米中新冷戦時代の陰謀
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米中新冷戦時代の陰謀

世界には完全な社会主義国家が二つある。ひとつは北朝鮮であり、もうひとつはキューバである。私は先日キューバを訪れる機会を得た。今回はキューバをとりまく情勢とリアルなキューバの姿を伝えたいと思う。

世界には完全な社会主義国家が二つある。ひとつは北朝鮮であり、もうひとつはキューバである。私は先日キューバを訪れる機会を得た。今回はキューバをとりまく情勢とリアルなキューバの姿を伝えたいと思う。

国交回復の背後にあるもの

中国艦常駐、キューバが撤回

 キューバは昨年合意した中国海軍艦艇のキューバ常駐を撤回したと、20日付読売新聞が報じた。
 同紙によると、キューバは2012年、艦艇の派遣やカリブ海での合同演習などを中国に提案。習近平・中国国家主席は昨年7月、キューバを訪問し、最新鋭ミサイル駆逐艦を常駐させる方向で準備を進めていた。しかし昨年12月、アメリカとキューバが国交正常化交渉の開始に合意したことをきっかけに、キューバは中国に対する態度を一変させ、今回の撤回に至ったという。
 カリブ海は「アメリカの庭」とも言える場所。その真ん中に浮かぶキューバに中国艦が常駐すれば、アメリカにとって大きな脅威となっただろう。(TheLibertyWeb 2015.05.20

利益とリスク

「最後の社会主義国家」強い絆

 今も強い関係にあるのが北朝鮮だ。その端緒は「北朝鮮が1980年代に、自動小銃AK47を大量に無償供与してくれた」(キューバ外務省顧問のカルロス・アルスガライ氏)ことにさかのぼる。
 フィデル・カストロ前国家評議会議長の回想によると、東西冷戦時代の82年、旧ソ連のアンドロポフ書記長はカストロ氏に「キューバが米国から攻撃を受けたとしても、自力で戦わなければならない」と伝えた。そこで、北朝鮮の金日成国家主席(当時)が「1セントも要求することなく、小銃10万丁と弾薬を送ってきた」という。
 キューバを出港した北朝鮮船籍の貨物船から武器が発見され、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議に違反しているとして、問題化したこともある。国交正常化交渉において米政府は、北朝鮮との関係も厳しく取り上げるべきだろう。(「米国の裏庭」でのパワーゲーム 産経ニュース、2015.02.23)

「絆」確認

 3月16日、ラウル・カストロ国家評議会議長がハバナを公式訪問中の北朝鮮の李秀勇外相と会談した。キューバ国営通信などが報じた。議長と李外相は両国の「歴史的な絆を確認」し「国際問題と共通の利益」について話し合ったという。

 ハバナでは同日、米国とキューバの国交正常化に向けた3度目の高官協議が開かれた。スペイン通信によると、会談に同席したキューバのロドリゲス外相は、北朝鮮が「他国の干渉なしに」朝鮮半島の平和的な統一を目指すことを支持すると述べた。李外相は、北朝鮮とキューバが「(米国の)覇権主義による内政干渉や経済締め付けと闘ってきた歴史」を共有しているなどと指摘した。(共同)

米、キューバのテロ支援国家指定解除  米政府がキューバに対するテロ支援国家指定を解除した。これに伴って経済制裁の一部も解除され、(1)キューバ資産へのアクセス(2)世界銀行、国際通貨基金(IMF)など国際金融機関からのキューバに対する融資(3)軍需関連物資の輸出-などが可能になる。米国務省は声明で、キューバが過去6カ月間に国際テロへの支援を行わず、将来も支援しないと確約したと説明。「米政府は(人権弾圧など)キューバの政策や行動に広範な懸念を抱いている」としながらも、「これらは指定解除要件の範囲外だ」とした。ホワイトハウスも声明を発表し、指定解除などは「双方の共通の利益や基本的人権(の改善)、キューバの安定を促進する」と指摘した。

続く武器貿易

革命の意義と今

 スペイン人がこの島を「メキシコ湾の真珠」と名づけたのもむべなるかな(W・チャーチル『わが半生』)
 第二次キューバ革命を受けてキューバへと旅だった当時20歳のチャーチルと年齢を同じくして、オバマ大統領の一般教書演説を受けて、いまこの瞬間にキューバの景色を目に焼き付けたいという願望から今回の取材企画を実現できたことは、私にとって光栄なことであった。
 ところで私は異国情緒というものに弱い。例えば旧共産圏の国々の芸術などに触れるのが好きだ。日本とは全く違う政治体制のもとで育まれた芸術、つまり絶対的異質の芸術、絶対に自己同一化出来ぬ芸術、そういうものに私はカタルシスを感じるのだが、キューバで感じたそれはまた一味違ったものであった…
 キューバはそのほとんどを車で見て回った。車内ではいつもキューバ音楽がかかっており、アフロ・キューバンの心地よく、力強いビートに心を預けながら、まるで50年前から時が止まっているかのようなキューバの景色を心に刻んだ。激しい極彩色を繊細なセンスで調和させた、スペイン植民地時代の遺産ともいえるあのカラフルな家並みと、そんな歴史を思わせる街並みを駆け抜けるアメリカ製のクラシック・カー。これらは不思議な力で旅人を魅了する。そう、キューバに到着して早々、なによりもまず私は一人の「旅人」としてこの国に魅了されてしまった。
 つい昨日までアメリカにいた私は、メキシコを経由してキューバに向かった。なぜなら、アメリカからキューバに入国することはおろか、両国をつなぐ定期便すら存在しないからである。目と鼻の先にあるこれら二つの国は、国交を断絶して今年で54年目を迎えた。
 キューバの地で繰り広げられた米西戦争を経て、米国はスペインを追い払い、自らの傀儡としてバティスタ政権を打ち立てた。かの有名なフィデル・カストロやチェ・ゲバラたちによる革命は、富を独占するバティスタ政権を打倒し、さらにバティスタを介してキューバを自由自在に操っていた米国と富裕層をキューバから一掃するためであった。「飢えに苦しむ国民を救わなければならない」、これが革命の意義だった。街に溢れる40年代、50年代のクラシックカーは、このときアメリカの富裕層がキューバから逃げたまま置き去りにしたものである。
 下記の記事では、現在のキューバについて理解を深めていただくことを目的として、キューバについて、以下三点にわけて論じた。一点目は国際政治的観点から、二点目は社会主義国の実体と統制について、三点目はキューバ人がいかにして日々を生き抜いているか、である。世界的な関心が高まるなか、キューバを視野にいれているビジネスマンや旅行者がキューバを理解するために、多少なりともお役に立てれば幸いに思う。
(山本みずき)

山本みずきが見たキューバ

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