憲判断が下せる。 この仕組みはだいたいの場合、うまく機能する。三権は互いに協力し合うのが普通だ。 しかし大統領が公然と、司法府ないしは立法府と対立する場合、政府機能が完全に膠着(こうちゃく)するおそれがある。 そうなってしまうと、。トランプ大統領は裁判官の権限に公然と挑戦しているかのように見えるだけに、このままでは事態打開の方法がない、憲政上の危機に至る可能性もある。 上院司法委員会のパトリック・リーヒー議員(民主党)は、「法の支配に対して大統領が敵対心を示している。これは恥ずかしいというだけでなく、危険だ」、「憲政上の危機を引き起こそうとしているように見える」と懸念 判事は本当に大統領と対等なのか 大統領令の差し止めを命令したのは、シアトルにある連邦裁判所の判事だ。米国に連邦地裁判事は約700人いる。 州裁判所の判事と異なり、連邦判事たちは連邦最高裁や連邦控訴裁と同様に、連邦司法制度に属する。 合衆国憲法第3章第2条では、憲法と合衆国の法律、合衆国の権限に基づいて締結された条約、もしくは将来締結される条約の下で発生する法律上の全ての事件について、司法権が及ぶと定めている。 米国の法律や条約の解釈、ならびに公務員の行動に司法判断を下すのは、94カ所の連邦地裁。連邦地裁の司法権限は、連邦最高裁から与えられたものだ。 裁判所は通常は、求められない限り、政府の政策に意見を表明したりしない。訴えが提起された際に法律を解釈するだけだ。 議会は立法府として法律を作り、大統領府は行政府として法律を執行する。そして司法府は、紛争が起きた際に法律を解釈する。 現在問題になっているのは、まさにここだ。大統領令には法律と同じような強制力があるため、法律と同じように、司法チェックの対象になる。 大統領令に対する司法判断はこれまでも何度も行われてきた。 2015年2月には当時のバラク・オバマ大統領が、不法移民の一部を強制送還から免除しようと大統領令に署名したが、テキサス州の連邦判事が差し止めを命令。2008年10月には、グアンタナモ米海軍基地に収容されていたウイグル人について、連邦地裁が釈放を命じたものの、当時のブッシュ政権の上訴を受けて連邦控訴裁が拘束の継続を認めるという、法廷でのやりとりがあった。 トランプ氏はなぜ判事を解任しないのか 確かに、連邦地裁判事は大統領に指名され、上院の承認を得て就任する。 たとえば、トランプ氏に「いわゆる裁判官」とツイッターで嘲笑されたジェイムズ・ロバート判事は、2003年末にジョージ・W・ブッシュ元大統領に指名され、2004年6月に承認された。 しかし、大統領は裁判官を解任できない。 米国の建国の父たちが、司法府を行政府の介入から守る仕組みを作ったからだ。 連邦判事を弾劾して罷免できるのは、連邦議会のみ。大統領を弾劾・罷免する手続きと同じで、上下両院の賛成が必要となる。 合衆国憲法第3章に守られた裁判官の地位は、実際には非常に強固で、上院の劾裁判で有罪となり罷免された連邦判事は米国史上8人しかいない。 その結果、連邦判事は自ら引退を選ぶまで、もしくは死亡するまで、務めることがほとんどだ。 そして現在、米国政府三権のうち行政府と司法府が対立状態にあるが、大統領も裁判官もお互いを罷免するわけにはいかない。 では最高裁は? 連邦最高裁は、その名が示す通り、米国の司法権の最高機関で、他の下級裁判所はこの下に属する。 大統領令をめぐる今の争いについて、政府はいきなり最高裁の判断を仰ぐこともできたし、今後そうする可能性もある。 しかし他の連邦裁判所と同様、最高裁の司法判断は政治干渉から守られている。 裁判官の定員は9人だが、アントニン・スカリア判事が昨年2月に死去して以来、8人のままの状態が続いている。 4人は民主党の大統領に指名され、4人は共和党の大統領に指名された。9人目についてトランプ氏は、ニール・ゴーサッチ連邦控訴裁判事を指名している。新判事の判断次第では最高裁の勢力均衡が崩れ、判決が保守か革新かのいずれかに傾く可能性がある。 では立法府の役割は? 大統領と裁判所が対立して膠着状態に陥った場合、事態打開の権限は連邦議会にある。大統領令を覆す法律を可決する、もしくは大統領や裁判官を弾劾し罷免する権限が議会にはあるからだ。 トランプ氏が率いる共和党が現在、上下両院の多数を占めているため、大統領に対して議会が行動するとは考えにくい。 そして司法の独立は米国の統治の根幹を成すあまりに重要な要素なので、議会が大統領を応援して裁判官を攻撃し始めるなど、かなり極端な事態だ。 それでも、三権のうち二権が対立する状態が続くなら、最終的な決着はいずれ連邦議会にゆだねられるのかもしれない。トランプ氏が、大統領令を修正しないならば。 歴代の大統領は、司法の反対を受けるとだいたいは譲歩してきた。その伝統に鑑みれば、大統領の修正こそ最も賢明な対応なのかもしれない。 しかし今のところトランプ氏は「裁判官がこの国をこんな危険な目に遭わせるなんて信じられない」とツイートしている状態で、考えを変える気配はまるで見えない。 (英語記事 Taking on Trump: Is the US facing a constitutional crisis?)

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    コロンビア政府と反政府組織ELN、和平に向け協議開始

    2017年02月08日 14:58 公開 南米コロンビアで約半世紀にわたって対立してきた政府と反政府組織の国民解放軍(ELN)が7日、和平に向けた協議を開始した。 隣国エクアドルの首都キトには、双方の代表が集まり記念式典を開いた。 昨年11月には、コロンビア政府と国内最大の反政府組織で左翼ゲリラの「コロンビア革命軍」(FARC)が和平合意に署名している。交渉には4年の歳月が費やされた。 ELNはコロンビアで第2の反政府組織。7日の式典に出席したELNの交渉担当トップ、パブロ・ベルトラン氏は、お互いの違いを乗り越え、双方を結びつける部分で力を合わせるべきだと述べた。 一方、政府代表のフアン・カミロ・レストレポ氏は、FARCとの交渉で得た教訓を生かし、ELNとも和平合意に至りたいと話した。 両氏とも、数十年に一度の和平の機会が訪れているとの認識を示した。 政府側のレストレポ氏は、「コロンビアと世界は、和平を実現するこの機会が将来再び得られる可能性は低いと認識している」と述べた。 同氏はさらに、交渉中は人質の拉致を正式に停止するようELNに求めた。 ELNが「保留」と呼ぶ拉致による人質の身代金が、同組織の大きな収入源になってきた。 ELNのベルトラン氏は、抑圧を強めることでは和平は達成できないとし、「政治的な解決が必要だ。過ちの責任を取る意思が我々にはあるが、向こう側も同じようにすると期待している」と語った。 交渉の場を提供するエクアドルのギョーム・ロング外相は、「我々世代が和平を実現する機会はもうないかもしれない」と語った。交渉はブラジル、チリ、キューバ、ノルウェー、ベネズエラが後押ししている。 ELNは、1964年に土地や富の不平等な分配への抗議を目的として発足。1959年のキューバ革命を手本としていた。 (英語記事 Colombia: Peace talks with ELN rebel group begin)

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    メラニア夫人「ブランド価値に傷」で英紙提訴 商業利益得る機会喪失と

    2017年02月08日 13:54 公開 米国のファーストレディー、メラニア・トランプ夫人が6日、自分のブランド力によって巨額の利益を得る「一生に一度の機会」を報道によって失ったとして、英紙デイリー・メールへの訴えを再び起こした。少なくとも1億5000万ドル(約170億円)の損害賠償を求めている。 デイリー・メールは昨年8月20日、メラニア夫人がかつて「エスコート」として働いていたと報道したが、後に記事を撤回している。 訴状によるとメラニア夫人側は、デイリー・メールの記事によって夫人の「ブランド価値が大きく傷ついた」と主張。「世界で最も写真を撮られる女性になる」タイミングで、「複数の商品カテゴリーにまたがる幅広い商業ブランドを立ち上げ」、「複数年にわたり数百万ドル規模の商取引を獲得する」機会があったにもかかわらず、報道によってその機会が損なわれたと訴え、損害賠償を求めている。 想定されていたメラニアさんブランドの商品ラインには、洋服やヘアメイク製品が含まれる予定だったという。 メラニア夫人は当初の報道を受けて昨年9月にメリーランド州の裁判所に提訴しているが、裁判所は同州での審理は適切ではないと却下。このたび、デイリー・メールを所有するメール・メディア社のあるニューヨーク州であらためて提訴した。 投書の記事を撤回するにあたり、デイリー・メールはメラニアさんの過去について記事内で言及した内容が「本当だと断定するつもりも、示唆するつもりもなく、トランプ夫人がかつて『エスコート』だった、あるいは『性風俗産業』で働いたことがあると、断定もしくは示唆するつもりもなかった」と釈明していた。 再提訴について同紙はコメントしていない。 トランプ夫人は米国のブロガー、ウェスター・タープリー氏に対しても同様の訴えを起こした。夫人の弁護士によると、こちらについては7日に和解が成立。タープリー氏が謝罪を公表し、「相当の和解金を払う」と合意したという。 <関連記事> ・トランプ氏の経営権移譲では不十分=米倫理局トップ ・トランプ氏は事業から身を引く? 大統領職との様々な抵触 ・トランプ氏が娘婿を上級顧問に 民主党反発 利益相反の懸念 トランプ氏の大統領就任にあたり、一族の事業の利害関係が大統領の公務に抵触するのではないかと懸念が続いている。 事業の所有権を清算して白紙委任信託に預けるのではなく、経営権を息子たちに移譲するという方針は、利益相反の回避につながっていないという批判もある。 トランプ氏に対してはすでに政治倫理専門の弁護士たちからなる監視団体が、大統領就任後も事業を売却せず、所有ホテルや不動産などを利用する外国政府から金銭や便宜の提供を受けているのは違憲だと提訴している。 訴えに対してトランプ氏側は、「訴えの利益がない」と反発している。 (英語記事 Melania Trump re-files Daily Mail lawsuit over 'lost business opportunities')

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    トランプ米大統領の入国制限命令、連邦控訴裁で審理開始

    2017年02月08日 12:30 公開 米サンフランシスコの連邦控訴裁判所で7日、ドナルド・トランプ米大統領による特定7カ国からの入国制限命令について、差し止め請求とそれに対する不服申し立ての口頭弁論が始まった。今週中にも判断が下される見通しだが、大統領令をめぐる法廷闘争は連邦最高裁に持ち込まれる可能性が極めて高い。 大統領令についてはワシントン州とミネソタ州の請求を受けて、シアトルの連邦地裁判事が3日に差し止めを命令して以来、執行が止まっている。 第9巡回区控訴裁判所の口頭弁論で、判事3人のひとりのリチャード・クリフトン判事は、大統領令に影響を受けるイスラム教徒が世界全体のイスラム教徒の15%に過ぎない場合、それは特定の信仰に対する差別と言えるか疑問を表明した。 審理ではまず、トランプ政権を代表する司法省のオーガスト・フレンティエ弁護士が陳述し、入国管理の権限は連邦議会が大統領に付託したものだと主張。大統領令の執行再開を命令するよう控訴裁に求めた。 特定7カ国(イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメン)が米国への脅威となるという証拠の提示を法廷に求められると、弁護士は、米国内にいたソマリア人数人がイスラム武装勢力アルシャバブとつながりがあったと弁論した。 司法省に続き、ワシントン州のノア・パーセル州訴訟長官が陳述。大統領令の停止は米政府に損害を与えていないが、大統領令は州で学ぶ留学生や、外国の親類を訪れていた住民の帰国を妨げ、損害を与えたと主張した。 ムスリム禁止なのか 口頭弁論の終盤は、入国制限命令がムスリム(イスラム教徒)限定の禁止措置なのかが議論の焦点となった。特定の宗教の信者のみを対象にした禁止令は、信仰の自由を保障する合衆国憲法に抵触する。 司法省は6日に提出した15ページの意見書で、大統領令は「大統領権限を合法的に行使」したもので、「宗教については中立」だと主張した。 しかしワシントン州のパーセル訴訟長官は、大統領選の最中にトランプ氏の陣営が「ムスリム禁止」と繰り返し主張していたことを指摘。加えて、トランプ氏から「合法的にムスリムを禁止する」方法について助言を求められたという、ルディ・ジュリアーニ大統領顧問の発言を取り上げた。 これに対して、クリフトン判事は禁止命令の対象は7カ国のみで、しかもオバマ前政権と連邦議会がテロの懸念を理由にビザ制限の対象にした7カ国だと指摘。「前政権と議会の判断が、宗教的動機によるものだと主張」するか、パーセル氏に尋ねた。 これに対してパーセル氏は、前政権の判断は宗教的動機によるものではないが、トランプ大統領は全面禁止を呼びかけていたし、大統領令はムスリムの入国を全面禁止するものではないが、差別的な措置だと主張した。 (英語記事 Court questions whether US travel ban is anti-Muslim)

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    子どもの写真を安全に投稿するには? SNSの注意点

    2017年02月08日 9:00 公開 我が子の成長をみんなに見てもらおうと、ソーシャルメディアに写真を投稿する人も多いだろう。プライバシー侵害や性犯罪、将来のトラブルを防ぐためにできることがいくつかある。SNS投稿の注意点をまとめた。

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    雪道を命がけで――イラン・イラク国境の密輸人

    運ぶクルド人たちが大勢集まる。イラン国境警備隊の取り締まりをかわし、地雷原を進む運搬作業は命がけだ。BBCのジヤル・ゴル記者が現地からリポートする。

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    女の子にも自分の体を語る言葉を スウェーデンの成功例

    2017年02月08日 9:00 公開 女の子は男の子と違って自分の性器について話しやすい言葉がないのではないか――。スウェーデン南部のマルメでソーシャルワーカーとして働くアナ・コストビックスさんが感じたこんな疑問が、今では辞書にも記載される新たな言葉の誕生につながった。

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    トランプ米大統領の入国禁止命令 法廷論争早分かり

    ントン州司法長官などが大統領令の無効化を求めて提訴し、政権と司法が法廷論争を繰り広げる展開となった。BBCニュース・ワシントン支局のラジニ・バイディヤナザン記者がこれまでの動きを解説する。

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    安楽死の薬を自分に注射した獣医 犬殺処分耐えられず

    前、殺される動物たちが見るに忍びないと、施設で働いていた女性獣医が自殺し、台湾に衝撃が広がっていた。BBCのシンディー・スイ記者が取材した。 動物が大好きだった獣医の簡稚澄さんは、動物保護施設で働いていた。別の仕事、別のタイミングだったら、もしかすると避けられた悲劇だったのかもしれない。 台北に近い桃園市の施設で捨て犬の保護活動に関わっていた簡稚澄さんの同僚、ウィニー・ライさんは簡さんについて、「しょっちゅう残業していて、めったにお昼休みをとらなかったし、いつも犬を気にかけて、犬のために休日を犠牲にしていました」と語った。 最難関の台湾大学を卒業し、公務員試験をトップの成績で合格した簡さんは、中央官庁のデスクワークに就くこともできたが、たくさんの捨て犬の世話をすることを選んだ。 保護施設のロビーには、訪れる人に犬の里親になってもらおうと簡さんが描いた犬の絵が飾られていた。しかし、犬の多くは安楽死させられる運命にあった。 2016年5月5日、簡さんは自らの命を絶った。動物たちを安楽死させる同じ薬品を使って。迷い犬がどんな目に遭うか、台湾の人々に理解してもらいたいという書き残して。 彼女の死が報じられると、台湾には怒りと当惑が溢れた。若い女性の命がなぜこのような形で終わってしまったのか、悲劇を大勢が理解しようとした。 一方で、捨て犬や捨て猫の現場で奮闘する職員が、なぜこれほどのプレッシャーを感じなくてはならないのか問う声もあった。 簡さんは地元CITテレビからインタビューを受けた際、初めて殺処分に立ち会った時のことを語っていた。 「家に帰って一晩泣き明かしました」 しかし、メディアに出たことがきっかけで、簡さんに対する個人攻撃が始まった。簡さんが2年間で700匹を殺処分したと報じられると、一部の人は簡さんを「美しき虐殺者」と呼んだ。 保護施設の職員は、できる限り殺処分などしたくない。しかし簡さんたちは、引き取り手がなく、老いていたり、里親が見つかりにくい動物たちが、過密状態の施設で病気にかかる危険にさらされるより、安楽死の方が良い選択肢だと考えていた。 簡さんの同僚、高瑜婕さんはこう話す。「彼女(簡さん)のことを肉屋と呼ぶ人がいました。(中略)私たちは怒鳴りつけられることも多く、地獄に落ちるだろうと言う人もいる。私たちが喜んで殺しているとか、残酷だとか。だけど、犬は今でも捨てられています。犬が狂暴だとか、逆に弱すぎるとか、鳴き声がうるさい、ちゃんと吠えないなど、いろんな理由が付けられて」。 高い殺処分率 台湾は捨て犬の問題で2つの大きな課題を抱えている。捨てられるペットの数と野犬の避妊措置だ。 実際のところ、10年前に比べると状況は改善した。国民の意識が向上し、保護施設の関係者や活動家らが、捨て犬を思いとどまらせ、里親を呼びかけるなどしたからだ。 しかし、殺処分される動物の数は依然として多く、保護施設では資金や人手が不足している。業務も重労働で長時間働かなくてはならない。一部の保護施設では収容された動物の半数が殺処分される。 2015年には約1万900匹が処分された。また病気などが理由で約8600匹が死亡した。 簡さんはCTIのインタビューで、殺処分の手順を説明している。 「まず散歩に連れて行き、軽く食べさせて話しかけます。それから『慈悲の部屋』に入れます」 「台の上に乗せると、とても怖がって、体じゅうが震えているんです。だけど薬を注射すると3秒から5秒で震えが止まる。実際とても悲しいことです」 職員たちには心理カウンセリングが提供されていない。台湾では、このような保護施設だけでなく、心の面での支援があるのはほぼ皆無だ。 桃園の保護施設は国内でも最も安楽死率させる率が低く、里親が見つかる比率は最も高かった。 しかし、簡さんの遺書の内容から、犬の境遇に対する心痛が自殺のきっかけだった様子がうかがえる。同僚たちの話もそれを裏付けている。どんな自殺の背景にも多くの複雑な要因が絡んでいるものだというのが、専門家の意見だが。 前出のライさんは、「(簡さんは)とても自分に厳しかった。動物のことをとても気に掛けていたし、仕事のプレッシャーが強かった」と語った。 簡さんの遺書にはこう書かれている。「私の死によって、捨てられた動物にも命があるということを皆さんに分かってもらえればうれしいです。(問題の)原因に対処する重要性を政府に理解してもらいたいです。命を大切にして」。 「命を大切にして」という言葉を残して、若い女性が命を絶った。その事態はあまりに皮肉で、大勢がその意味を受け止めた。誰のせいだと責める責任者探しもすぐに始まった。 台湾の新聞各紙は、政府が簡さんを「殺した」と非難。多くの新聞は、政府が捨て犬や避妊に効果的な策を打ってこなかったと指摘した。 簡さんは仕事のプレッシャーに耐えられなかっただけだと、「高級官僚ら」が国民に思い込ませようとしている――そう非難する新聞もあった。 施設の職員を批判するのはたやすいが、社会全体が責任を感じるべきだとコメントする識者もいた。 多くの人は、動物の不妊と去勢に関する現行法制がきちんと執行されていないことが、問題の根源にあると考えている。 台湾行政院(政府に相当)の農業委員会で動物保護を担当する江文全さんは、犬の不妊・去勢処置を義務付ける法律は最近施行されたばかりで、すぐに罰金を科すことはできないと説明した。 職員は毎年、6万匹の犬の飼い主を訪問し、新たな法律の順守を促しているが、不妊・去勢処置をうけた犬は、台湾全体の170万匹のうち3割に留まっている。 「あまりに人手が足りない。動物保護スタッフは台湾全体でわずか140人しかいない」と江さんは話す。「仕組みそのものの問題だ。安楽死を止めて保護施設や職員の陣容を拡大するだけでは、問題は解決しない」。 台湾では、不妊・去勢処置が犬の性格を変えてしまうと反発する人もいる。また、子どもを産ませて友人にあげたり、売ろうと考える人もいる。 短期的な措置 簡さんは自殺する前、犬猫の殺処分を禁止する新しい法律が間もなく施行されると、承知していた。 今月4日に施行された新法によって、捨て犬や猫の殺処分は廃止された。予算は4割増加。検査官が増員され、保護施設にペットを持ち込む人からは125ドル(約1万4000円)が徴収される。 当局者らは新法と簡さんの死とは関係がないとしている。簡さんが置かれていた状況と彼女の自殺は、単に人間的な悲劇だと。 台湾政府は、保護施設の予算増と人員増強のほか、心理カウンセリングを提供すると約束している。しかし、多くの人はそれが目先の対応にしかならなないとみている。 活動家らは政府に対し、ブリーダーの取り締まり強化、不妊・去勢処置を提供するNGO(非政府組織)への資金援助、迷い犬を保護する団体への支援を求めている。 簡さんの死が改革を後押したわけではないかもしれない。しかし同じように動物保護に携わる簡さんの夫や同僚たちは、簡さんの死に衝撃を受け、嘆き悲しみ、そして動物を愛する彼女の気持ちを忘れることはないだろう。 (英語記事 The vet who 'euthanised' herself in Taiwan)

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    シリア刑務所で1万人以上が絞首刑に アムネスティー報告

    2017年02月07日 15:07 公開 国際人権団体アムネスティー・インターナショナルは3日、シリアのサイドナヤ軍事刑務所で5年の間に最大1万3000人が、秘密裏に絞首刑で殺害されたという報告を発表した。 アムネスティーの報告によると、2011年9月から2015年12月の間に、首都ダマスカス北にある刑務所で毎週1~2回、20~50人単位で受刑者が絞首刑に処せられていた。その多くは、アサド政権に抵抗する民間人で、政権中枢が集団処刑を容認していたという。 シリア政府はこれまで、受刑者の虐待や殺害を否定している。 しかし国連の人権担当者たちは昨年、人権理事会に対して、目撃証言や証拠資料から、何万人もの人が拘束され「とてつもない規模で」大量に死亡している可能性が強いと報告している。 アムネスティーは報告書作成にあたり、刑務所の元看守や収容者、運営担当者など84人に聞き取り調査を実施した。 アムネスティーによると、収容者は首都ダマスカスのカブーン地区に「軍事法廷」のために連れていかれ、1~3分の「審理」にかけられるという。 報告書に登場する元軍事法廷判事は、収容者は罪状認否を求められるが、「答えが『はい』だろうが『いいえ』だろうが、判決は有罪だ。この法廷は、法の支配とは無関係なものだ」と話している。 報告書によると、「有罪」となった収容者たちは刑執行の当日、民間人用の刑務所に連れていくと言われた後、地下牢に入れられ、2~3時間にわたり殴打され続けるという。さらに夜中に目隠しをされ、刑務所内の別の場所にある地下の部屋に連行され、死刑が宣告されたと告げられる。そしてその数分後、首に縄がかけられるのだという。 処刑された人の遺体はトラックに積まれ、ダマスカスのティシュリーン軍病院で登録された後、軍の敷地内の集団墓地に埋められるという。 目撃者たちの複数証言をもとに、アムネスティーはサイドナヤ刑務所で5年の間に5000~1万3000人が処刑されたと推定している。 2015年12月以降の処刑について証拠は得ていないが、処刑がその時点で止まったと考える根拠は何もなく、その後もさらに数千人が死亡しただろうとアムネスティーは説明。この行為はいずれも戦争犯罪で、人道に対する犯罪に相当すると糾弾している。 報告書はさらに、大量処刑の執行には大ムフティ―(最高イスラム法官)のほか、アサド大統領の代行権限をもつ国防相か軍参謀長の承認が必要だと指摘している。 アムネスティーによると、報告書の内容についてシリア政府には今年1月初めに知らせているが、回答を得ていないという。 アムネスティーは昨年8月、シリアの刑務所で推定1万7723人が拷問などのために死亡したとの報告書を公表している。アサド政権に対する抵抗運動が始まった2011年3月から2015年12月までの間に、拷問のほか、水や食料や衣料を与えられず、それだけの人数が死亡したという昨年の報告には、サイドナヤ刑務所で処刑された人数は含まれていない。 <目撃者の話> ○ 絞首刑を見た元裁判官 「10~15分間、(ぶらさがった状態で)放置していた。体が軽くて死ななかった人もいる。若い人たちは、自重では死なない。すると将校の助手たちが、死んでいない受刑者を下して、首の骨を折った」 ○ サイドナヤに収容された元軍人「ハミド」 「床に耳をつけると、ぶくぶく、ぐるぐるという音が聞こえた。だいたい10分くらい、音は続いた。私たちは、窒息死する人たちの真上で寝ていたんだ。当時の私にとって、これが日常だった」 ○ 元収容者「サミール」 「すさまじく殴られた。まるで手にした釘を無理やり石に刺そうとするみたいに、何度も何度もたたきつける。絶対に無理なのに、続けるんだ。もうお願いだから殴るのを止めて、もう両脚を切り落としてくれと思っていた」 (出典:アムネスティー・インターナショナル) (英語記事 Syria conflict: Thousands hanged at Saydnaya prison, Amnesty says)

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    「助けが必要?」 客室乗務員、人身売買される少女を救出

    ットライン」によると、2016年の米国では7572件の人身売買事件が報告されている。 アラスカ航空はBBCニュースの取材に回答していない。 (英語記事 Flight attendant shares story of saving trafficking victim)

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    英下院議長、トランプ米大統領の議会演説に「強く反対」 与党から批判

    職を貶めた」と非難した。 保守党からも、バーコウ議長を批判する声が相次いでいる。元閣僚の保守党議員はBBCに、バーコウ氏は辞任目前に違いないと述べた。別の保守党議員は、「許される限界をはるかに越えている」と批判。別の保守党議員は、下院にとって恥ずかしい発言で、大勢が怒っていると話した。 下院外交特別委員会のクリスピン・ブラント委員長(保守党)は、バーコウ議長は自分の発言の責任をとることになると述べた。トランプ氏の公式訪問については「誰もが強い意見を持っているが」、「一般論として議長は審判役を務めるべきで、そうした論争に自ら飛び込んでいくべきではない」と話した。 トランプ氏が英国公式訪問に招待されたことは、テリーザ・メイ英首相が1月末にホワイトハウスで首脳会談した後に明らかにされた。 バーコウ議長によると、ウェストミンスター・ホールの「鍵を持つ」のは下院議長のほか、貴族院議長のファウラー卿と、英議会議事堂となっているウェストミンスター宮殿の特定部分を管理する式部長官の合計3人。 貴族院の報道官は「議長は、バーコウ氏の発言について相談を受けていない」とコメント。「貴族院を前にあす、議長は自らの発言をする」と明らかにした。 メイ首相は、トランプ政権による入国制限命令に「同意しない」と批判したものの、公式訪問に招待したことは正しい判断だと主張している。 英議会での米大統領演説は公式に提案されたわけではなく、公式訪問の日程も定まっていない。 英首相官邸は「今年中に大統領を英国に歓迎することになり、楽しみにしている」、「公式訪問の日程や内容は、いずれ取りまとめられる」とコメントした。 英国を公式訪問した外国首脳は常に議会演説するわけではないが、最近ではコロンビアのフアン・マヌエル・サント大統領が昨年演説。2015年には中国の習近平・国家主席、2014年にはドイツのアンゲラ・メルケル首相がそれぞれ議会で演説した。 バラク・オバマ前米大統領は2011年にウェストミンスター・ホールで演説した。 <解説>「前例のない叱責」――エレナー・ガーニエBBC政治編集委員 前例のない、そしてとてつもない叱責だった。 要するにトランプ大統領を英下院に招待しない、下院議員を前に演説する機会を提供しないということで、外交上の肘鉄を食らわせたに等しい。 下院本会議場では与野党を問わず多くの議員が、ジョン・バーコウ議長の発言に拍手した。しかし、職権乱用で失言だと批判する声もある。 メイ首相は、トランプ政権と新しい特別な関係を築こうと、ことさらにあからさまに努力している。バーコウ議長の判断は、その足を引っ張る可能性がある。 (英語記事 Speaker Bercow: Trump should not speak in Parliament)

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    零下30度で生活するロシアのホームレス

    2017年02月07日 9:00 公開 モスクワのホームレスは約1万5000人。気温が零下30度にもなる冬のロシアで、ホームレスの人々はどうやって暮らしているのだろうか。

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    英下院議長、トランプ氏の議会演説に異例の反対

    2017年02月07日 9:00 公開 英下院のジョン・バーコウ議長は6日、ドナルド・トランプ米大統領が英国を公式訪問するにあたり、英議会で演説することに「強く反対する」と下院に伝えた。「人種差別と性差別に反対すること」は「極めて重要な事柄」だと理由を説明した。議長は、貴族院や下院で演説することは「自動的な権利」ではなく、「しかるべき功績によって獲得する栄誉」だと述べた。

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    トランプ米大統領はバスローブを着るのか着ないのか

    2017年02月07日 9:00 公開 ドナルド・トランプ米大統領が2週間余り前に引っ越したホワイトハウスで、一人バスローブを着てテレビを見ている、との報道を政権側は強く否定。騒ぎはソーシャルメディアにまで広がった。ニューヨークタイムズ紙が今月5日付の記事の中で、バスローブ姿の大統領について触れたことを受け、ショーン・スパイサー大統領報道官は、「大統領はバスローブを持っていないと思うし、着ることはまずない」と強く否定し、報道は「偽ニュース」だと批判した。一方、ソーシャルメディアのユーザーたちは、過去にバスローブ姿で写真に写っていたトランプ氏の画像を投稿し、騒ぎを茶化している。

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    ヒップホップダンスの新星パリス・ゲーベルさん

    が作り出すダンスの動きは、ポリネシア文化の影響を受けた「ポリスワグ」と呼ばれるスタイルに特徴がある。BBCはゲーベルさんを、2017年に注目すべきアジア人女性の一人に選んでいる。

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    ニューヨーク地下鉄に憎悪落書き 乗客が協力して消す

    2017年02月07日 9:00 公開 ニューヨークの地下鉄で、車内にユダヤ人やイスラム教徒への憎悪の言葉やナチスのシンボルが落書きされていたのを見た乗客たちが協力して消すという一件があり、話題を集めている。乗客のひとり、グレゴリー・ロックさんが当時の様子を語った。

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    赤ちゃんホワイトライオンをお披露目 独動物園で

    2017年02月07日 9:00 公開 ドイツ東部マクデブルクの動物園で、希少なホワイトライオンの赤ちゃん4頭がお披露目された。赤ちゃんライオンは昨年末、クリスマスの日に生まれたという。ホワイトライオンは密猟の標的になることも多く、絶滅寸前の危機にある。野生のホワイトライオンは現在10~20頭残るのみだとみられている。

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    レディー・ガガのスーパーボウル・ショー 政治性は?

    2017年02月06日 17:46 公開 ローランド・ヒューズ、BBCニュース(ワシントン) まず最初に。レディー・ガガは無事なのか? マイクを放り投げ、飛んでくるフットボールをつかみ、深い穴に飛び込んだように見えたのだが。それが最後の姿だったのだが。 それが、13分間のめまぐるしくも激しいショーの締めくくりだった。米テキサス州ヒューストンのスタジアムの屋上に登場したレディー・ガガは、おもむろに場内に飛び降りて、空中を数キロ走って宙乗りのアクロバットも披露した。何もかも歌いながら。しかも衣装転換さえやってのけた。なかなか悪くない。 レディー・ガガは見事にやってのけたというのが、大方の評価だ。アメリカンフットボールのファンにとっての最大イベント、スーパーボウルのハーフタイム・ショーで。 この成功によって、レディー・ガガはローリングストーンズやマイケル・ジャクソン、ビヨンセなどの大物と肩を並べることになる(ビヨンセについては後述する)。 しかし試合前にはひとつのことが、さかんに取り沙汰されていた。つまり、どれほど政治的なショーになるのかという。 政治性はどの程度? 以前のレディー・ガガは自分にとって大事なテーマについて、臆することなく発言してきた。性的少数者(LGBTQ)についてはことさらに。 ドナルド・トランプ米大統領の就任から2週間しかたっていない。しかも新大統領は、LGBTQの権利を縮小する大統領令を準備しているという報道もある。 昨年のスーパーボウルではビヨンセが黒人の権利闘争を描き、黒人の人権を主張する、強烈に政治的なパフォーマンスを展開した。それだけに今年のガガも、何かはっきり明確で鋭い政治的メッセージを発するのではないかと思われていた。 それだけに、それほどはっきりしたメッセージ性がなかったことは多少意外だったかもしれない。 本人が約束していた通りだった。公平なショーにすると。 「ハーフタイムショーで何か発言するとしたら、それは今まで言い続けてきたことだけです」とガガは言っていたし、その通りになった。 ビヨンセのショーとは違い、黒人解放組織ブラックパンサーの扮装をしたダンサーはいなかった。 しかし冒頭には、ウディー・ガスリー作の愛国歌「この国はあなたの国 この国は私の国」の一節も登場したし、「神のもと分断されることのないひとつの国、すべての人の自由と正義を与える国」に忠誠を誓う、米国人の忠誠の誓いの一部も登場した。 レディー・ガガに政治メッセージを期待する人たちには、これで効く。そしてそれ以外のすべての人には、純粋に愛国的なメッセージとして届く。全員が満足だ。 しかし特筆すべき瞬間がひとつあった。演奏した6曲のうちのひとつは、自分をのけもののように感じる人たちへの応援歌「Born This Way(こういう風に生まれた)」だったので。 「ゲイでもストレートでもバイ・レズビアンでもトランスジェンダーでも 私は正しい道を進んでる 私は生き延びるために生まれてきた」 (LGBTQコミュニティーが嫌悪するマイク・ペンス副大統領が場内にいたことと、「Born This Way」が選曲されたことは、偶然の一致ではなかったかもしれない) ではレディー・ガガは悪魔崇拝の儀式を執り行ったわけではないと? そのようだ。 スーパーボウルに先駆けて、右派組織インフォウォーズは、悪魔崇拝の儀式になると大真面目に心配していた。 しかしヒューストン警察によると、5日夜に悪魔崇拝的な活動が行われたという報告は今のところない。 CMは? 米国では、ムスリム(イスラム教徒)が多数派の7カ国からの入国禁止命令を裁判官が3日に食い止めたばかりだ。その直後のスーパーボルにおいて、紛れもないメッセージがひとつ繰り返された。 「我々はみんな一緒にひとつの国、ひとつの国民だ。我々はお互いがどこから来て、ここにどうやってたどり着いたのか、お互いの物語を尊重する」という意味合いのメッセージだ。 最もあからさまだったのが、民泊情報サイトエアービーアンドビーのCMだった。「#weaccept(私たちは受け入れる)」というハッシュタグのもとに、様々な肌の色の人たちが集まるというそのコマーシャル映像は、先週わずか数日間で製作されたものだという。 「あなたが誰で、どこから来た人で、誰を愛して、誰を信仰しているとしても、ここはみんなの場所だと私たちは信じます」、「たくさんのことを受け入れると、世界はもっと美しくなる」と同社CMは呼びかけた。 過去に多様性の受け入れが不充分だと批判されてきた同社は、CMでさらに難民支援プロジェクトの実施を発表した。 同様に、材木会社のCMは、合法移民となるために中米から米国へと旅する家族の姿を描いていた(インターネットに掲載された長編バージョンでは、国境までたどり着いたこの家族の前に巨大な壁が立ちはだかるものの、その壁に誰かが扉を作っていてくれたという展開になっている)。 さらに大手ビール会社は、ドイツ移民として米国にやってきた創設者の(おそらく架空の)苦労話をCMとして放送。これもまた、今年のスーパーボウルを貫くメッセージを共有したものだった。 トランプ氏は滞在先のフロリダ州で試合中継を観戦したと報じられているが、最後までは見なかった様子で、レディー・ガガのショーについての感想ツイートもしていない。 どっちが勝ったの? ボストンの白組がアトランタの紅組に勝った(訳注・白いユニフォームのニューイングランド・ペイトリオッツが、赤いユニフォームのアトランタ・ファルコンズに34対23で勝った)。しかもスーパーボウル史上初の延長戦を経て、ようやく。 (英語記事 All about Lady Gaga's Super Bowl show)

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    仏国民戦線ル・ペン党首、グローバリゼーションを攻撃 大統領選へ向けて

    スラム過激主義の脅威を警告した。フランスのムスリム(イスラム教徒)人口は約500万人で、西欧最多。 BBCパリ特派員のルーシー・ウィリアムソン記者は、全体の3割以上は得票したことがないFNは、従来の過激な主張をやわらげ、ソフトなイメージを広めて支持基盤を広げようとしていると説明する。 4月23日に第1回投票が行われる今回の大統領選は、過去数十年で最も予想のつかない戦いと言われている。与党・社会党を率いる現職のフランソワ・オランド大統領は、再選を目指さないと表明している。 これまでの世論調査では、ル・ペン党首は第1回投票は勝ち進むが、5月7日の決選投票で敗れるだろうとみられている。 ル・ペン党首の演説に先立ち、フロリアン・フィリポ副党首は同じリヨンの会場で、ブレグジットやトランプ米大統領によって政治への関心が新たに高まっていると発言。支持者を前に、「人々は目覚めている。ブレグジットを見て、トランプを見て、『投票に行く甲斐がある』と自分に言い聞かせている」と演説した。 オランド政権の前経済・産業・デジタル相で、中道無所属候補として出馬しているエマニュエル・マクロン氏も、週末にかけてリヨンで集会を開いた。元銀行家のマクロン氏は4日、親EUで自由貿易を支持。FNとは正反対の政策を提示した。 中道右派・共和党の候補、フランソワ・フィヨン氏が経済スキャンダルを抱える状況で、マクロン氏が決選投票まで進む可能性は高まっているとみられている。 与党・社会党は1月末、急進左派のブノワ・アモン前国民教育相を候補に選んだ。今のところ世論調査の支持率は他の3候補より数ポイント後れを取っている。 最左派・左翼戦線のジャン=リュック・メランション候補も5日にリヨンで演説し、同時にホログラムとしてパリの会場にも登場した。世論調査の支持率約10%のメランション氏は、富の再分配を呼びかけ、EUを批判した。 主要5候補のうち3人が、パリとマルセイユに次ぐフランス第3の大都市リヨンで大規模な集会を開いたり、大統領選に向けて本格的に始動したことは、フランス国内でも注目されている。 仏無料紙バン・ミニュート(「20分」の意味)によると、FNがリヨンを選んだのは国の中心にあり交通の便が良いことに加え、「ガリア人の首都」だからだという。これに対してマクロン氏は、リヨンに続く人文主義と経済自由主義の伝統を重視し、メランション氏は新しい挑戦を好んだのではないかと、同紙は書いている。 (英語記事 France election: Far-right's Le Pen rails against globalisation)

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    トランプ米大統領の上級顧問、架空の「虐殺」を「伝えなかった」マスコミ批判

    2017年02月06日 12:58 公開 ドナルド・トランプ米大統領の上級顧問でトランプ政権の「顔」のひとりとなっているケリーアン・コンウェイ氏は3日夜放送の米MSNBCとのインタビューで、実際には起きていない架空の「虐殺」を取り上げて、それを「伝えなかった」マスコミを批判した。ツイッターなどソーシャルメディアでは広くこの発言がからかわれ、後にコンウェイ氏は「言い間違えた」とツイートした。 コンウェイ氏はMSNBCで、トランプ大統領による特定7国の国民の入国制限命令の必要性を強調。オバマ政権でも「イラク難民の受け入れを6カ月間禁止した」、それは「過激化したイラク人2人がこの国に来て、その2人がボウリング・グリーン虐殺の首謀者だったからだ」と述べ、さらに「ほとんどの人はこのことを知らない。報道されなかったので」と付け加えた。 しかし、「ボウリング・グリーン虐殺」は起きていない。 コンウェイ氏は後に、「ボウリング・グリーンのテロリスト」と言うつもりだったとツイートしたが、その後は自分を批判する人々やマスコミへの批判を重ねている。 バラク・オバマ前大統領は2011年、イラク人男性2人がテロ容疑で逮捕された後、入国審査を強化したが、正式な入国禁止命令を出したことはなかった。 イラク人のワアド・ラマダン・アルワン受刑者とモハナド・シャリーフ・ハマディ受刑者は、イラクの過激派アルカイダを支援するため武器や資金をイラクに送ろうとした疑いで逮捕され、起訴され、有罪となった。2人はイラク国内で駐留米軍に自家製爆弾を使用したことも認めた。2人とも、現在も服役中。 2人はケンタッキー州ボウリング・グリーン在住だったが、米国内でテロ攻撃を実施したことはなく、米国内での攻撃を計画した疑いも持たれていない。 下院対テロ・情報小委員会は公聴会で、この2人が「イラク難民受け入れの特別プログラム」を悪用したと指摘。イラク難民の審査方法があらためて点検されることとなり、同年のイラク難民受け入れ人数は前年の1万8016人から9388人に一時的に減少した。翌年の受け入れは1万2163人と増えた。 コンウェイ氏がMSNBCで「ボウリング・グリーン虐殺」と発言して間もなく、ツイッターなどではコンウェイ氏をからかう投稿が相次いだ。「2月30日に起きなかったあの虐殺を決して忘れない」など、起きていない虐殺の存在しない被害者を追悼したり、「決して忘れない」、もしくは「決して覚えない」などのハッシュタグも使われた。週末にかけてニューヨークやロンドンなどで行われた反トランプ政権集会でも、「ボウリング・グリーンを忘れるな」などのプラカードが多数登場した。 コンウェイ氏は1月の大統領就任式の後、観衆の人数に関する大統領報道官の説明が客観的事実と違うとNBCニュースの番組で問いただされ、「あれはalternative facts(代わりの事実)」だと述べ、「alternative facts」という表現と共に話題になった。コンウェイ氏のこの発言を受けて、米国ではジョージ・オーウェルの小説「1984」がベストセラーになった。 (英語記事 Bowling Green massacre: Trump aide cites non-existent attack)

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    ルーマニアで大規模デモ続く 汚職高官めぐる法令撤回後も

    2017年02月06日 12:48 公開 ルーマニア国内各地で5日、政府に対する大規模な抗議デモが行われ、約50万人が参加した。一部の政府高官を汚職摘発から守ることになる新法令に反発してのもの。法令はいったん撤回されたが、政府は修正法案を議会に提出する見通し。 デモ参加者の一部は、社会民主党(PSD)の左派政権を率いるソリン・グリンデアヌ首相の退陣を求めている。 数日前から続くデモは、1989年にルーマニアの共産党政権が倒れて以来の規模に拡大している。 政府は5日に緊急会議を開き、法令の撤回を確認。しかし、政府は修正法案を議会に提出する動きを見せており、強硬に議会を通過させるのではないかとデモ参加者らは懸念を強めている。 首都ブカレストでは6日連続で、中心部の勝利広場に多数のデモ参加者が集まった。 首相執務室がある政府庁舎にはレーザー照明で、「あきらめるな」「辞任せよ」との言葉が照射された。 デモに参加していたプロフィラ・ポポさんはAP通信に対し、「政府は上から下までマフィアのように組織化されている。そんなものはいらない」と語った。 法令は、一部の法律違反を免罪し、汚職の金額が4万4000ユーロ(約530万円)を超えない限り禁固刑に処されない、と定めており、政府が法令を推進するのは、汚職撲滅の取り組みで摘発された高官らを免罪するためではないかと批判されている。 政府は、刑務所の過密化問題に対処し、一部法令を憲法に沿ったものにするため今回の法令が必要だと説明している。 新たな法令の受益者として真っ先に挙げられるのは、公金2万4000ユーロを横領したとされるPSDのリビウ・ドラグネア党首だ。 法令は先月31日に可決されており、今月10日に施行される予定となっていた。憲法裁判所は、当初の法令の合憲性について、今週中に判断を下す見通し。 (英語記事 Romania protesters not backing down after decree repeal)

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    トランプ氏、プーチン氏を擁護 ロシアの暗殺非難に対し

    2017年02月06日 12:05 公開 ドナルド・トランプ米大統領はロシア政府による政治暗殺の疑いについて米テレビで問われ、米国も「それほど潔白じゃない」とウラジーミル・プーチン大統領を擁護した。インタビュー映像が4日、公表された。 米フォックス・ニュースとのインタビューでトランプ氏は、ニュース司会者ビル・オライリー氏に「(プーチン氏は)人殺しだ」と言われると、「人殺しはたくさんいる。うちにもたくさんいる。それとも何か、この国はそんなに潔白だと思ってるのか?」と聞き返した。 プーチン氏を尊敬するかと聞かれたトランプ氏は、「尊敬している」と言明。その上で、「自分は色々な人を尊敬しているが、全員とうまくいくわけじゃない」と付け足した。 トランプ氏のフロリダ州の私邸で収録されたインタビューは、5日夜のアメフト決勝戦スーパー・ボウルを皮切りに数回にわたって放送される予定だが、その一部が事前に公表された。 トランプ氏は、「ロシアとは、うまくいかないよりうまくいった方がいい。もし、(いわゆる「イスラム国」の)ISISとの戦いで、これは大きな戦いだが、そして世界中のイスラムテロとの戦いで、ロシアが協力してくれるなら、それは良いことだ。(プーチン氏と)僕がうまくいくかって? まったく分からない」と話した。 両大統領は1月28日に電話会談を行い、「定期的に直接やりとり」することで合意したが、首脳会談の具体的な日程は決まっていない。 オライリー氏はさらに大統領に、事実の裏付けを示すことなく何か主張することは責任感のある行為かと質問。トランプ氏はたとえば、大統領選で数百万人が不正投票したと、根拠を示さずに主張してきた。大統領選でトランプ氏は一般有権者の票数においては、民主党のヒラリー・クリントン氏を300万票下回っている。 これについてトランプ氏は、「僕が正しいと色々な人が発言している。君も知ってるだろう」と答えた。 「不法移民で、市民でもないのに有権者登録された人たちを目にすると(中略)不法移民や死んでる人たちがいて(中略)本当にひどい状況だ」とトランプ氏は述べた。 (英語記事 Trump defends Putin over Russia killings allegations)

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    トランプ米大統領「何かあれば」判事の責任と 

    2017年02月06日 10:19 公開 ドナルド・トランプ米大統領は5日、入国制限命令が連邦地裁命令によって執行停止された状態が続くなか、「何かあれば」判事と裁判所制度のせいだとツイートするなど、司法への批判を強めた。 大統領令の差し止めを命じたシアトル連邦地裁命令について司法省は4日に上訴したが、連邦控訴裁は、裁判所命令の即時執行停止請求については却下。大統領令に対する差し止め命令の取り消しを求める訴えについては、6日以降に審理する予定という。 トランプ大統領は、国を守る仕事を司法が「とても難しくしている」と批判し、「何かあれば判事や裁判所制度のせいだ。大勢がなだれ込んでる。良くない!」とツイート。大統領令の入国制限の執行差し止めを命令したシアトル連邦地裁のジェイムズ・ロバート判事を繰り返し批判し、「国土安全保障当局に、この国にやってくる人たちをとても慎重にチェックするよう指示した」と書いた(註・太字は原文では強調の意味の大文字)。 トランプ氏は4日にはツイッターで、ロバート判事を「いわゆる裁判官」と軽んじ、その判断を「ばかげている」などと非難した。 ホワイトハウスは当初、ロバート判事による司法命令に従わないよう関係各局に命令するなどの方針を示していたが、司法省は4日、大統領などを原告として上訴。入国制限差し止めの取り消しを求めるほか、差し止めの即時執行停止をサンフランシスコの連邦控訴裁に求めた。これに対して控訴裁は同日、即時停止の請求を却下。ホワイトハウスと、大統領令に対して提訴したワシントンとミネソタ両州政府に、さらなる資料をそれぞれ6日までに提出するよう命じた。 この控訴裁判断に伴い、大統領令で入国が制限された特定7カ国の国籍者で入国査証(ビザ)を持つ人は、裁判が決着するまで入国が認められる。もし控訴裁や差し戻し審でも大統領令の執行停止命令が維持されれば、連邦最高裁に上告される可能性は高い。 トランプ氏が1月末に署名した大統領令は、政府の難民受け入れプログラムを120日間停止するほか、シリア難民の受け入れを無期限停止し、イラク、シリア、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンから米国を訪れる人には90日間、ビザを認めないと命令した。 上訴にあたって司法省は、ロバート判事が国家安全保障問題について大統領判断に「異議を唱えた」のは、司法権限の逸脱だと批判。米国に誰が入国できて誰が滞在できるかを決められるのは、大統領のみだと主張している。 これに対して、大統領令の取り消しを求めるワシントンとミネソタ両州は、入国禁止命令は違憲で、有効なビザを持つ人たちの渡航を適正な法の手続きもないまま禁止していると主張。さらに、大統領令はイスラム教徒のみを禁止対象にしているかのようで、これは憲法が保障する信仰の自由を侵害すると主張している。 国の裁判官や裁判所に対するトランプ氏の発言について、民主党だけでなく一部の共和党幹部からも批判の声が上がっている。 上院司法委員会のパトリック・リーヒー議員(民主党)は、トランプ氏が「憲政の危機を引き起こそうとしている」ようだと批判。共和党のミッチ・マコネル上院院内総務はCNNで、「個々の裁判官を批判するのは避けるのが賢明だ」と述べた。 ロバート判事は2004年に当時のブッシュ大統領に指名されて以来、連邦判事を務めている。 入国制限差し止め判決を受けて、国務省はビザ取り消しの撤回を発表。国土安全保障省は職員に、裁判所命令に従うよう指示した。この機会をとらえて、大統領令に影響を受ける国々の人たちが急きょ米国に入国している。 トランプ大統領が1月末に署名した入国制限命令を受けて、米国各地の空港では混乱と抗議が続いた。政権は、ビザを撤回されたのは百人余りに過ぎないと説明しているが、国務省は3日、6万人近くがビザを失ったと明らかにした。 (英語記事 Trump calls for 'careful' border checks after travel ban setback)

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    自由の女神の首持つトランプ氏 独誌表紙に賛否

    2017年02月06日 9:00 公開 ドイツの有力週刊誌シュピーゲルが今月4日付の最新号で、ドナルド・トランプ米大統領が「自由の女神」の首と血の付いた刀を持つ姿のイラストを表紙にしたことをめぐって、「悪趣味」などとの批判が出ている。イラストを制作したエーデル・ロドリゲス氏は、「民主主義の斬首」を表現したと話す。表紙について、ドイツ市民の意見を聞いてみた。

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    アパホテルに抗議、在日中国人らが東京でデモ

    2017年02月06日 9:00 公開 ビジネスホテル大手アパグループが日中戦争時の南京大虐殺を否定する本を客室に置いていることをめぐり、在日中国人らが5日、東京・新宿で抗議デモを行った。本はアパグループの元谷外志雄代表が執筆したもので、大虐殺は起きていないと主張している。本の客室設置をめぐっては、中国政府が批判したほか、中国国内の予約サイトがアパホテルをボイコットするなどし、反発が広がっていた。

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    ルーブル美術館襲撃 容疑者友人が驚いた理由

    2017年02月06日 9:00 公開 先週3日にパリのルーブル美術館で起きた襲撃事件で、仏当局は容疑者がエジプト国籍の29歳だと明らかにした。容疑者の名前はアブドゥラ・ハマミーとみられているが、エジプトの自宅近くに住む友人のイブラヒム・ユースリーさんは報道に驚いている。ユースリーさんによると、容疑者はフェイスブックでフランス国内での居場所をチェックインしていたり、父親にお土産には何が欲しいか聞くなど、犯行前とは思えない行動をしていたと話す。

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    ルーブル美術館で警備兵を襲撃の男 「エジプト国籍」と

    2017年02月04日 17:07 公開 フランス当局は3日、同日午前にパリのルーブル美術館で警備する治安部隊に襲い掛かり撃たれた男は、エジプト国籍の29歳だと明らかにした。 フランス検察によると、男は3日午前10時前、ルーブル美術館の地下売店にリュックを背負って入ろうとしたところを、警備する治安部隊の兵士4人に制止された。すると男は「アッラーフ・アクバル(神は偉大なり)」と叫び、兵士2人に長刀で襲い掛かったため、兵士1人が少なくとも3回発砲。男は腹部を撃たれ重傷を負った。兵士1人は軽傷を負った。 「攻撃した男は重傷を負って、床に倒れた。病院に搬送されたが、重体だ」とフランソワ・モラン検事は話した。 男のリュックサックには、スプレーペンキの缶がいくつか入っていたが、爆発物はなかったという。 事件当時、美術館には来館者数百人がいたが、全員避難した。 モラン検事によると、男は身分証明書などは持っていなかったが、携帯電話の記録から、ドバイで期限1カ月の観光ビザを取得した後、1月26日にパリに到着した様子だと話した。ただし、男の身元を完全に特定したわけではないという。単独犯か、何者かの指示で行動していたかを、フランス当局は調べている。 エジプト当局の消息筋は男を特定したと話していると、ロイター通信は伝えた。パリ8区に滞在中で、同地区の銃砲店で長刀を2本購入したもよう。警察は3日、パリ8区を捜索した。 2015年11月13日のパリ連続襲撃事件以来、フランス国内では非常事態宣言が繰り返し延長されて継続している。「モナ・リザ」をはじめとする数々の名作美術品を所蔵するルーブル美術館周辺でも、警備が強化されており、周囲には多数の警官や兵士が配備されている。 欧州連合(EU)首脳会議のためマルタを訪れているフランソワ・オランド仏大統領は同日、報道陣に対して「テロ攻撃だと疑いの余地がほとんどない行動を防御した」と治安部隊の行動を称えた。「可能になった時に」容疑者の取り調べは行われるだろうと述べた。 フランスでは2015年1月にパリで起きた週刊誌シャルリー・エブド編集部襲撃を発端にした連続テロで17人が死亡。同年11月のパリ連続襲撃事件では130人が死亡。昨年7月14日の革命記念日には南部ニースで、大型トラックが通行人の中に突入し、86人が死亡した。 安全保障と治安は今年4月の仏大統領選の主要テーマとなっている。大統領選に向けては現在、極右マリーヌ・ル・ペン候補と中道無所属のエマニュエル・マクロン候補が支持率で優勢を維持している。 (英語記事 Louvre attack: Egyptian man, 29, believed to be assailant)

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    米連邦裁判事、トランプ政権の入国制限差し止めを命令 政府は上訴

    2017年02月04日 15:49 公開 米シアトルの連邦裁判所は3日、トランプ政権による特定7カ国からの入国制限命令について、一時的差し止めを全国的に命令した。これに対して司法省は4日、上訴した。 ワシントン州政府とミネソタ州政府は、イスラム教徒の多い特定7カ国からの移民・難民入国を一時停止したドナルド・トランプ大統領の命令について、信仰を事由に差別する命令で違法で違憲だと連邦裁に提訴。連邦政府は、各州政府に大統領令の合法性を問う原告適格はないと主張していたが、シアトルにある連邦裁判所のジェイムズ・ロバート裁判長は、連邦政府の訴えを退け、州政府の訴えに基づき、大統領令の執行を一時的に差し止めるよう命令した。 これまでに複数の州司法長官が、大統領は違憲だと批判するほか、複数の連邦裁判所判事たちが入国者の強制送還を一時的に差し止めているが、入国制限の全国的な差し止めを連邦裁判所が命令するのはこれが初めて。 裁判所命令を受けて、国務省はビザ取り消しを撤回すると発表。国土安全保障省は職員に、裁判所命令に従うよう指示した。入管当局は航空各社に、大統領令で米国入国が禁止されたものの適切な入国許可証をもつ旅行者の搭乗を認めるよう指示。カタール航空やエールフランス、ルフトハンザなどは指示に従う方針を示している。 シアトル連邦裁の判断を受けてホワイトハウスは、大統領令は「合法で適切」なものだと文書で反論。「大統領令は国土を守るためのもので、大統領には米国民を守る憲法上の権限と責任がある」と表明し、可能な限り速やかに、判決の執行中止を命令するよう司法省に指示したと表明。司法省は4日になって上訴した。上訴の原告はトランプ大統領のほか、ジョン・ケリー国土安全保障長官、レックス・ティラーソン国務長官になっている。 トランプ大統領は、自分の命令は米国を守るためのもので、「最も堅固で安全な政策」が実施されればビザは再び発行するし、ムスリム(イスラム教徒)のみを対象にした禁止命令ではないと主張している。 上訴に先立ち大統領はツイッターで、ロバート判事への怒りをあらわにした。「このいわゆる裁判官は要するに、この国の法執行権を取り上げた。馬鹿げてるし、覆される!」とツイートしたほか、「国土安全保障の渡航禁止を裁判官が停止させられて、誰でも、悪い目的を持った連中でも、米国に来れるなんて、この国はいったいどうなってるんだ」とも書いた。 ワシントン州とミネソタ州に加え、ほかにもバージニア、ニューヨーク、マサチューセッツ、ミシガンの各州政府が、大統領令の合法性に異議を唱えて提訴している。 裁判所命令によってできた機会をとらえて、急ぎ米国に入国した人たちもいる。AP通信によると、米国永住権をもつイエメン国籍のアンマル・アルジャイジャルさんは、トルコにいる婚約者のもとで3カ月滞在すごす予定だったのを、この機にただちに米国に帰国。このために1000ドル(約11万円)払ったという。 一方で、方針変更にも関わらずアフリカ東部ジブチでは対象7カ国の移民はいずれも、米国行き便への搭乗が認められなかったと移民専門弁護士はAP通信に対して話した。 トランプ大統領が1月末に署名した入国制限命令を受けて、米国各地の空港では混乱と抗議が続いている。政権は、ビザを撤回されたのは百人余りに過ぎないと説明しているが、国務省は3日、6万人近くがビザを失ったと明らかにした。 大統領令は、政府の難民受け入れプログラムを120日間停止するほか、シリア難民の受け入れを無期限停止すると命令。大統領令のもとでは、イラク、シリア、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンから米国を訪れる人は90日間、ビザが認められない。 (英語記事 Trump appeal against Seattle judge's travel ban ruling)

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    北朝鮮の核兵器使用には「圧倒的な対抗措置」=マティス米国防長官

    2017年02月03日 14:01 公開 韓国を訪問したジェームズ・マティス米国防長官は2日、北朝鮮が核兵器を使用した場合には、「効果的で圧倒的な対抗措置を取る」と述べた。 就任後初となった外国訪問でマティス長官は、韓国に対する米国の支援は変わらないと表明した。 マティス長官が今回訪問する韓国と日本には、第2次世界大戦後の安保条約に基づき、相当規模の米軍が駐留している。ドナルド・トランプ米大統領は、昨年の大統領選で駐留経費の負担増を求めると語っていた。 韓国の韓民求(ハン・ミング)国防相との会談後、マティス長官は記者団に対し、「米国もしくは我々の同盟国に対するいかなる攻撃も打ち負かされる、そして核兵器のいかなる使用にも、効果的で圧倒的な対抗措置を取る」と語った。 北朝鮮は昨年9月に5回目となる核実験を実施し、米国への核攻撃が可能だと主張している。しかし専門家らの間には、北朝鮮の技術がそこまで達していないのではないかとの疑念がある。 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、米国本土に到達可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験の準備が最終段階に入ったと主張している。 米国はオバマ前政権時に、韓国内に最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル」(THAAD)を配備することで韓国と合意している。今回の訪問でも、THAAD配備について協議が行われる見通し。 しかし、多くの韓国人は、THAADが配備されれば攻撃の標的になり、近隣住民が危険に晒されるのではないかと懸念している。中国も、「朝鮮半島に必要な防衛水準をはるかに超えている」として反発している。 マティス長官は2日に「THAADを心配すべき国は北朝鮮以外にない」と述べ、中国の懸念を和らげようとした。 ハン国防相は、マティス長官の訪韓が「北に対する最も強力な警告だ」と述べた。 韓国には米軍2万8500人近くが駐留しており、韓国は駐留経費のうち年間約9億ドル(約1000億円)を負担している。 マティス長官は3日に日本を訪問する。日本に駐留する米軍は5万人余り。2016年には、米国が経費のうち約55億ドルを負担した一方、日本は約40億ドル支払った。 (英語記事 Mattis warns North Korea of 'overwhelming' response to nuclear use)

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    米軍のイエメン襲撃は「考え抜かれた」作戦=大統領報道官

    2017年02月03日 12:05 公開 米ホワイトハウスは2日、米軍が先月末にイエメン南部で実施したイスラム過激派組織「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」に対する襲撃について、「よく考え抜かれた」作戦だったと説明した。襲撃では多数の民間人が犠牲になったとされ、一部で非難の声が出ている。 イエメンでの襲撃は、ドナルド・トランプ米大統領が初めて承認した軍事作戦。英人権擁護団体リプリーブによると、先月28日にヤクラ地区の村で行われた攻撃で、子ども10人を含む民間人23人が死亡したという。 イエメン国内の報道によると、犠牲者の中には米国生まれのアルカイダ指導者で、2011年に米軍による攻撃で死亡したアンワル・アル・アウラキ師の8歳の娘も含まれている。 米中央軍は当初、作戦中に海軍特殊部隊の兵士、ウィリアム・ライアン・オーウェンズさん(36)が死亡し、ほか3人が負傷したとのみ発表していた。しかしその後、民間人も巻き添えになり、犠牲者には子どもが含まれている可能性があると明らかにしていた。 米軍によると、作戦にはアパッチ攻撃型ヘリコプター数機が参加し、AQAPの指導者3人を含むメンバー14人を殺害したという。 ショーン・スパイサー大統領報道官は記者らに対し、「人命が失われ、負傷者が出ているのに、完璧な成功と言うのは難しい」とした上で、「しかし、人命が失われるのを防ぐための教訓を得たこと全体を見れば、作戦はあらゆる評価基準で成功したと思う」と述べた。 民間人の犠牲者については、スパイサー報道官は触れなかった。 リプリーブによると、民間人の犠牲者には生まれたばかりの赤ちゃんも含まれるという。さらに、地元の報道によると、妊娠後期の女性が腹部を撃たれ、その後男児を生んだものの、赤ちゃんは死亡したという。 襲撃から間もなく、ソーシャルメディアには子どもの犠牲者の写真が複数投稿された。 米国防総省のジェフ・デイビス報道官は今週、「女性が負傷したという報道には多少の疑念がある」とし、兵士らは「準備のための訓練、戦闘員となるための訓練を受けている」と語った。 しかし、中央軍は1日に、多数の民間人が「銃撃戦の中で死亡した可能性が高い」と認めた。 トランプ大統領は同日、デラウェア州のドーバー空軍基地を訪れ、イエメンで死亡した海軍特殊部隊兵士オーウェンズさんの遺体を出迎えた。 イエメンでは過去2年間にわたり、国際社会の支持を受け、隣国サウジアラビア主導の連合国が支援する大統領と、イスラム教シーア派に属する「フーシ派」の反乱勢力との間で内戦が続いている。アルカイダは、内戦に乗じて同国南部と南東部に拠点を築いている。 (英語記事 Yemen al-Qaeda: US says raid was 'very thought-out process')

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    人々はなぜ怒っているのか――根っこには「近代性」

    極右といった「症状」を見るのではなく、より根源的な原因に目を向けるべきだと話す。今回の動画コラムは、BBCのニュース解説番組「ニュースナイト」の新シリーズ、「ビューズナイト(Viewsnight)」で紹介している。

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    トランプ氏、豪首相との電話会談を「最悪」と打ち切り=米紙

    2017年02月02日 18:25 公開 米紙ワシントン・ポストは1日、ドナルド・トランプ米大統領が先月28日にオーストラリアのマルコム・ターンブル首相と電話で会談した際、豪国内の難民を米国が受け入れるという両国の合意を批判し、予定時間を切り上げ会談を一方的に終わらせたと報じた。 同紙によると、28日に各国首脳と電話会談を相次いで行ったトランプ氏は、ターンブル首相との会談を「今までで最悪」と呼んだという。 トランプ大統領は会談後にツイッターで、難民の再定住計画について「この馬鹿な取り引きの中身を調べる」とコメントした。 オバマ前政権時にまとめられた合意では、オーストラリアで難民申請した1250人を米国が受け入れることになっていた。 オーストラリア政府に対しては、難民申請した人々を自国で受け入れずナウルとパプアニューギニアの施設に収容したことで、非難の声が上がっていた。 トランプ氏は先月27日に、イスラム教徒が多数を占める特定7カ国の入国を一時的に禁止する大統領令に署名。ターンブル豪首相は、難民の米国再定住の合意が実行されるのか説明を求めていた。 電話会談について明らかになっていること 28日には、ターンブル首相のほか、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領など4人の首脳がトランプ大統領と電話で会談した。 ワシントン・ポスト紙は、電話会談について報告を受けた複数の米高官の話として、会談は1時間の予定だったものの、25分たったところでトランプ氏がいきなり打ち切ったと報じた。 同紙によると、トランプ大統領は、イランやイラク、シリアからの人々が多く含まれる難民の受け入れは、「次のボストン爆破事件の犯人」を迎え入れるようなものだと語ったという。2013年のボストンマラソン爆破事件の実行犯は、ロシア・コーカサス地方のチェチェン共和国出身だった。 大統領令から間もない30日、ターンブル首相はトランプ氏と会談したとツイート。合意を守るとした大統領への謝意を表明。1日には、ショーン・スパイサー大統領報道官も大統領は合意を守る意向だと述べていた。 しかし、ワシントン・ポスト紙の1日付の報道を受け、トランプ大統領はツイッターで、「オバマ政権は何千人もの不法移民を受け入れることに応じた。なぜだ?」とコメントした。 ターンブル首相は、同氏が「非常に率直で歯に衣着せぬ」ものだったとする会談の内容が公になったことについて、遺憾の意を表した。 シドニーのラジオ番組に出演したターンブル首相は、「大統領が電話を一方的に切ったという報道は正しくない」と語った。 オーストラリア政府は昨年11月、ナウルとパプアニューギニアの収容施設にいる難民を米国が一度限りの措置として受け入れることに合意したと発表した。 ターンブル首相は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が再定住の取り組みを管理し、「最も弱い人々」が優先的に扱われると述べた。 (英語記事 President Trump and Australia PM have 'worst call')

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    米カリフォルニア大学、右派メディア編集者の講演中止 抗議デモ受け

    2017年02月02日 16:55 公開 米西部の州立大学、カリフォルニア大学バークレー校は1日、予定されていた右派メディア「ブライトバート」のマイロ・ヤノポロス編集者の講演の中止を決めた。講演をめぐっては反対する学生らが抗議デモを繰り広げていた。 ヤノポロス氏は、ドナルド・トランプ大統領を選挙期間中から応援していたことで知られる。 同大学では、学生数百人が抗議デモを行い、機動隊が出動。一部が暴徒化し放火した。警察は催涙ガスを使用し、キャンパスは閉鎖された。 現時点で逮捕者が出たという情報はない。重傷者も出ていないもよう。 ヤノポロス氏の発言については、人種差別的、女性蔑視だと批判する声が相次いでいる。 ヤノポロス氏は昨年、SFコメディー映画「ゴーストバスターズ」に出演した女優レスリー・ジョーンズさんを人種差別的に中傷攻撃する動きを扇動したとして、ツイッターのアカウントを閉鎖されている。 同氏の講演は、バークレー校の共和党支持者の団体が主催していた。 団体の広報担当者、ピーター・シトラー氏は、ヤノポロス氏の発言内容にすべて同意するわけではないものの、ヤノポロス氏が「米国の大学キャンパスで抑圧されている保守思想に発言する力を与えた」と語った。 今回の講演について大学側は、大学の招待によるものではないと強調したが、デモ前に出されていた中止要請は拒否していた。 学生らのデモは当初、平和的だったが、その後、講演会場の窓ガラスが割られるなどしたほか、発煙弾が投げられ、大学施設が集まるスプロウル・プラザで炎が上がった。 ヤノポロス氏の母校で、英イングランド地方カンタベリーにあるサイモン・ラングトン男子校は昨年、予定されていた同氏の講演を中止した。学校は、抗議デモが起きる可能性も中止の理由のひとつだと説明した。 (英語記事 UC Berkeley cancels Breitbart speaker as students protest)

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    ルーマニア首都で大規模な反政府デモ 汚職高官の釈放めぐり

    2017年02月02日 14:41 公開 ルーマニアの首都ブカレストで1日、過去にほぼ例を見ない規模の反政府デモが発生した。汚職罪で収監されている高官数十人が釈放される可能性がある法令が可決されたことを受けた。 1日夜には、政府の建物前に少なくとも15万人のデモ参加者が集まったもようで、国内各地で同様のデモが起きている。 ブカレストのデモでは、参加者の一部が爆竹や発煙弾を警官らに投げつけ、警察は催涙ガスで応じた。 法令は先月31日夜に可決された。社会民主党(PSD)の左派政権を率いるソリン・グリンデアヌ首相は、法令は刑務所の過密状況を緩和するために必要な措置だと説明した。 しかし、グリンデアヌ首相が汚職で有罪判決をうけた仲間を釈放するための法令だと、批判する声も出ている。 デモが発生する直前には、欧州連合(EU)がルーマニアに対し、汚職撲滅の取り組みを「撤回」しないよう警告していた。 欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長は、「汚職との戦いは、止めるのではなく、前進させなくてはならない」とし、「強い懸念と共にルーマニアの動きを見守っている」と述べた。 ブカレストのデモ参加者らは、「辞任しろ」「盗人、盗人」と、繰り返し唱和した。 デモに参加していた建築家のガブリエラ・コンスタティンさんは、「(主張が通る)見込みは薄いが、戦うことは大事だ」と語った。 同じくデモに参加していたニコラエ・スタンクさんは、「ルーマニアの法支配を無視しようとした犯罪者たちから我々の国を守り、彼らのあやしげな利益ではなく、我々の権利や利益を守ろうと思ってここに集まった」と話した。 急きょ可決された法令では、一部の法律違反を免罪し、汚職の金額が4万4000ユーロ(約530万円)を超えない限り禁固刑に処されない、と定めている。 新たな法令の受益者として真っ先に挙げられるのは、公金2万4000ユーロを横領したとされるPSDのリビウ・ドラグネア党首だ。 このほか、選挙で選ばれた公職者や判事らが釈放される見通しとなっている。 (英語記事 Romania protests grow over corruption decree)

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    英下院、EU離脱交渉の開始を承認

    2017年02月02日 12:44 公開 英下院は1日、欧州連合(EU)に離脱を通知する権限を政府に与える法案を賛成多数で可決した。 法案は、野党・労働党指導部の支持も得て、賛成498票、反対114票で承認された。 一方で、スコットランド国民党(SNP)、ウェールズの地域政党「プライド・カムリ」、自由民主党の3党が反対したほか、労働党議員47人や与党・保守党のケン・クラーク元財務相も、それぞれの党の方針に従わず、反対票を投じた。 上下院はさらに法案の詳細について審議を行う。下院では来週から審議が行われる。昨年6月に実施された国民投票では、賛成51.9%、反対48.1%と、離脱が支持された。 テリーザ・メイ首相は、離脱の正式な通告に必要なEU基本条約(リスボン条約)50条を、今年3月末までに発動させると表明している。 第一段階となる今回の採決に向け、下院は2日間にわたって審議を行った。 国民投票時に離脱支持を訴えたボリス・ジョンソン外相は今回の法案可決について、「極めて重大」だと評価。フェイスブックを通じてコメントした同外相は、「EU条約からは離れるかもしれないが、欧州から離れるわけではない」と述べた。 ジョンソン外相はさらに、英国が「新しいアイデンティティーを作り上げ」、欧州に「素晴らしく前向きな貢献をする」と書いた。 労働党のジェレミー・コービン党首は最も厳しい形の党議拘束で所属議員の造反を抑え、法案に賛成するよう求めた。 影の内閣の一員だったレイチェル・マスケル、ドーン・バトラー両氏は採決の直前にそれぞれ、影の内閣から辞任。コービン党首に抵抗する姿勢を見せた。このほか、影の内閣からは13人が造反の反対票を投じた。 コービン党首は、「労働党議員は3対1以上の比率で50条の発動に賛成した。今後1週間の闘いは、雇用、生活水準、説明責任を中心に据えたブレグジット交渉にすることだ」と語った。 同党首は、「労働党が求める修正条項を入れるのが本当の目的だ。英国にとって最良の条件を確実にするのが、全ての党の議員にとっての課題であり、テリーザ・メイ(首相)が英国をタックスヘイブン(租税回避地)の特売場にする余地を与えないことだ」と述べた。 下院で法案の採決結果が発表された際には、「自殺行為だ」と叫ぶ議員の声が聞かれた。 「詳しい質問」 自由民主党は所属議員9人のうち7人が反対票を投じた。ティム・ファロン党首は、「トーリー(保守党)と労働党はハードブレグジット(強硬なEU離脱)を支持したことで、将来世代の利益を損なった」と語った。「労働党指導部は今夜、白旗を上げた。彼らは野党ではない。チアリーダーだ」。 下院では来週、法案審議を開始し、政府の計画に加える修正について議論する。 議会でSNPの外交問題の広報を担当するアレックス・サモンド氏は、「来週は詳しい質問がされるだろう。政府がどのように修正に対応するかによって、その能力が問われることになる」と述べた。 議会でプライド・カムリ党を率いるハウル・ウィリアムズ氏は、労働党の姿勢を批判し、「非常に残念」だとした上で、「採決では、国民投票の結果を受け入れるのかが問われたのではない。トーリーによる極端なブレグジットのやり方が問われていた」と語った。 保守党で唯一反対票を投じたクラーク元財務相は、法案可決について「歴史的」としながらも、「実際の」EUとの交渉が始まれば、「雰囲気は変わるかもしれない」と指摘した。 下院での採決に先立ち、SNPが出した法案の廃案動議は否決された。 今回の法案は先週、最高裁判所が50条の発動には議会の承認が必要との判断を下したことを受けて公表された。 EUとの離脱交渉の期間は最長2年間とされており、現在28カ国が加盟するEUから英国が離脱するのは2019年になるとみられている。 (英語記事 Brexit: MPs overwhelmingly back Article 50 bill)

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    ティラーソン新国務長官が宣誓就任 トランプ米政権

    2017年02月02日 11:14 公開 米石油大手エクソンモービル前会長のレックス・ティラーソン氏(64)は1日、上院承認を経て、新国務長官に宣誓就任した。上院は賛成56、反対43で同氏の就任を認めた。テキサス州出身のティラーソン氏は、ロシア政府や経済界とのつながりをこれまで厳しく精査されていた。 国務長官承認に先立ち、各省長官の承認公聴会を開いていた担当委員会は、民主党のボイコットにもかかわらず、トム・プライス保健福祉長官候補、スティーブン・ムニューチン財務長官候補を承認。本会議での採決にかけられることになった。民主党や人権団体などが激しく批判していた、ジェフ・セッションズ司法長官候補についても、民主党は委員会での承認をボイコットしたが、それでも承認採決が可能になるよう、共和党側が委員会規則を変更した。 ティラーソン新国務長官は、ホワイトハウスのオーバル・オフィス(大統領執務室)で、マイク・ペンス副大統領の主導で宣誓。ドナルド・トランプ大統領は「君の一生はこの瞬間に向けての準備期間だった」と期待を示した。 新長官はこれに対して、「この大統領に仕えるなか、常にあらゆる時でも米国民の利益を代表を務めます」と答えた。 トランプ大統領はこの就任式に先立ち、デラウェア州の空軍基地を訪れ、イエメンで死亡した海軍特殊部隊兵士の遺体を出迎えていた。イエメンでは週末にかけて過激派アルカイダ強襲作戦が行われ、米兵などが死亡。トランプ政権になって初の、米兵の戦死だとされており、ホワイトハウスに戻ったトランプ氏は沈痛な面持ちだった。 上院の承認公聴会でティラーソン氏は、ロシアとの関係について繰り返し問いただされた。エクソンの会長兼最高経営責任者(CEO)として同氏は、ロシア最大の国営石油会社ロスネフチとの間に数十億ドル規模の取引をまとめ、2013年にはロシア政府から「友情勲章」を与えられている。 ティラーソン氏は公聴会で、西側は確かにロシアの拡大と台頭に危機感を抱く必要があると認めたものの、プーチン露大統領は戦争犯罪人かと追究されても肯定しなかった。 ティラーソン氏の就任に反対する人たちは、ロシアとのビジネス上の利害関係を断つことはできないはずだと批判してきた。一方で、世界中で大規模な商取引をまとめてきた手腕は、米国外交のトップに望ましい新しい長所だと期待する声もある。 上院議員たちはおおむね、党派に応じて承認に賛成・反対票を入れた。反対43票は近年ではきわめて多い。オバマ前権のジョン・ケリー国務長官は賛成94、反対3で、ヒラリー・クリントン長官は賛成94、反対2で承認された。ブッシュ政権のコンドリーザ・ライス長官は85対13で承認され、コリン・パウエル長官は賛成の発声でのみ承認された。 新長官を迎える国務省では、ベテラン官僚が相次ぎ辞任したほか、特定7カ国からの入国を制限する大統領令に反発し1000人近い外交官・官僚が抗議の書簡に署名している。 ドイツのアンゲラ・メルケル首相やアントニオ・グテーレス国連事務総長など各国・機関の代表が大統領令を批判しているのに加え、メキシコとの国境に壁を建設するという大統領令の結果、メキシコのエンリケ・ペニャニエト大統領との首脳会談が中止になった。 こうした状況での新長官就任について、ブッシュ政権の国務省法律顧問だったジョン・ベリンジャー氏は、「マイナスからの出発だ。外国の交渉相手や国務省職員との間に信頼を築くため、努力して追いつかないとならない」と話した。 (英語記事 Trump cabinet: Rex Tillerson sworn in as top US diplomat)

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    英下院、ブレグジット手続き開始を可決

    2017年02月02日 9:00 公開 英下院は1日、欧州連合(EU)に離脱を通知する権限を政府に与える法案を賛成多数で可決した。ブレグジット(英国のEU離脱)担当相のデイビッド・デイビス氏のほか、与野党の議員たちが賛成・反対の意見応酬を2日にわたり重ねた後、下院は498対114で離脱手続き開始を承認した。与党・保守党と労働党指導部は手続き開始に賛成したものの、スコットランド国民党と自由民主党は反対。労働議員47人のほか、保守党の歴代政権で閣僚を歴任したケン・クラーク氏も反対に回った。

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    ウクライナ東部で戦闘再燃 通勤バスの周りで銃撃

    2017年02月02日 9:00 公開 ウクライナ東部で分離勢力支配地域との境に近い工業都市アブディイフカでは1月31日、親ロシア派分離勢力と政府軍の戦闘が再燃し、双方に死傷者が出た。ウクライナ軍が掌握してきたアブディイフカでは、水道も電気も断たれている。室内でも零下10度近い極寒の中、住民はパンを手に入れるために長蛇の列に並んでいるという。人口2万人前後とされる同市について、ウクライナ政府の現地担当者は8000人の避難を検討。さらに食糧10トンを提供する方針と話している。

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    「ああどうしよう……」 米国のムスリム学生たち

    2017年02月02日 9:00 公開 米国で学ぶイラン、イラク、シリア、パキスタン出身のムスリム(イスラム教徒)の学生たちが、ドナルド・トランプ大統領による入国制限命令について、それぞれの思いを語った。

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    米国の移民・難民入国制限、なぜこの7カ国? 政府説明と実際のデータ

    2017年02月01日 16:29 公開 ジャック・グッドマン、BBCニュース ドナルド・トランプ米大統領は27日、特定7カ国の国民の米国入国を90日間禁止する大統領令に署名した。イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメンの7カ国だ。 シリア難民など難民の受け入れも制限する多岐にわたる入国制限は、オバマ政権下ですでにあった規制を参考に、策定されたものとみられる。特定7カ国は、共和党多数の連邦議会が2015年に可決した査証(ビザ)制度改革法案の中に、「懸念対象国」として挙げられていた。 米国のビザ免除プログラムは、38カ国の国民に対して90日間の無査証入国を認める。日本や英国、フランス、ドイツなどが含まれ、渡航者は電子渡航認証システム(ESTA)を使い事前申請する。 2015年12月に連邦議会は超党派の議員立法で、この制度を変更する法案を可決。ホワイトハウスもこれを支持し、署名成立させた。2011年3月以降に特定の国々に渡航したことのがある人は、ESTAによるビザ免除が適用されなくなった。国内でテロ組織が大きな影響を及ぼしている、もしくはテロリストをかくまっていると見なされた国が対象となった。 法律で当初指定されたイラン、イラク、シリア、スーダンに加え、2016年2月にはリビア、ソマリア、イエメンも対象となった。この同じ計7カ国が、トランプ氏の大統領令でも規制対象となった。 新しい制度では、2011年3月以降にこの7カ国に渡航した人は、ビザを事前に申請し、認められないと、米国に入国できなくなった。 オバマ政権がこの制度変更を承認したのは、2015年11月のパリ連続襲撃事件を受けての対応だった。規制対象がきわめて幅広いトランプ氏の大統領令と異なり、オバマ政権の措置は、そもそも90日間の短期滞在のためのビザ免除プログラムに該当する人に限定されていた。7カ国の国籍者の入国をすべて一時停止するという措置ではなかった。 トランプ大統領は29日、自分の政策は「イラク難民へのビザを禁止した」オバマ氏の命令に「似ている」と表明した。 これは、2011年5月の出来事を念頭においた言及だった。米連邦捜査局(FBI)は当時、連邦法にもとづきイラク市民2人をテロ容疑で逮捕。2人は、過激派アルカイダを具体的に支援し、イラク国内における米軍への攻撃に関与したとして、起訴された。 下院対テロ・情報小委員会は公聴会で、この2人が「イラク難民受け入れの特別プログラム」を悪用したと指摘。イラク難民の審査方法があらためて点検されることとなり、同年のイラク難民受け入れ人数は前年の1万8016人から9388人に一時的に減少した。翌年の受け入れは1万2163人と増えた。 この7カ国の市民が最も危険なのか? トランプ氏の大統領命令は、2001年9月11日の米同時多発テロ以来、外国生まれの人物たちが「多数の」テロ関連犯罪を起こしてきたと主張している。大統領令は、この中にはビザで入国した人や難民受け入れプログラムで入国した人も含まれると主張する。 米同時多発テロの実行犯たちは、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)、レバノン、そしてエジプトの出身だった。 下院の国土安全保障委員会は2015年9月、いわゆる「イスラム国」(IS)が西側諸国で60件のテロ計画やテロ攻撃を指揮、もしくはそのきっかけを作ったと報告。60件の中には、米国内での15件も含まれる。イスラム過激派組織に加わったことが確認されている米国市民は、250人。 米ジャーナリストや学識関係者が参加するシンクタンク「ニュー・アメリカ財団」によると、イスラム聖戦主義攻撃に関与した、あるいはそうした攻撃の実行者として死亡したテロ犯の米国在住資格は次の通り――。 ・全体の82%は米国籍か永住権を保有 ・188人は米国生まれ ・83人は米国籍に帰化した市民 ・43人は永住権を持つ市民 ・13人は難民 ・12人は在住資格不明 ・11人は非移民ビザで入国 ・8人は不法移民 ・38人は不明 近年の米国内で起きた重大な無差別大量殺人事件の犯人はいずれも、入国制限対象の7カ国の市民ではなかった。一部の例を挙げると――。 ・フォートローダデール空港乱射(2017年1月)――米国市民 ・フロリダ州オーランドのナイトクラブ乱射事件(2016年6月)――アフガニスタン人の両親をもつ米国市民 ・カリフォルニア州サンバーナディーノ乱射事件(2015年12月)――パキスタン人の両親をもつ米国市民とパキスタン市民 ・テネシー州チャタヌーガ乱射事件(2015年7月)――クウェート生まれの米国市民 ・サウスカロライナ州チャールストン教会乱射事件(2015年6月)――米国市民 ・ボストン・マラソン爆破事件(2013年4月)――チェチェン系の兄弟。兄はロシアとキルギス国籍で米国永住権を所持。弟は米国市民権を得ていた。 財団のまとめによると、2001年以降に米国内で起きたテロ事件の82%は、市民や永住権のある住民が起こした。同時多発テロ以来、イスラム聖戦主義者によって米国内で殺害されたのは94人。 対象7カ国のうち2カ国の国民が、傷害事件に関わった事例はある。 米シンクタンク「ケイトー研究所」の調査は、米国内で米国人が外国人によるテロ攻撃で殺害される可能性よりも、テロではない殺人事件で殺される可能性の方が253倍高いと指摘している。 共和党のジョン・マケイン上院議員(アリゾナ州選出)とリンジー・グレアム上院議員(サウスカロライナ州選出)は、大統領令がイスラム教圏にどう受け止められるかを強く懸念し、「この国をもっと安全にするよりも、むしろテロリストの募集に役立つかもしれない」と苦言した。 しかしトランプ大統領はこの批判を受け入れず、取材に対して米国の敵はすでに怒っているのだからと反論。自分の第一の責任は国の安全を守ることだと強調した。 そしてトランプ氏の支持者たちも全面的に賛成している。 「ドナルド・トランプはこれは一時的なものだと言っているし、私はあの人を信用している」と、ニューヨーク・スタテン島の住民は言う。「第一の仕事は米国民を守ることだ」。 (英語記事 US travel ban: Why these seven countries?)

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    シリアの英国人民兵、ISの捕虜避けようと自殺か

    の捕虜にならないために自ら命を絶っていたとみられることが、1日までに明らかになった。クルド人勢力筋がBBCに語った。 ウェスト・サセックス州チチェスター出身のライアン・ロックさん(20)は、少数民族クルド人の民兵組織「人民防衛隊」(YPG)に志願し、戦闘に参加していた。ISの主要拠点ラッカへの攻撃が行われていた先月21日に死亡したという。 YPG関係者はBBCに対して、「あごの下に銃痕があった」と語り、自殺を示唆した。 関係者らによると、ジャバル村で5人の戦闘員がISに包囲され、「かなり抗戦した」ものの制圧されたという。 遺体を回収した後の調査で、「英国人戦闘員はISIS(ISの別称)の捕虜にならないために自殺したとみられる」ことが分かったという。 一部報道は、「銃があごの下に接触した後があった」とし、「戦闘員が自殺したことが示唆される」と伝えた。 クルド人を支援する活動家でウェブサイト「KurdishQuestion.com」を運営するマーク・キャンベル氏はBBCに対し、「ライアン・ロックさんはISISに捕虜にされるのを避けるため、銃を自分に向けた可能性が高い」とし、「このような行動に必要な勇気を表現する言葉が見つからない。ライアンさんは、予見できた恐怖のプロパガンダを実施するチャンスを、ISISから奪った」と述べた。 調理師として働いていたロックさんは、昨年8月にシリアに渡航。家族や友人にはトルコに旅行に行くと語っていた。 父親のジョン・ロックさんはBBCに対して文書で、「ライアンについて非常にショックな知らせを受けた後、特に遺体の帰国をめぐる困難など、かなり辛い時を過ごしてきた。YPGが彼の遺体を取り戻してくれたことに感謝する」と述べた。 英外務省は国民に対して、シリアへの全ての渡航を控えるよう勧告している。 (英語記事 Briton Ryan Lock 'killed himself' to avoid IS capture)

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    「北朝鮮の民衆は蜂起する」 亡命の元公使

    ・ヨンホ元駐英公使は昨年8月に亡命し、北朝鮮当局で最高位級の亡命者となった。その元公使がソウル市内でBBCのスティーブン・エバンズ記者による取材に応じた。多岐にわたったインタビューの中で、元公使は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は米国に核攻撃を仕掛けることも辞さないはずだと語る一方、現体制はやがて崩壊するとの見通しを示した。 普段から流ちょうな英語を話すテ氏だが、インタビューでは何度か言葉を詰まらせた。声を震わせてしばらく間を置く。目が潤む。そういう場面が何度もあった。 感情が静かにこみ上げるのは、北朝鮮に残った兄弟を思う時だ。 自分が亡命したせいで、親族は罰を受けているに違いない。テ氏はBBCにそう話した。それを思うと胸が痛む一方で、体制に立ち向かうという決意がより強くなると。 「私の親族や兄弟姉妹が山奥に閉じ込められたり、強制収容所へ送られたりしていることは間違いない。胸が張り裂ける思いだ」 収容所で苦しむ兄弟が自分に向かって叫んでいる。その場面を想像した時、テ氏は兄弟に何と答えるのだろう。 「考えるのも嫌な、つらい質問だ。だからこそ、私は全力を尽くして体制を倒すと心に決めている。親族だけでなく、北朝鮮の住民全体を奴隷状態から救い出すために」 テ氏に亡命を決意させたのは、ロンドンで生活をともにしていたもっと近い家族だ。子どもたちと、特に下の息子と話すなかで、自分が独裁体制を弁護しているのだと気づかされた。西ロンドンの公立学校に通う優秀な息子だ。 下の息子は髪を長く伸ばし、北朝鮮へ戻ったら自分はどうなるのか知りたがった。北朝鮮の住民はなぜインターネットを禁止されているのか、とも。 他人の目がない自宅で、自分たち家族は体制のことを率直に語り合うようになったと、テ氏は振り返る。なぜなら「家族には、嘘はつけないので」。 テ氏の二重生活が始まった。英国の極左団体に社会主義がいかに素晴らしいか説きながら、それを家の中では糾弾した。息子たちにはいつも、決して一言たりとも口外するなと言い聞かせなくてはならなかった。 テ氏は西側の人間に会うと、ソウルでの生活について質問するようになった。北朝鮮の外交官は二人一組で行動し、互いの行動を監視することになっている。そのため西側のことを尋ねるには、西ロンドンにある行きつけのカレー店で、何も疑っていない(だろう)相棒がちょっとトイレに立ったすきを狙うことが多かった。 そして8カ月前、テ氏と家族は住まいにしていた大使館から姿を消した。そこからソウルまでどうやってたどり着いたのか、また英国や米国、韓国の秘密情報機関がかかわっていたのかどうか、テ氏は語ろうとしない。 ただ、自分の考えがどうやって変わっていったのかは、詳しく話してくれた。変化のきっかけになった息子は既にロンドンのインペリアル・コレッジに合格していたが、韓国で進学することにした。朝鮮人とひと目で分かるロンドンでの学生生活は、危険が大き過ぎると考えたからだ。北朝鮮の工作員に拉致される恐れもある。 ロンドン時代のテ氏は、常にリラックスして現地になじんでいる様子だった。きちんとした身なりと穏やかな口調で、郊外のテニスクラブにいても場違いではなかったし、実際に郊外のテニスクラブにも入っていた。 「当時の暮らし、とりわけロンドン・イーリングでの暮らしは本当に懐かしい。テニスクラブの仲間はとても親切で優しくしてくれたので、さよならを言えなかったことが今も大きな心残りだ。できることなら、懐かしい聖コロンバ・テニスクラブのメンバーにきちんとお別れのあいさつをしたい」 「下の息子は8歳でクラブのメンバーになった。素晴らしいコーチがいて、私と子どもたち、妻の家族全員にテニスを教えてくれた」 「英国の春も秋も心底恋しい。別れのあいさつをして感謝を伝えたいと、心から思う」 テ氏は外交官として北朝鮮の残忍な体制に仕え、その指導者に仕えた。 法を犯したことは一度もないという。北朝鮮の外交官は偽札のばらまきから詐欺まで、あらゆる違法行為に手を染めているとの悪名が高い。しかしテ氏は、自分は関与していないと言い切った。欧州の優秀な捜査当局を欺くのは無理だからと。 テ氏によると、大使館が犯した唯一の罪は、渋滞税を払わずに車を走らせたこと。当局に10万ポンド(約1400万円)の借りがある計算だという。 金正恩氏の兄、正哲(ジョンチョル)氏の付き添い役を務めたことはある。ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行われたエリック・クランプトンのコンサートに同行した。 テ氏によれば、正哲氏は音楽にしか関心がなく、トラファルガー広場などの名所を案内して回ったが何の関心も示さなかったという。 正恩氏についてはほとんど何も知らないと、テ氏は言う。その生活は秘密のベールに包まれていて、住んでいる場所さえ、誰も知らないのだという。 だが正恩氏が冷酷な人物であることは事実で、相手に危害を加える能力は侮れないという。自分自身の生き残りが脅かされたりすれば、暴れ出し、手当たり次第に何もかも破壊するだろうと、テ氏は話す。 米国を攻撃できる手段は今のところないが、攻撃能力の開発には取り組んでいる。実戦に使える核兵器が手に入ったら、いつでも使ってやろうと考えるはずだというのが、テ氏の予想だ。 「自分の独裁体制を保証してくれるのは核兵器だけだと、正恩氏は承知している。自分の地位や世襲体制が脅かされていると感じた時には、この危険な兵器のボタンを押すと思う」 ロサンゼルスのような都市まで破壊するだろうか。そんなことをすれば、報復として自分が殺されるのは確実なのに。 「やるだろう。権力を失えば、その日が自分にとって最後だと分かっているから、何だってやるかもしれない。ロサンゼルス攻撃だって。どうせ殺されるとなれば、人は何でもやる。それが人間の正常な反応というものだ」 正恩氏が自分のベッドで、穏やかな死を迎える可能性はあるのだろうか。 「ないだろう。私は金正恩体制がやがて民衆蜂起によって崩壊すると確信している」 その民衆蜂起は、外の世界についての情報が北朝鮮の中で広まることによって起きると、テ氏は考えている。 そして、テ氏が兄弟と再会する日は来るだろうか。 「絶対に再会できると信じている。故郷の町に歩いて帰ることが、私の夢だ」と力を込めた。 (英語記事 People will rise against N Korean regime, says defector)

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    トランプ米大統領、最高裁判事にニール・ゴーサッチ判事を指名

    2017年02月01日 10:13 公開 ドナルド・トランプ米大統領は31日、空席となっていた最高裁判所の判事にニール・ゴーサッチ連邦高裁判事(49)を指名した。 ゴーサッチ氏は2006年以降、コロラド州デンバーの第10連邦巡回控訴裁(高裁)の判事を務める。 定員9人の最高裁では、昨年2月に保守派だったアントニン・スカリア判事が急死して以来、保守派とリベラル派が4人ずつの拮抗した状態になっている。 最高裁判事の就任には上院の承認が必要。民主党は、保守的過ぎるとみられる候補については承認を拒否する構えだ。 指名を発表したトランプ氏は、「ゴーサッチ判事には、ずばぬけた法律の能力、明晰な頭脳、ものすごい自制力があり、超党派の支持も得ている」と述べた。 指名は、ホワイトハウスで重要な発表が行われるイーストルームで、夜のテレビ放送のゴールデンタイムに合わせて行われた。 ゴーサッチ氏は、故スカリア判事について「獅子のような法の番人だった」と語り、同氏の急逝を惜しんだ。判事に求められるのは「偏向を排し、独立を保ち、協調し、勇気を持つこと」だと述べた。また、指名について「名誉であり、謙虚な気持ちになっている」と語った。 ゴーサッチ氏は、トランプ氏が昨年の選挙期間中に明らかにした最高裁判事候補21人のリストに含まれていた。 ゴーサッチ氏が承認されれば、最高裁で判事が保守派5人とリベラル派4人という従来の構成に戻る可能性がある。 米東部の名門校コロンビア大学やハーバード大学で学んだゴーサッチ氏は、過去25年間で最も年齢が若い最高裁判事候補。注目度の高い人工妊娠中絶や同性婚について、これまでの最高裁判例を覆そうとする可能性は低いとみられている。 故スカリア判事同様、法律の厳格な解釈を守ろうとするゴーサッチ氏は多くの共和党議員の支持を得ている。同氏は、合衆国憲法を「建国の父たち」の考えに沿って解釈すべきと主張する「始原主義者」とみられている。 過去には、避妊を含む医療保険の提供を雇用者に義務付けるオバマ政権の政策について、政策に反対する集団の訴えを支持したことがある。 民主党のチャック・シューマー上院議員は、ゴーサッチ氏の指名に懸念を示した。シューマー氏は、ゴーサッチ氏は法解釈の主流派とは言えないのではないかと指摘。「経歴を見ると、職務に足りる資質があるのか、大いに疑問だ」と述べた。 一方、マイク・ペンス副大統領はツイッターで、「米国史上、最も確実に主流派に属し、尊敬され、最高裁判事候補として抜きん出た人物の1人だ」とコメントした。 民主党は指名を阻止できるのか ゴーサッチ氏の上院承認をめぐっては、共和党と民主党の激しい対立が予想される。 バラク・オバマ前大統領は昨年、スカリア判事の死去を受けてワシントン連邦高裁のメリック・ガーランド判事を指名したが、共和党は大統領選が近付いていることを理由に承認手続きの開始を拒否し、民主党は苦汁を飲んだ。 上院の手続きでは、司法委員会での審議の後に、本会議での採決も控えている。 民主党は本会議での採決を妨害する可能性がある。採決を強行するには60票が必要だが、共和党の議席数は52。指名承認を強行するには、採決の規定を変える必要が出る可能性もある。 なぜ今回の指名は重要なのか 州と連邦政府との間で意見が対立するなど、米国で議論が分かれる法律について、上告を受けて最終的な判断を下せるのは最高裁だ。 審理するのは年間100件に満たず、重要な判断は6月に下される。定員9人の最高裁判事は終身制。 今期は、トランスジェンダーの学生の権利、選挙区割りの不正、テキサス州での死刑判決などが審理されている。 さらに、有権者の権利や中絶、米国の移民政策における人種偏向が審理される可能性が高い。また、議論を呼んでいる移民規制に関するトランプ大統領の大統領令が含まれる可能性もある。 <解説> 保守派の夢――アンソニー・ザーチャー北米担当記者 異例づくしの展開のなか、トランプ氏がゴーサッチ氏を最高裁判事に指名したのはかなり定石だった。 ゴーサッチ氏の経歴や出自を考えれば、共和党大統領なら、ほぼだれにとっても自然な選択だっただろう。 トランプ氏が選挙期間中に犯した失敗や醸した物議、政治的な背教行為にもかかわらず、福音派や伝統的な保守主義の有権者はトランプ氏を支持し続けた。その人たちにとってゴーサッチ氏は、我慢したかいがある夢の最高裁判事候補だ。 ヒラリー・クリントン候補が勝てば、自分たちの気に入る判事にはならないと、保守派は承知していた。トランプ氏が勝てば、ゴーサッチ氏のような人物が選ばれるかもしれないというのが、保守派の期待だった。 一方の民主党は、オバマ前大統領の指名を10カ月近くにわたり妨害し続けた、上院共和党の伝統破りな異例の対応に激怒している。 民主党は、復讐のためにゴーサッチ氏の指名を妨害するのか、判断を迫られる。少数派でも41票あれば議事妨害で指名を阻止できるというのが、上院の伝統でもある。そういう事態を前に、共和党は、その伝統をも破るのかどうか、判断を迫られるかもしれない。 一方で民主党の支持基盤は、リベラル派多数の最高裁を実現するチャンスを不当に奪われたと感じている。それだけに民主党支持者たちは党に徹底抗戦を要求するだろう。承認手続きでは激しい対立が予想される。 (英語記事 Trump picks Neil Gorsuch as nominee for Supreme Court)

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    国を守るため必要なら トランプ氏の入国制限に賛成意見

    大統領が特定7カ国からの移民・難民入国を制限したことについて、共和党寄りのニューヨーク・スタテン島でBBCが意見を聞いた。

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    就任1週間のトランプ米大統領 支持者たち絶賛

    2017年02月01日 9:00 公開 2016年米大統領選で、それまでの民主党支持から転じてドナルド・トランプ氏を大多数が支持したペンシルベニア州ヘーズルトンの町では、トランプ大統領の就任から1週間が過ぎて、支持者たちが大満足している。これこそ自分たちが欲しかった大統領で、これこそ自分たちが選んだ候補だと言う3人に話を聞いた。

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    赤ちゃんチンパンジーの密売組織、親を殺してペットに

    開 西アフリカで、チンパンジーの赤ちゃんを捕まえペットとして密売する組織が当局によって摘発された。BBCが約1年かけて十数か国で取材し、密売の実態を明らかにした。デイビッド・シュクマン記者がリポートする。密売組織はコートジボワールの最大都市アビジャンに拠点を置いており、捕まえたチンパンジーを隠し置く、青いタイルが貼られた小部屋にちなんで「ブルー・ルーム」という名前で呼ばれていた。チンパンジーの赤ちゃん1頭を捕まえるには、群れが抵抗しないよう、親など周囲の成長したチンパンジーを最大10頭殺すことも珍しくないという。赤ちゃんチンパンジーに対しては、富裕層のペットや動物芸、動物園での展示としての需要があり、1頭に1万2500ドル(約140万円)の値段が付く。特に強い需要があるのが、湾岸諸国、東南アジアや中国だ。野生動物の保護を訴えるスイスの活動家、カール・アンマン氏は、チンパンジーが赤ちゃんでいるうちはかわいがられても、成長すればペットとして扱いにくくなり、檻に入れられたまま放置されたり、時には殺されたりすることがあると話す。BBCの取材過程で見つかった赤ちゃんチンパンジーは、ある証言によると、密売組織が密猟者から300ユーロ(約3万6000円)で手に入れていた。BBC取材班は何カ月もかけて、取引業者とコンタクトをとり続けた結果、アビジャンの組織の元締めに辿り着いた。購入を検討しているかのように装い接触した取材班は、赤ちゃんチンパンジーがいることを確認し、待機していた国際刑事警察機構(ICPO、インターポール)と地元警察に通報。組織の摘発につながった。国連環境計画(UNEP)の「大型類人猿保全計画」(GRASP)によると、2005年から11年にかけ23か国で約1800頭の類人猿が当局によって密売組織から救出された。チンパンジーを含む絶滅が危惧される野生動物の国際取引をめぐっては、ワシントン条約(CITES)で厳しく規制されているものの、密売組織がどのように規制を回避する許可証を入手するのかも、BBCの取材で明らかになった。取材班は実際に、チンパンジー輸出の許可証2通を1頭4000ドルで手に入れることができた。

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    バングラデシュ政府、ロヒンギャ難民の島への移動を計画

    2017年01月31日 18:21 公開 バングラデシュ政府は、ミャンマーから逃げてきた少数民族ロヒンギャの難民数千人を、ベンガル湾内の島に移動させることを計画している。 政令は、難民たちをミャンマーに帰す前にテンガール・チャール島に移動させるとしているが、人権擁護団体は強制収容と変わりがないと強く非難している。 テンガール・チャール島は約10年前に、メグナ川の堆積土で形成され、高潮の際には数十センチの水に囲まれてしまう。道路や堤防などは築かれておらず、島を記載する地図はあまりない。 約30キロ西には60万人が住むハティア島があり、現在の難民キャンプからの移動には9時間かかる。 ある地元政府関係者はAFP通信に対し、テンガール・チャール島について、「島に行けるのは冬のみで、海賊たちの隠れ家になっている」と語った。島を洪水から守るため植樹が行われているが、完了するまでには少なくとも10年がかかるという。同関係者は、「モンスーンの季節には完全に水浸しになってしまう」と話し、「あそこに住まわせるというのは、ひどいアイデアだ」と指摘した。 ミャンマーでは、ロヒンギャの人々は国境を接するバングラデシュからの不法移民として扱われており、国籍の取得ができずにいる。 バングラデシュでも歓迎する人は少なく、迫害され貧困に苦しむロヒンギャの人々は、祖国がない状態だ。 ミャンマー西部のラカイン州でロヒンギャ住民と当局との衝突が起きた昨年10月以来、約6万5000人がバングラデシュ国内に越境して来たと推計されている。 衝突が起きる前にもすでに、登録済みの住民を含め約23万2000人のロヒンギャ難民がバングラデシュ国内で居住しており、その多くは貧弱な設備しかない難民キャンプで生活している。 バングラデシュ政府は今回、ロヒンギャ難民の登録や移住を目的とした委員会を設置。シェイク・ハシナ首相が後押しする取り組みの背景には、観光振興政策があると指摘されている。 約3万2000人の難民が住むコックス・バザールには、世界で最長とされるビーチがあり、政府は難民キャンプが観光客を遠のかせるのではないかと恐れているという。 (英語記事 Rohingya refugees in Bangladesh face relocation to island)

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    トランプ米大統領の英公式訪問、女王を「困難な立場」に=元外務次官

    2017年01月31日 17:13 公開 テリーザ・メイ英首相がドナルド・トランプ米大統領を年内の公式訪問に国賓として招待したことで、エリザベス女王が「非常に困難な立場」に置かれていると、元外務省首脳が指摘している。 2006年から10年まで外務次官を務めたピーター・リケッツ卿は、英紙タイムズへの公開書簡で、公式訪問の招待は「拙速過ぎた」と述べた。 英政府のオンライン請願サイトでは、公式訪問の中止を求める請願書への署名がすでに150万筆を超えている。 30日には、トランプ大統領が27日に署名したイスラム教徒が多数を占める特定7カ国の人々の入国を禁止する大統領令への大規模な抗議デモが英国各地で行われた。入国禁止措置を受け、英議会は緊急審議を行った。 リケッツ卿は、任期1年目の米大統領が公式訪問に招待されるのは前例がなく、トランプ氏に「このような異例の名誉を受ける特別な資格」があるのか疑問があると指摘した。 リケッツ卿は、「彼がどんな大統領なのか分かるまで、招待するよう女王に助言するのを待つ方がずっと賢明だった。これで女王は非常に困難な立場におかれてしまった」と述べた。 公式訪問の日程は明らかになっていないが、国賓はバッキンガム宮殿に女王の客として宿泊することが多い。 タイムズによると、バッキンガム宮殿は非公式に、女王が政治的行事に無理やり巻き込まれたような印象を与えてしまうのは反対だと、明確にしている。 首相官邸は30日、女王に代わりトランプ氏を招待することを、メイ首相は「非常に喜ばしく思っている」と述べた。 メイ首相に対しては、先週の訪米でトランプ氏と会談した際に、入国禁止措置について説明を受けていたのか明らかにするよう圧力がかかっている。 入国禁止の対象国はイラク、シリア、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンの7カ国。「イスラム教徒の締め出し」だとの批判があるが、トランプ政権は否定している。 30日に下院で議員から質問を受けたボリス・ジョンソン外相は、メイ首相とトランプ大統領の間で交わされた「非公開の会話」についてはコメントしないと述べた。 メイ首相は先週末のトルコ訪問時に、トランプ大統領による入国禁止措置を強く非難するよう求められたものの、即座に批判せず、英国内で激しい反発が沸き起こっていた。 首相官邸はその後、メイ首相は入国禁止に「同意しない」ものの、米国の入国管理は米政府の問題だとする声明を出した。 (英語記事 Trump state visit plan 'very difficult' for Queen)

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    米司法長官代行、大統領令に反発 政権はただちに解任

    現職大統領の政策について発言するのは異例。 <解説>「月曜夜の虐殺」? ――アンソニー・ザーチャーBBC北米担当記者 トランプ氏を批判する人たちは、「月曜夜の虐殺」と呼んでいる。ウォーターゲート事件の渦中にあった1973年に、当時のリチャード・ニクソン大統領が土曜の夜に司法長官をいきなり解任したのになぞらえている。 しかし今回は少し違う。サリー・イェーツ司法長官代行は、大統領令を法廷で弁護するなと司法省の法律顧問たちに指示することで、実質的にトランプ氏の対応を無理やり引き出したのだ。 間もなく新長官によって交代させられるオバマ政権の居残り組に、このような反抗的態度をとられて、トランプ氏が座視できるはずもなかった。しかし同時に、ホワイトハウスのチームは相変わらず、表現を激しく大げさにして音量を最大限に上げずにはいられなかった。イェーツ氏の解任を発表するのに、長官代行が司法省を「裏切った」とまで非難したのだ。 イェーツ氏解任に先駆けて、政権は国務省の外交官100人以上の書簡にも過剰に反応している。 発足からまだ1週間余りのこの政権は、自分たちをあらゆる形で妨害するワシントンの官僚組織に敵対心を抱いているのだろう。それは想像に難くない。敵対心と猜疑心(さいぎしん)に凝り固まった、塹壕(ざんごう)に立てこもっているような心理状態が今後も続くなら、今回の政治的流血は、単なる始まりに過ぎない。 (英語記事 Trump sacks defiant attorney general)