もがく韓国「中国依存」という病

もがく韓国「中国依存」という病

韓国(朝鮮)の外交は、その時々の大国との距離感を測る外交スタンスを取り続けてきた。現在は、米中という2つの超大国との距離感が韓国外交にとっての最大のテーマだ。とかく慰安婦などの目立つバズワードばかりに目を奪われがちになるが、韓国の外交・安全保障戦略をリアリスティックに分析すべきだ。

大江紀洋の視線

 6月22日、日韓両政府がそれぞれソウル、東京で国交正常化50周年記念式典を開いた。両国のトップが出席したことは、冷えきった日韓関係の雪解けの始まりと言えるだろう。
  これまで朴槿恵大統領は繰り返し歴史問題に言及し、日韓首脳会談の開催についても、慰安婦問題の解決を条件に掲げてきた。安倍政権は一切妥協的な対応をとっていないが、その姿勢が成功していることを感じさせる記念式典だった。
  韓国(朝鮮)の外交は、地政学的にみてバランス外交にならざるを得ないし、歴史的にみてもその時々の大国との距離感を測る外交スタンスを取り続けてきた。現在は、米国と中国という2つの超大国との距離感が韓国外交にとっての最大のテーマだ。
  韓国研究の第一人者、木村幹・神戸大学教授による論稿「尖閣見て中国に震撼する韓国の『連米連中』外交」は、尖閣諸島国有化、反日デモなどで日中関係が冷え切っていた2012年暮れのものであるが、「連米和中から連米連中へ」という近年の韓国外交の基礎的なフレームワークを理解するのに役立つ。いわく、北朝鮮の脅威を考えれば、米国同盟は必要だが、経済的関係が深い中国との関係も必要で、連米連中とは、米中双方との高度な協力関係を作り上げるという、韓国の「希望」のような戦略である。
  しかし、この中国接近路線には、どこまでいっても朝鮮統一に対する中韓両国の認識の違いという限界が存在する、と指摘するのが、渡邊武・防衛研究所主任研究官の論稿「『接近』でも蜜月になれない中韓の事情」である。朴槿恵大統領の統一政策「信頼プロセス」と、北朝鮮の「自主統一」の意味するところをつかんでおくことが重要だ。
  集団的自衛権や安保法制の議論が盛り上がっているが、安全保障の文脈では、日米韓の軍事協力が日本の平和にとって不可欠であり、集団的自衛権の行使としてもっとも現実味があるのは、ホルムズ海峡というより朝鮮有事の際の米艦警護である。とかく慰安婦などの目立つバズワードばかりに目を奪われがちになるが、韓国の外交・安全保障戦略をリアリスティックに分析することが、日韓関係の正常化のためにもっとも必要なことではないだろうか。 (Wedge編集長 大江紀洋)
   

決定的な対立点

  • 「接近」でも蜜月になれない中韓の事情

    「接近」でも蜜月になれない中韓の事情

    今年は日韓基本条約締結から50年の節目の年だが、朝鮮半島ではそれ以上に「分断70年の年」という意味合いが強い。中国との距離が近いと言われて久しい韓国だが、両者は「統一」に対する認識が決定的に異なっている。

北東アジア戦略再考

  • 尖閣見て中国に震撼する韓国の「連米連中」外交

    尖閣見て中国に震撼する韓国の「連米連中」外交

    竹島をめぐる日本への対応と同様、パワーバランスの中で外交方針が揺らぐ韓国。日本は、中国へ傾斜を強める韓国の現状を認識し、韓国に対して抱いてきた甘い幻想を捨て、彼らの向かう道を改めて問い質す必要がある。

「安米経中」の現実

 「韓国の対中国貿易額はすでに対米国の2倍。どこまで中国に異を唱えることができるのか」。ある外交筋が嘆息する。3月21日、韓国政府は厳しい現実を見せつけられた。
 「韓国政府が(参加に向け)一歩進めた研究をしているのは明らかだ」。中国の王毅外相はソウルでの中韓外相会談後、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に関して記者団にこう語った。会談で尹炳世(ユン・ビョンセ)外相は、AIIBに参加するか否か態度を保留したにもかかわらずだ。
輸出に依存し過ぎる韓国経済の構造改革は待ったなしの状態だ=ソウル市内
 王氏は「参加表明は時間の問題だ」と言わんばかり。韓国政府は驚き、当局者が「まだ検討中だ」と火消しに追われた。何より気にしていたのは米国の顔色だ。米中両大国の板挟みになって苦悩する韓国の現実が、浮かび上がった。
 「安米経中」。朴槿恵(パク・クネ)政権の外交政策は韓国でこう呼ばれる。安全保障は最大の同盟国である米国と手を携え、経済では最大の貿易相手国の中国を重視する。綱渡りのような、バランスの上に成り立つ。
 問題は安保と経済が複雑に絡み合うことだ。アジアで年間7千億ドルを超すインフラ需要が見込まれる中でAIIBの経済的な魅力は大きいが、国際金融秩序に対する挑戦であると受け止めるオバマ米政権は韓国に慎重な対応を求めてきた。韓国政府は結局、外相会談の5日後にAIIBへの参加を表明した。英独仏など欧州諸国を追うように、米国を振り切ったのだ。中国紙、環球時報はすかさず称賛を送る。
 「大勢を読み、変化に順応し、国益に最もかなった決定を下した」
 次は米国の顔を立てる順番。朴政権は米国が検討中とされる弾道ミサイル迎撃システム「高高度防衛ミサイル」(THAAD)の韓国配備を、中国の反対を押し切って受け入れるのでは-との見方もある。(産経ニュース『竜の野望・中国AIIB』、2015.04.18
■【コラム】分断70年が恥ずかしくないのか=韓国(中央日報 2015.05.27)

見失われた原点

  • 仮想敵は日本 韓国軍が狂わせる日米韓の歯車

    仮想敵は日本 韓国軍が狂わせる日米韓の歯車

    これまでいくら日韓の国民感情が悪化しても、自衛隊と韓国軍の関係は維持されてきた。しかし今、仮想敵を日本に置いたとしか思えない韓国軍の行動が相次ぐ。米国を基軸とした同盟の原点を見失えば、地域の平和と安定は崩壊するだろう。

“見せ場”の南北関係

22日、韓国・ソウルで開かれた日韓国交正常化50年を祝う式典に出席した朴槿恵大統領(代表撮影)
 日本は戦後70年の今年、朝鮮半島も「70年もの」の節目が控えている。南北にとっては光復70年(日本統治からの解放)、分断70年であり、北朝鮮は朝鮮労働党創設70年である。そんなタイミングで朴槿恵大統領は年末、北朝鮮に対話を提案、南北首脳会談にも意欲を示したが、金正恩第1書記も新年の辞で南北首脳会談に言及し、“息の合った”ところをみせた。2015年の南北関係は「分断70年目の大変革のゴールデンタイム」(韓国紙)などと呼ばれ始めたが、さて、南北首脳会談は実現する?
 南北高官級会談再開や首脳会談への前向き姿勢をみせた金正恩氏の「新年の辞」(1月1日)を受けて、朴槿恵大統領は新年、繰り返して「南北統一の実現」に向けた演説を行っている。2日のあいさつ会では「政府は統一が理想や夢ではなく、具体的な現実として実現できるよう最善を尽くして進む」と語り、6日の閣議では「早期にわれわれと朝鮮半島の平和定着、統一に向けた具体的な事業を実質的に協議すべきだ」と北朝鮮を促すなど、意欲をみせている。
 朴政権は今年2月末から執権3年目に入る。5年任期の韓国大統領制の折り返し点で今年は勝負の年となる。朴政権は昨春の旅客船「セウォル号」沈没事故以来、事故処理をめぐる人心の政治離れや青瓦台人事介入疑惑などで政権への信頼度が落ちており、政権後半への原動力を欲していた。そんなさなかに北朝鮮の金正恩氏が「南北首脳会談カード」を出してきた。
 金正恩氏の前向き姿勢についての韓国の分析は、「執権4年目に入ったが外交では孤立し経済難はますます深刻になっている。中朝関係も悪く、ロシアへ接近してもロシアに経済的余裕はない。難局を打開するための対南接近だろう」との見方が多い。ただ求心力回復を狙う朴槿恵政権にとっては格好のテーマだけに、「分断70年での南北関係大変革は最適、まさにゴールデンタイム」(韓国紙「中央日報」)などと韓国メディアも前のめりに報じている。(産経新聞編集委員・久保田るり子 産経ニュース、2015.01.10)

揺れる朴外交

  • 韓国のAIIB参加、カギは「北」だった…暗闘、駆け引きで浮かぶ中国の深謀遠慮

    韓国のAIIB参加、カギは「北」だった…暗闘、駆け引きで浮かぶ中国の深謀遠慮

    韓国政府が3月27日、中国主導のアジアインフラ投資銀行への参加を決めた。韓国はとにかく実利を優先したのだが、彼らにとって真っ先に考える実利先はアジア一般という漠然とした地域概念であるはずがない。北朝鮮であろう。

  • 朴外交“敗北”の裏事情 日韓関係改善ムードも気になる情報が…

    朴外交“敗北”の裏事情 日韓関係改善ムードも気になる情報が…

    国交正常化50年の6月22日、安倍首相と朴大統領の双方が、首脳会談の早期実現に前向きな発言をした。世界中で「反日・告げ口」外交を展開し、「慰安婦問題解決が首脳会談実現の条件」と強弁してきた朴政権を豹変させたものとは何か。

  • 反日外交に反省し始めた韓国メディア 朴大統領の「不通」の風当たり強まる

    反日外交に反省し始めた韓国メディア 朴大統領の「不通」の風当たり強まる

    最近、朴政権の外交政策を批判しながら、自己反省する韓国メディアの記事が目立つ。このままでは、韓国が外交的に孤立するかもしれないという危機感の表れともいえるだろう。そんな中、日韓関係の改善の兆しを歓迎する声も上がるようになった。

韓国メディア 歓迎と期待

韓国の朴槿恵大統領(聯合=共同)
 日韓の国交正常化から50年となる22日、韓国メディアは両国首脳が各国の記念式典にそれぞれ出席することになったことを歓迎する論調が目立った。
 保守系紙の中央日報は社説で「韓日関係の水の流れを変える歴史的出発点にならなければならない」と期待を込めた。
 50年前の韓国は、日本との国交正常化に反対するデモで混乱を極めていた。
 朴正煕(パク・チョンヒ)大統領(当時)の命を受けて国交交渉に当たった金鍾泌(キム・ジョンピル)元首相(89)は22日付の中央日報で、「日本が憎くても韓国が生きる道を切り開かなければならないと考えていた」と振り返った。
 日韓関係はこの半世紀で大きく発展した。朝鮮日報によると、両国の貿易総額は1965年の約2億2千万ドルから2014年には約860億ドルと390倍に、年間往来者数は1万人から500万人へ500倍に増えている。
 ただし、韓国貿易協会などによると、昨年は日本からの輸入額が全体の1割にとどまるなど、韓国の貿易で日本の占める割合は国交正常化以降で最低を記録した。日本からの輸入は国交正常化直後には全体の約4割を占めていたという。
 代わりに台頭したのが、今や韓国にとって最大の貿易相手国となった中国だ。昨年、韓国を訪れた観光客数は、日本人が前年比17%減の約228万人だったのに対し、中国人は前年比41%増の約612万人で全体の43%を占めた。この半世紀で韓国における日本と中国の存在感は一転した。
 ただ、韓国で中国の影響力が増大することへの警戒感も少なくない。保守系の韓国メディアを中心に、早期の日韓首脳会談実現を求める声が強まっているのもそうした背景がある。
 金鍾泌氏は中央日報紙上で、朴槿恵(クネ)大統領と安倍晋三首相に対し「感情外交をやめるべきだ」と国益重視の実利外交を説いている。(産経新聞 2015.6.22
もがく韓国「中国依存」という病

米中双方との高度な協力関係を築き上げる韓国の外交戦略は成功すると思いますか?

  • 539

    成功する

  • 10384

    失敗する

  • 443

    分からない

返信を入力