USJ「復活劇」にみた逆転の発想

USJ「復活劇」にみた逆転の発想

大阪のテーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の快進撃が止まらない。昨年10月の入場者数は単月としては過去最高を記録し、初めて東京ディズニーランド(TDL)を超えたという。長らく低迷が続いたUSJはなぜ「V字回復」できたのか。復活劇の裏には逆転の発想があった。

経営コンサルの視点

  • なぜUSJは毎年入場料の値上げができるのか

    なぜUSJは毎年入場料の値上げができるのか

    USJのビジネスモデルで特筆すべきは、よくも悪くもプライシング戦略の巧妙さだろう―。経営の玄人筋からは絶賛され、一般市民からは非難の声があがるUSJの価格戦略に経営コンサルタントの鈴木貴博が迫る。

カギは「巻き込む力」

  • 「コラボ力」で急成長するUSJと「夢の世界」を守るTDL

    「コラボ力」で急成長するUSJと「夢の世界」を守るTDL

    なぜ入場料の値上げを続けてもUSJは躍進を続けられるのか。マーケティングコンサルタントの新井庸志は好調のエンタテインメント業界の中でTDLが独り負けする一方でUSJが急成長する一番の理由は「巻き込む力」だと指摘する。

経営理念の差

  • ディズニーと真逆を行くUSJの価格戦略

    ディズニーと真逆を行くUSJの価格戦略

    USJが上り調子なのに対してディズニーの業績が減速気味であるというのはハロウィンだけの一過性のものではない。エンタテインメントビジネスの専門家、木曽崇がUSJの好調ぶりの背景を探る。

「入場者400万人増やせる」と運営会社社長

 「入場者を400万人増やせる」。2月1日、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)の運営会社「ユー・エス・ジェイ」のジャン・ルイ・ボニエ社長(52)は、就任後初めての記者会見でこう意気込みを語った。
 世界的な大ヒット映画『ハリー・ポッター』の世界を再現した人気アトラクションやハロウィーンイベントなどが好調で、昨年10月の入場者数は単月として開業以来過去最高の約175万人を記録。同社の森岡毅執行役員は「我々の分析では東京ディズニーランド(TDL)を抜き、10月は国内のテーマパークで最も人を集めたと考えている」と胸を張った。
 USJの入場者数の推移をみると、開業初年度の2001年は当初予想の800万人を大幅に上回る約1100万人を記録。ただ、2年目は火薬の不正使用や期限切れ食材の使用などの不祥事が影響し、763万人まで急落。その後も集客に苦戦し、09年には約750万人まで落ち込むなど業績の悪化が続き、同年9月には東証マザーズへの上場が2年半で廃止となる事態に追い込まれた。
 ただ、上場廃止後は経営戦略を一新し、「ハローキティ」「ワンピース」「モンスターハンター」といった子供に人気のアニメやゲームのキャラクターを取り入れ、米映画一辺倒の集客法則からの脱却を図った。また、14年7月に導入した「ザ・ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」には、USJの年間売り上げの半分以上という約450億円を投資し、アジアなど近隣諸国からの外国人観光客が急増。14年度の入場者数は過去最高の1270万人を記録し、15年度は外国人入場者が初めて100万人を突破するなど1300万人を超えて過去最高になると見込んでいる。
 一方、USJは今年2月、集客力の高まりに伴い、7年連続となる入場料の値上げを断行。今後も新アトラクションの投入などで料金を上げても人気を維持できると判断したとみられる。(iRONNA編集部)
 

国民的キャラもやってくる?

  • 任天堂とUSJのコラボでついにマリオ登場? なぜこのタイミングか

    任天堂とUSJのコラボでついにマリオ登場? なぜこのタイミングか

    任天堂とUSJがテーマパークにおける共同展開について基本合意。人気キャラクターである「マリオ」を使ったアトラクションが登場する可能性が高まっている。なぜこのタイミングなのか? 提携の経緯を探る。

沖縄進出計画の難しさ

 日本政府が必死に口説いていたユニバーサル・スタジオ・ジャパンの沖縄進出。既に政府として1億円以上の調査費支出をしてまでUSJの進出を後押ししてましたが、報道によると撤回の可能性が出てきたとされています。
 事業をする者と政治をする者では目線は全く違います。日本政府は普天間移設問題も含め、沖縄に並々ならぬ支援の姿勢を見せ続けています。それは基地問題という分かりやすい切り口だけではなく、沖縄の歴史から紐解かねば分かり難い話ですが、残念ながら琉球の歴史を語った書籍は少なくメディアもあまり取り上げていません。
 かいつまんでいえば琉球は1400年頃から中国(明)と冊封関係を結んでおり東アジアの貿易拠点として栄えてきました。日本本土との貿易も行なう独立国でありました。1609年に徳川幕府の命を受け薩摩藩の支配下に置かれますが、その後も中国(清)と日本との両属体制を保ちながら独立国家としてのメンツも持ち続けたわけです。1879年、明治のこの時代に廃藩置県に伴い日本政府は中国との冊封関係断絶を強要する「琉球処分」を行います。これが日本と沖縄の精神的断絶の一幕であります。
いつも多くの人でにぎわうユニバーサル・スタジオ・ジャパンの「ハリー・ポッター」のアトラクション
いつも多くの人でにぎわうユニバーサル・
スタジオ・ジャパンの「ハリー・ポッター」
のアトラクション
 もう一つ、あまり知られていませんが、琉球処分の直後、日本政府は中国から最恵国待遇を得るための引き換え条件に政府が宮古、八重山諸島を中国に提供するという交渉がありました。事実、この交渉は締結直前まで行ったのですが、中国が批准せず、調印されることはありませんでした。この「分島問題」は琉球の人に衝撃を与え、日本政府の琉球に対する「トカゲの尻尾切り」のイメージを強く植え付ける汚点を作ったのであります。時の交渉人は伊藤博文で彼が初代総理になる5年前であります。
 戦前、戦後の問題を含め、沖縄と本土には潜在的温度差が存在する中で安倍政権は話題の島尻安伊子氏を内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策担当)として据えるなど、そのギャップを埋めるためにあらゆる対策を立てています。USJ誘致もその一環であります。
 では、なぜ、USJが難色を示しているのか、ですがこれは私の想像ですが、沖縄ではビジネス収支がまったく合わないのだろうと思います。これは政府が誘致をする相手を間違えているとも言えます。少なくとも私がUSJの社長ならUSJの今の事業をそのまま持っていくことは厳しい選択であります。
 人造アミューズメントパークはアメリカの典型的なビジネスモデルでありますが、これは圧倒的な集客効果をベースに莫大なコストをかけ続けながら展開する特殊なビジネス体系です。例えばこのアミューズメントパークがなぜロスアンジェルス郊外に集積しているかといえば遠方からの観光客にとっていくつかの遊園地を回遊できる選択肢があるからであり、集客力が全てであります。
 東京ディズニーランドや大阪のUSJはまさに大都市を背景に潜在的集客人口が一定数あり、更に地方からの足の便も比較的良好です。国際線からのアクセスも悪くなくビジネスには絶好なのであります。
 では、沖縄。何が問題かといえば沖縄県の人口はわずか140万人で東京や大阪とは比較になりません。二番目に中国、韓国、台湾からのアクセス(距離)は確かに良いのですが、沖縄に向かう目的者がアミューズメントパークに行く目的と必ずしも合致しない気がします。例えばハワイにアミューズメントパークはありません。なぜでしょう?ハワイを訪れる人の目的が違うからでしょう。また、ハワイの地元の人は経済的にさほど裕福ではないのですが、沖縄県も県民所得は全国47番目で一人当たり200万円強と苦戦しています。このあたり、実は沖縄とハワイが非常に似ている点であります。
 三番目に沖縄の天候がネックになると思います。実は東京ディズニーランドはなぜ成功したかといえば一つには天候が安定しているのです。継続的にぐずるのは梅雨時ぐらいであとは冬も晴れます。沖縄は残念ながら台風のメインルートであり、その動向次第でビジネスの振れ幅が異様に大きくなるほか、台風の規模によっては損害が出やすいリスクが生じるのです。これが沖縄が元来、リゾート地になれない最大の理由であります。ちなみに沖縄県の晴れ率は全国の都道府県で35位、沖縄より下はほとんどが東北、北陸など豪雪地帯であります。
 沖縄は観光地というより輸送の戦略的基地としての役割の方が大きな気がします。それゆえ那覇空港の貨物取扱量は成田、関空、羽田に次いで4位で特に全日空が進出してから扱い量が飛躍的に伸びました。つまり、琉球王国がかつてそうだったように沖縄には沖縄の適正があるはずです。ところが、多くの本土の人は沖縄のイメージを取り違えたような気がします。これが沖縄が経済復興で苦戦する最大のネックのような気がしてなりません。
 USJをどうしても誘致したいなら形を大幅に変えたものにしないと厳しいでしょう。しかしUSJも大阪で築いたイメージがありますからあまり小規模なものには出来ないジレンマということになりそうです。(岡本裕明「外から見る日本、見られる日本人」2016.2.20

日本発のコンテンツ続々

  • 絶好調のUSJ ハリポタ体験は確かに楽しかったと大前研一氏

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    テーマパークといえばディズニーランドしか成功しないと言われていた日本の常識を打ち破り、急成長しているテーマパークのひとつ、USJの魅力について大前研一氏が解説する。

  • クールジャパン 誰かから「クール」と呼ばれる分にはいい

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    USJが約半年の期間限定で、日本の漫画やゲームなどのアトラクションを集めた「ユニバーサル・クール・ジャパン」がスタート。ハリウッドのイメージが強いUSJだが、日本発のコンテンツを元にしたものも登場している。

USJ「復活劇」にみた逆転の発想

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