愛国者か、テロリストか

愛国者か、テロリストか

リッパート駐韓米国大使がソウルで暴漢に切りつけられた。犯人は米韓同盟に楔を打ち込むためか、テロを決行した。今回の事件で思い出されたのは韓国で「義士」「英雄」と呼ばれる安重根のテロである。伊藤博文を暗殺した安重根は愛国者なのか。韓国はテロリストを英雄視することの危険性をわかっていない。

前田守人の視線

 韓国では、日本に対してならテロであろうと、仏像を盗もうと、新聞記者を出国禁止にしようと、何でもありだ。こうした「反日無罪」の風潮は、お互いを感情的にさせ日韓関係を悪化させている。特に慰安婦問題に代表される日韓の歴史に対する姿勢には大きな違いがある。韓国では、歴史的な事実よりも「こうあってほしい歴史」が教えられ、歴史認識で両国が歩み寄るのはほぼ不可能だろう。
 とはいえ、日韓が離反すればするほど、喜ぶのは北朝鮮と中国である。もちろん、日米韓の関係性は安全保障上も強化されるべきだとはわかっているのだが、「反日」ばかり叫ばれるとついつい感情的になって、心が離れてしまう。

『Voice』5月号先行配信

  • 第二の安重根が生まれる日

    第二の安重根が生まれる日

    安重根は本当に韓国が称える通り「英雄」なのか―。安重根のノンフィクションを上梓する早坂隆と、韓国の「反日思想」に詳しい拳骨拓史が徹底討論。早坂は安による伊藤博文暗殺を「義挙」と称える行為は、国家としてテロを助長するような愚行だと警告する。

反米機運の中の凶行

リッパート駐韓米国大使襲撃事件を
報じた3月6日付の韓国各紙(共同)
 3月5日午前、ソウル市中心部で、マーク・リッパート駐韓米大使(42)が刃物を持った男に襲われ、顔と手首などを負傷した。大使の命に別条はなかったが、右頬からあごにかけて長さ10センチ超、深さ約3センチの傷を負い、約80針を縫う手術をした。
 男は政治団体代表、金基宗容疑者(54)で、報道によると、動機について「南北和解の雰囲気を阻害する軍事演習への抗議」と供述した。キム容疑者は2010年7月、重家俊範駐韓日本大使(当時)にコンクリート片を投げつける事件を起こし、懲役2年、執行猶予3年の判決を受けたこともある。
 事件は、シャーマン米国務次官が「歴史問題をめぐる日中韓の対立は3カ国ともに責任がある」という趣旨の発言をしたことに対し、韓国側が「日本寄りだ」と反発するなど米韓関係がぎくしゃくする中で発生。更なる関係悪化が懸念されていた。
(共同)

安重根(アン・ジュングン)

1879年、朝鮮半島の鎮南浦(現在の北朝鮮・南浦)出身。朝鮮の日本への従属に反発し、ロシアのウラジオストクに移り抗日運動を展開。1909年、ハルビン駅に到着した直後の伊藤博文・初代韓国統監を短銃で射殺した。翌年、死刑判決を受け旅順刑務所で処刑された。

危険水域に入った

  • 韓国で結びつくナショナリズムとテロリズム

    韓国で結びつくナショナリズムとテロリズム

    素直に言うが、韓国でナショナリズムとテロリズムが結びつき始めている―。佐藤優がリッパート駐韓米国大使襲撃事件から韓国に起こりつつある厄介な状況を警告する。

  • 「韓国は反日劣等感を捨て国際社会で力を養え」と韓国人作家

    「韓国は反日劣等感を捨て国際社会で力を養え」と韓国人作家

    韓国人はなぜ、日本への復讐心と劣等感を拭い去れないのか──この謎に迫り、昨夏、韓国で大論争を巻き起こした話題書『あなたたちの日本』の著者・柳舜夏と韓国関連書も多い作家・井沢元彦が韓国が抱える「歴史の宿痾」を論じ合った。

テロ事件余聞

リッパート駐韓米国大使の退院
を受け、米大使館周辺で韓米同盟
の強化を求める保守団体メンバー
=3月10日、ソウル(共同)
 韓国ではリッパート米大使に対する「反米テロ事件」の後、逆に親米ムードが高まっている。入院していた大使にはたくさんの見舞品が届けられたのだが、その中に「犬肉とワカメ汁」があり話題になった。いずれも伝統的には産後の肥立ちなど元気回復にいいとされている食べ物だ。
 しかし、さすがに街の声からは「善意としては理解できるが、外国人に犬肉はまずいな。逆に嫌がらせみたいに誤解される。あれじゃもう一つの心理的テロになりかねないよ」などと顰蹙(ひんしゅく)を買っていた。
 世論は犯人への厳罰を求めており、5年前に講演中の日本大使にコンクリート片を投げつけた際の懲役2年執行猶予3年の刑についても、「厳罰にしておれば再発は防げたのに」という声が出ている。
 ところがこの犯人は日本大使へのテロの後も、政府傘下の文化関連機関から補助金をもらっていたことが分かった。反日テロがとがめられるどころか、逆に勲章になったみたいだ。「反日無罪」の典型例である。
 こうした反日甘やかしが米大使テロを招いたというのが筆者の見立てだが、事件を機に韓国当局は外国要人や外国公館保護を強化している。それなら日本大使館前の集会やデモ、慰安婦記念像など、正常でない“不法甘やかし”も早く正してほしい。(黒田勝弘・産経新聞ソウル駐在客員論説委員 2015年3月21日、産経新聞朝刊掲載)

「親米」ねじれた「反米」

  • 存在しなかった反米感情 中国の台頭で揺らぐ韓国の米国観

    存在しなかった反米感情 中国の台頭で揺らぐ韓国の米国観

    韓国における「反米」というのは、実は、それほど長い歴史があるわけではない―。そう説明する毎日新聞ソウル支局長の澤田克己が親米一辺倒だった韓国社会が反米感情が増えるに至った要因を解説する。

愛国者か、テロリストか

安重根は愛国者だと思いますか?テロリストだと思いますか?

  • 78

    愛国者

  • 2158

    テロリスト

  • 59

    どちらとも言えない

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