シェール革命は失敗なのか
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シェール革命は失敗なのか

石油に依存するわが国にとって、原油安は福音だ。だが、そう楽観もしていられない。シェール革命のウソが金融システム崩壊の引き金になるかもしれないからだ。シェール革命が引き起こす危機の本質とは。そして、2015年の世界経済の波乱要因とは。

石油に依存するわが国にとって、原油安は福音だ。だが、そう楽観もしていられない。シェール革命のウソが金融システム崩壊の引き金になるかもしれないからだ。シェール革命が引き起こす危機の本質とは。そして、2015年の世界経済の波乱要因とは。

前田守人の視線

 シェールガス・オイルの生産増加と原油の下落で、米国の消費者は大喜びだ。一方で、日本の総合商社はシェールガス・オイル田の開発事業に投資して大幅な損失も出している。金融業界が主導して進められてきたシェール革命も採算が取れなくなると、シェール企業の多くが破綻しかねない。
 欧州の景気低迷、中国の成長率鈍化による原油需要の低迷、シェールガス・オイルの供給過剰などで、しばらく原油価格は上がらないだろう。問題はその先にある金融危機への対処ではないか。

原油安が引き金か

「シェール革命」とは

 シェールオイルは、頁岩(けつがん)(シェール)と呼ばれる硬い岩盤に閉じ込められた石油を指す。シェールガスは頁岩から天然ガスを取り出したもの。「シェール革命」とはこれらの石油や天然ガスによってもたらされるエネルギー革命。どちらも従来は取り出すのが難しかったが、採掘方法が近年編み出され、新しいエネルギーとして期待が高まっている。米国エネルギー省によると、世界の採掘埋蔵量は3450億バレルと、石油の総埋蔵量の約1割を占める。

米に追随する国は

大前研一が解説

巨額損失について説明する住友商事の中村邦晴社長
 住友商事はシェールオイル開発などの投資回収が見込めなくなったことで、2015年3月期の連結決算に減損損失2700億円を計上するという。住商は1990年代に銅地金取引で26億ドル(現在のレートで約2800億円)という巨額損失事件を起こしたことがあるが、再び資源でつまずいたわけだ。
 銅地金取引では、当時の非鉄金属部長が暴走して大損失をもたらしたが、今回は4つの事業がかかわっている。オーストラリアの石炭開発で300億円、ブラジルの鉄鉱石開発で500億円、米国のタイヤ事業で200億円を損失計上しているが、中でも大きいのが、米テキサス州のシェールオイル開発の1700億円だ。
 シェールオイルは地下深くの泥岩(シェール)層の微細なすきまに閉じ込められた原油の一種。同じ層には天然ガス(シェールガス)も埋まっていて、2000年代に入ってから米国、カナダの北米で本格的に開発が進んだ。
 世界の資源メジャーなどが投資に乗り出していて、日本の商社や電力、ガス会社にも「シェールオイルは割安な資源だから、一緒にやりませんか?」という誘いの声が多数あった。
 しかし、地下に眠るシェールオイルの埋蔵量や採掘の方法などは、実際にやってみて初めてわかることも多かった。住商よりも先行していた三井物産や大阪ガスなども14年3月期決算でシェール関連の損失を計上している。
 住商は一昨年に約1100億円を投じたが、試掘してみたら想像以上に油層が複雑で採掘コストがかかることがわかり、石油やガスの生産量が資金を回収するほど見込めないと判断したという。アメリカ企業も短期間で鉱脈が枯渇したりしてブームとはやし立てられるわりには、あまり成功話が聞かれなくなっている。(大前研一のニュース時評 住商、資源投資に急ブレーキ - 夕刊フジ、2014.10.12)

大いなるペテン、シェールガス(ル・モンド・ディプロマティーク日本語・電子版、2013年3月号)

早くから生産拡大に疑念

シェール潰しで暗躍?

足元見られる資源外交

シェール革命は失敗なのか

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