習近平と朴槿惠、ワニとワニチドリ
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習近平と朴槿惠、ワニとワニチドリ

巨漢習近平に寄り添う朴槿惠をみて連想したのは、ワニとワニチドリの関係です。生物世界でいう「共生」ですね。ほかにアリとアブラムシも、よく引合いに出されます。

巨漢習近平に寄り添う朴槿惠をみて連想したのは、ワニとワニチドリの関係です。生物世界でいう「共生」ですね。ほかにアリとアブラムシも、よく引合いに出されます。

立林昭彦の視点

 ワニチドリはワニの歯間に残った食べカスをついばんでワニの健康を保ってやっているそうです。歯ブラシか歯間ブラシの役を果している。さしずめ「デンタルクリニック チドリ医院」といったところですか……。
 経済の低迷がつづく韓国は昇龍のごとき中国がまぶしく見えたのでしょう。
 訪米した習近平が「ボーイング300機!」とか「国連女性基金に1000万ドル!」などと“札束外交”をくりひろげましたね。朴槿惠の目には〈さすが習サン、頼もしいワン(ン←小さく)〉と映ったかもしれません。
 でも、中国の成長はもはやこれまで。成長モデルの転換もカンタンではない。
 となると、気分次第ではチドリがとまったままワニ口がパクッと閉じられることだってあるでしょう。
 パク・クネ危うし! ナーン(ン←小さく)ちゃって!!
   

まるで王朝時代?

隣国は「東亜の悪友」

中国傾斜への懸念

 韓国の朴槿恵大統領が9月3日、中国共産党が主催した抗日戦争勝利記念式典と軍事パレードに、内外の慎重論を押し切って西側首脳として唯一、出席した。最大の同盟国・アメリカと最大の貿易相手国・中国の板挟みの中での苦渋の選択と推察するが、中国と周辺国の長い歴史を踏まえると、中国傾斜に、いささかの懸念を覚える。
 式典の運びについて、専門家が興味深い分析をしている。当日、習近平国家主席夫妻は大和殿上段に立ち、出席者は天安門から大和殿まで赤絨毯の上を進み、夫妻に挨拶した後、待合室に移動した。属国の代表を謁見する、かつての大中国の皇帝そのままの姿だったというのだ。
トップは潘基文・国連事務総長、最後はプーチン・ロシア大統領。プーチン大統領は挨拶の後、習夫妻と並んで待合室に移動し、対等の立場が演出されていた。
 朴大統領は普通の扱い。出席反対の声を意識してか、紫禁城の主(皇帝)の色である黄色いスーツを身に着け、天安門の楼上に登る際、習夫妻の数歩前を歩いた。軍事パレードの間もサングラスを離さず、立ち上がって拍手することもなかった。扱いに対する不満があった可能性もある。朴大統領に対する支持率は昨年4月のセウォル号沈没事故以降、30%台を低迷した。しかし地雷爆発に端を発した8月の南北高位級接触での強気の姿勢が功を奏し、支持率は50%超に急上昇した。
 軍事パレードへの出席は、高位級接触での有形無形の中国の協力に対する感謝と今後の支援に対する期待の表明であろう。
 朴大統領は2013年6月、習国家主席と会談した際、ハルピン駅で伊藤博文・初代朝鮮総督を暗殺した安重根の記念碑建立を要請。これに対し習国家主席は駅構内に記念碑ではなく大きな記念館を建て関係者を驚かせた。習国家主席は「血の結束」を誇った北朝鮮を無視して韓国訪問も実現している。朴大統領に対する“手厚い配慮”の裏には、日米韓の同盟関係に楔を打ち込む中国の狙いがある。
 日中韓三国に新政権が誕生して二年半。当初、多くの人が未来志向の新しい三国関係が始まると期待した。しかし現実は、歴史問題、慰安婦問題を中心にした中韓両国の日本攻撃だけが突出する結果になっている。
 今年は日韓平和条約締結50周年。半世紀前、現大統領の父親の朴正煕元大統領は、条約締結で日本が支払った有償、無償の賠償や民間借款を基にインフラを整備、「漢江の奇跡」といわれた経済復興を成し遂げた。賠償金は当時の韓国の国家予算の2.3倍、個人に対する賠償金も含まれていた。しかし近年、韓国の司法は徴用工らの請求権を過去に遡って認め、国際法の原則に反するばかりか、法治主義の存在を疑わせる結果も招いている。
 過日、大統領の妹の朴槿令氏が日本のインターネット番組で朴元大統領について「国交正常化こそ生きる道と思って推進した父を誇らしく思う」と語り、日本攻撃を続ける姉の姿勢を批判、懸案の慰安婦問題も、韓国政府が責任を持って対処する必要性を強調した。傾聴に値する意見だと思う。
 今回の訪中を機に朴大統領が米韓同盟の枠内で中国との関係を強める「安米経中」から、米韓同盟と中韓協力を並立させる「均衡外交」に舵を切った、と見る向きもある。
 隣国関係はいつの時代も難しく、対立が深まれば双方が失うものも大きい。しばし朴大統領の動きを見守りたく思う。(了)(日本財団理事長 尾形武寿 リベラルタイム 2015年11月号掲載)

いびつな中韓関係

コウモリ外交も限界?

 朴大統領の訪米は10月13~16日の日程だが、駐韓米国大使は早々と「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について活発な意見交換をするのは時期尚早だ」「高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備問題も議題にはならないだろう」と述べている。となると、朴氏は何のために米国に行ったのだろうか。
 最初は6月下旬の予定だったが、中東呼吸器症候群(MERS)が韓国で拡大したため突如キャンセルした。といって、朴氏がMERS鎮圧の先頭に立ったわけではない。「対策は専門家に任す」と丸投げした。ただ、こんな時に国を空けるのはまずいと判断したのだ。6月の訪米自体が「中国寄り」とみられていることを修正する意図だったとされるが、朴氏はその後、中国の抗日戦争勝利70周年記念式典に、西側の元首としてはただ一人出席し、ますます、「中国傾斜」を深めてしまった。
 そのため、「米中のバランサー」と自称する国、つまりコウモリ外交を続ける国としては、何が何でも米国に行かなくてはならないという強迫観念に取りつかれたのかもしれない。
ホワイトハウスで会談するオバマ米大統領と
韓国の朴槿恵大統領
 もちろん、オバマ大統領との首脳会談はある。その後に昼食会が予定されているが、大統領主催の晩餐(ばんさん)会はない。
 米国に頼み込んで無理して日程を調整して入れてもらった結果なのか、それとも、米国の“冷たさの表示”なのだろうか。いや、安倍晋三首相が大歓待された晩餐会と比較されたくなかったのかもしれない。
 ここに、興味深い会見録がある。
 「ワシントンの韓国専門家らは、与党当選者らが米国よりも中国を重要な外交相手と答えたアンケートの結果に憂慮を表した」
 「彼らは『朝米関係より韓米関係がもっと深刻だ』『アラブ系を除いて世界で反米感情が最も激しい国は韓国』という表現を使うなど、韓米同盟関係の損傷が深刻だ」
 「米国は現在、韓国を“真の同盟”と考えておらず、敏感な戦略情報の交流を敬遠している」
 実はこれは、2004年5月、朴槿恵ハンナラ党(現セヌリ党)代表の特使として米国を訪問した朴振(パク・ジン)議員(=外交通として知られ、現在は大学教授)が帰国直後に述べたことだ。04年ではなく、15年10月の会見だったとしても、何ら違和感なく読める話だ。04年は「反米・反日・親北」の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権だった。野党だったハンナラ党は、朴振議員の報告に基づき、盧政権の反米姿勢を攻撃したのだった。
 それから11年余。朴政権は、盧政権よりもはるかに中国に傾斜した。その分だけ米韓関係にはすき間風が強く吹いている。盧政権は末期になって「反日」をあらわにしたが、朴政権は発足当初から「反日」全開だ。
 朴政権は盧政権のアンチテーゼのように見なされがちだが、実は「対北」政策を除けば、その本質は盧政権を超える「親中・反米・反日政権」なのだ。(室谷克実 2015年10月15日 夕刊フジ)

中国かアメリカか

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