どん底の貧困に救いはあるか
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どん底の貧困に救いはあるか

高度経済成長期の「一億総中流」を知っている世代にとって、今日の格差問題は理解できないかもしれない。当時、社会の強さと安定は、分厚い中流層によって支えられていた。しかし、いま高齢者、子供、女性……、弱く稼げない層に貧困が忍び寄る。

高度経済成長期の「一億総中流」を知っている世代にとって、今日の格差問題は理解できないかもしれない。当時、社会の強さと安定は、分厚い中流層によって支えられていた。しかし、いま高齢者、子供、女性……、弱く稼げない層に貧困が忍び寄る。

前田守人の視線

 多くの人が「自分は中流だ」と思える社会がいかに理想的か。多少お金持ちがいて、憧れたり羨ましく思うのは健全だが、貧困層が広がっていく社会は長続きしないような気がする。だが、日本はその道を突っ走っている。
 世界一の高齢社会をどう維持していくのか。年金、医療、介護、生活保護の費用をどうするのか。貧困層を救い上げ、所得を引き上げるのは政治、行政、企業の努力が欠かせない。そして、社会保障と税の一体改革に、いま取り組まなければ、日本の未来はない。

明日がみえない

単身女性3人に1人が「貧困」

 単身で暮らす女性の3人に1人が「貧困状態」-。こうした調査結果が注目され、「女性の貧困」にスポットを当てた書籍が昨年来相次いで刊行されている。労働市場で女性の活用が叫ばれる一方、社会から見えない場所で苦しむ女性は少なくない。貧困は女性だけの問題ではないが、実態が見えにくい分、議論や支援が遅れている現状がある。
 国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩部長が平成25年国民生活基礎調査を基に分析したところ、所得格差を示す相対的貧困率は、20~64歳の1人暮らしの女性で33・3%。男女別にみると40代以降で格差は広がり、70代の1人暮らしの女性では46・3%が貧困。女性の苦境が際立っている。
 阿部部長は「日本で貧困問題が注目されるきっかけになった平成20年末の『年越し派遣村』にいたのはほとんどが男性。女性はホームレスになる前に、性産業などに取り込まれてしまうので、貧困問題は従来ほとんど議論されてこなかった」と指摘する。

相対的貧困率とは国民を所得順に並べて、真ん中の順位(中位数)の人の半分以下しか所得がない人(貧困層)の比率を意味する。つまり、中位の人の年収が500万円だとしたら、250万円以下の所得層がどれだけいるかということだ。


現代の「母子家庭像」

子供も高齢者も悪化

 2014年7月15日に発表された厚生労働省の国民生活基礎調査によると、平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の子供の割合を示す「子どもの貧困率」が平成24年時点で16・3%と過去最悪を更新した。前回調査の21年時点から0・6ポイント悪化。同省は悪化の原因について「デフレ真っただ中の経済状況で子育て世帯の所得が減少したことが最大のダメージだ」と分析している。
 また、介護が必要な65歳以上の高齢者がいる世帯のうち、介護を担うのも65歳以上という「老老介護」の世帯の割合は25年時点で51・2%と半数を超えたことも判明した。また、大人も含めて生活が苦しい人の割合を示す「相対的貧困率」は前回調査から0・1ポイント悪化の16・1%で、昭和60年の調査開始以降で初めて子どもの貧困率が上回った。
 深刻化する子供の貧困問題に対応するため、政府は8月29日に「子供の貧困対策に関する大綱」を閣議決定。親から子への「貧困の連鎖」の解消を目指し、具体的な支援や負担軽減策を盛り込んだ。

心の叫びは届くか

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