なぜマスコミの過熱取材は嫌われるのか
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なぜマスコミの過熱取材は嫌われるのか

マスコミの過熱取材がまたも問題視されている。熊本地震の取材をめぐり、関西テレビの中継車がガソリン給油の列に割り込んで謝罪する騒ぎになったかと思えば、今度は毎日放送の男性アナが取材中に調達した弁当をツイッターに投稿し、「配慮に欠く」と非難を浴びた。メディアスクラムはどうして嫌われるのか。

マスコミの過熱取材がまたも問題視されている。熊本地震の取材をめぐり、関西テレビの中継車がガソリン給油の列に割り込んで謝罪する騒ぎになったかと思えば、今度は毎日放送の男性アナが取材中に調達した弁当をツイッターに投稿し、「配慮に欠く」と非難を浴びた。メディアスクラムはどうして嫌われるのか。

メディアもまた疲弊する

38年経っても何も変わってない

ネット民の「正義感」と「苛立ち」

今だけは「視聴率調査」を休止すべき

 大きな事故、事件、災害等が発生した際、報道特別番組のため、各局のレギュラー番組が休止、延期となるような場合がある。
 少し違った表現をすれば、通常のコマーシャルの一部、あるいは時としてその全部が休止される場合と言えようか。まさに熊本地震の今が、その時期に該当するだろう。
 筆者がここのところずっと思っていることがある。こういう緊急事態の場合、「視聴率調査を一時的に休止することはできないだろうか?」ということだ。
 好むと好まざるに関わらず、視聴率は放送業界、メディアの世界に大きな影響を与え続けている。そして恐らくこの事実は、これからもあまり変わることはないだろう。
 視聴率を気にしないタイプの番組の作り手がいたら、お会いしてみたいぐらいだ。おそらくその人間は、よほどの自信家か、よほど鈍感か、よほど仕事のできないタイプのいづれかであろう。それほど視聴率の重みは、放送界で働く人々の肩に、常にずっしりと響いている。
 だからこそ、「緊急時における視聴率調査一時休止」の提案である。
 視聴率調査を休止させることで、各局は、視聴率を越えて冷静な取材に邁進しやすくなる。また場合によっては異なるテレビ局同志が、系列を越えて協力しあって行動することも容易くなるだろう。視聴率という重しを取り除くことで、本来のジャーナリズム精神も根付きやすくなる。
 無論、視聴率調査を一時的に休止させることが、万能の処方箋であるとは思ってはいない。
 ただ筆者が、出来の悪い頭で考える限り、この方法は、報道におけるデメリットよりもメリットのほうがはるかに多いと確信している。技術的には可能ではないだろうか。おそらく費用もさほどかかるまい。
 大きな意味があるとも思えない過熱報道合戦に違和感を持ち、心を痛めている人が、被災地の皆さんに限らず、今、日本全国にとても多い。そして作り手は、その事実に時として鈍感である。横並びの局の中で、「飛び切りの映像で抜いた、抜かれた」と大騒ぎしているのは、実は「内輪」だけのことなのだ。
 取材している現場の記者たちの苦労は、十分わかっているつもりだが、今、視聴者が報道機関に求めているのは、もっと別のことだ。
 関係者の皆様、是非ご一考頂けたら幸いである。
(影山貴彦・同志社女子大学教授/元・毎日放送 プロデューサー、「メディアゴン」2016.4.18

「速報」ではSNSには勝てない

それでも代えがたき役割

MBSアナはそこまで非難されるべきなのか

 同業者だからかばっているんだろう、と責められてしまいそうですが、それでも言いたいと思います。
 関西のテレビ局が行った被災地での取材における二つのニュース。
 カンテレの列の割り込みは確かに褒められたことではありませんし、謝罪を行っていることから事実であったと想定されます。考えられるのは後ろが並んでいることが分からなかったのか、もしくはあまりにも急いでテンションが上がってしまっていたことから勢い余って割り込んでしまったのかも知れません。ひょっとしたら中継時間が迫ってしまっていたのかも知れませんね。これは確かに良くないと思います。
 しかし、MBSの山中アナの件に関しては、ニュースを読んだ限りでは…ちょっと可哀想な気がします。私はこの男性アナとは面識はありませんが、現場取材をとても頑張っていたのだと思います。丸1日頑張って、夜中になってやっとお弁当にありつけた。そんな過酷な取材現場の状況を伝えようとしたのでしょう。
 そんな山中アナのツイッターがなぜ批判の的になるのかがちょっと…分からないというか、どうかこの程度は責めないで上げてほしいと思うのです。
 写真を見る限り、豪勢なお弁当を食べているわけではありませんし、取材陣の一員として、熊本の悲惨な状況を必死になって伝えていたのでしょう。事実、こうやって取材をする人間がいなければ、遠い、熊本や大分の悲劇を分からない人たちも少なくありません。最低限の、1日で1食目の質素なお弁当を食べたい、と。それをツイッターで上げて、なぜそんなに非難されなければいけないのかが分かりません。
 ツイッター上には〈食料飲料が最低限なのに〉〈あなた以上に現地の方は食料を求めているでしょうに〉〈食糧持参しろよ〉などと、多くの非難が相次ぎ、当該ツイートを削除して山中アナは謝罪をしたそうですが、いくらなんでも暴論が過ぎます。食料は持参していっています。それでも2日3日たてば、どう頑張っても食料はなくなります。現地で最低限の補給をしなければいけないことは当然のことです。現地の方々が苦しみ、食料を求めていることは当然のことです。現場で目で見ている山中アナはネットで口汚い罵詈雑言を書き込んでいるだけの人間たちよりもよっぽど苦しんでいる方々をそばで見ていることでしょう。
 でも、人間が生物である以上、最低限の食事は必要です。なので、夜になって初めての食事をすることになった、と。
 それのどこが非難の対象になるのでしょう。
 ツイッターに口汚く非難の言葉を書き込んでいった方々、もう一度よく自身のツイートを見直してみてください。
我々取材陣も、一人の人間です。もちろん、極限状態の中で、私も2日・3日、ご飯を食べられなかったことくらいは経験しています。現場はとても壮絶なものです。でも、伝えなければいけない。取材陣もとても頑張っています。
 本州の遠くから、テレビを見ながらマスコミ批判をしていれば満足する下品なノイジーマイノリティに言いたい。
 山中アナだけではなく、多くの取材陣が今まさに悲惨な状況を伝えんと頑張っています。もちろん、下品な視聴率稼ぎのテレビは非難されることでしょうが、1日1食の質素な弁当くらいはどうか認めてあげてほしい。揚げ足取りのような文句ばかり言ってても変な空気になるだけです。誠実に頑張っている人間は、どうか認めて応援してあげてほしいと思います。
(長谷川豊公式ブログ「本気論 本音論」 2016.4.19

目に余る過剰演出

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