暴走する習近平

暴走する習近平

トラもハエも叩く――習近平国家主席が掲げた「反腐敗キャンペーン」も度が過ぎると反発を買う。経済が低成長時代に突入したいま、労働者から見放されたリーダーに巨大国家を率いていけるのだろうか。

前田守人の視線

 「反腐敗」をスローガンに掲げ、社会の緩みを正し、権力者への責任追及を強力に進めてきた習近平国家主席。ところが、ここにきて株価が暴落し、不動産価格の下落も顕著だ。海外からの投資の縮小、国内消費の低迷と、経済の減速は否めない。これまで日本やシンガポール、香港で「爆買い」を楽しんだ富裕層も市場経済の厳しい洗礼に青ざめているのではないか。鄧小平が唱えた、一部の人を先に豊かにしそれを広げていくという「先富起来」の考えが道半ばで頓挫する。バブルが弾ければ、豊かさを享受していない大半の労働者は夢からさめ現実に直面するだろう。いずれ共産党政権に不満をもち、政治的に不安定な状況になることが予想される。習近平の足下が揺らぎ始めた。(『Voice』編集長)

膨張する中華帝国

  • 「性都」大摘発で露呈した中国人の本音と左傾化する国家の正念場

    「性都」大摘発で露呈した中国人の本音と左傾化する国家の正念場

    いまも“東莞の36時間”と中国で語り草となっている史上最大規模の大捕り物。”性都”の大摘発で露呈した大衆のホンネとは? 富坂聡・拓殖大教授が習政権の闇に迫る。

中国の本当の現状と先行き

 中国政府は今週に入って中国株暴落の悪影響を止めるために、以前から噂されていた人民元の切り下げに踏み切りました。さまざまな経済メディアでは、中国経済の減速が再びクローズアップされるようになってきています。そこで今回は、中国経済の現状と先行きについて、簡潔に整理して述べたいと思います。
 2013年頃から今に至るまで、中国はリーマン・ショック後に実施した4兆元投資の反動に苦しんでいます。将来の需要を無視した過剰な投資により、製造業を中心に供給過剰が慢性化しているのです。その結果として、企業の収益が悪化し、失業者数の増加が社会問題となっています。こうなってしまうと、増やした設備投資を次々と削減していくしかなく、4兆元投資の大半は無駄に終わってしまったといえるでしょう。
中国上海市の古い住居棟。周りには新しい高層マンションが建設されている(共同)
 そんな状況下にあっても、中国のGDPは2015年1-3月期、4-6月期と7.0%の成長を達成しています。しかし、中国のGDP統計は2013年頃から粉飾されているので、その数字を決して鵜呑みにしてはいけません。私の考えでは、2013年当時は5%程度しか成長していなかったのですが、2015年の1-6月期には5%程度はおろか、4%程度しか成長していなかったかもしれないのです。
 習近平体制は成長ペースを徐々に緩めながら、構造改革を通じて7%前後の安定成長の維持を目指しているため、2015年通年のGDPは最終的には7%を少し割れる数字をつくってくることが予想されます。中国政府はこれまで、「格差の拡大を止めるには、7%前後の成長が必要である」と国民に説明してきた手前、本当の数字を出したら民衆の大規模な暴動が止められなくなることを恐れているのです。【関連記事:中国の経済・金融の真相(その1) 2013.6.26
 中国経済の動向を精緻に分析している香港のエコノミストなどは、その多くが中国のGDP統計をまったく信用していません。たとえば、経済活動をより正確に映すエネルギー消費量は、2015年1~6月に0.7%しか伸びていないのです。エネルギー消費量は2011年~2012年には2桁の伸びを記録したにもかかわらず、現在の伸び率はGDPの伸び率から相当かけ離れた数字となっているわけです。その意味では、中国のGDP統計は政府目標を達成したという既成事実をつくるための儀式にすぎないと割り切る必要があるでしょう。(中原圭介の『経済を読む』2015.08.14

権力の独占強化

  • 中国の国家安全法から窺える中国共産党の不安

    中国の国家安全法から窺える中国共産党の不安

    英誌エコノミストが、7月1日に成立した中国の国家安全法は、国内統制に向けた法整備の一環だが、そこには中国共産党が不安を抱いていることが窺われる、と指摘しています。

ずさんな都市計画

  • 天津爆発は習近平政権を揺るがすか

    天津爆発は習近平政権を揺るがすか

    死者100人以上の大惨事となった中国・天津の大規模爆発。中国問題の専門家、遠藤誉は爆発を起こした地域が昨春、中国政府が発表した新しい「都市化計画」の中核であり、習近平政権を揺るがしかねないと指摘する。

批判高まる情報統制

 中国・天津で起きた爆発事故で、当局への批判が高まっている。厳しい報道規制が敷かれ、国内のテレビや新聞が、爆発原因や被害状況に関する情報より、「消防隊員と看護師が不眠不休で頑張っている」などの“美談”ばかりを取り上げ、市民はいらだちを募らせている。危険物の管理や消火に問題があったとする見方も広がるなか、政府が意図的に情報を隠そうとしているのではないかといった疑問の声が浮上している。
  市民の最大の不満は情報不足だ。事故発生の翌日、現場近くに住む市民のなかに、のどの痛みや目のかゆみを訴える人が多く、インターネットには「爆発で化学物質が空気中に充満している」「雨は猛毒で、あたれば病気になる」といった噂が出回ったが、地元の天津テレビはアニメや韓国ドラマを流し続けた。さらに、現場に駆けつけた消防隊員が倉庫に化学物質が保管されていることを知らされないまま放水したことが、大爆発を引き起こしたとの見方が強まっている。それが事実ならば、現場のずさんな対応が大惨事を誘発したことになる。しかし、対策本部は記者会見で事故原因について口を閉ざしたままで、市民の不信感が高まっている。
  また、中国の法律では、危険物専用倉庫は住宅街から1キロ以上離れなければならないとの規定がある。しかし、今回、爆発が起きた倉庫は1キロ以内に複数の大きな団地があり、多くの世帯が住んでいる。倉庫建設の許認可をめぐり、贈収賄などの不正があった可能性がある。倉庫の経営者は天津市の指導者の親族との情報がネットで出回ったが、すぐに削除された。北京などから現場に多くの中国人記者が駆けつけたが、「中国国営新華社通信以外の原稿を使ってはならない」との党宣伝部の通達を受け、彼らが書いた原稿はすべてボツになった。北京の人権派弁護士は「市の中心部でこれだけの被害が出た爆発は人災にほかならない。当局者は責任を逃れようとして、なるべく市民に情報を与えないようにしている」と指摘する。(産経新聞 2015.08.15)
■天津爆発「人災」「情報統制」に不満も爆発 一党独裁国家がたどる崩壊への道(TheLibertyWeb 2015.08.16)

権力闘争の天王山

  • 重要証人処刑前に長老封じにかかった習指導部、抗争の火種に

    重要証人処刑前に長老封じにかかった習指導部、抗争の火種に

    インターネット規制が厳しい中国では、政治家失脚に関するニセ情報は最大のタブーとされる。見つかればすぐに削除、転載しただけで罪に問われる。権力闘争に詳しい党関係者は「習近平指導部による両長老への牽制球だ」と解説する。

  • 上海株大暴落 仕掛けた「犯人」は腐敗取締反撃の江沢民一派

    上海株大暴落 仕掛けた「犯人」は腐敗取締反撃の江沢民一派

    7月の中国の株式市場は、阿鼻叫喚の様相を呈した。6月中旬から7月上旬にかけて、上海・深セン両証券取引所を合計した株式時価総額は、日本円にしておよそ450兆円下落し、中国のGDPのほぼ3分の1が消滅した。7月下旬にもさらなる急落が起きた。

  • 習近平主席の粛清加速 江沢民や胡錦濤出席の会議を牽制の狙い

    習近平主席の粛清加速 江沢民や胡錦濤出席の会議を牽制の狙い

    「次の大トラは誰だ!」いま中国共産党関係者の間では、この話題で持ちきりだという。「トラもハエも叩く」と豪語した習近平・国家主席の反腐敗キャンペーンは、いよいよ「大トラ」と呼ばれる党最高幹部にたどり着いた。

暴走する習近平

習近平国家主席の求心力が低下した最大の要因は何だと思いますか?

  • 325

    反腐敗キャンペーン

  • 1784

    経済の低成長

  • 689

    過度な情報統制

返信を入力