NHK「クロ現」やらせの裏側
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NHK「クロ現」やらせの裏側

NHKの報道番組「クローズアップ現代」でやらせがあったと指摘されている問題で、NHKの調査委員会は28日、最終報告を取りまとめ「過剰演出があった」と認めた。事実のねじ曲げにつながる「やらせ」は否定したが、裏付け取材が不十分として担当記者を処分した。問題はなぜ起こったか。

NHKの報道番組「クローズアップ現代」でやらせがあったと指摘されている問題で、NHKの調査委員会は28日、最終報告を取りまとめ「過剰演出があった」と認めた。事実のねじ曲げにつながる「やらせ」は否定したが、裏付け取材が不十分として担当記者を処分した。問題はなぜ起こったか。

「『やらせ』は行っていない」

 NHKの報道番組「クローズアップ現代」で記者の指示によるやらせがあったと指摘されている問題で、NHKの調査委員会(委員長・堂元光副会長)は28日、「放送ガイドラインを逸脱する過剰な演出や視聴者に誤解を与える編集が行われていた」とする調査報告書を公表。取材の過程で記者から具体的な指示はなかったなどとして、「いわゆる『やらせ』は行っていない」と結論付けた。
 NHKは担当した男性記者(38)を停職3カ月にするなど、関係職員計15人を減給や譴責の懲戒処分を決めた。籾井(もみい)勝人会長と関係理事3人は役員報酬の一部を自主返納する。
 28日夜の「クローズアップ現代」で問題をめぐる「検証報告」を放送、国谷裕子キャスターが番組の最後に涙ぐみながら謝罪した。

真実に近づく打開策

調査報道の光と影

さもありなんの不祥事体質

やらせ依頼 言い分対立

NHKの看板番組「クローズアップ現代」のやらせ疑惑で、NHKは9日、調査委員会の中間報告を発表し、記者が「演技の依頼はしていない」と証言していることを明らかにした。しかし、記者とブローカーで不可解なやりとりがあったことも分かり、会見では報道陣から“やらせ”を疑う質問が相次いだ。NHKは一部で取材が不十分だったことを認め、さらに検証するとしている。
 やらせが指摘されているのは、昨年5月14日に放送された「追跡“出家詐欺”~狙われる宗教法人~」。調査委員会は、NHK職員らに加え、番組内で「ブローカー」(A氏)や「多重債務者」(B氏)とされた人物らからも聞き取りを実施。中間報告によると、記者は、B氏から「寺関係の事情に詳しい人物」としてA氏を紹介された。記者は撮影前にA氏に説明したことを認めた上で、演技の依頼は一貫して否定。一方、A氏は記者から「ブローカー役を演じるよう依頼された」と話しているという。
 しかし、B氏がA氏に借金などを相談するシーンの撮影では、記者が「よろしくお願いします。10分か15分やりとりしてもらって」と指示する声や「お金の工面のやりとりがもうちょっと聞きたい」とリクエストする声、最後にA氏から「こんなもんですか」と記者に問いかける声も記録されていた。構成自体も、実際にはB氏からA氏を紹介されたにもかかわらず、先にA氏の存在を突き止めたかのように報じている。(zakzak 2015.04.09)

曖昧な境界線

クロ現おわび「活動拠点ではなかった」

「クローズアップ現代」で、多重
債務者がブローカーを訪ねたとさ
れる場面(NHKのホームページより)
 NHKの報道番組「クローズアップ現代」で記者の指示によるやらせがあったと指摘されている問題で、国谷裕子キャスターは9日の番組内で、「昨年5月の放送で『(詐欺の)ブローカーの活動拠点』と紹介した部屋は活動拠点ではありませんでした。取材が不十分で、部屋の借り主と視聴者におわびします」と述べ、謝罪した。同時に、NHKの調査委員会がさらに調査を進め、できるだけ早く報告をまとめることも伝えた。

やらせと特ダネは紙一重なのか

 マスメディアの世界に長くいると、「特ダネ」というのがいかに値打ちのあるものか、まざまざと思い知らされることがよくある。
 一本のスクープ記事が、大衆の耳目を集めて世論を変え、世界を動かすきっかけになることは珍しくない。まさにジャーナリズムの本質を具現化したものと言うべきなのだが、当然のことながら、誰もがたやすくネタをつかんで書けるものではない。
 それだけに、特ダネを世に出した取材記者というのは、同じ業界の中で一目を置かれる存在になる。だが、羨望や称賛といった評価以上に、嫉妬という感情が入り交じるのも、また事実である。誤解を恐れずに言えば、業界内で「特ダネ記者」と呼ばれる人物は、身内の敵も総じて多いという印象がある。
取材に応じる、ブローカーの事務所とされたビルの男性(中央)
=3日午後、大阪市淀川区(村本聡撮影)
 今回のやらせ疑惑の渦中にいるNHK記者とは、かつて筆者が社会部記者時代に同じ持ち場を回り、スクープを競い合った。この問題が表面化してから何かの記事で「敏腕」記者と書かれていたが、実際に彼には何度も特ダネを書かれ、痛い目に遭った。
 それでも彼はいつも気取らず飄々としていたが、特ダネへの執念は人一倍強かった。むろん、取材力はさることながら、ネタを記事にするまでの努力を惜しまないストイックな姿勢に対し、心の奥底ではどこか畏敬の念にも似た複雑な感情があったと記憶している。
 その一方で、NHKの同僚記者らの評価は賛否あった。彼を批判的に言う人の多くは妬み半分だったような気もしたが、筆者が知る限り局内でも指折りの特ダネ記者だったと思う。
 問題発覚後、テレビのコメンテーターが「この記者は功を焦ったのではないか?」と指摘していたが、正直取材記者をやっていてそんな感情がわかない方がおかしい。もとより、人よりも他社よりも抜きん出たいという功名心なくして書ける特ダネなんてあるのだろうか。少なくとも、筆者は正義感や使命感といった綺麗事だけで特ダネが書けるとは思わない。
 ましてや、職員数が1万人を超える巨大メディアのNHKともなれば、その競争たるや筆者の想像以上だろう。何かの分野で特別な専門性を持っている記者ならともなく、それ以外が局内で抜きん出る存在になろうと思えば、やはり特ダネを書くしかない。
 とはいえ、渦中の記者の取材方法に問題がなかったと言えば、それは嘘になる。やらせがあったかどうかの真偽については、調査委の最終報告を待たなければならないが、これまでの報道や中間報告を見る限り、やはり不適切な取材だったと言わざるを得ない。
 かつての上司に「特ダネ記者はいつも危ない橋を渡っている」と教えられたことがある。この世界に足を踏み入れて、かれこれ20年近くになるが、その言葉の意味がようやく分かりつつある。(iRONNA編集長、白岩賢太)
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