真実を教えない日本の教科書
1345

テーマ

真実を教えない日本の教科書

来年度から4年間中学校で使う教科書が各地で決まった。保守色の強い育鵬社版教科書がシェアを伸ばしたが、市民団体や左派メディアは「歴史観に問題がある」などと採択に猛反発する。日本の教科書はなぜ「事実」の解釈がこんなにも異なるのか。教科書採択の問題を考える。

来年度から4年間中学校で使う教科書が各地で決まった。保守色の強い育鵬社版教科書がシェアを伸ばしたが、市民団体や左派メディアは「歴史観に問題がある」などと採択に猛反発する。日本の教科書はなぜ「事実」の解釈がこんなにも異なるのか。教科書採択の問題を考える。

育鵬社版の本当の問題はこれだ!

文科省に問う

日本人分断のプロパガンダ

育鵬社を採択した日本は「普通の国」と言えるのか

 「海外で戦争する国」づくりに向けて、次々と手が打たれてきています。これが、「普通の国」の普通の姿なのでしょうか。
 このような国づくりは、システム、ハード、ソフトの面で総合的に進められています。そのうち、この間の重点はシステムを作ることでした。その中心にあったのは戦争法制の整備です。この課題は戦争法の成立と公布によって、ひとまず達成されました。このシステムづくりを確かなものとするために、憲法9条を葬り去ろうとするでしょう。「海外で戦争する国」となっても、今後も執拗に憲法の条文そのものを変えることが目指されるのは、そのためです。
 「海外で戦争できる国」づくりのための次の課題は、システムの作動を具体化するためのハードとソフトの整備です。10月1日に防衛装備庁が発足しましたが、これもハード整備の一環だと言えます。武器技術の研究・開発や調達と輸出を一元的に管理することによって、軍需産業を育成しつつ輸出増につなげながら武器のコストを下げて自衛隊の装備を高度化しようというわけです。こうして、経済成長のために武器の輸出促進が目的とされ、日本は正真正銘の「死の商人」国家への道を歩み始めることになります。こうして日本は、軍備管理・軍縮を目指す国としてのあり方を転換する方向を選びました。「経済大国」でありながら「軍事大国」にはならないという世界史的実験を放棄することになったのは誠に残念です。(中略)
 「海外で戦争できる国」づくりに向けてのソフト面の整備も着々と進められてきました。それは「戦争できる社会」づくりと「戦争できる人」づくりの両面で進行中です。
 そのために狙われてきたのがマスコミと教育でした。NHKのニュースが「安倍チャンネル」に変わってしまったことや戦争を肯定し賛美する育鵬社版の教科書を採択させようとする動きが強まっていることは、このような社会と人づくりの一環にほかなりません。人づくりといえば、福山雅治さんと俳優の吹石一恵さんの結婚について「この結婚を機に、ママさんたちが一緒に子供を産みたいとか、そういう形で国家に貢献してくれたらいいなと思っています。たくさん産んで下さい」という菅官房長官の発言もありました。「戦争できる人」としての兵士を供給するために「産めよ増やせよ」という戦前の発想そのものではありませんか。戦争法の整備は「海外で戦争する国」づくりの重要な部分ではありますが、その一部でしかありません。そのような国を作るために具体化が図られようとしている全体の姿をきちんと見ておく必要があります。
 このような総合的な動きの全体を阻止するためには、戦争法を廃止させるとともに、安倍政権を倒して新しい政府に取り換える必要があります。そのためにも、野党の連携・協力によって何としても「国民連合政府」を実現しなければなりません。(元法政大大原社会問題研究所教授・五十嵐仁、2015.10.03

歴史教育はどうあるべきか

慰安婦像だけではない

道徳教育を中心に

学び舎版のみ慰安婦記述

 新しい教科書では、社会科の記述で通説的見解がない事項の記述にその旨を明示することや、政府見解を尊重することなどを求めた新検定基準が初適用された影響もあって自虐史観の傾向がやや改善された。日中戦争時に旧日本軍の南京占領下で起きたとされながら、存否でも議論がある「南京事件」。文部科学省によると、平成以降、取り上げなかった歴史教科書は一点もなく、今回は8点のうち自由社だけが記述しなかった。編集担当者は「南京事件は中国共産党によるプロパガンダで事件自体が存在しないため」と話す。
中学校教科書検定の結果が公開され、慰安婦問題について記載された教科書
中学校教科書検定の結果が公開され、
慰安婦問題について記載された教科書
 教育出版は「多数の捕虜や住民を殺害し、国際的な非難を受けました(南京事件)」としていたが、「捕虜や住民を巻き込んで多数の死傷者を出しました」と変更した。編集担当者は「新検定基準もあり、殺害という一局面より全体として書いた方がいいと判断した」と説明する。一方、新参入した学び舎の歴史教科書は現行教科書が一切取り上げていない慰安婦を記述した。当初、申請した教科書では強制連行を強くにじませながら大きく取り上げたが、不合格とされた後、再申請の際に大幅に修正した。(産経新聞 2015.4.7)

育鵬社 多くの教科書が自虐的な歴史記述に満ちていると批判し、歴史・公民の教科書を発行してきた扶桑社の事業を継承し、平成19年に設立。「新しい歴史教科書をつくる会」と分かれた「教科書改善の会」(代表世話人=屋山太郎氏)が執筆に協力している。平成28年度から育鵬社版を採択した教育委員会は下記の通り。

【都県】宮城、埼玉、千葉、東京、山口、香川、愛媛、福岡

【市】大田原(栃木県)、武蔵村山(東京都)、横浜、藤沢(以上神奈川県)、金沢、加賀、小松(以上石川県)、大阪、東大阪、河内長野、四條畷、泉佐野(以上大阪府)、呉(広島県)、防府、岩国(以上山口県)、松山、新居浜、四国中央(以上愛媛県)、石垣(沖縄県)

【町村】小笠原村(東京都)、和木町(山口県)、上島町(愛媛県)、与那国町(沖縄県)

迷走した沖縄教科書

真実を教えない日本の教科書

みんなの投票

中学校で使う育鵬社版の教科書採択に問題があると思いますか?

  • 問題がある

    524

  • 問題はない

    784

  • どっちでもいい

    37