「罰当たり」アマゾンの拝金主義を問う
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「罰当たり」アマゾンの拝金主義を問う

ネット通販大手のアマゾンから申し込める僧侶の派遣サービス「お坊さん便」をめぐり波紋が広がっている。宗教行為の「商品化」への反発が仏教界から上がるが、一方で日本人の「お寺離れ」を食い止めるチャンスと期待する声もある。日本人の心をも金儲けのネタにするアマゾンの拝金主義を問う。

ネット通販大手のアマゾンから申し込める僧侶の派遣サービス「お坊さん便」をめぐり波紋が広がっている。宗教行為の「商品化」への反発が仏教界から上がるが、一方で日本人の「お寺離れ」を食い止めるチャンスと期待する声もある。日本人の心をも金儲けのネタにするアマゾンの拝金主義を問う。

イケメン僧侶が打ち明ける

電気屋や水道屋を呼ぶのと変わらない

簡単に便利か、懇切丁寧か

「お坊さん便」を支持するネット民

 アマゾンが開始したのは、一周忌や三周忌などの法事・法要に、僧侶を基本3万5000円で手配するもの。「自宅」と「墓」といったように移動をする場合は4万5000円。それぞれ2万円を上乗せすると戒名もつけてもらえる。
 ネットで葬儀の注文などを定額で受け付ける事業を展開する「みんれび」(東京)が提供する。みんれびは、これまで自社サイト内で僧侶の手配をしてきたが、アクセスの多いアマゾン内でも展開することで、受注件数の増加を狙った。
アマゾンのサイト内で販売が開始された「お坊さん便」
アマゾンのサイト内で販売が開始
された「お坊さん便」
 希望者はアマゾンのサイトで、僧侶派遣のチケットを発注。法事・法要の日時、場所、宗派をメールで確認したのちにチケットが送付され、その内容に沿って僧侶が派遣される仕組み。派遣前に僧侶とも打ち合わせをすることになっている。
 戒名を希望した場合は事前に郵便で受け取ることも選択できる。戒名は宗派ごとに合わせたうえで、「信士・信女」「釋・釋尼」のいずれかが与えられるという。サイトでは「車代・膳料・心づけなどは不要」とうたっている。
 これに対して、全国の主だった伝統教団でつくる全日本仏教会は昨年12月に理事長声明を発表。「お布施はサービスの対価ではない。同様に『戒名・法名』も商品ではない」と指摘。そのうえで「『お坊さん便』は、まさしく宗教行為をサービスにしている商品であり、諸外国の宗教事情を見ても、このようなことを許している国はない。アマゾンの宗教に対する姿勢に疑問と失望を禁じ得ない」と激しく反発した。
 サービスの開始、あるいは仏教会側がコメントを出したことを伝えるニュースに対して、ネット上で多くの反響がでている。その多くは、アマゾンを支持して、宗教界を批判する内容となっている。書き込みの一例は以下の通り。
 「(布施は)サービスの対価だろ。少額なら顔をしかめるくせに、アレを信仰上の献金とか言い張るなよ」「明朗会計にすると困るんだろ?」「お前らメチャクチャ儲けてるやんけ 檀家回りはスクーター ガレージにはベンツ レクサス」
 一方で、「僧侶が手配に応じないよう説得して従わない坊主を破門しないといかんよ」「寺がしっかりしてないから、こういうことになる」「戒名に定価をつけるとは、商業主義もはなはだしい」といった声は少数派だった。
 宗教行為の商品化をめぐっては、2010年に大手流通のイオンが葬儀仲介事業に参入するにあたって、布施(戒名料)の目安をホームページ上に公開。はやり全日本仏教会が、「宗教行為に対して価格を決めて商品のように扱うのはおかしい」と反発し、イオンがホームページ上から記述を削除した経緯がある。(終活WEBソナエ

意外だった仏教への気持ち

仏教を廃れさせないために

お寺もフランチャイズや?!

住職とは僧侶で経営者

状況は何も変わらない

 昨年12月8日、インターネット通販「アマゾンジャパン」で「お坊さん便」と銘打った僧侶手配サービスが始まり、仏教界は騒然となりました。一周忌などの年忌法要を行う僧侶を、アマゾンを通して手配できるというものです。
 これに対して同24日、国内の主だった宗派でつくる全日本仏教会(全日仏)が反発、「宗教行為をサービスとして商品にしている」「世界的な規模で事業を展開する『amazon』の宗教に対する姿勢に疑問と失望を禁じ得ません」とする理事長談話を発表しました。そして、今後、アマゾンに正式抗議をすることも視野に入れているとのことです。このニュースは大手新聞各紙などでも報道されましたが、個人的にはこれを目にして「ああ、またか」というのが正直な感想でした。
 実は、全日仏がお布施や戒名といった事柄について、宗教行為は商品化すべきでないという趣旨の抗議文を出すのは、私が記憶している限りでは5回目のことです。
 最初は、約19年前の平成9年、当時の浄土宗宗務総長(宗派のトップ。国でいう総理大臣的な存在)であった寺内大吉氏(直木賞作家でもあり、本名は成田有恒氏)が朝日新聞紙上で述べた戒名に関する発言が「戒名を商品化する発言だ」と批判され、宗務総長を辞任する事件がありました。これを受けて全日仏では戒名問題に関する研究会をスタートさせます。そして2年後、「仏教本来の考え方からすれば、僧侶・寺院が受ける金品は全てお布施(財施)である。従って、戒名〈法名〉は売買の対象ではないことを表明する」とする声明を出して、本来戒名はこうあるべきだ、ということを世の中にアピールしたのです。
 そして、平成22年には、大手流通のイオンの葬祭事業部門が、ホームページにお布施の目安を掲載したところ、全日仏がイオンにこの目安を削除するよう意見書を送るということがありました。その翌年には、僧侶派遣のおぼうさんどっとこむ(東京都稲城市)と、葬儀仲介を展開するユニクエスト・オンライン(大阪市北区)の2社それぞれに対して、ホームページ上でのお布施の目安を削除するよう要望書を提出しています。
 そして今回のアマゾンに対する声明が5回目ということです。これら5回にわたる全日仏の対応ですが、その問題の構造はほとんど同じです。
 まず第一に、どれもお寺とお金の問題だということです。19年前の場合は、戒名に関するお金のことです。そして、イオン、おぼうさんどっとこむ、ユニクエスト・オンラインに対しては、葬儀の時のお布施についてです。そして、今回のアマゾンの場合は、年忌法要などの法事の時のお布施です。どれもお寺に渡すお金に関してです。
 もうひとつは、こうした問題に対して全日仏が「本来の○○はこうあるべき」ということを主張し、企業や社会的風潮を批判しているということです。その主張は一貫して、お布施は料金ではない、お布施は金額を明示すべきではない、という内容です。
 お布施というのは、確かに本来はお金のことを意味しているわけではありません。今回の理事長談話は、本来のお布施というものの意味を、実に的確に述べています。「お布施は、慈悲の心をもって他人に財施などを施すことで『六波羅蜜(ろくはらみつ)』といわれる修行の一つです。なぜ修行なのかというと、見返りを求めない、そういう心を持たないものだからであります。そこに自利利他円満の功徳(くどく)が成就されるのであります」ということです。
 ただ、全日仏はこれまで繰り返しこうしたコメントを出してきましたが、状況は何も変わりませんでした。そして今回も、おそらく状況が変わることはないでしょう。たとえアマゾンにサービスをやめさせることができたとしても、また次の会社が出てくるだけのことです。(宗教評論家・薄井秀夫「終活WEBソナエ」2016.01.08

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