保守かリベラルか
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保守かリベラルか

「レッテル貼り」という言葉を最近よく耳にする。政治的、思想的な分類に対し、批判的に言及する際に使うことが多いが、そもそも「保守」や「リベラル」、「右翼」や「左翼」と色分けすることに何の意味があるのか。二項対立を煽る構図は建設的な議論の妨げになりはしないのか。イデオロギー論争を考える。

「レッテル貼り」という言葉を最近よく耳にする。政治的、思想的な分類に対し、批判的に言及する際に使うことが多いが、そもそも「保守」や「リベラル」、「右翼」や「左翼」と色分けすることに何の意味があるのか。二項対立を煽る構図は建設的な議論の妨げになりはしないのか。イデオロギー論争を考える。

編集長デビュー!

 趣味は政治家の追っかけという一風変わったキャラで知られる春香クリスティーンさんは、「政治好きタレント」として情報番組にも数多く出演し、コメンテーターとしても活躍しています。ただ、彼女には忘れられない経験があります。それは2年前、あるテレビ番組での自身の発言をきっかけに、ネット上でいわゆる「炎上」騒ぎとなり、激しいバッシングを受けました。この経験をもとに生まれた著書『ナショナリズムをとことん考えてみたら』 (PHP新書)では、右翼や左翼、そしてナショナリズムという壮大なテーマに正面から向き合い、大きな反響を呼びました。今回、彼女がiRONNAに寄せた論考では、これまでの経験から学んだ「右」と「左」に縛られない、彼女なりの立ち位置を提示してくれました。ぜひ彼女の論考をお読みいただき、思想によるカテゴライズの弊害や、いま日本が直面する様々な課題を建設的に議論するには何が必要なのか、改めて考えるきっかけになれば幸いです。(iRONNA編集部)

私はこう思う

ネットから生まれた新たな分類

 右翼という言葉が誕生したのは、フランス革命時代の国民公会で、革命の急進化に反対する一派が議長席から見て右側に位置していたことに由来する言葉で、〈左翼〉を対抗概念とする。(世界大百科事典 第2版より)
 日本大百科全書(ニッポニカ)によると、具体的な内外の政治状況のなかで、右翼の活動内容や機能の実態はさまざまに異なるが、現在では一般に、反共、反社会主義、反民主主義、保守的反動的国家主義、超国家主義(ウルトラ・ナショナリズム)のエートス(精神)やイデオロギーをもつ、ファッショ的集団ないし人物を意味する用語として理解されている。左翼は一般に、急進的、革新的、社会主義的、無政府主義的、共産主義的集団ないし人物を意味する。
 一方、近年では「ネトウヨ」「ブサヨ」なる言葉が誕生。これらはインターネットから生まれたスラング(俗語)で、侮蔑的な目的で使われることが多い。

ネトウヨ

 インターネットの電子掲示板上などで、右翼的、保守的、国粋主義的な意見を発表する人たちを意味する。ただし、後述するように、保守的主張を発表する人たちではなく、単に自尊自大で排外的な表現を用いる人たちを指したり、そのような集団心理的な傾向を指すこともある。略称はネトウヨだが、メディアによっては「ネット保守」という用語を使用するものもある。

ブサヨ

 進歩主義思想(もしくは左翼思想、左派だとみなした)側のことを、保守(もしくは右翼思想、憂国思想を自認する)側から揶揄する言葉。(中略)ネット上で左翼的なプロパガンダを主張し、保守的・愛国・憂国な人々を批判し、日本人と日本国を誇るよりも反省を促す弁が非常に顕著な人々のことを、侮蔑と嫌悪をこめてこう呼ぶようになった。(後略)

違い、明確に答えられる?

新たな道を往くうえで

「右だ」「左だ」レッテル貼り

 人の政治的立場を右と左、あるいは右翼、左翼と分けるのは、フランス革命のときの議会の議席構成からきている。ジャコバン党など急進派が左側に、保守派が右側に座ったからなのだという。
 日本では戦後、保守と革新との対立が激しくなるにつれ、相手を攻撃するのに「右」とか「左」とかがよく使われるようになった。「あいつは右だ」といったひと言でKOできる便利な言葉だったのである。エスカレートすると「極左」「極右」といった言い方もあった。
 もとより、政治的姿勢は右とか左とかの一言でひっくるめられるようなものではない。右と左の概念もあいまいで、自分で「右」とか「左」と名乗る人はあまりいない。むしろ、気に入らない人間を排除するためのレッテル張りと言ってもよかった。
 シドニー五輪を機に「偏狭なナショナリズム」といった言い方が一部のマスコミなどでされるようになった。高橋尚子選手らの金メダルに感激するのは健全なナショナリズムだが、これに乗じて政治的に他国に負けまいとするのは偏狭なナショナリズムだというのである。
 しかし、右と左と同様、ナショナリズムも、そう簡単に健全と偏狭に仕分けできるものではない。どうしてスポーツで日本選手を応援するのはよくて、政治の分野で日本を応援してはいけないのか。ナショナリズムそのものを否定したいためのレッテル張りに思えてならない。
 人はパンのみで生きるのではない。さまざまな感情や思いによっても生きている。日本人だってそうだが、ナショナリズムでも生きるのだ。オリンピックは、そのことを教えてくれた。偏狭だのと言う前にその事実を認めることだ。(産経抄 2000年9月30日)

単純に一つの色に染まるわけがない

レッテル貼りが議論を妨げる

 安倍晋三首相は5月15日の衆院本会議で、自衛隊の海外任務拡大を図る安全保障関連法案をめぐり「『戦争法案』と無責任なレッテルを貼るのでなく、中身のある議論をしてほしい」と述べ、野党側に早期審議入りを求めた。野党側が、首相による4月の米議会演説で夏の法案成立を約束した点を「前のめり、上滑りの最たるもの」などと批判したのに答えた。訪米報告の本会議で安保法案の論戦が実質的にスタートし、審議日程でも与野党攻防が展開された。
 首相は、野党側が対米追随で自衛隊海外派遣が広がる懸念を示したのに対し「自衛隊の海外派遣は国益や自衛隊の能力を踏まえて主体的に判断する」と強調した。
 同時に法案への国民理解が浸透していないとの指摘には「分かりやすく丁寧な説明を心掛ける」と力説した。(産経新聞 2015年5月15日)
『無責任な批判』『レッテル貼り』には断固反論する 安倍首相独占インタビュー(夕刊フジ 2015年5月7日)
「戦争法案」と言わず何と言う(「しんぶん赤旗」 2015年5月16日)

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