大人になります、教養ってなんですか。
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大人になります、教養ってなんですか。

いまの大人は教養を身に付けているのだろうか。そもそも人としての品格にもつながる教養とは何か。それは知識の量なのか、正しい振る舞いのことなのか。今月、二十歳になったばかりのiRONNA特別編集長、山本みずきが新成人を代表して世の大人たちに問う。大人の教養ってなんですか?

いまの大人は教養を身に付けているのだろうか。そもそも人としての品格にもつながる教養とは何か。それは知識の量なのか、正しい振る舞いのことなのか。今月、二十歳になったばかりのiRONNA特別編集長、山本みずきが新成人を代表して世の大人たちに問う。大人の教養ってなんですか?

言葉が大人を表す

 大学の講義中、ロシア語の教科書をパラパラとめくっていると、次の一文が目に留まった。
 "где много слов, там мало мудрости" (言葉の多いところに知恵は少ない)
 日常会話やネットの投稿文など、社会に溢れかえる「言葉」に触れるたびに私自身が肌で感じていた感覚を、この諺によって言い当てられた気がした。沈黙を恐れる余り無理にひねり出す無様な言葉、身勝手に自己主張するためだけの言葉、軽々しい馴れ合いの言葉、これらによって、会話の静寂(しじま)を楽しむ余裕さえ消えてしまった。 現代人はみな不安を抱え、一人を恐れ、他者からの評価を気にして、その不安から、ただひたすらに自己主張に走る。
 先日、ある会食の席で私はこのことを痛感した。共にテーブルを囲んだ10人は、いずれも初対面の人が多く、皆が遠慮がちに挨拶を交わし談笑していたが、この沈黙を突然破るような言葉を一人の男性が言い放ったのである。やがて、彼の一人語りが始まる。武勇伝、若者への説教、持てる限りの知識のお披露目、会場の隅で発散される悲しい承認欲求が、私には大変憐れに思えた。言葉の多い者の話は知恵のない、乏しいものだ。その時間を有意義にする努力も、他者を楽しませようとする心遣いも欠けていたのである。
 一瞬の隙にウィットに富んだ一言でその場を和ませる、これこそが本物の「大人」の振る舞いであると私は思う。
 こうした光景は何もこの会食だけではない、いつもそうである。 そこに集う方々は若くてもせいぜい三十過ぎで、私はいつも最年少だった。だからこそ、立場の弱い私を標的に「君のためを思って言うのだが…」という前置きとともに、ずけずけと踏み込んでくる。
 当然、私は末席の立場である。会食の席では多くの人が権威ある者に群がり、私とその方とで明らかに態度を変える、私はそんな大人のあけすけな振る舞いをこの目でみてきた。しかし、先に述べたような他者のために言葉を使う、本当の意味での「大人」とは、どんなに世間で尊敬される人物であっても、20歳の私に対して敬語を使い、個人的な話にも誠意をもって耳を傾けてくれる。お互いに敬意を払う姿勢は、いつも私の心に触れるのである。
 「言葉」を自分のために使うのではなく、「他者」のために使える人間こそ、大人だと思った。ふと日常を見渡してみると、言葉を交わしながらも、双方の間に「断絶」を感じることが多い。まるで別の時間を生きるかのように。お互い自分しか見ていないにも関わらず、共感し、慰め合うその光景は、実は理解し合っていないのかもしれない。
 かの有名な作曲家、ショパンが故郷ポーランドを離れてパリへ移るとき、彼の父はこう言ったという。「上流社会で成功する秘訣は、多くを語らないことだ」。会話というのは、その人の知性が試される機会でもある。
 本日のテーマ「大人になります、教養ってなんですか。」は、自分の内面をいま一度見つめ直すという意味も込めている。成人したからといって、いきなり環境や周りからの評価が変わることはない。しかし、成人の日を機に、私達は少しずつ「大人の世界」に踏み込んで行く。今回の企画がそのような新成人の不安を少しでも解消し、また「2015年の新成人」の視点に興味を持つ大人の読者の方々の好奇心にも応えられるものであれば、これほどの喜びはない。(山本みずき)

山本みずきが直撃

学生のうちにやるべきこと

7割「自分たちが日本を変える」

※マクロミル調べ
 調査会社のマクロミル(東京都港区)が昨年12月、今年の成人式の参加対象男女に実施した「新成人に関する調査」(有効回答500人)で、自分の未来は「明るい」と回答した人が68%を占めた反面、日本の未来が「明るいと思う」「どちらかといえば明るいと思う」と回答した人は34%と、昨年の調査よりも10ポイント下がった。
 また、これからの日本の政治に「期待できない」と答えた人が81%に上り、7割の人が自分たちの世代が日本を変えていきたいという意気込みを示している。
■ 2015年 新成人に関する調査(マクロミル、2015.01.08)

大人の皆さんは本当に正しいのですか

10歳、30歳でも「成人式」

成人式から10年後の節目を祝う「三十路式」を開く試みが、全国に広がっている。地元を離れて疎遠になった同級生との絆の確認や、地域社会のつながりの強化が狙い。専門家は「経済的にも自立する時期。業種や立場を超えた交流は、生き方を振り返るよい機会になる」と分析している。広島大大学院の岡本祐子教授(発達臨床心理学)は「就職などで社会的な居場所が定まり、アイデンティティーが形成された時期の交流は、自らの生き方への刺激になるはず」と話している。 生き方再考「三十路式」絆確認(日経新聞 2014.1.27)
10歳の門出?「2分の1成人式」広がる(SAPIO 2014年12月号)

荒れる「成人」だっています


二十歳に記す

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