「人民元帝国」に日本は呑み込まれるか

「人民元帝国」に日本は呑み込まれるか

中国通貨の存在感が国際社会で増している。人民元は国際銀行間の決済通貨としてのシェアを着実に増しつつあり、人民元建てによる貿易の決済額はすでに円を抜き去ったとも言われる。近い将来、毛沢東の肖像画入り紙幣が世界に溢れる日がやってくる!? 

小島新一のズバリ正論

 毛沢東の肖像画入り紙幣が世界に溢れる日がやってくる!? 国際社会における人民元の存在感増大がとまらない。
人民元は国際銀行間の決済通貨としてのシェアを着実に増しつつあり、人民元建てによる貿易の決済額はすでに円を抜き去ったといわれている。今春には人民元が国際通貨基金(IMF)の仮想通貨「SDR」の構成通貨に認定されてドル、ユーロに次ぐ世界第3位の国際通貨の座につくという観測もなされている。
 4兆ドルともいわれる巨額の外貨準備にモノを言わせることにも抜かりはない。
記念写真に納まる中国の習近平国家主席(前列中央)と
「アジアインフラ投資銀行」設立に基本合意した各国代表
 昨年11月、日本が総裁席を確保してきたアジア開発銀行(ADB)に対抗する中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立を北京APECの場でぶちあげ、直後にはヨーロッパとの間の陸路、海路(アフリカ経由)を開発する400億ドルの「シルクロード基金」の創設も発表した。7月にはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国(BRICS)が100億ドルずつ拠出する「新開発銀行」を設立し、上海に本部を置くことが決まっている。
 そこには、巨額投資で周辺地域や新興国への影響力を確立しようという中国の露骨な野心がみてとれる。
 冒頭に記したような、人民元紙幣が各国の街角で飛び交う光景は電子決済が主流の現代では想像しにくい。しかし、この厄介な反日国家の通貨の影響力増大は、経済力が命綱の日本にとって脅威であることは間違いない。
 2010年にGDP(国内総生産)で中国に抜かれても、われわれは、「中国のバブル崩壊は近い」「いや、すでに崩壊は始まっている」といった楽観的な予測・観測に胡座をかいてきたのではないか。2013年の中国のGDPはすでに日本の2倍に達し、今月20日には2014年のGDPも前年比7・4%増と発表された。成長が鈍化してきているとはいえ、消費税増税の影響にあえぐ日本とは大違いである。
 こうした数字の信用性に疑問があるのはもちろんだし、今後中国経済が破綻する可能性もある。だが、自由や民主主義、人権の重視といった価値観でわが国とは決して相容れない中国が、軍事力と経済力でアジアの覇権を握る悪夢のような状況への対処は考えておかなければなるまい。
 人民元は本当に「強い」のか。「強さ」の秘密は。日本に対抗策はあるのだろうか。

「正論」3月号先行配信

  • 不動産バブル崩壊でも人民元が増長する秘密

    不動産バブル崩壊でも人民元が増長する秘密

    習近平氏率いる中国が「人民元帝国」建設に向け血眼になっている。中国の執拗なまでのワシントンでのロビー活動の結果、早ければこの5月には人民元がIMFの仮想通貨「SDR」の構成通貨に認定され、円をしのいで一挙に世界第3位の国際通貨の座につく公算が出てきたという。

新シルクロード構想

  • 日本の“孤島化”を目論む中国

    日本の“孤島化”を目論む中国

    北京APECは中国によるアジアの覇権「奪取宣言式」だったのか。野望を後押しするのは軍事力だけではない。

中国経済は曲がり角


中国経済が現在、曲がり角にさしかかっている。このことは多くの人が認識しているだろう。「影の銀行」による信用膨張、急速な高齢化の進行、深刻化する格差問題や環境問題、バブル崩壊の危険性など、さまざまな問題やリスクの存在が指摘されている。もちろん、経済格差などの問題はこれまでにも存在してきた。しかし、長期間にわたって継続してきた年間10%前後の経済成長が、さまざまな矛盾が顕在化するのを先送りにしていたといえよう。それが、経済の減速が明らかになったため、上記のような問題に対する懸念も一気に吹き出してきたのである。


成長率も目標下回る

 中国国家統計局が1月20日発表した、物価変動の影響を除いた実質で2014年のGDP成長率は前年比で7・4%増。3年連続で8%を割り込み、14年は政府目標の7・5%を下回った。目標未達は1998年以来16年ぶり。成長率としては天安門事件の影響で3・8%まで落ち込んだ90年以来、24年ぶりの低い水準だった。2010年に日本を追い抜いて世界第2の経済大国となった中国。世界経済は対中依存度を一段と高めており、その成長鈍化や失速への警戒を強めている。

2千年の歴史に学べ

  • なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか

    なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか

    経済成長の鈍化を覆い隠すように習近平政権はウルトラ・ナショナリズムに走っている。ならば2000年の歴史から何を学び、いかに「中国抜き」の国家戦略を構築するべきか。「誰よりも中国を知る男」石平が提言する。

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人民元は「世界通貨」に成り得ると思いますか?

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