FIFAの腐敗とアングラマネー
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FIFAの腐敗とアングラマネー

世界に衝撃を与えた米司法省によるFIFA(国際サッカー連盟)の強制捜査から1カ月余り。腐敗にまみれたFIFAの体質が次々と明らかになり、ついにブラッター会長を辞任に追い込んだ。だが、捜査当局の真の狙いはFIFAではなく、背後にあるアングラマネーともいわれる。巨大利権の闇は暴かれるか。

世界に衝撃を与えた米司法省によるFIFA(国際サッカー連盟)の強制捜査から1カ月余り。腐敗にまみれたFIFAの体質が次々と明らかになり、ついにブラッター会長を辞任に追い込んだ。だが、捜査当局の真の狙いはFIFAではなく、背後にあるアングラマネーともいわれる。巨大利権の闇は暴かれるか。

米司法省はなぜ動いたのか

端緒は司法取引

 「FIFA汚職」の捜査は最近になって突然始まったものではありません。関係者15人の起訴に踏み切った米国の司法省は、FBI(連邦捜査局)、IRS(内国歳入庁、日本でいう国税庁)とともに大がかりな合同捜査チームを結成し、すでに5年以上前から捜査を開始していました。今回の摘発では、1997年から2013年までFIFA理事をつとめた米国のチャック・ブレイザーという人物がキーマンとなったのですが、FBIとIRSは2011年の時点でブレイザー氏に近づき、10年以上に及ぶ脱税を指摘して捜査に協力するよう求めています。
 脱税での検挙と情報提供者になることの二択を迫られたブレイザー氏は、FBIの捜査協力に同意し、2012年のロンドン五輪の際には小型マイクが仕込まれたキーホルダーなどでFIFA幹部らとの会話を録音。米司法省はこうした情報をもとに、賄賂のやりとりなど、FIFA幹部や関係者を逮捕・起訴するのに十分な証拠を集めていったとされています。
 今回のFIFA汚職は、一般的に欧州に比べてサッカー人気が高くないといわれる米国の司法省が主体となって捜査を進めているわけです。FIFAの本拠地があり、関係者7人を逮捕したスイス司法当局も、米司法省と連携し、米国からの依頼を受けて逮捕に動いています。(<イチから分かる>米FBIも捜査 FIFA汚職は何が問題になっているの?」THE PAGE 2015年6月27日)

 米司法当局とスイス捜査当局による幹部らの一斉摘発以来、激震が続くFIFAの事件には、3種類の疑惑、3人のキーマン、3つのターゲットがある。3種類の疑惑は(1)中南米のW杯予選や国際親善試合の放送権やマーケティング権に関わる口利き(2)FIFA理事会で決定するW杯開催地選定での買収(3)FIFA総会で投票が行われる会長選挙での票の取りまとめ-に大別される。


腐りきった上層部

君臨17年

 「レッツゴー、FIFA!」。意気軒昂に叫んでいたFIFAのゼップ・ブラッター会長が辞意を表明したのは5選からわずか4日目の6月2日のことだった。
 現職副会長2人が逮捕された事態に陥ってもブラッター氏は強気を貫いた。アジア、アフリカ両連盟の支持を受けていたブラッター氏は5月末のFIFA総会に愛人の職員を伴って出席。ブラッター氏に辞任を要求したミシェル・プラティニ会長率いる欧州サッカー連盟(UEFA)が支持したヨルダンのアリ王子を下していた。

次期会長選びは

 ブラッター氏の辞意を受け、さっそく世界のメディアが後任の会長候補について連日報道している。6月9日、元ブラジル代表で元日本代表監督のジーコ氏が立候補の意向を明らかにしたが、その後の会見で出馬規定が変わらなければしないとも述べた。またロイター通信などによると、元アルゼンチン代表監督のディエゴ・マラドーナ氏も出馬の意向を固めたと報じた。そのほかにもUEFAのプラティニ会長や、前回直前で立候補を辞退した元ポルトガル代表で42歳のフィーゴ氏の名前も取り沙汰されている。

巨大組織 日本にも影

根深い米国の「陰謀論」

 ロシアのプーチン政権は「大国復活」の象徴として国際イベント招致を重視しており、自国開催の次回W杯をソチ五輪に続く最重要行事とみなしている。しかしスキャンダルはロシアの招致活動に泥を塗りかねず、国営メディアは捜査を“米国の陰謀”と主張し、激しく非難している。 事件発覚直後の5月28日付の国営ロシア新聞は、米国でニクソン大統領の辞任につながったウォーターゲート事件になぞらえ、「FIFAゲート」と題する社説を掲載。捜査の背景には、ロシアのW杯開催を擁護したブラッター会長に批判的な米上院議員の思惑があると分析してみせた。
 社説は、米共和党のマケイン上院議員らが、「相変わらず“ロシアによるウクライナへの侵攻”を言い立て、ロシアのW杯開催の権利を剥奪するよう求めていた」と指摘。それに対しブラッター氏は「政治とスポーツは別」として受け入れなかったために、マケイン氏らがFIFA関係者に対し、ブラッター氏を再選しないよう働きかけていたと強調した。
 そして社説は、米国がこれまでリビアやウクライナなどにしてきたように、FIFAに対しても体制転覆を謀ろうとしているとの見方を示した。捜査が米国主導で行われたことに対しても「法的な観点からも全く理解できない」と疑問を投げかけ、米国が「自国の利益のためなら、世界中どこででも厚かましく干渉できる権利」を持っていると勝手に考えていると批判した。
 ロシア新聞はブラッター氏の辞意表明後にも社説を掲載。ロシアW杯について「幸いなことに、開催地変更を呼びかけているのはマケイン氏のような気が狂った米上院議員らだけだ」とこき下ろした。(モスクワ 黒川信雄 2015.06.08 産経新聞)
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