元少年Aの「Xデー」はあるのか
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元少年Aの「Xデー」はあるのか

昨年6月に手記『絶歌』を出版した「元少年A」の近況が、週刊文春の直撃取材で明らかになった。取材の是非については賛否があったとはいえ、自己顕示欲がむき出しの彼の奇行からは、更生とはほど遠い一面もうかがえる。一部メディアでは「逮捕情報」まで飛び交う元少年A。Xデーはあるのか。

昨年6月に手記『絶歌』を出版した「元少年A」の近況が、週刊文春の直撃取材で明らかになった。取材の是非については賛否があったとはいえ、自己顕示欲がむき出しの彼の奇行からは、更生とはほど遠い一面もうかがえる。一部メディアでは「逮捕情報」まで飛び交う元少年A。Xデーはあるのか。

表現者の欲求はどこに

元警察キャリアが解説

犯罪学者が読み解く

元少年Aの手記は許されるか

 神戸連続児童殺傷事件を起こした少年Aが昨年、手記を出版した。事件当時14歳だった彼は、医療少年院を退院して社会復帰。33歳になって「元少年A」のペンネームで手記を発表する行動は、社会的に是認されるだろうか-。
加害男性が事件当時、神戸新聞
社に送った犯行声明文や挑戦状
(右)。左は書店に並ぶ「絶歌」
 本書は、凶悪犯罪における「罪と罰」の問題に40年間取り組んできたノンフィクション作家が、あまり伝えられることのない少年犯の獄中生活やその後を描いたルポルタージュだ。犯罪の凶悪化と低年齢化への対策は、少年法の壁に阻まれてなかなか実効性を得られていない。〈(更生までの)すべてのプロセスがある意味で“密室”で行われる少年犯罪の犯人の実像を得ることは非常に難しい。また、収監後の様子を知ることはほぼ不可能に近い〉
 少年の再非行率は成人の再犯率よりは低く、出院から5年以内に再入所した者の比率は15%前後で推移しているという。院内の係官や先輩、家族の支援が行き届く場合に更生プログラムは有効なのだ。一方で、院内で知り合った仲間から再び逮捕されない方法など犯罪の手口を学び、「犯罪学校みたいなもの」と告白する犯罪者もいる。それもまた現実なのである。
 昭和44年に起きた「サレジオ高校首切り殺人事件」の加害少年を、著者は捜しあてた。医療少年院を出た後に名前を変えて、大学に進学して法律を学び、弁護士になっていた。地方都市で事務所を開業。著者の取材は拒否されたが、のちに匿名でテレビに出演したその弁護士は、「謝罪も、賠償金の支払いも、いっさいしていない。これからもするつもりはない」と発言して視聴者の反感を買った。ネット上で実名と犯罪歴が暴かれて弁護士を廃業に追い込まれたという。
 著者は、犯罪加害者が出版などによって収益を得ることを防ぐ米国の法律「サムの息子法」が制定されるきっかけになった殺人犯の取材や、国内の少年院など矯正施設の訪問で見聞した事実を示し、塀の中にいた元少年たちから聞いた生の声を伝える。少年犯罪を原点から考えさせてくれる好著である。(評、作家・大野芳 斎藤充功著/洋泉社・1600円+税)

何のために報道するのか

「核心」は書かれていなかった

個人メールが公開された

元少年Aの直撃取材に賛否

 週刊文春が平成9年に起きた神戸連続児童殺傷事件の加害者とされる「元少年A」に直撃取材し、写真付きで近況を報じたことについて、ネット上では早くも記事に対するさまざまな意見が飛び交い、炎上状態となっている。
 「やるなぁセンテンススプリング。いいぞもっとやれ」「そういえば今日発売の週刊文春に元少年Aの名前と住所と顔が載ってるんだっけ。見たいような知りたくないような」…。
元少年Aのホームページ「存在の耐えられない透明さ」
元少年Aのホームページ
「存在の耐えられない透明さ」
 大手ポータルサイトの「ヤフー」をみると、「元少年A」の近況写真(目は隠している)や言動が衝撃だったのか、数多くのツイッター上のつぶやきが並んでいる。ネット上では発売前日から、「【衝撃】元少年Aの素顔と住所がバレた! 文春記者に元少年Aがブチギレ激怒 現在の素顔写真を掲載へ」など、文春の記事が待ち遠しいようなツイートが拡散していた。
 週刊文春によると、同誌記者が1月26日、東京23区内のアパートで暮らす「元少年A」とされる男性に取材。その際、男性が「元少年A」であることを否定したため、記者が改めてインタビューを依頼しようと取材趣旨を記した手紙と名刺を渡そうとしたところ、「お前、ナメてんのか。違うって言ってんだろ」「命がけで来てんだろ」などとすごまれ、さらに追いかけられるなどしたという。
 この「元少年A」の言動に対し、ネット上では「自分から元少年Aとして社会に接触して、自分が犯した快楽殺人で商売した時点でこうなることは覚悟しとかんと。逆に取材されたら極道まがいの恫喝って都合が良すぎるで」などと批判の声も。一方で、「文春は『元少年A』をどうしたいのだろう? 挑発して、何かことを起こして欲しいのか? 顔も名前も明かして頭を下げたら『許す』のだろうか?」など、文春の報道に疑問を呈する書き込みもあった。
 「元少年A」は昨年6月、被害者遺族に無断で、自身の名前を明かさないまま手記「絶歌」を出版。その是非が社会問題となったが、報道各社の取材には一切応じていなかった。「元少年A」をめぐっては、手記の出版後、自身の公式ホームページを立ち上げるなどして意見を発信したことなどから、世間の関心が集まっていた。(産経ニュース2016.02.18

更生の妨げにならないか

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