酒たばこ「18歳から」は非常識じゃない!
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酒たばこ「18歳から」は非常識じゃない!

選挙権年齢が18歳に引き下げられることに伴い、飲酒・喫煙の18歳解禁の議論にも注目が集まっている。ただ、医学的見地から反対の声は根強く、自民党内の議論も紛糾。どの範囲までを「18歳成人」として認めるか、いまだ着地点は見えてこない。「自己責任」という考えはやっぱり極論ですか?

選挙権年齢が18歳に引き下げられることに伴い、飲酒・喫煙の18歳解禁の議論にも注目が集まっている。ただ、医学的見地から反対の声は根強く、自民党内の議論も紛糾。どの範囲までを「18歳成人」として認めるか、いまだ着地点は見えてこない。「自己責任」という考えはやっぱり極論ですか?

引き下げても変わらない

選挙権だけでいいのか

でも問題あるでしょ? 彼らは成人なの?

 選挙権年齢を18歳以上に引き下げる公職選挙法の改正案が、衆議院では全会一致で可決され、今後、参議院でも可決、成立しようとしています。この流れは、国会には「憲法改正の国民投票は18歳から」という方向がすでにあり、さらに公選法も改正して、各種選挙も当然18歳から投票できるようにしようというものです。
選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法が成立し、模擬投票する高校生=6月17日午後、国会
選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法が成立し、模擬投票する高校生=6月17日午後、国会
 いままでは、20歳以上であればお酒を飲め選挙も手伝えましたが、18歳ではお酒も飲めず選挙も手伝えないことになっていました。今回、投票できるようになることで、選挙運動もできることになります。「選挙を手伝える」ということは、「選挙違反」をすれば、18歳でも19歳でも罰せられることになります。そこで今後、大きな議論となっていくと思われるのが、「(選挙とは関係なく)刑事事件を犯した場合」に成人として扱うのか、それとも少年法の扱いのままにしておくのかという点です。
 私は18歳から成人にすべきだと思います。選挙に投票できる、あるいは選挙を手伝って政治に対して働きかけができるということは、「成人」であることを意味すると思います。すでに「法制審」(法制審議会。法務大臣の諮問機関)では、成人を18歳に引き下げるべきとの方針が出ていいますし、私もこれに賛成します。
 一方、今までどおり分けた方が良いという論もあります。少年の更生を期していくためには引き続き少年法を適用すべきというものです。私も、「未熟」な子供を「更生させていく」ことは賛成です。そのためのプログラムや施設などは考慮していくべきと思います。しかし、「未熟」だから「少年法の扱い」なのであれば、今回の選挙権は「未熟」なのに「投票できる」ことになり、合理性のない話になってしまいます。
 かつては元服で、15歳前後で大人という扱いになりました。「あなたは元服を迎えるんだ!」と(私はもちろんありませんが)言われることにより、それまでに自覚を持って学び、教養を身につけ、そして大人になって行ったのだ思います。
18歳をひとつの区切りにして、そこで大人になることを自覚してもらう。大人もそれを意識して子育てをしていくことが、結果として重要なことだと思います。(「中田宏公式WEBサイト」ブログ 2015.06.09

酒は命を奪うこともある

他の国は何歳から?

目的は何なのか

 選挙権が18歳に引き下げ、成人年齢もそれに合わせた引き下げが検討されていますが、自民党(特命委員会)は、何とそれに合わせて喫煙と飲酒ができる年齢を18歳に引き下げようというのです。一体、何を目的にこのような政策が出されたのでしょうか。
 タバコについていえば、世界全体が禁煙の方向で考えられているときに、これまで20歳未満ではダメだとされていたものを、わざわざ18歳に引き下げる理由がありません。もともと未成年者の健康のために20歳未満の喫煙が禁止されたのです。
 その動機自体は戦前のことですから、飲酒禁止も含め、強い兵隊を作るためのものであったと言われています。その動機・目的はともかく成長期の子どもたちが喫煙や飲酒をすることは身体に良いはずもなく、禁止それ自体には合理性がありました。
 では、それが18歳なのか20歳なのかということですが、これまで日本ではずっと20歳ということで禁止してきたのです。今更、これを引き下げなければならない理由はありません。
 もともと成人年齢を18歳に引き下げることですら、日弁連は慎重意見です。
民法の成年年齢の引下げの議論に関する会長声明」(2009年(平成21年)9月10日)
 私自身も現時点で成人年齢を18歳にすることには明確に反対です。成人扱いするということは明らかに悪徳商法の被害に遭う機会を増やし、低年齢化させます。
 悪徳商法は未成年者を狙うのではなく、成人に成り立てを狙うのです。18歳に引き下げられれば、今以上に未熟な判断能力しかない「成人」層が増えるわけで、悪徳業者にとっての楽園となることは明らかです。
 それに合わせてさらに喫煙や飲酒の可能な年齢を引き下げるのは愚の骨頂、愚策そのものです。
 成人になれば判断ができるという建前だけで政策を決めることは危険この上ありません。しかも自民党の発想は「責任」です。
「大人としての責任だけではなく、権利や自由も付与することで自覚を呼びかけ、責任感を醸成することができる」
 このような主張は自民党(特命委員会)の無責任さの裏返しでもあります。
 20歳未満で禁止していたことに不都合は全くありません。高校であれば3年生で順次、18歳になっていくことになりますが、クラスの中で喫煙、飲酒が可能な層が出てくることになりますが、教育の観点からみても明らかに不適当です。
 喫煙や飲酒にかかる費用も決して安くはありませんが、高校生とはいえアルバイトをしているからいいのですか。特に喫煙に関して言えば、実はかなりの高額になり、私自身も驚くことがあります。破産手続の中では、破産を申し立てる人の1ヶ月の家計表を作成するのですが、喫煙者は1日1箱以上のペースであることが少なくありません。1箱420円×30日でも12600円にもなります。これに飲酒代が加わるのですか。高校生がすべき本分とは全くかけ離れます。
 18歳すべてが高校生ではないということも理由にはなりません。圧倒的多数の子は高校に進学するのです。高校であれば誰もが通える教育環境こそ整えるべきです。中学卒業で社会に出るというのは早すぎます。
 上記の主張からは、では18歳ではなく19歳ならどうかということも問題にはなりえますが、従前の建前を壊すだけの合理性はなく、ただ18歳であれば非常に弊害が大きいということです。
 飲酒も同様です。世界の中にはもっと低年齢での飲酒が認められている国があるとしても、それは大した根拠にはなりません。その国自体がそれで良いのかどうかが問われるべきだと思いますし、低年齢であればあるほど、アルコール依存の人を増やすだけです。
 未成年の頃に飲酒したり喫煙をしたりすることを自慢げに語る人たちもいますが、決して自慢げに語ることではありません。現状において、喫煙や飲酒をする高校生が(中学生も)いることこそ問題にしなければなりません。少なくとも現状の学校教育では、飲酒や喫煙に関する教育も明らかに不十分です。このような中で18歳に引き下げることは、明らかに愚策なのです。(弁護士 猪野 亨のブログ 2015.09.02)

18歳は大人か子供か

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