「なぜ私は韓国に勝てたか」をどう読んだか
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「なぜ私は韓国に勝てたか」をどう読んだか

産経新聞の加藤達也前ソウル支局長の手記「なぜ私は韓国に勝てたか-朴槿恵政権との500日戦争」は1月末の発売以来4刷を重ね、版元である産経新聞出版には約10日間で200通を超える読者の感想が届いています。その中には、本書に登場する「ある人物」に対する意見が予想外に多く含まれていました。

産経新聞の加藤達也前ソウル支局長の手記「なぜ私は韓国に勝てたか-朴槿恵政権との500日戦争」は1月末の発売以来4刷を重ね、版元である産経新聞出版には約10日間で200通を超える読者の感想が届いています。その中には、本書に登場する「ある人物」に対する意見が予想外に多く含まれていました。

朝日の若宮氏を知っていますか

 韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉をコラムで傷つけたとして在宅起訴された加藤前支局長は昨年末、ソウル中央地裁から無罪判決を受けました。その裁判を振り返る記述に次のような下りがあります。
 「証人は、若宮(啓文)朝日新聞元主筆を知っていますか」
 これは8回目の公判で、弁護側の証人として法廷に立った西日本新聞のソウル支局長に検察側が尋ねた質問なのですが、なぜ無関係の元朝日記者の名前が登場したのでしょうか。
 実は、この若宮氏、韓国の「東亜日報」という新聞にコラムを連載しており、その中で加藤前支局長のコラムについて起訴直後の2014年10月、「一国の元首に対して何とも失礼」「まるでゴシップ週刊誌の記事」「産経が発行する夕刊紙は『嫌韓』の先頭を走っている」などと嬉々として書いているのです。
朝日新聞元主筆の若宮啓文氏
 若宮氏は朝日新聞の政治部長、論説主幹、主筆などを歴任し、現在は韓国の大学で教鞭も執る「ミスター朝日」のような方です。検察側の質問の意図は、「日本の一流紙である朝日新聞の一流ジャーナリストでさえ、このように書いているのだから、加藤や産経はやっぱり悪い奴らだ」と印象付けたかったわけですが、弁護側はこれを逆手に取り、「若宮氏は、独島(竹島)を韓国にあげてしまおう、と発言するほど韓国の肩を持つ人だと知られていることは事実ですか」と質問するのです。
 この若宮氏をめぐる「法廷論争」の詳細は本書を読んでいただければ、と思いますが、彼は以前に朝日新聞のコラムで、「いっそのこと竹島を譲ってしまったら、と夢想する」と書いた方でもあります。竹島への「夢想」は勝手ですし、韓国に相当なシンパシーを感じているのはよくわかりますが、今回の事件は、外国人ジャーナリストが言論の自由をめぐる問題で起訴され、出国禁止の憂き目に遭うという前代未聞の出来事だったのです。
 韓国の名誉毀損罪の懲役刑は最高7年にも及びます。加藤前支局長は堂々と無罪を勝ち取ることができましたが、その心労は相当なものだったはずです。「外野」から、それも「同じ日本人ジャーナリスト」がまさか後ろから石を投げていたとは…。こんな方に味方してほしいとは思いませんが、せめて黙っていてほしかったと思います。
 本書の読者もあきれていました。「朝日の若宮という人はひどい。そんなに韓国が好きなのか」「この方の言論の自由に対する考えを聞いてみたい」「若宮氏は韓国に弱みでも握られているのでしょうか」……。
 本書では、韓国や朝日新聞が言う「産経は嫌韓の新聞」という中傷についても、完膚なきまでに論破しています。加藤前支局長は指摘します。「若宮氏のコラムは、私を訴えた韓国の右翼団体の理屈と何ら変わりはありません」。(皆川豪志)

気分が悪かったから訴えた

被告席に立たされているのはどちらだ

対韓国「最良かつ痛快な教科書」

 『なぜ私は韓国に勝てたか』(産経新聞出版)を読みながら、一人の新聞記者を思い浮かべた。筆者加藤達也記者の大先輩にあたる産経新聞元北京支局長の柴田穂(みのる)さん(1992年に61歳で死去)のことだ。中国の文化大革命の実態を世界に先駆けて報じ、中国から国外追放を受けた人だ。
 私がかけ出しの頃、柴田氏の講演を聴く機会があった。どれほど敵が強大で、報道がいかに困難であろうと、真実だけを書き続ける大切さを語る柴田氏の姿を覚えている。私は“記者魂”という言葉を思い浮かべながら話を聴いた。それから30年以上経(た)った今、その言葉を思い出した。朴槿恵(パククネ)大統領への名誉毀損(きそん)に問われ、最後まで屈しなかった加藤達也・産経新聞前ソウル支局長が柴田氏と二重映しになったのだ。
 セウォル号事故当日、朴大統領が7時間も所在不明で、そのとき「誰と会っていたか」を“男女の噂”も交えながら韓国の朝鮮日報が書いた。朴政権に近い有力紙がそこまで書いたという「事実」をもとに、加藤氏は噂を「真偽不明」と断った上で、いかに大統領が追い詰められているかをコラムに書く。だが、韓国の検察は、もともとの朝鮮日報ではなく、加藤氏を名誉毀損で起訴する。
 本書では「法」ではなく、「感情」ですべてが動いていく“情治国家”韓国の信じられない実態が描かれていく。さらには、権力者の意向だけを窺(うかが)う「忖度(そんたく)政治」等、前近代的で、滑稽この上ない韓国の有様(ありさま)が具体的に記述される。
 興味深いのは、韓国側が何度も加藤氏と産経に「遺憾の表明」、あるいは「和解」を持ちかけていたという事実だ。それは「歩み寄り」さえ示せば許してやる、というメッセージにほかならない。
 だが、慰安婦問題等で、日本政府を手玉にとってきたそのやり方は、妥協の姿勢を示さない加藤氏側に拒絶され、裁判は検察の敗北で終わる。毅然(きぜん)とした姿勢が、韓国の“非常識”を打ち破ったのである。
 絶対に圧力に屈しない“記者魂”によって紡がれた本書は、日本がどう隣国とつき合うべきかを示した最良かつ痛快な「教科書」でもある。
(門田隆将 産経新聞 2016.2.15

譲歩では何も生まれない

日本に困ることはあるか

「権力者への批判」民主主義国なら当然

私はこう読んだ-読者の声

 「信念を貫き、勝利を勝ち取った内容は痛快。政治家は弱腰、妥協が多すぎる」(70代、男性)、「納得がいかないことに謝る必要は無い、という当然のことを教えられた。日本も見習ってほしい」(30代、男性) 。加藤前支局長の著書に寄せられた読者の声の多くは、「なぜ、日本の外交は加藤氏のように毅然とした態度がとれないのか」というものでした。
 中には、「反日で国をまとめている」「解決済みの問題をすぐに蒸し返す」という韓国特有の問題に触れ、「韓国との付き合い方」について、次のような提言をまとめていただいた方もいました。40代の男性です。
 「韓国は、こちらが弱みを見せると、いつまでもそこに付け込んできます。まずは恫喝をくり返し、それでも謝らないと一転して、謝ってさえくれたら何とかするなどと言い出す。一度でも謝るそぶりを見せたら最後、今度は謝り方が悪いなどと言い出す。このくり返しです。日本の慰安婦問題はまさにこの泥沼にはまっています。今回もまったく同じ手口ですが、加藤さんは決して謝らなかった。その結果、彼らは自滅してしまったのです。日本の外交が学ぶべき点です」
 韓国のマスコミに対する意見も目立ちました。今回問題になった加藤前支局長のコラムは、そもそも韓国最大の日刊紙「朝鮮日報」の内容を引用したものでしたが、朝鮮日報には何のおとがめもなく、産経新聞だけが狙い撃ちにされたのです。朝鮮日報は、その事実を意図的に紙面には書かず、最後まで「加藤記者は誤報を書いても謝らない」などと批判し続けました。
 50代の男性は「真実をまったく伝えず、反日でさえあれば書き放題という姿勢にあきれました。こんなことで日韓友好なんてできるわけがない」。30代の女性は「本書に登場する『事実よりも論が大事』という韓国の記者の言葉には笑うしかありませんでした」。
 本書では、韓国の法を無視した「情治主義」「人治主義」の実態も赤裸々に描きました。
 弁護士をしているという40代の女性は次のような感想を寄せました。「噂には聞いていましたが、韓国は法治国家ではありません。特に巻末の裁判記録は背筋が凍るような思いで読みました。こんな中で自らの意思を貫き通した加藤さんに拍手を送りたいと思います」。

加藤達也は何を想う

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