もう太陽光には騙されない
4242

テーマ

もう太陽光には騙されない

2030(平成42)年の「エネルギーミックス(電源構成比)」の議論が佳境を迎えつつある。ところが、その前提となる電力需要の総量に疑義が示されている。つじつま合わせのために、「深掘り」される太陽光などの再エネと省エネが要注意だ。

2030(平成42)年の「エネルギーミックス(電源構成比)」の議論が佳境を迎えつつある。ところが、その前提となる電力需要の総量に疑義が示されている。つじつま合わせのために、「深掘り」される太陽光などの再エネと省エネが要注意だ。

大江紀洋の視点

 エネルギーミックスの議論が佳境を迎えつつある。
 エネルギーミックスとは、日本の電源構成のことで、現在議論しているのは2030年段階における姿だ。経済産業省の有識者会合で議論が進んでおり、「再エネ(再生可能エネルギー)は30%を目指せ!」「原子力は20%は維持を!」といった数字が紙面を賑わせている。
 ところが、その前提となる電力需要の総量に疑義が示されている。分数の分子の議論に集中していたら、分母がおかしかった、というようなものだ。
 3月19日の日経新聞の経済教室で、野村浩二・慶應義塾大学准教授はこのように指摘している。
 「政府はこの20年以上、コスト負担を顧みることなく、省エネ努力を数量的に積み上げることに腐心してきた。省エネの過大推計は、電力需要の過小推計を導く。そして二酸化炭素排出量を小さく、電力構成における再エネ比率を大きく見せる。ゆえに理想的な政策目標に近づけるには、禁断の果実となる」
 世論受けを狙う政治家としては、再エネ比率をできる限り高く見せたい。地球温暖化問題で国際的にアピールしたい政治家としては、二酸化炭素排出量の削減目標を少しでも積み上げたい。しかし、どちらも、どれくらいの国民負担が必要かという現実問題を考えると、頭が痛くなる。だったら分母を小さくしてしまえばいいじゃないかというのが「省エネ努力の積み上げ」なのだ。
 3月31日に開催される省エネルギー小委員会では、省エネの見積もりについての議論がなされるようだ。再エネや原子力に関心がある読者の皆さんには、ぜひこのテーマにも関心を持っていただきたい。(Wedge編集長 大江紀洋)
   

直視すべき「不都合な真実 」

2030年電源構成の青写真

 どのような発電方法を組み合わせて、将来の電力確保を目指すのかを国が示す「エネルギーミックス(電源構成比)」を議論する経済産業省の有識者会議「長期エネルギー需給見通し小委員会」。平成42(2030)年の電源構成比について、今夏をめどにとりまとめる方針だ。
 東日本大震災後、国内すべての原発が停止。電力の不足分を穴埋めする火力発電向けの燃料費が増加したため、震災前に比べて電気料金が2~3割上昇した。今後の議論で、火力などと比べて発電コストが安い原子力発電の比率や、再生可能エネルギーをどこまで拡大させるかが焦点になる。
 原発の耐用年数を40年とする規制があり、すべての原発が40年で廃炉になると仮定すると、42年時点の原発比率は15%程度になる。運転を20年延長できる制度を一部原発で適用し、建設中の2基(島根原発3号機と大間原発)の新規稼働分を上積みすると原発比率は2割に近づく計算になる。(産経新聞 2015.1.30
 ■「過少な電力需要推計」に疑義 「長期エネルギー需給見通し小委員会」は2月末、経済成長率を1・7%と仮定し、省エネ効果を織り込む前の42年の電力需要を1兆1440億キロワット時と示した。また、幅広い省エネ対策で需要を18%減らせると暫定的に試算した。これに、委員からは「需要推計が過小だ」との指摘が出た。電力需要は経済成長に応じて増える法則があるが、42年までの伸び率が低すぎるためだ。温暖化ガスを排出しない原発は、世論の反発を考えると高い供給比率を打ち出せない。再生可能エネルギーも、将来の導入促進費の国民負担増が懸念され、「政府は省エネに頼らざるをえない」(専門家)のが実情だ。そのため経産省は省エネ効果に加え、電力需要見通しを再検討。省エネ後の見通しを修正する方向だ。(産経新聞 2015.3.24)
 ■長期エネルギー需給見通し小委員会(第4回会合) ① 

新たな国民負担になりかねない

経産省指針「原発・水力・石炭で電源6割」

 経済産業省は30日、平成42(2030)年の電源構成比を検討する有識者会議を開き、政府がベースロード電源と位置付ける原発、水力、石炭火力による発電量を、全体の6割以上に高めるべきだとの見解を示した。経産省は先進主要国並みの6~9割程度に近づけることが望ましいとした。東日本大震災前は、原発、水力、石炭火力による発電割合が6割程度で推移していた。だが、震災後は原発の停止により約4割に低下している。震災前は原発が電力供給の約3割を占めただけに、ベースロード電源を6割超に高めるには、一定程度の原発活用が不可欠になる。(産経新聞 2015.3.30)

ベストミックスの焦点

もう太陽光には騙されない

みんなの投票

30年後、日本のエネルギー源として再生可能エネルギーを電力の主力にできると思いますか?

  • できると思う

    568

  • できると思わない

    3417

  • どちらともいえない

    257