ギリシャ人よ、汝自身を知れ
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ギリシャ人よ、汝自身を知れ

欧州連合(EU)が求める財政緊縮案の是非を問うギリシャの国民投票は、反対派が賛成派を大きく上回った。チプラス首相は、「民意」を盾にEU側と強硬姿勢で再協議に入る意向を示したが、交渉は難航が予想される。「借金」を踏み倒そうとするギリシャ人よ、古の賢者の言葉をいま一度思い出せ。

欧州連合(EU)が求める財政緊縮案の是非を問うギリシャの国民投票は、反対派が賛成派を大きく上回った。チプラス首相は、「民意」を盾にEU側と強硬姿勢で再協議に入る意向を示したが、交渉は難航が予想される。「借金」を踏み倒そうとするギリシャ人よ、古の賢者の言葉をいま一度思い出せ。

貸した者が馬鹿を見る

本当に怠け者か

自分に甘いギリシャ人

国民投票の勝利を喜ぶ反対派市民
=5日、アテネ(ロイター=共同)
 米調査会社、ピュー・リサーチ・センターが2012年5月に発表した欧州連合(EU)加盟8カ国を対象とした意識調査で英国、ドイツなど5カ国がギリシャを「最も怠惰な国」に挙げた。当のギリシャは6割の人が自国を「最も勤勉な国」に挙げていたが、他国はそうは見てくれていなかった。ちなみにギリシャ以外7カ国がドイツを「最も勤勉な国」とし、7カ国の7~8割の国民がドイツに好意的な印象を持っていた。
 2013年、同じく8カ国を対象に行った意識調査でもギリシャと他の7カ国との意識の違いが浮き彫りに。「最も信頼できる国」にギリシャ以外の全ての国がドイツを挙げた。この調査でギリシャ国民は「最も信頼できる国」「最も謙虚な国」「最も情け深い国」に全て自国を挙げるなど、「自分に甘いギリシャ人」像が見えてくる。
■European Unity on the Rocks(ピュー・リサーチ・センター、2012.05.29)
■The New Sick Man of Europe: the European Union(ピュー・リサーチ・センター、2013.05.13)

万事、度を越すなかれ

ギリシャ人の自尊心

5日、アテネで記者団に向かって発言するギリシャのチプラス首相(沢田博之氏撮影・共同)
 高校世界史を学んだ日本人は、哲学者ソクラテスや歴史家ヘロドトスを生んだ古典古代のギリシャについて、必要以上に知っていることが多い。
 しかし、この国は中世以後になると急に教科書から姿を消し、近代に入ってギリシャ独立戦争(1821~29年)で再び言及されるにすぎない。東ローマ帝国の滅亡以降、およそ400年にわたるオスマン帝国の支配から独立を目指した運動とその後の国づくりのあり方は、欧州連合(EU)に依存しがちで、独立自尊の経済運営を放棄してきた現代ギリシャの個性の原型でもある。(中略)
 国家破産状態だった当時のギリシャが近代国家として生き残れたのは、古典古代のギリシャを文明の源流と考える欧州の政治家や世論が国際関係で何かと後援したからだ。
 オットーの王制が行き詰まると、ギリシャを後見する欧州列強は、デンマーク王家からゲオルギオス1世を招き、1897年にトルコとの戦争で敗北しても、ギリシャに紛争の焦点となったクレタ島を事実上与えるなどの優遇をはかった。
 20世紀でも続いた特待措置は、国力不相応の自己過信を国民に抱かせ、欧州に庇護(ひご)された安逸をむさぼりながらEUの介入に反発する独特な国民性の淵源(えんげん)となった。EUによる負債半減に感謝するギリシャ人がほとんどおらず、財政緊縮策や構造改革を嫌うのも、根拠のない自尊心がかちすぎているからだ。
 オスマン帝国の継承国家の成功例がトルコ共和国だとすれば、ギリシャはこの帝国の悪しき遺産を現代に引きずっているともいえよう。2010年のトルコの一般政府債務残高の対GDP比がわずか42%なのに、ギリシャは142%にも上る。ギリシャ人もトルコ人のように口数少なく勤労に励むべきであり、口先で“自由”を謳歌(おうか)するのを止めねばならない。
 脱税や高年金を続けて国家が破産しても、もうギリシャにバイロンやドラクロワのような奇特な欧州人が現れないことだけは確かなのだ。(東京大学教授・山内昌之 産経新聞2011.11.15)

不可避な緊縮財政

EUの矛盾

ギリシャ人よ、汝自身を知れ

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