東芝とVW、繰り返される「失敗の本質」

東芝とVW、繰り返される「失敗の本質」

東芝とフォルクスワーゲン(VW)、日本とドイツを代表する名門企業で長年にわたる不正が発覚した。日本政府の成長戦略の目玉として導入が進む企業統治だが、企業の暴走はなぜガバナンスだけでは止まらないのか。名門企業で繰り返される「失敗の本質」を深掘りする。

安倍宏行の視線

 企業は何故暴走するのか? コーポレートガバナンスは全能なのか? 世界を震撼させたVWショック。国内では東芝不正会計事件が起きた。考えられない不祥事が企業を襲うその理由とは? 
 「過大な経営目標」の組織に対する強引な押し付けがその原因と見る人は多いが、実は答えは「人」にあるのではないだろうか。「権力闘争」。この四文字が企業に与えるダメージは、私たちが考える以上のものだと過去の歴史が教えてくれている。(Japan In-depth編集長 安倍宏行)

暴走すれば止める手立てはない

  • ガバナンスだけでは防げない 「権力闘争」が企業を滅ぼす

    ガバナンスだけでは防げない 「権力闘争」が企業を滅ぼす

    コーポレートガバナンスを徹底しても暴走を防ぐことは出来ない―。東芝もVWも常識では考えられない不正が平然と行われていた。フジテレビ元経済部長の安倍宏行が考える不正の引き金とは。

制度はあれど魂入らず

  • 企業統治の“優等生”東芝はなぜ機能不全に陥ったのか

    企業統治の“優等生”東芝はなぜ機能不全に陥ったのか

    日本のコーポレート・ガバナンスの“優等生”には魂が入っていなかった。東芝が引き起こした不正会計問題から日本企業はどのようにガバナンスを機能させるべきか、企業経営論に詳しい経済ジャーナリストの片山修が読み解く。

返り血を浴びても断行すべし

  • 東芝「不適切会計」の情と理 国益のため配慮せずに襟を正せ

    東芝「不適切会計」の情と理 国益のため配慮せずに襟を正せ

    東芝「不適切会計」問題は同種の他の事件と比べても重大な不祥事にもかかわらず、決算修正とトップの刷新で幕引きとなった。今回のような当局やメディアによる配慮が続けば、同様の事件は次々起こるとやまもといちろうは警告する。

メディアよ、「粉飾決算」を堂々と弾劾せよ

 ドイツのVW(フォルクスワーゲン)社が、いま、大変なことになっている。VW社がアメリカ国内で販売するディーゼル車に違法なソフトを搭載し、アメリカの排ガス規制をかいくぐっていたことが明らかになったからだ。
 まず、このようなソフトがあるということが、コンピュータ音痴の僕には驚きだ。だが、それ以上に、日本よりも「実直」、もっといえば堅物のお国柄のドイツの会社が、そんな「完全犯罪」を起こすとは、予想外としか言いようがない。
 今回、アメリカの検査基準を満たしていなかったのは約48万台だが、問題はそれにとどまらない。全世界で、実に約1100万台がリコールの対象となる可能性が高いという。そうなればVW社は、深刻な経営危機に陥るだろう。
 VW社といえば、日本におけるトヨタのような国民的企業である。VW社の経営が危なくなると、一企業の問題にとどまらない。ドイツ経済に与える影響も大きい。
 さて、アメリカ以外の国々でも次々とVW社に対する捜査が始まったが、ここからがドイツのすごいところだ、と僕は思った。捜査が進めば、大変な事態になることは間違いない。それでも、ドイツは毅然として捜査を受け入れている。一時は、国際的な信頼を損うかもしれない。だが、この対応によって、ドイツは遠からず立ち直ることができる、と僕は信じるのである。
2013年2月、田中久雄副社長の社長就任会見で握手する(左から)西田厚聡会長、田中氏、佐々木則夫社長=東京都港区(肩書きは当時)
 それにしても気になるのが、日本の中途半端さだ。たとえば、東芝の問題である。ご存じのように、東芝は2014年までの7年間に、1562億円もの利益を水増ししたのだ。巨額不正経理事件である。田中久夫社長、佐々木則夫副会長、そして西田厚聰相談役といった歴代3人の社長が辞任した。「粉飾決算」であることは疑いようがない。
 ところが、である。この事件に対して、検察も、そしてメディアもまったくの及び腰なのだ。新聞各紙をみると、「不適切会計」と報じている。比較的、踏み込んで書いている新聞でも、せいぜい「不正会計」だ。大企業に対して、なんという甘さなのか。呆れるばかりだ。
 ここで思い出すのは、ライブドア事件である。2006年、証券取引法違反などで、当時社長だった堀江貴文さんは逮捕された。そして2011年、懲役2年6カ月の実刑が確定している。ライブドアの「粉飾決算」額は、約50億円であった。繰り返すが、50億円で堀江さんは実刑になったのだ。
 このライブドア事件の関係者を取材して、感じたことがある。ライブドアが、「叩きやすい」ベンチャー企業であること、そして「ホリエモン」がニッポン放送買収、プロ野球球団買収などで、目立ち過ぎたことが、厳しい結果につながったのだと。彼をかばっているのではない。取材の結果、そうとしか言えないのだ。
 つねづね思っていることだが、日本の検察には、「相手を見る」ところがおおいにある。しかし、公正であるべき検察が、そんなことでよいのか。ドイツに負けず劣らず、日本も真面目で実直な国柄であったはずだ。
 だが、やはり島国なのかもしれない。僕たちは議論したり、意見を主張して、きっちりと結論を出すのが不得手なのではないか、と感じる。「空気」の国なのだ。
 だが、これからの時代、そういう態度ではやっていけない。このままでは確実に国際的な信頼を失ってしまうだろう。ここはひとつ、僕たちはドイツを見習うべきではないか。検察はもちろん問題だ。だがその前に、まずメディアよ、「粉飾決算」と堂々と書き、不正を弾劾すべきなのだ。(田原総一朗公式ブログ、2015.10.13

国運が傾く前兆か

  • VW問題で信頼性が揺れ出した“メイド・イン・ジャーマニー”

    VW問題で信頼性が揺れ出した“メイド・イン・ジャーマニー”

    ギリシャ財政危機、シリア難民受け入れ、VW不正問題…EUの経済大国・ドイツが立て続けに大きな試練を受けている。不正問題によるVWの危機は製造分野で世界に誇ってきたドイツ製品の信頼性が揺れだしたことに等しい。

日本車は大丈夫なのか

  • VWディーゼル排ガス問題 マツダの「不正ない」公式声明を検証する

    VWディーゼル排ガス問題 マツダの「不正ない」公式声明を検証する

    VWディーゼル排ガス問題に際し、日本のユーザーがもっとも不安に思ったのは、乗用車として国内最大のシェアを持つマツダのディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」は大丈夫なのかということ。マツダの「不正ない」公式声明を検証する。

はたして、検察は動くか

 東芝問題の波紋はどう広がっていくのでしょうか。海外の個人投資家から不正発覚による株価下落で損失を被ったとして提訴されただけでなく、米国の法律事務所が集団提訴を呼びかけており、訴訟が広がりかねない状況のようです。東芝の経営はまるでテレビドラマにでてきそうなガラパゴスそのものであっても、資本はグローバル化しているので影響は国内だけに留まりそうにありません。
 日本が経営の透明化、また信頼性を今後どう担保していけるのかも、おそらく国内外から注視されており、証券取引所の処分内容だけでなく、検察がどう動くのかも注視されているのではないでしょうか。
 会計の不正操作は株価にも影響しただけでなく、不正操作のあった時期に行われた公募増資などが約一兆円あり、それは詐欺に当たる可能性が高いと思われます。
 それに監査法人はなにをしていたのでしょうか。オリンパスの場合もそうでしたが、監査法人の役割にまた疑問符がつきました。
 こういった事案で日本で実刑がでたといえばライブドアが思い浮かびますが、ほとんどのケースは刑事罰に問われていません。そういった甘さが、今回の東芝のような安易な会計操作がまかりとおることにもつながったのかもしれません。
 さて、不正会計といえば、海外では2001年に経営破綻した米通信大手のワールドコムや米国大手のエネルギー会社エンロン事件を思い起こします。調べてみると、ワールドコムの元CEOバーナード・エバーズは25年の禁錮刑、エンロンの元CEOジェフリー・スキリングは24年の禁錮刑の判決を受けています。ちなみにエンロンの元CEOは刑を軽減され最近出所しているようです。
 日本でも株主による訴訟が起こりそうな気配を感じますが、東芝の経営陣を検察が無傷で済ますのかどうかです。もし検察が立件し起訴に持ち込めなかったら、日本の企業の経営はガラパゴスであり、違法も放置する二流国だというレッテルが貼られてしまうのではないかと心配します。
 それにしても、人の悪口をぶつぶつと並べ、自分は悪くないといわんばかりに記者を睨みつけ、「たった2500億円」と言い放った森喜朗さんといい、東芝の経営者の人たちといい、人相悪すぎです。(「大西宏のマーケティング・エッセンス」 2015.07.23)

大企業に潜むワナ

  • VW問題 不振の北米市場の改善急ぎ技術開発より不正選んだ

    VW問題 不振の北米市場の改善急ぎ技術開発より不正選んだ

    米環境保護局(EPA)の調査で発覚した、独VWのディーゼル車不正行為。その背景には、トヨタに追いつき追い越せで販売台数世界一になることを至上命題にしてきたプレッシャーがあったとされる。

  • 東芝事件で改めて問われる 社外取締役という新たな「天下り先」

    東芝事件で改めて問われる 社外取締役という新たな「天下り先」

    繰り返される企業の「ごまかし」不正行為は、規制当局がいくらコーポレートガバナンス強化を求めても是正されるものではない。東芝事件では、4人いる社外取締役の一人が疑念を持って会計部門に問い合わせたものの黙殺されてしまったという。

  • 東芝問題に見る『御社の寿命』  緊急・著者対談!!

    東芝問題に見る『御社の寿命』 緊急・著者対談!!

    東芝の一連の動きは、6月に中央公論新社から刊行された話題の経営書『御社の寿命 あなたの将来は「目利き力」で決まる!』の中で紹介されている企業や経営者をとりまく危うさや課題、教訓に驚くほど共通している。

東芝とVW、繰り返される「失敗の本質」

不正会計で信用失墜した東芝の再生には何が一番必要だと思いますか?

  • 167

    企業統治の再構築

  • 122

    経営陣の一新

  • 25

    不採算部門の整理

返信を入力