「恨の法廷」をひっくり返した韓国の思惑

「恨の法廷」をひっくり返した韓国の思惑

韓国の朴槿恵大統領の名誉をコラムで傷つけたとして在宅起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長に対し、ソウル中央地裁は無罪判決を言い渡した。言論の自由か、大統領の名誉を守るかで注目を集めた異例の公判の結末には、日韓関係や国内外の世論に配慮した朴政権の思惑も透けてみえる。

韓国にとっても良かった

  • 韓国の自由民主主義を救った産経前支局長の無罪判決

    韓国の自由民主主義を救った産経前支局長の無罪判決

    ソウル中央地裁が下した産経前支局長への無罪判決は、韓国の自由民主主義を救ったと言えよう―。韓国研究の第一人者である東京基督教大学教授、西岡力が無罪判決の意義と韓国社会への影響を説く。

まだ「国際常識」とはほど遠い

  • 産経前支局長判決は韓国民主主義の「弱点」を露呈した

    産経前支局長判決は韓国民主主義の「弱点」を露呈した

    言論の自由をめぐって「国際的常識」にほど遠い現状について、韓国は深刻な自省が必要だ―。毎日新聞元論説委員の下川正晴が、産経前ソウル支局長に無罪判決が出た深層を分析し、韓国が抱える民主主義の「弱点」を説く。

「当然の判決。特別な感慨はない」

 無罪判決を受けた産経新聞の加藤達也前ソウル支局長は公判後、韓国に拠点を置く外国メディアで構成する「ソウル外信記者クラブ」(厳在漢=オム・ジェハン=会長)で記者会見した。加藤前支局長は「当然の判決であって特別な感慨はない。韓国の検察は控訴することなく、本件を終結させることを希望する」と述べた。
 会見には韓国メディアの記者も参加した。「無罪判決を予想していたか」との韓国人記者の質問に加藤前支局長は「事前に予想できなかった」と答えた。
 また、「検察の取り調べの中で理解できなかったことは」という問いには、「この被疑者は絶対に許さないということで、すべての供述を集めるという強い意思を持って取り調べをしているという強い印象を持った」と振り返った。
産経新聞の加藤達也前ソウル支局長の無罪判決を受けて、号外が配布された =17日午後、東京・有楽町(鴨川一也撮影)
産経新聞の加藤達也前ソウル支局長の無罪
判決を受けて、号外が配布された
=17日午後、東京・有楽町(鴨川一也撮影)
 また、「韓国外務省から(判決公判で)善処を求める文書が出されていたが、こうした外交的要素が影響していると思うか」との日本人記者の質問には、「判決に影響したかはわからないが、公的文書として事前に(産経新聞社側に)通知されていた」と答えた。
 質問に関連し、会見に同席した弁護士は「文書は(一両日前に)出されたもので、判決に反映させることは時間的に難しい」との見解を示した。
 加藤前支局長は会見の終盤、「最近の韓国の言論の自由を巡る状況については、憂慮すべき事態が発生しているのではないかと心配している」と訴えた。(産経ニュース2015.12.17)
■産経新聞電子版号外PDF
■産経新聞英語電子版号外PDF

「言論の自由と判断した裁判所に敬意」 産経新聞社長が声明

 産経新聞の加藤達也前ソウル支局長に対する無罪判決についての熊坂隆光産経新聞社長の声明は以下の通り。
 ソウル中央地方裁判所は朴槿恵(パク・クネ)・韓国大統領に対する名誉毀損に問われていた産経新聞の加藤達也前ソウル支局長に無罪判決を言い渡した。本件を韓国が憲法で保障する「言論の自由の保護内」と判断した裁判所に敬意を表する。
 加藤前支局長が昨年8月、大統領に対する名誉毀損で告発、在宅起訴されて以来、日本新聞協会はじめソウル外信記者クラブ、日本外国特派員協会、「国境なき記者団」などの多数の内外報道機関、団体、さらに国連、日本政府、日韓関係者が強く懸念を表明し、さまざまな機会を通じて、解決に向けて力を尽くしていただいた。公判過程では弁護側証人として日米のジャーナリスト、研究者が証言に立つことをためらわなかった。こうした支援の結果が今回の無罪判決につながったものであり、心から感謝申し上げる。
 本裁判が長きにわたり、日韓両国間の大きな外交問題となっていたことは、われわれの決して望むところではなく、誠に遺憾である。
 民主主義を掲げる国家である以上、多様な意見を許容したうえでの、健全な議論をためらってはならない。言論の自由、報道の自由、表現の自由はその根幹であるがゆえに保障されねばならない。

 産経新聞のウェブサイトに掲載された加藤前支局長の当該コラムに大統領を誹謗中傷する意図は毛頭なく、セウォル号沈没という国家的災難時の国家元首の行動をめぐる報道・論評は公益にかなうものである。
 こうした弁護側の主張、産経新聞社の考えを、民主主義、言論の自由の観点から、冷静に判断した裁判所の意思を尊重し、韓国検察当局には、控訴を慎むよう求める。


韓国に「道理」は存在するのか

 韓国には、「道理」というものが存在しないとしか思えない。道理を弁(わきま)えてさえいたら、言論の自由を踏みにじり、外国のジャーナリストを“見せしめ”のように痛めつけるやり方が「選択」されるはずはないからだ。
 私は、韓国のこの道理のなさについて、2005年に成立した「反日法(親日反民族行為者財産帰属特別法)」のことを思い出した。日本統治時代に日本に協力した人物が蓄えた財産は、たとえ「代」を越えた子孫であっても「没収」されるということを定めた法律だ。
 日韓基本条約で請求権はお互いの国が放棄している。それでも韓国国民は、この「反日法」によって、戦前に日本の協力者であったことと、財産の構築が証明されれば、その子孫の財産は「没収」されることになったのである。「理不尽」「不条理」を通り越して、まさに目茶苦茶である。
NHKの19時のニュースでは加藤達也前ソウル支局長が無罪判決となったことを伝えるニュースが放送されていた=17日午後、東京都港区のヤマダ電機LABI新橋デジタル館(三尾郁恵撮影)
NHKの19時のニュースでは加藤達也前ソウル支局長が無罪判決となったことを伝えるニュースが放送されていた=17日午後、東京都港区のヤマダ電機LABI新橋デジタル館(三尾郁恵撮影)
 加藤前支局長の出国禁止が解かれた理由に、同盟国のアメリカの中で広がった韓国への「不信」も無縁ではない。中国への接近を強める韓国の姿勢に対しても、また民主主義国家とは思えない感情的で、法を無視したやり方にも、「いい加減にしろ」という意見は、アメリカで想像以上に大きくなっている。
 そのことに、さすがに青瓦台も気がついたのではないか。アメリカにおける韓国に対する失望と困惑の拡大が、今回の加藤前支局長の出国禁止措置の停止に大きく影響していると思われる。
 いずれにせよ、韓国は国際的な信用という点において、はかり知れないダメージを受けた。最後まで毅然とした姿勢を崩すことがなかった加藤前支局長に敬意を表するとともに、今後も歯に衣着せぬ、ますます厳しい青瓦台への論評を期待したい。(ノンフィクション作家・門田隆将、ブログ「夏炉冬扇の記」2015.04.15

民主主義の敵は日本にあり

  • 国連委が韓国政府のメディア規制に勧告 市民社会全体の問題として考えよう

    国連委が韓国政府のメディア規制に勧告 市民社会全体の問題として考えよう

    11月、国連自由権規約委が韓国政府によるジャーナリスト摘発に懸念を表明した。しかし、メディアに対するチェックは韓国だけの問題ではないと社会貢献推進機構理事長の児玉克哉が説く。

  • 韓国の理不尽主張に迎合する日本のマスコミ等は民主主義の敵

    韓国の理不尽主張に迎合する日本のマスコミ等は民主主義の敵

    産経新聞・加藤達也前ソウル支局長が書いた記事が朴槿惠大統領への名誉棄損にあたるとし、在宅起訴され、出国禁止措置を受けた件については、表現の自由や民主主義を脅かすものとして話題となった。

「恨の法廷」をひっくり返した韓国の思惑

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