東京五輪と野球の悩める関係
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東京五輪と野球の悩める関係

2020年東京五輪の追加種目として提案される5競技が決定した。野球は「大本命」だったとはいえ、賭博問題を契機にIOCが敵視する採用判断への影響が懸念される上、実施に向けて様々な難問が待ち構える。五輪と野球の悩める関係を考える。

2020年東京五輪の追加種目として提案される5競技が決定した。野球は「大本命」だったとはいえ、賭博問題を契機にIOCが敵視する採用判断への影響が懸念される上、実施に向けて様々な難問が待ち構える。五輪と野球の悩める関係を考える。

最も重要な選考基準とは

見たいのはトップのプレー

まだまだ納得いかない落選競技

 9月28日、2020年東京五輪で開催都市の東京が提案できる追加種目について、大会組織委員会が野球・ソフトボール、空手、ローラースポーツ、スポーツクライミング、サーフィンの5競技計18種目を国際オリンピック委員会(IOC)に提案することを決めた。
 組織委は5月に選定上の主要原則として「国内の盛り上がり」とIOCが強く意識する「若者へのアピール」を掲げており、追加の5競技18種目は原則に沿った形となった。しかし落選した種目の関係者からは選考の透明性に疑問があると反発。全日本ボウリング協会は選考過程の開示を求めて組織委に面談を要求、説明には納得したものの、追加種目入りを目指してIOCに直接実施を要望することを検討する方針を示した。スカッシュも世界連盟がIOCに落選の経緯の説明を求めるなど、収拾にはまだ時間がかかりそうだ。
 また、日経BPコンサルティングが9月12、13両日に全国の一般消費者1000人を対象に実施した「スポーツ・オリンピック意識調査」で、東京五輪の実施競技との追加種目の最終選考に残った候補の計38競技の認知度を尋ねたところ、最終選考で落選したボウリングが16位、スカッシュが33位だったのに対し、7割を切った3競技のうち、追加種目としてIOCに提案されるスポーツクライミングとローラースポーツの2つが入った。ただし、振興の取り組みについて「認知・興味の拡大」が期待される競技でスポーツクライミングが1位となるなど今後注目が集まる競技と分析している。

自他共栄の精神

新スポーツが低迷テレビも救う

 ローラースポーツはローラースケートで速さを競い、スポーツクライミングは、手がかりのついた人工壁を登る。演出家の目線で考えると、サーフィンもローラースポーツもけっこう「画」になりそうな競技に思われる。
 今回、見送られた中にも、パラシュート降下中に技を競うエアスポーツ、金属球を目標に投げるペタンク、プラスチックの円盤をパスで運んで敵陣を目指すフライングディスクなど、私たちにはなじみは薄いものの、面白そうなスポーツがいくつかあった。
 先日、歴代の高視聴率番組ベスト20のリストを見ていたんだけど、「紅白歌合戦」やNHKの朝ドラ「おしん」「おはなはん」などを除くと、ほとんどスポーツ中継だった。
 1964年の東京五輪の女子バレーポール日本対ソ連の決勝、02年W杯の日本対ロシア戦、63年の力道山対デストロイヤーのプロレス、66年のファイティング原田対エデル・ジョフレの世界バンタム級タイトルマッチ…などは、時代が違うとはいえ、視聴率60%以上という驚異的な数字。やはり年齢を問わずに見られるスポーツは強いね。
 かつてローラーゲームやボウリングなど、テレビが主導してブームを作ったスポーツも多かった。プロレスなんか、テレビ・マッチの典型だ。昔、プールの上にリングを作って、そこから落とすと水の中というプロレスがあった。個人的にはこの水上プロレス、けっこう好きだった。
 テレビが低迷しているといわれているけど、テレビマンは新しい魅力あるスポーツを見つけていない。最近では米国ほか各国に輸出してヒットしている「SASUKE」(TBS系)ぐらいなもの。
 イチから新競技を考えるのは難しいかもしれないけど、ちょっとアレンジすることによって、面白いモノができるかもしれない。
 今回、東京五輪の追加競技を目指したものの、次の選考には進めなかった綱引きも、例えば、引っ張られて負けた側が真ん中に作った谷底に落ちてしまうルールにすると、また違ってくるんじゃないか。まだまだスポーツには宝が埋まっていると思う。
 新しいスポーツが生まれることで、これまでスポーツに縁がなかった人も、参加できるんじゃないか。かつて一般の人はプロレスラーになれなかったけど、いまやイケメン・プロレスもある。グラビアアイドルも参戦している。
 ニュー・スポーツは、テレビが低迷から脱出する起爆剤になるかもしれない。(演出家・テリー伊藤 夕刊フジ、2015.07.01

意向を忖度したのか

夏季五輪 分割したら?

 海辺の街に住んでいるので、4年前から大型サーフボード上に立ってパドルでこぎ進むスタンドアップパドルボード(SUP)を始めた。上級者は波乗りも楽しめるのだが、当方は生来の身体能力の低さに高齢化も重なり、4年たってもいまだに初心者のままだ。それでも追加種目が話題になると「ほう、サーフィンの目もあるのか。それならSUPも含まれるかな」などとわくわく感が広がる。袖すり合うも多生の縁といいますか。
 1次選考段階の26競技には、水中スポーツ、水上スキー・ウエークボード、そしてサーフィンと海のスポーツが3つも入っていた。それ以外にも新しいスポーツ、老舗の競技、さまざまだ。それぞれに楽しめる人がいる。この多様化は大切にしたい。
 ここから先は20年ではなく、将来に向けた外野席からの単なる思いつきなのだが、これだけ多様な競技があり、しかもそれぞれにファンがいるのなら、現在の夏季五輪を夏と秋に分け、開催都市も別にして受け入れ枠を広げたらどうだろうか。
2020年東京五輪の追加種目としてIOCに提案されるサーフィン。良質な波を求めて、開催地の選定が進められる(日本サーフィン連盟提供)
 夏は水泳、ボート、セーリング、それにサーフィンなど水のスポーツ。そして秋は陸上競技やサッカーなどフィールドと体育館を使う競技を中心にしてメリハリをつける。雪と氷の冬季五輪が1924年のシャモニー大会から始まり、五輪はすでに夏と冬の二本立てになっている。希望競技が多いのなら受け入れ枠を増やして三本立てにする方が合理的だ。
 そもそも現状を考えれば、いくらなんでも夏にやるのはムチャでしょうという競技は多い。1964年の東京五輪が開幕したのは10月10日、さわやかな秋空がひときわ印象的だった。アスリートファーストの観点からも、観客にとっても夏季、秋季の分割は望ましい選択であるに違いない。
 テレビ局にとって五輪中継は夏のキラーコンテンツなのだが、分割しても夏がなくなるわけではない。むしろ秋にもう一つ、注目度の高いコンテンツの放映機会が増える。悪い話ではない。
 夏と秋の五輪は同じ都市で開催する必要も、同じ年に開く必要もないので、開催側は多少なりとも負担が軽減され、それぞれの立地条件に合った大会に立候補しやすくなる。冷房抜きで100億円節約して…などとチマチマしたことを考えなくても、観客は快適な気候条件のもとで大観衆であることを楽しめる。
 とはいえ、イノベーションへの動機付けはよほどのことがなければ生まれない。熱中症で選手も観客も次々に倒れるなどということがあれば、話は変わってくるかもしれないが、それもまた困るしなあ。(産経新聞編集委員・宮田一雄)

五輪種目であり続けるために

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