大河ドラマはなぜつまらなくなったか

大河ドラマはなぜつまらなくなったか

今年の大河ドラマ「花燃ゆ」がスタートした。「女が主役ではつまらない」「これから盛り上がるはず」…。こんな大河談義があちこちで聞かれるのも、「国民的ドラマ」として注目される所以である。とはいえ、ヒットが出ないと揶揄され続ける昨今の大河ドラマ。なぜ、つまらなくなったのか。

「イケメン大河」に路線変更

 『花燃ゆ』は井上真央演じる主人公、杉文を囲むキャストが杉文の兄、吉田松陰役の伊勢谷友介をはじめ、大沢たかお、東出昌大、高良健吾、要潤とイケメン俳優ばかりであることから「イケメン大河」とも呼ばれている。
 当 初より“幕末男子の育て方”という、大河らしからぬキャッチコピーが掲げられた『花燃ゆ』。製作総指揮を務める土屋勝裕プロデューサー自ら、女性たちに見 てもらうために「イケメン俳優たちをキャスティングした」と女性セブン(2015年1月29日号)でコメントしており、それに対し、ネットでは「発想が安易」「歴史を軽視」「視聴者を甘く見るな」という批判の声もあがっている。
 さらに、国語辞典編纂者の飯間浩明氏がツイッターで1月4日の第一話 で登場した書物の書体にパソコンのフォントが使われていると指摘した上で「美術スタッフに筆文字の書ける人が少なくなっているのではないかと心配します」 と嘆き、大きな反響を集めた。歴史解釈をはじめ小道具や衣装など細部にまで厳しい目が向けられる大河ドラマ。若者や女性をとりこむことばかりを考えて長年 の大河ファンが愛想を尽かすことがなければいいのだが。 
 

辛口、吉田潮が斬る

  • なんとなく薄気味悪い 大河ドラマの「妹路線」

    なんとなく薄気味悪い 大河ドラマの「妹路線」

    ここ数年、大河ドラマに熱い思いを寄せたことがほとんどないという辛口でおなじみのライター、イラストレーターの吉田潮が他のドラマと異なる、最大のデメリットを抱えている大河ドラマが取った作戦を鋭く斬る。

視聴率低迷のわけは

 昨年の大河ドラマ「軍師官兵衛」の平均視聴率は15・8%。関東では、平成23年「江~姫たちの戦国~」の17・7%以来、3年ぶりに15%を超えたが、「秀吉」(平成8年)、「武田信玄」(昭和63年)、「独眼竜政宗」(62年)などのように期間平均視聴率30%台を記録したころの勢いはなくなっている。特に最近は昨年の「八重の桜」(14・6%)、一昨年の「平清盛」(12・0%)と不調が続いている。
 今年の「花燃ゆ」の初回視聴率(総合テレビ)は16・7%。史上最低だった昭和64-平成元年の「春日局」(14・3%)、昭和52年の「花神」(16・5%)に次ぐ大河ワースト3だった。
 大河ドラマ「低迷」の理由について、影山貴彦・同志社女子大教授(メディア論)はこう指摘する。「大河ドラマは民放なら1時間以上に相当し、しかも歴史物の濃い内容のものが多い。それをリアルタイムで1年間視聴するのはしんどい。朝ドラのように15分のコンパクト型が、生で見るにはしっくりくるのではないか」。(ビデオリサーチ調べ、関東地区)
■ 過去の視聴率データ > NHK大河ドラマ(ビデオリサーチ)

なぜ松陰の妹?

 大河では38年ぶりに幕末の長州が舞台。吉田松陰や高杉晋作など、ドラマになりそうな人材の宝庫なのに、主人公に「松陰の妹」という“マイナー”な人選。「吉田松陰の妹って、誰だよ…」「もっと王道な人を取り上げてほしい」と疑問や不安を抱くネットユーザーも少なくない。さらに「女性主人公で、幕末の動乱を描けるのか」という問いかけも多い。
■ 新大河『花燃ゆ』主人公めぐる“困惑”と“自信” (産経新聞、2014.12.23)

出遅れから巻き返せる?

  • 「花燃ゆ」大コケの背景に作品巡る政治的配慮あり

    「花燃ゆ」大コケの背景に作品巡る政治的配慮あり

    「花燃ゆ」が視聴率歴代ワースト3位という不名誉な記録とともにスタートした。大コケの背景には作品を巡る”政治的配慮”があると指摘するのは、本作決定時からその経緯に疑問を呈してきたジャーナリストの鵜飼克郎氏である。

  • 「花燃ゆ」視聴率は出遅れ気味でも期待できるの評

    「花燃ゆ」視聴率は出遅れ気味でも期待できるの評

    いわゆる「ツカミ」はどうか。ドラマの序盤、目先の視聴率だけでは測れないポテンシャルをどう見るか。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が2015年のNHK大河について分析した。

大河よ、「妖怪ウォッチ」になれ!

 最近、「大河ドラマがつまらなくなった」という声をよく聞く。
 メディアでは頻繁に取り上げられるネタの一つだが、かくいうiRONNAでもとうとう大河ネタをテーマに扱った。
 私事で恐縮だが、大河ドラマと言えば、何を置いても「独眼竜政宗」(1987年放送)である。主役を務めた渡辺謙の人間味あふれた熱演もさることながら、他の配役や原作者、山岡荘八の世界観を忠実に再現したストーリーに至るまで、強烈な印象として残っている。
 当時、筆者は小学生だったが、物語の中盤以降はクラスの男子仲間が集まって、「あのシーンは良かった」などと真剣に大河談義で盛り上がったことをよく覚えている。なにより、それまで日本史に興味がなかった筆者でさえ、このドラマを通して「歴史をもっと知りたい」という知的欲求をかき立てられ、日本史の勉強に没頭したほどだから、かなり感化されていたことは間違いない。
 なぜ、それほどまでにのめり込んだのか。今となって思えば、ただ「流行に乗り遅れたくない」という単純な子供心だったような気がする。今の時代で言えば、きっと「妖怪ウォッチ」にはまる小学生のようなノリだったのだろう。要するに、大河ドラマそのものが当時は社会現象であり、史実を知らない子供にまで影響を与えるほど絶大だったのである。
 むろん、テレビが地上波しかなかった当時と娯楽が多様化した現代を単純に比較することは無意味かもしれないが、最高視聴率が40%を超えたTBSドラマ「半沢直樹」のように、近年でもドラマが社会現象になることは間々ある。
 言うまでもなく、大河の制作側もこれまで「一発当てたい」との思いでつくってきたのだろうが、昨今の大河はどうも「視聴者」よりも「ご当地」をあまりに意識しすぎてはいないだろうか。
 今年の大河「花燃ゆ」は、歴史に興味がない女性を狙って、配役にはイケメンばかりを揃えたそうだが、今のところヒットの兆しはみられず、注目されるのは低い視聴率ばかりである。
 どうせターゲットを意識するなら、いっそのこと小学生くらいまで目線を下げてみてはどうか。大河が「妖怪ウォッチ」になれば、それはもう立派な社会現象であり、これまでとは違った意味で注目されることは間違いないのだから(笑)。(iRONNA編集長、白岩賢太)
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