安保よりも大変? 「新国立」見直し
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安保よりも大変? 「新国立」見直し

東京五輪のシンボル施設と期待されながら、「税金の無駄遣い」と批判がやまなかった新国立競技場について、安倍晋三首相が白紙撤回を表明した。計画見直しは「英断」だったのか、それともただの人気取りか―。「ゼロベースで見直す」という計画の行方は、安保法案成立よりもいばらの道だったりして。

東京五輪のシンボル施設と期待されながら、「税金の無駄遣い」と批判がやまなかった新国立競技場について、安倍晋三首相が白紙撤回を表明した。計画見直しは「英断」だったのか、それともただの人気取りか―。「ゼロベースで見直す」という計画の行方は、安保法案成立よりもいばらの道だったりして。

単刀直言

安藤氏、現行案の継続希望

「頼まれたのはデザイン案の選定まで」

 新国立競技場の総工費が2520億円に膨らんだ問題で、デザインを採用した審査委員会で委員長を務めた建築家の安藤忠雄氏(73)が16日、都内で会見を開いた。自らの責任について、「私たちが頼まれたのはデザイン案の選定まで」などとし、予算面での問題には関知しないとの立場を明かした。(中略) 大揺れのザハ氏のデザインだが、「今後、できれば残してほしい」とも話した。(ZAKZAK 2015.07.16)

森元首相「もともとあのスタイルは嫌だった」

 2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元首相は17日のBS番組収録で、新国立競技場の建設計画について「見直した方がいい。もともとあのスタイルは嫌だった」と述べた。
19年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会での新競技場使用が困難となることに関し「間に合わなかったら他の競技場でするしかない」と述べた。(産経新聞 2015.7.17)

デスマーチですよこれは

問題はそこではない

アーチ廃止、コンペ案再考も

夜、都心の街灯に縁取られ形を現した新国立競技場の建設予定地(左下)。2520億円にまで膨らんだ巨額の総工費が問題となり、計画見直しの方針が決まった。5年後、新競技場はどのような姿で五輪を迎えるのだろうか=東京都新宿区(共同通信社ヘリから)
 2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場の総工費が2520億円に膨らんだ問題で、政府内で「キールアーチ」と呼ばれる2本の巨大な鋼鉄製アーチの建設をやめ、建設計画を縮小する案が浮上していることが15日、分かった。最大観客数も現行計画の8万人から6万人程度にすることも検討する。政府関係者が明らかにした。与党内からも総工費を抑えるため計画の見直しを求める声が噴出している。
 競技場のシンボルとなるキールアーチは長さ400メートルの巨大な構造で、会場付近の仮設工場での接合が必要など工法も特殊だ。このためアーチを含む屋根部分の工費は950億円にのぼり、総工費を押し上げた。
 ただ、現時点でデザインを変更すれば、五輪や2019年のラグビー・ワールドカップ日本大会に完成が間に合わなくなる可能性がある。政府内では建設計画をゼロから見直し、平成24年に行った国際デザインコンクールで最終選考に残った案から採用することなども検討されている。
産経新聞 2015.7.15

最終審査で優秀賞となったアラス
テル・レイ・リチャードソン氏
(豪州)の作品
最終審査で入選となった妹島和世
氏(日本)の作品
最終審査に残ったロッド・シアー
ド氏(英国)の作品
■【日本の解き方】新国立、計画見直しへ 民主政権下密室での“スルー”が高コストに(zakzak 2015.7.17)

50年前の五輪から学ぶこと

東京オリンピック 満員の国立競技場スタンド=1964年10月、本社ヘリ
 市川崑監督の記録映画「東京オリンピック」は、巨大なクレーンから吊(つる)された鉄球でコンクリート壁を次々と破壊するシーンから始まる。いまから半世紀前、東京は徹底的に破壊され、新しい建物群や高速道路が次々と建設された。
 このときから、東京は「世界都市」に向かって、一直線に走りはじめた。世界都市とは、資本主義のグローバルシステムに直結した都市といったほどの意味である。つまり国家を超えている。
 当時の東京、あるいは東京人の変貌ぶりについてはまったくの無知である。ここは、時代状況に鋭い触角を働かす小説家の作品から、さぐるしかない。取りあげたいのは、中野重治の『甲乙丙丁』と、小林信彦の『夢の砦』である。(中略)
 『夢の砦』の主人公は生粋の江戸っ子で、オリンピックの競技場近くのアパートに住んでいる。こう語らせている。
 「〈オリンピックまでにネズミは殺しましょう〉と書いたドイツ製の殺鼠(さっそ)剤が配られるんだ。……それから、新競技場付近の清掃に参加しろとか、国旗をかかげろとかさ。まるで戦時体制だぜ」
 「いまの東京は、ぼくが育ってきた街とは、とうてい、思えないよ。外苑の芝生なんて、戦後二十年近く、手入れされたことがなかったのに、(略)急に、お伽(とぎ)の国風の花壇を作ったんだぜ。そういう感覚が堪(たま)らないじゃないか」
 主人公は閉会式まで、関西に移住し、「オリンピック疎開」をすることに決めた。そのうえで、「これから、東京がどんな風に変ってゆくか、見届けてやろうと思ってるんだ。どんな醜悪なマンモス都市になるか」と語らせている。
 昭和30年代後半は、重厚長大な産業が最盛期を迎えた。「鉄が鉄を生む」といわれ、オリンピック開催の勢いに乗って、まもなく国内総生産(GDP)が世界2位にまでなった。労働者の給与も倍々ゲームのように増えていき、消費がGDPをさらにかさ上げしていった。
 2020年に向け、国立競技場などの解体作業が始まった。「創生」されるべき地方を尻目に、東京一極のバブルが再来するのかもしれない。だが半世紀前とは時代状況や経済状況も、まったく異なる。
 「戦時体制」のような動員をかけたり、「気が狂れた」ような都市改造に乗りだしたりしたならば、「二度目は喜劇」となる。
(『日曜に書く』福嶋敏雄・産経新聞論説委員 2014.11.02) 

抜本見直し いばらの道

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