松下幸之助にみる経営者たるもの

松下幸之助にみる経営者たるもの

「日本人は、衆知を集める国民やね」。昭和の歴史に名を刻むカリスマ経営者、松下幸之助。彼が残した数々の言葉は、今なお色褪せることなく、多くの日本人の心に響く。「経営の神様」とまで呼ばれた幸之助イズムにみる理想の経営者、リーダー像とは何か。

経営は生きた総合芸術

  • 松下幸之助が重視していた「経営力」とは

    松下幸之助が重視していた「経営力」とは

    経営は人間が行なうものであり、人間が幸せになるために行なう活動である――。そう信じた経営者・松下幸之助氏にとって「経営力」とはどのようなものだったのか。

松下幸之助とは何だったのか

197412
パナソニック(松下電器)
創業者の松下幸之助さん
=昭和49年12月
 2014年11月27日は、松下幸之助の120年目の誕生日だった。120年というのは大きな節目であり、これを機に今一度、日本を代表する「経営の神様」とは、どのような存在なのか、振り返り、噛みしめる好機だろう。
過去数年、幸之助への評価は下がっているように思う。現在のパナソニックの経営状態、あるいは松下政経塾OB政治家への評価などと絡めて振り返ることが多くなったためだ。いわく「幸之助は100年、200年残るものを目指して経営をしていたというが、大したことはなかった」「本物の政治家を育てるとして政経塾をつくったはずなのに、あそこからそういう政治家は生まれただろうか」という厳しい見方だ。一言でいえば、過小評価が広がっているように思う。
 しかし、現状からの振り返りで過去を見るのは、必ずしも適切ではない。幸之助の哲学が、次代の日本を担う経営者に引き継がれないのだとしたら、大きな不幸だ。
生誕120年、「松下幸之助」とは何だったのか(東洋経済オンライン 2014.11.29)

時代を生き抜く力

  • あの「名経営者」はどんな教養を身につけてきたのか?

    あの「名経営者」はどんな教養を身につけてきたのか?

    名経営者、プロビジネスマンと呼ばれる人ほど「教養」がある。名経営者たちはどんな教養を身につけ、それをどう活かしているのか。数々の名経営者たちへの取材経験を持つジャーナリストの勝見明氏が解説する。

発想の底流にあるもの

 ドイツの哲学者、ヘーゲルは近代になって形成された市民社会を「欲望の体系」と定義した。「親和」を基調とした共同体社会から、市民社会に放り出された諸個人は、自らの欲望によってのみ生きざるをえない。
 放置すると野放図な社会になってしまうため、国家は欲望を規制するために、刑法や民法、商法をはじめとする、さまざまな特別法の投網を打つ。
 だがこの網の目は、きわめて粗い。粗くしないと、とりわけ民主主義制度の国家においては、市民の自由に抵触してくるからだ。
 ここから、ふたつの発想が生まれる。ひとつは「法に触れなければ、なにをしてもいい」という放恣(ほうし)な発想、もうひとつは「法には触れなくても、道徳に反することはしない」という倫理的な発想である。
 大ざっぱにいえば、バブル崩壊後の日本の社会は、前者の発想だけがバッコし、加速度的に増大したように思える。
 とりわけ経済の世界においては、「儲(もう)けること」だけが至上命令となった。その極北にあるのが、ブラック企業であろう。ほとんど労働者の「生」をも食いつぶしている。
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松下政経塾の塾生と懇談する松下幸之助相談役=昭和59年8月
 決定的に欠けているのは、「商道徳」とも呼ばれたりする後者の発想である。日本資本主義の勃興期において、「商道徳」はかなり重要な位置を占めていた。
 明治の実業界の大物、渋沢栄一は『論語と算盤』という名著を書き、経済人のあるべき姿として「利潤と道徳を調和させる」ことの重要性を説いた。この伝統は、松下幸之助の時代あたりまでは生きていた。
 まさかヘーゲルを読んでいたわけではないだろうが、松下は欲望の重要性を指摘したうえで、「欲望の善悪は、それを満たそうとする行いが、お互いの繁栄、平和、幸福を進めるか損なうかによって決まります」(『松下幸之助の哲学』から)と書いた。
 渋沢や松下の発想の底流にあるのは、儒教の思想であろう。こうなると、その伝統は400年も前にまでさかのぼることができる。
 江戸初期、徳川家康に仕えた林羅山の師匠である儒者、藤原惺窩(せいか)は貿易業をいとなむ門人に対し、「凡そ回易の事は有無を通じて以て人己(おのれ)を利するなり。人を損じて己を益(ま)すにあらず」と説いた。利を求めてもいいが、その場合、商売相手や客に損をさせないよう、よく考えなさいよ、といったほどの意味である。
 長らく根づいていたはずの「商道徳」の伝統は、わずかこの四半世紀の間に、かなぐり捨てられた。まるで違う国になってしまったようである。
 作家の三島由紀夫は死の数カ月まえ、本紙にエッセーを寄せ、「このまま行ったら『日本』はなくなってしまうのではないかという感を日ましに深くする」と予言した。
 エッセーは「その代わりに、(略)富裕な、抜け目がない、ある経済的大国が極東の一角に残るのであろう」と続くが、予言は半分しか的中しなかった。
 富裕な経済的大国など、どこにも残っていないからだ。法の網にかかるかもしれないと知りつつ、意図的に「頭を真っ白」にさせた、抜け目のない経済人が生きのびただけである。
(産経新聞論説委員 福島敏雄)

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