ステマ広告が「一億総バカ時代」をつくる
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ステマ広告が「一億総バカ時代」をつくる

ネット記事だと思ってみたら、実は広告だった-。こんな経験、誰もが一度はしたことがあるのではないか。いま、広告の表記が抜けた「ステルスマーケティング(ステマ)」と呼ばれる手法に厳しい目が向けられている。ステマ広告で「一億総バカ時代」になる日も遠くはない?

ネット記事だと思ってみたら、実は広告だった-。こんな経験、誰もが一度はしたことがあるのではないか。いま、広告の表記が抜けた「ステルスマーケティング(ステマ)」と呼ばれる手法に厳しい目が向けられている。ステマ広告で「一億総バカ時代」になる日も遠くはない?

欺瞞的取引の入り口

メディアで進むステマ排除の動き

 一般記事の体裁を装いながら、実は特定商品の宣伝や会社のPRという「ステルスマーケティング(ステマ)」と呼ばれる広告戦略が横行し、いまウェブメディア業界を揺るがす大きな問題になっている。
 ステルスとは本来、「こっそり忍び寄る」といった意味があるが、ステマはレーダーに探知されにくいステルス戦闘機のように、消費者に広告だと気づかれないように宣伝するという造語として3、4年ほど前から知られるようになった。対象となる商品は、健康食品や化粧品、ゲームなど多岐にわたり、ネットユーザーの間でも「紛らわしい」「騙された」といった悪評が多い。
 こうしたユーザーの声を受けて、メディア側が過去のステマ広告掲載をお詫びしたり、紛らわしい広告を排除したりする動きが進んでいる。今年8月には、「ハフィントンポスト日本版」が外部の指摘を受け、ステマ広告の掲載に関する見解を下記のように発表した。

昨今、一部のニュースメディア上で広告と明記せず、編集記事と見紛うような広告を掲載する事例が増えているとの報道が見受けられます。読者にとってこうした広告クレジットのない記事(ノンクレジット)は、編集記事と思って読んでしまう悪質なものであり、ステルスマーケティング(ステマ)は優良誤認として景品表示法違反に問われる可能性があります。

ハフィントンポスト日本版では、当社規約においてこうしたステマ行為を厳格に禁じており、疑いのある記事は排除する一方、広告記事に関しては広告である旨の表示を明記し、読者の皆様方に誤解やご不便をおかけしない対応をしております。

ただ、当社の調査ならびに外部のご指摘により、ブログなどでステマと思われる記事をそのまま掲載してしまったのではないかと疑われる事例があったこともあります。ステマ撲滅に努め、弊社の編集記事・ブログ掲載にあたっては金銭の授受を全て禁止しておるところですが、こうしたご指摘が出るのは、弊社の編集チェック機能が十二分に機能していなかったことも遠因になっているのではないかと考えております。読者に正確な情報をお伝えすることが使命のニュースメディアとして、こうしたご指摘が出ること自体を反省しなければなりません。

今後は過去に掲載した記事まで遡って再点検し、上記の疑いがかかる記事については規約に基づき随時削除するなど厳正に対処させていただくとともに、当社の規約に沿った厳格な運営のもと、ステマ記事の撲滅に努めて参ります。

 ステマ記事をめぐっては、日本最大のニュースサイト「Yahoo!ニュース」が今年7月、「積極的に排除し、撲滅したい」と言及し、今後違反が発覚した場合は賠償請求など法的措置を含む厳正な対処をとると表明。マイナビニュースなど2社3媒体との配信契約を終了した。これについて、マイナビニュースは8月、広告記事の一部で提供会社を明示し、広告企画と編集記事を明確に区別していることなど、現状の取り組みを説明した。
 また、「ロケットニュース24」や「Pouch」を運営するソシオコーポレーションも10月、提供表記のない広告記事を掲載し、一部の従業員がソシオに無断で広告販売して不正な利益を得ていたことを公表。「不正行為を見抜けず不祥事を起こしたことを、役職員一同深く反省しております」とホームページ上で謝罪するなど、メディア側でもステマ広告への対応が続いている。(iRONNA編集部)

自滅を招く行為

規制するのは難しい

広告と商品の価値を貶める

なぜテレビのステマは問題にならないのか

 このところメディア業界ではステルス・マーケティングが大きな問題となっています。しかし、この問題に対する認識や対応は、メディアの種類によってかなり異なっているようです。
 ステルス・マーケティング(いわゆるステマ)とは、企業が消費者に宣伝であることを気付かれないようにして宣伝行為を行うことを指します。ステマには様々な形態がありますが、メディアが大きく関係するのは、記事と広告の扱いです。メディアの中には企業からお金を受け取っていながら、広告であることを表記せず、あたかも中立的な報道記事のように仕立てたコンテンツを掲載しているところがあります。利用者は広告であることを知らずに、その記事を読んでしまうという仕組みです。
紙媒体は比較的厳密なルールを設定
 従来の紙媒体は、このあたりに関して比較的厳密なルールを設けており、新聞や雑誌は、原則として紛らわしい広告は掲載しないことになっています。記事のようなスタイルで作られた広告は「記事体広告」と呼ばれますが、このようなコンテンツを掲載する場合には「広告」「PR」といった文字が入ります。読者は一目で広告であることが理解できるわけです。
 ネット媒体も基本的に紙媒体の延長として発展してきましたから、多くのメディアは、広告の表記を入れることをルールとして定めてきました。しかし一部の媒体は明確なルールを設定しておらず、あたかも記事のように広告を掲載しています。こうした行為はネットで問題視されるようになっており、多くのメディアが広告表記を行うという流れが出来上がりつつあります。
広告に関するルールがあいまいなテレビ
 一方、昔から広告に関するルールが明確に設定されていないメディアがあります。それはテレビです。企業が広告代理店などを通じてテレビ局にお金を払うと、自社の商品やサービスを取り上げてもらえることがあります(どの程度、それが可能なのかはケースバイケースと考えられます)。しかし、テレビの画面に「広告」と表示されることはありません。視聴者は、企業の広告を中立的なコンテンツであると誤解してしまう可能性があるわけです。
 テレビの場合、他の媒体と異なり「提供」という概念があり、スポットで入るCMとは別に、番組そのものにスポンサーとして出資してもらうということがひとつの制作形態として定着していました。こうした習慣があったことで、企業とのタイアップに抵抗が少なかったというのは事実でしょう。意識の高いスポンサーが番組を丸ごと支援することで、質の高い番組を維持できていたという側面があり、テレビの制作形態も一概に批判されるべきものではありません。
 「提供」という形であれば、スポンサーの名前が明記されますから、視聴者は番組にスポンサーの意向が働いていることを認識することができます。しかし、誰がお金を出しているのか分からない状態で、クライアントの宣伝を行うことは視聴者に誤解を与えてしまいます。こうした形でのタイアップには、やはり明確なルールが必要でしょう。(The Capital Tribune Japan THE PAGE、2015.10.13

ネイティブ広告との違い

ステマ広告が「一億総バカ時代」をつくる

みんなの投票

日本でステマ広告が横行する理由として、次の3つのうち一番大きな要因は何だと思いますか?

  • 適切な法制やガイドラインが整備されていないから

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  • メディアが記事を無料配信するから

    23

  • ポータルサイトが独占的な地位を占めているから

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