フジテレビ、低視聴率の苦悩
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フジテレビ、低視聴率の苦悩

かつて視聴率三冠王の名を欲しいままにしたフジテレビの視聴率低下に歯止めがかからない。その原因は何なのか? 元フジテレビ解説委員の安倍宏行氏が「古巣」復活のカギを探る。

かつて視聴率三冠王の名を欲しいままにしたフジテレビの視聴率低下に歯止めがかからない。その原因は何なのか? 元フジテレビ解説委員の安倍宏行氏が「古巣」復活のカギを探る。

闘う集団になれ!

 どの企業も成功体験を飛び越え、新たに挑戦するのは至難の業だ。しかし、ネットが普及し、多様なコンテンツが飛び交う現代において、かつてのテレビの魅力を再構築することが急務だ。
 しかし、フジテレビは三冠王だった過去に甘んじた結果、上を慮り、挑戦しなくなった社風が蔓延し、停滞している。そうした空気を一新し、かつてそうであった“闘う集団”に変貌しなければ、フジテレビは活路を見いだせないだろう。(Japan In-depth編集長 安倍宏行)

陥落した3冠王

質と選択が無関係な時代

カギは若者と高齢者

 「若者のテレビ離れ」という言葉が出回り始めてから15、6年が経った。「若者はテレビを見ない」「携帯やスマートフォンで十分」といった認識も 世間に定着しつつある。実際の統計を見ても、10代や20代のみならず、30代や40代もテレビの視聴時間を減らしている(図表1)。このままテレビを見ない世代が増え続け、テレビ自体もいずれ消滅してしまうのだろうか?
  実は、若年層の視聴時間が急減しているにもかかわらず、全体の視聴時間は微減に留まっている。これには、60代の視聴時間が増加したことと、50代、70代の視聴時間がほぼ横ばいだったことが影響している。また、テレビの視聴時間は年齢と比例して増加する傾向があるので、より長くテレビを視聴する高齢者の視聴時間の変化の方が、あまりテレビを見ない若年層の視聴時間の変化より、全体に与える影響は大きくなっている。よって、高齢者の視聴時間の増加が、全体を下支えしていると言える。これからも高齢者人口は増え続けるとみられ、家でテレビを見る以外にすることがないことが多い高齢者の視聴時間は安定的に推移すると考えられる中、テレビというメディアが生き残っていくためには、こういった高齢者に配慮した番組編成が必要だと考えられる。(中略)
  一方、若者のテレビ離れの背景には、ストリーミングビデオやスマートフォン用ゲーム、無料通話アプリの普及など、メディア端末や余暇の過ごし方の多様化があり、テレビもスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスに対応することが必要だろう。(後略)
(大和総研 経済調査部 田中豪「若者のテレビ離れと昼下がりの高齢者」より 2014年8月18日)
平成26年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査<概要>
主要テレビ局の複数年に渡る視聴率推移をグラフ化してみる(ガベージニュース 2015年5月18日)
フジ・メディア・ホールディングス平成27年3月期決算短信

テレビマンの葛藤

歌謡番組復活の陰で

 4月4日、日刊ゲンダイで歌番組が80年代のような活況を呈している、復活の兆しを見せているという記事が掲載された。NHK「歌謡ポップス☆一番星」、BSジャパン「名曲にっぽん」、テレビ東京「木曜八時のコンサート~名曲!にっぽんの歌」などが人気だという。また、この勢いに乗じてフジが森高千里を司会に起用し「水曜歌謡祭」を、CSの歌謡ポップスチャンネルが「クロスカヴァー・ソングショー」を開始させる。調子のいい時は視聴率10%超えもあるらしい。
 こりゃ「景気のいい」話と思えないこともないが……いや、事態、実はむしろ深刻と考えた方がいい。そのことは現在、テレビ局で一部の「景気のいい」番組のジャンルの共通点を考えてみるとよくわかる。ここで取り上げたい番組ジャンルは刑事・探偵物、サスペンス。個別の物だと朝ドラ、そして「笑点」(報道、アニメ、スポーツ中継等は除く)といった類いだ。
 実は、これらは本当のところを言うと「景気がいい」というよりは消去法の結果、残ったものと考えた方がいい。いずれにしても、視聴率はかつてのような景気のよさとは異なっている。つまりテレビ番組は全体的にはジリ貧だが、これらはかろうじて持ちこたえている方といった認識の方が正しい。で、これらに共通するのは、ようするに視聴者層が偏っていると言うこと。いずれも五十代以上が対象。この層はインターネットへの親和性が低く、なおかつ、もはや保守反動的な心性を持ち主が大半なので、新奇なものについてはあまり関心が向かわない。そんなオーディエンスが向かうメディアは、もはやオールド・メディアになりつつあるテレビのコンテンツだ。中でも刑事・探偵物、サスペンスはその最たるもので、ほとんどお決まりのパターンが展開されているだけ。朝ドラ、「笑点」に至っては超マンネリだ(「13年前半に放送された「あまちゃん」を除く)。しかもこの層の多くは子育て終了、仕事もリタイアしているわけで、暇をもてあましている。それゆえ、必然的にテレビに向かう時間は増える。なので、この層を掴んでさえいれば、テレビ局としてはとりあえず、その場を凌ぐことが出来る。(関東学院大文学部教授・新井克弥)
歌謡番組の復活が意味するもの……テレビの不調 (勝手にメディア社会論、2015.04.05)

反転攻勢の突破口は

フジテレビ、低視聴率の苦悩

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