TPP「対中包囲網」完成せり
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TPP「対中包囲網」完成せり

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が大筋合意した。足掛け5年半に及んだ交渉は参加各国の思惑が絡み合い難航したが、発効すれば世界の国内総生産の約4割にあたる巨大な経済圏が誕生する。失速著しい中国経済を封殺する狙いも見え隠れするが、米国主導の「対中包囲網」は果たしてうまくいくのか。

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が大筋合意した。足掛け5年半に及んだ交渉は参加各国の思惑が絡み合い難航したが、発効すれば世界の国内総生産の約4割にあたる巨大な経済圏が誕生する。失速著しい中国経済を封殺する狙いも見え隠れするが、米国主導の「対中包囲網」は果たしてうまくいくのか。

バブルと消えた蜜月

「亡国の協定」とは何だったのか

「亡国の農政」ではないのか

 安倍総理は「TPPは、私たちの生活を豊かにしてくれます」と言うが、本当にそうなるのだろうか。
2年前の平成25年4月、衆参の農林水産委員会において、コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物の重要5項目については、「再生産可能となるよう除外または再協議の対象とすること」などを決議した。
 そして、政府も自民党議員も、この決議を守ると言い続けてきた。しかし、今回の合意内容は、この国会決議に反していると言わざるを得ない。これは亡国の農政でないか?
 今、安倍政権は、主食用米の生産を抑制して米価維持を図るため、多額の補助金を使って主食用米から飼料用米への転作を進めている。
それなのに、特別枠まで設けて主食用米を海外から輸入することになっている。
 つまりこれは、『日本の農家には家畜用のコメを作らせ、日本人が食べるコメは外国から輸入する』ということだ。海外のコメは美味しくないから食べられない? 海外の農家を馬鹿にしてはいけない。儲かるなら必ず作って売りに来る。 
 さらに問題なのは、政府は、米豪二国からの輸入分に相当する国産米を買い上げようとしていることである。買い上げた主食用米は数年間備蓄した後で、安い飼料用米等として売却することになる。
 そして、その差額は税金で穴埋めされる。まるで旧「食管制度」が復活するかのような先祖返りの愚策だ。こんな合意内容なのに、どうして「聖域」を確保したと言えるのか。農家に対する裏切りだし、何より構造改革にも逆行する。
 牛肉については、現在の38.5%の関税が、16年目からは9%まで削減される。ゼロにはならないものの極めて大幅な削減だ。昨年7月に日豪EPAが締結された際、自民党議員は、両国で合意した関税引下げの水準(冷蔵牛肉で23.5%、冷凍牛肉で19.5%)が「レッドライン」であり、これより後退することは許されないと息巻いていた。しかし、いとも簡単に突破されている。大幅譲歩だ。
 豚肉については、もっとひどい。差額関税制度は維持されるものの、分岐点価格(524円/㎏)以上の豚肉にかかる従価税については、現行の4.3%が10年目以降ゼロ%になる。さらに、11年目にはセーフガードもなくなる。分岐点価格以下の従価税の部分は、課税逃れや脱税が横行し、もともと国境措置として機能していない。つまり、豚肉については事実上、関税障壁が消滅するのだ。
 しかも、これで牛や豚の畜産農家が成り立たなくなれば、飼料の需要も減り、飼料用米の増産に軸足を移す安倍農政そのものが成り立たなくなる。重要5項目だけではない。2日遅れで8日に出された農林水産省の資料はさらに衝撃的だった。800を超える農林水産物の関税のうち半数の440項目で関税が撤廃されることが追加で発表されたからだ。果汁、オレンジ、さくらんぼ等々だ。農業総自由化と言っていい。
 このように、今回の合意内容は国内農業全体へ大打撃を与える内容となっている。
自民党は選挙の際、「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」というポスターを農村部に大量に貼った。有識者に日本の農業は大丈夫だと語らせているが、実際に彼らは農業をしているひとたちと話をしているのだろうか? ほんとうの姿を見ているのだろうか? 日本の国の農業のかたちをここまで壊すのか。日本の風景は、どんどん変わっていくだろう。あまりのことに体が震える。(民主党衆院議員、玉木雄一郎公式ブログより)

されど変わらぬ経済強国

批准・発効の道のり長し

中国紙「敗者となるのは米国だ」

 TPP交渉が大筋合意に達したことを受け、中国のインターネット上では「中国が隆盛してゆく歴史の道が、ついに下向きに変わる転換点が訪れた」などとする悲観論が出ている。「TPP」の音をもじって、中国の「●(足へんに易)尻尻(てぃーぴーぴー)(尻を蹴る)」合意だとする珍解釈も拡散している。
 これに対し、中国共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙、環球時報は8日付の評論記事で、TPPを「中国を排斥するものだ」とする世論を、「彼らが議論しているのは自分の想像から出たTPPだ。国家に対する不満の気持ちを晴らす助けとなっている」と批判し、こうした見方をする人々を「極端分子」と切り捨てた。
 同日付の同紙英語版も、TPPが「中国を孤立させ、中国経済に打撃を与える」との見方に反発し、「アジア諸国の経済は深く相互依存している。したがって中国抜きのTPPはその活力が限定的となるだろう」と主張。中国が進める、日韓やASEAN(東南アジア諸国連合)を巻き込んだ東アジア地域包括的経済連携(RCEP)構想に関する交渉が今年末までにまとまるとの見通しを示し、「RCEPは中国とアジア諸国の結びつきを強め、TPPの影響を帳消しにするだろう」と展望している。
 評論記事は、「敗者」となるのは中国ではなく、TPPを主導する米国だと強調する。「中国をTPP交渉から排除したことで、米国の望みと逆に進むかもしれない。中国は米国にとってカギとなる市場だからだ」と指摘し、「貿易や投資の分野では米国の方がより大きな損失を被る可能性がある」との見方を明らかにした。
 評論記事はまた、TPP参加国の商品が優先的に流通した場合、TPPが中国の対米輸出にとって深刻な脅威となると認めた上で、「中国に生産拠点を置く米国企業が、そうした損失を被るということに留意すべきだ」と警告。TPPの高い基準に合わせることは困難だとして、中国のTPP参加を否定している。(北京 川越一、産経ニュース2015.10.12

西側の価値観 持ち込ませぬ

ブレーキとアクセルを一緒に踏むような話

 TPP(環太平洋経済連携協定)交渉が大筋合意し、昨日夜中、甘利担当大臣は記者会見した。
 甘利大臣は「TPPは21世紀型のルール、貿易の有り方を示す大きな基本になる。この基本は世界のスタンダードになって行く」(読売新聞朝刊1面)と述べている。建て前としてはそういう言い方しかないのであろう。
 今回のTPP妥結で一番影響を受ける農林水産業について国民から選ばれた国会議員による、衆・参農林水産委員会での国会決議は次のようになっていた。

一  米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること。十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと。

二  残留農薬・食品添加物の基準、遺伝子組換え食品の表示義務、遺伝子組換え種子の規制、輸入原材料の原産地表示、BSEに係る牛肉の輸入措置等において、食の安全・安心及び食料の安定生産を損なわないこと。

三  国内の温暖化対策や木材自給率向上のための森林整備に不可欠な合板、製材の関税に最大限配慮すること。

四  漁業補助金等における国の政策決定権を維持すること。仮に漁業補助金につき規律が設けられるとしても、過剰漁獲を招くものに限定し、漁港整備や所得支援など、持続的漁業の発展や多面的機能の発揮、更には震災復興に必要なものが確保されるようにすること。

五  濫訴防止策等を含まない、国の主権を損なうようなISD条項には合意しないこと。

六  交渉に当たっては、二国間交渉等にも留意しつつ、自然的・地理的条件に制約される農林水産分野の重要五品目などの聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとすること。

七  交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。

八  交渉を進める中においても、国内農林水産業の構造改革の努力を加速するとともに、交渉の帰趨いかんでは、国内農林水産業、関連産業及び地域経済に及ぼす影響が甚大であることを十分に踏まえて、政府を挙げて対応すること。

 この決議を守ると政府は言っておきながら、決議が守られた今回の交渉であったかよく検証しなくてはならない。百点満点の交渉を望んでも外交交渉では無理な場合もある。
「関税撤廃の例外をしっかりと確保した」と政府は言うが、年々関税率が低くなり、生産農家は追い込まれていく。農業を守れたと言いながら、一方で全閣僚によるTPP総合対策本部を設けるというのは矛盾していないか。 国益を護り、日本の主張が通ったなら何も対策は必要ないのでないか。ブレーキとアクセルを一緒に踏むような話である。
 安保法制と同じくTPP交渉についてもしっかり国民に情報開示をし、納得できる説明をしてほしいものである。(前衆院議員、鈴木宗男公式ブログ「ムネオ日記」2015.10.06

中国を抑え込めるか

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