新幹線の裏にある「不都合な真実」

昨年の北陸新幹線の開業に続き、今年は北海道新幹線が開通した。今年もマスコミは新幹線狂騒曲を奏で、華やかに報道するだろう。しかし、その裏側にある赤字在来線の穴埋めをする自治体や住民の負担のことには触れない。政治家と国民が忘れてはいけないお金の話とは。

前田守人の視線

 北陸新幹線で古都金沢を旅し、北海道新幹線で青函トンネルを通って函館にカニを食べに行く。日本列島の津々浦々まで新幹線で行くのは、日本人の夢かもしれない。新幹線が来れば、観光客も工場もやってくる。たしかにそういうメリットもある。沿線地域には「企業立地の魅力が向上し事業所数が増加する」「居住人口も県内総生産も増加する」と、政治家が音頭を取り、住民はバラ色のストーリーに酔いしれた。
 ところが、新幹線のルートから外れた地域や通過される駅の住民にとっては、観光客も来なければ仕事もやってこない。結局、整備新幹線の開通で恩恵を受けるのは、一部の地域の住民と快適に旅を楽しみ、ビジネスを広げる乗客、そしてJR各社のようだ。
 というのも、整備新幹線の開通でも地域の大動脈として並行在来線は走るが、現実には赤字を垂れ流すことになる。地方自治体主体の第三セクターが経営をするが、その財政負担をするのは自治体と地元住民である。財政負担に耐え切れなくなった自治体は、やがて国の補助金に頼る。要は国民が整備新幹線の利便性に納得し、国の財政負担を受け入れるかどうかということかもしれない。

永遠に続く債務負担

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料金に地元落胆、借金は重い

  来年3月に開業する北海道新幹線の料金が発表されましたが、東京、新函館北斗間で22,690円ということです。それくらいにはなるだろうとは思っていましたが、決して安くはありません。航空機の早割前後の設定ですから、時間の早さでは明らかに劣る新幹線は、ビジネス用というよりは観光用です。この価格設定に北海道の地元の落胆の声が報じられていました。
 地元では新幹線を期待するのは、もはや観光以外にはありません。ビジネス客が東京と木古内を往復するという場面はどうにも想像できません。
朝日を浴びながら東京へ向け新函館北斗駅を出発した北海道新幹線=3月26日午前、北海道北斗市(三尾郁恵撮影)
 新函館北斗はともかく木古内は日に何人の乗降客があるのでしょうか。数人でしょうか。本州からの旅行客が増加することが、新幹線建設の目的であるならば、何ともコスト高なインフラ整備です。
 それが22,690円という価格設定にいかにも割高感があるため、地元は落胆したのです。この料金設定については、JR側は、航空業界を意識した料金設定にしたそうです。

 ある航空関係者は「航空各社の割引運賃のすべてが新幹線料金を下回るわけではなく、そういう意味では、JRの料金設定は安い」と危機感を抱く。全日空札幌支店は 北陸新幹線 金沢開業で羽田―小松線などの航空路線が軒並み苦戦したことを挙げ、「北陸のように競合になるかは分からないが、既存の運賃でどこまで対応できるか、検討の余地はある」と慎重に受け止める。

 しかし、前掲毎日新聞の記事では航空会社は余裕を見せるという内容の記事でした。

 羽田空港−函館空港に路線を持つ航空各社は余裕の構えを見せる。ある航空関係者は「北海道は東京から距離があり、北陸新幹線のように航空機の乗客を奪われることはない」と楽観し、「北海道新幹線で新たな客層により、行きは新幹線、帰りは飛行機といった相乗効果が期待できる」と話した。

 どちらが正しいのか、北海道新聞は新幹線に限っては盲目的なため楽観的な記事になったのかとも思いますが、感覚的には航空機には適いそうもありません。新幹線ができれば当初は目新しいものが大好きな日本人ですから、最初のうちは観光客は増加するでしょうが、最初だけです。青函トンネルでの高速運転も実用化されていません。
 すぐにも地元への経済効果などなかったということに気づくことになるでしょうが、それは私たちが莫大な借金を背負うことでもあるのです。(「弁護士 猪野 亨のブログ」2015.10.15

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