リベンジポルノを考える
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リベンジポルノを考える

先日、人気女子アナの流出写真が週刊誌「フライデー」に掲載され、大きな波紋を広げた。単なる芸能スキャンダルという話題性ではなく、流出した写真が「リベンジポルノ」に当たるかどうか、いま大きな注目を集めている。性暴力か表現の自由か。リベンジポルノについて考える。

先日、人気女子アナの流出写真が週刊誌「フライデー」に掲載され、大きな波紋を広げた。単なる芸能スキャンダルという話題性ではなく、流出した写真が「リベンジポルノ」に当たるかどうか、いま大きな注目を集めている。性暴力か表現の自由か。リベンジポルノについて考える。

「スクープ扱い」一転

刑事責任は問われるか

表現の自由とは何か

出版元は流出写真のネット記事を削除

 人気女子アナのプライベート写真が流出した騒動は、単なる芸能スキャンダルの枠を超え、流出元や写真を掲載した出版社の刑事責任を問えるか否かという、これまでになかった展開をみせている。ポイントは流出写真が「リベンジポルノ」に当たるかどうかだが、今回のケースでは写真を掲載した週刊誌「フライデー」(講談社)に対しても刑事責任を問う声や、道義的責任を指摘する批判が渦巻いている。
 リベンジポルノは、復讐目的で元交際相手の裸の画像などをインターネット上に流出させる行為。平成25年に起きた東京都三鷹市のストーカー殺人事件で元交際相手の男が女子高生の画像をネットに投稿し、社会問題化した。昨年11月には議員立法による「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」(通称・リベンジポルノ防止法)が施行され、プライベートで撮影された性的な画像や動画を相手の許可なく不特定多数に公表した場合に取り締まりの対象になる。
 新たに設けられた罰則では、性的な画像記録などを不特定多数に提供した場合、3年以下の懲役か50万円以下の罰金を科すとした。画像記録を拡散させる目的で特定の者に提供した際も、1年以下の懲役または30万円以下の罰金とするよう定めた。
 また、プロバイダー(接続業者)責任制限法に基づいたネット上の画像削除に関し、発信者の反論がないのを確認して削除するまでの期間を、問い合わせ後7日から2日に短縮することも盛り込んでいる。
 フライデーの公式サイトには発売当初、当該記事の一部が掲載されていたが、「記事はリベンジポルノだ」などとする批判が高まるとすぐに削除された。ただ、もし仮に流出写真がリベンジポルノと認められれば、週刊誌の記事自体がリベンジポルノの拡散を助長したことになり、刑事罰の対象になる可能性もあるという。(iRONNA編集部)

リベンジポルノの相談者は20代以下が6割

 リベンジポルノは復讐目的で元交際相手の裸の画像などをインターネット上に流出させる行為。25年の東京都三鷹市のストーカー殺人事件で元交際相手の男が女子高生の画像をネットに投稿し、社会問題化した。議員立法でリベンジポルノ法が26年11月に施行された。リベンジポルノをめぐっては、同法が施行されてから年末までの約1カ月間で110件の相談が全国の警察に寄せられ、うち約6割が20代以下だったことが警察庁のまとめで分かっている。また、リベンジポルノへの対応は緊急性が高いことから、同局は今年3月から内部文書の書式を簡略化し削除要請を迅速に行う態勢を整えている。(【日本の議論】産経ニュース2015.5.23)

問題は山積み

「表現の自由」の侵害か

 元恋人らの裸の写真などをネット上でさらす「リベンジポルノ」を規制する動きが米国内で広がっている。これまで全50州のうち、少なくとも12州で州法が成立した。ただ、過度な検閲につながるなど「表現の自由」を侵害しかねないと懸念する声も出ている。
 米東部バーモント州上院では4月下旬、リベンジポルノを規制する州法が可決された。元恋人らの写真をネット上に掲載した場合、罰金2千ドル(約25万円)と禁錮2年が科せられる。
 米国ではリベンジポルノをめぐり、被害者が自殺したり、名前を変更せざるを得ないといった事態が相次いで発生。東部メリーランド大のダニエレ・シトロン教授(法律)は「リベンジポルノの写真は公益性がなく、(被害者に)深刻な打撃を与えるだけだ」と述べ、全州で規制を急ぐべきだと訴える。
 米専門家によれば国内で野放しのポルノサイトは約300存在。業者に写真撤去を依頼した場合、年間約400ドルかかるという。
 規制に問題がないわけではない。州によっては、必ずしもリベンジポルノの被害に特化せず、裸の写真を載せること自体を禁止する例もあり、母親が裸の赤子を抱きかかえる写真が問題視される事態も起きた。
 ニューヨークのリタ・キャント弁護士は、卑猥な写真を女性に送りつけたことが発覚し下院議員を辞職したアンソニー・ウィーナー氏に言及、「公人は保護の対象外にすべきだ」と強調している。(ニューヨーク 黒沢潤 産経ニュース2015.05.28)

グーグル、リベンジポルノ画像削除へ

 米インターネット検索大手グーグルは今年6月、復讐目的に元交際相手の裸の画像などを流出させるリベンジポルノについて、被害者らの求めに応じて画像を検索結果ページから削除すると発表した。日本でも適用するとみられる。数週間以内にグーグルへの削除申請フォームをウェブサイト上に掲載する。

 フェイスブックやツイッターは、こうした画像の投稿を既に禁止している。グーグルも対策に乗り出すことで一定の被害抑止が期待できる。グーグルはこれまで検索結果ページから削除する対象として、銀行口座番号などの個人情報と児童の性的虐待画像を明示していた。そのほか、法的な理由によっても削除するとしていたが、米国では州ごとにリベンジポルノ規制はまちまちで、連邦レベルでは法制化の途上にある。このため削除されるかどうかは不明確だった。(共同)


ウェブには残り続ける

二次加害を繰り返すな

「忘れられる権利」どこまで

 リベンジポルノのネット拡散に関しては、サイト管理者にデータを削除させる「忘れられる権利」の議論が紹介されている。2014年年5月に欧州連合司法裁判所はプライバシー保護の観点からグーグルなど検索企業に対してEU市民の過去の個人データへのリンクを一定の条件下で削除すべきだと裁定を下した。
 過去の社会保障費滞納に関連する新聞記事が検索で表示されることをプライバシー侵害と認定したものだが、10月現在でグーグルに15万件の削除依頼があり、60%が削除された。もちろん、この場合も新聞記事のデータではなく、アドレスが削除されるだけであり、「忘れられる権利」は歴史を完全に消去することを容認するものではない。
 リベンジポルノの削除では誰にも異論がないとしても、ウェブ上の「消去する権利」がどこまでの範囲をカバーするのかでは議論が大きく分かれるはずだ。
 そもそも「知る権利」は権力や社会との不断の摩擦を伴って行使される権利である。その歩みをウェブ時代のいま改めて想起すべきだろう。(京都大学大学院教育学研究科准教授・佐藤卓己 産経ニュース2014.12.14)

誰もが被害者、加害者になる?

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