大阪中1殺害、なぜ事件は防げなかったのか
1629

テーマ

大阪中1殺害、なぜ事件は防げなかったのか

痛ましい事件が起きるたびに、考えさせられることがある。なぜ事件は防げなかったのかと。大阪府寝屋川市の中学1年の少年少女が遺棄された事件もまた、社会に重い課題を突き付けた凄惨な事件だった。

痛ましい事件が起きるたびに、考えさせられることがある。なぜ事件は防げなかったのかと。大阪府寝屋川市の中学1年の少年少女が遺棄された事件もまた、社会に重い課題を突き付けた凄惨な事件だった。

事件日の出来事を追う

見えぬ犯人像

深夜徘徊する少年たち

27
内閣府 平成27年版子供・若者白書より
 内閣府の「平成27年版子供・若者白書」によると、警察が補導した「不良行為」少年は、深夜はいかいと喫煙が大部分。近年は深夜はいかいの割合が上昇。警察が補導した「不良行為」少年(非行少年には該当しないが、飲酒、喫煙、深夜はいかいなどを行って警察に補導された 20歳未満の者)は、近年、減少傾向にある。平成 26(2014)年には 731,174人となった。態様別にみると、深夜はいかい(58.8%)と喫煙(30.9%)で全体の 9割程度を占めている。近年は深夜はいかいの割合が上昇し、喫煙や飲酒の割合は低下している。
■全国に補導強化指示 警察庁長官(産経ニュース 2015.8.27)
 奈良県では、少年犯罪を未然に防ぐために「不良行為」を細かく規定し、警察官の街頭補導に法的根拠を与える全国初の「奈良県少年補導に関する条例」が2006年に制定されている。条例では「不良行為」を26項目にわたって細かく規定し、小、中学生に対しては「学校を欠席し、または早退し、もしくは遅刻して、徘徊(はいかい)をする」行為も対象となる。警察官や少年補導員は街頭などで、このような「不良行為」をしている少年を見つけたら、条例に基づき補導することができる。補導の内容は口頭での「注意や指導」のほか、本人の同意を得たうえで、たばこや酒類などの「一時保管」、警察施設での最長12時間の「一時保護」など。
■<高槻少女殺害>少年少女のリスキーな「深夜徘徊」 防ぐためのルールは?(弁護士ドットコム 2015.08.20)

「安全な場所」がない

保護者同伴、規制も

 いうまでもなく、青少年の深夜外出を制限する条例は、青少年が良からぬ誘惑を受けたり、犯罪に巻き込まれる、飲酒や喫煙に及ぶのを防止するために設けられているものです。ですから、多くの場合、保護者同伴であれば18歳未満の青少年の深夜の外出は許容されると思われます。ただ、保護者同伴だったとしても、例えば、深夜遅くまで歓楽街や風俗街を連れて回るなどの行為に及んでいる場合には、やはり規制対象となることでしょう。保護者同伴であれば、なんでも許されるというわけではありません。(「シェアしたくなる法律相談所」寺林智栄弁護士 2014.12.31

最悪の結末

危険すぎる子供の深夜外出

子供の深夜外出の是非を考えたい

 痛ましい事件が起きるたびに、考えさせられることがある。なぜ事件は防げなかったのかと。大阪府寝屋川市の中学1年の少年少女が遺棄された事件もまた、社会に重い課題を突き付けた凄惨な事件だった。
 2人とは面識がなかったという被疑者が逮捕されてからまもなく一週間になる。報道では、過去の犯罪歴や犯行に至る経緯、犯行前後の行動の異常性まで次々と明らかになっているが、この事件を振り返ってもう一つ大きな疑問があるとすれば、2人はなぜ深夜外出ならぬ「プチ家出」という行動に走り、周りの大人たちはそれを止められなかったのかという点である。
犠牲となった2人が通っていた中学校に登校する生徒ら
=8月24日午前
 確かに、思春期の子供が心に抱える悩みや葛藤を周囲の大人が理解するのは難しい。スマートフォンが普及し、LINEやSNSといったコミュニケーションツールが多様化した今の時代であればなおさらである。閉ざされた情報空間の中でごく限られた交友関係だけが深まり、子供の心の微妙な変化がつかみにくくなった―。それは最も近くにいる親であっても、きっと同じ思いだろう。
 むろん、2人を連れ去り、殺害・遺棄した犯人への許しがたい憤りや、将来ある2人を奪われた家族の心痛は、察するに余りある。ただ、事件に巻き込まれる前に、被害に遭った2人を守る手立ては本当になかったのか。今回の事件を通して、どうしても考えたいのは、子供の安全を守る親や大人の責任だと思う。
 本日のテーマの中で紹介した元横浜市長、中田宏氏のブログによれば、市長時代の平成15年、子供の「夜間外出禁止令」を提案し、保護責任のある親への罰則も含めて検討したことがあったという。
 現在、各都道府県で定められている青少年健全育成条例では、子供の深夜外出自体は禁止していない。罰則を定めて禁止しているのは、正当な理由なく子供を連れ回す行為であり、深夜外出については保護者への罰則はなく、「努力義務」とされている。これは事件が起きた大阪府も同様である。
 それだけに中田氏の提案は、親の責任の所在を明らかにし、かなり踏み込んだ中身だったと言えるが、結局実現には至らなかった。それでも中田氏自身が述懐するように、「罰則化が目的ではなく問題提起することによって世の中がもう一度、意識しなおすきっかけにしたかった」という思いは、共感できる。
 ただ、罰則化の導入については、検討する余地がいくらでもある。ネット上では「法律で規制して片付く問題ではない」「夜間外出が悪いのではなく、外出して何をするかが問題」「親のしつけの問題であり、短絡的すぎる」などといった意見も多く、こうした声も決して無視はできない。
 だからこそ、今回の事件を契機に大人が子供の夜間外出の是非について真剣に議論し、子供の安全を守るより良い方法を模索するべきではないのか。子供の深夜外出には常に危険がつきまとう。警察の補導強化や地域の見守りといった側面からだけではなく、子供にとって最も身近な存在である親の責任についても真正面から向き合うことこそ、大人の責務であると信じたい。(iRONNA編集長、白岩賢太)
大阪中1殺害、なぜ事件は防げなかったのか

みんなの投票

子供の深夜外出について保護者の罰則化も検討すべきだと思いますか?

  • 検討すべき

    1296

  • 検討する必要はない

    131

  • 他の方法を模索すべき

    202