「事故調」で医療は信じられるか

「事故調」で医療は信じられるか

平成25年に医療機関から報告があった「医療事故」は初めて3千件を超えた。近年、医療過誤をめぐる民事訴訟や刑事捜査も増えていることから、平成27年秋から調査制度が始まる。果たして、医療者、患者・家族双方から信頼を得られるようになるのか。

宮田一雄の視点

 手術や治療を受けていた患者の予期せぬ死亡事故に対し、原因究明にあたる「医療事故調査制度」が平成27年秋に発足する。過去のさまざまな医療事故をめぐる事例から、第三者による事故調査の必要性は繰り返し指摘されてきたが、制度の具体的な運用方法についてはいまだ意見がまとまっていない。
 厚生労働省はこのため、「医療事故調制度の施行に係る検討会」を発足させ、11月14日の第1回会合以来、これまでに3回、会合を重ねてきた。検討会は医療関係者、法律家、医療事故被害者ら24人のメンバーで構成され、27年3月までに意見を集約する方針だが、医療被害者側からは「医療者側は責任回避をしたいのではないか」、医療者側から「医師個人の責任追及に使われてしまうのではないか」との声があがるなど、現時点ではなお、激しい議論が交わされている。
 だが、こうした意見の相違は必ずしも忌避されるべきものではなく、医療への信頼を取り戻すプロセスとして前向きにとらえていく必要がある。事故の再発防止につながる制度にしていくためには不可欠な議論だろう。医療事故調制度の仕組みと論点を紹介していこう。

問題は山積み

  • 拙速で稚拙な医療事故調は医療を崩壊させかねない

    拙速で稚拙な医療事故調は医療を崩壊させかねない

    医療事故調査制度の設立には様々な思惑が絡む。医療界を統制したい厚労省、医療事故を起こした医師の処分を願う患者・遺族、新たなビジネスと考える弁護士達である。東京大学医科学研究所特任教授の上昌広は拙速で稚拙な医療事故調は、我が国の医療を崩壊させかねないと指摘する。

「医療事故調」とは

 全国約18万カ所の病院や診療所、助産所が対象。診療行為に関連した患者の「予期せぬ死亡」があった際、病院は民間の第三者機関に届け出る。その上で病院が自ら調査し、結果を遺族と第三者機関に報告する。遺族に不服があれば、第三者機関に再調査を依頼することができる。
- 医療事故調査制度について《概要とQ&A》(厚労省)

誰がための「第三者機関」か

  • 果たして医療事故調査制度は機能できるのか

    果たして医療事故調査制度は機能できるのか

    なぜ「医療事故調査制度」は設立されることになったのか。そして、平成26年度中に結論をまとめる予定の厚労省の検討会で指摘されている論点とは。

相次ぐ医療事故

意見の隔たり大きく

 予期せぬ死亡の定義、院内調査や報告書のあり方などをめぐり、医療界の一部と医療事故遺族側との意見の隔たりは大きい。制度はどうあるべきか。医師と医療事故遺族の双方に話を聞いた。

(産経新聞《金曜討論》 2014.12.12)

  • 医師・佐藤一樹氏、医療事故調は「責任追及より安全確保」

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     来年10月から始まる「医療事故調査制度」で、運用指針を協議する厚生労働省の検討会での議論が白熱している。制度はどうあるべきか、医師の佐藤一樹氏に話を聞いた。

  • 医療事故遺族・永井裕之氏、医療事故調「『有名無実化』は避けよ」

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「事故調」で医療は信じられるか

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